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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第1回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成13年11月27日


3. 議  事

米代川水系等3水系の河川整備基本方針について

(委員長) それでは、議事次第に沿って本日の議題「米代川水系等3水系の河川整備基本方針について」を審議いただきます。
 まず最初に、米代川水系等3水系の河川整備基本方針の概要について事務局から説明をお願いいたします。
(事務局) ○○でございます。米代川、荒川、斐伊川の3水系について、まずパワーポイントで流域の概要、治水・利水・環境上の特色等を御説明いたしまして、その後、資料3−1、3−2、3−3あるいは資料4−1、4−2、4−3等で河川整備基本方針の概要等について御説明いたします。
 最初のパワーポイントでございます。今回御審議いただく3水系、いずれも日本海側に面した水系でございます。
 おのおのの流域の諸元でございますが、米代川が流域面積が4,100 km2、109 水系の中では14番目、荒川が1,150 km2、59番目、斐伊川が2,070 km2、109 水系の中では30番目というように、真ん中よりちょっと上クラスの大きさの河川でございます。
 まず米代川ですが、流域は秋田県の北部と岩手県の一部、青森県のごく一部を含んでおります。先ほども申しましたように流域面積が4,100 km2、幹川流路延長は136 kmでございます。年間降水量が1,400 mmから2,200 mmで、日本海側でございますので雪、それから前線性の雨が多いところでございます。
流域のランドサットからの映像でございますが、流域全体が不規則な五角形をしておりまして、写真で見ていただけばわかりますように山地部が約9割を占めております。一番右の方に鹿角市と書いた部分がございますが、このあたりが標高100 mの花輪盆地でございます。それから西の方に流れていきまして、大館市と書いているあたり、大館盆地、このあたりが標高50m、それからさらに西の方へ行きまして鷹巣盆地、このあたりで標高20m、河口部が能代市で、能代平野を流下して日本海へ注いでいるわけで、盆地と盆地の間を峡谷部を挟んで階段状に川が流れていっているような感じでございます。流域内の人口は約26万3,000 人でございます。
 この写真は源流の中岳でございます。標高が1,024 mでございます。
 そのほか、この流域を特色づけるものとして、米代川流域の青森県境側、白神山地で、世界最大級のブナの原生林、約1万7,000 ha分布しておりまして、平成5年に世界遺産として登録されております。
 次は川の沿川の概要でございます。今の写真が鷹巣盆地。米代川の中流部、河口から約43km付近でございます。田園地帯と、その中に集落があるということで、河川は、見ていただいてわかりますように低水路沿いに河畔林が形成されており、キツネなどの動物の生息とか、川の中はアユの産卵などが確認されております。
少し下りまして河口から30km付近の狭窄部、二ツ井町の付近でございます。川が上から下へ流れておりまして、写真でいいますと右側が山が迫っており、左側の方が二ツ井町の市街地でございます。昭和47年の洪水で二ツ井町の市街地が越水、破堤により大規模に浸水しております。現在でもこのあたりが米代川全体での洪水の疎通上のネックとなっております。
 次は河口部です。能代市のあたりでございます。大きく蛇行をしながら日本海に注いでおります。昭和58年の5月、日本海中部地震、マグニチュード7.7 でございますが、河口から10km間にかけて旧川敷跡あるいは湿地等で液状化を生じております。また、河口にはハマヒルガオなどの砂丘植物が見られるほか、春から夏にかけて多くのシロウオ、アユ、サクラマスの遡上とか、降海型のイトヨなどが見られております。今回、全部の川の状況を写真でお示しできなかったわけですが、先ほどの大館から河口まで、約70kmございますが、この間に堰が1つもないというのが米代川の特色でございます。
 治水ですが、先ほど申しましたように昭和47年7月の洪水で、上側にございます水色に塗った部分が浸水しております。耕地の浸水面積が約8,300 ha、宅地が約430 ha、浸水家屋が1万1,000 戸を数えております。24時間雨量でいいますと186 mmが流域の平均的な雨量ですが、場所によっては2日雨量で568 mmを記録しております。下の写真で右側が二ツ井町、左側が能代市でございます。右側の二ツ井町については堤防を越水して氾濫しております。左側の能代市については漏水で堤防が破堤して浸水しております。
 次は水利用の状況でございます。全体で約200 m3/sの水利用がございますが、そのうち約150 m3/sが発電用水、残りのほとんどがかんがい用水でございます。あと、若干ですが水道、工業用水に利用されています。この写真の右側に米代川頭首工というのが写っております。河口から約69kmですが、この間まで堰がないということでございます。
次は環境上の特色でございます。まず、この川は「尺アユ」と申しまして、30cmクラスのアユが有名で、東北はもちろん関東からも釣り人がよく訪れているような状況でございます。また右側の写真、先ほども申しましたが、河道内の河畔林が多くの野生生物の生息の場所等になっているところでございます。
現在、米代川でやっている大きな事業ですが、1つが米代川の支川の小又川で森吉山ダムを建設中でございます。目的は洪水調節、水道用水、かんがい、発電、不特定用水の補給でございます。総貯水容量にして7,810 万m3でございます。そのほか河川の事業としては、鷹巣町あるいは二ツ井町で堤防の低いところのかさ上げ、拡幅、さらに下流の能代市内では桜づつみモデル事業をやっている状況でございます。
 次に荒川水系に入ります。上流側が山形県、下流側が新潟県に属する一級河川で、流域面積が1,150 km2、幹川流路延長が73kmでございます。年間降水量は約2,700 mmで、ここも米代川と同じく雪、それから前線性降雨で雨が多いところでございます。
次はランドサットからの映像でございます。こちらも流域の9割が山地でございます。山形県側、地図でいいますと右側の上の方に白く雲がかかっているように見えますが、朝日山系、源流部です。それから下の方にまた白くなっておりますが、それが飯豊山系です。それのちょうど真ん中あたりに緑っぽいところが見えますが、小国町のございます小国盆地です。このあたりで標高が約150 mです。そちらの方から川が左の方に流れていきますが、県境を通りますが、峡谷部で、磐梯朝日国立公園にも指定されております。新潟県の方に入りまして、関川村と黄色く書いてあるあたりが扇状地です。標高が30m程度です。その後、狭窄部を通り、海側の越後平野の北端にございます荒川町、神林村を流下して日本海に注いでおります。流域内の人口は約4万3,000 人でございます。
 これが源流部の大朝日岳でございます。標高が1,870 mでございます。雪については、山間部では4mを超える豪雪になります。
 この川は昭和42年に大災害を受けまして、それとともに山も荒れておりますので、直轄で砂防事業を行っております。現在まで約140 基の砂防施設が完成しております。
 これは小国町を過ぎて、ちょうど新潟県と山形県の県境部、赤芝峡と呼ばれているところです。非常にモミジ等が美しく、磐梯朝日国立公園にも指定されている部分です。
 この渓谷部に水力発電がなされております。岩船ダム、あるいは赤芝ダムなど、ダム高で申しますと30m程度の小規模なダムですが、全体で6カ所、最大出力にして7万1,500 kWの発電がなされております。
 次は新潟県側に入りまして、この写真の上の方が関川村の扇状地でございます。写真の中ほど、山が迫っておりますが、そこのところに荒川頭首工という農業用水の取水用の頭首工がございます。そこから下の方、海に向かっていますが、越後平野に入っていくということでございます。この川は昭和42年の災害で非常に大規模な被害を受けまして、今写真に写っております頭首工を含めて、堤防等も昭和42年の災害復旧等ででき上がった施設でございます。
 次は河口部でございます。全般、川の周辺は穀倉地帯で、岩船米、コシヒカリの産地でございます。また、サケやサクラマスが遡上いたしますし、水際にはタコノアシの群落等、自然豊かな環境になっております。
 これが昭和42年8月の羽越水害の状況でございます。水色に塗った部分が洪水はんらんを受けた地域です。2日雨量で440 mmの雨が降り、浸水面積が5,875 ha、死者・行方不明者が90名、家屋被害で約1万1,000 戸の被害を受けております。写真で右側の方が小国町、山形県内で、橋梁に流木等がかかっている写真でございます。左側が新潟県になりまして、関川村の写真ですが、川がどこにあるかわからないというような状況で、扇状地全体にわたって水が流れているという状況でございます。
