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河川局

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第14回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成16年9月13日


2.議事
高瀬川水系及び子吉川水系の
河川整備基本方針について

(委員長) 本日は、委員の皆様にはご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。
 前回は、高瀬川等2水系の特徴と課題につきまして審議いただきました。今回は、前回の審議を踏まえて、高瀬川等2水系の河川整備基本方針の本文案について審議していただくこととなります。高瀬川水系、続いて子吉川水系という順序にて審議を進めたいと思います。
 それでは、まず、高瀬川水系から、事務局より説明をお願いいたします。
(事務局) 事務局、○○でございます。座ってお話をさせていただきます。
 まず最初に、前回のときにいろいろお話が出ておりましたことにつきましての補足説明をさせていただきたいと思います。A3判の資料1のほうをごらんいただきたいと思います。
 A3の資料1、補足説明資料をお開きいただきまして1ページ目でございますが、前回、高瀬川水系につきまして、貧酸素現象のお話を○○委員等からいただきました。その辺のご説明は前回の資料にございませんでしたので、若干用意してございます。A3のものを見ていただきますと、左上の図でございますけれども、よくご案内の方もおられるとは思いますが、上のほうから太陽の光で温められますと、湖の上半分に温かい層ができます。それと、途中から急に冷たい層ができまして、一つの区切りができます。躍層が生じております。左上の絵で見ていただくように、中に左の上のほうから栄養塩が入ってきますと、日光との関係でプランクトンが非常に多く発生いたします。このプランクトンが死滅したりしまして、下のほうへ沈殿していきますと、小さな文字で恐縮ですが、分解される過程で酸素を消費する、これが貧酸素水塊の一つの原因です。
 それから、もう一つは、一番底のほうにたまっておりますものから、底泥の分解によって酸素消費がされるというので、下のほうの冷たい水のところに酸素が行かないというようなことが起きます。これを右のグラフで見ていただくとわかりますが、水温のほうは同じように温かいところから急激にずっと下がっていくんですが、ちょっと見づろうございますが、えんじ色みたいなところに、DO、溶存酸素ですね、溶けている酸素の量を見ますと、躍層のところで急激に減ると。
 これがこの湖に対してどうなっているかということは、左下でございますが、通常はあまり大きな影響はございません。一つは、かんがい用水なんかの水利用、それから、先日お話し申し上げましたようなシジミその他の魚介物でございますけれども、下の絵の左上が5月から10月ぐらい、要は、太陽が照りつけるときは、ちょっと絵が見づろうございますけれども、黒い点線がつながっているところが急激に下がります。そこで躍層が出ます。ところが、右のように11月から4月はそんなに太陽が照りつけるということはございませんので、全体が攪拌して水温は一様な分布になっております。これを酸素で見ますと、左下のように、夏場でございますと、酸素の量が左のグラフのように水深10メートルぐらいのところで急に下がっていくということになっています。ただ、ヤマトシジミの生息は大体水深8メートルぐらいまででございますので、ここもあまり大きな影響を与えていないという状況です。
 右上のほうをごらんいただきますと、どういう場合に問題になるかでございますが、これは現実に平成6年の夏に起きましたことでございますけれども、風が湖を吹き上がりますと、それをもとに湖の水が、おふろに入れた水がポチャンポチャンといくように振動を起こします。端のほうへ行きますと、貧酸素、酸素の少ない水の塊がヤマトシジミなどの生息域まではい上がってくるということで、平成6年の夏にはヤマトシジミの斃死、たくさん死ぬというような現象が起きてございます。
 先ほど左上で見ていただきましたように、栄養塩が一つの原因でございますので、NとかP、窒素、リンなどを削減してあげればこれらが抑制されるということで、現在、下水道整備の中でも、閉鎖性水域の湖でございますので、高度処理を行うということにしてございます。右下のほうには高瀬川の流域別下水道整備総合計画、平成2年から平成22年の中でもそういう中身にして、今、元から退治をしていこうというのが現状でございます。ご意見も、私どもの本文の案で「貧酸素化現象の解明に努める」としておりましたが、ちゃんと発生を抑制するということではないかということで、本文のほうもそういうように直して、反映させていただいております。
 次のページでございますが、今度は、お話の中で、○○委員等から、事業の中での環境保全とか親水について十分配慮したやり方をということでございました。2ページにございます生物の状況は前回もお付けしているものでございます。こういう汽水域で、かつ湿地が広がっておりますので、いろんな貴重な動植物がございます。ここについては、一つは水質等の改善、それから、こういうところの保全もあるんですが、左下にございますマコモによる植生浄化というので、うまく自然に合いましたような方法で水質の浄化等をやろうというようなことを考えてございます。
 ちょっと言い忘れましたが、真ん中の下にございますように、そもそも前回お話し申し上げましたように、貴重な汽水、微汽水域の環境を守るということで、治水対策の手法そのものを、前はマウンドを掘削して、塩水を全部遮断して、水門も設けまして淡水化するということを、長い越流堤を設けまして、現在のマウンドもそのままにして、微汽水域の状況を守ろうという、これは大きな点でございますが、加えて今申し上げましたような周辺でのマコモによる植生浄化などもやろうということ。それから、下水道等の整備、流域市町村とか地域住民との連携・協働によります面源負荷の削減、さらに、環境に関する情報収集やモニタリングの実施、住民参加による環境教育等の充実とか、河川湖沼愛護活動等の推進ということで、この辺は本文のほうにもそのようなことを反映させていただいてございます。
 次の3ページでございますが、今、自然環境のほうのお話を申し上げましたが、もう一つの親水性のお話でございます。どういう特徴があるかというと、非常に広大な湖でございますが、周りで幾つかのところは砂浜がございまして、真ん中の航空写真の丸で囲みましたようなところが代表的な砂浜でございますが、そういうところでは、幾つか周りに提示してございますように、湖水浴が非常に盛んでございます。ここのこういう状況、それから、真ん中にございますように、水面が非常に広大でございますので、カヌーとか、ボードセーリングだとか、湖水面を利用したレジャーみたいなのが盛んであると。こういうのがこの湖での一つの利用での特徴でございます。
 右下に今後の取り組みということで、自然体験活動や環境学習ができる場の整備、小川原湖の美しい水辺景観の維持保全に努める、それから、市町村や市民団体との連携により、小川原湖の魅力を引き出すように情報発信に努める、このようなことを本文の中にもきちんと書いて、これまでもある程度やってきてございますが、今後の方針として定めておきたいというようにしてございます。
 以上が、高瀬川につきまして前回お話が出ておりました分の補足説明をさせていただきました。
(委員長) ただいまの説明について、ご質問、ご意見ございましたら、ご発言をお願いします。
(委員) 内容的に結構だと思うんですけれども、ちょっと誤解されそうな絵があるので。1ページ目の貧酸素水塊の這い上がり、右から左に風が吹くと、ここでは振動で界面が上がるというような絵になっていますけど、吹き寄せだけでも上がってきますので。上がり方が、矢印がついているのと逆な方向ですね。風上側が上がります。だから、この絵だとちょっと変に誤解されると困るので、直されたほうがよろしいのではないかと思います。  それから、2ページ目のマリモの学名を片仮名で書いてありますけれども、学名を片仮名で書く習慣はないと思いますので、これはやはりアルファベットの斜体で書かないとちょっとまずいのではないかと思います。
 以上でございます。
(委員) 細かいんですが、1ページのところの水温躍層の絵が左下にありますが、これは低水温層とされるか、水温躍層ですと紫の幅のもっと上のほうに寄せていただいたほうがいいと思います。
(委員長) ほかにございますか。ありましたら、次の段階でご質問いただくことにしまして、続きまして、高瀬川水系の河川整備基本方針の本文案について、事務局から説明をお願いします。
(事務局) 引き続きご説明させていただきます。
 資料のほうは、資料2−1が今の整備方針の骨子でございます。それから、資料3−1が整備方針の本文でございまして、従前の工事実施基本計画との右左の対比にしてございます。大変恐縮ですが、両方お目通しいただきながら、資料2−1で、要点といいますか、書いてある中身についてのお話をさせていただきます。
 まず、資料2−1のほうで見ていただきますと、まず、河川の総合的な保全と利用に関する基本方針ということで、これは本文の資料ですと1ページ目にございます。流域及び河川の概要を書かせていただいております。水源から河口までの概要。幹川流路延長、流域面積、流域の土地利用。流域の地質、降雨量。それから、小川原湖は河口から約6キロに位置して、面積は汽水湖では全国5位。小川原湖の微汽水環境は淡水流入量と下流からの塩水侵入量のバランス及び湖口のマウンド、河道形状により維持されている。
 それから、本文の2ページの真ん中ぐらいから、流域の自然環境に触れさせていただいております。ポイントとして、上流部の小坪渓流等にはエゾウグイ、ヤマメが生息。中流部にはワカサギ、トウヨシノボリが生息。それから、小川原湖のある下流部は微汽水性の湖内に汽水性及び淡水性の水生植物が多く生育し、世界の汽水湖ではまれなマリモが確認されるなど、貴重な汽水環境を有している。小川原湖は、ヤマトシジミ、ワカサギ、シラウオなど、全国第2位の豊富な水産資源に恵まれています。湖口部のマウンドはヤマトシジミの産卵場になっていること。それから、マテ漁、シガビキ漁などの伝統漁法が高瀬川の風物詩になっていること。それから、河口の干潟やワンドは魚類の産卵場、生育場、水鳥の採餌場。小川原湖の湖沼群はガン、カモの越冬地、渡りの中継地。仏沼一帯はオオセッカ繁殖地の最大の地域で、鳥獣保護区に指定予定等、こういう状況です。次のページへいきまして、カンムリカイツブリの繁殖地であること。それから、小川原湖は、小川原湖だけでなくて周辺の湖沼もあわせましたビオトープネットワークの要であることでございます。
 水害の歴史と治水事業の沿革のところには、本文3ページ下ぐらいからでございますが、昭和7年に七戸川、坪川、赤川の改修に着手いたしまして、その後、昭和33年の洪水で甚大な被害を受け、放水路の工事がなされ、昭和52年に竣工している。昭和47年に一級河川に指定されまして、昭和53年3月の工事実施基本計画で現在の計画になっている。小川原湖の湖岸堤をこれまで整備しておりまして、さらに湖岸堤の整備を図るとともに、河口閉塞対策とか抜本的な湖水位低下対策が必要になっている。
 水質は、4ページ下ぐらいからですが、豊かな生態系を支える安定的な微汽水湖であること。それから、塩分濃度がこうであること。それから、塩水が一旦侵入しまして、一部滞留し、それが薄まった格好の微汽水域であること。COD、BOD等の状況。一部の地域でアオコが発生し、下水道整備とともに生活排水の浄化対策が取り組まれていることでございます。
