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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第23回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成17年10月31日


2.議事
後志利別川水系、菊川水系及び大分川水系の河川整備基本方針の策定について

(委員長) 本日は、委員の皆様にはご多用中のところご出席いただきましてまことにありがとうございます。
 それでは議事次第に沿いまして、後志利別川等3水系の河川整備基本方針について審議をいただきたいと思います。
 事務局から説明をお願いいたします。
(事務局) 三つの水系につきまして、あわせてご説明させていただきます。
 最初に数分間の画像をごらんいただきたいと思いますが、まず後志利別川でございます。北海道の西南の日本海側に流れていきます。全体流域面積720km2でございます。全体的に地形は低い状況でありまして、長万部岳を源流といたしますが、1,000m弱の山から流下を始めます。しばらく下ってまいりますと、美利河ダムがございます。ちょっと変わったダムでコンクリートとロックフィルダムのというか複合ダムでございます。高さ40mのダムです。下流はごらんのように蛇行してございます。北海道の河川は蛇行している河川が多うございますが、ここもこのような形でずっと蛇行が続いてございます。川の状況は昔からの川辺が残っている区間が続いております。しばらくいきまして、これからは全体の平野に入りますが、ここに幾つかの大きな支川が入ってきます。かなり丸い流域でございますので、横に大きな支川がございます。一つはメップ川という川がございますが、ごらんのようにサクラマスの遡上が有名でございます。今金の基準点を過ぎて、このあたり昔の蛇行した跡が見えるかもしれませんが、今ごらんいただいているのはサケが上ってきますので、ヤナみたいなものが昔から行われております。
 昭和37年の浸水状況でございます。過去幾つかの蛇行をショートカットして整備してきた川でございますので、蛇行の跡が見られるかと思います。河口部も今のような状況で、少し閉塞しているように見えますが、大きな問題はないようです。
 今ごらんいただいておりますのは北海道南西沖地震で、このあたりの堤防がかなり傷みましたが、これは復旧されてございます。
 駆け足で恐縮ですが、ご紹介させていただきました。
 それでは、カラーA3判の資料2−1をごらんいただきたいと思います。「特徴と課題」でございます。
 左上は流域図ですが、今申し上げましたように少し丸い流域、北のほうが少し山になってございますが、1,000m弱です。その真ん中のラインを東から西のほうへ流れている。上流に美利河ダムがありまして、上流と囲みましたところは右にも幾つか書いてございますけれども、谷底の平野を川が蛇行しているところです。周りは大体水田に利用されています。流域図で2と書きましたところがこの平野の中心部でありますが、右上に中下流と書いてございますように、蛇行してきたものをショートカットした川でございます。現在は瀬や淵がきれいにつながった砂礫の河床を形成してございます。周辺の土地利用は水田やジャガイモの耕作地が広がっています。左下に雨の降り方が出ていますが、北海道でございますので夏から秋、台風等も平均でこのぐらいの雨が降っておりますが、その後の降雪期にかけて大体雨が多い状況です。右の図にございますように、流域の茶色とか黄土色がございますが、大体山林、それから農地、宅地の状況が広がっております。下にございますように、いも類とか米の生産は道南では大体ここが主要な産地になってございますし、道南だけでございますがサケもこの川が非常に多ございます。
 1ページおめくりいただきますと、洪水対策といいますか、治水関係の課題と対応になっています。これまでは一番左にございますが、先ほど来申し上げていますように非常に蛇行が進んでございますけれども、幾つかの自然の短絡跡が見られるように蛇行してきて、そのうちにつながってしまっているということです。右のほうに、歴史的といいますか時系列で書いてございますけれども、入植が始まっていろいろな開発等がなされてきた中で、結構水害に苦しめられてきました。その結果、たくさんの蛇行をしている川でございますので、水位がその分上昇してたびたび平地が浸水する。これを防ぐためにはショートカット(捷水路事業)ということで、蛇行したものを直線で結ぶ作業をして、水位全体を下げることがこの水系の大事な治水手法として行われてきております。その結果、上のように、赤い線であったところが青い線のように変わってきているわけであります。左下には昭和30年以降につきまして、今申し上げたようなことでありますが、周りが低地が続いているので内水被害が出てございます。
