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河川局

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記者発表

平成14年度水環境における内分泌撹乱物質に関する
実態調査結果について



平成15年10月24日
河川局河川環境課

 河川水及び河川底質中の内分泌かく乱物質に関する、平成14年度の調査結果を取りまとめたところ、全国の22地点において重点調査濃度を上回る値が観測され、そのうち6地点は今回新たに汚染が確認されたものであった。一方、平成13年度の調査において重点調査濃度を上回る値を観測した14地点のうち4地点は、今回の調査でこの濃度以下となった。

1 調査概要

 国土交通省河川局では、動物の生体内に取り込まれた場合に、本来その生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性物質(以下「内分泌かく乱物質」という。)として疑いのある物質について、平成10年度から試行的に調査を行い、平成14年度に、それまでの調査結果やその調査項目、調査頻度の考え方等を取りまとめた「平成13年度水環境における内分泌撹乱物質に関する実態調査結果」を作成した。
今回の調査は、この中に示された考え方に基づき行われる最初の体系的な調査であり、過去の検出状況や1水系1地点以上という原則等を考慮して選定された全国の一級水系における140の調査地点のうち、平成14年度に調査を実施することとされた76地点(重点調査地点:46、一般調査地点:30)において、平成14年の秋から冬にかけ、水質と底質の調査を実施した。すべての調査地点において3年から6年ごとに調査が実施されるよう、また、年度ごとに調査地点数に大差が出ないよう、各年に調査地点を配分しており、今回調査が実施されなかった点においても、平成15年度以降順次、調査が実施されることとなっている。
なお、調査項目・調査地点の選定等調査手法が平成14年度調査から大きく変更になっているため、平成13年度調査結果との単純な比較はできない。

2 水質調査

 全国の一級河川109水系のうち、約半数の55水系76地点において、水質調査を実施した。結果は表−1のとおりである。なお、調査項目は、各河川における検出状況等も勘案し、それぞれの河川ごとに設定しているため、項目ごとの総検体数は一致しない。
エストロンが重点調査濃度を上回って検出されている地点が多いが(表−1)、今回エストロンが高濃度で検出された地点においては、過去にもエストロンが検出されており、新たに汚染が拡大しているとは言えないことが分かる(表−2)。
また、ノニルフェノールやビスフェノールAが重点調査濃度を超えて検出された地点も、すべて過去に重点調査濃度を上回る値が検出された地点であり、これらについても汚染が広がっているとは言えないが、重点調査濃度を超過した地点においては、上流域の自治体等との連携も図りながら、引き続き重点的な監視を行っていくこととしている。

エストロン:人畜由来の物質であるが、エストロゲン活性(女性ホルモン作用)に関する既往の報告等が十分ではない状況にある物質。

3 底質調査

 全国の一級河川109水系のうち、22水系24地点において、ベンゾ(a)ピレンにつき底質調査を実施した。底質調査地点の選定は、水質調査地点と同様に過去の調査結果等から行っており、全地点を6年に一度の割合で調査していく予定である。結果は表−3のとおりである。
 表−3から、ベンソ(a)ピレンの検出率が平成13年度調査より高くなっていることが分かるが、同物質が検出された16地点中11地点は、平成13年度調査においても検出されている地点であり、今回新たに汚染が広がったとは言えないものの、引き続き監視を継続していく必要がある。
 ベンゾ(a)ピレンは、環境省がまとめた「環境ホルモン戦略計画SPEED’98」の67物質に含まれており、内分泌かく乱作用が懸念されているものの、河川中での魚類等への影響は未解明であることから、平成14年度に取りまとめた「平成13年度水環境における内分泌撹乱物質に関する実態調査結果」においても、「ローリング調査を行い、データの蓄積及び検討を行うこととする」としたところである。

4 今後の調査

 内分泌かく乱物質に関しては、現在まで生態系全般に対する影響が明らかになっておらず、環境基準も設定されていないが、生物の生殖等への影響が考えられていること及び社会の関心が高いことから、将来的な対策等のためのデータの蓄積を図ることが重要である。国土交通省河川局では、全国140の調査地点において、引き続き調査を実施していくこととしている。

・表−1 調査対象物質の検出状況 (PDFファイル 57KB)
・表−2 平成14年度調査において重点調査濃度を超えた地点における過去の検出状況 (PDFファイル 10KB)
・表−3 ベンゾ(a)ピレンの検出状況、表−4 調査項目別の選定理由と重点調査濃度 (PDFファイル 44KB)
・平成14年度 実態調査結果 水質 (PDFファイル 20KB)
・平成14年度 実態調査結果 底質 (PDFファイル 13KB)

問い合わせ先
国土交通省河川局河川環境課  課長補佐  宮藤 秀之(内線35452)
 係  長  小野寺 秀明(内線35483)
 電話  03-5253-8111(代表)
 03-5253-8447(夜間直通)


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