 河川水の利用としまして、周りの農業用水を導水して、この地域の発展があったこと。それから、250余りのかんがい取水があって、塩分濃度は許容限界のぎりぎりぐらい、それ以内であるということでございます。
 3ページ、河川の利用として、先ほど申し上げましたレクリエーションとしての周辺の住民の方の利用。それから、水上スポーツとかワカサギ釣り。それから、ここにあります小川原湖子どもサミットとか、環境学習の場としての利用もなされてきていることを書かせていただいております。
 次の(2)から、河川の総合的な保全と利用に関する基本方針ということで、これは本文で6ページからでございます。ここのところが、今後どういうふうに整備をしていくかということでございますが、全体的な総合的な方針としては、汽水環境の保全に配慮しつつ、治水、利水、環境にかかわる施策を総合的に展開しよう。それから、水源から河口まで一貫した計画、段階的な整備を進めるに当たり目標を明確にして実施。健全な水循環系の構築を図るため流域一体で取り組む。河川、湖沼の有する多面的な機能を十分発揮できるよう維持管理を適切に行うという方針で、全体を見据えまして、アは、災害の発生の防止又は軽減でございます。流域全体としては、河口部に放水路を拡幅して湖水位の低減を図るとともに、湖岸堤、導流堤を設置して、計画規模の洪水を安全に流下させるという方法に変えようと。放水路の拡幅に当たっては、今のマウンドを保全して汽水環境等に配慮した方式にしようということ。湖岸堤の整備に当たっては、植生の保全再生に努め、導流堤の整備に当たっては、沿岸漂砂の流れが近隣海岸の砂浜に及ぼす影響について必要な対策を講ずる。内水被害の著しい地域についても、その被害軽減対策を図るということにしております。
 河川管理施設の管理、ソフト対策でございますが、良好な状態の保持と施設の高度化、効率化。それから、洪水も計画以上のものが来ることがございます。それに対する超過洪水への備え。それから、情報伝達体制等を通じました被害軽減。それから、水系一貫の河川の整備というものでございます。
 イとしまして、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持としては、本文は8ページの上からでございますけれども、奥入瀬川からの流域外導水もありまして安定的に供給されておりますが、今後とも合理的な水利用を全体としては図っていくように関係機関と連携してやっていこう。それから、小川原湖の現状の環境を保全するため、現況の流況を維持して、水量や水質を監視・観測する。新しく水を生み出す施設というのでなくて、現状でそういうものを維持・保全しようというものであります。それから、渇水等発生時の被害を最小限に抑えるために、その他のソフト対策といいますか、情報提供体制、それから水融通の円滑化等々をしていこうというものであります。
 ウは、河川環境の整備と保全ということで、本文8ページの中ぐらいからですが、河川環境の整備と保全としまして、利用と自然環境の調和のとれた河川整備。それから、河川環境の整備と保全が適切に行われるよう、空間管理等の目標を定めて、地域と連携しながら川づくりをしていこう。
 動植物の生息地等につきましては、先ほど来出ております河口の干潟や汽水域の環境保全。そういうところでの汽水性の特徴あるマリモの生育環境の保全。オオセッカ、カンムリカイツブリ等の繁殖地と生息環境の保全。ヤマトシジミの産卵場、生息環境の保全というものを、現状の特徴ある自然環境をきちんと保全できるようにしていこうというものであります。
 それから、良好な景観として、小川原湖の四季折々のすばらしい景観がございます。これの維持・保全。
 それから、人とのかかわりで、先ほど来の自然とのふれあい、スポーツ、レクリエーション、体験できる施策等を展開していこうということであります。
 次のページでございますが、水質につきましては、これも、先ほどの動植物の状況等を踏まえまして、流域全体として、面源対策から、こういう湖にせねばなりませんので、そういうものを進めていこうと。それから、貧酸素化現象の発生の抑制に努めよう。
 それから、治水、利水、河川環境との調和を図った敷地の占用等の方針。
 それから、きちんとモニタリングをして当たろうということ。
 それから、地域の魅力と活力を引き出す河川管理ということで、情報を全体的に地域にお知らせしていくこと、それから、防災学習だとか、安全教育、環境教育など、そういった面での連携を図っていこうということ。それから、住民参加を推進していこうということであります。
 最後です。上下流毎の方針ということで、上流部は渓流がございます。そういった特徴ある、そうした面での景観の保全に努めるということと、自然のふれあいを渓流に合わせたものとして整備しようと。下流部は、まさに湖及び湖周辺でございますので、河口の干潟、ワンドの状況等々の保全、それから、鳥類の繁殖地でありますヨシ原その他の湿地帯等のネットワーク等々でございます。このあたりを書いております。
 それから、6ページからというところは、恐縮ですが、本文の11ページから、こちらのほうは河川の整備の基本となる事項ということで、これは前回ご説明申し上げましたが、11ページは左と右で書き方が変わってございます。現在は、一般的な書き方として、通常、どのぐらいの洪水の流量にするとか、計画の対象を流量で書いておりますが、この湖というものの実態管理からいたしますと、湖水位をどうするかという問題でございますので、湖水位の水面で書くタイプに書きかえてございます。計画高水位としては1.7メートルというものにしてございます。
 12ページは、今のをもとにいたしまして、主要な地点での計画高水流量に関する事項でございます。これは、下のほう、ちょっと小さな図で恐縮ですが、出口のところが、前回来お話し申し上げています、ドンと大きな放水路をつくってドンと流すというよりは、長い越流堤をつくりましてやんわりと流すというので、ちょっと見づろうございますが、放水路の部分の数字が1,250から850まで少し下がっております。機能としては、同じような機能を持たせるということで、水位は最高で1.7メートルに抑えるわけです。それから、各支川の流量が書いてございます。これは石狩川等でこの場でもご審議いただきましたが、この辺、書いたり書かなかったりとバラバラだったので、基本高水のピーク流量の1割を超えるものについて記述をしようということで、出口から出ていきます合計量が毎秒1,000トンということで、それ以上、1割を超えるものを記述させていただいております。
 13ページでございますが、今度は、主要な地点における計画高水位及び計画横断形でございます。一番上の地点名のところを従前、早稲田と書いておりますが、先ほど来ございますが、湖全体としての水位管理だとすれば、小川原湖と表示をさせていただいてございます。それから、高瀬川、高瀬川放水路は今の施設、先ほどの施設に合わせました数値に変えてございます。
 それから、14ページは、主要な地点における流水の正常な機能を維持するために必要な流量ということでございます。従前、左のほうでは背景だけ書きまして、特別、具体的な量は定めておりませんが、今回、右のほうでは、高瀬川の本川でございます七戸川の上野地点、湖へ入ります少し前でございますが、ここでの検討をいたしました。これは前回見ていただきましたものでございますが、おおむね毎秒2トンとするということを記述させていただいております。
 小川原湖、高瀬川につきましては、以上でございます。
 それから、前回、委員長のほうから、高瀬川のむつ小川原開発計画全体の中で、それを契機として一級河川水系になってきた経緯があって、今、むつ小川原開発は当時と状況が変わってきている中で、この水系についてどう考えていくのかということでございました。当然、河川法の規定の中でも、知事さんの意見を聞くということにもなってございます。じかに知事まで上げていただきまして青森県知事のほうからは、青森県知事としての見解をいただいております。そのまま読みますと、高瀬川については、むつ小川原開発の国家プロジェクトと調整を図り、国直轄の治水対策を行っていただいてきた、治水対策については、今後とも国直轄により、一級河川として、引き続き放水路と本川及び小川原湖を一体として総合的に取り組んでいただきたいということで、いただいております。なお、この後、分科会にこの結果を委員長のほうからご報告、それから全体でご審議をいただくわけでありますが、分科会のほうにも知事ご本人ができれば出席をしたいというようなお話をいただいております。
 以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。
 ただいま、高瀬川水系の河川整備基本方針の本文案につきまして説明をいただきましたので、ご質問、ご意見がございましたら、順次ご発言をお願いいたします。
(委員) 一つ質問なんですが、こちらの対比表の12ページに図が載っているのでございますけれども、新しい図のほうで、越流堤の存在をきちんと入れておいたほうがわかりやすいのではないかと思うのですが、そのあたりはいかがなのでしょうか。
(事務局) どういう施設かということにつきましては、河川整備基本方針と、これを受けましてつくります河川整備計画との間で若干の役割分担が法的にありまして、具体の施設のところは整備計画のほうに書くということにしてございます。ここでそういうことを書こうとすると、ほかも具体の施設を書いていくのかというところがありまして、大きな全体の仕切りとしては、そうさせていただいております。ただ、おっしゃられますようなことがございますし、今回、メーンの大きな計画の変更の中身にそれらの方法が入ってございますので、文章の中には、例えば、7ページの一番上に、アとして、災害の発生の防止又は軽減というところで、最初のほうの文章でございますけれども、2段目ですね、越流堤とは書いてないんですけど、放水路の拡幅に当たっては、湖口マウンドを保持し、現行の汽水環境の保持及びヤマトシジミの産卵場に配慮した方式により実施するというので、そこで違う方法をするということを書いたつもりでございますけれども、今、冒頭申し上げましたようなことで、役割分担をさせていただいているというものでございます。
(委員) わかりました。ありがとうございます。
(委員長) よろしゅうございますか。そのほか○○委員から全体的に何かございますか。
(委員) 前回も申し上げましたけれども、小川原湖、高瀬川の非常に貴重な環境を守る方向での計画案を出していただいたことに大変感謝いたしております。確かに小川原湖については、総合開発事業が二転三転するというような状況の中で、高瀬川、小川原湖についてもいろいろな状況の変化があったわけでございますけれども、総合開発事業が中止の方向に動いてしまったということは、地域振興の面から期待していた方もたくさんいらっしゃると思う中で、ある面では残念なことでもございますが、逆に小川原湖の気持ちになって考えれば、ひょっとしたら小川原湖はほっとしているかもしれないと思うわけでございます。小川原湖の気持ちになって、これからの計画をぜひ進めていただきたいと思うわけでございます。その意味では、マウンドを掘削しないで保全することにしたということは、非常に新しい方法として、小川原湖の気持ちとしてもうれしいのではないかというふうに思っている次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
(委員長) そのほかございますでしょうか。○○委員は、例の水位の関係はこれでよろしゅうございますか。
(委員) はい、結構でございます。
(委員長) ○○委員からもご意見をいただいていますが、これは調整済みですか。