 次は水利用の状況でございます。全体で約350 m3/sの水利用がなされております。そのうち、中流部の赤芝発電所等で328 m3/sが使用されております。荒川頭首工等のかんがい用水が約24 m3/sでございます。あと、非常に少しですが、水道用水、工業用水等に利用されております。
環境上の特色でございます。右側の写真にございますように、山形県から新潟県に抜けるあたり、国立公園に指定されていて非常に景観のいいところでございます。下流部に移りますとサケ漁が伝統的になされております。現在でも年間約5,000 匹のサケが採捕されており、地域の歴史の1つとなっております。
現在までになされた大きな治水事業ですが、昭和42年の災害を受けて一連の河道の改修と、支川の大石川に大石ダムを昭和53年に完成させております。このダムは容量が2,280 万m3ございます。洪水調節と発電を目的としてつくられております。
 現在実施中の事業です。山形県内では支川の横川に横川ダム、総貯水容量2,460 万mで、洪水調節、発電、工業用水、不特定を目的とするダムを建設中でございます。下流の新潟県内に入りまして、この川は川底の勾配が1/500 以下の非常に急流な河川ですので、関川村、荒川町あたりで水衝部の対策、荒川町で水辺の楽校、神林村で桜づつみモデル事業等を実施しているところでございます。
 次は斐伊川に入ります。斐伊川は島根県の東部と鳥取県の西部を流域としまして、流域面積が2,070 km2、幹川流路延長は153 kmでございます。年間降水量は1,700 mmから2,300 mmでございます。
ランドサットで見た状況でございます。源流部が船通山、1,143 m。この写真でいいますと右下、ちょっと上あたりでございます。峡谷部を流れ、木次町あたりから堤防のある川になります。それから、緑に塗ってある部分、宍道湖に入るまでの間が天井川になっております。この流域一帯、地質が花崗岩です。また古来から砂鉄採取が盛んで、「鉄穴流し」等で砂鉄と砂を一緒に取ってそれを川に流すということで、土砂流出が多くて天井川になっているということです。その後、宍道湖に入り、松江市付近の大橋川を通り中海に入って、境水道を通って日本海に出ていっているという状況です。
 これが水源の船通山でございます。
 渓谷を抜けて、これから扇状地に入っていこうとする中流部、宍道湖から約28km地点でございます。標高でいいますと40mぐらいです。木次町です。この付近から堤防がある川になっていきます。
 次は斐伊川の下流部です。宍道湖から8km程度の距離のところです。非常に砂の堆積が進んだ河川で、川底がうろこ状の砂州が発達しております。また川底と周りの家が建っているあたり、田んぼのあたりの標高差が、3〜5mほど川底の方が高い天井川になっております。
 次は最後の宍道湖へ入る部分です。斐伊川は非常に土砂流出が多かったものですから、江戸時代は40〜60年ごとに川の流れる方向をあちこち変えて、これを「川違え」と言っていますが、砂を湖の方に入れていって、今で言う干拓のような形で土地をふやしていっております。この写真で、ちょっと見にくいですが、右側の方で黒く山が写っているあたりのちょっと前に1本、道が真っすぐ通っておりますが、これは昭和12年に川だったところを廃川した跡が写っております。
 そして宍道湖に入るわけです。宍道湖は、湖の面積が79.1km2、水深が一番深いところでも6.4 mという比較的浅い湖でございます。湖の塩分濃度としては海水の1/10程度の塩分濃度です。淡水を好む生物から海水を好む生物まで豊富な生物が生息・生育しております。中でもヤマトシジミは全国一の漁獲量を誇っておりますし、水鳥等もたくさん飛来するところでございます。
 宍道湖を通り、松江の市街地を見ておりますが、大橋川を通って中海に流れていきます。ちょうどこの写真の左手に水路が見えますが、水郷松江ということで、宍道湖等から浄化用水を松江城の堀に導水したりして、今では松江の堀の水質も大分きれいになっております。
 大橋川を通り中海に入ってまいります。湖の面積が86.2 km2。水深は最大のところで8.4 mでございます。塩分濃度は海水の1/2 程度ですので、海水を好む生物が中心となっております。また、周辺の湖岸、この写真で中海と書いてある右下のあたりもそうですが、埋め立てなどによって人工的な場所が多くて、また船の航行も盛んでございます。
 治水上の問題ですが、こちらも昭和47年7月に2日雨量で356 mmというような雨が降りまして、宍道湖の水位が上昇して、その水がなかなか引かなくて1週間以上も宍道湖周辺が浸水しております。写真の左下の方、出雲空港が写っておりますが、出雲空港も10日間閉鎖を余儀なくされております。浸水の戸数としては2万5,000 戸、浸水面積で7,000 haが浸水しております。
 次は水利用の状況でございます。全体で約82 m3/sの水利用がなされております。そのうち発電用水が76 m3/s、かんがい用水が4.6 m3/s、水道用水が1.13 m3/sでございます。昭和48年に松江周辺で渇水が起こり、右下の写真でございますが、134 日にわたって給水制限がなされております。
次は環境の状況でございます。まず、上流部ではオオサンショウウオ等が生息しておりますし、宍道湖等ではハクチョウ、マガン等の飛来が見られます。カモ類の飛来数、中海で約6万羽、宍道湖で3万羽の飛来が見られております。水質上は、中・上流部は環境基準を満たしておりますが、中海、宍道湖については環境基準をオーバーしている状況でございます。
 現在実施中の事業でございます。斐伊川放水路。斐伊川はこの写真の下の方を左から右へ向かって流れております。宍道湖に入る洪水の量をカットして直接日本海へ出そうということで、点線で上の方に書いてございますが、新たに開削する放水路として4.1 km、それから、現在ある神戸川という二級河川を拡幅する部分として9kmございます。平成22年度完成を目指して、斐伊川の洪水の約半分を直接日本海へ出してしまおうということで現在事業が進められております。
 現在行われている事業でもう1つ、この写真の下の方に尾原ダムと書かれております。直接斐伊川の洪水を日本海へ出してしまう以外に流域内でためるということ、それから斐伊川放水路で直接日本海へ出すということ、それから宍道湖、中海の湖岸堤をつくるということで洪水を防ごうとしています。あと、環境上は、浄化覆砂と宍道湖のところに書いてありますが、そのようなことで底泥からの負荷溶出等を防ぐというようなことをやっております。
 以上が3水系の概要でございますが、おのおのの水系の特徴と課題をまとめてみましたので簡単に説明いたします。
 まず資料3−1でございます。米代川水系の特徴と課題ということで、昭和47年7月洪水、戦後最大規模の洪水に対してどう対応していくかということと、豊かな河川環境の保全ということでございます。
 ページをめくっていただいて、A3判の図面がございます。昭和47年7月洪水で、写真にありますように約1万1,000 戸の家屋、8,000 haを超える耕地が浸水したわけです。これにどう対応するかということでございます。一番の狭窄部が写真の下の二ツ井地区、先ほどもスライドでお見せしましたが、ここをどうするかということですが、川の右岸側については市街地が張りついている。左岸側は山が迫っているわけですが、こちらは地すべりが起こる山であるということで、山を切るわけにもいかないし、市街地側に堤防を広げるわけにもいかない。かつ、アユが産卵する場所でもありますので、川底を余り大きくは掘れない。ある程度河道の掘削をする必要はございますが、それ以外については洪水調節施設で整備していくべきであろうと考えております。
 次に環境面ですが、流域の中には世界遺産である白神山地がありますし、川には天然アユやサクラマスが遡上すると。それから、河口から約69kmまで堰等の横断工作物がないということ、川岸にヤナギ、オニグルミ、ヨシ等で構成される河畔林が連続して存在していて、鳥や哺乳類の生息の場となっていること等から、河川改修に当たり河畔林、特定植物群落、例えばコウホネ、エゾノキヌヤナギ、ミクリ等の特定植物群落の保全区間、それからアユ等の淡水魚を取り巻く生態系の保全が必要とされております。この写真の中で左下の方に河畔林再生と書いてございますが、これは川の低水路を広げるときに河畔林を一たん残して河畔林の後ろに水路をつくり、水路のところに植生が回復してくるのを待ちながら、この写真でいいますと木が茂っております部分を掘削していこうということで、まず手始めに後ろ側を掘って、そこに河畔林等が根づくのを待っているところを写しております。
