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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第8回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成15年11月28日


2.議事
河川整備基本方針について
(阿武隈川水系、五ヶ瀬川水系、番匠川水系)

(委員長) それでは、議事に入ります。
 前回は阿武隈川水系、五ヶ瀬川水系及び番匠川水系の3水系の特徴と課題につきまして審議いただきましたが、幾つか宿題が残されていたと思いますので、まずはその点から、事務局から説明をお願いいたします。
(事務局) 事務局から御説明させていただきます。河川計画課長の○○でございます。
 お手元の資料、資料1と資料2というものが対になっております。今お話がございましたように、前回の宿題というか、御指摘があった点を資料3以降で整理しておりまして、資料の順番と違って恐縮ですが、先にそちらからお話をさせていただきます。
 まず資料3をごらんいただきたいと思います。これは「河川整備基本方針における超過洪水対策の扱いについて」、何らかの記述をすべきではないかというような御意見がございました。文字ばかりの資料で大変恐縮でございますが、最初に書いてございますのは、河川整備基本方針におきましては、基本的には施設の計画を対象といたします基本高水、それからその河道での計画高水流量というものを定めまして、これがそれぞれ堤防その他の施設のもとになっているわけでございます。ここまではきちんと河川管理として十分な責任を持って対処するということでありますが、2つ目の黒丸にございますように、洪水は自然現象でございますから、当然それを超えるものも発生するわけでございます。そういう場合のことを「超過洪水」と呼んでおりますけれども、これらにつきまして、先ほどの計画の対象となる基本高水に対応する施設までで責任はいいのだ、それ以上の超過洪水が発生した場合は、世の中はどうなってもいいのだということはありませんので、施設による対応等をきちんととるというレベルまでではできないかもしれませんが、できるだけ被害を軽減するというような努力は当然しておかないといけない。
 下の方に「本文記述」ということで、今回扱っているものにもこういうふうに書かせていただいておりますが、この辺を配慮いたしまして、「計画規模を上回る洪水が発生し氾濫した場合においても、被害をできるだけ軽減できるよう、必要に応じた対策を実施する」。この「必要に応じた対策」という例が、これは不幸にもあふれてしまいました水をほっておいていいというものではなくて、二線堤などのディフェンスラインでできるだけ守っていく。それから、土地利用なども工夫をしていく。それから、当然緊急時でございますので、危機管理としての情報、避難体制、そういうものをしっかりしておく。これは小さな洪水でも大きな洪水でも大事でございますが、特にそういう施設の能力を上回るような洪水のときにこういうものが大事になってきます。
 なお、前々から大都市地域の河川、そこに書いてありますような利根川、その他の川では高規格堤防というものをこの超過洪水対策として整備をしておりますが、これはそうしたもののうち、仮に破堤をいたしますと、大都市地域その他を控えておりまして、破堤による壊滅的な被害が生ずる。これは取り返しがつかないというようなこともありまして、具体の手法として、あふれても壊れないような高規格堤防というものを整備するということで、具体の例も下にありますが、そういう手法をこういう対象区間でやるのだということを具体的に記述しております。話が戻りますと、今回のような高規格堤防の対象河川ではないところでも、仮に氾濫した場合のことは、上のようなことを書いてはどうかというものであります。
 お時間もありませんので、簡単にわかりやすく、2枚目を開いていただきますと、これはわかりづらいかもしれませんが、上の絵でございますけれども、右側の横軸が洪水の流量でございます。上の縦軸がそれに伴う被害でございます。一番左下の点から点々で上がっていきます斜め上の線は河川が全くの自然状況での被害と見ていただければいいと思います。ある流量までいきますと、そこまでは大丈夫なのですが、それを超えますと被害がこの線に行きます。ちょっとわかりづらくて恐縮ですが、それが例えば「現況流下能力」というのがありますが、ここまでは被害がゼロなのですけれども、これを超えますと上のもともとの被害が起きます線にポンと近づくといいますか、カタストロフィ的になる。計画高水流量というのが右にありまして、ここまで整備がすすみましても、今度はそこまでの区間の被害がなくなってゼロになりますが、それを超える流量になるとまたドンと大きな被害が出てしまうということでございます。先ほどありました高規格堤防というのは、それを超えましてもマイルドにといいますか、ジワジワと被害が上がるだけで、こういうカタストロフィ的な極端な、今まで流していました洪水まであふれ出てしまうというようなことは避けようという施設です。
 それから、今回、それ以外の川につきましてはちょっとわかりづらいのですが、オレンジで書いておりますようなことでいろいろ危機管理対策その他、土地利用等で赤の上の線をオレンジの一点鎖線みたいなものにちゃんと下げる努力をきちんとしておかないといけないのではないかということでございます。
 スーパー堤防の絵は下にありますが、次のページには先ほどちょっと申し上げました具体のこういったところでとられる対策のものとして、洪水があふれましても氾濫の拡散をとめます二線堤だとか、建物での工夫、それからそもそも情報の事前提供から緊急時の警戒避難体制というようなことがあるかと思います。こういうことで工夫をさせていただければと思います。
 その次でございますが、資料4をごらんいただきたいと思います。これは前回、池淵委員の方から「カバー率」というもののお話をいただいております。「カバー率」というのはちょっと専門的な話になるかもしれませんので、その説明についても用意はさせていただいております。一番上にありますように、この前も御説明をしておりますけれども、実際に過去起こりました洪水をもとにいろいろな検討をして計画を作成するわけですが、実際の降雨が全部計画規模に相当するような非常に大きなものではありません。しかし、雨の降り方がいろいろなパターンで違って起こっていますので、治水計画には、うまくそういう雨の降り方のばらつきだとかをうまく反映してあげないといけないというので、過去、実際にありましたたくさんの洪水を計画の降雨量まで引き延ばしてやっているわけであります。
 こうしたときにいろいろな不都合が生じるわけでございまして、次のページでございますが、次のページを開いていただきますと、例えばこれは五ヶ瀬川のところでございますが、右下のように、実際は雨が赤いところ、オレンジのところ、黄色のところみたいに降り方が決して流域全体に均一ではなくて、そのときどきの降雨でいろいろ場所に偏在するわけでございます。これをそのまま今申し上げた計画の降雨まで、例えば1/100ぐらいまで引き伸ばしますと、左下にございますように、全体では1/100かもしれませんが、6時間分だけをとりますと1/650ぐらいの確率になってしまうとか、右の方はある地域で1/1,000になってしまうようなケースもあったりとかいろいろあります。ここで、何をしているかというと、一度引き伸ばしまして検討するときに、こういう細かい時間単位で再検討したり、それから個別の流域で、小さい流域で大丈夫かを確認いたしまして、余り個別のところで異常な値が出るものは棄却するといいますか、省いております。
 この点はこの前も若干御説明申し上げたのですが、そういう作業を今回もしております。古くは、こういうことは「カバー率」ということで、ちょっと漠然とした考え方で、棄却を行わずいろいろ算出いたしましたうちの8割方のものをとるのだとか、余りはっきりした理由はないのですが、経験的にそういうふうなものではないかということがガイドブック上、書いてあります。
 ただ、今、全国の実態を見てみますと、このカバー率を使っている川はほとんど皆無でございまして、カバ−率で決められているものはないと言っていいと思います。実態上、資料の中で書いてあるものもあるのですが、明快に書いてあるのは九頭竜川等だけなのですけれども、これも実際のところは個別の雨を引き延ばしたものを確認して、やはりこれはおかしいなというので除外しておりますので、決して単純なカバー率を使っているものは今は存在はしておりません、過去のものにですね。その辺、ガイドブックみたいなものの解説の部分に書いてあることが世の中の誤解を受けていますので、今、河川砂防技術基準の新しい改定版でも、そこはもうなくす方向で整理しております。この辺、きょうは池淵先生は御欠席ですので、細かい資料で別途きちんと御説明して、御理解をいただいております。
 その次でございますが、資料5をごらんいただきたいと思いますが、これは小松先生からちょっとお話がございました。それから、私どもも限られた時間の中で余り十分な御説明ができていなくて大変申しわけございませんが、あっちへ行ったりこっちへ行ったりで恐縮ですが、前回の資料、参考資料1−2というものを大変恐縮ですが、お開きいただきますと、A3でいろいろ書いてありましたものでございます。これの1枚開いた2ページの上の方に「治水対策の充実」というので棒グラフが、昔から最近までのピーク流量、非常に大きな洪水の流量の実績の値を入れております。
 この前ちょっとお話が出ておりましたのは、この参考資料の方を見ますと、最近、平成5年と9年、10年、11年などに非常に大きなものが連発している。これを過去、整理いたしました計画と今見比べ、これを反映いたしますと、昔は1/100だと思っておりましたものが1/30ぐらいの能力しかないので、最近のデータも全部入れまして、それを1/100にしたらということでお話をいたしました。
 このときに、何でこういう大きな雨が最近多いのだろうかということで、これは左下のように台風の進路その他、たまたまの雨の降り方のような気がいたしますのですが、それを雨で見てみるとどうかというのを本日用意いたしました資料5の方に用意をさせていただいております。
 資料5はA4縦長のものでございますが、先ほどの棒グラフは流量でございましたが、今度は雨でございます。例えば、上の方は番匠川でございますけれども、昭和18年の洪水のときは雨がちょっとはっきりしておりませんで、実際の洪水が起きました痕跡といいますか、そういうものから流量で3,000m3/sぐらいだということで、その対応をしてきております。42年に計画を立てておりますが、その後、雨で見ますとずっとこのような状況です。ただ、近年のところにやはり少し大きなものが続いてございます。過去のものよりも飛び抜けた大きさのものも出ておりますので、この辺が先ほどの流量のところ等も大体正直に反映しているという感じがいたしております。
 それから、もう一つの五ヶ瀬川も同じような絵が参考資料の方にもついておりましたのでございますが、これもちょっと場所が近うございますので同じような傾向で、最近の平成5年、9年あたりが大きなものがあるわけです。これの雨の方を今の資料5の下の方で見ていただきますと、昭和18年の実績の洪水を工事実施基本計画としており昭和41年に計画をつくっておりますが、今、評価しますと1/30ぐらいになる。それで、右側の方に幾つかの高い値が出ておりますけれども、最近の雨で見ましてもやはりこういう大きなものが出ているということで、新しく全部のデータを評価いたしますと、先日お話をしましたような1/100ではこのぐらいの計画流量だということを今回お話し申し上げたところでございます。