(事務局) いただいたところで、恐縮でございますが、文章のところはここの部分までまだ修正がいっておりませんので、後で、中身そのものではないと思いますので、どちらかというと、根本的なというよりは言い方についてのご指摘がほとんどかと思っております。
(委員長) ページ5で、「広大な湖面でのサーフィンやヨットなどの水上スポーツ」とあるが、これは適正な利用から見て生態系に過剰な負荷を与えていないか。ご質問の趣旨をご本人がいれば説明していただけるのでしょうけど。
(事務局) ここの場所は最初の現況を書きますところの部分でございますので、そのことそのものはこのままにしたいと思いますが、いろんな利用につきましては、例えば、9ページにそういう利用、これは占用のところが中心になっておりますのであれでございますけれども、占用及び許可工作物の設置・管理となっているので、ちょっと直したほうがいいかもしれませんが、動植物の生息・生育環境の保全、景観の保全に十分配慮するとともに、多様な利用が適正に行われるようというようなことでございますので、ちょっとこの辺、どこかへそのことをきちんと反映したほうがいい部分につきましては、また委員長とご相談させていただいたところで整理できたらと思っております。
(委員長) 湖岸を全部人工利用するという趣旨ではないわけでしょう。それを質問したのかなと思ったんですけど、ある程度ゾーニング的な考え方を持つのかですね。
(事務局) 現状は、先ほどの地図にございましたように、少ないゾーンでの……。
(委員長) 3カ所だけですけど、あれを全部こうやるのかねという質問ですが。
(事務局) 誤解のないように、少し気づかった文章にさせていただければと思います。
(委員長) そのほかございますでしょうか。どうぞ、○○委員。
(委員) 本文の8ページの下の河川環境の整備と保全のところでお教えいただきたいんですが、貴重なオオセッカやカンムリカイツブリがおるということなんですが、この餌は何なのでしょうか。というのは、オオセッカやカンムリカイツブリを保全するためには、その餌を確保してやらないといけないので、餌になる生物が、例えば、ほかのここで保全を求められている生物の生息環境と相反するという、そこまでの配慮は要らないのかどうか確認したかったんです。
(事務局) すみません。正直、どこの食物で、どうなってというところは今にわかにお答えができない状況でありますが、そこまで含めたところでいつも各現場でも見てございますので、当然のことながら食物連鎖というか、ツリー図で整理をしていこうと思っておりますが、具体の名称につきましては、恐縮でございますが、今持ち合わせていません。
(委員) 後ほどで結構でございます。よろしくお願いいたします。
(事務局) 細かいところでございますけれども、一応、カンムリカイツブリだとか、この辺は雑食性で、両生類、昆虫類、水草、魚類、その他を食べているようでございます。
(委員) ありがとうございます。細かいことですが、下から3行目の汽水生の「生」間違いですので、よろしくお願いします。
(委員長) それでは、時間の都合もありますので、次へ移りまして、後でまた、まとめてご意見がありましたらいただくことにいたしまして、子吉川水系の審議に入りたいと思います。子吉川水系について、事務局から説明をお願いいたします。
(事務局) それでは、先ほど、最初に使わせていただきました資料1、A3判の補足説明資料というものをお開きいただきたいと思います。これの4ページからが子吉川になってございます。
 本日ご欠席でございますが、○○委員のほうから下流の市街地の中での深掘れ等の状況につきましてご指摘がございました。左上の地図がございますが、これは本荘市内でございます。四寺とかいう、この地域の重要なお寺がございますが、その地域の周辺が、3.2キロ付近だとか、こういうので少し狭くなってございます。こういうものは深掘れその他でどうだろうかということでございました。具体的には、左下が断面図でございます。2.4キロというのが上の図の左側のほうです。それから、3.2キロというのが今ちょっと話題にしました狭窄部のところでございます。見ていただきますと、カーブしている状況に合わせて、例えば、2.4キロでは右岸のほう、3.2キロでは左岸のほうで深く掘れてございます。ただ、経年的にこれを昭和60年、平成5年、平成9年と見ますと、そう大きく変動はしていない。結構安定したものだととらえられます。
 それが1点と、右側を見ていただきますと、今の3.2キロのところの断面図に緑で書きましたところが、今回の計画の流量をきちんと流そうというために緑の線まで掘削をする予定でございます。そうしますと、ちょっと下のほうに書いてございますけれども、深掘れそのものにつきましては、流速全体が低下いたしますので、ここの深掘れが助長されるというようなことはないのではないかと。それから、先ほどのように変化もあまりないということでございます。
 それから、右下のほうは、それを縦断的に見てございます。グラフの下の軸が、左側が河口部です。海のほうでございまして、河口から何キロという距離でございます。1つは、緑の線が今回の河川整備基本方針で整備された後のもの、それから、後先になりましたが、紫の点線で書いてありますのが現況でございまして、計画流量が流れますと、一番厳しいのは3.2キロの急縮部でございまして、ここの部分はこのぐらい下がると。あとのところは、若干下のほうは上がる部分がございますけれども、全体としては低下するという状況でございますので、大きな問題はないかと思いますが、いずれにしても、こういう施工に伴いまして、順次よくモニタリングをしながら確認をして、そういうことを進めるというようにしたいと思ってございます。
 それから、5ページでございますが、段丘を利用した遊水地の整備とございますけれども、河岸段丘のお話、河岸段丘地形が中流部は特徴的でございます。ここでの遊水地のお話が数人の委員の方からございました。
 最初に6ページのほうを見ていただきたいと思いますが、6ページ右下にございますのが、これは前回もちょっとお示ししたものでございますけれども、中流部の段丘は、川の周辺の黒い線から斜線が引いてあるようなところが段丘部です。茶色い斜線が引いてあるのが段丘でございますけれども、大体お住まいになっている。人の集落の多くはこの段丘の上にあると。下のほうは主に水田があります。下に住んでおられる方も一部ございますが、こういう地形の中で、例えば、昭和22年の洪水では、その下の平地のところは水がつくという状況になっているわけであります。こういうところでの遊水地の利用、それから、霞堤等の話もございました。
 5ページに戻っていただきまして、よくご案内の先生方には若干釈迦に説法でございますが、5ページ、今の地形でそのまま氾濫いたしますのが上のイメージでございます。これを、洪水が効果的に防げるようにといいますか、ためられるようにしているのが下でございます。右の絵で見ていただきますと、段丘の上に人が住んでいるんですが、下のほうのところで水がつきます。ところが、洪水の水位が上がりますと、そのまま広がっていきますので、洪水をここでためているという効果はあまり大きくはございません。
 その量が左側のグラフでございまして、中流部のこの辺の地域で、一つの計画遊水地みたいな、ある地域を考えますと、その分は毎秒90トンぐらいの低下ですが、下のグラフとか絵を見ていただきますと、結局、小さな洪水のときは周りも問題はございませんので、大きな洪水のときだけたくさんためられたほうが、下流のところに対して、特に洪水のピークといいますか、大きな流量のときには効果があると。右の下の絵のように、緑で越流堤とございますが、これをつくりますことで、ここまではあふれないで、これ以上になりましたらたまり始めるということにしてあげますと、左下のグラフのように、最初は上の絵と比べて何もためません。ところが、ある程度いきましたところでは非常に大きな量が逆にためられて、一つの試算でございますが、毎秒200トンぐらいのカットができると。それから、右の絵のようなところで越流堤をつくりましたような地域は、小さな洪水ではしょっちゅう水がついておりましたのが、今度は水がつかなくなるということで、ある種の効率的な手法がとれるというものでございます。
 6ページへまいりまして、これと、もう一つ、霞堤というお話も先日いただきました。これの違いはどういうことなのかというようなご質問もいただきましたので、並べてございます。今申し上げました遊水地が左上でございます。これは利根川の茨城あたりの遊水地でございますけれども、写真の右にありますような赤丸で囲ったところが一部低くなってございます。普通はここを乗り越えないで川のほうだけを流れるんですが、一定以上の大きなものになりますと、ここを越えまして、左が全体的に茶色くなっておりますが、洪水の氾濫の量がためられるというものでございます。
 一方、下のほうは霞堤、これは黒部川の扇状地のところでございます。右のような写真のところで、急流河川のところではこういうものが多うございます。左下に絵がございますが、これは、じょうごみたいなのを重ね合わせた堤防でございますが、洪水がある程度になりますと、ここから周りへあふれ始めます。しかし、引きますと、すぐ引いていくというか、また、引きやすいというか、あふれました洪水も川に戻りやすいような格好になっています。先ほどの遊水地は、かなり広い田んぼがあるような、そういう地形のものでございまして、こういうところに霞堤というのをやりますといつまでたっても水が引かないというので、急流部ではそんなに周りへあふれませんが、一旦あふれたものがすぐ引くというような場合に霞堤、それから、一旦あふれた水がなかなか引かないようなところは越流堤ということで、少し構造を工夫してあげまして、平地のダムみたいなものでございますが、水をためて洪水が全部引きましてからゆっくり流すというような、そういう地形と方法の特徴で成り立っているわけでございます。それぞれの周りの地形だとかに合わせて、これらの手法を使っていこうというものでございます。
 今回の子吉川につきましては、中流部は水田とかが広がっております場所が幾つかございますので、これを、うまくためやすい遊水地、ご協力いただけるところについては遊水地として考えようと。また、方法論を今後考えないといけないわけですが、こういう地形ですので、もっと今後、委員長や○○先生のほうからもございましたように、これらの活用についてさらに検討していきたいと思っております。
 具体的には、それらについてあまり情報量が少ないのではないかというのがございましたので、流域と河川の概要、参考資料5−2のほうにもしっかりとその辺の記述を書かせていただきましたのと、本文のほうも、この辺を踏まえて、ちゃんと遊水の機能の保全だけではなくて強化も図っていくというようなことを記述させていただけたと思ってございます。
 次に、7ページでございますが、これは○○委員のほうからお話がございました。上流には鳥海山がございます。こちらのほうは活火山でございますので、噴火が心配されるわけでございますが、特に洪水の話といたしましては、融雪型、雪が融けるタイプの火山泥流というのが下流のほうまで影響してくるおそれがございます。左の絵で見ますと、鳥海山が左下にございますが、そこから子吉川のところでオレンジ色に塗りましたところ、ずっと本荘市まで、河口の海のほうまで幅広くなっております。こういうところまで、融雪型の火山泥流が発生しますと、雪が融けて、ドンと洪水が来て、泥流が流れるというようなことが心配されているわけであります。これを全量こういうふうなものに対してハードで対応するというのはなかなか難しゅうございますので、一つは、もうちょっと詳細版も必要かと思いますが、ハザードマップみたいなもの、それから、今のハード対策は山のほうでのハード対策、それから、ソフト対策として、例えば右下には、センサーをそれらに関連しますところへ設けまして、これらの情報がいち早く下流部のほうへ伝わる体制を整えてきてございますので、こういったところで被害の軽減を図っていこうとしております。本文のほうにもその辺の記述を入れたいと思ってございます。