 次をめくっていただきまして、洪水処理計画の基本となります基本高水のピーク流量と計画高水流量、正常流量の考え方でございます。現在の工事実施基本計画は、計画の安全度を1/100 として、基準地点二ツ井での基本高水のピーク流量を9,200 m3/sとしております。まず現在の計画が実績等から見て妥当かどうか検証しております。検証の仕方として、ということで過去に実際に起こった洪水の流量をいろいろな手法で確率評価いたしますと1/100 相当の流量確率は7,800 〜9,500 m3/sになります。次に既往洪水の実績ですが、昭和47年7月の洪水、観測された流量は6,800 m3/sですが、はんらんした量を戻して、かつ洪水が起こる前に流域に事前に雨がたくさん降って雨が浸透しにくくなっていると仮定いたしますと8,600 m3/sと想定されます。それから、現在の工事実施基本計画の9,200 m3/s は昭和22年8月型の降雨で決まっているわけですが、最近起こった洪水、平成10年の降雨型で算定しても9,200 m3/sになるということで、過去の実績、既往洪水、最近の洪水で検証してもおおむね現在の基本高水のピーク流量近傍になることから、現在の工事実施基本計画の基本高水のピーク流量を今回の河川整備基本方針のピーク流量として扱いたいと考えております。
 次に、ダム等で調節した後の計画高水流量ですが、これについては川の堤防で計画高水位以上の堤防が約74%できているということ、それから川幅を大きく広げることあるいは掘削すること等については市街地への影響、アユ、サケ等への影響があるということ等から、9,200 m3/sのうち1,000 m3/sをダム等で調節して、河道で処理する計画高水流量を8,200 m3/sにしたいと考えております。
 次に正常流量ですが、基準点の二ツ井地点でおおむね45 m3/sとしたいと考えております。動植物の保護、漁業、水質、観光・景観等いろいろな観点があるわけですが、最終的に動植物の保護、漁業等が一番たくさん流量が必要ということで、その辺から45 m3/sとしたいと考えております。
 次に資料3−2の荒川の特徴と課題でございます。こちらも治水、環境でございます。 1枚めくっていただきまして、昭和42年8月の羽越水害への対応でございます。この災害を受けまして、荒川全川にわたり河道の改修、災害復旧がなされるとともに、支川の大石川に大石ダムが完成したわけです。しかしながら、その後もう1つ、横川ダムを現在建設中であるということです。堤防自身は昭和42年以降の治水工事でほぼでき上がっております。洪水調節用の施設がまだ不足しているという状況でございます。
 1枚めくっていただきまして、昭和42年の災害で河道自体がどこを流れるかわからないという状況で自然環境が破壊されたわけですが、その後、災害復旧等で短期間に河道改修を行いました。下の写真にございますように、赤線が昭和42年の羽越水害前の堤防です。それを緑線のような形で改修しております。すぐ復旧しなければいけないということで直線的に拡幅いたしましたので、単調な川になっておりますが、その後34年経過しておりますので、また昔の姿が戻りつつあるといった状況でございます。
 3枚目で、環境の状況です。水質は非常にようございます。一番上に書いてありますように、環境基準A類型ですが、BODでいいますと1ppm 前後です。また、この地域はサケ漁が伝統的になされております。現在でも5,000 匹程度年間とれておりますし、昭和24年までは左下の図にありますような入会の形でサケ漁が行われてきたということでございます。今後この河川についてサケ等の魚のすみやすい川づくり、それが地域の歴史となってきたという点、それから国立公園内でもあるということで、豊かな河川環境の保全をどうしていくかが課題であると考えております。
 最後に荒川の基本高水のピーク流量と計画高水流量でございます。まず、現在の工事実施基本計画は、昭和42年8月の羽越水害の実績の流量を基本として、基本高水のピーク流量を8,000 m3/sと決めております。それが適当かどうか検証いたしました。1つは流量確率の評価でございます。実際に観測された流量を確率処理して、それを1/100 の確率で評価しますと、手法により違いはございますが、6,700 〜8,100 m3/sとなります。また既往洪水の実績、これは昭和42年8月の羽越水害で8,000 m3/sが実際に出ているということで、今回の河川整備基本方針においては基本高水のピーク流量は8,000 m3/sにしたいと考えております。
 計画高水流量ですが、これも河道自体は昭和42年8月災害の対応でほぼ改修済みでございます。再度堤防を広げるとか、河床を掘削するということはちょっとできにくいと考えておりますので、ダム等で調節して、河道の流量は6、500 m3/sにしたいと考えております。
 正常流量については、魚類、それから魚をとるための船の動き等を勘案いたしまして、おおむね9m3/sにしたいと考えております。
 続きまして資料3−3でございます。斐伊川の関係でございます。
 1枚めくっていただきまして、まず洪水の関係でございます。斐伊川はもともと宍道湖、中海を通じて日本海に流れるのではなくて、左上の絵図にあるように直接日本海へ流れていたようでございます。現在は宍道湖、中海といった日本海との水位差が小さいところを流れていきますので、非常に洪水が流れにくくなっているということと、右上の図にございますように川底が周辺の市街地よりも高い天井川になっている、かつ昭和47年7月の洪水では非常に長期間にわたって宍道湖周辺が浸水したということで、右下の方に「3点セット整備後」と書いてありますように、宍道湖の水位をT.P.2.5 m以下に抑えると。そのために尾原ダムをつくって洪水をためるし、斐伊川放水路で2,000 m3/s、洪水の半分程度を日本海側に直接出すと。それから、宍道湖から中海に抜けていく大橋川の河道の流下能力を上げる、それから護岸堤の改修ということで洪水が氾濫しないようにしたいと考えております。
次に、水利用と水質関係でございます。上流部ではほぼ環境基準を満たしておりますが、中海、宍道湖のCOD75%値で見ますと環境基準を大幅に上回っております。アオコ、赤潮等が発生しております。ということで水質保全対策を、流域からの流入負荷の削減、あるいは底泥からの溶出負荷の削減等について関係機関と調整を図りながら推進していきたいと考えております。もう1つ、上の方で、先ほど申しました昭和48年の渇水でございます。130 日余りにわたって給水制限が行われたということで、これら地域への水供給をどうしていくかということで尾原ダムを現在建設中でございます。
 3枚目で、川の維持管理上の問題。1つは河床の変動でございます。上の方の図に書いてありますように、23km付近に伊萱床止という床止めがございます。従来は「鉄穴流し」等の土砂供給がありましたので河床は上がる傾向にあったわけですが、そういうのがなくなってきたということで、特に伊萱床止から下流が河床が下がってきております。今後放水路に洪水を分水していくわけですが、洪水の分水上からも河床の管理が必要であると考えております。
それから河川の環境でございます。この川の特色として、左下にありますように「鯰の尾」という水路が川の堤防と高水敷の間を分断しております。ふだん、人は高水敷に入っていけないような形になっておりまして、高水敷の植生あるいは生態系が人の手の入りにくいような形で保全されているといったことを今後どう保全していくかというのが課題になると考えております。
次に洪水処理関係の基本高水のピーク流量と計画高水流量でございます。現在の工事実施基本計画は、安全度1/150 で、2日雨量399 mmを対象として、基本高水のピーク流量を5,100 m3/sとしております。これについて過去の洪水の流量確率評価から4,000 〜5,100 m3/s。それから既往洪水の実績で、明治26年10月洪水では実績で4,800 m3/sですが、流域全体が事前に雨が降って浸透しにくくなっていると仮定しますと約5,600 m3/sということで、現在の工事実施基本計画の5,100 m3/sを踏襲したいと考えております。
 計画高水流量については、現行の4,500 m3/s、ダム等で600 m3/sカットするとともに、4,500 m3/sのうちの2,000 m3/sを斐伊川放水路に分派して直接海に流すということを考えております。
 正常流量については、砂が移動する河川でございますので魚が生息しにくいわけですが、それでもアユ、オイカワ等が生息しております。そのような関係から16 m3/sとしたいと考えております。
以上が3水系の特徴と課題でございます。その辺を踏まえまして、資料4−1、4−2、4−3ということで新しい河川整備基本方針(案)を作成しております。全部説明いたしますと長くなりますので、主に補足あるいは修正したところを申しますと、まず1点目の河川の総合的な保全と利用に関する基本方針について、従来はかなりあっさり書いてあったわけですが、流域を取り巻く過去からの川とのかかわり合い、あるいは河川内の生態の話等を書いております。それから洪水についても、米代川でいいますと3ページになりますが、当時の被害の状況、あるいはさきの工事実施基本計画を作成した以降の、例えば昭和58年の日本海中部地震の状況等を記載しております。
 4ページに移りまして河川の総合的な保全と利用に関する基本方針についても、従来はかなりあっさりめに書かれていたわけですが、河川の特色あるいは流域の特色があらわれるような書き方にしております。