 お尋ねは九州の方だけでございましたが、今の資料5の次のページに、御参考までに阿武隈川の方もつけさせていただいております。阿武隈川の方は、これは雨で見ておりますが、昭和49年にそれまでの洪水等を踏まえまして計画がつくられております。その後、昭和61年とか、平成10年、14年あたりに大きな雨が降ってございますが、ここは雨の降り方が点在したりしておりますので簡単には言えませんが、先ほどの九州で見ましたような、最近極端に大きな雨が降っているというものでもございませんというか、過去と同じような感じで出ておりまして、これを先日申し上げましたような確率で評価いたしましても、やはり現在の工事実施基本計画で出しております流量と大体同じといいますか、十分妥当な線のところに来ているというので、現在の計画をそのままやはり最近のものを入れましても、それが妥当だなという確認をさせていただいたところでございます。
 そこまで、御指摘等がありましたもので、別途に資料を用意しているものを先に御説明させていただきました。
 続きまして、先ほどの資料1、資料2、基本方針の本文の方を御説明させていただきたいと思います。番号があっちへ行ったりこっちへ行ったりで大変恐縮でございますが、例えば阿武隈川ですと資料1−1、それから資料2−1という両方をごらんいただきましてお願いしたいと思います。
 資料2−1の方には基本方針の(案)の本文が書いてございます。次のページをちょっと開いていただきますと、左側に先日お配り申し上げましたものが載せてありまして、その後、個別の委員の方にも、個別に御説明をさせていただいたり、御時間の関係もありますので、先生の御都合等でファックスのやりとりの方もございましたが、その後、御意見をいただきました。先日も幾つか御意見が出ていましたのと、そういう個別の御説明でいただいた意見を反映したものが、資料2の方ですとも右側に赤で修正をしております。ちなみに、ブルーで直しているところもありますが、これは単に順番を変えてあるだけでございますので、資料2の方はそういうものだというふうに見ていただければと思います。
 資料1−1は、資料2−1がずっと文章が続きますので、どこにどういうものがポイントとして書かれているのか、書かれるべきなのかというのがわかりにくいというようなお話もいただいておりますので、資料1の方にスケルトンといいますか、一体どういう構成でどういうことをポイントとして書いているのかというものを御用意させていただいておりますので、大体資料1の方でさっと御説明をしていただきますが、あわせて2の方も横にお開きいただけますとありがたいかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それで、例えばというので阿武隈川の方からお話をさせていただきたいと思います。
 まず資料2の方の1ページ目、横長の方を開いていただきますと、先日お配りしましたものから右側の方は赤字で直したものがございます。政令などのところにつきましての項目だけを拾いますと、左側のようになるのでございますけれども、河川環境のことにつきまして明快に打ち出した形で書くべきではないかという御意見をお2人等の先生からいただきました。結果としまして、今の右側にございますように、法律、政令の形を変えるわけにはいきませんが、実際に1の(2)に書いてあるのは、どうしていこうかというような方針を書いているわけでございます。この中は災害の話、それから利用の話、環境の話ですので、工夫としては、これに見出しをつけさせていただきまして、明快にここのところにそれぞれ部分をきちんと書き分けるというふうな工夫をさせていただいております。
 2の方は数量であらわせるようなものにつきまして書いているものでございますが、ここは実際のページ数の分量は少ないのですが、環境につきまして、まだ数量化がうまく図れるものではないといいますか、全体の長期方針というまでには至っておりませんで、基本的に上の方のところでしっかり書かせていただくというような形をとらせていただければと思っております。
 資料2の方は1枚開いていただきまして、本文の方へ入らせていただきます。
 資料1の方でさっとお話をさせていただきますが、まずは全体の概要でございます。「流域及び河川の概要」というのが入ります。ここで最初に「概要」として、それぞれの細かいことは書いておりませんが、水源から河口までの概要、それから幹川流路延長とか流域面積とか流域の土地利用、流域の地質、降雨量等、基礎的なことをしっかり書いておきまして、その後、特徴といたしまして、例えば阿武隈川ですと、こういう盆地と狭窄部、特に盆地には大きな市街地も抱えているということが交互につながって、それが治水面でも環境面でもいろいろ骨格になっている部分があるということを書いております。
 2番目に「流域の自然環境」、自然環境と申しましても、どちらかというと置かれているバックグラウンドとしての地質まで含めました自然環境ということかと思いますが、河口から信夫ダムまで天然のアユの遡上があるとか、砂礫河床の早瀬はアユやサケの産卵場になっている。それから阿武隈峡や阿武隈渓谷など多くの奇岩が点在する壮大な渓谷景観があるとか、観光地として名高く、船下りが行われている等々を特徴的なものとして書いております。
 それから「阿武隈川の歴史」というので、阿武隈川の語源というのは「大曲川(おほくまがわ)」であるということ、それから、松尾芭蕉の乙字ヶ滝の話なども書いております。ただ、丸括弧で分けたものは明確な分類というか、タイトルではございませんで、実際のところは下にありますような水害の方の歴史とかも1つの歴史として入ってきます。
 水害の歴史みたいなものはその次に入っておりますが、資料2のところで今のおさらいを若干させていただきますと、1ページのところでは、最初のまとまりの部分、「阿武隈川は」というところから10行ちょっとでしょうか、ここに全体の概要、それからその下に1行あけましたところから流域の自然みたいなものというか、バックグラウンドとしての自然環境なども書かせていただいております。
 波線は、これは前回御説明をA3の特徴的な部分を申し上げましたようなところをあえて波線で強調しているだけでございます。特段の意味はございません。
 それでずっと自然環境が次のページに続きまして、2ページが全部そうです。それから、3ページの上の2/3ぐらいまでがそういうもので書かせていただいております。
 それから、先ほど申し上げました阿武隈川の歴史というので、「大曲川(おほくまがわ)」であるとか芭蕉の話ですとか、いろいろそういったものも3ページの下には少し書かせていただいたところでございます。
 それから、4ページでございますが、ここから水害の歴史になっておりまして、恐縮ですが、資料1の方に戻っていただきますと、ここにはポイントとしては、台風の北上と川の流れが南から北へ流れるというような重なりが特徴的でありまして、狭窄部による影響と相まって過去からの甚大な洪水被害が生じていた。それから、大正8年より福島地区において直轄事業として着手がなされ、昭和49年には現行の工事実施基本計画を策定。昭和61年とか平成10年とか、平成14年に大規模な洪水が頻発をし、「平成の大改修」として無堤部の築堤が進められ、平成14年の洪水では狭窄部等の連続堤による治水対策の困難な箇所みたいなものもございましたが、そういったところの被害が少し顕在化し、地形特性を踏まえた治水対策が必要になっている。それから、支川の荒川とか松川は、土砂にいろいろ悩まされている川でございまして、これは水系全体としても大事なことでございます。そこで砂防事業が進められているというのが、今の4ページから5ページの真ん中ぐらいまでに今のポイントで縷々記述をさせていただいてございます。
 横長の5ページから下には「河川水の利用」ということで、資料1でございますけれども、上流域で古くから水不足に悩まされてきた。それから明治時代には安積疎水により猪苗代湖からの導水なども行われて、その水利用が助けられてきた。
 それから、次に「水質」ということで、上流部の都市化により、上流の水質が悪くて、支川の流入などによって、下流に行くにしたがって希釈されて水質が改善されている特徴がある。それから、沿川の市町村で今「阿武隈川サミット」が組織され、水質改善等に取り組んでおられるというお話。
 それから、「河川の利用」として、幾つかの町、都市を貫流しておりますので、上中下流、すべてのところでカヌーとかサイクリングとか散策とか、いろいろな憩いのための利用みたいなものがされているということがあります。この辺は先ほどの横長の5ページの下から水質の話、それから6ページの真ん中ぐらいから河川の利用のお話を書かせていただいております。
 ここまでがもともとの状況をずっと書いておりますものでございまして、先ほどの大体の項目、それから特徴的な部分というものをなるべくとらえるように書かせていただいたつもりでございます。
 その次に(2)の、「河川の総合的な保全と利用に関する基本方針」で、ここがある種、一番重要な部分でもありますが、どういう川づくりをしていくかということであります。ここの構成は縦長の方を見ていただくとわかりますが、最初にちょっと治水、利水、環境の全体的にわたりますものを述べさせていただいて、その後、ア、イ、ウというように個別の水害だけで見たら、それから水利用で見たら、環境で見たらというような構成にさせていただいております。
 共通の話といたしまして、資料1、縦長の方でございますが、全体的な話として治水、利水、環境に関わる施策をやはり総合的に展開するのだと、そういうことをきちんと宣言をしておく必要がある。それから、水源から河口まで一貫した基本方針に基づく必要がある。それから、段階的な整備を進めるに当たり、目標を明確にして実施する必要がある。これは単に長期目標だけがポンと定められるのではなくて、河川法上、河川整備計画などでありますが、それぞれの短期、中期の目標をきちんと定めて進めていく必要があるということでございます。それから、健全な水循環系の構築を図るため流域一体で取り組む必要がある。それから、河川の有する多面的な機能を十分発揮できるよう維持管理のことも、ついつい物をつくる話というのは、当然、使われて何ぼといいますか、そういうものでありますので、その維持管理を適切に行うということもきちんと宣言をしておく必要がある。
 横長の方をちょっとごらんいただきますと、これは真ん中ぐらいに赤字で「森林等の流域の状況」とございますが、そういうところまで含めて流域というのでありますので、川の中だけではなく、ちゃんと森林、その他の流域のこともきちんと踏まえたものでというようなことがわかるようにというような御指摘で、そういう「森林等の流域の状況」等を加えてございます。
 その後、ア.「災害の発生の防止又は軽減」ということで、これは縦長の方をごらんいただきたいと思います。まずは「災害の発生の防止又は軽減」ということで、洪水調節施設と河川改修により計画規模の洪水を安全に流下、これは当たり前みたいですが、これはやはりきちんとそういう基本を書いておく必要があると思うのであります。それで、狭窄部等の連続堤の整備によることが困難な地域にあっては、宅地の嵩上げですとか輪中堤などのそういう効率的、効果的な治水対策を考える必要がある。それから、遊水機能を維持、確保すべき地域、何でも下へ流せばいいというものではありませんので、ためておくべきところはそういう遊水地や輪中堤によって従来の遊水機能を維持しつつ、周辺集落の治水安全度の向上を図る。つまり、ためておくためにそのあたりの集落がずっと被害を被るというのでは困りますので、それをうまく土地利用と嵩上げなどを含めて効果的にやろう。それから、河川管理施設の適切な管理と施設管理の高度化、効率化というものをさらに目指していきましょう。それから、超過洪水等に対する被害の軽減は先ほど申し上げましたようなことでございます。
 縦長の次のページでございます。情報伝達体制の確立などの被害軽減方策、それから本支川、上下流バランスを考慮した水系一貫の河川整備をしましょう。この辺は少し当たり前みたいな部分があるかと思いますが、やはり基本的なものはきちんと宣言をしておかないといけないというところでございます。
