<岩木川・鶴見川2水系の河川整備基本方針の概要>
河川整備基本方針は、各水系における治水、利水、河川環境等の河川管理の長期的な方針を、総合的に定めるものである。その内容には、工事実施基本計画で記述されていなかった河川環境の整備と保全や維持管理等に対する考え方も明らかにされているとともに、計画規模を超える洪水や整備途上段階での洪水による被害の軽減についても記載を行っている。
治水計画としての基本でもある基準地点における基本高水のピーク流量、計画高水流量は、岩木川、鶴見川については、最新データも加えてその内容を検証した結果、既定計画を踏襲することとしている。
流水の正常な機能を維持するため必要な流量については、岩木川、鶴見川については、既定計画では定められていなかったものを新たな検討を行い設定している。
2水系の河川整備基本方針の主な特徴的内容は次のとおりである。
○岩木川
岩木川は、中流部で本川と同規模の2支川が合流し、また中下流部で急激に勾配が緩やかになるなどの地形的特性からこれまでも幾度となく氾濫を繰り返してきた河川である。このことから、沿川地域を洪水から防御するため、豊かな自然環境に配慮しながら、堤防の整備、河道の掘削等を行うこととし、特に、中流部の自然堤防の区間の広い高水敷にあたる区域については、土地所有・利用状況も踏まえ、関係機関や地域住民との密接な連携・調整を図りつつ、河道の遊水機能の維持を図りながら、治水安全度を効率的に確保する。また、流域の人々と岩木川の関わりを考慮しつつ、自然豊かな河川環境や良好な河川景観の保全に努める。
○鶴見川
鶴見川は、昭和30年代からの流域の著しい市街化により保水・遊水機能が低下し、浸水被害が頻発したことから流域が一体となった総合治水対策を全国に先駆けて実施した河川である。流域の急激な市街化が水循環系に大きな変化を与えたことを踏まえ、流域での保水・遊水機能を適切に維持・確保するなど流域が一体となった総合的な浸水被害対策を下水道管理者、地方公共団体等関係機関、市民と連携して推進する。基本高水について、流域において流出抑制対策を講じない場合の洪水のピーク流量は基準地点末吉橋地点において2,860m3/sとなり、この流量に対し流域における雨水貯留浸透施設の設置等を考慮して、基本高水のピーク流量を同地点において2,600m3/sとしている。また、下水道管理者等関係機関や市民と連携し水質改善に取り組むともに、人々が水とふれあえ多様な動植物が生息・生育する、豊かで清らかな水循環の保全・再生の取り組みを進める。
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