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第3回「新しい時代のダム管理を考える研究会」の議事概要について

1.概  要
 ○開催日時:平成13年6月20日(木)(10:00〜12:15)
 ○場  所:中央官庁合同庁舎3号館 2階特別会議室
 ○議題は以下のとおり。
  ・「ダムの放流警報・情報提供のあり方」に関する中間報告(案)について
  ・「ダムの管理方式、既存ダムの有効利用」に関する中間報告の骨子案について

2.研究会名簿
 別表「新しい時代のダム管理を考える研究会」名簿のとおり。

3.議事概要
 各議題の議事概要及び出席者からの主な発言要旨は、以下のとおり。
 
(1)「ダムの放流警報・情報提供のあり方」に関する中間報告(案)について

 これまでの2回の研究会において各委員から出された意見を事務局においてとりまとめ、中間報告(案)を作成。その内容について説明。
 1.河川利用者の退避行動を促す警報・情報提供
  ア)河川利用者が的確に状況を理解し、避難するようなダムからの情報提供
  イ)分かり易い警報
 2.ダム操作に関する情報提供等
  ア)操作規則についての関係市町村、住民への説明
  イ)流域の自治体等からの意見の反映
  ウ)ITを活用した多くの情報提供や双方向の情報伝達の推進
  エ)複数の河川管理者・ダム管理者等関係者間での情報の統合と共有化
  オ)情報伝達ルートの多重化
  カ)モデル的なダムでの先行した取り組み
 3.計画を超える降雨による洪水における下流の河川管理者、水防管理者等との連携
  ア)ダム下流での氾濫を想定した危機管理対策
  イ)氾濫の恐れのある洪水についての情報提供
  ウ)浸水予想図の作成
 4.日常からのダム管理情報(水源地域の情報を含む)の提供
  ア)河川利用者へのダム管理情報の提供
  イ)「川と湖のインタープリター(解説者)」の設置
  ウ)ダム管理所の「水源地域防災センター」としての活用
  エ)水源地域情報や防災情報の発信
 5.啓発・安全教育
  ア)自己責任の確立とともに自然の恐さを伝える安全教育
  イ)色々な機会を活用した啓発活動、安全教育の推進

【主な発言要旨】
(通知サービス)
   ● 情報提供の中には、河川利用者からのアクセスだけではなく、アクセスしてきた人をリストに登録して、ダム管理者から定期的に「通知サービス」を行う案を加えてはどうか。
   ● ダム管理者が情報の受け手側に関する個人情報(メールアドレス等)を把握することの是非については、議論もあるが、将来の展開を考えれば個人情報を集めておくことも大切である。
   ● 通知サービスの利点は、ダムに関する啓発情報も同時に発信することができる。
ダムの意義や管理について知ってもらうためには、定期的にメールマガジンを送信するといった方法も可能である。
   ● 通知サービスは、強制的に送られてくるので情報量が多すぎる。また、中には迷惑メールも沢山含まれている。情報量が多過ぎるため、ほとんど見ないのが実態。
   ● 情報の量が多すぎると、肝心の情報を見忘れてしまうのではないか。
また、何時も情報が送られてくると受け手が見なくなる。
   ● 情報量が多いことよりも、それらがいかに集約されているかが重要。
伝達手段が多様であることはよいが、本当に危険な時は1つの情報に集約すべき(例えば、最後はサイレン)
   ● できるだけ多くの情報が階層的に整理されることが肝要。
河川にいる人といない人では、必要な情報に差があるので、受け手が選択できるようにすることが大切。
   ●

