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地下空間における浸水対策ガイドラインの構成



技術的基準概念図




地下空間における浸水対策ガイドライン

(目的)
このガイドラインは、洪水、高潮等による浸水が予想される区域において建築物の地階に設けられる居室、地下街等(以下、「地下空間」という。)の設計又は管理を行う者に対し、浸水対策上留意すべき設計及び管理方法について指針を示すとともに、地下空間に関する内容を含む災害危険区域に関する条例や地域防災計画の策定・変更等の地方公共団体における地下空間の浸水対策の施策の実施にあたって参考となる技術的資料を提供することによって、地下空間の浸水に対する安全性の確保に資することを目的とする。
   
(浸水危険性の調査)
地下空間を設計する者は、その地下空間を有する建築物等が建っている敷地における河川、内水、高潮によるはん濫等による浸水の危険性について、次の方法により調査を行う。
 
浸水想定区域等の指定状況
地形図、実測等から、周辺の土地と比べて低いと判断される窪地地形等の地形情報
出水の経験についての過去の記録その他の必要な情報
   
(浸水対策の検討)
第2の調査により、浸水の危険性が大きいと考えられる場合においては、地下空間について浸水対策上必要な措置を講ずることとし、特に危険性が大きいと考えられる場合においては、地下空間の用途及び規模を勘案し、必要に応じ地下空間を設けないことについても検討を行うこととする。
   
(浸水対策上必要な措置)
浸水対策上必要な措置は、地下空間の用途及び規模を勘案し、不特定又は多数の者が利用する地下空間にあっては第5の、その他の地下空間にあっては、第6の措置を講ずることとする。ただし、重要な機器を設置する部屋等建築主が浸水を可能な限り生じさせないことを要求する地下空間にあっては、第5又は第6の措置に加え第7の措置を講ずることとする。
   
(不特定又は多数の者が利用する地下空間における技術的基準)
不特定又は多数の者が利用する地下空間における技術的基準は次のとおりとする。
 
地下空間への浸水が起こるおそれのある状態を地下空間の管理者等が覚知できる措置を講ずること。
地下空間に存する者に対し避難が必要なことを周知することができる放送設備等を設けること。ただし、地下空間の面積が小さく、かつ、多数の区画に分かれていないことにより、容易に避難を周知できる場合にあってはこの限りでない。
前号の周知措置により避難を開始してから地下空間に存する者が避難を終了するまでの間、地下空間に存する者の避難経路となる居室、廊下等の各部分ごとに、当該部分から安全に避難できる水深以上の浸水をしないものであること。
避難経路となる階段は、地下空間に存する者が避難を終了するまでの間、階段上を安全に避難できないほど激しい流れが生じない構造とすること。
避難に必要となる経路上にある扉は、避難が終了するまでの間、水圧により開けることができなくならないように設けること。
避難は、昇降機その他浸水により使用できなくなるおそれのあるものを使用せずに行うことができるよう計画すること。
地階に存する者が避難するまでの間、照明又は非常用照明が点灯していること。
漏電防止のための措置を講ずること。
管理者等にあっては、必要に応じ、前各号に掲げる措置とは別に避難が可能となる措置を講ずること。
   
(特定少数の者が利用する地下空間における技術的基準)
特定少数の者が利用する地下空間における技術的基準は次のとおりとする。
 
地下空間の各部分において、その部分が浸水を開始した時から、地下空間に存する者が避難終了するまでの間、地下空間に存する者の避難経路となる居室、廊下等の各部分において、避難が困難となる水深以上の浸水をしないものであること。ただし、通常の経路以外にはしごその他の特別の避難設備を設け、かつ、当該避難設備からの避難が可能である場合においては、この限りでない。
避難経路となる階段は、地下空間に存する者が避難を終了するまでの間、階段上の浸水深が避難が困難となる水深以上にならない構造とすること。
第5第五号、第六号及び第八号に掲げる措置を講ずること。
   
(浸水を可能な限り生じさせない構造とする技術的基準)
浸水を可能な限り生じさせない構造とする技術的基準は次のとおりとする。
 
建築物の開口部(出入口を除く。)は、設定浸水高さ(第8に基づき設定した高さとする。以下同じ。)以上の高さに設けること。ただし第三号の防水板、防水扉等(以下「防水板等」という。)により、設定浸水高さ以上の高さまで確実に閉鎖される構造となっている場合においては、この限りでない。
出入口には、設定浸水高さ以上の高さの防水板等を設けること。
防水板等は、次の構造とすること
浸水を自動的に覚知し、自動的に作動するものであるか、または、管理者等によって容易に設置できるもので、かつ、浸水を管理者が覚知できる措置が講じられているものであること。
設定浸水高さの水圧に耐える強度及び水密性を有するものであること。
防水板等が有効に機能するまでの間に地下空間に浸水するおそれがある場合にあっては、マウンドアップ等による浸水防止措置を講じること。
からぼりを設ける場合にあっては、からぼりの周囲の高さは設定浸水高さ以上とするか、又は、からぼりに面して設けられる開口部を防水板等が作動するときに併せて閉鎖すること等により浸水を防ぐ構造とすること。
排水口は逆流が生じない構造とすること。
防水板等が設置された場合においても建築物内に存する者の避難が可能な構造とすること。
   
(設定浸水高さ)
第7第一号の設定浸水高さは、次の各号に掲げる浸水の高さその他、現地情報として公開されている情報等を踏まえ、地下空間の用途の重要性等を勘案して設定するものとする。
 
浸水実績による水深
水防法第10条の4第2項等による水深
建築物の建っている地盤面から最寄りの河川の堤防または海岸の堤防等までの高さ
   
(避難行動管理基準)
管理者等は、常日頃から災害情報の収集を心がけ、緊急時の洪水、雨量・気象情報が出された場合に、地下空間に存する者が円滑に避難できるよう、次のことに留意すること。
 
洪水、雨量・気象情報を確実に受信できること。
浸水の状況等を確認して避難誘導情報、避難経路等を、地下空間の使用者、滞在者等に確実に伝達すること。
必要な浸水対策施設等を確実に機能させることができるように、常時適切に維持管理すること。
平素から次の手引書を整備し、管理員、従業者等に周知し、防災訓練を実施すること。
一) 避難を開始する必要のある浸水の状況
二) 防水板等又は土嚢等の保管場所、設置方法等
三) 避難経路
   
(既存の地下空間の措置)
10 地下空間の所有者又は管理者等は、第2から第7の規定に準じて必要な措置を講ずるよう努めるとともに、第9に基づき管理を実施すること。

 


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