 真ん中にございますように、洪水調節施設が先ほど来出ております美利河ダムで、今金における洪水流量1,600m3/Sを1,250m3/Sまで低下させるということでございました。これは平成3年に完成して、その機能を果たしているところであります。真ん中下に堤防整備状況がございますが、昨年度末で堤防そのものは9割以上ができています。今の状況から言いますと、真ん中下ぐらい、右側にありますが、計画高水流量1,250m3/Sに対して900m3/Sぐらいが流れるのが可能でございます。ここは先ほどの内水の話もありますのと今の流下能力の確保そのものがございますので、河道の掘削をしないといけない。この部分が残っている状況です。それと先ほど来の内水の対策でございます。
 1枚めくりいただきまして、そういう状況でございますが、現行の工事実施基本計画は昭和44年に策定されておりまして、左上にございますが計画降雨量が229mm、今金地点でダムがなかった場合の洪水流量、基本高水のピーク流量が1,600m3/S、美利河ダムで調節して1,250m3/S、ダムは美利河ダムのみでございます。「既定計画の検証」とございますが、1番目はこれまでの工事実施基本計画を策定した後の雨や流量がどうであったかというグラフでございます。計画に近いものも雨とか出ておりますが、これを大きく超える流量が発生するようなこともございませんので、根源から変更しなければいけないということはないと思われます。左下でございますが、最近の流量まで含めまして、洪水流量としての確率を出してございます。幾つかの手法がございますが、妥当と思われる手法のものを全部並べますと、真ん中ぐらいに赤い四角で囲ってございますが、1,100m3/Sから1,700m3/Sぐらいが100分の1の流量でございますので、計画は1,600m3/Sの中のレンジに入ってくるものでございます。この辺が妥当ではないかと思われます。右上に「3.既往洪水からの検証」がございます。こういう洪水流量が起きるか起きないかみたいな検証でございますが、山や田んぼ、その他全体の湿潤な状態いかんで洪水の発生が変わってきますので、平成11年8月が既に湿潤状態にあった、ときに昭和60年の実際の雨が降ったときをやっておりますが、こういうことは現実に起こり得るわけでございますので、その場合は1,650m3/Sの流出が想定されます。細かいところは1,600m3/Sをちょっと超えてございますけれども、全体の検証としては今出しております約1,600m3/Sが妥当ではないかと思われます。右下にございます流量の配分図で今金のところは書いてございませんが、ダムで調節しないときに1,600m3/S、調節した後1,250m3/S、下流の河口部が2,250m3/Sぐらいになるという状況でございます。
 1枚おめくりいただきまして河川環境ですが、先ほど来出てございますように、上流部は蛇行が残された自然の状況です。中下流部は蛇行をショートカットしてきておりまして人工的な部分がございますけれども、現在では河岸に植生が繁茂し、交互砂州に伴う瀬淵が形成されてございまして、魚道の整備等で魚類の遡上にもうまくいっている状況です。幾つかずっと写真、その他入れております。下流部、水深1mぐらいの浅い静かな水域でございます。柳も繁茂し、魚類の生息域になっております。左下の中流部は、砂礫河床が平瀬・早瀬を形成しており、アユの産卵床として機能を果たしてございます。右上の上流部は昔のままございますので、そういうものがこれからもうまく保全できたらというものです。途中は少し大きな支川でメップ川が真ん中上にございますが、先ほど映像で見ていただいたようなことでございます。右側にちょっと変わっているもので、先ほど横断工作物があり魚がちゃんと行き来をしていると申し上げました。一つは頭首工、堰だったりするものですが、これも魚道がきちんと機能しております。美利河ダムは高さ40mのダムではありますが、写真で見ていただきましたようにダム自身の上流・下流をつなぐ魚道ができてございまして、そこを魚が遡上している状況です。
 1枚おめくりいただきますと、河川利用と水質の現状を載せてございます。まず水質でございますが、環境基準A類型を満足するもので、これまで8度、水質日本一にもなってございます。大きな川の中での日本一です。こういうことでございますので、地元の方もこれを大切にというので、地域の取り組みとして植樹をしての水質保全とか流域全体で汚さないという取り組み、それを延長して子どもたちや地域の人たちでの学習その他の活動にも広がっている状況にあります。右は河川の水利用です。水利用の実態は真ん中の円グラフにありますように農業用水が6割、発電が37.55%、水道が0.07%という状況でございまして、それぞれ水をとってございますが、ちょっと変わっているのは右上にございますように、消流雪用水の導水もしてございます。雪が降る地域ですので、川の水を取り入れて、温度というよりはずっと流れていることで雪が処理できますので、流雪効果のための水が導水されてございます。その他の河川空間の利用は、先ほどの環境学習的なものに加えましていろいろな地域の運動公園、祭りの場等にされています。水産資源は、ウライというサケの捕獲施設等が特徴的なものとしてございます。
