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河川局

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記者発表

地下空間における
緊急的な浸水対策の実施について



 本年6月29日、梅雨前線豪雨により、福岡市においてビル地下室や地下鉄、地下街などの地下施設が浸水し、都市機能が停止するとともに死者がでるという災害が発生し、また、7月21日には集中豪雨により東京都においてもビルの地下が浸水し死者がでるという傷ましい事態が発生したところである。

 地下空間は、特に大都市の中心市街地等における貴重な都市空間として、都市機能の増進を図るためにその有効活用が進められているところであり、近年、我が国においては、地下水鉄、地下街、ビルの地下施設等様々な地下空間利用が発達してきている。このような地下空間に豪雨や洪水が短時間で浸水した場合には、通常の地上での害の実態と大きく異なり、電気設備の浸水による停電や地下空間の天井までの冠水など大きな被害を受ける恐れがあり、こうした観点を踏まえた対策が必要である。

 地下空間における浸水対策については、地下空間の浸水防止施設の設置も必要であるが、それだけでは限界があり、洪水時には避難することが重要である。従って、常日頃から地下空間での豪雨及び洪水に対する危険性を周知するとともに、洪水時においては、情報が的確かつ迅速に伝わる必要がある。

 これらを踏まえ、緊急的な対策として以下の事項を推進する。

  1. 地下空間での豪雨及び洪水に対する危険性の事前の周知、啓発
  2. 洪水時の地下空間の管理者への洪水情報等の的確かつ迅速な伝達
  3. 避難体制の確立
  4. 地下施設への流入防止等浸水被害軽減対策の促進

 

  1. 地下空間での豪雨及び洪水に対する危険性の事前の周知、啓発

    浸水により起こる危険な事態の周知、啓発

     豪雨時における建築物の地下階への水の急激な流入、水圧によるドアの開閉障害等、の危険性について、周知、啓発を図る。

     このような事態も含めた防災教育の充実を図る。

    浸水実績の公表

     地下空間の浸水被害の実績について、被害の内容、浸水範囲、浸水深、降雨状況、地形等の情報を公表・周知する。

     さらに、地下室を設置するか否かの判断や豪雨及び洪水時の避難の判断に役立つよう河川・下水道等の整備状況についても公表する。

    浸水予想区域の公表

     地下空間の管理者及び利用者が当該地下空間の危険性を認識できるように、浸水予想区域、氾濫シミュレーション等の公表・周知を進める。

    地下空間での被害実態の公表

     水害統計調査等を活用して地下空間での浸水被害を的確に把握し、防災白書等をとおして公表する。


  2. 洪水時の地下空間の管理者への洪水情報等の的確かつ迅速な伝達

    洪水情報等の地下空間管理者への伝達

     地下空間の管理者が洪水時に適切な対応をとることが必要である。

     このため、河川管理者は、洪水情報を地下鉄の管理者に対して直接伝達する。

     地下街等その他の地下空間の管理者に対しては、水防管理者(市町村長等)が河川管理者からの洪水情報や市民からの通報等に基づき必要と認められる時、避難のための立ち退きの指示を防災無線の活用や自治会などの協力等の方策により行うことを検討する。

     マスメディア等を通じた情報伝達についても充実させる。


  3. 避難体制の確立

    避難体制の整備

     地下街等の不特定多数の利用者がいる施設の管理者による、円滑な避難誘導等について検討する。

     なお、地下鉄、地下街、個別ビルが一体となった地下空間においては、各組織の連携方策について検討する。

     さらに、河川管理者や地方自治体と地下空間の管理者が共同して、浸水災害の発生を想定した訓練の実施内容について検討する。


  4. 地下施設への流入防止等浸水被害軽減対策の促進

    浸水防止施設設置の促進

     地下空間の浸水防止施設の設置を推進するため、施設の具体的事例等、必要な情報を提供するとともに、防水壁等、地下空間の浸水防止施設を設置する民間事業者等に対して、日本開発銀行の融資制度の活用を促進する。

    浸水対策事業の集中的実施

     地下空間利用が高度に発達し、災害が発生する恐れのある地区において、雨水対策下水道事業及び河川事業を連携して重点的な対策を実施する。

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