 イは「河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持」ということで、ここには都市用水等の安定供給や流水の正常な機能の維持のため、水資源開発を行い、広域的かつ合理的な水利用を促進する。現在、幾つかのダムでそれがなされております。前に申し上げましたように、郡山あたりは三春ダム、福島あたりでは摺上川ダム、それから宮城の方では七ヶ宿ダム、そういうもので大体計画的に水の手当を推進してきているわけであります。それから、渇水時の被害を軽減するための情報提供等の体制を確立。
 その次に、ウは「河川環境の整備と保全」でございます。まず精神的にというか、全体をどう考えるかということで、豊かな自然環境、良好な河川景観の保全を図るとともに、自然再生とか多自然型川づくり等をきちんと推進していくということを宣言させていただこう。
 それから、具体的なこの土地のことを踏まえまして、動植物につきまして、天然アユ等の遡上環境の確保、産卵床の保全。
 それから、景観等につきましては、阿武隈渓谷等の河川景観の保全、都市景観と調和した隈畔等の水辺景観の維持、創出。
 それから、「人と河川との豊かなふれあいの確保」ということで、舟運の歴史や文化等の特性を踏まえた整備をしていこう。
 「水質」は、下流沿川都市等の水利用状況、それからアユなどのそういう生物の生息環境を考慮して、地域住民と連携をとりながら水質の改善を図る。これはすでに先ほどのサミットなどもその改善がなされてきているわけでございます。
 それから、河川敷の占用等につきましては、ちゃんとこういう河川管理者がやるものだけではなくて、占用される者につきましても、治水、利水、河川環境等との調和を十分図っていただく。
 それから、「モニタリング」。環境につきましては、やはりそれがどうなっていっているかというモニタリングは非常に重要でございますので、モニタリングを実施して、河川整備や維持管理に反映をしていく。
 それから、地域との「連携強化」を図っていく。
 それから、「上中下流ごとの方針」というものを、これは今のところは全体的に漠と書かせていただいておりますので、上流では、中流では、下流ではというのをあえて書かせていただきますと、そこのそれぞれのところで特徴が違いますから、上流部では乙字ヶ滝の河川景観、河畔林等の保全、それから市街地に隣接する地域でのレクリエーション空間の創造みたいなものが主要なものになってくる。それから次のページ、中流部では、都市景観と調和した隈畔等の水辺景観の維持とか創出、それから天然アユ、サケ等の産卵床、水際部の保全みたいなものが中心になってくるのではないか。それから下流部では、天然アユ、サクラマス等の産卵床等の保全や身近な自然との触れ合いの場等の創造みたいなものが中心になってくるのではないかということであります。
 ここまで、横長のページでは、その特徴を文章化して少し長い文章になっておりますが、書かせていただいております。これがずっと11ページまで続きます。
 12ページからは、「河川の整備の基本となる事項」というので、ここは数値に関わるものが書いてございます。具体の数値等を書くものですので、ここは単純にA4の縦で見ましても同じでございます。基本的には前にお話をしましたような対象とする洪水流量、例えば基準地点の福島、岩沼での基本高水のピーク流量、もともと何もしなければ流れて来ます洪水の流量のことですが、それを上流のダム、遊水地ですでにカットしていたり、これからカットするものも含めて調節して、例えば福島では河道では5,800m3/sにする。これらは下の絵も同じでございますが、現在の工事実施基本計画と、基本的には同じでいいのではないかというようなことを先ほどの降雨、流量等で検証しておりますので、そのままを踏襲していっております。
 5ページには、今度はそれの河道の計画高水位を書くことになります。これも従前からのものが書いてございます。ある種、これに従っていろいろなまちづくりができておりますので、この前もお話をしましたが、これを変えるとなりますと市街地の堤防沿いを全部をいじらないといけないような非常におかしくなる部分もございますので、基本的には前の方の数字が踏襲されております。
 それから、(4)は「流水の正常な機能の維持」という流量の数値を書いておく部分でございまして、舘矢間地点での40m3/s、これも自然環境とか水利用とかで、先日、10項目ぐらいのお話をさせていただいたもののアウトプットとして書かれております。これは横長の方の12ページから以降、それが少し文章がつけ加わった形で書いたものでございます。
 以上、阿武隈川でございます。
 次に番匠川の方へお話を移させていただきたいと思います。これも両方見てということで大変恐縮ですが、資料1−2と資料2−2をごらんいただければと思います。
 資料2−2、横長の方を1ページ開いていただきますと、構成等は先ほどと共通でございますので、河川環境につきまして、きちんとした柱が見える形で直しております。
 さらにめくっていただいて1ページ、下の方に小さく「1」と書いてあるページでございます。ここから本文の文章の方に入りますが、これも基本構成は先ほどと同じようなものですので、資料1−2の方でポイントをしっかり見ていただければと思っております。
 資料1−2、縦長の方ですが、まずは全体の概要でございます。「流域及び河川の概要」、この中でも全体を概括しましたようなものにつきまして記述しておこう、基礎的な流路延長から面積から土地利用から、地質、降雨量等について記述しております。
 では、その地域のバックグラウンドになっております「流域の自然環境」といいますか、もともとの土地の自然でございますが、上中流部には清流を好むゲンジボタル等が生息、それから樫野地区には多種多様な動植物が生息生育、それから一部の区間では、伏流現象といった水涸れみたいな、下へ潜ってしまうような現象が見られる。それから、中流部の稲垣橋から高畠堰の区間は、アユの産卵場を保護するため、水産資源保護法に基づく保護水面に指定、それからシロウオ漁やチョンガケ漁などの伝統的な漁法が番匠川の風物詩になっている。
 それから、その他の歴史としまして、古くから下流の三角州で小舟による渡し等の河川交通が行われておりました。それから番匠川は、佐伯城址とともに地域のシンボルでございます。郷土の川として親しまれてきております。
 特に、治水に照らした歴史を見てみますと、昭和26年から直轄事業として工事に着手してございます。昭和18年の洪水に対応して、これは大変だということで、直轄事業になりまして、昭和26年からやっております。現在の番匠川の本流となる池田地区の捷水路工事、これは市街地の真ん中の方に幾つかの川が流れておりましたものを、下流に向かいまして右側というか、右岸側の方へ大きな捷水路に切り替えたのがこの川の治水対策の骨格になっておりますが、この工事は昭和16年から昭和38年にかけて実施されております。昭和42年には従前の計画を引き継ぐ形で、工事実施基本計画を策定されております。平成5年、9年、10年、11年と、先ほどのグラフ等で見ていただきましたように、計画高水流量と同程度の洪水が連発するというような状況になりました。
 それから、「河川水の利用」として、古くからここは農業用水としての利用がございます。
 それから、「水質」としては、BODも1mg/l以下、その他の、これはデータがなくてちょっとあれですが、透明度とか濁度みたいなものも極めてよいということで、全国的にも非常にきれいな水質が維持されている。
 「河川の利用」としては、数多くの住民団体の方が河川愛護の啓発活動や河川利用等、様々な活動が行われております。子供たちもまだ泳いでいる風景が普通に見られる地域でございます。それから、樫野地区におきましては、20年以上にわたり環境学習会を本当に古くからおやりになっています。それから高水敷でのイベント、カヌー等等の水面利用、バードウオッチング等の環境学習の場として利用され、親しまれてきている。
 ここまで概要を、阿武隈川で代表して構成のお話をしましたので少しはしょった部分はあるかと思いますが、横長の方で見ていただきますと、1ページから全体の概要、それから1ページの下には流域の自然といいますか、バックグラウンド、それが次のページまで行きまして、次のページの下から1/4か1/5の「番匠川流域は古来より」というところから歴史的な関わりを触れさせていただいております。
 それから、3ページに至りまして、洪水と治水の歴史をそれぞれ今申し上げたポイントで整理をしてございます。
 また3ページの一番下からは、河川水の利用について、農業用水の利用等がこういうふうに行われているという話を触れております。
 4ページには、水質がきれいだというお話、それからその数行後からは河川の利用につきまして、非常に地域一体となった関わりが古くから行われてきているということを記述させていただいております。
 以上が前段の状況を示したものでございます。
 横長の5ページからは今後の川づくりはどうなっていくべきかというような基本方針でございまして、これも先ほど申し上げました治水、利水、環境、全体にわたることを最初に述べまして、それからその後、個別の治水、利水、環境に行かせていただいております。森林等の流域の状況等をきちんと踏まえてというようなことは、ここでも阿武隈川と同じように書かせていただいております。
 これも恐縮ですが、A4の縦の方でお話をさせていただきますが、A4の縦の方の2ページの真ん中ぐらいから今の基本方針でございます。
 まず全般にわたりますこと、これは少し共通する部分が当然ございますが、治水、利水、環境に関わる施策を総合的に展開、それから水源から河口まで水系一貫した基本方針に基づいてきちんとやるのだ。それから、段階的にきちんと目標を世の中にも明らかにして、全体の目標を達成していくのだ。それから、健全な水循環系の構築を図るためということで、河川の中だけではなくて、流域全体で取り組むのだ。それから、河川の有するいろいろな機能というものを十分発揮できるように、単につくるというだけではなくて、維持管理をしっかりと行わなければいけないということを、きちんと宣言をしておかないといけないのではないかというものであります。
 アからは、今度は治水関係でございます。河畔林や、瀬、淵などの豊かな河川環境に配慮しながら河川改修を実施、計画規模の洪水を安全に流下。これは先日もお話をしましたように、ダムはここでは必要なく、河道の方で対応できますので、その際、先ほど申しましたようにいろいろな環境がございますので、瀬、淵などの環境に配慮して、河道内を少し整備いたしますことで対応していこう。
 それから2番目、河川管理施設の適切な管理と施設管理の高度化、効率化、それから高潮対策とか内水対策を関係機関と連携してやっていかなければいけない。特に、この高潮対策が海べりの地区でございます。それから、超過洪水等に対するものは先ほどと同じでございます。流路が短く水位上昇が早いこというここの特徴がございますので、特に情報伝達体制の確立とか被害軽減方策を講じよう。次の3ページでございますが、本支川、上下流バランスを考慮した水系一貫の河川整備。
 イとしまして、今度は「流水の正常な機能の維持」というところでございますけれども、河川水が伏流したりしており日ごろ表面には見えないような流れがあったりいたします。こういうものも踏まえて、特に単なる川の水面だけではなくて、水循環系といいますか、流域とか川の下を流れているものを含め広域的かつ合理的な水利用みたいなものをちゃんと促進することやそれから渇水時につきましては、情報提供体制をちゃんと確立しようということです。。
 ウからは、「河川環境の整備と保全」でございますが、1つはゲンジボタル、シロウオ漁に代表される良好な景観、清流の保全、それから流域住民の積極的な自然体験活動等を踏まえ、住民参加等を図りながら自然環境を保全、再生していこう。これは、ここでのこれまでのいろいろな活動もちゃんと生かしながら、そういうことをしていこうというものであります。
 動植物の生息等につきましては、河道内の堆積土砂、河畔林、瀬、淵等の変化のモニタリング、アユ等の産卵場の保全。
 それから、「良好な景観の維持・形成」として、岩と照葉樹林が調和いたしましたここの特徴的な河川景観の保全をしていこう。