 次のページですが、流水の正常な機能の維持、正常流量の設定についてでございます。河川法の制定にございます項目について左上のように表示してございます。これらを下のように個別の場所を代表例だけ入れてございますが、サケの産卵、サクラマスの遡上に必要な水深と、流速、先ほどの水質、景観等を検索しまして、結果は右上のように、123は左側の表に該当した番号ですが、プロットして、これを包絡するところがどんなものかと見てございます。結果としては真ん中に赤で今金と書きましたように、26kmぐらいのあたりで3.2m3/S確保されていれば大丈夫だろう。加えて、ここにまつわるいろいろな水利権の状況を重ね合わせましても、3.2m3/Sが確保されていればこういうものは確保できるだろうという状況でございます。
 最後のページになりますが、土砂の状況です。先ほど来お話ししていますように、かなりの蛇行を捷水路事業でショートカットしてございます。その分、水が速く流れるようにということで、当然勾配を意図的にきつくしているわけでありますが、その分、しばらく河床の砂礫の状況が変わってございまして、左下のようなグラフを見ますと、何年かごとに上から時間軸で書いておりますが、昭和43年から昭和51年、昭和51年から昭和59年にいろいろ変化がございます。ここまでは捷水路事業が実施されていて、その後、昭和59年から平成7年、平成15年ではだんだん河床は安定しています。縦断的に見ても左上のように変化がない状況にございます。河口部は右下のように、少し河口閉塞が起きている写真にも見えますが、断面図で見ますと河口そのものは余り高い状況ではございませんで、その後、大きな変化は余りないということで、過去の洪水とシミュレーションでも安全に洪水が流れるという確認はされております。
 以上、後志利別川でございます。
 次に菊川でございますが、先ほどと同じく映像をごらんいただきたいと思います。
 静岡県の御前崎の少し西のほう、菊川も流域としては小さな川でございますが、全体的にここの特徴はある種の土地利用が進んだ川でございまして、流域全体の4分の1が山地、4分の1が畑、4分の1が市街地、4分の1が後でグラフが出ますが、かなりのものが農業的な利用も含めて進んだエリアです。全体的に薄いお盆のような地形ですので開発されやすいといいますか、利用されやすい。その分、水害も水がはけない特徴がございまして、たまって水害が起きる、内水被害が発生しやすい状況にあります。茶畑がこのあたりにたくさんございますが、加えて重要交通網が横断する場所にございます。平成14年の浸水のものがブルーで地図に載せてございますが、非常に大きなものは昭和57年でございまして、さらに大きな被害が出てございます。全体的に平たい地形のところをゆっくりと流れていく川でございまして、隣には天竜川がございますが、隣なのに相当な川の流れの状況が違います。これも後志利別川と同じように低地を蛇行して流れますので、ショートカットしてなるべく速く水を海へ流すということで、全体の内水被害も含めて対応すること基本になってございます。いろいろな利用もされておりまして、マリーナなどもございます。遠州灘に流れていきます。河口部は、静岡県とか日本海側はそうですが、海の近くが高くなってございますので、先ほどのお盆のような低地に加えて、水が海へはけにくい地形になってございますので、それが課題になってございます。
 恐縮ですが、先ほどと同じようにA3判カラーの資料2−2をごらんいただきたいと思います。地形は今見ていただいたようなことですが、一番高い源流の山でも532mということですので、本当に平たい地形でございます。そこが左の絵のように河岸砂丘とございますが、海のほうに少し小高くなっている感じでその上に水がたまりやすいお盆の平たい地形が広がっている、そういうふうにご認識いただければと思います。真ん中ぐらいに、A−A'断面、B−B'断面と書いてございますが、洪水のときは川よりもかなり低いところに土地があり、一番下のC−C'断面にございますように、下流に向かって少し小高くなっている様子がごらんいただけるかと思います。右上の土地利用は四つに割りまして、山林、茶畑、水田、市街地という感じの土地利用がされているところでございます。