 補足の説明は以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。ただいまの説明について、何かご質問またご意見がございましたら、お願いします。どうぞ、○○委員。
(委員) 遊水地についてお伺いしたのは、洪水調整のメカニズムはわかるんですが、それの費用を、つまり、今までは勝手に氾濫しておりましたのが、今度は、そう頻繁には氾濫しないけど長期間氾濫するというぐあいに変わってくるわけです。すると、当然、そこでの水田等の所有者との関係が生じてくると思うんですが、専用の遊水地ですと買収ということになるんでしょうけど、それをちょっと伺いたかったんです。
(事務局) かなり以前からございますような遊水地的になっているもの、それから霞堤になっているところは、多分、買収だとか、財産権上の整理はございませんが、計画的に、先ほど見ていただきましたような写真にありますような遊水地は、日ごろ例えば水田等ではお使いになれますので、一般的には地役権補償といって、一部その土地の利用について制限をすると。そこへどんどん家が建っては本末転倒になってしまいますので、そういったものをやっております。そういうところの費用はお支払いをして、ご理解を得てというところが計画遊水地でございます。霞堤そのものを今新たにつくっている例はあまりないかと思いますが、先ほどの歴史的な話も含め、どちらかというと、何もないときよりは水害が広がらない、かつ、それの低下がスムーズに行われるということで、財産上の買収その他というのはございません。
(委員) 浸水したときに農業被害が出たような、例えば、24時間以上湛水して水稲が被害を受けたという場合はどうなんですか。
(事務局) 農業のいろんな助成制度はあるかと思いますが、一つは公的なものと、もう一つ農業共済でおやりになっているものがありますが、すみません、詳しくなくて……。
(委員) 結構です。
(委員) 関連ですが、黒部川の霞堤のちょっとこっちのほうに家が建っていますよね。こんなところまでは水は来ないんですか。それとも後から家を建ててしまってということなんですかね。どうなんですかね。
(事務局) 写真上ではちょっとわかりませんが、この地域をたまたま私が歩いたとき、ほかの地域でもそうなんですが、わずかな地形としては、周りの水田なんかだとか、いろいろなところよりはちょっと高いところに多分お住まいになっていると思います。新しく新興住宅なんかで建てたところは別にしましても、そういうところは過去の経験等で少し高まったところへ建てておられると思いますので、そんなふうになっています。
(委員) 通常、扇状地だから、あふれると、こういうふうに下に流れる。
(委員) こっちへ流れちゃうわけ。大丈夫なんですね。私も富山県庁におったんですけど。
(委員長) お2人とも大変興味のあるご質問です。この課題は、現地でまだいろいろと対策を模索している部分もあるんじゃないかと思います。河川局が金持ちの時代だったら、バリバリとお任せと言えたんです。だんだん現行制度下では対策をとりにくいところが残ってきて、それをどうするのというご質問だと思うんです。ひとつそれぞれ現場で悩んでいることを踏まえて、また研究課題として取り上げたらどうかと思います。
(委員) 遊水地についてなんですが、東北では、遊水地というのはおそらく西日本に比べて極めて有力な治水の方式だし、実際に南谷地遊水とか、昔からあるわけです。遊水地の取り扱いについて、地役権であるとか、どういう補償をしているのかとか、どこかで整理していただけたら、先ほど委員長のお話にもあったんですが、個々の遊水地について、どういう手当てを過去やってきたかというようなことを、こういうことを考える場合に、どこかで整理していただければ非常にありがたいと思いますが。勉強という中で整理をやっていただく。
 一つ、遊水地という言葉がこういうふうに定義されたのはいつごろからなんでしょうか。昔から遊水地という言葉はあって、遊水する場所を言っていたわけですが、越流堤を設けて調節の施設をつくるのは、ある時期、渡良瀬調節地とか、調整地と呼んでいましたね。そういう言葉が一般の社会と、ここでは遊水地というのを越流堤の施設を設けたものと定義してあるんですが、混乱が起こるんじゃないかという気がしていまして、我々が何かものを書く場合でも、むしろ昔の定義のほうがわかりやすいというか、遊水調節地とか何か、遊水がほしいのなら、そこら辺は将来考えたほうがいいんじゃないかという気がしましたので。
(事務局) 厳密には、計画遊水地という使い方と一般的な遊水地と言っているときがあります。それから、若干法令の中に遊水地と登場してくるのがありまして、これは完全に計画遊水地をイメージした言葉になっております。
(委員) 計画遊水地というのが……。
(事務局) 私どもで決まったものというわけではないんですが、区分して使おうとするときには、そういう使い方をしていることがございます。
 それから、先ほどお話がございましたが、今日も少し表にしたものも用意したりしておりましたんですが、遊水地その他、氾濫原を利用した治水対策方式について少し整理したものを後日またお示しさせていただければと思います。
(委員長) 個別の河川はまたそれぞれの川の委員会で検討していただくことにして、従来、ダムをつくったり遊水地に取り込んでいくというのがだんだんやりにくくなってきた時代でもあり、かつまた、その地域の土地利用がそう簡単には変わらないとすれば、何かいい方法があるのではないかと思います。一例として水戸の那珂川というのは、江戸時代はずっと水害がなかったのが、低いところに人家が張りついちゃったばかりに、10年に1回ぐらい大水害が起こっていますね。そうすると、土地利用も少し考えていただかんと、勝手に住んできた人を水害防除でまた莫大な税金をかけるのかねという問題がついて回ってきます。ここで事務当局は現状の制度の下でご説明しているんですけど、もうちょっとうまい方法で対処する制度も考える必要があるのじゃないか。ひとつ東北地方でもいいお考えを出していただきたい。そういうことで、ここはあまり詰めないで、次の……。
(委員) 宿題で結構なんですが、これは結局、上流のダムの計画を今度はこういうふうに変えようということですよね。そういうふうな計画論をとれるところととるべきでないところ、あるいは、なぜここはそういう方法をとるのかということについて、似たようなことを当然ほかでも考えたらいいじゃないかというご指摘はあろうかと思うんです。なぜここはこういう方法が一番いいのかということについては、ぜひ少し整理をしておいていただいたほうがいいんじゃないかという気がいたします。
(委員長) 大きな課題として受けとめて、それぞれの川の課題を頭に浮かべながら、また河川局で大きな検討課題にしていただくといいのではないかということで、お願いしたいと思います。
 それでは、子吉川水系の河川整備基本方針の本文案について、ご説明をお願いします。
(事務局) それでは、資料2−2、それから資料3−2という2つのほうを恐縮ですがごらんいただきたいと思います。先ほどと同じように資料2−2のほうを見ていただきながらと思います。
 最初、河川の総合的な保全と利用に関する基本方針で、流域及び河川の概要につきましては、全体の基礎的なこと、それから、鳥海山から発し、河岸段丘を流下して、下のほうに本荘市があると。
 それから、流域の自然環境につきましては、上が国定公園の鳥海山、中腹にブナの原生林。イワナ、ヤマメがいて、だんだん下がってきますと、サクラマス、サケ、アユ、あと、下流部の汽水域はシロウオ等々でございます。
 子吉川の歴史としまして、藩政時代、西廻り航路の河口港であったこと。それから、河岸段丘が平野部にかけて発達してまちができたこと等でございます。
 それから、次のページへいきまして、水害の歴史と治水事業の沿革ということで、最初は秋田県のほうで掘削、築堤をやってきました。昭和20年から昭和40年代前半の洪水を契機に、昭和46年に直轄事業になって、昭和62年に現在の工事実施基本計画が策定されております。その後もいろんな洪水が発生しております。
 それから、河川水の利用ということで、農業用水、水力発電、都市用水として利用され、一部ため池などで対応してきているんですけれども、抜本的な対策みたいなものが望まれております。
 水質は、全川にわたり良好。
 それから、河川の利用につきまして、明治時代から水上スポーツが盛んな「ボートのまち」であること。それから、「子吉川市民会議」をはじめとして、地域ぐるみでの啓発、環境学習等の活動。それから、非常に全国でも先駆的でございますが、川の持ついろんな効果を生かした「癒しの川づくり」というものの重要な実践地であって、いろんな効果も得ているということでございます。
 それから、(2)は、今後どうしていくかというところ、これは、本文の5ページから始まりますけれども、河川の総合的な保全と利用に関する基本方針ということで、ここは先ほどの高瀬川と基本的には同じでございますが、治水、利水、環境のバランス、水系一貫であること、ちゃんと目標を定めて実施していこうということ、単に川の中だけではなく健全な水循環系としての構築を図ろうということ、多面的な機能を十分発揮できるよう適正に維持管理をしていこうということでございます。
 これが全般で、次の3ページからは、本文の5ページ下のほうからになりますが、災害の発生の防止又は軽減につきましては、洪水調節施設と河川改修、具体的には、一部のダムと今話題になりました遊水地などの調節施設と河道の掘削その他改修ということで、安全に洪水を流下させる。それから、河岸段丘地帯では、人家の少ない低い段丘面を利用して遊水機能の確保強化を行いながら、治水安全度の効率的向上を図ろうということ。
 それから、管理、ソフト対策等でございますが、施設の良好な状態の保持、管理の高度化、効率化、自然災害、自然現象でございますので、計画以上のものが来ましたときの軽減対策、それから、ソフト、情報その他での被害をなるべく小さくする対策、水系一貫の河川整備ということを基本論として書いてございます。
 イのほうの河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持としましては、都市用水等の安定供給、流水の正常な機能の維持のため、水資源開発というものをここのところはきちんと行っておかないといけないということ。それから、広域的、合理的な水利用の促進。渇水等発生時の情報連絡、水融通というような全体の被害を軽減する対策。
 それから、ウは、河川環境の整備と保全ということでございますが、先ほど来ございます舟運の歴史、ボートの利用等がございます。この辺を考慮して、良好な河川景観の保全と多様な動植物の自然環境を次世代に引き継ぐということをメーンにしまして、地域との連携の中で川づくりを推進していこうということであります。
 全体を受けまして、動植物等につきましては、河口部の汽水域の保全、シロウオ等の産卵場の保全、それから、次のページでございますが、天然のアユやサケ、サクラマスなど回遊性魚類が遡上してございます。この辺の遡上環境、産卵床、生息環境の保全。外来植物の拡大を防ぐための裸地化の防止。
 それから、良好な景観の維持や形成。鳥海山、河畔林など特徴的な景観がございます。この辺を含めた対応。それから、まち並みと調和した水辺。