 人と河川との豊かなふれあいでは、自然とのふれあい、環境学習の場の整備、保全を、今までもそういう活動がございますのでそれをきちんと保全、整備をしていこう。河川を通じた地域間の連携の推進を図っていこう。
 それから、「水質」は川での水泳、アユ、ゲンジボタル等の良好な生息環境を考慮いたしまして、現在の良好な水質というのは大事にしていけるような形でやっていこう。
 「河川敷地の占用」につきましても、治水、利水、河川環境、その他に十分配慮したものをやろう。
 それから、「モニタリング」は先ほど申し上げましたように非常に重要ですので、そういうものをやって、河川整備や維持管理に反映をしていこう。
 それから、「連携強化」ということで、何度かお話をしています流域のいろいろな方々との連携を踏まえて、ネットワークとしての展開を図っていこう。
 次のページは、上流部、中流部、下流部ということで、少しそれぞれの特徴を踏まえたところでは、上流部では、次のページでございますが、岩と照葉樹林が調和した河川景観、清流を好むゲンジボタル等の生息環境等の保全や自然とのふれあいの場の整備というのが中心的になるのではないか。それから、中流部では、樫野地区等の豊かな自然環境の保全や自然体験学習の場というようなことが非常に重要になるのではないか。下流部では、アユ、シロウオ等の生息環境の保全や佐伯市街地の憩いの場としての整備みたいなものが中心になるのではないかというものでございます。
 その次の2以降は、先日お話し申し上げました最近の洪水等のデータ等を含めて分析をいたしまして、現在の計画が1/30ぐらいにでしかないということで、最近のデータを踏まえまして1/100まで上げますと、3,600m3/sの流量の対処が必要であるというものでございます。これを河道の中で対応が可能でございますので、そういった対応をしていこうというのがこの辺の表と図になってございます。
 5ページには、それを踏まえますと、洪水時の水の高さである計画洪水位、必要な川幅というものが書いてございます。
 (4)につきましては、平常時の水の量でございますけれども、先ほど来申し上げています伏流するということで、単に地表の水だけを見ているだけではいけませんが、約1m3/s程度がこの川での目安ではございますけれども、その伏流水との関係も解明した上で、今後さらにバージョンアップしていこうというものでございます。
 それから、その次に五ヶ瀬川でございます。これも大変恐縮ですが、資料1−3と資料2−3をお開きいただきまして、ごらんいただければと思います。
 資料、横長の方の1枚めくりました目次の方は先ほど来の説明と同じでございます。1ページから本文に入りまして、最初は河川の総合的な保全と利用に関する基本方針でございまして、これも縦長の方でさっとお話をさせていただきますと、1つは全体の概要を触れさせていただいております後に、流域のバックグラウンドとしての自然環境、ここは高千穂峡に代表される五ヶ瀬川渓谷の自然環境が観光資源となっている。それから、豊かな水量に恵まれておりまして、大きな瀬や淵が存在しております。大型のアユがそういう意味では育って捕れるという川で、大瀬川にはアユの産卵場があり、大瀬川全体と五ヶ瀬川ではアユの産卵場を保護するための保護水面に指定されております。最大支川の北川、この辺は前回もちょっとお話が出ておりまして、過去の工事実施基本計画においては、国が管理しております区間だけが書かれてきたきらいがありましたが、流域全体の基本方針でございますので、特に主要な支川につきましては触れてございます。中でも、この五ヶ瀬川で下流部で合流します北川につきまして、自然環境としても非常にたくさんの貴重種が生息している。それから汽水域は、コアマモとかアカメ等の稚魚の生息場。
 治水事業につきましては、昭和26年から、昭和18年洪水に対応に始まってございます。大きな骨子としては、大瀬川は延岡の町の中で2手に分かれた片方の川でしたが、どちらかというと昔は余り市街地ではない方を流れていたのでしょうが、今は全部周りは市街地になっております。この大瀬川において、昭和30年から昭和48年にかけまして大きな引堤が行われており、堤防がつくられております。昭和41年に既定計画を引き継ぐ工事実施基本計画が策定され、平成5年、9年と連続いたしまして、これまでの計画高水流量と同程度、またはそれを超えますような非常に大きな洪水が発生をしてございます。また、先ほどの支川の北川では、平成9年に非常に大変な被害を受けられました。ここの治水対策としては、霞堤といいまして、全部川の中に閉じ込めるのではなくて、一部は穴があいているといいますか、霞になっておりますところから遊水するといいますか、水が遊ぶ場所がありまして、霞堤のそういうふうな構造によるマイルドに対策をするということをしてきております。
 それから、次のページですが、「河川水の利用」としては、水量が豊富でございますので、特段の調節施設をつくって何かしないといけないというようなことではなくてもいろいろな農業用水、水力発電等に利用され、またこの水のおかげで一番下流部の延岡市に、旭化成でございますけれども、そういう産業が栄えるもとになってございます。
 「水質」は良好な水質が保たれている。
 「河川の利用」としては、上流の風光明媚な高千穂等があります。それから、自然景観が観光資源となって、中流部では大型アユを求めて多くの釣り人で賑わうようなところ、それから下流へ行きますとガラッと変わって、今度は大きな市街地になります。先ほどの旭化成のマラソンも有名ではございますが、アユが観光資源になっているというところでございます。
 以上が流域の状況等でございまして、横長の方でも、小見出しがついておりませんけれども、そういうふうに分けた形で触れさせていただきましたものが4ページまで続いてございます。
 横長では5ページから、縦長では2ページの途中から、どういう川づくりをしていくのだという部分ですが、全体的な方針といたしましては、縦長の方でお話をさせていただきますけれども、治水、利水、環境に関わる施策を総合的に展開していく。水源から河口まで水系一貫した基本方針に基づいてきちんとやっていこう。段階的な整備を進めるに当たり目標を明確にして実施していこう。それから、健全な水循環系の構築を図るため、流域全体で取り組む。河川の有する多面的機能を十分発揮できるためにも、どう使われるかという維持管理ところをしっかりやっていこう。まあ、宣言に近いものがたくさんございますが、ここの川づくりとして、こういう川にしていこうというので、非常に重要なことかと思います。
 それから、アからは治水についてでございますが、ここは前にお話をしましたように、延岡市内で二手に分かれた河川の両方とも市街地でございますが、どちらかというと、先ほどの大瀬川という右側の支川、派川、川としては大きな方なのですが、こちらの方は過去、大規模引堤というのでずっと全部家を動かして、1つのぎりぎりの状況でつくってきており、これを再び全部動かすと相当なことになりますので、一部、五ヶ瀬川本川のところは凸凹のある部分がございますので、それをうまく整理した格好でどうかというようなことのお話を前回させていただいております。そういうところでも、当然やはり市街地でございますから、この市街地の土地利用、それから五ヶ瀬川全体の豊かな河川環境等、そういうものを全部配慮して、河川改修を実施していく。ここも効果的なダムを作れるところないということから、この辺の河道での対応で何とかしていく必要があるのではないかということでございます。
 洪水の時の五ヶ瀬川の水位を低下するため、今ちょっとあやふやな分離となっている大瀬川と五ヶ瀬川をきちんと分離して、それぞれの洪水の被害が拡大されないような形、きちんと流量がそれぞれ流れる形を、河口の閉塞の解除も含めてやっていこう。
 それから、北川では、これは支川でございますが、従来の遊水機能を維持するための霞堤の整備とか土地利用の調整等の地形条件に応じた治水対策というものを、これは単に川の話だけではなくて、道路、住宅、宅地、さまざまな関係行政とも連携しながら推進をしていきたい。河川管理施設の適切な管理と施設管理の高度化、効率化。高潮対策とか内水対策に関する連携、超過洪水等に対する被害の軽減等は先ほどと同じようなことでございます。
 次のページの3ページへ移りまして、情報伝達体制、これは洪水の緊急時の基本でございますので、その確立。それから、本支川、上下流バランスを考慮した水系一貫の河川整備。
 イは、今度は「流水の正常な機能の維持」ということで、何度か申し上げていますように、非常に豊かな水には恵まれておりますが、今後もやはり広域的といいますか、全体のネットワークとしての水利用、それから当然、合理的な水利用というものの促進をみんなで目指していく必要があるかと思います。それから、渇水時につきましては情報提供その他、これも1つの危機管理としてのマネジメントがしっかりできる体制を確立していく必要がある。
 ウは環境でございますが、雄大な自然、豊かで清らかな水、多様な動植物の保全等を、せっかくそういうところでありますので、うまく生かしていこう。それから、動植物、汽水域、干潟の保全というのが重要でございます。これをしっかり図ろう。それから天然アユの産卵場がここは非常に特徴でございますので、この保全、再生を図ろう。
 それから、「良好な景観の維持・形成」につきまして、高千穂峡に代表される風光明媚な景観の保全。
 それから、あとアユ釣りやスポーツ等の河川利用、環境学習などの場の整備保全。
 「水質」につきましても、これに従って、動物の生息環境もありますので、これの保全と、地域の方々がそれを大事にしていることとの連携を図ろう。
 河川敷地の占用許可についても、そういう環境その他にきちんと配慮していただく。
 「モニタリング」をきちんと実施をしようということ。
 それから、全体ではございますけれども、もともといろいろな連携ができておりますが、「連携強化」を地域ぐるみでやっていこう。
 それから、上中下流ごとでは、一番上はもう高千穂峡等ずっと渓谷が続くところでありますので、そこの特徴的な景観の保全。それから、次のページでございますが、中流域はそういう渓谷の下流ぐらいからアユの生息みたいなものが出ているところでございますので、そういったところの保全。それから下流部は町中へ入ってきますが、良好な生息環境という河口部の特徴等も踏まえて、河口部の干潟などの河川環境の保全、復元等をしていこう。
 そういうことでございまして、これも横長の方では、5ページから6ページ、7ページ等々と続いておりますが、具体的に先ほどの北川などの利用も6ページの上などには治水面、それから環境面などは7ページにというところで、なるべく、全部細かく書くことはあれですが、主要なものにつきまして、支川も含めて入れてございます。
 これが9ページまで続きまして、10ページからは数量的に示せるものとしての計画値でございますが、これも番匠川と同じように流域に近うございますので、昔、昭和18年の洪水を対象としたものが、最近ではそれと同じ程度、もしくは超える流量の洪水が出ていますので、これまでのデータできちんと評価いたしまして、7,200m3/sの洪水対処をやるべきであるというようなことが前回お話をしたようなことでございます。
 これを流量配分で書いたものが縦長ですと下の絵でございまして、大瀬川というのはずっと連続して一度引堤をしておりますので、ちょっといじりますと全部延々といじらないといけないし、相当な家屋の移転等もあります。そういう意味では4,500m3/s〜4,600m3/sが今のところ限界だと考えれば、あとは本川方で2,600m3/s、河口部で支川を合わせて9,000m3/sというようなことを拡幅や高水敷等の対応で乗り切れるのではないかというようなことで、配分図を4ページの下のような形で示しております。
 縦長の方の5ページでございますが、今度はそれに従いますと、これは計画高水位、従前からの水位を上げるものではないと考えますと、川幅としてはこのぐらいが必要である。
