ホーム >> 政策・仕事  >> 河川トップ  >> 審議会等  >> 過去情報

河川局

各種懇談会等について

第2回「新しい時代のダム管理を考える研究会」の議事概要について

1.概  要
 ○開催日時:平成13年5月30日(木)(10:00〜12:15)
 ○場  所:中央官庁合同庁舎3号館 2階特別会議室
 ○議題は以下のとおり。
  ・「ダムの放流警報・情報提供のあり方」に関する提言の内容について
  ・「ダムの管理方式」、「既存ダムの有効利用」に関する現状と課題及び検討の方向性について

2.研究会名簿
 別表「新しい時代のダム管理を考える研究会」名簿のとおり。

3.議事概要
 各議題の議事概要及び出席者からの主な発言要旨は、以下のとおり。
 
(1)「ダムの放流警報・情報提供のあり方」に関する提言内容について

 第1回研究回において各委員から出された意見を事務局においてとりまとめ、中間報告の骨子案(1〜5)を作成。その内容について説明。
 1.河川利用者の退避行動を促す警報・情報提供
 2.ダム操作に関する情報提供等
 3.異常洪水時におけるダム下流の河川管理者、水防管理者等との連携
 4.日常からのダム管理情報の提供
 5.啓発・安全教育

【主な発言要旨】
(河川利用者の退避行動を促す警報・情報提供)
 1.自由使用・自己責任
   ● 利用する側の意識を喚起するためにも、中間報告の最初に自由使用と自己責任の原則を記載すべき。
   ● 河川利用者の自己責任の要件は、「ハイ」・「イイエ」がはっきり言えること、その結果どうなるか分かっていること、どちらを言ったか覚えていること。
   ● 河川は管理されている領域なので、危なくなった時は、川の外へ避難することが原則である。
   ● 1年間のうち、洪水になって河川が利用できなくなるのは僅か10〜20日程度。洪水時に利用者は、河川に入るべきではない。
   ● 自己責任という以上は、ダム管理者はサイレンだけではなく、河川利用者が情報を正しく理解できるよう情報提供する必要がある。
   ● 放流警報が鳴ったら自ら情報を集めて行動するのが、社会通念ではないか。
   ● 河川利用者はややもすれば、ダム管理者からの情報に頼り過ぎて、自己責任によって行動するという意識が薄れる。
   ● 情報の提供については、納税者の目線に立って検討して行く必要がある。

 2.分かり易い情報
   ● 河川利用者にとっては、ダム放流によって河川の水位がどれ位上昇するかが重要。
   ● 水位表示を毎日見ている人は、日常との違いが分かるが、外部から来た人には分からないことが多い。
   ● 外部から来た人にも分かるような情報提供の仕方を工夫すべきである。
   ● 河川の言葉には、例えば左岸、右岸、堤内、堤外というように一般の人には分からない用語が多い。ダム管理に使用する用語も具体のイメージが湧くような言葉に、一つ一つ置き換えて行く必要がある。
   ● 画像情報は分かり易い重要な情報なので、CGを用いて分かり易い情報を提供すれば、河川利用者が現在置かれている状況が分かり易くなる。


(ダム操作に関する情報提供等)
 1.ITの活用
   ● ITは成長の可能性が高いので、常に維持管理していなければ陳腐化してしまう。
   ● 今できることからIT化するという考え方がよい。光ファィバーを整備しなければIT化が進まないというのは真のITではない。明日からできることは、明日からやるという姿勢が大切。
   ● 既存のITを活用し、効果を見ながら枠を広げて行くことが肝要。
   ● 情報提供を増やすことは、ダム管理の省力化とは相反する。従来と負担を変えないで、情報提供を充実させるための解決方法がITではないか。

 2.情報提供手段の多様化
   ● 現在の放流警報の体系は、ITの発達していない時代に作られたものであり、ITの発達した現在においては、多様な情報提供の手段を取り入れることは有効であると考える。
   ● 多様な情報提供の手段を考えることは、いずれ問われるであろう「情報のバリアフリー化」を先取りした良い取り組みである。
   ● サイレン、情報表示装置、インタープリターなど多様な情報提供・収集の取り組みを行うことは有効であるが、各々がどのような場面で、どのように活用されるのか具体化する必要がある。
   ● 例えば、ITは信頼性に問題があるので、最後はサイレンが作動するというような活用のシナリオが必要ではないか。
   ● 情報提供の進んでいるダムを伸ばすのもよいが、遅れているダムをどう引き上げて行くかも考えておくことが大切である。
   ● 従来の放流警報に加えて、早い段階で予備的な情報を出すことは大切である。
   ● 河川の管理を従来の公物管理という立場からではなく、国民から信託されていると考えれば、義務・サービスは、特にサービス面を強調して大いにやるべき。
   ● 従来の「危険」と「安全」という考え方だけではなく、「快」と「不快」という軸が必要となる。危険でしかも不快な所は、管理者として改善すべき。危険と快適が共存するような場所(例えば、河川の中州)はダム管理上の問題が多い。