 人と川のふれあいということで、子吉川の恵みを生かしつつ、自然とのふれあい、環境学習の場の整備。それから、先ほど来出ておりますボート等の対応、癒しの川づくりというような活動を踏まえた利用促進を図ろうと。
 それから、水質ということにつきましては、地域全体での良好な水質の保全。
 それから、工作物の設置管理につきましては、治水、利水、環境との調和。
モニタリングをしっかりやろうということ。
 それから、地域の魅力と活力を引き出す河川管理ということで、情報の幅広い共有と防災学習その他との連携、住民参加というものでございます。
 その次からは、本文のほうでごらんいただきたいと思います。本文の9ページでございます。ここは、河川の整備の基本となるべき事項ということでございまして、基本高水のピーク流量と計画流量でございますが、この部分につきましては特段変更はございません。先ほどお話がございましたように、中身として、次のページをごらんいただいたほうがいいかと思いますが、10ページでございますけれども、従前、上流のダムで調節をしようとしておりました分につきまして、遊水地で対応すると。その結果、石沢川というところに流量が増えてございます。従前はこの分をダムで左側にあります毎秒700トンに下げるというようなことで下流へ対応していこうとしておりましたものを、そこにはダムのカットを入れない毎秒1,100トンで、下流の二十六木橋までの間、それから、そのもう少し上流のところも含めまして、このあたり全体で遊水地ができやすい場所ということがございますので、そこをうまく活用いたしました対策をしていこうというものでございます。流量の基本高水と計画高水の基本のところは、基準点での量は変わりません。
 それから、11ページは、それを踏まえた計画高水位及び計画横断形でございますが、基本的には新旧で変わりはございませんが、一部、現地の細部と合わせて、10.33が10.32になっているという、微小な、現地の今の状況に合わせたものでございます。
 それから、12ページでございますが、流水の正常な機能を維持するための必要な流量ということで、一部左側、現行は、河川法上の10項目の検討をいたしまして、毎秒11トンというふうに宮内という地点でなってございますが、内容につきましては、同じように、右側のほうもおおむね宮内地点で毎秒11トンという、内容を変更する必要はないということで、若干文章のスタイルは変わってございますが、内容については同じでございます。
 以上でございます。
(委員長) それでは、ただいまのご説明にご質問、ご意見ございましたら、お願いいたします。○○委員、どうぞ。
(委員) ちょっと表現を変えていただきたい。1ページの下から4行目、「鳥海火山帯は、新期安山岩を主体とした第四紀層である」とありますけれども、これは地質屋の目から見ると違和感がありまして、まず、鳥海火山帯という火山帯はございません。多分これは鳥海火山地帯とか、そういう意味で、「地」が抜けているのかなと僕は勝手に思っているんですが、それはそれでいいとして、「新期安山岩を主体とした第四紀層」と言いますと、第四紀層というのは普通、堆積岩の新しいやつの地層を指すので、ここは「新期安山岩を主体とした火山噴出物層」とか何とか、そんな表現にしておいていただいたほうがいいと思います。
 それから、もう1点、この間申し上げればよかったんですけれども、子吉川も高瀬川も災害の項目がありますね。災害発生の防止と軽減というのがありますけれども、その中にやっぱり津波を入れておいていただきたい。というのは、子吉川の正面の海域というのはちょうど地震の空白域になっているんです。1983年の日本海中部地震の震源域と、それから、大分前ですが、1833年に起きた庄内沖の地震との間が空白域になっていますので、まさに真正面でマグニチュード7.7ぐらいが起きますと、大津波が襲来する。しかも日本海の場合は大体地震発生から6〜7分で津波が来てしまいますので、津波が河川をさかのぼるというのは、この間の紀伊半島沖の地震でもはっきり映像にも映っておりました。あの程度なら、あの程度で済むんですけれども、7.7ぐらいになりますと、かなりの津波が川を遡上するので、津波防災をひとつ考えなきゃいけないかなと。
 高瀬川も同じで、ご存じのように三陸沖というのは地震の巣でありまして、今、中央防災会議で日本海溝・千島海溝の専門調査会が防災の議論をやっているところですが、例えば、高瀬川の本川と放水路と両方から津波が入ってくると、小川原湖に海水が流れ込んで生態系がむちゃくちゃになるおそれがあるんじゃないかと、そういう心配もありますので、津波の問題もひとつ災害の防止・軽減の中に加えておいていただければということです。ご検討願えればと思います。
(事務局) 今後検討するというようなことについてはきちんと注記しておいたほうがいいのかなと思うんですけれども、具体的にどうするという像が今はっきり見えているわけではない部分でもございますので、おっしゃられたようなことは大事だぞということは何らかの書き方を工夫させていただければと思います。
(委員長) それでは、子吉川も高瀬川も含めて、ご意見がございましたら、どうぞ。
(委員) 先月末、たまたま鳥海山のブナ林を見学する機会がありまして、その際、子吉川の源流部の一部を見てまいりました。流域には豊かな森林が広がっておりまして、源流部を管理する国有林の関係者や、あるいは地元の鳥海町の人々も、自然環境に十分留意した森林の保全整備に努めていきたいということでしたので、この方針書にも書いてありますが、地域と連帯を強めて、ぜひ子吉川の清流を守ってほしいと思っております。
 それから、地元では、河川改修や護岸工事等、河川環境のかかわりついて関心を持つ人が多いようであります。したがいまして、これらの工事を実施する場合には、魚類や水生植物等の生息環境への影響等には十分配慮を払っていただきまして、子吉川の豊かな河川環境を維持してほしいと、このように思って帰ってきたところでございます。
 以上です。
(委員長) ○○委員、ご意見がございましたら。
(委員) 子吉川の地域の住民は相次ぐ洪水の経験が頭に焼きついておりまして、それを一番不安に思っているわけでありますので、ただいまのご説明にありましたような、遊水地域を設けるとか、こうした計画を聞くと皆さん非常に安心することだろうと思います。また、その上に立って、市民のいろんな活動とか、生物の保存、そうしたことに皆さん関心を持つとか、また、クリーンアップに協力するとかということが続けられていくだろうというふうに思いますので、非常に期待しております。
(委員長) ○○委員、どうぞ。
(委員) 確認なんですが、高瀬川はもともと二級河川であって、むつ小川原開発が始まったときに一級河川にしたわけです。それで、今のむつ開発がこういう状態になったということで、先ほどのご説明ですと、本委員会にも青森県知事さんがご出席になられるということですが、地方の時代というときに、昔は県でやっとったから、これもこれから県でやらせてくれというような意見があるのか、ないのか、その辺は、むつ小川原はむつ小川原として、いろいろ洪水も起こるから国のほうでよろしくと、こういうことになっておるのか、その辺は、きちっとしたところがないことには、ずるずるといくと後でまた何やかんやということになってもと思うんですが、その辺の確認を、むつ小川原を一生懸命やってきましたから、それがこういう状態になって、また……。ほかにも二級河川を一級河川に、例えば相模川なんかも、宮ケ瀬をつくるときに二級を一級にしたりしていますよね。それから琵琶湖、あれは一級河川ですけれども、いろいろ県との関係もあるので、そういうところを、私は地元やないからよくわからないんですが、地元の方はやっぱり自分でやりたいと思っとられるのか、それともやっぱり国にやっていただきたいと、そこら辺の整理はきちっとできとるのか、それを確認しておきたいと思います。
(事務局) すみません。うまく申し上げられていなかったのかもしれませんが、そういう意味で前回もちょっとお話がありましたので、県のほうにも知事まで確認をして、要は、県としては、知事としては、むつ小川原開発が若干状況が変わってきておりますけれども、今の小川原湖、それから放水路、本川のセットした部分をきちんと国のほうでやってほしいという意思表明をわざわざしておられるようでございまして、さっき分科会のほうもできれば出たいとおっしゃっているのも、そういう意思をしっかりと自分たちは持っているというようなことをおっしゃりたいというようなことのように伺っておりますので、そこのところは全然問題はないんです。国としても、中途半端な状況というのでなくて、一応、セットのところはきちんとして、そういうご意見も踏まえ、していくべきではないかというのが今回の整理かと思っております。
(委員) ありがとうございました。
(委員長) それから、○○委員からのご意見は、また調整ということでいいんですか。あまり基本的なところではないようですが。では、以後調整させていただくことにしたいと思います。
 ○○委員、ご意見ございますか。
(委員) ありません。
(委員長) 時間の関係でございますが、いろいろご意見もあろうとは思いますが、本日、この2本の河川の基本方針については取りまとめられる段階になったと思いますので、本日の議論を踏まえ、私と事務局において河川整備基本方針(案)を取りまとめ、各委員にご確認をいただいた上で、河川分科会にご報告したいと思います。この件につきまして私にご一任いただければ幸いと存じますが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

(委員長) ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 次に、事務局より、新潟・福島豪雨災害、福井豪雨災害に関して、前回の委員会で指摘のあった点について補足説明をした後、去る8月24日に政府に提出されました地方六団体による国庫補助負担金等に関する改革案について、河川局としての見解を説明したいとの申し出がございました。各委員にとっても関心の高いところと思いますので、事務局から説明を受けたいと思います。事務局から説明をお願いします。
(事務局) ○○でございます。まず、1点目の前回の小委員会で水害等のご報告をした際に、被災者への生活支援の制度、仕組みがどうなっているかということについて、ご説明をさせていただきます。
 お手元の資料4をごらんいただきたいと思います。表紙をはぐっていただきました右下に1と書いてありますページに、まず、災害対策の体系を簡単に整理させていただいております。左側が人命救助とか施設被害の防止に関する災害対策全般に関すること、右側のほうに本題でございます被災者の生活支援に関することをまとめております。
 右側のほうを中心にご紹介いたしますと、まず、事前の対策という意味では、これは自助ということになろうかと思いますが、損害保険への加入ということが一つございます。
 それから、実際に災害が起こりました直後の支援、これは物的な支援が中心になりますが、こういう観点では、災害救助法に基づきます炊き出しでありますとか避難所の設置、仮設住宅の建設等が行われます。また、感染症予防法による消毒ですとか、ごみ処理の問題なんかの支援もございます。
 それから、その後の生活再建支援という観点、これは金銭支援ということが主になってまいりますが、被災者生活再建支援法に基づく金銭の支給、あるいは、災害弔慰金支給法に基づく弔慰金等の支給、あるいは、災害減免法等による税の減免、住宅金融公庫による災害復興住宅の融資制度、さらには、義援金が集まった場合には、それの配分支給、こういったことが行われております。
 2枚目以降、主立った制度の概要をご紹介しております。