 (4)は「流水の正常な機能の維持」ということの流量でございますけれども、三輪地点で11m3/sというのが生物だとか水利用だとか、そういったもの等を踏まえまして、何項目かの整理しましたものの結果を書いてございます。
 とりあえず、全体の御説明をさせていだきました。
(委員長) 前回の宿題事項に合わせて、河川整備基本方針の本文につきましても御説明いただきました。これらについて、何か御質問、御意見がございましたら御発言をお願いいたします。
 超過洪水のことは澤本委員がこの前、きっかけをおつくりになったのでしょうか。
(委員) 前回の委員会では私は発言しなかったのですけれども、その後、事務局にお問い合わせをいたしました。というのは、12時間降雨で今確率をやっておりますけれども、番匠川だと洪水到達時間はもう少し短いのではないか。もし洪水到達時間内ぐらいで確率処理をやって、それで処理しておけば、例えば引き延ばしたときにそれを棄却するとかしないとか、そういう議論をしないでもいいのではないかというようなことを事務局に問い合わせをいたしました。
 結果は大して変わらないといいますか、だけれども、やはり基本的には洪水到達時間ぐらいで議論していた方が、きょうの資料4を見ても、初めて聞いた方は何となくよくわからないのではないかなというようなこともありますので、基本的にはやはりもう少し12時間降雨より短いところで議論するような方が将来的に、今回は結構でございますけれども、いろいろな川の議論をするときに、そういうような考え方が一般的に説明がしやすいのではないかと思っております。
 以上でございます。
(委員長) それから、環境問題ではいろいろ御意見がございましたが、○○委員からお願いします。
(委員) 1つは項目を挙げていただいて、基本方針の中に環境目標が入ったというのは、これは第一歩、1つ前進だと思うのですが、ただここら辺、もう少し議論というか、私の考え方と違うなと思うのは、特に阿武隈川に顕著に出ているのですが、阿武隈川の環境目標のところに、例えば横長の資料の2−1で見ていただきますと、10ページの上流部、中流部、下流部、各部分においてスポーツなどのレクリエーション空間の創造を図る、いわゆる河川敷のグラウンドが主体になると思うのでが、これが果たして環境の目標なのか、これは河川の利用ではないかと思うのです。淀川などで見ますと、やはり過剰利用があって、これから少子化の進む30年、40年、あるいは50年先に、レクリエーション空間を河川敷に求めることが適切かどうか、特に自然環境に配慮した考えからいくと、私は決して適切ではないのではないかと思います。
 だから、川でのレクリエーション的な利用というのは、川でしかできないようなレクリエーション利用、釣りももちろん私は適用されると思うのですが、釣りであり、カヌーであるという、そういう環境に対してやさしい利用が環境に入るのはいいと思うのですけれども、どうもこれはグラウンドが表に出てき過ぎているというのが私の印象でございます。
 ほかのところはかなりよく直していただいたと思うのですが、そこだけ非常に気になったところです。
(委員長) わかりました。
 ○○委員、ひとつお願いします。
(委員) 私も基本的には○○さんの意見と同じで、環境の整備と保全というのを上中下流に分けて具体的に書き込んだということに、ものすごく評価をしたいと思います。しかし、こう書き込まれてみると、書き込むことの難しさというのがまた逆にものすごく出てきて、この書き込んだものが環境省のレッドデータブックの生物みたいな役目をしてしまって、このほかはじゃあ何でもいいのかというふうになると非常に困るので、現場や何かではそうではないのだよということをしっかり言うことがまず大事ではないかと1つ思います。
 それと、書き込まれたものの中で、こう書き込んでみるとこれでいいのかななどと思うのがあるのです。例えば、番匠川の9ページなのですが、下から3行目のところに「などの塩性植物やマガモ、ヒドリガモなどが生息・生育する河口部の干潟の保全」というのですが、マガモとヒドリガモがそんなものかなと思ってしまうのですね。良好な河口部の干潟を代表する鳥類というのは、恐らくマガモやヒドリガモではないのではないかという気がしてきてしまうのです。
 それから、例えば五ヶ瀬川の2ページの真ん中あたりに、下から11行目、「広大な中州や河川敷は、イワツバメやツリスガラなどの」と書いてあるのですが、イワツバメというのは中州や河川敷に依存しているのではなくて、空中に全く依存しているので、こういうものを書き込んでしまっていいのか。その次に来るツリスガラなどは冬鳥で、しかも最近になって数や分布地をふやしているものですが、そういうものを指標にしてしまって、そういうものの保全や何かにいいような環境をつくると言い切っていいのか。ざっと見ただけで、鳥だけ見てもこれだけ出てくるのだから、ほかの生物は大丈夫かなという感じがすごくするのですね。
 もう時間がないのでここでもむことはしないのだったら、例えば植物生態学者とか、魚類学者とか、そういう人に一度この種を今みたいな視点で当たってもらって、それで委員長と取りまとめてもらうのがいいのではないか。なぜかというと、これは基本方針なので、ここに書かれてしまうと、相当大変なことになってくるのではないのかなと思います。
 全体的に関係するのですが、種名と類がゴチャゴチャになっていて、例えば「ハクチョウ」などというのは種類としてないわけで、そういう場合には「ハクチョウ類」としなければいけないと思うのですが、類なのか、種名を指しているのかというのを、全部一度生物名については点検していただいた方がよろしかろうと思います。
(委員長) これは、各河川にはそれぞれ専門の生態学者なり生物学者は関わって調査していただいているのですね。
(事務局) ええ、国土交通省の事務所にしましても、そういう専門家がいるわけではないので、先生方によくお伺いしたりしているのですが、横並びで見ていろいろ発見できていることもありますので、おっしゃったことはしっかり整理はさせていただきたいと思います。基本方針として出来上がったものがそういうもので粗雑に見えるところがあるというのはやはりまずいので、努力はきちっとさせていただきたいと思います。
 それと、さっきの○○先生からありまたしたことは、法令上の整理から言うと、河川の適正な利用と流水の正常な機能の維持という項目がありますが、実際には河川水の利用だけが見て取れる文章に法令がなっていまして、その中で分類を前提に河川法を改正しましたときに、環境のところに河川空間の利用を入れているのです。ただ、我々もそれは今の社会感覚から見ると、河川水だけではなくて、川の持っている空間の価値みたいなものの利用があるので、環境に含めることがちょっと誤解を生む可能性もありますので、今後少し工夫をさせていただきたいと思います。我々もそういう問題意識を持っておりますが、この問題は場合によっては政令を変えなければいけないのではないかというようなこともあったりします。
(委員) 背景については理解できたのですが、ただ阿武隈川ぐらいですと、河川敷にレクリエーション利用の場を求めることが、これからは多分どんどん減っていく傾向なので、あえて「レクリエーション利用の場」というのを書かないで、「環境との調和を図った河川敷利用」とか、そういう表現でやられた方が、私はこれからの姿勢ではないかと思うのですが。
(事務局) 川によって異なるのですが、結構、町中のところで、グランドを抽選で利用するような場合に、10回応募いたしましても当たらないという事例もあります。それはそれで社会の重要な声としてありますので、やはりオープン空間とか、憩いの空間というか、それもなるべく自然を生かしてと思いますが、そういうニーズがしっかり市街地部であるというのは事実ではあります。
(委員) よろしゅうございますか。
(委員長) どうぞ。
(委員) 今の環境のところなのですが、私も水資源開発公団でいろいろアセスメントの方の審査といいますか、つくる側でいろいろ議論をしてきたわけでございますが、環境省との関係が大変難しいところがございまして、どこまで書くかという、先ほど○○先生がおっしゃったお話なのですけれども、間違ったことを書くというのは論外な話でございますから、そこはもうきちんとしていただくのと、それから、それを書いたばかりに、やろうとすることができなくなるというようなことになりますと、これは何のために書いたのかわからなくなるということで、全般的にこれを見せていただきまして、昔の基本計画ですか、前の法律のものに比べると非常に詳しくなっておるというようなところで、次の整備計画をおつくりになるわけですね。これはまたこれを細かくつくる話になると思いますので、ここの基本方針のところでどこまで細かく書いておくか。細かく書けば、次に書くときにもっと細かくなるというようなことも考えられますので、ある程度やはり基本方針だから基本的なことを書いておいていただいて、整備計画の方ではもう少し具体的にしてもらう。
 ただ、この整備計画がこの基本方針と違って学識経験者の意見を必ず聞かなければいけないというものではなくて、「必要に応じ」とかと書いてあるのですね、法律を見ますと。だから、そういうところを、それはちょっと別の話ですが、これからどう考えられるのかということもちょっと御紹介いただければありがたいと思います。
 環境のところはそんな感じが1つしますのと、もう一つ全く別のところ、これはもう議論されたのかと思いますが、この全体のスタイルなのですけれども、今、私は法律をずっと読ませていただくと、法律、政令に基づいて、その事項について忠実におつくりになっているのですね。それでちょっと突飛だなと思うのは、流域及び河川の概要という、これはどちらかというと「はじめに」みたいな、何といいますか、現況なのですね。これが基本方針の中に入ってきておるということからして、したがって、(2)のところで本当のいわゆる基本方針がまたそこで出てきて、しかも大事な災害だの何だのがア、イ、ウと落ちておるということは、見たこのスタイルからすると、だんだん下の方に落ち込んでおるような気もするのですが、これはアであろうが、イであろうが、ウであろうが、しっかりやることはやるのですということだという認識は私は持っておるのですが、それで間違いないのかどうかということ。
 それからその次に、数字が挙がっておるのですね、「基本となるべき事項」というところで。これも法律に基づいてきちっと流水の維持までは挙がっておる。ところが、環境の問題は非常に難しい。したがって、ここには数字は挙がっていないのですが、これについては計画の中ではどの辺までどうするかということはどうお考えになっているのか、その辺の腹づもりといいますか、国交省の御見解をお聞き、まだそこまで行っていないのですかね、これからつくるのですか。もうつくられたところはあるのですか。私もきょう2回目なのですが、前に幾つかこれは計画ができていますね。できていないのですか……。
 どうも済みません、ありがとうございました。
(事務局) 最初におっしゃられましたお話は、先ほどの他の先生のお話も含めて、基本方針ではまず最低限、変な間違いはとか、バラバラになっているようなところは直させていただければと思います。
 それから、単に例示で使えばいいところも言い切っているところもあるのかもしれませんので、そこは工夫をさせていただきます。
 それから、全体のスタイルの中で、ある種バックグラウンドとしての現在の状況というのは、川をどうしようということを考えるためにも、そこはしっかり触れておくべきで、決してダラダラと書くことは要らないのですが、しっかり勉強しておいて方がいいと思ってこれまでもしております。
 それから、環境の数字はいろいろな工夫をしようとはしております。先生が言われたように、どちらかというと少し短期的な中で最低限こうしていこうというところを今やろうとしているところです。しかも目標値そのものとして整理が、まだできていないというか、それは勉強途上という部分かとは思いますが、今後も努力はしたいと考えています。まず整備計画レベルで、それが基本方針レベルで行こうとすると、ちょっとあれだなと思います。整備計画レベルも努力はしておりますが、まだ現実にできているというレベルからすると、少しまだ勉強途上ではありますが、しっかりそういうことをやっていこうということでよろしいでしょうか。