 1枚めくりいただきますと、そういう地域の状況を踏まえて、まずは治水の話でございますが、先ほどのような地形ですのでたびたび被害を受けてございます。そのためにショートカットといいますか、蛇行をまっすぐつなぐ捷水路事業をしてございます。昭和49年に現在の工事実施基本計画ができ上がってございますが、その後も昭和57年9月、最近では平成10年9月に被害を受けてございます。かなりのものは内水被害が広がってございまして、昭和57年9月は真ん中右ぐらいに氾濫域の地図が載せてございます。ブルーで色塗りをしたところが氾濫域ですが、ほとんどのところが水がつく地形でございます。残された状況は、今のようなことでございますので、水位をなるべく速く低下させることがこの川の命題でございます。右の真ん中ぐらいに現在の状況がありますが、計画の高水流量1,500m3/Sに対して約1,100m3/Sの流下が可能な状況になってございますので、この残りは河床の掘削が残されてございます。内水被害は、内水というとついつい外水といいますか、本川の洪水、それから周りから本川に流れる内水が劣後にされがちではございますけれども、ここは内水被害をきちんと処理して初めて治水対策ができている地域でございますので、この対策のが重要になってございます。
 次のページでございますが、現在の工事実施基本計画についてが左上です。洪水の計画の流量としてはどうかというものでございますが、1にありますように、工事実施基本計画策定後の状況としては、昭和57年9月に計画流量といいますか、基本高水のピーク流量とございますが、1,500m3/Sにほぼ近い1,430m3/Sが昭和57年9月に出ております。また平成10年にはもう少し下ですが1,200m3/S。それが下流の国安です。少し上流の加茂を見ますと、こちらは赤い線で計画高水流量が460m3/Sと現在なっているのですが、昭和57年9月、平成10年でもこれを相当オーバーしてございます。左下は昭和57年の流出を書いてございます。右上の3でございますけれども、そういうこともございまして、基本高水流量、計画の高水流量を検討してございます。計画降雨継続時間は主要洪水における降雨の主要部分をカバーできます12時間に設定、計画降雨量は12時間の雨量を昭和30年から平成14年までのデータを確率処理いたしますと、100分の1の計画雨量が259mmになります。これを計画降雨量まで、昭和33年とか昭和47年、昭和57年、平成10年、平成14年、こういうものを引き伸ばして流出計算をしてございます。その値が表の右側で、国安が代表で書いてございますが、何m3/Sと出ております。この中で昭和57年9月は実績でも約1,500m3/Sでございますので、このまま実績そのものを入れてございまして、引き伸ばし等は行っておりません。こういう状況を見ますと、この川は基本高水のピーク流量を1,500m3/Sとすべきではないかと思われます。4で流量確率でも検証いたしておりますが、流量確率で見ると1,200m3/Sから1,600m3/Sで、1,500m3/Sはこの間に入るものでございますから、そういう面でも妥当ではないかと思われます。それの結果が右下のように、国安の流量は最近のデータその他を見ても変える必要はないかと思いますが、加茂では460m3/Sから660m3/Sになるように変えるようにすべきではないかと思われます。
 次のページでございますが、環境の面でございます。自然環境は結構平たい川の上流でございますので、ホタルがいるような自然状況です。また、多数のため池がございますので、こういうものとの連続性みたいなもので一つの自然環境を形成しております。川、本川、支川、水路、ため池みたいなもので生物の危機がありますが、そういうものを確保しておく必要があると思われます。中流は、先ほどショートカットいたしました分、河床を少し固めたものが幾つかございます。そういうところについての魚道の整備をしてきております。河口部は少し干潟等がございますが、カモメ、カモ類、それから小規模な干潟はサギ類のえさ場等になってございます。現状、そういったものの保全を図る必要があると思われます。左下の水質はだんだんよくはなっているのですが、見ていただくとわかりますように、青い線はB類型の川でございます。牛淵川という川ですが、これがやっとぎりぎりなったかならないかです。ほかの川も、緑で書きましたところがA類型ですが、これもやっとなったかならないか、赤の国安橋は少し下の類型でもいいぐらいに改善されている状況でございますが、まだ下水道整備とかが低うございますので、今後あわせて流域の対策を引き続き推進する状況でございます。右は水の利用のほうですが、特徴的なところがございます。流域が小さいので水がなかなかないのでございますが、隣に流れる大きな大井川から、右上の図は幾つかの線がありますけれども、特徴的なのは赤い線で書きました大井川農業用水です。