 8ページに移りますと、先ほど申しました基本高水のピーク流量及び計画高水流量ですが、基本的には、いろいろ検証いたしまして、特に異常でなければ前回の計画を踏襲するという形にしております。ただし11ページの正常流量については、前回は「調査検討のうえ決定」としておりましたが、今回いろいろな項目で検討しました結果、例えば米代川ですと「45m3/sとする」という形で記述しております。
 あとの河川も事前に資料をお配りしておりますので、説明は省略させていただきます。以上でございます。よろしくお願いいたします。
(委員長) どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について御意見、御質問等がございましたら順次御発言をお願いいたします。
(委員) ○○でございます。今ほど御説明がございました荒川の基本計画等に対しましては、ぜひそういった線でお願いしたいと思う次第であります。
 荒川という川は、名前のように荒れる川、すさぶる川と申しましょうか、聞くところによりますと全国に大小合わせて33の荒川があるそうです。第1番はもちろん東京湾に注ぐ秩父連峰から発します荒川、2番が新潟県の荒川だといわれます。古来より、縄文の昔からそこに住みつきまして、川を利用しながら、利水しながら文化を発展させた地域であります。ところが、御説明がございましたように昭和42年、34年前に大水害がございまして、流域全体で90名、本村だけで34名の人名が失われております。以来、一級河川の御指定により着々整備が進んでいるわけで、感謝にたえないところであります。
 ところで、洪水でございますが、100 年洪水、さらに100 年以上昔の江戸時代の宝暦7年でありますが、1757年、このときも大きな水害がございまして、羽越水害のときに私はちょうど役場の総務課長から収入役、特別職に就任したわけですが、こういう大洪水は過去にあったのではないかということから村内の資料をくまなく調べさせたのであります。そうしましたらたまたま写しが出て参りまして、宝暦大洪水略図として、この年、宝暦7年、丑年でありますが、諸国ともども大洪水にて、旧暦でありますが、5月23日より25日までの雨天、大洪水、前代未聞、伝えなく候。すなわち家屋敷1尺より場所により三、四尺まで水押し上げ海を渡るがごとしと書かれております。240 年ほど前ですが、そのときの住民が前代伝えなくと、未曾有ということを書き残しております。240 年後に大羽越水害と申しますから、100 年に1回、200 年に1回の大洪水ということで、実はその図面を全戸に印刷しまして配りました。
 これが日本海で、下流であります。これが上流。赤いのが当時の街道でありまして、米沢街道、越後街道と申しまして、伊達政宗が小田原参陣のときはここを通ったといわれますが、この中心の下関村、ここに役場がございます。破堤した箇所がこういうふうに、荒川が何筋にも分かれて破堤しておりますが、今回の水害も航空写真で見ますとまさに同じ水路が破堤しております。これは今から100 年ほど前、明治31年に原図を写した図面でありますが、まさに災害は忘れたころ来ると申しますか、このような洪水が過去にあったということで、全世帯に水害30周年に配った、風呂敷に印刷したのでありますが、治水の重要さを村民みんな理解しながら、治水のみならず親水の面でいろいろ協力願う、そういう意味合いを持ってこれをつくったわけでありますので、御紹介かたがた申し上げたところであります。ありがとうございました。
(委員長) ありがとうございました。
 ○○委員、今の御説明で何かつけ加えることがありますか。
(委員) 別にございませんが、1つ、先ほどの説明で、今回洪水調節施設でこれだけカットしますよと言われたときに、現河道をそれほどさわらない理由として、羽越災害の後かなり沿川の住民の方々に立ち退き等でお世話になって現在の堤防を概成したわけで、今さら堤防を拡幅するとか河道を拡幅することができないという事情があるということ、それからもう1つは、先ほどスライドにありましたような狭窄部がボトルネックになっていて、狭窄部を人工的に開削することがいいのか悪いのか、先ほどの写真にありますように頭首工がありまして、それの改築も絡むのでという2点が現河道を踏襲する背景になっているということが、先ほどの事務局の説明では十分でなかったかなと思いましたので、恐れながらつけ加えさせていただきます。
(委員長) ほかにございますでしょうか。
 ○○委員、何か御意見がございましたら。
(委員) 地元で育った者として米代川を見ますときに、私は中流域で生まれ育って現在に至りましたので、昔からの洪水も経験しております。現在の河川整備基本方針は非常にうまくできていると思いますが、1つのネックは、二ツ井あたりの狭窄部はもちろん大きなネックで、頭の痛い場所だろうと思いますが、私は鳥を専門としておりますので生き物の立場から申しますと、魚類が非常に問題になってくるのではないかという感じを受けます。
 この中には、先ほど説明された方は「尺アユ」と申されましたが、本当に魚体の大きな天然アユが遡上してまいります。漁協に言わせるとおれたちが放流したからこんな大きなアユが育ったんだと言わんばかりの勢いなんですが、米代川1本の中に、国土交通省が管理している河川の中に漁業権の設定が幾つあるか、私はわかりません。それぐらい入り組んでおります。組合長さんがそれぞれいるわけですね。問題は、関東、関西方面からも釣り人が参りますが、あるポイントで釣れなかった場合に別のポイントに移ります。そうするとまた遊漁券を買わなければならないというトラブルが発生いたします。うちの兄貴は地元で釣り具屋を経営しているものですから情報が入ってくるんですが、随所にそういう問題が起きてきているようです。
 もう1つは、先ほども御説明がありました堰の問題ですね。直轄の河川の境界線ぎりぎりのところ、大館市の上流部の扇田のあたりで1つの堰がありまして、そこから上流には原則としてサケ・マスは上ることはできません。したがって中流部で自然産卵しているという状況であります。
 長くなりますが、サクラマスに関しては釣り人にも遊漁料を取って釣らせております。アユの遊漁券とサクラマスの遊漁券が別個になっていると聞いております。これも1つ問題かなと。漁業組合との折衝になってくるかと思います。
 そういう観点から、河道をいじるときに、天然アユだけではなくてサクラマスの産卵場、サケの産卵場も気にしていかなければならない問題ではなかろうかと考えております。そして、本当はもっともっと上流でサケもサクラマスも自然産卵できるはずなんですが、扇田の堰で一たんとめられてしまいます。阿仁川の方に入っていきますと、中流域でサケを一網打尽にしてしまいまして人工産卵です。自然産卵できるような河川が、秋田県の非常に長い河川の中に1本ぐらいあってもいいのではないかというのが私の考え方であります。
 以上、るる申し上げましたが、私も釣りが好きなもんですから、サクラマスもアユもやりませんが、ずっと上流部でイワナ釣りなどを楽しんでいるもので、生き物、特に魚類がうまく自然産卵できるような河川ということも1つ念頭に置いていただきたいというのが私の意見であります。以上です。
(委員長) ○○委員、別な立場から御意見がございましたら。
(委員) ○○でございます。
ただいまの事務局の御説明に関してはほぼ内容的には適切だろうと思います。ただ1つ、ちょっと言葉が抜けているんですが、秋田の川といいますか、米代川の河口はハリエンジュ、ニセアカシアの木が非常にたくさんあるんですね。河畔林が非常によく発達しているので、その辺をうまく利用するような計画を進めていくべきといいますか、自然にそういうものが川の生態系の中に入ってくる、そういう川を計画していくということだけ御紹介しておきます。以上でございます。
(委員長) 斐伊川水系の委員にお願いいたしましょうか。○○委員よろしく。
(委員) 自分は水産の方の立場で一言申し上げたいと思うんですが、斐伊川は御説明のとおり非常に複雑な場所、特に河口部においては汽水湖が2つつながってあります。そして、これまで2つの汽水湖を淡水化するという事業が国家事業で進みつつあったということ、干拓事業も40年近く続いてきて昨年中止になりました。そして大橋川の改修等、治水問題、そうした政治的問題と絡んでかなり難しい場所で、説明が難しかったことと思います。そしてもう1つ、宍道湖が全国一の漁獲量がある、特にシジミがたくさんとれている場所なんです。宍道湖のような汽水域というのは、豊かであるけど非常に傷つきやすい場所なんで、これからの改修工事等は生態系と絡めて工事をしなければならない難しい場所ではないかと考えております。
 また、工事に期待するところもあって、うまく工事をやることによって汽水域のいろいろな問題、例えば貧酸素の問題等が今以上によくなることもあるのではないかと考えております。今後河川整備基本方針をしっかり立てて、いい改修ができるようにお願いしたいと考えております。以上です。
(委員長) ○○委員。