(委員) よろしいですか。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) 数字のことなのですが、前回欠席しまして、済みません。流水の正常な流量のことなのですが、例えば五ヶ瀬川を見ますと、流水の正常な流量は書いてある11m3/sですか、これは参考資料3−3の6ページですか、そこを見ますと渇水流量1/10相当になっていまして、これはいいかと思うのですけれども、阿武隈川を見ますと、これが参考資料3−1の7ページを見ますと、32m3/sから27m3/sになっているのですね。阿武隈川の参考資料の3−1の7ページの渇水の1/10確率が32m3/sから27m3/sになっていまして、これは40m3/sと非常に乖離していますので、この辺につきまして、どういうふうなことをやるのか、それは書けないとすればどういうふうに考えているかということについてのコメントが要るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(委員長) 参考資料の3−1ですね。
(委員) 参考資料の3−1です。
(事務局) 済みません、今おっしゃられています阿武隈川のものはこの7ページの、例えば渇水流量で下の方、これのいろいろ幅があるというところを見ていただいているところでございましょうか。
(委員) そうです。
(事務局) 基本的には、流水の正常な機能の維持の流量というものは、上流のダムその他で足りない流量につきまして、やはり埋めていく努力をしようということにしております。ただ、五ヶ瀬川とかは先生も言われたように結構豊富でございますので、そこをしなくても、それなりの流量が確保されているということだとは思っておりますが。
(委員) その書き分けは必要があるのではないのでしょうか。五ヶ瀬川の場合と阿武隈川の場合とは違いますよということは書かなくてもよろしいのでしょうか。
(事務局) どういうふうにしていくかというところは、例えば阿武隈川の、今回の資料2−1の8ページなどをごらんいただきますと、右側の方に「河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持」ということで、先ほどの何十トンかの話はありますが、河川水の利用に関しては都市用水等の安定供給、流水の正常な機能の維持をするため、三春ダム、七ヶ宿ダムによる補給及び新たな水資源開発を行うとともに、あと広域的、合理的な水利用を促進するということで、逆に言いますと、五ヶ瀬川の方にはこういうことは書かないという中で区別、整理をしているつもりでございます。
(委員長) よろしゅうございましょうか。
(委員) はい。
(委員) よろしいですか。
(委員長) どうぞ。
(委員) 二、三点、感じたことをお話しさせていただきます。
 まず、「河川の総合的な保全と利用に関する基本方針」が、A4判の資料にまとめて5つほど書かれています。2番目に「水源から河口まで水系一貫した基本方針に基づく」とあるのですが、この「基本方針に基づく」という「基本方針」が何なのかがわからないうちからこういう表現が出てきています。
 この「水源から河口まで水系一貫した基本方針に基づく」という考え方が、まさに全体の基本方針に相当するのではないかと思います。ほかの項目、「治水、利水、環境に関わる施策を総合的に展開」、「段階的な整備を進めるに当たり目標を明確にして実施」、その他は、基本方針の内容を言っているのではないかなと思います。すなわち、治水、利水、環境の総合的な方針というのは、言い直せば、水源から河口まで水系一貫した基本方針に基づくものであることが求められています。
 「基本方針」は何なのかは全体を読んでから初めてわかるものであることから、このように先に書くのであれば、「基本方針」を明確にわかりやすく書いていただいた方がいいのではないのかという点を感じました。
 それから2点目は、環境についてたくさん書いたため、治水面とのバランスが悪くなっています。治水と環境を同じレベルで考えたときに、環境については阿武隈川だったら、上流、中流、下流に区分して環境を考えていますが治水についても、同じようなレベルで書けるでしょう。何で環境だけを上流、中流、下流と分けて書くことになるのでしょう。
 河川環境をどこまで書くのがよいのかというのは私にはよくわかりませんが、河川整備基本方針で、ここまで細かく書くのか疑問を感じます。
 流域の概要のところで保全すべきものとか、基本問題を明確に表わし、それを受けて治水・利水・環境を総合的な視点から「河川の総合的な保全と利用に関する基本方針」を書くのであろうと思います。またア、イ、ウはそれらを特化したものとして、相互に関連するということよりも、特化したものとして書います。相互に関連するというのは先の5つの項目との関連で書き、さらに、それは流域の概要とア、イ、ウの中で出てくるもので、上流、中流、下流に分けてさらに書くのでは重複が多く、かえってこれはわからなくなります。
 私が言いたいのは、基本方針をここで書かれている書き方をするのなら、治水についても同様なレベルで検討してみることが必要です。時間的な制約もあるでしょうから、事務局にお任せしますけれども、こういうものは河川分科会とかでしっかり議論をしていただきたいというのを感じました。
 それから、治水・利水・環境について基本方針でいろいろ書いたときに、本当にこれを実行しようとすると、治水上と環境上のバッティングするところがあるでしょう。例えば、番匠川の場合では、樹林帯があり、川幅を広げ、掘削をしますと1行でサッと書いています。一方環境は細かく書くわけですね。書いてあることができなくなるとき問題もやはりあるのではないのかと思います。
 さらに、このバッティングする問題に、樹木の管理とか、河川に水がなくなって、河川水が途中で消えている川も幾つもあって、そういう川に水をどうやって回復するのかとかいうような根幹的な課題があります。このような課題が出てこずに、この川に何がいますという話に少し偏り過ぎています。基本方針ですからもっと大きな時間、空間スケールで、川として水がどれぐらい流れれば良いかといった根幹的な課題に踏み込まなければならない場合があるはずですけれども、そちらがどちらかというと弱くなって、何かやりやすいところが出過ぎていないでしょうか。もう少し今後に向けて川はどうあるべきかという基本方針議論はあっていいのではないのかと感じます。
(委員長) 大議論になりましたけれども(笑声)、御意見があったらどんどんおっしゃってください。
 どうぞ。
(委員) 済みません、先生のお話にちょっとつながる部分もあると思うのですけれども、正直言って、全体的な部分から言いますと、種名とか諸々細かい部分、しかしこれはかなり偏っているのですね。例えば、番匠川でエノキのことが出てきていますけれども、阿武隈川ではオオムラサキでエノキという形になってきていますし、そういう種名もさておいて、全体的に読んでみていて、何となく輪郭がぼけやけてくるのですね、そういう種名とかが入ってくる部分と。
 それと、言葉の使い方が、種名も含めてなのですけれども、一応管理者としてつくる部分の方針というふうに私は考えているのですけれども、「管理」という言葉が出てこなくて、それが「保全」という言葉と混同されている部分が文章の中にかなりあるようにお見受けしました。それと「干潟」という言葉も出てきますけれども、これはどういう意味で「干潟」を使っているのか、河口部の砂浜を「干潟」と言うのかというのは、これは議論があるところなのですけれども、基本的に番匠川には「干潟」はないというふうに認識しておりますので、「砂浜」という表記、だからそういう部分で細かい言葉の精査がもっと必要ではないかという気がしています。先ほども言いましたように、全体的な部分でここまで細かく書き込む必要があるのかな、「方針」という部分で。そこら辺はちょっと伺いたい部分です。
 それと、先ほど○○先生が言われましたように、治水の工事と環境の部分でせめぎ合いが必ず起こると思います。そういう部分に対してどういう手法でやっていくのかというものが全く出ておりません。例えば、そういうものに関して、工事の計画の並列表記で、その段階で流域と連携しながら効果とか環境とか景観とか諸々のことを相互に判断しながら幾つかの計画の中から非常に効率的なというか、そういう計画を採用するとか、そこまで細かく書き込む必要はないのですが、そういう手法、その部分もやはりあるべきかという気がしています。これはどうでもいい部分ですけれども。
 それともう一つ、「住民との連携」という言葉がたくさん出てきておりますが、ではどういうふうに住民が連携すればいいのかという部分が全くわかりません。それと、治水においても、洪水対策、危機管理に対してはある程度住民の皆さん、あなた方はここまでやらなければいけませんよ、自分たちの地区、あるいは自主防災組織をもう少し拡充して、自分たちの身は自分たちで守るような努力を我々と一緒にやりましょうという管理者側の提案というものもあってしかるべきではないか。そういう意味で、やはり地域住民に対してある程度の義務、義務と言うとこれはまた語弊があるのですけれども、そういう責務の方も入れ込んでいった方がいいのではないかという気が若干しております。これは皆さんの議論を待つところなのですけれども、以上です。
(委員長) はい。
 学識経験者の方からお話がありましたので、○○委員、また阿武隈川の立場からお願いいたします。
(委員) 職は去ったのですが、現職でいたときには洪水対策でスーパー堤防という大変立派な堤防をつくっていただいておりますが、そのときはなるべくそういうところには市営住宅であるとか、市の小さな公民館であるとか、余り大きい建造物を民間が建てるのを抑制して、なるべく官側の低いものでやろうという気持ちでいたのですけれども、余り明確に、例えば阿武隈川の洪水危険があるところのスーパー堤防の地震に対する強度は、震度幾らの地震に耐えられるような盛土をするのだということは、これはなかなか明確に言えないのですけれども、この辺についてはどうなのでしょうかね。
(委員長) では、事務局から。
(事務局) お答え、いろいろお話をしてもよろしいでしょうか。
(委員長) はい。
(事務局) どうしましょうか、○○先生のお話から……。
(委員) いえ、特別ここで……。
(事務局) ○○委員のおっしゃられるお話のスーパー堤防というのがどこの部分かは、済みません、ちょっと私……。
(委員) どこの部分ということではなくて、一般的にはどの程度の地震に耐えられる、何か妙な質問で恐縮ですけれども。
(事務局) 一般的にというか、先ほど「高規格堤防」と出ております方のスーパー堤防でありますと、やはりそこは公共の建物とか、民間の建物も可能というか、もともと土地の所有者は民間でございますというところでつくろうとしますので、その人たちが通常の土地利用ができるようしないといけないとしますと、地震が来てもほとんど異常が生じないという品質までをやろうとしています。ただ、これは100%何でもできるということは設計上ないので、宅地基準並みには最低しておこうというのが今の状況でございますが、一応地震にも強いというものになっております。
(委員) はい。
(委員) ちょっと済みません、地震の話が出ましたので。
(委員長) どうぞ。
(委員) 前回欠席したので申し上げられなかったのですが、今の地震の対策の話ですが、実際にどの程度進められているか私はわかりませんが、阿武隈川の下流域というのはやはり堤防の地震対策というのは急務だと思うのですね。というのは、宮城県沖地震、これが大体今から20年以内の発生確率が80%を超えていると思いますし、それから30年以内ですと99%という、これは政府の地震調査委員会が確率評価をやっています。ですから、もう30年たったらほとんど起きているということになっているわけでありまして、この地震、多分マグニチュードは7.5前後だろうと言われています。それで、特に阿武隈川の下流部の岩沼周辺あたりは多分震度5の強から6弱ぐらいにはなるだろうというふうに想定されています。現実に、今から25年前に起きた宮城県沖地震のときにはこの周辺が大体震度5を観測しているのですね。