 被災直後の支援につきましては、災害救助法により都道府県が住民に対し市町村を通じて物的な支援をするというのが代表的な施策でございまして、左上に書いておりますように、住宅等が全壊した世帯の数が人口に対して一定数以上の市町村を都道府県知事が指定して措置をとるということになっております。具体的には、人口5,000人未満の市町村では30世帯以上、人口30万人以上の市では150世帯以上となっております。このとき、半壊した世帯については2世帯で全壊1世帯、床上浸水については3世帯で全壊1世帯としてカウントするということになっております。対象となります項目は、右側のほうに書いておりますが、被災者の救出、炊き出し、衣服、寝具その他生活必需品の貸与、避難所の設置、応急仮設住宅の建設、住宅の応急修理、あるいは学用品の給与等々でございます。費用負担は、原則、国と都道府県が折半するということになっております。
 それから、感染症の蔓延のおそれがあるような場合には、都道府県が市町村に指示をして、浸水地域の消毒のため消毒剤を住民に配布する、場合によっては市町村が直接消毒するというような措置もとられております。
 それから、3ページが、災害直後に各地域で大きな問題になります災害廃棄物の処理の問題でございます。この問題につきましては、左側のほうに分けておりますが、家屋・宅地内の泥、粗大ごみ、倒壊家屋等の瓦れき、被災自動車といった区分で、宅地外への搬出のところがどうなっているか、あるいは、宅地外から処理場への運搬、あるいは処理そのものがどうなっているかというようなことで整理しておりまして、まず、泥とかあるいは粗大ごみについては、宅地外への搬出については、原則は被災者ご自身にお願いすると。最近ではボランティアの協力、あるいは自衛隊に要請して手伝ってもらうというようなことも行われております。
 宅地外からの運搬処理については、基本的には廃棄物処理法に基づいて市町村が行うということになっております。ただ、泥の場合につきましては、これは国土交通省の都市・地域整備局が所管しております災害復旧事業で、一定の条件を満たす場合には対処することもできるというようなことになっております。それから、家屋の瓦れき等の宅地外への搬出は、原則は被災者でありますけれども、実態上はなかなか大変だということもあって、そこも含めて市町村が処理しているということのようでございます。
 それから、被災した自動車につきましては、原則は被災者ご自身で処理していただくと。対象となる保険に加入しておられる場合は、その保険で費用負担がなされると。ただし、エコノミータイプの車両保険では水害が対象になっていない場合も多いということのようでございます。
 次に、4ページでございますが、生活再建支援のための金銭支給等でございます。
 代表的なものが、上のほうに書いておりますが、被災者生活再建支援法という内閣府が所管しております法律でございます。これは、阪神淡路大震災の後、いろんな議論の中で平成10年に議員立法で制度化されたものでございます。現在は、年収の条件等はございますが、全壊あるいは大規模半壊した世帯を対象に最高で300万円を支給するということになっております。支給対象の中が大きく2つに別れておりまして、生活必需品等の物品購入費、医療費、あるいは、仮設住宅等に引っ越す必要がある場合は引っ越しの移転費等でございまして、この部分で最高100万円、それから、もう1つのグループが居住関係でございまして、住宅の解体・撤去費、あるいは、賃貸住宅に入居する必要がある場合はその家賃ということで、最高200万円まで、これを国と都道府県が2分の1ずつ負担するということになっております。2つ項目がございますが、後段のほう、居住関係の部分につきましては、今年の通常国会で新たに追加された措置ということでございます。昨年度までは上のほうの最高100万円だけということだったわけでございます。
 それから、もう1つ、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく弔慰金等の支給ということで、亡くなられた方が生計維持者の場合は500万円、その他の場合は250万円、重度の障害の場合はその半額という弔慰金あるいは見舞金の支給、それから、災害援護資金の貸付といったような制度もございます。こちらのほうは厚生労働省が所管しているものでございます。
 あと、5ページには、そのほかの面での支援策ということで、1つは、住宅関係では、公営住宅に対して優先的に入居していただくというようなあっせん措置がとられております。また、住宅金融公庫で災害復興住宅の融資、通常よりも金利等で優遇された融資制度が行われております。
 それから、保険による保険金の支給ということもかなり行われておりまして、水災にも対応した火災保険あるいは自動車保険の場合には、保険金がおりるということになっております。今回の新潟・福井の豪雨では、火災保険、自動車保険合わせて、これまでに約200億円ぐらいが既に支払われているということのようでございます。
 あと、税の関係につきましては、もともと所得税法の中で雑損控除の仕組みがありますが、さらに災害減免法による所得税の減免制度、あるいは地方税法による地方税の減免制度などもございます。
 あと、義援金が集まった場合には、それを適宜配分・支給するということで、新潟豪雨の場合は、亡くなられた方あるいは住宅が全壊された世帯に対して20万円、福井の場合は、全半壊あるいは床上浸水の世帯に10万円、それから、平成12年でございますが、東海豪雨の場合は、亡くなられた方に20万円、重傷、全壊世帯に10万円という支給がなされたということでございます。
 以上がポイント的なところでございます。あと、お手元に参考資料ということで、今ご紹介しましたうちの災害救助法の関係、あるいは弔慰金の関係、それから、被災者生活再建支援金の支給条件の詳細なり、あるいは最近の支給実績の資料をお配りしております。時間の関係で説明は省略させていただきますが、1点だけ、恐縮でございますが、4ページのところに、一番下の行で、これは被災者生活再建支援金の支給実績のコメントなんですが、東海豪雨のときに、一番右のほう、「8世帯に計560万円」と書いておりますが、これは誤植でございまして、18世帯に1,347万円というのが正解でございます。恐縮でございますが、ご訂正をお願いできればと思います。こちらのほうは参考資料ということで、後ほどお目通しをいただければと思っております。
 以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。ただいまの説明にご質問等がございましたら、お願いします。
 今のご説明の制度は、大体自動的に動くようになってきているんですか。
(事務局) 基本的には災害発生直後に適用されるということで、例えば、参考資料のほうの2ページをごらんいただきますと、災害救助法の最近の適用率等がございます。先日の台風18号、9月7日でございますが、広島県に対しても既に適用されているという状況でございます。それから、この資料には入っておりませんが、被災者生活再建支援法のほうも、災害救助法の適用市町村は自動的に適用対象になるというような仕組みにもなっておりますので、申請は少し時間がかかりますが、そもそも対象になるところは既に明らかになっております。新潟とか福井については少なくともどこどこが対象になるということは発表されているところでございます。
(委員長) よろしゅうございますか。
 続きまして、次の課題について事務局から説明をお願いします。
(事務局) それでは、右肩に参考配布−1、地方六団体の「国庫補助負担金等に関する改革案」についてと書きましたA4の横長のものをごらんいただきたいと思います。
 時間の関係がございますので、さっとご説明させていただきますが、1枚めくっていただきますと、少し流れが書いてございます。これまでの経緯というので、いわゆる骨太2004というか、経済財政諮問会議で審議し閣議決定されました、この中で、補助金改革等をきちんとやっていこうというようなことがございます。今の中に地方の意見に十分耳を傾けるというのがございまして、6月9日には、8月20日までに具体案を提出してくださいというふうに地方六団体のほうに要請がなされております。
 これを踏まえて、知事会、市長会、町村会、あと議長会とか、6つの団体でいろんな議論がありまして、大きな整理は、8月18日、19日の全国知事会、新潟で行われましたが、ここで主たる議論がなされている感じがいたします。ここでの知事会の案を同じ19日の午後に東京へ持ち帰りまして、六団体で最終調整、24日には経済財政諮問会議の場で総理への提出ということになってございます。
 全体的には、内容が、河川とか砂防、そういった生命財産に対応する事業について大きく対象になってございまして、おかしいのではないかというのが幾つか出ておりますが、次の2ページでございます。そういうのがずっと続いているのが8月から9月の頭にかけてでございまして、9月3日には閣僚懇談会がございまして、政府一丸となって11月半ばを目途に全体像を取りまとめるということで、地方の案を真摯に受けとめ、17年度予算に最大限活かすというような話が出ております。
 9月7日には関係大臣の会合がございまして、今のようなことが官房長官からも、それから各大臣から、ほとんどすべて皆さん、いろいろな問題のご指摘でございましたが、国土交通大臣、この時は副大臣が代理ですけれども、問題であるというようなお話をされています。
 今後、14日ぐらいから国と地方の協議の場というのが設けられまして、これの第1回目が開かれます。これが何度か開かれまして、11月の初めのころ、遅くとも半ばぐらいに全体像の取りまとめというのになる予定でございます。
 いろいろな新聞その他でご案内かもしれませんし、ただ、非常に表面的な話だけで、中身についてはあまり伝わっていないところもございますので、以下、3ページからその内容等、また、私どもも、ここはどうかなと思われますところを、あまりバイアスがかかったものでなく、なるべく等身大の情報といいますか、淡々と見つめたとき、どうかというようなことを申し上げたいと思います。
 3ページには、今の案の中身でございますが、よく3兆2,000億円の国庫補助負担金、補助金の廃止・移譲ですね、地方へ移譲しようということがございます。3ページの表は、一番上から、@の経常的な国庫補助、そこに主なものとしてどういうものがあると書いてあります。経常的な国庫補助のものでAのようなもの、それから、施設整備、いわゆる箱ものをつくるもの、Cの黄色いところが私どもの関係いたします投資的な公共事業の補助でございます。Dが義務教育の中学校分と言っているものです。3兆2,000億円の内訳で、大体6,000億円ずつ上の項目がありまして、義務教育の8,500億円ぐらいということでございます。移譲額のところに8割とか10割とか、いろいろ書いてございますが、義務的経費については、移譲いたしましても地方のほうで10割確保するというようになっておりますが、8割と書いてありますところは、中身によってかなり圧縮されるみたいなものが入っております。Cの公共事業のところに8割から一部10割と書いてあるのは、後でもっと詳しくお話し申し上げますが、特に、河川とか砂防の災害関係のものについて、知事会の中でも議論がありまして、こういう補助金を廃止してということではないほうがいいというご意見が非常にたくさん出たんですが、通常8割のところを10割きちんと確保するから、それでいいではないかというような、ちょっと変な、若干上っ面の議論で終わっております。