(委員) 事務局案に幾つか不満がありまして、今後検討していただきたいことがあります。まず、斐伊川のように非常に土砂の多い川の計画河床を位置づけていないこと。新しい河川整備計画とか河川整備基本方針の中では、計画高水流量を決めるときに、河道の諸元として川幅で代表すると。あとは計画高水位だと。河床高については物を言わないというようになっているようですが、多くの川は大体川としての形ができてきて、現状を1つの重要な要素とするという意味ではいいと思うんですが、斐伊川は、先ほど事務局からお話があったように放水路ができて、尾原ダムができる。いろいろ河道の状況も変わるであろう。あるいは河川構造物がある。その安全性を考えたときに、河床高について言わないでどうして基本方針になるのかというのが私の強い疑問であります。これが1点目です。
 2点目は、全体的にはよろしいと思うんですが、今、○○委員からお話があったんですが、中海、宍道湖の将来像が基本方針の中に浮かび上がっていないと。いろいろ問題があるというのは私もわかっているつもりですが、3点セットのうち大橋川を除いてダムと放水路ができ上がる方向にあると。それは決まっている。そのときに、今後残る非常に大きな問題は中海、宍道湖の水質を含む問題なんだということは明らかですと。湖はかなり悪い方向に動くだろう。その中の中海、宍道湖をどうありたいのか。富栄養化現象に対して発生機構の解明に努めるとかいろいろ書いているんですが、この程度ではないんじゃないのかなと私は思っています。斐伊川の書き方に比べて中海、宍道湖の強調の仕方が弱いというのが2点目です。
 3点目は、書き方の問題でこれは違うのではないかと思っていますのは、宍道湖の排水河川である大橋川、中海の排水河川である境水道と書いてあるんですが、私の勉強したところでも、あれは排水河川ではないはずだと。確かに川の側から見たら洪水を出すということはそうなんですが、美保湾の海の水が出入りする非常に重要な役割を持っている川を排水河川というふうに位置づけていいのかと。資料4−3の10ページに書いてあるんですが、その3点、あとは御説明のとおりであろうと思うんですが、この3点については検討をしていただきたいというのが私の意見です。
(委員長) 3河川それぞれ専門の委員にお話をお伺いしましたが、事務局から……。 4−1、2、3は皆さんごらんになったという前提で議論していいんでしょうかね。一瀉千里でぱっと見られましたが、特に各委員が触れられた中で、表現が弱いのか強いのか、あるいは書いてないのか、事務局から解説してもらえますか。
(事務局) まず資料につきましては、たしか1週間ほど前ですが、事前にお配りしたところでございます。したがってごらんになっていただいているというところがあったかと思いますが、各委員からいただいた意見につきまして、参考にさせていただく部分もあるかと思いますが、幾つかの点はお答えしておかなければいかんのかなと思います。
 荒川については先ほど御説明があったとおり、そういったことについて私どもも勉強していきたいと思いますので、御指導いただければと思っております。
 それからサクラマス、サケ等の○○委員の御指摘についてですが、特にここについてはアユが特徴だったもんですから強調させていただいたところでございます。実は河川環境についてはサケ、サクラマス等についても現場において調査しております。それに基づいて、いろいろ御指摘をまたいただければと、よろしくお願いしたいと思います。
 それから○○委員の計画河床というところでございます。確かに全国の河川において河床というものを計画するというところでないのでございますが、○○委員がおっしゃるように、斐伊川は砂河川でございますので、管理という点から申しまして河床というのは大変重要であると考えております。一方、長年調査しておるところでございますが、河床をこうするというところについて現在も検討しているところでございまして、今後とも伊萱床止下流における下流の洗掘、あるいは堆砂について検討していかなければいかん課題であるということは認識しております。
 中海、宍道湖の将来像については、具体的にどのようにしたらいいのかはちょっと時間をいただきたいと思います。
 それから排水河川についても、御指摘の趣旨はよくわかりましたので、次回までに検討させていただければと思っています。よろしくお願いいたします。
(委員長) 各河川についてはお聞きしましたが、専門のお立場から御意見を承りたいと思います。
(委員) 先ほどちょっと気になったことなんですが、米代川も多分そうだと思うんですが、荒川も、河口砂州が発達する川なんですね。これがうまく処理されているときには洪水疎通がうまくいくんですが、うまくいかないときどうするんだろうというのが気にかかるところです。今、事務局が言われた河床の維持管理というものをどう考えるのかをどんなところに書くんだろうか。河川整備基本方針に書くのか、河川整備計画のところで議論するのかというのが少し気になります。
 例えば荒川の河口砂州は、事務所が苦労されて人工的に少し開削されて、それで春先の出水のときにぱっと対策できるわけですね。だから洪水のときに疎通能力を持っているんだけれども、何年か出水が小さい、あるいは出水のこない年が続きますと、河口砂州の上に植生が繁茂したり樹林化してくると、そう簡単に飛ばなくなるわけです。あるいは事務所が人工的に開削するということを続けなければ、すなわち所長さんが変わるときにきちっと連絡してなかったら、河口砂州が固定化してしまう可能性がありますね。こういうキーポイントの河床の維持管理というものは、河口砂州みたいな問題のときには河川整備基本方針の中でうたっておくべきかなという気がしますし、きちっと河川整備計画の中で話をすることなのかなと。どちらでお書きになるつもりか、お願いしたいと思います。
(事務局) 荒川水系の資料の5ページをお開きいただきたいんですが、書き足りない部分はあるかと思うんですが、下から4行目、「また、必要に応じて内水対策等を実施するとともに」の後に、「河口部については、砂州の発達を抑制するための対策を実施し、治水安全度の向上を図る」と、1行だけは書いているところです。○○委員がおっしゃるように、より具体的な対策、それから維持管理の問題で毎年のように、特に日本海側の河川においては、荒川だけではなくて中国地方の日本海側の河川においても冬季風浪による河口砂州が発達するもんですから、○○委員の御紹介にあったように維持管理の中で出水期前に切れ目を入れておいて、大きな出水がきたらそれと一緒に飛んでしまうような工夫をしている河川もございますし、それでは飛ばないといいますか、固定化される可能性のあるところについては、場合によっては導流堤をやるとか、種々の検討を踏まえた上でやっているところについては、具体的には河川整備計画の方で記述していきたいと思っております。1行で書き足らないところがあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
(委員) サクラマスとサケと、○○委員が先ほどおっしゃったことに大賛成なんですが、内水面漁業というのは基本的には放流とか増殖事業に伴って漁業権が付与されていますが、この方向は次の内水面の漁業権の更新のときに大きく見直される可能性があると思います。見直されなければいけない。自然な川をつくって天然遡上してくるサケ、サクラマスを、釣り人も、食べる人も、見る人も楽しめるような川をつくってほしいというのが私の希望だし、これは生態学者が共通に持っていることだと思います。たまたま今回は日本海側の河川が3本そろいましたんで、サクラマスとサケというのは非常に重要なターゲット魚種になりますので、天然遡上の回復というのをもう少し書き込んでいただきたいなという感じがします。水産庁に先んじて河川局の方がそういう見方を提示していただきたいという希望でもあります。
 それから、これは多分筆が走ってミスだろうと思うんですが、米代川でジェットスキーがレクリエーション活動として使われるという一文があるんですが、ジェットスキーは非常に河川の生態系あるいは水質管理に悪い影響を与えるというのが一般的ですので、少なくとも河川整備基本方針にジェットスキーを入れるのはやめていただきたいなと。
 それから斐伊川水系ですが、これは御存じの方が多いと思うんですが、ゴギというのはイワナ属の一番西の端っこにいる、恐らく隔離集団の、氷河期あるいはもっと古い遺存種で、非常に大事な存在でありますから、ゴギのことはもう少し大事に書いていただけたらありがたいというのが生物屋の意見です。
(委員長) 具体的に案文を書いていただけますか。
(委員) 米代川の基本方針(案)の3ページに地震のことが書いてありますが、日本海中部地震。このとき、確かにここにあるように地盤の液状化という現象が随分起きたことは事実ですが、米代川そのものに津波が遡上して浸水被害を起こしていたのではなかったかと私は思っているんですが。水害というのは上からばかりくるわけではなくて、下からもきますので、高潮とか津波、日本海側は高潮は起きにくいですが、津波というのはどこの河川にも共通した問題がありますので、私はこの地震のとき海外にいたもんですから、はっきり覚えてないんですが、多分浸水被害が出ているので、お調べいただければと思います。