 そういうことが起きますと、これは当然堤防の損壊であるとか液状化というものを想定しておかなければいけない。9月の26日に十勝沖地震というのが起きて、これは堤防が十勝川に沿って、両岸で22q以上ひび割れとか液状化が起きまして大きな被害が出ていますので、こういった例もありますし、それから阪神の大震災のときには、淀川の堤防がもう少しで決壊しそうになったのですね。間一髪で助かりましたけれども、そういうこともありますので、やはり堤防の耐震の問題というのは大きいと思います。
 それから、この宮城県沖地震がもし日本海溝の側と連動をしますと、マグニチュード8クラスになる。これは1793年に起きているのです。これはそれ以降はほぼ37年ごとに単独で起きていますので、次はひょっとすると連動する可能性がないわけではない。そうなりますと、当然震度は大きくなりますし、それから津波が川を遡上するという問題がありますので、とにかくこの宮城県沖地震というのは今東海地震に次いで差し迫っているというふうに考えられている地震でありますから、特に下流域の平野部での堤防の耐震強化とか、津波対策というのは、私は重点的に進めなければいけないと思っています。だから、そのあたりもちょっと書き加えていただければ、ありがたいなということなのです。
 以上です。
(委員長) はい。
 それでは、○○委員、お願いします。
(委員) 前回欠席しまして、重複していましたら御容赦ください。
 治水と利水のところでは、川の水をそのまま出してしまえばいいという感じのところが治水ではあるのですけれども、環境の方を少し広義に解釈しますと、輸送される土砂というのがかなり環境にとっては重要だと思うのです。その輸送土砂の適正輸送量とか、あるいは輸送の土砂をどうするという記述が、私はこの中に見かけることができなかったのですが、少しそれを触れる必要があるようにも思うのですが、いかがでしょうか。それが全体的な1点です。
 それから、あと細かいところ、各基本方針のところなのですが、例えば番匠川の7ページなのですが、伏流水の話が7ページの上から3行目にあるのですが、「表流水量及び伏流水量の相互関係を解明した上で」という表現があるのですが、これは「把握する」とか「踏まえる」とか、もう少しやわらかい方が実際にやりやすいのではないかなという思いがいたします。
 それと、五ヶ瀬の8ページのところの一番下の行なのですが、五ヶ瀬川と大瀬川を分けるところなのですが、分ける方法として「隔流堤により」というふうに書かれていまして、ほかの方法というか、考えにくくなっていますので、隔流堤は当然そうなのですが、「隔流堤等」とかという1つを入れていただけますと、もう少しいろいろ工夫できそうな気がするのですが。
 以上です。
(委員長) はい。
 ○○委員、地元のお詳しい立場からお願いします。
(委員) 余り難しいことはわからないのですが、かなり具体的に環境の問題とかその他が書いてございますので、非常に進歩しているなという感じを持っております。
 ただ、この河川敷の中で通常、災害がないときには広場ができるわけなのですね、川の中の。これをどういうふうな形で利用していくのかというのが非常に大切なところで、これは先ほど先生方が言われております環境の問題と、それからいろいろな問題が出てきますが、町の中の河川敷の場合は、延岡の場合ですと駐車場になっておりますし、これは市役所の駐車場になっておりまして、そういう使われ方がされております。あとはサッカー場とか、ゴルフの打ちっ放し場とか、そういったものに今使われておるわけなのですが、果たしてそういったことがいいのかなというのが、これから非常に問題として問われてくるのかなという感じはしておりますが、ただ地方にとりましては、どうしてもレクリエーションをする場合とか何とかというのは、こういった河川敷を有効に使わせてもらうということが一番コストが安くてできるところではないかなという部分もありまして、先ほど余りその辺のところが堅苦しく環境、環境と言われると、使い勝手が悪くなるのではなかろうかというふうな危険を今持ちながらお話を聞いておったわけなのですが、我々庶民といたしましては、そういったものがうまく環境と調和がとれながら使い勝手のいい、ちょうど市の中心を通っておるものですから、川の中がそういった使われ方ができるような御配慮をぜひ将来ともしていただくといいなという感じを持っております。
 以上です。
(委員長) 先ほどのお話の中で○○委員からですか、「保全」と「管理」という言葉が輻輳しているというか、混乱しているかというお話がありましたけれども、それぞれどんなニュアンスでお考えですか。
(委員) 具体的にここだというのが幾つかあるのですけれども、今それが見当たらないのですけれども、結局方針ですね。方針ということで、一応国土交通省、要するに河川管理者がつくるものであるから、この部分は、例えばどこがいいですかね、ちょっといろいろ中で、今手元で見当たらないのですけれども、例えば堤防をつくって、治水をしていくという部分で、具体的に今見当たらないので説明しづらいのですけれども、その姿勢ですね。それを例えば環境に対してはある意味で工事も含めて、こういう治水のためにこういう工事をすることによって管理をしていくという部分が保全につなげていくみたいな表現になっているのですね。だから、もう少しその辺の言葉の精査をしながら「保全」と「管理」という部分、立場ですね。立場の中で方針として非常に「保全」というとソフトなイメージになってきていますので、そういう意味で全体的に漠然となってくるのかなということです。ちょっと言い方は悪いのですけれども。
(委員長) これは、恐らく治水のところは「保全」という言葉は余り使っていないでしょうかね。
(委員) 治水のところではなく、全体的に……。
(委員長) 環境問題ではちょっと使って……。
(事務局) ちょっとよろしいですか。
(委員長) どうぞ。
(事務局) 今の委員のお話が、環境のところは「保全」というよりは、きちんと管理するのだ、ぐらいのことをしっかり言うべきだという部分があるというような御意見でしょうか。
(委員) それもあるのですが、その辺のニュアンス、ちょっと待ってください、どこかでチェックしていたのですが、ちょっと探します。
(委員) いいですか。
(委員長) どうぞ。
(委員) ちょっと時間も迫ってきていますので、前回、欠席しましたが、先ほどから河川環境の書き込みについてかなり意見が出ていますけれども、書き込みそのものは私としては全体はやはり河川の整備に対する考え方の変化で、それはそれでいいことだと思っています。
 ただ、いろいろ御指摘があったのは、多分どの川でも最後、いろいろな生物の種類がかなり特定されていまして、そこら辺を少し、場合によってはそこまで記載しない。ただ、上流、中流、下流は特性が違いますので、やはりある程度書かないと、せっかくこれを書いた意味がないと私は思いますので、多少そのような固有名詞を少し場合によっては書かないとか、そういうような工夫をすることで、むしろ全体の記述は、せっかくこう書き込んでいるのはいいことではないのかなという感じはいたしますが、ただもう一つ、そもそもこういうのは基本方針でどう書くべきなのかをきちんと河川部会で議論してほしいという御指摘もありますので、やはりある時期に一度、かなりこういう形で幾つか基本方針の検討が進んでまいりましたので、また小委員会の中でもいろいろな議論の中でこう変わってきているというところを含めて、少し事務局の方でそういうサンプルといったら変なのですけれども、具体的に策定したものを見ながら、またこれからもいろいろな基本方針にかかるわけですので、少し記述のところまで基本方針は踏み込むべきかについては、やはり一度時間をとって議論してもいいのかなという感じがいたしました。
 それから、大変細かい点なので大変恐縮ですが、気づいた範囲でちょっと申し上げて、あとどうするかは委員長と事務局に全部お任せしますが、例えば五ヶ瀬川の9ページでございますが、多分、少し筆が滑ったのかもしれません。「川のダイナミズムを生かした」というのがありまして、ややわかりづらいので、河川としての再生力を云々とか、多分そういう思いだと思いますけれども、少しここら辺の用語は、私としてはやはり避けた方がいいかな、書き換えたらいいかなという感じがします。
 それから、今回はかなり清流のある川が多いもので、環境に関する記述がどの河川も随分細かく、つまり書きたい内容が随分あるということで書かれたと思うのですが、今回、「透明度」というのが番匠川で出てきておりますが、従来、ほかの川では余りなかったと思います。実際にそういう統計があるのかどうか、一度また全国の状況とか、客観的に明らかに透明度の統計があって、非常にあるということであれば数値はある程度書いてもいいですし、また順位と言ったら変なのですが、九州なり、全国の中でもトップ5だとかいろいろあるのでしたら、そういうことは基本方針にまで書かなくても、ほかのいろいろな関連資料の中で、そういうことは広く世に広げていってもいいのかなという感じがしますので、清流とかそういうことは川の1つの美しさとか、環境に対するイメージを非常に的確にあらわす言葉でもありますので、少しそういうことも考えてもいいのかなという感じがいたします。
 以上です。
(委員長) それから、先ほど治水と環境とバッティングしたときにはどうするのか決めておいた方がいいのではないかという議論がありましたが、この辺はどうお考えでしょうか。事務局及び委員の皆様もそれぞれ御意見をお持ちだと思いますが。
(事務局) その点、ちょっとよろしゅうございましょうか。
(委員長) はい。
(事務局) 治水と環境のバッティングについては、先ほどの実現性の話も含めて、一定のそういう調整が可能な範疇というものを、そのままの具体的な絵までというのはまた世の中の誤解を生む部分もあるのですけれども一応ここで挙げております。先ほどちょっとお話をしていました例えば五ヶ瀬川でしたら、大瀬川を広げようと思うと全部市街地をかんな削りしないといけない。しかし、まだ昔のままの片方の川は凸凹になっているから、そこを整正する。それから、少し河川敷で工夫すればこの流量は大体行けるなとか、そういう想定はつけて計画にしてきている。そういう基本的なことにある程度見込みを持っており、それこそ個別の整備計画のときの個別デザインでやっていけるということぐらいに検討しておきませんと基本方針としてもまずいかなと思って、一応そういう確認をとりながら、各河川とも見ているつもりでございます。そのため個別のつくり方の整備計画で処理できるぐらいの検討はできているかとは思っております。
(委員長) それから、何人かの委員から細か過ぎるのではないかという議論が出たのですが、まあこれは感覚の問題もあるのですけれども。
(事務局) これもちょっとだけよろしゅうございますか、短く。
(委員長) どうぞ。
(事務局) 余り漠然としていきますと、結局この川の特徴は何かといったときのことがどんどん薄れていきまして、全部共通の種みたいなところがあって、やはり例示としては少し使わさせていただければと思っているのでございます。しかし、その例示の書き方が間違っていたりとかは、それは最低限避ける必要がありますし、この川のこの生物はこうするのだぞと言い切ることは避けながら、しかしこの川の特徴から言うと、やはりその名前を出したりした方が理解が進むとか、そういうところはしっかり出させていただければと思います。
 それから、一般生物から漁業に近くなるのかもしれませんが、特にアユなどはそれそのものが1つの地域の産業そのものもとして、色濃くなっている場合もあったりして、そこはちょっと触れざるを得ないとか、そういうものに限った形にはしたいと思っておりますが。