ダム管理者としては、できるだけ整理された多くの情報を多様な手段で、しかも受け手が選択できるような方策を考えることが肝要。

   ●

よほど河川利用を頻繁に行う人はメールを見るが、河川をほとんど利用しない人は見ないであろう。

   ●

通知サービスは、例えばキャンパーのリーダーにその時だけ通知するといった方法を採用すれば有用である。


(表現の方法)
   ● 気象庁の出す注意報や警報はかなりの効果があるが、河川管理者からの情報では、実際の退避行動には結び付き難い。
   ● 鉄道の事故や山での遭難は、救助にあたり当事者の費用負担が当然必要であるように自己責任において警告を無視して行動している人達のために、どの位の予算が投じられているかをPRする方が、啓発のためには効果があるのではないか。
   ● ダムからの放流警報のアナウンスは、「ダムからの放流によって水位が上昇するので十分注意してください。」となっているが、これでは、河川利用者に対する注意喚起の効果が小さい。「危険だから即刻退去しなさい。」といった強い言葉を使用しないと人は動かない。
   ● ある県では、毎年、出水期前に関係機関を含めた「ダム放流連絡協議会」を開催しているが、専門用語のまま説明している。
全国統一的にダム管理用語を分かり易く説明できるマニュアルを整備するとよいのではないか。
   ● また、ダムの効果やダムの限界をPRするHPも整備してはどうか。
   ● マニュアルやHPの情報は、小中学校の授業でも即、使えるような分かり易いものであれば一層よい。

(伝達の手段)
   ● 情報提供の内容に応じた手段も大切であるが、状況に応じた手段の運用が更に大切である。
   ● マスコミとの連携を強化しておき、ダム管理者からの情報を基にマスコミから状況の深刻さを効果的に報道してもらうような方策を考えるとよい。
   ● マスコミはダムが危険な時は報道するが、ダムの効果はあまり報道しない。
情報提供の意味を納税者の視点から理解して報道するように説明しないと、取り上げる必要性が十分にマスコミに理解されない。
   ● ダムそのものをPRするHPがない。HPにダム専用のサイトを設けてはどうか。
   ● ダムの効果もHPに掲載・蓄積しておけば、誰かが必ず使用するはずである。
   ● ダムによっては、携帯電話の不感地帯がある。ダムの下流側は、携帯電話が掛かるようにしてはどうか。
   ● どこか定められた一定の場所(例えば情報表示板のある所)に行けば、携帯電話が掛けられ、ダム管理者との双方向の情報伝達が可能となるようにできないか。
   ● 携帯電話の使える地域と使えない地域は、予めチェックしておき、これらの地域を明確にしておくことも段階的には必要ではないか。
   ● 携帯電話の使えない地域から順次、情報ステーションを整備すべきである。
   ● NTTはユニバーサルサービスの義務があるが、民間の通信会社にはそのような義務はない。
投資効果の少ない所を民間で整備するのは困難であり、そのような所を整備するのが公共事業ではないか。
   ● 公共の社会基盤活用とのセットで、民間のミニマム・サービスが考えられないか。
   ● iモードは河川利用者ばかりの利用を考えるのではなく、ダム(河川)管理者としても、これをどう利用するかを明確にすべき。
   ● 放流警報の通知文もiモードで提供するべきではないか。
   ● 携帯電話の使えない所では、免許の不要な無線を活用し、無線機を河川情報センターから貸し出しするのも一つの方法である。

(浸水予想図)
   ● 浸水予想図には、避難する時は「オレンジ色の線より外へ逃げること。」といった身を守るためのポイント、逃げるための方法や地元の人達が子供の頃から知っているような道標を図示するとよい。
   ● 浸水予想図には「いざとなっても、この線の外なら、これまでの経験では安全、大丈夫。」といった注釈を付すこと。
   ● 「計画を超える降雨」という意味が分かり難い。
一般の人は、計画を超えると分かっているなら、なぜ、計画を見直さないのかと考えるのが素直である。
最近の異常気象や異常降雨といった身の回りで起きている現象と対比して説明してはどうか。
   ● ダムの限界とは何かという説明も必要ではないか。
   ● 過去の訴訟事例を見ても河川管理者として、即地的な状況の把握は大切である。

(費用対効果)
   ● 6月からインターネット、iモードによるリアルタイムの河川情報の提供が開始された。アクセス件数が大変多く、国民の河川情報に対する関心の高さを物語っているので、河川情報の提供には、力を入れるべき。
   ● 情報提供システムで財産は守れないが、命は守れる。便益はかなり高い。
   ● 情報提供の目的には、公開だけではなくダムに対する啓発や誤解の解消も含まれている。ある程度のコストは仕方がないのではないか。
   ● 「情報提供」についても効果と費用の関係を整理する必要がある。
費用を掛けるべきか否かは、行政では判断できない。コストが必要なことも示して、納税者に判断してもらってはどうか。
   ● 例えば、水難事故に伴う救助費用などについて、ダムをとりまく関連費用の分析とも併せて行ってはどうか。