 それから、その下のところに地震予知連絡会による特定観測地域と書いてあります。確かにここはなっていますが、特定観測地域のことをここに書くのであれば、斐伊川の下流域も入っているはずです。島根県ですね。荒川はどうだったか、詳しい地図がここにないのでわからないんですが、新潟県の沿岸部分から長岡ぐらいにかけてが入っていますから、ひょっとすると荒川も入っているかもしれません。もし特定観測地域ということをお書きになるならそっちの方も書かないと公平性が保たれないかなと思いますし、「この海域を地震空白域とする説もある」とありますが、確かにここの特定観測地域の中には空白域がありますが、もっと南なんです。米代川のところは昭和58年の日本海中部地震で済んでしまっていますから、空白域になっているのは男鹿半島より南です。秋田県南部から山形県沖ぐらいにかけてのところで、むしろ心配されるのは雄物川とか最上川ということになるわけで、これは書かなくてもいいのかなという感じがします。以上です。
(事務局) ○○委員が御指摘の津波については、実績がございました。その後の災害復旧で津波対策、その高さについては既に実施しております。具体的には、水位として河口から1kmのところで4.8 mという水位記録がございまして、浸水も住宅等の浸水を記録していると聞いております。
先ほどの地震のところについては、確認をした上で必要に応じて修文するところはしたいと思いますので、よろしくお願いします。
(委員) 津波も言ってみれば水害の一環ですから、経緯をお書きいただいた方がいいんじゃないかと思います。今お話になったことを。
(委員長) では、修文があったら別途聞いていただけますか。
(委員) 全体的な話の中で、ちょっと偏った考えかもしれないんですが、環境の書き方は非常に難しいと思うんですが、特に生物なんか書かれるときに、最近の傾向としては希少魚等が表に出まして、希少魚の記載はよくあるんですが、本当は多様性とか、そこに主にいる魚というのが結構大事なんですね。ありふれている魚でもいいんだけど、どういう魚がいるかということが大事なんだけど、そういう記載がなくて、珍しい魚が多くなっている。それはちょっと問題かなという気がするのと、もう1つは、自分の立場で言うような気がするんだけれども、漁業というのがそこの川の生物環境とかいろいろな環境を反映している場合が多いので、難しいかもしれないけど、漁業について、どういう漁業が行われているかということを書く必要があるのではないか。何かやるときに、どうしても漁業者との問題が起きやすいので、漁業の項目はどこか欲しいなと思います。これから川のことを考えるときは漁業を把握しておくことが必要ではないかという意見を持っていますので、よろしくお願いします。
(事務局) 確かに希少種というのを書きがちでありますが、逆に、今までの河川整備基本方針で、特に希少なやつがないところ、例えばオイカワであるとか、そういったところはそれなりの特徴でございますので、そういったところを記述している河川もございます。それぞれの河川の特徴をどうとらえるかというところであるかと思いますが、そういった河川についてはそういった書きぶりをしているということで、例えば修文等の御意見がありましたら聞かせていただければと思います。
漁業についても、先ほどの宍道湖におけるシジミであるとか、産業的なことについては触れているところでございますが、ウェートの問題、書きぶりの問題があると思いますので、よろしくお願いいたします。
(委員長) では、ひとつ上流の方から、○○委員、御意見がございましたら。
(委員) ○○でございます。初めて参加させていただきましたので、まず全般的な感想としていえば、河川環境というものを重視した河川整備基本方針になっているということで、大変いいと思います。
そんな観点から気づいたことを二、三点申し上げますと、洪水制御の方法として、洪水調整施設による調節ということでダムの建設を米代川等で考えていらっしゃるようですが、地元の反対とか自然保護団体の反対とか、そういうものがないのかどうか、すんなりいくのかどうかということが1つです。
 それから維持管理のところで、地元住民や関係機関が協力して河川の清掃や河川愛護活動をやっていくということですが、最近は環境ボランティアとかNGOの活動が都会周辺では非常に盛んなんですが、この3河川についてはそういった組織というものはどう考えていらっしゃるのか、この点が1つでございます。
 それから河畔林について、概要のところでは評価をしているわけですが、方針の中では何も触れられておりませんが、河畔林のようなものを整備していく考えがおありなのかどうか、この3点についてお聞きしたいと思います。
(事務局) ダム等の反対のお話ですが、先ほど概要で説明した森吉山、あるいは横川ダムについて大きな反対運動はございません。具体のダムの計画については、河川整備基本方針というより河川整備計画という段階でより詳細に述べることになると思いますが、洪水調節関係ですが、ダム等と言っている「等」の中には、例えば遊水地であるとか、放水路はいいのかどうかありますが、現在建設しているほかに他の方法でもということで、幾つかの検討はしているところでございます。ただ、具体的な話になりますと河川整備計画ということで考えていきたいと思っております。
 環境NGOについては、手元に資料がないものですから、調べましてお答えさせていただければと思います。全国的にはNGOの方々と協力してやっているところでございますが、この3河川で具体的な話については、調べた上で対応させていただきたいと思います。
 最後の河畔林を積極的につくっていくかと。ここについては洪水とのバランスの問題がございます。洪水の疎通能力との関係で、保全していきたい、あるいは先ほどの米代川のように河畔林を自然の時間の中で移動できないかとか、いろいろな工夫をしているところでございます。全国の河川でモニタリング、フォローアップということをしながら、河畔林自体の保全であるとか、そういったようなことについて今後とも検討していきたいと思いますが、積極的に創設するというところについて、先ほど言ったような観点で今後考えていかなければいけない課題だとは思っております。
(委員) 私としましては農業水利の関係について少し整理してみましたが、関係機関と非常に丁寧に調整された感じがいたします。御苦労が多かったと思います。特に意見はございません。
(委員長) それでは○○委員、お願いいたします。
(委員) 私は水道関係の立場からということもあるんですが、水質関係の話を若干させていただければと思います。
 総体的に大変よく、特に前の工事実施基本計画に比べれば御苦労されて書き込まれているということではあるんですが、欲を言えば水質に関してはもう少し充実してもらえないかという感じがございます。水道にとってみれば、例えば米代川の基本方針(案)の5ページには「都市用水の安定供給を確保する」という言葉で出てくるんですが、安定供給だけではなくて質の保全というのが河川にお願いしたいところであろうし、また水道を利用している住民の方々も安全性ということについては大変最近関心が高まっているわけですので、水質安全性というんでしょうか、そういうことがもう少し色濃く出ないものか。そこは所管の関係で難しかったのか、よくわかりませんが、そういう感じがしております。
 それと関連してですが、資料の中にぜひつくってほしいなと思っていますのは、主な取水地点とか主な排水、そういうものが全体として見えるものがないのでありますが、基本方針の中にも健全な水循環系の構築というのが書き込まれるようになっているわけですので、「健全な」という意味は、量と質ということを考えますれば、河川をどう利用しているか、取水するのも利用であれば排水を放流するのも利用であろうかと思われますので、流域全体について構造的にある程度わかるような何かが必要なのではないかと。これは要望であります。
 それから、これからは質問になるかと思いますが、水質関係で、具体的な個々の水域というよりは一般論でありますが、流水保全水路とか、斐伊川の下流域に出ています自然を利用したような、これは景観に配慮してつくると書いておりますが、河川の自浄作用を高めるような工法を最近国土交通省もとっておられると思うんですが、そういうものを整備基本方針に具体的に位置づけることはあるのかどうか。たまたまこの3水系についてはそういうものがないから書いてないということなのか、伺ってみたかったんですが。
 それから、具体的な水域の関係で2つほど質問したいのは、先ほど○○委員もおっしゃいました斐伊川の関係で、中海、宍道湖の水質というのは地域にとっても大変関心の高いところで、書き込み方が少ないという感じもしないわけでもないんですが、私が具体的に心配しましたのは、放水路ができてそこへ水を流されるということになりますと、中海、宍道湖のフラッシュウォーターというんですか、そういうものが少なくなって水質悪化につながりはしないかという懸念を持ったんですが、そこら辺は国土交通省におかれてはどういうふうにシミュレートされているのか、具体的な質問であります。
 それから、もう1つ具体的にですが、参考資料として、例えば米代川ですと資料6−1の一番最後、13ページに流水の清潔の保持と書かれております。いずれも一番最後のところに書かれておりますが、水域によって若干書き方が違っていまして、気になりましたのは、米代川のところに、なお、参考として、環境基準のBOD値の2倍を満足するために云々というくだりがあるんですが、どういうことで2倍という数字が出てきたのか。単純な質問です。以上、長くなりましたが、意見なり質問を申し上げました。
