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河川局

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記者発表

河川の河口及び河口干潟の環境保全、本格化へ
〜三番瀬をモデルとした東京湾河口干潟保全の検討結果まとまる〜


平成16年5月7日
国土交通省河川局

 国土交通省では、河川や海岸の自然環境保全の観点から河口およびその周辺の干潟に着目し、特に他の内湾では経験したことがない程高度に利用が進んだ東京湾における河口干潟の保全・再生の方向性を検討するため、平成13年に「東京湾河口干潟保全検討会」を設置し、3年間に渡り検討を重ねてきました。
 その成果として、三番瀬をモデルとした河口干潟の現状や課題の整理、その保全・再生への考察、さらにモデル干潟の検討結果をもとにして東京湾の河口干潟の保全の方向性と再生の考察を「東京湾河口干潟保全再生検討報告書」としてとりまとめました。
 三番瀬をモデルとした本検討では、淡水や土砂の挙動について着目し、その実体解明を試みました。この際、出水時及びその後の江戸川放水路と三番瀬の環境との関係について3年間にわたって現地観測し、濁度、塩分濃度及び溶存酸素量などの水質の挙動や、粒度組成、酸化還元電位などの底質変化、さらに河川からの流入土砂量のデータが蓄積され、併せて生物の分布状況なども把握されました。
 この現地観測により、出水時及びその後の江戸川放水路と三番瀬との関係がある程度解明されました。例えば、出水後にある程度の波浪がなければ、浅海域において塩淡成層(密度の違う淡水と海水が混じり合わずに層状に存在している状態)が形成され、下層に酸素が十分供給されなくなることから下層が貧酸素状態になることが把握された。さらに出水後浅海域に堆積したシルト粘土分はその後の波浪と潮汐により徐々に分離され航路や前置斜面沖などより深い水域へと移動し、浅海域には細かい砂が残されていくことなどが裏付けられました。
 なお、このような出水時及びその後の河川と河口部の干潟との関連を解明するための現地観測は過去例がありません。
 この現地観測も踏まえ、三番瀬については、前置斜面前面に広がる過去の埋立地造成の際に土砂を採取した跡地(深掘れ地)の解消や、老朽化した直立護岸の改善などが急務とされるとともに、淡水導入や安定した土砂の供給などが今後の課題としてまとめられました。
 さらに、東京湾河口干潟の保全の方向性としては、海底地形の修復、汽水域や後背湿地の形成、そして土砂動態の把握などが重要であるとされました。
 具体的には、多摩川では土地利用の状況を踏まえ、河川内及びその周辺において、ある程度まとまった干潟の保全・拡大を検討することとしているなど、積極的な取り組みに向けた準備作業を行っていく必要があるとされました。

東京湾河口干潟保全再生検討報告書

【問合せ先】
国土交通省河川局河川環境課 03-5253-8111(代),03-5253-8447(直)
課長補佐 宮武晃司(内 35-442)



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