- 概要
平成13年12月26日(水)13:00〜16:00に、合同庁舎3号館11階特別会議室において、「第二回 地球温暖化に伴う海面上昇に対する国土保全研究会(座長:三村信男 茨城大学広域水圏環境科学教育研究センター教授)」が開催されたので、その概要を報告する。
(出席者)
委 員: |
三村座長、磯部委員、寶委員、野田委員、花木委員、山崎委員 |
行 政: |
国土交通省都市・地域整備局、下水道部、河川局、道路局、港湾局、気象庁、海上保安庁、国土地理院、国土技術政策総合研究所、独立行政法人土木研究所、独立行政法人港湾空港技術研究所、環境省、中部地方整備局 |
- 議題
1)海面上昇による国土への影響について
2)国土保全のための対応策について
3)観測・監視のあり方について
4)研究会報告書目次(素案)について
- 議事概要
各議題の説明内容と委員の主な意見は以下の通り。
1)海面上昇による国土への影響について (委員の意見)
- 影響評価結果は、海面上昇前は被害が全く生じないのに、少しでも上昇すると甚大な被害が生じるといった感覚を与えないよう、その表現を工夫することが必要。
- 影響評価結果は、日本が海面上昇に対して脆弱性を有するということを示すために用いるのが良い。
2)国土保全のための対応策について (委員の意見)
- 耐用年数等、施設の現状を踏まえた対応策を考えることが重要。
- 我が国では従来より防護を中心に考えているが、今後は、人口や資産の度合いに応じて、ソフト対策も検討することが、対策費の軽減や住民の安全の観点からも必要。
- 海岸における対策については、養浜等、護岸のみでない対策を検討することが必要。
- 長い将来を見越した長期的な対策について検討していくことが必要。
- 土地利用の誘導や、影響把握地域での利用方法の工夫などのソフト対策を考えると対策の幅も広がっていくと考えられる。
- 土地利用の誘導のように、長期にわたるが早めに行うべき対策がある。ハード対策においても海面上昇量が小さい段階から始めねばならない施設もあれば、ある程度海面上昇が進んでからでも間に合う施設もある。ハード、ソフト両面で短期的な対策、中・長期的な対策とそれぞれのメリットとデメリットを踏まえて検討することが必要。
3)観測・監視のあり方について (委員の意見)
- 観測手法のフォーマットの統一等、観測に関する技術的な検討を行う場を設けることが効果的。
- 国土への影響予測や対策を考える上でも、観測データを整理し、地球温暖化による海面上昇の影響なのかどうかを判定するようなしくみが必要。
4)研究会報告書目次(素案)について (委員の意見)
- 温暖化による海面上昇への対応策について、長期的かつ幅広い視野をもって基本的な考え方を記述すべき。
- 費用対効果分析といった考えも含めて報告書には記述すべき。
- 温暖化による海面上昇への対応策は不確定な要素が前提となるため、どのように検討し、検討に際しどのような課題が存在するのかを報告書に記述していくことが必要。
- 研究会の報告書には、地球温暖化を踏まえた中で、地域毎に将来どのような海岸線のすがたの中で暮らしていくのかといったことを官民あげて検討していく必要があるといった観点を含めるべき。
- 地球温暖化による影響を地球全体の問題として捉えていくような視点を含めることが必要。
- 今後のスケジュール
平成14年2月〜3月を目途に第3回研究会を開催する予定。
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