(委員長) 事務局お願いします。
(事務局) 答えられるところから答えますと、BODの2倍というのは、渇水時というと365 日中の355番目の水量 でございますので、いわゆるBOD75%値というところでいったときの流況が違うもんですから、そういった意味でそのように記述させていただいております。
 斐伊川の件でございますが、今のところ洪水時の分派ということで考えておりまして、そのときの年間の流出量については1%の影響であると見ております。
 それから流水保全水路等でございますが、今現在は東京あるいは大阪周辺の著しく下水道の排水等の関係でやっているところに実施しております。この3河川については実施するところではございません。また、具体的な話については河川整備基本方針というより河川整備計画の段階で水質対策であるとか、先ほど宍道湖、中海の話で覆砂対策とか、例示的に書いておりますが、具体的な話としては現在も中海周辺で、宍道湖周辺も含めて、市町村と一体となって計画をつくっておりますので、河川整備計画で書いていきたいと思っているところでございます。
 以上、漏れたところがあるかもしれませんが、答えとさせていただきます。
(委員長) 今のは、洪水だけしか分派しないという説明なんですか。
(事務局) そういうことです。総量自体が年間の流出量の約1%程度であると。ただ、パルスみたいな議論もあるのではないかということも中で話していたので、データをもってまた説明させていただきたいと思います。
(委員長) では次回に、ほかの委員も興味があるから、説明してください。
 ○○委員、御意見がありましたらお願いします。
(委員) 専門の立場からいくと工業用水ということなんですが、水量的にも少ないですし、大規模な工場も立地しておりませんので、特に問題はないかと思います。
 2つほど教えてください。1つは米代川の基本方針(案)の9ページで、鷹巣のところで旧計画の6,800 m3/sが5,400 m3/s になって、1,400 m3/s違っているんですが、どうしてでしょうかということが1つです。
 それから、これも教えていただきたいんですが、斐伊川のところで、前回放水路等の計画ができましたのが1976年で現在まで25年経過しております。ダムで調整できるのが600 m3/sですか。放水路でカットできますのが2,000 m3/sですから、はるかに放水路の方が洪水調節には効率がよろしい。ですが完成するのは相当先ということで、次にいつ100 年に1度のがくるか存じませんが、ちょっと効率が悪いような気がするんです。質問でございます。
(事務局) 1点目の鷹巣の件でございます。先ほど基準地点二ツ井のことについて説明いたしましたが、基本高水の検討をする際に、具体的に申しますと米代川の計画高水流量は昭和22年の洪水を対象に定めておりました。今回、流量の検証をする際に、時間雨量等のデータが整ってきたこともございますので、特に米代川については本川側上流域あるいは阿仁川上流域とかいろいろな降雨分布をするところでございまして、昭和22年について、二ツ井上流域の雨量は一緒なんですが、時間雨量のデータ等で検証したところ、上流域の雨が500 年に1回を超えるような時間的な分布を示すような計画降雨を持ったところもありまして、その後の各洪水等から考えまして、鷹巣の計画高水流量自体の水文統計から見まして妥当な数字として5,400 m3/sとしたところでございます。具体的には平成10年の洪水等で二ツ井とか鷹巣等の流量を検証したところでございます。それが1点目でございます。
 斐伊川放水路については、現在、流入します神戸川の方の拡幅工事に着手しておりまして、今後とも精いっぱい頑張っていきたいというところで、具体的な工事という形で目に見えて進み出したところでございます。御理解いただきたいと思います。
(委員) 資料1−1の14ページの図面を見ているんですが、この中に森吉ダムがあたかもつくられてしまっているかのごとく表記してあるんですが、これは予定ですよね。既存のダムと同じように書いてあるので。
 もし予定ということで表記するのであれば、十和田湖の近くの小坂町に砂子沢ダムというのも予定のダムとして入れなければいけないんじゃないでしょうか。以上です。
(事務局) 森吉ダムと書いてありまして、これは既設の県ダムでございます。
(委員) 失礼しました。わかりました。
 もう1点お願いします。今の資料、写真が大分入っているんですが、引用した写真が大分ございますね。これは了解をとってあるんでしょうか。もし何かの形でこれが一般に出回りますと、了解をとっていないと著作権の問題にかかわってまいります。相当心配です。
(事務局) 確認して注意するようにいたします。
(委員) 米代川地域については地元の担当と議論したいと思います。
 本省で全部了解をとりますか。山渓さんなんか怖いですよ。
(事務局) 整備局とよく相談した上で対応したいと思います。
(委員長) よろしくお願いします。
(委員) これまでにも幾つかの河川の河川整備基本方針をつくってきたんで、だんだん定型化していくんだろうなということを頭に置きながら、今の段階なのでもうちょっと言わせていただこうと思うんですが、やっぱりわかりにくいですね。これでなくていいんですが、一般の市民の方に見ていただくことが大変重要だという認識のもとに見ると、さらなる補足資料というのを多分おつくりになるんだろうと思うんですが、そのときに確認しておいていただきたいと思うのは、例えば資料4−3の比較表で、今回の基本方針には川幅が出てまいりますが、これは従来とは変わっていないということでよろしいのかどうか。変わってないと理解しているんですが、それでよろしいんですね。
 今回は全体の流れのところは大きくは変えられていないわけですから、従来の工実で地元が知っている数字と変わらないという理解でよろしいでしょうかということなんですが。
(事務局) 基本的に大きな変更はございません。
(委員) その辺のことがわかるように地元には説明していただきたいと思うので、先ほど○○委員がおっしゃった鷹巣のところの数字も違うんですが、斐伊川のところも加茂川が消えたりしているんですが、いろいろ理由はあるんだろうと思いますが、変わっていないということであれば、ぜひわかりやすく市民の皆さんに伝えていただく方法をお考えいただきたい。
 それに加えて、これも前にもお話ししたんですが、いわゆる洪水調節の機能をどこでとっているのかというのが高水の流量図には一向にあらわれてこないことがおかしいと思うんですが、どこかでとっているということを、僕は少しずつでも明らかにしないと議論が本当にならないんじゃないかという気がしていまして、中を拝見すると概略の可能性の検討をしたということですから、恐らく御専門の先生にチェックしていただいているんだろうと思いますが、今後とも今できているものも書かないでこのままいくんでしょうか。もう少し工夫できないかなと思うんですけどね。これは要望で、すぐにどうこうしてくれということではないんですが、高水のものと洪水調節の方と、両方でバランスしてできるはずなのに、その部分がやや見えにくくなっているような気がいたしますので、そこをぜひうまく補強していただきたいという要請でございます。以上でございます。
(事務局) 基本的に変わっていないわけでございます。従前、工事実施基本計画1本であったところを、河川整備基本方針と河川整備計画というふうに計画を2段階に分けたものですから、基本となる事項について簡潔に示したところがあるものですから、細かいところで見えにくくなったところについては、逆に河川整備計画の段階で住民の方の御意見を賜ることもありますので、その際は当然のことながらよくわかるようにしたいと思います。
 それから高水の話でございますが、既存のダムあるいは建設中のダムについては概要等で触れることができるわけですが、今現在、洪水調節施設と申しましてもダムでやるのか、遊水地ということも代替案として可能でございまして、基本的にそういったことで対応できるのかなぐらいで書いている河川もございます。したがって、具体的に何々でやるというところまでいかないものもございまして、書ける部分と書けない部分があるということについては御了解いただきたいと思います。
(委員) こういう方法でやるというのではなくて、この水系でこれだけためなければいけないということが伝わらないのかなと思うんですね。こちら側の河川ではこれだけためないとバランスしてないんですよということがうまく伝わらないのかなと、そういう気持ちなんです。何でやるか、どこでやるかまでは河川整備基本方針の段階でチェックする必要はないと思うんですが、バランスが崩れてないということを確認しておく必要があるかなというだけのことなんですが。
