【明日香川】

明日香川　しがらみ渡し　塞かまれば　 流るる水も　のどにかあらまし
（二 - 一九七 )

明日香川　明日だに見むと　思へやも　我が大君の　御名忘れせぬ
（二 - 一九八）

或本の歌、発句にいわく、「明日香川　今もかもとな」
（三 - 三五六或本）

年月も　いまだ経なくに　明日香川　瀬々に玉藻は　生いたれど　しがらみあれば　なびきあへなくに
（七 - 一一二六）

今行きて　聞くものにもが　明日香川　春雨降りて　激つ瀬の音を
（十 - 一八七八）

明日香川　明日も渡らむ　石橋の　遠き心は　思ほえぬかも
（十一 - 二七〇一）

【飛鳥川】

飛鳥川　水行き増さり　いや日異に　恋の増さらば　ありかつましじ
（十一 - 二七〇二）

飛鳥川　なづさひ渡り　来しものを　まこと今夜は　明けずも行かぬか
（十二 - 二八五九）