これは大井川から取りまして、大井川の左岸側といいますか、島田だとか焼津とか、こちらもいっていますけれども、大きな河川が菊川の流域に伸びてございます。小さくて恐縮ですが、大井川の用水路の供給前後の表がございます。いずれも落水といいますか、引っ張ってきた水が利用されて、さらに残りが流域へ流れ込んできたもののおかげといいますか、そういうものがないときの2倍ぐらいの量になっている。グラフも似たようなものでありますが、これは書いていなくて変ですが、平方キロメートルあたりの流量で見てもその効果が見えます。右下はその他の利用でございますが、茶畑が広がってございます。その敷草等の採草地になっております。あとは先ほどのマリーナみたいなものがございます。
 次に正常流量については、これもほかの川と同じで各項目について整理してございます。特徴的なところだけを、こちらの絵には番号が振ってございませんが、結果としては右上のグラフがございます。各区間の項目として特徴的になっておりますのが、動植物の生息等の状況からの流量が加茂地点で見て、0.480m3/Sとと上のほうにございますが、水利権の量を加えて0.505m3/Sがこの地点で必要な流量になってございますので、これからもこれをきちんと保全していくということでございます。
 最後でございますが、土砂の関係は今まで見ていただいておりますように、余り急峻ではございませんし、地形がなだらかなので崩壊地も少のうございます。そういう意味では土砂の生産は少のうございますので、土砂の問題は余り起きてございません。一部、先ほどのショートカットといいますか捷水路の整備をいたしました分、川底の変化があった時代がございますが、その後、既存の横断施設の保全みたいなもののために床止工をつくってございます。これについてこのグラフで経年変化を見ましても、特段大きな変化がないといいますか、安定しているように見受けられます。河口部が右にございますが、少し閉塞した形でございます。そのために過去、周辺の水がはけなくて周辺での内水被害とか、レジャー用のボートのマリーナからも行き来ができないとか、そうした問題も発生してございます。これにつきましては、右下の写真のように、左岸導流堤が平成6年、中導流堤が平成9年に整備してございまして、これ以降は一応安定した格好で河口部が保全されている状況でございます。
 以上、菊川でございます。
 続きまして、大分川をごらんいただきたいと思います。大分川は画像で見ていただきますように650km2、上流の由布岳から入ります。上流部は由布院など温泉で有名でございますが、そういう盆地部分からまた谷あいを過ぎて大分県の県都・大分市へ入っていきます。由布岳は1,583mでございます。この結構近いところに湯布院の盆地がございます。いろいろな新しい取り組みその他で有名かと思いますが、温泉とまちづくりみたいなものがされております。ここからしばらくの間は盆地の下にずっと渓谷部が続いていきます。左のほうに写真がありますが、渓谷を過ぎましてからだんだん川の周りの平野が広がっていく地形でございます。右側には大分県の芹川ダムが昭和31年にできております。それから似たような地形を下がっていきます。青色は昭和28年の洪水での浸水、赤は平成5年の浸水でございます。洪水で水がついたものでございます。大分市にだんだん入ってきますので、新しいニュータウンその他も見える状況にあります。大きな支川で七瀬川が右側から合流してございます。この辺ぐらいから幾つかの川が合流いたしますのと、この川の勾配といいますか、土地の勾配が緩くなってございますので、これから大分の市街地にだんだん入ってきますが、こういう低平地部に洪水の流れが集まりやすいし、勾配も緩いし、そこから大きな守るべきといいますか、市街地も広がるところで、どちらかというと下流部の対策が一番急がれており、これまでも中心的にやってきているところでございます。大分のまち中を流れていく川でございます。
 恐縮ですが、また資料をお願いしたいと思います。カラーA3判の資料2−3、大分川水系です。今ごらんいただいたようなものですが、大きく特徴的には山あいが多く、8割以上の山地を抱えて、それが流れて下流部には大分市が存在している状況でございます。流域面積650km2、流域内人口は25万人でございます。先ほど申し上げましたが、左下の写真のように右側が別府湾でございまして、上から七瀬川、大分川本川、賀来川が合流してきて、このぐらいまではある程度勾配があるのですが、そこから緩くなって大きい川が合流して、そこにまた市街地が広がっている状況でございます。そして下流部の市街地の洪水氾濫が起きやすい状況になっています。それと、人口や資産の稠密度が一番高い地域でございます。右には主な洪水と治水対策が並べてございます。過去、昭和28年あたりと昭和18年もそうですが、たびたび浸水被害を受けてございます。昭和32年がかなり大きな被害を受けてございます。1万戸を超えるような浸水で、結果的には昭和54年に現在の工事実施基本計画ができてございます。後でまた流量については出てきますが、芹川ダムと現在建設中の大分川ダムで洪水を調節し、それ以外は河道で処理するという計画になってございます。