(委員) 全体を通じて言えることだと思うんですが、言ってみればソフトの方の問題ですね。確かにここには、人と川との触れ合いとか、ハザードマップの問題とか、情報伝達が大事だとか、いろいろ書かれているんですが、強調しておきたいのは、防災ということを考えた場合には行政と住民が情報をきちんと共有しておくということと、時には住民自身の役割分担というものが非常に重要になってくるケースが多い。大災害になればなるほど行政のできることには限界があるわけで、限界を超えた部分については住民自身が主役にならざるを得ないということがありますので、そういったことをもう少し強調していただいて、最終的には安全で安心して住める河川の環境、この場合の環境は自然環境と社会環境、両方あると思いますが、そういう視点を築き上げることをどこかに書いていただければと思います。全体を通じて、どの河川についても言えることなのではないかと思います。以上です。
(事務局) ○○委員がおっしゃったことについては、昨年の審議会等でも議論させていただきまして、情報の共有化ということについては大変重要な課題だということで認識しているところでございますが、河川整備基本方針の中でどういうふうに対応するかということについては、また検討させていただきます。よろしくお願いします。
(委員) きょう初めて出させていただきましたので、本論から外れる点はお許しいただきたいと思うんですが、基本方針にはならないかと思いますが、他省庁との関係について質問がましいことを申し上げたいんですが、先ほど来、魚の問題あるいは遡上する魚種の問題がありますが、荒川の場合を申し上げますと、下流に大きな農業用水ダム、農水省の所管でありますが、この魚道が非常に古い魚道で、魚が上りにくいという地元の大方の意見でございます。国土交通省の管轄でないためになかなか改修がうまくいかないという問題で、いろいろ要望しておりますが、その点が1つあります。
 遡上して、成長して、また降海する。サクラマスもそうですが、アユももちろんでありますが、遡上が阻害されていますので放流に頼っている。放流に頼っていますとだんだん天然の資質が失われまして、関東方面から多くの釣り人が来ますが、魚体が小さくなったとか、そういうことも言われます。
 それからもう1つは、これは経済産業省の関係でありますが、上流に東北電力の水力発電ダムが2つあります。長年月になりますと堆積土砂がどんどんたまりますので掘削が行われておりますが、掘削しましたのは河川生産物だと承っておりますが、上流から流れてきますものがダムでとまって下流に流れないために、魚のすみかである瀬が、石がだんだん細かくなっているという現象がありますので、河川生産物を下流に戻す、掘削した岩石は下流へ戻すという措置がとられないものか、この2点でございますが、地元行政をあずかる者としてそういう苦情をたくさん聞きますので、この際申し上げさせていただきます。
(委員長) 今の件について。
(事務局) 魚道において魚が上りにくいという現象については、全国で幾つかの河川の堰等であります。それについて国土交通省では魚が上りやすい河川ということで、そういった堰等について魚道を設置する事業を展開しているところでございます。過去においても農林関係の堰についても河川管理者と一緒になって設置したこともございますので、具体的な実情等については○○委員のところに担当の工事事務所の者が伺って、どうしたらいいかということについて御相談させていただければと思います。
 それからダム等における堆砂の問題がございます。これについても全国的に顕著な事例についてはモデル的にいろいろな試みをやっているところでございます。○○委員が御指摘の点について、申しわけないんですが、またお話を伺って具体的な話をしないと、一般的な話で心苦しいところがございますので、具体的な話を聞かせていただければと思います。
(委員) ありがとうございました。
(委員長) では、最後に○○委員。
(委員) 環境の面、特に水質でお願いがあります。全体的に、水質環境基準を達成している、だから心配ない、大丈夫ということになっているんですが、もうちょっと詳しくお書きいただけないかなという思いがあります。例えば米代川の場合には、支川の流量がわかりませんのであれなんですが、支川の水質が最近やや悪化の傾向にあるということで、ライフスタイルの改善によって水質が悪くなってきている場合にはしばらく続く可能性がありますので、そういう意味で水質の動態のようなところまで踏み込んで書いていただけないかなというのが1点です。
 もう1点は、斐伊川の場合に、宍道湖の水質も富栄養化していてということでちゃんと書いてくださっているんですが、もう1つは塩分あるいは密度躍層の位置の管理というのが貧酸素水塊の発生と非常に強く関係しています。そういう意味で、具体的なものは整備計画の方に譲るとしましても、塩分ですとか、生息環境という意味で、水質環境基準を超えたものもありますので、何かちょっと書いていただけないかなというお願いです。以上です。
(委員長) ただいまの件はいいですか。
(事務局) 斐伊川の件については、参考にさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
(委員長) 一通り各委員の御意見を承りました。まだまだたくさんあると思いますので、次回のスケジュールを決めるに当たり、言い足りなかったこと、あるいは、もうちょっと分厚く書いてくれとか、いろいろな御要望がありましたので、事務局の方へお寄せ願いたいと思います。
 ただ、私、皆さんの御意見をお聞きしながら、河川管理者がもっぱら自分で実現できる部分と、他のいろいろな部門の担当者の方と一緒に協力してやっていける部分、あるいはもっぱらお願いする部分とありましたので、文案等もおのずからニュアンスの違いは出てくるのではないかと思います。その辺は調整に当たって、国民全般としてはこうとしても、河川整備基本方針では、河川管理者の努力ではし切れない、あるいは一生懸命お願いするという部分もあるかもしれません。その辺はひとつお含みおき願いたいと思います。
 それから、河川整備基本方針と河川整備計画との関係、最初から議論があって、これは大事なことだから河川整備基本方針ではないかという議論がありました。特に斐伊川の河床の問題は、私もおっしゃることはよくわかるなと。河床の管理を間違えると放水路に水が行かなくて中海、宍道湖の方があふれてしまう、あるいはたくさん行き過ぎて神戸川の方が大洪水になる。そういうことを考えるとこれは極めて重要だなと思いつつ、一方で、水面なり川幅なりを決めるということは、川の基本的なところを決めて、それに基づいて第三者の土地を確保してさせていただくと。国民の基本的な権利にさわるところは法律事項にすると。どっちがどうなのか、私も頭の中が混乱しながらお聞きしていたんですが、この辺は事務局で、工事実施基本計画を河川整備基本方針と河川整備計画に分けたときの思想が、ある程度割り切ってはいたんでしょうけど、個々の具体的なことになると議論があるので、考え方を整理しておいていただくといいのではないかなと。計画の段階と設計の段階とではおのずから分担が違うんで、設計の段階でちゃんとやっていけばいいのではないか。さっきの維持管理の話も、維持管理的な基本事項にとどまるのか、あるいは河川そのものをつくるときの土台として考えるのか、そこは議論していただきたいと思います。○○委員もひとつ議論に参画していただきたいと思いますが、そういうことを含めて、次回以降のスケジュール等に反映させていただきたいと思います。

その他

(委員長) 時間が大分たちましたので、本日の議案はそういうことで終わらせていただきたいと思いますが、次回以降のスケジュール予定などにつきまして事務局から説明していただきます。
(事務局) ありがとうございました。
 次回でございますが、12月19日の午前10時から、場所は御案内申し上げますが、小委員会を開催したいと思っております。その際には、きょうお伺いした御意見、それから、きょうは3名の委員の方が御欠席でございますので、3名の方々の御意見もお伺いいたします。また、きょう言い忘れたということがございましたら、今月中に事務局の方にファックスなりで意見をお寄せいただければと思います。19日の小委員会の1週間ぐらい前には事前に皆様方に資料をお配りしたいと思います。
 次回は主に、きょうは説明をはしょって逆に意見が多かった資料4−1、2、3の新しい河川整備基本方針の中身について、きょういただいた意見、それから今月中にいただける意見に基づいて修正した部分について御審議いただきたいと思います。よろしくお願いします。
(委員長) ありがとうございました。
 ただいまのスケジュール案でいかがでございましょうか。
 それではそのように進めてまいりたいと思います。委員の皆様におかれましても御審議のほどをよろしくお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員の確認を得た後、発言者氏名を除いて、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議題は以上でございます。
(事務局) ありがとうございました。





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