 3.操作規則の住民への説明
   ● ダムの操作規則が変更になるとなぜ、住民への説明が必要となるのかということも含めて、分かり易い情報提供が必要である。
   ● 行政がもっと分かり易い言葉で説明すれば、住民も情報に近づこうとする意識が出てくる。


(異常洪水時におけるダム下流の河川管理者、水防管理者等との連携)
   ● 関係者間では、異常洪水という言葉の持つ意味が分かるが、一般の人にはどのような状態か分からないので、一般の人にも分かり易い言葉に置き換える必要がある。
   ● 河川利用者にとっては、ダムの異常洪水よりも通常の洪水の方が問題である。
   ● 河川が氾濫するような異常洪水の場合は、流域全体の問題であり、ダムだけで考える問題ではない。
   ● 異常洪水とは、ダムの計画規模を上回る洪水ではなく、実際の河川で浸水被害が発生する洪水であるか否かで判断すべきである。
   ● 河川にはダム管理者、河川管理者、水防管理の三者が存在する。ダム放流による下流河川の水位予測を誰が責任を持って行うのか明確にしておく必要がある。
   ● また、水防管理者との連携も一元化しておくことが重要である。


(日常からのダム管理情報の提供)
 1.インタープリター
   ● インタープリターの役割と社会とのつながりが構築できれば、小中学校の生徒は、自分のこととして学んでいくであろう。
   ● インタープリターの育成方法としては、川の傍に住んでいる人の知識のアップとダム管理に詳しい行政経験のあるOBを活用する方法があるのではないか。

 2.収集した情報の信頼性
   ● 従来、情報の収集は関係機関のみから集めていたが、ダムがモニターからも情報を集めることは新しい軸であり評価できる。
   ● 情報の収集範囲を広げることは、同時に信頼できる情報であるか否かを見分けることが必要となる。


(啓発・安全教育)
   ● ダムの管理に従事する者が、安全なダム管理を行うためには、河川利用者に対する情報提供が重要であるとの認識を持つよう指導・教育することも必要ではないか。
   ● あるダムの操作に疑いを掛けられることが問題ではなく、あるダムの操作に問題があった時、全てのダムが危険だと言われることの方が問題である。そのため、安全なダム管理に対する全体的なレベルアップが必要である。
   ● 住民の意見を聞く方法として、県の土木事務所の役割が大きい。取り組んでいる事例もあるので参考にするとよい。


(2)「ダムの管理方式」、「既存ダムの有効利用」に関する現状と課題及び検討の方向性について
 ダムの管理方式、既存ダムの有効利用の各研究テーマについて、現状と課題及び検討の方向性を説明。

【主な発言要旨】
(ダムの管理方式)
   ● ダムの管理は、様々なリスクを考えた上で、一般の人にも分かるような簡便、明解なものでなければならない。
   ● 洪水時は、通信回線の断線をはじめ様々な危険が想定されるので、洪水時の管理をITの監視のみで行うのは時期尚早である。
   ● 低水放流設備の遠隔操作は、積極的に取り入れるべきである。
   ● 航空機のパイロットは、シミュレーターによって操作技術を維持することが定められているので、ダムの操作についても、シミュレーターを用いて、異常洪水に対処できるようにしてはどうか。
   ● シミュレーターによる訓練は心理的なプレッシャーも与えられるように工夫し、危機的な状況下でもパニックに陥らず冷静な判断ができるようにしてはどうか。
   ● ダム管理の資格を有する人に対しても、継続して教育することは大切である。
   ● 異常洪水を体験した管理者から実地経験の話を聞くのもよい。
   ● 今までは、効率を最優先したためダムの操作はかなり難しかったが、これからは、誰でも安全に管理できるような、操作と設備を備えたダムにする必要がある。
   ● 国直轄管理のダムは、職員を適正に配置し入念な管理が行われているが、多くの道府県管理の補助ダムは要員が不足している。


(既存ダムの有効利用)
   ● 洪水調節機能の向上を図るために、仮に利水容量を洪水調節に活用した結果、予想した降雨がなく、渇水が生じた場合、渇水被害のみではなく感情的な批判も出てくる。利水に対するリスクを補償してまで行う方策あでるか疑問である。
   ● ダム貯水池の使用は、貯水位によって用途別に利用制限が設けられているので、もっと弾力的に使用できるようにしてはどうか。
   ● 川は土砂を運ぶ役割を有しているので、総合的な土砂管理は、国土環境の保全という枠組の中で考えて行く必要がある。
   ● 降雨予測も長年研究しているが、その予測レベルは上がっていない。ダムの有効利用に対して予測情報を用いる場合は、あまり精度の高い精密なものを求めるのではなく比較的簡単な情報に置き換えて利用した方がよい。


問い合わせ

国土交通省河川局河川環境課流水管理室  課長補佐 秋山 良壮
電話:03−5253−8449(直通)

 

目次に戻る 進む


Copyright© 2007 MLIT Japan. All Rights Reserved.

国土交通省 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3

アクセス・地図(代表電話)03-5253-8111