 4ページは、具体的に今回の河川の関係なんかではどういう状況になっているかということでありますが、このページは、上のほうにありますように、全省庁の廃止対象の公共事業の部分は5,889億円でございます。この内訳を見てみますと、42%は河川とか砂防の部分になってございますので、今回、公共事業廃止の大手が河川の部分になっているわけでございまして、個別の河川とか砂防の補助予算、県とかで行っています事業のうちどのぐらいかといいますと、その下の黄色にございますように、66.6%が廃止です。砂防に至りましては約9割弱、88%が廃止ということになります。下水道につきましては1,000億円ぐらいで、12%ぐらいです。道路、港湾、空港その他につきましては特別なく、農水省でも幾つかございます。
 何でこうなっているかというのは、後でも出てまいりますが、実は、六団体がまとまった案を出そうということでございますが、市長会とか町村会、市町村では、公共事業のところを廃止に含めることについて反対でございました。原案からもそういうものがなかったのでございますが、それを六団体としてまとめるに当たりまして知事会で言われたことは、市町村が何らかのお金の負担等をしているものは全部除こうということで、要は、都道府県のみが費用負担しているものにつきまして取り上げたというものであります。
 河川の場合は、河川とか砂防は法定受託事務というものになっています。それ以外は自治事務というものでございまして、今回、いろんな改革は、国が、地域のはしの上げおろしといいますか、細かいことまで中央政府が口を出すのはおかしいというところで本来始まっているわけでありますが、先ほどのように市町村から文句を言われたくないというところがありまして、文句が言えないように、ところが、市町村のほうで反対と言っているのは、県のみが負担している公共事業についても廃止されるのが反対だと言っているわけでありますが、ところが、県のみが負担しているのであれば市町村は口出しできないということから、県のみが事業になっているものを挙げましたところ、先ほどの河川事業のように法定受託事務になっていて、これは国の事務に近い、国家として特に生命財産を守るというような事務があがりました。河川、砂防事業はほんとうに地域性のあるというよりは、もうちょっと国全体で考えるべきものというふうに分類されている分だけ、市町村事業はあまりなくて、ほとんどが県の事業になっている。その結果全く本末転倒ではありますが、本来、国の事務にふさわしくないものを廃止対象にすると言ったのが、県の負担のみの事務となったため、逆になってございます。
 ちなみに、例えば、港湾とかでも、スーパー中枢港湾という国際的なものと市町村事業が実は同じ予算の科目の中に入ってございまして、若干細かいテクニカルみたいな話でわかりづらいかもしれませんが、そういうふうに少しでも市町村事業が入っているものは対象外になっている反面、全部県の負担となっている事業は挙げるというものです。これは単にリストで、機械的に挙げると河川とか砂防が多くなるということになってしまうわけであります。
 このこともありまして、実は、5ページ、6ページには、実際の18日、19日の知事会の場でもかなり知事さん自身も反対をされています。公共事業のところで議論があったのは河川、砂防の災害関係がほとんどでありまして、一部、下水道のお話を一人二人がおっしゃいましたが、ほとんどは災害関係の河川、砂防のものが廃止リストに入っているのはおかしいというようなご議論でございました。新潟、福井、その他、被害に遭われたりしているようなところを中心に、そうです。
 それから、5ページの下には、もともと税財源を移譲するとなっているんですが、ここはちょっと細かい話で恐縮ですが、建設国債というもので公共事業は行われておりますので、移譲する財源はないというように財務省は言っておりますし、16年度予算もそれはございませんでしたので、またリストに挙げてもだめだというのが大阪府やその他の知事さん方のご意見です。
 6ページには、先ほど10割とございましたが、うまくいくかどうかわからないけど、地方に10割全部行くようになっていればいいのではないかというようなことで、8割、10割にあまり意味があるとは思われないんですけれども、といいますのは、県によって、災害は時を選ばず場所を選ばずみたいなものがあるので、いつも同じ額ではないというのが災害対策の普通の絵姿でございますから、いつも同じ額というのは変なんです。
 それから、最後だけが、これは反対というか、載せておくべきだというご意見があった。これも内容の議論ではなくて、一部例外をつくると全体が腰砕けになるというようなご意見がございました。こうした数字は、そのとき、18日と19日の間に知事さん方にアンケートをとったのでも、おかしいと言った知事のほうが、このままでいいと言った知事よりも、河川だとか災害なんかのところにつきましては多かったんですが、ここのところはあまり情報公開がきちっとされていないというのが現状でございます。
 7ページは、その後に、8月31日に経済財政諮問会議で財務大臣が言っていることです。これは何で載せてあるかというと、こういうのが普通の取り扱いだというので載せているわけでありますが、先ほどありました廃止案及び税源移譲ということになっているわけですので、一般的に社会から見ると、別に廃止しても補助金という形がなくなるだけで、現実、そういう対策が行われるということにつきましては、税源が移譲されてちゃんと行われるのではないかというような誤解があるかもしれませんが、Bの公共投資関係についてというところを見ていただきますと、例えば、1つ目の・は、全体的にスリム化をすべきようにしている、これは公共事業も福祉も地方財政も全部なのでございますけれども、公共事業につきましてもそうだと。
 2つ目の・は、建設国債を財源にしているので、そもそも移譲すべき財源がないと。16年度もそのため0でございますので、リストでは挙げたけど、税財源は県には行かないというのが16年度の絵姿でございます。
 それから、1つ飛ばしまして、投資単独事業については、地方財政計画上、実際の執行額を大幅に上回る財源手当てがなされている。したがって、地方は、必要があれば、削減した公共投資関係の補助事業を単独事業として執行する余地がある。これは何かといいますと、地方財政計画を立てると、実は災害対策ですとか、いろんな公共投資みたいなのをもっときちんとこういうふうにやりますと最初は言うんですけれども、現実、ふたをあけると、いろんなものに使われ、相当下回る格好になっています。これは国が立てている計画ではなくて、県がお立てになっている計画でもそうなっていますので、実際はギャップがあるわけです。そうすると、このギャップ分、今使っていない、公共投資に使おうと言っている分をちゃんと使えば財源手当てを新たにしなくてもいいんじゃないかという、若干皮肉みたいなところもございますが、言っているわけでございます。
 個別の補助金についてとCにございますように、そもそも必要性で考えるべきものであるというようなこと等でございます。
 それから、8ページは、今のようなことを少し絵にしてみますと、こういうようなことでございまして、実際、税財源が行くわけではないので、7割、9割の事業が廃止になります。7割と言っているものの残りは、さっき言い忘れましたが、災害が起きました後にやります災害復旧みたいなものは残っておりますので、災害が起きたときに緊急的にポンと投資するようなものは補助金としてあるということになっておりますが、あとは廃止というふうになっています。
 先ほども書いておりますけれども、左にございますように、都道府県の事業のみというものを挙げたと、少しでもまざっていれば挙げていないというので、変な、いびつなものになっております。おかしいという意見が知事会でも出ましたし、市長会、町村会は全く反対でございましたが、かなり強引に押し切られたところがございます。
 下のほうは、先ほどの法定受託事務というか、もともと国が担当しているような事務が、ほんとうに地方だけで考えればいいものとは違う事務とが本末転倒的になり、今回リストになっておりますので、中身のある議論はあまりされておりません。
 9ページでございますが、仮に移譲されましても、幾つか問題がございます。具体的には、問題点@というのは、災害は時を選ばず場所を選ばず発生しますので、予算がいつも同じではなくて、今年災害があったり、しばらく災害が多いと、そのところに予算が行くと。それが補助金のいいところで、全国の資金をプールしておいて、ポンと必要なところに出すというものですので、義務教育とかが話題になっていますけれども、そういうのは例年そんなに変動があるわけではないわけですけれども、非常に変動がありますというのが河川事業と砂防事業で、これは5年間でどのぐらい変動しているかというのを見ていますが、これぐらい大きく半分になったり1.何倍になったりというのは、多分、こういう災害系の事業以外は全省庁の事業を合わせてもほとんどないと思われます。
 先ほどちょっと申し上げました災害復旧関係と言っているのは、河川激甚災害対策特別緊急事業などというのがありまして、単に災害復旧という、現状に戻すというのがあるんですけれども、それ以外に、例えば、今回、新潟や福井でも起きました水害に、再び同じ水害に遭わないようにしようという事業が、ここで書いています激特事業などでございます。これはちゃんと変動したところに行くんですが、こういう変動したものを除いても、さらにすごく変動している。先ほども言いましたように、倍、半分になっているというのが河川や砂防の事業の特徴でございまして、これが、先ほどありました廃止及び移譲と言ったとき、移譲は、今、基本的には下にございますように住民税で行われようとしていますが、住民税というのは住民の数でいくわけですので、例えばというので平成16年で見ますと、左下にございますように、平成16年に実際行っている予算に対して、仮想で住民税でやった場合としますと、住民がたくさんおられるところはドンと増えるんですが、赤系でかいてあるようなところは減るわけです。例えば、新潟とか、福井とか、水害に遭っているところも、4割になったり3割になったりということになるわけです。若干の調整をするとはなっていますけれども、それも具体的調整の方法が今あるわけではありません。
 10ページは、順不同でございますが、先ほど申し上げた河川関係の事業というのは建設国債というもので賄われていますので、移譲の対象にはなりません。これは16年度に行われた事実そのままですが、1兆円ぐらい削減したと。しかし、左側の義務教育だとか公立保育所なんかは財源が地方へ行くんですけれども、公共事業につきましては、単に国が借金しているだけなので、県がまた借金しているおやりになる分にはどうぞということですけれども、そういうふうなところはないと。細かいところはいろいろわかりづらい面があるかもしれませんが、現実、16年度もなかったということでありますし、8月31日にやっぱりないと財務大臣は宣言をしているわけです。
 Bで書きましたのは、先ほどありました、集中的に災害が起きた後にやります激特事業というのがあります。緊急にそこの対策をやろうと。これは、例えば、平成10年ぐらいの高知水害とか、幾つかの水害がこの年はありましたので、これを絵にしておりますが、左のほうが伸びていますけれども、これは、右のほうの赤でかいたところをかんな削りというか、全部持ってきて集中投資する事業ですので、左側の予算だけあっても、非常にお金持ちで小遣いをだれかに上げるというような形態だとそうできるんですけれども、四苦八苦してやり繰りしているわけですので、左側の集中投資だけができるということは普通はないです。細かい予算的なことでわかりづらい面があるかもしれませんが、制度面でも破綻しているものかと思います。
 11ページは、実際、ここしばらくの水害とかがどんなふうに起きているかというのを地図で見ますと、毎年同じところに水害があるわけではなくて、ある年は高知県だったり、あるときは新潟県だったりというので、その後、その対策に使う費用みたいなのをボンと集中投資するというのが、通常いつも平均的に来る一般財源と違った補助金のよさかと思うんです。一見耳ざわりがよいというか、地方分権だとか、地方の時代だとか、いろんなことが言われますが、具体的中身のことが議論されていない分、非常に漠として、こういう実態とかは何も反映されないというのが現状でございます。
