1 背景及び主旨 |
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近年、漁場環境の悪化をはじめとする海域環境の問題が各地に生じているが、この原因には森林の荒廃や河川環境の変化などが関係していると考えられる。こうした中で、漁場海域の生物の生息・生育環境を維持する上で、森林を水源とする河川水の果たす役割の重要性が認識されつつあり、各方面で様々な取り組みが試みられている。
しかし、これまでの取り組みは個別的かつ局所的な対応にとどまっており、流域の水循環、物質循環を介した生態系の密接な関連を踏まえた対応が求められているところである。
このような状況を踏まえ、本調査では、森・川・海を通じた栄養分の供給機構とそれが漁場海域の生物の生息・生育環境へ与える影響等を把握した上で、各種公共事業やNPO、漁業者による環境活動等を実施するにあたって森・川・海のつながりを重視して連携する方策について検討し、これらの視点から漁場海域の健全な生態系の維持・構築のための基本方針を策定するものである。
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2 検討委員会の構成 |
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委員長 高橋 正征 東京大学大学院教授 |
委員 西村 修 東北大学大学院教授 |
委員 柳井 清治 北海道工業大学教授 |
委員 沖野外輝夫 信州大学名誉教授、早稲田大学教授 |
委員 向井 宏 北海道大学大学院教授 |
委員 植松 光夫 東京大学海洋研究所助教授 |
委員 谷田 一三 大阪府立大学教授 |
委員 肱黒 直次 全国森林組合連合会部長 |
委員 前林 篤 全国漁業協同組合連合会次長 (敬称略、順不同) |
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3 主な検討内容 |
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(1)漁場海域の健全な生態系の維持・構築からみた森・川・海のあるべき姿の整理
(2)森・川・海のつながりの評価項目等の整理
(3)モデル地域における検討
(4)漁場海域の健全な生態系の維持・構築のための基本的な方針
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4 第一回検討委員会の概要 |
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(1)現地調査計画について
モデル地域に宮古湾、閉伊川・津軽石川流域及び大槌湾、大槌川・小鎚川・鵜住居川流域を選定し、森林・河川・海域毎に水質・底質・生物等の調査を実施することが提案され、了承された。
(2)ヒアリング結果について
事前に実施した研究者等に対する本調査の進め方等についてのヒアリング結果を報告し、今後検討すべき項目、並びに結果の整理等についての具体的な指摘を受けた。
(3)総合討論
主な意見
森・川・海のつながりは重要な調査課題であるが、調査期間の制約もあるために、少なくとも基本的な方向性を示せるよう取り組んでいく必要がある。
森・川・海のつながりは空間的なスケールに加えて、季節変動や年々変動などの時間的なスケールからも捉えていく必要がある。
現地調査の実施にあたっては、落葉の形態、河川の水質に影響を及ぼす要因の状況、湾内に流入した河川水の挙動等について検討する必要がある。
窒素・リンの収支、有機物の形態の変化、生物グループによる生物生産のピークの違いの影響など、今回の調査ではおさえきれない部分もあり、本調査の中で今後の調査課題を整理すべきである。
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5 スケジュール |
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11月中旬に第2回検討委員会を開催するほか、今後2回程度開催し、3月末を目処にとりまとめを行う。
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