ホーム >> 政策・仕事  >> 河川トップ  >> 記者発表  >> 過去情報

河川局

Topics
記者発表

1.平成9年度 生物調査結果の概要



 河川水辺の国勢調査における生物調査は、5年を1サイクルと捉え、魚介類、底生動物、植物、鳥類、両生類・爬虫類・哺乳類、陸上昆虫類等の6項目(ダム湖については動植物プランクトンを加えた7項目)の生物調査を順次実施するものです。

 平成2年度より始まった本調査は、平成7年に1巡目の調査が終了し、平成8年度より調査は2巡目に入りました。

 今回は、平成9年度に実施した111水系及び82ダムの生物調査結果について取りまとめました。

 

平成9年度調査河川(一級・二級)・ダム湖における確認種数

河川・ダム湖 魚介類 底生動物 植物 鳥類 両生類
爬虫類
哺乳類
陸上昆虫
類等
動植物プ
ンランクト


河川数
(水系数)
28
(27)
22
(22)
22
(21)
22
(20)
26
(26)
26
(26)

(−)
確認種数 238 約840 約2,100 248 76 約6,000



ダム湖数 19 16 17 16 18 10 14
確認種数 58 約260 約2,500 170 102 約5,600 502
複数の項目を調査した河川(水系)・ダム湖があるため、各項目の調査河川(水系)数・ダム湖数の合計は、全調査河川(水系)数・ダム湖数と一致しません。
河川数とは、基本的に水系数のことですが、利根川水系、木曽川水系、淀川水系においては、調査結果とりまとめを個別の河川に分けて行っているため、これら水系の個別の河川が含まれています。
二級河川での調査は、魚介類を6河川(6水系)、底生動物を1河川(1水系)で行っています。
魚介類の確認種数は、魚類のみ示しています。
ダム湖における魚介類・底生動物の確認種数はダム湖内での確認種数を示しています。


・多数の河川で水鳥の確認種数が増加

 コウノトリ目、カモ目、チドリ目は、水辺を生活の場としている水鳥です。

 今回鳥類調査を行った22河川のうち、15河川でコウノトリ目・カモ目・チドリ目の合計確認種数が一巡目の調査に比べて増えています(減っている河川は5河川)。

 種数の増加している河川は、コウノトリ目の種数が増えている河川は15河川(減っている河川は4河川)、カモ目の種数が増えている河川は15河川(減っている河川が4河川)、チドリ目の種数が増えている河川は11河川(減っている河川は10河川)です。


・14ダムで33種の鳥類の繁殖を確認

 今回確認された繁殖状況をみると、繁殖が確認された鳥類は14ダムで33種でした。

 そのうち水鳥については、白川ダム、高山ダム、室生ダム、布目ダムで、カイツブリ、カワウ、アオサギ、カルガモの4種の繁殖が確認されました。


・特定種として、魚類42種、底生動物9種、植物74種、鳥類49種、小動物(爬虫類・爬虫類・哺乳類)12種、陸上昆虫類等14種が河川で確認

 今回の調査で、多くの特定種が確認された河川は以下のとおりです。

  • 魚類は、筑後川で13種、宮川で9種、信濃川、庄川で8種
  • 底生動物は、番匠川で4種、四万十川、信濃川で3種、小瀬川で2種
  • 植物は、雄物川で17種、長良川、揖斐川で12種、常陸利根川、小丸川で11種
  • 鳥類は、利根川水系利根川で32種、北上川で25種、阿賀野川で18種
  • 両生類・爬虫類・哺乳類は、黒部川で5種、番匠川で4種
  • 陸上昆虫類等は、天塩川で4種、高瀬川他7河川で2種

 また、今回の調査で、多くの特定種が確認されたダム湖は以下のとおりです。

  • 魚類は、釜房ダムで4種、福地ダムで3種
  • 底生動物は、福地ダムで17種、鶴田ダムで4種、美和ダム、耶馬渓ダムで3種
  • 植物は、小渋ダムで122種、定山渓ダムで59種、大雪ダムで58種
  • 鳥類は、鶴田ダムで15種、小渋ダムで13種、九頭竜ダム、真名川ダムで12種
  • 両生類・爬虫類・哺乳類は、藤原ダムで11種、相俣ダムで10種、漢那ダムで9種
  • 陸上昆虫類等は、美和ダムで19種、小渋ダムで15種、岩尾内ダムで11種

注)本調査で示している特定種とは、天然記念物、種の保存法の指定種、レットリスト、レッドデータブック掲載種など、学術上等の観点から重要と考えられる種を対象としています。


・28河川中20河川でメダカを確認

 絶滅の危険が増大しているといわれるメダカは、今回調査を行った28河川のうち20河川で確認されました。


・ダム湖周辺で絶滅危惧種に指定されている
 イヌワシ・クマタカを確認

 イヌワシ・クマタカは環境庁のレッドリストで絶滅危惧種に指定されていますが、今回の調査を行った16ダムにおいて、クマタカが9ダムで、イヌワシが2ダムで確認されました。


・国外外来種(国外由来の外来種)であるブラックバス(オオクチバス)、ブルーギルは、河川、ダム湖において分布域を拡大

 近年その分布域が拡大しているといわれている国外外来種のブラックバスとブルーギルは今回魚介類の調査がされた28河川と19ダム湖において、ブラックバスは20河川と8ダム湖で、ブルーギルは16河川と5ダムで確認されました。

 昨年、一巡目にあたる平成2年度から7年の調査と平成8年度の調査との比較から、ブラックバス・ブルーギルの分布域が拡大していると公表したところですが(比較が可能な21河川と35ダム湖においてブラックバスは9河川・15ダム湖から16河川・17湖ダムに、ブルーギルも4河川・9ダム湖から11河川・12ダム湖へと確認河川・ダム湖が増えている)、平成9年度の調査と比較が可能な21河川・19ダム湖においても、ブラックバスは13河川・5ダム湖から15河川・8ダム湖に、ブルーギルは9河川3ダムから13河川・5ダムと確認河川・ダム湖が増えており、ブラックバス・ブルーギルの分布域は確かに拡大していると思われます。


・オオカナダモなどの
 国外外来植物の確認河川数が増加

 一巡目に調査した河川と平成9年度に調査した河川で共通する22河川において較べてみると、国外外来種の水草であるオオカナダモの確認河川数は8河川から15河川に増加しています。  また、国外外来種の陸上植物においては、アレチウリは14河川から12河川に確認河川数が減少していますが、セイタカアワダチソウは20河川から21河川に、ブタクサは17河川から18河川に、オオブタクサは11河川から14河川に、オニウシノケグサは13河川から16河川に確認河川数が増えています。


・オナモミ(日本在来種)の確認河川数は減少、
 オオオナモミ(国外外来種)の確認河川数はわずかに増加

 オナモミ(日本在来種)とオオオナモミ(国外外来種)は同じような生育環境を好みます。

 今回植物の調査を行った22河川のうち、オナモミは5河川で確認され、オオオナモミは19河川で確認されました。

 今回取りまとめた平成9年度調査結果と比較が可能な22河川においても、オナモミは8河川から5河川に確認河川が減り、オオオナモミは18河川から19河川と確認河川が増えており、日本在来種に対し国外外来種勢力が増している傾向がみられます。



Copyright© 2007 MLIT Japan. All Rights Reserved.

国土交通省 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3

アクセス・地図(代表電話)03-5253-8111