 12ページは、あと一つ心配する状況は、12ページのグラフは、灰色が直轄事業です。赤が補助事業、黄色が地方単独事業でございます。各県なんかで、河川の整備は国が直接やっているものがございます。それから、赤は、先ほどの補助金があって、それでやっているんですが、もう一つ、補助金も何もなしで地方の単独でやっておられるのもあります。黄色を見ていただきますと、平成5年ぐらいからずっと下がってきているわけです。財政事情その他もあるんですけれども、今回の中小河川のいろんな水害がありました後、緊急点検を8月以内に行ったわけですが、そのときも、ほとんど草も刈っていないとか、状況も見ていないので点検ができないという、点検する前の段階でできないというようなことになっているところがあったりいたしますので、おそらく先ほどのように財源が特定されているわけではなくて、一般財源というのはどこへ使ってもいいわけですので、県に行きました場合、補助金という格好でしっかりやるという形がなくなった場合には、非常に心配するといいますか、何かほかのものに化けてしまうことがあるのかもしれないということを正直心配しております。
 13ページと14ページは、同じ8月18日、19日の新潟で行われました知事会のときに、今回、新潟や福井で大変な水害があっています。それから、18日、19日のときは四国で災害がまさに発生していた、その時期でありますが、そういう発生状況を踏まえて、13、14ページは同じものです。13ページが8月27日となっているのは、その後に総理大臣に持っていったのが8月27日です。14ページが具体の中身で、8月19日となっておりますように、18日、19日で豪雨災害に対する充実強化の提言というのが、これも同じ全国知事会で、全く同じ時間で、これが第1号議案で、第2号議案が三位一体なんですけれども、諮られております。
 1番にありますように、災害予防対策──災害復旧というのと予防というのを大きく分けますと、災害復旧というのは4番に出てきますが、新潟、福井みたいなところも、今回の水害は過去に起きたものを非常に超える水害ですので、そういうものを防ごうと思うと、事前に対策をしておかないとだめなんです。起きてからやると、コストも余計にかかりますし、人命に至っては戻ってこないわけですが、予防対策が大事だというのを知事さん方はたくさんおっしゃっていました。予防対策の充実強化ということを言っているわけです。
 それから、4番には、復旧というので、事後のものでございますが、3行目には、国庫補助事業の適用対象の拡大まで、知事会でご提言されていることと補助金の削減とが、同じ知事会の中で、同じ日に、同じ会議の中で行われているというのが現状でございます。
 さっと状況だけなので、少しわかりにくい面がありましたが、それから、先ほど申し上げましたように、補助金というのは悪い話ではなくて、より地方の自主性とか裁量性を高めるということは大事だと思うんですけれども、全国的に、限られたお金を災害に合わせてしっかり集中的に投入する仕組みというものを一緒くたにしてしまっているのではないかと。それも、本来、国が責任を持って行う分野が、逆にそれが県のみの負担になっていることなので、逆に廃止されるということです。こういうので日本の社会はいいのかなというような、非常に疑問を感ずるわけでございますけれども、今、この辺の議論がされています。
 気持ちが少し入っている部分があるかもしれませんが、なるべく状況を等身大でご説明したつもりでありますが、以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、質問がございましたら、お願いいたします。
 専門でよくわかっている方が説明するものだから、逆に言うと、専門でない人にわかりにくかったんじゃないかと思いまして、知事会としては、公共事業の補助金から一定の額を出したいと。そのときに、補助金の中でも、市町村主体の補助金と県のみ対象の補助金とあって、市町村は公共投資の補助金の税源委譲については非常に反対の意見が強かったこと。したがって、県のみの補助対象とするものを、一定の枠を出してきたので、その結果、河川局がほとんどの部分を占めることになってしまったと。補助金対象がどこであるかという単なる手続論の前に補助金の性格その他を考えてほしかったと、こういうふうに理解していいんですか。
(事務局) そのとおりでございますが、どちらかというと、内容と結果が逆転している、逆になっているというぐらいのところ、よりよく議論してもらってというよりは、ほんとうに逆さまになっているというのが非常に……。
(委員長) 何が逆さまになっているか、皆さんには、よくわかりにくい。
(事務局) 本来、義務教育の中でも、国が責任を持っているものは、補助金として国のお金がきちんと行くようにしていくべきではないかというご議論がありますけれども、今回、廃止となっているものが、河川とか災害関係というのは、法定受託事務と申し上げましたけれども、本来国が責任を持ってやる事務と細かいはしの上げおろしまで国がやるのかなという事務が、廃止と残るものとが逆になっているというところは、もうちょっと議論というよりは、うんと深く議論をしていただきたいところであります。
(委員長) 法定受託事務というのがまた専門用語でわからないんだけど、本来、国がやるべき仕事を補助金の名称をつけて地方のアイデアも含めてやってもらう形で、最終的には国としての責任でやるというものと、地域の自立性のために地域が発想してやるのに、方向としていいから補助金を出すというものと二つあると。以前は機関委任事務とか、本来国の権限を地方が代行してやっているというものと、そうじゃなくて、地方が自らの地域の発展のためにやっているものと、補助金でも2つのタイプがあって、災害対策という人命を守るようなものは本来国がやるべきだという法体系になっていたから、その中で補助金と称して渡していたものが、今回、補助金の性格を検討せずに作業されたため、国の本来業務を地方が代行する業務の補助金が先に行っちゃったと、こういう理解でいいんですか。
(委員) 河川の場合は、いわゆる補助金と直轄とありますよね。今は補助金の議論をしとるけれども、地方によれば、直轄でやっている部分もよこせというようなことを言うとる人があるのか、ないのか。例えば、下水道なんか全部あれは地域の問題だからいうて、今の流域下水道の分は1,000億円ほど全部よこせと、こういうような話になっとるわけです。そのうち、次は、市町村の公共事業が補助金で7,000億円ほどあるんですけど、こいつがどうなるかいうことを戦々恐々としとると思うんですが、それは地域の問題だからいうことですが、直轄ですぞということで河川はやっとんだけど、いや、もうこういう時代だから、私たち自分でやるから金くれというようなことを言うてる人があるものか、ないのか。今回の補助金制度とは別だけど、基本的な、根本的なところがどうなっとるんかということはこれからの問題になると思うんですが、その辺は河川局はどうお考えで、そんなものは国でやる仕事だと、私は当然そうだと思うんですけどね。
(委員長) 個人的意見でいいです。
(河川局長) 今の○○委員のお話に対しては、直轄で今やっている部分について県が自由にやりたいというような話は、こと防災面といいますか、災害を予防していく面についてはございません。河川の管理全般というのは、例えば、ここをこういうふうに利用したいんだけれどもというときに、うるさいことを言うというか、かたいことを言うという、そういう面では意見はいろいろいただいておりますが、責任分担をどうするかというところで、地方分権の流れで直轄が重要区間をやっていることについて異論があるわけではないわけです。
 今回の補助金改革という全体の流れは、昔つくった補助金で、今あまり役に立っていないというか、国民の行政需要がないのに残っているものだとか、そういうものを廃止すればいいじゃないかというのが一方であったり、それから、国民とか地域住民に近いところでやっている行政に対して、ああでもない、こうでもないという意見も一緒につけて補助金をやるというのは、そんなのは任せてくださいよというような話があったり、それから、一方では、使いやすいようにしてもらって、補助金の制度そのものを効率的な補助金にしてくださいと。補助金自体をなくすという意味ではなくて、補助金の執行の仕方を改善してください。いろいろな補助金改革があると思うんですけれども、今回、地方六団体でまとめたものというのは、税源移譲の3兆円というのが先にかなりの重みを持ってきていたものですから、廃止、廃止ということで、全部、補助金の費目の廃止のリストと一緒に出てしまったというところに大きい問題があるんだろうと思うんです。
 この補助金をどういうふうに改革していくかという議論がなされないままに廃止、廃止と言うから、地方六団体が廃止で要らないと言っているのだから、これは廃止しましょうというのが、今受け取ったほうの補助金の元締めをやっているようなところでの意見なので、そこの基本論のところでは、国土交通省の河川局が災害を予防するのも、災害復旧するのも、通常の日常管理も一体であって、安全・安心を国民に与えていって、いい環境をみんなで享受してもらうとかという話ができていないというところが一番の問題だと思っているわけです。
 今、タイムスケジュールの話もありましたけれども、今のままでいきますと、補助金は廃止します、税源は移譲されませんという流れでいってしまうので、そのときに地方のほうとしては、特に市町村とか、そういうところがどういうふうにこの補助金改革を受け取るのかなというところで、今、河川局としては、どういうスタンスでこの改革にものを言っていかなければならないかということで非常に頭を悩ませているという現状でございます。
(委員長) ありがとうございました。いずれにしても我が国のリーダーである知事さんたちが出してきた意見ですから、気軽に言うのは問題だし、ただ、問題がここのところは議論されていないよというところがあるんだったら、皆さんのご理解をいただくということが大事だと思うんですけれども、案そのものが適不適ということにはならないと思うんです。先ほどの手続論みたいなところがあって、市町村はだめだと言ったので、県の事務だけからもし抽出したんだとすると、そこはわかっていただく必要があるのかなというふうに、私はそう思いました。
 これは情報提供ということで、また皆さん、ご疑問がありましたら河川局のほうへ聞いていただくことにいたしまして、本日は、各委員には、本議題につきまして短時間の中で熱心なご審議、ご議論をいただき、また、貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。特に、審議対象の高瀬川水系の関係人としてご参加いただきました○○委員、子吉川水系の関係人としてご参加いただきました○○委員の各委員におかれましては、今回をもって最後の委員会となります。地域の実情を踏まえた貴重なご助言などをいただき、ありがとうございました。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いて、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することといたします。
 本日の議事は以上でございます。
(事務局) 委員長、どうもありがとうございました。





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