(委員長) それから、特に阿武隈川で私は現地を見させていただいて、丸森の峡谷部を見せてもらいました。あそこはとても堤防で守れる場所ではないけれども、人が住んでおられる。こういうところをどう河川行政で対応していくのかなと考えました。お聞きすると、もうあそこの低地に住んでいる方は、盛土なり、輪中堤で対応するとおっしゃっているのですが、そうすると、今住んでいる人はそう対応するとしても、そうしたらこの際ということで川べりに家をつくって、またおれも高いところへ盛土しろとか、そういう行為が出てくる可能性はありますね。そういうときに河川法の体系では、私はうまく対応できないのではないかと思っているのです。今までですと市町村にお願いして災害危険区域に指定してもらって家をつくらないように規制して、法体系としては対応できる建前です。やはり市町村にそこまで責任を負わせるのは酷ではないかと思います。市町村議会にまでそういうふうにやらせる。やはり、例えばああいう丸森でしたら、郡山から福島まで堤防を設置して、堤防で集めた水が流れ込んでいくとすれば、やはり河川行政でちゃんと対応して、河川区域に指定するとか、河川行政の中で建築制限ができるとか、そういう手法もあるのではないかなと私は思っているのですけれども、その辺はいかがなのでしょうか。
(事務局) 委員長とは現地も御一緒させていただきましたが、多分、委員長のおっしゃる話は、法律上の河川区域の取り方というのが、特にこういう峡谷部みたいなところで少しあやふやかもしれないし、法律上、ひょっとしたらもう少しきちんとした区域のとり方があって、その区域に入っている人たちのところの対処の仕方というのが、河川としてもどうするのだということがないといけないといことかと思います。ただ、今、どちらかというと堤防主義といいますか、堤防がある場合、もしくは堤防がある対岸は河川区域はこうするとは法律上は書いてあるのですが、それ以外のことについては、今は記述がないというのが河川法の状況なので、ちょっとまた中できちんと検討させていただければと思っております。そういう地域での対応がきちんとできるような格好で、法的なものも含めてやりたいと思っております。
(委員長) はい。
(委員) よろしいですか。
(委員長) どうぞ。
(委員) 全体についてなのですけれども、治水に関してです。
 ことし8月に台風10号で北海道の日高地方で非常に大きな水害が出ているわけです。死亡10名、不明1名ということですね。これはほとんどが流木の被害なのですね。土木学会が調査団を組んで調査したのですが、沙流川、厚別川は流木の被害が非常に多かった。橋脚、橋台がやられて、それで橋が少しおかしくなったところに、夜、車が気づかずにそれに突っ込んで人が死んでいるということです。沙流川の場合は二風谷ダムが非常に大きな役割を果たしていたのですが、ダムがあればいいわけですけれども、ないところでは本来、流下能力があるところが流れないというようなことが起きているわけですね。流れずに壊れるとか破堤するとかいうことが起こっているわけです。中小洪水のときはそれほど流木はないのですけれども、大きな洪水になると山が崩れるとか、河畔林が流されるとかで、流木の被害が必ず出てくることが非常に心配されるので、こういう基本方針に流木のことを一言ぐらい触れておく必要があるのではないかなという気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。
(委員長) 事務局、どうぞ。
(事務局) 先ほどどちらかの先生からもお話がありました例えば土砂の記述、もしくは、○○先生からですか、フラックス的なものの話だとかについては、阿武隈川みたいに土砂を何とかしなければいけないところは少し記述があるのですけれども、一般的にあるそういう一気通貫の土砂の話や今の流木の話みたいなものについては可能な限り何らかの形で工夫の努力をさせていただければと思っております。
 ただ、それの具体策が今全部見えているわけではないという部分がありますので、ちょっと抽象的なことになるかもしれませんが、その辺はお許しいただいて、やはり土砂にしろ、流木にしろ、そういうものは一貫して見ておかないといけないことは工夫をしてまた御相談をさせていただければと思っております。
(委員長) ○○委員、御意見はございますか。
(委員) 特にございません。
(委員) いいですか。
(委員長) どうぞ。
(委員) 済みません、ちょっと資料がありましたので。
 阿武隈川水系と番匠川水系の横一の部分で、阿武隈川の7ページと番匠川の5ページを見比べていただければいいと思うのですけれども、基本的にこの(2)の「河川の総合的な保全と利用に関する基本方針」という部分なのですが、これを見ると、どうしましても「保全」という言葉が入ることによって環境を中心としてやっていくのではないかというふうな気になります。ありがたいことなのですけれども、ただし中身に関しては、利用に関する部分、つまり河川整備の現状とか諸々を含めて、河川環境の保全に考慮しつつ整備をしていくという形になっております。番匠川の方に関しては5ページ目の部分ですけれども、一番最後が諸々あって、整備を進めることによって「河川の総合的な保全と利用を図る」、これは「管理と利用」ではないかというふうに認識するのですね。
 細かい部分かもしれませんけれども、そうなると(2)のタイトル自体がおかしいのではないかということまで行ってしまいそうなのですけれども、それはさておいて、阿武隈川に関してはその辺がうまく処理されていまして、目標の下から……、ブルーの上のところですね。河川の総合的な保全と利用を図る。それは、その上に段階的な整備を進めるに当たって目標を明確にしてという形で、番匠川と書き方のニュアンスがちょっと違うのですね。そうなってくると、保全という部分も管理という部分も入ってきていますので、その辺の細かい言葉の使い方に関してのみ先ほど申し上げた部分なので、例えば番匠川の5ページの部分は、最終的に「河川の総合的な保全と利用を図る」という部分は、どう読んでいっても「総合的な管理と利用を図る」、あるいは「管理と保全を図る」という形にならざるを得ないのではないかなという気がしています。ほかにもまだ多々あるのですけれども、とりあえず例としてお願いしたいと思います。
(委員長) これは……。
(事務局) 済みません、阿武隈川と番匠川とかの書きぶりのところはおっしゃられる部分があると思いますので、そこは修正等をしたいと思いますが、このタイトルに出てきている「保全と利用」というのは法令上整理されてきているわけですが、法令上整理されてきているから変えられないとかいう意味ではなくて、そのときにもやはり枠組みの議論がありまして、おっしゃっている「管理」という言葉自身がまたいろいろな段階があるのですけれども、「保全」とか「利用」とか、全部含めて「川の管理」みたいな概念に整理をしてきている部分がございまして、そういう意味では、ちょっと誤解を生まないような言葉の工夫はとは思いますが、これらのいろいろなことでそのタイトルの目標としているような「保全と利用」というのを図っていこうと。それも「河川が」というよりは、「社会が」という感じだろうと思うのですけれども、社会として保全すべきもの、それから利用していくべきものみたいなものをうまくしていこうということかとは思っておりますが、ちょっと言葉は誤解を受けないような形で、また先生にもよく見ていただいてと思います。
(委員) 持って帰って流域の皆さんに見せたら誤解を受けますよ。一切やらないのか、保全をしていくのか、今後そういう工事はやらないのかという形での誤解を受けると思いますので。
(河川局長) よろしいですか。
(委員長) はい。
(河川局長) 「保全」という言葉をどう受け取るかというのはそれぞれの立場の差とか、個人差がかなりあろうかと思うのですけれども、「山地の保全」とか「国土の保全」とか、そういうように物理的な「環境の保全」みたいなものも含まれている概念だと思っているのです。そういう中で、生態系だとか、生物の関係、そういうものも当然「保全」でありますが、「国土保全」といった場合には、砂防から防災から治水から、そういうものが全部含まれる概念であろうと思っているのです。そういうことで、使い分けとか解説というのですか、そういうことには気をつけていかなければならないと思いますが、「保全」ということがすぐそのまま大事に残しておくとか、そういう感じではないのではないかと我々は理解しております。
(委員) ちょっといいですか。
(委員長) はい。
(委員) 済みません。では、その部分を注釈でも、今後配慮していただけるような形で、「保全」という言葉、これは従来的には、一般的には違う意味で使われていると思いますので、その辺は誤解のないようにお願いしたいと思います。
(委員長) 最後に○○委員、御意見がございましたら。
(委員) 特にありませんが、先ほど、基本方針に何を書くべきかというお話ですが、これは基本方針と整備計画がセットになって成り立っているわけで、どこかの時点で基本方針と整備計画と、何というのでしょうか、付き合わせるのか、その作成過程に向けてのものも含めて一度議論することが必要でしょうというような感じを受けました。整備計画を立てるに合って、本当に基本的なことが盛り込まれているかどうかとか、その辺のことを、もう幾つか例があるのなら、別途やってみたらどうかという感じを受けましたけれども。
(委員長) これは事務局、いかがですか、整備計画、できた事例を御紹介して。
(事務局) 前回のときも○○先生からも20%ぐらいか、20本ぐらいですか、できてきている中で、やはり当初の思いから実際にある程度やった中でのフォローアップということで、何か新たに切り替えるということである必要はないと思うのですけれども、やってきた中でのフォローアップはしっかりされていくべきかと思いますので、整備計画も含め、その辺をまたお願いしたいと思います。
(委員長) 時間が参りました。きょう幾つか宿題がございました。例えば、生物種名等については、もう少しちゃんと専門家が納得するような種名を書いていただきたいということ、その他ありましたが、もう一度この会議を招集して皆さんの議論を尽くすべきというような課題は、私としてはなかったのではないかと思います。まだまだ議論もあろうと思いますが、きょう言い足りなかったことは事務局に出していただくことにいたしまして、本日の会議で一応きょうの基本方針(案)の大枠は、大枠といいますか、それは皆さんに認めていただいたというふうに考えたいのですが、いかがでございますか。
              〔「異議なし」の声あり〕
(委員長) それでは、さらに御意見のある方は事務局にお出しいただくことを前提に、私と事務局で成案を取りまとめまして、なお各委員には御確認をいただいた上で、河川分科会に御報告したいと思います。
 この件につきましては私に御一任いただければ幸いと存じますが、いかがでございましょうか。
              〔「異議なし」の声あり〕
(委員長) ありがとうございます。
 それでは、そのようにさせていただきます。
 各委員には本議題につきまして、短時間の中で熱心な御審議、御議論をいただき、また貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 特に、審議対象の3水系の関係委員として御参加いただきました○○委員、○○委員、○○委員におかれましては、今回をもって最後の委員会となります。各河川の実情を踏まえた貴重な御助言などをいただき、大変ありがとうございました。
 他の委員の方々には、また別の水系の審議の際に御参加いただくことになりますが、よろしくお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員の御確認を得た上で発言者の氏名を除いて、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することといたします。
 本日の議題は以上でございます。
(事務局) 委員長、ありがとうございました。





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