(ま と め)
   ● 今回、中間報告に盛り込む情報提供の位置付けは、ダム(河川)管理者が管理用に使用している情報を分かり易く加工して市民に提供し、より一層活用して頂くものであり、行政サービスの一環である。このことを報告書の中に明記すべき。
   ● 更に、高度な情報の加工が求められた場合は、有料化も考えて行けばよい。
   ● 状況に応じた情報提供手段、分かり易い説明、マスコミとの連携、HPの活用、いざという時のシンプルな情報発信について中間報告に内容を盛り込んで頂きたい。
   ● 各施策を進めるためには、河川管理者、ダム管理者、河川情報センターなどの連携が必要であるが、組織的な情報公開等に関する活動を誰が具体的に進めるのか。
また、活動を支援するための体制の必要性も中間報告に盛り込んではどうか。


(2)「ダムの管理方式、既存ダムの有効利用」に関する中間報告の骨子案について
 前回の研究会において各委員から出された意見を事務局においてとりまとめ、中間報告の骨子案を作成。その内容について説明。
 1.ダムの管理方式
  ア)新技術の導入と管理体制
  イ)外部委託の導入
 2.既存ダムの有効利用
  ア)堆砂対策による貯水池機能の回復と有効利用
  イ)ダムの有効利用と多様な活用方策
  ウ)今後のダムのメンテナンス

【主な発言要旨】
(ダムの管理方式)
   ● 中間報告にあるマニュアル、管理水準、各技術基準をダムの維持管理の統一的な規範として法的に整備するのか、それとも実務上の基準として整備するのかによって、法令体系上の位置付けの検討が必要となる。
   ● 維持管理は個々のダムで特性が異なり、また、複雑であるため統一が難しく、更に、これらの水準・基準・規範は、訴訟の争点にもなるので、上記意見の前者として扱うのは難しい。
   ● ダム管理は、管理者がその全責任を負っているので、「外部委託」という表現方法は責任体制が曖昧と解される恐れがある。
   ● ここでいう「外部委託」とは、ダム管理の権限を委譲する訳ではなく、要員不足に関する一部業務を担うという単なる契約に過ぎない。
   ● ダム管理上の責任とは、操作や判断が国家賠償法に抵触するか否か、社会に対して約束したことが適切に行われたか否かである。
   ● ダム管理は、社会に対する約束を明確にした上で、管理者が全責任を負うということでこれまで実施してきた経過がある。
   ● ダムは国民の生命・財産を守る大切な施設であり、単に「外部委託する」というと河川管理者が責任を放棄したと思われるので、適切に表現する必要がある。
   ● ダム管理者に責任があるという哲学を忘れてはならない。外部委託はあくまでも管理者の補助的な業務であり「外部委託の導入」ではなく、「外部委託の活用」が正しい表現である。
   ● メンテナンスすることは、社会資本を適切に維持管理して行く上で重要である。
この考え方を一歩進めて、社会の意識や状況の変化に応じたダムの操作が可能となるような考え方を提案することが大切である。
   ● ダムのランニングコストがどの位必要で、それによってどれだけのサービスが得られるのか、分かり易く説明する必要がある。
   ● イニシャルコストとランニングコストの関係。ダムのマネージメントから見た補修の必要性が説明できれば、理解が得られやすい。
   ● 対処療法的なものと、土砂管理のように施策として行われるものは、コストも分けて考える必要がある。

(既存ダムの有効利用)
   ● 土砂管理については、貯水池の有効利用の他に、その効果として得られる環境上の効果を金銭に換算する方法も研究し、結果を公表してはどうか。
   ● ダムの水利用については、利水者との調整が難しいとされているが、調整とはどのようなもので、何が行われているのか分からない。調整の場として、ダム管理者、自治体、利水者の三者の集まりに、他の人は参加できないのか。
   ● ダムは利水者が特定しているため、誰でも水の利用ができるというものではない。
   ● 納税者に対して、調整の内容を知らせることが次の行動につながるのではないか。
   ● 堆砂対策はこれまで何度も説明してきたが、マスコミや一般の人に必要性を理解してもらえなかった。最近になってやっとその必要性が認識され始めた。
   ● 発電ダムでも洪水や渇水の時には、「社会のために」ということで河川管理者に対する協力が得られるようになってきた。ただし、何時でも協力が得られるようなルール作りには抵抗があるようである。


問い合わせ

国土交通省河川局河川環境課流水管理室  課長補佐 秋山 良壮
電話:03−5253−8449(直通)

 

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