 資料に出ておりませんが、平成16年も洪水流量として3,700m3/Sが流れたといいますか、氾濫を起こしています。ことしは宮崎のほうは大変でございまして、大分川は少し水位が上がりましたが、危険水位までは到達するような状況にはなかったようであります。
 次のページでございますが、こういうことで治水対策の状況でございます。左上には昭和28年とか平成5年の浸水状況が載っています。下流部は大分の市街地でございますので、大変な被害になっております。右上に治水対策として簡単でございますが、堤防は下流部は8割ぐらいできてございます。左下のグラフでごらんいただくとわかりますが、基準地点府内大橋が真ん中ぐらいにございます。計画高水流量が5,000m3/Sでございますが、現在の流下能力は約3,700m3/Sでございます。これを実際洪水を流してみている線がオレンジの線です。オレンジの線が計画水位を超えてしまう部分が赤で塗りつぶしたものですので、下に「河積の確保が必要」とございますが、このあたりの河床の掘削が予定されてございます。これが重要なメニューになっております。市街地もそのあたりまで、大分の中心市街地に氾濫が広がるエリアでございます。もう一つは、右の真ん中ぐらいに写真がありますように、堤防未整備区間がございまして、左下の絵で見ますと、右側の無堤部、例えば15キロ周辺全体がそうですが、ございます。計画高水流量3,600m3/Sに対して能力は1,800m3/Sと半分ぐらいでございます。このあたりは川底の掘削もありますが、堤防そのものもまだできていないところがございますので、こういうものも整理していかなければいけない状況でございます。洪水につきましては、大分川ダムが今建設中でございますので、洪水量そのものを減らすのは大分川ダムで全部でき上がることになっております。
 次のページは洪水の流量の資料になります。現在の計画は左上にございますように府内大橋地点から上流で流域平均雨量が530mmをベースにしてございます。100分の1になっているということですが、これで見ますと基本高水ピーク流量5,700m3/S、真ん中の絵を見ていただいたほうがいいかもしれませんが、府内大橋の基本高水のピーク流量は5,700m3/S、これを大分川ダム等で調節いたしまして5,000m3/Sが川そのものの流量になります。先ほど上流であふれてというのは、左側に賀来川と書いてあるところに3,600m3/Sとございますが、このあたりがまだ無堤部といっているところでございます。これを最近のデータ、平成16年までの流量データで検証してみますと、左下にございますが4,800m3/Sから6,900m3/Sぐらいでございますので、現計画において100分の1で5,700m3/Sとしておりますところが妥当ではないかと思われます。それから真ん中の下でございますが、平成5年9月に実際降りました雨、それと流域がもっと湿っていればすぐ水が出てきて洪水が起きやすいということがございますので、平成11年等の湿潤状態が一番厳しくございました。こういう両方とも確実に起こった事象で見てみますと、5,900m3/Sぐらいの流量が出ると推定されます。これを踏まえて現在5,700m3/Sが妥当ではないかという結果でございまして、右下にそのときのハイドログラフを載せてございます。
 空間利用、水利用が次のページでございます。上流部は由布院盆地の自然豊かな景勝地で、全国からたくさんの方が見えます。中流部では湧水群がございましたり、「名水百選」でも選定されております。下流部は大分の市街地を流れますので、いろいろな利用が盛んです。スポーツとか釣り、最近は全国的な傾向ですが、河川の散策の人口が相当増えつつあります。大分あたりもそういう方が非常に多うございます。また、各種のイベントなどにも利用されている、人々のかかわりがたくさんある川でございます。右は大分川の水利用の状況でございます。94%ぐらいは農業用水でございまして、5.3%は水道用水で、円グラフで見ていただいた量ですが、大分の生活の水を農業も含めて賄っているものでございます。しかし渇水の表にございますように、渇水も発生してございます。そういう意味で芹川ダム、大分川ダムでしっかり確保しておかなければいけないということかと思います。
 次のページでございますが、河川環境の現状です。上下流の渓谷の状況は先ほど来、映像等で見ていただいたようなところですが、そういうものにあわせてアカザ等の貴重種も存在しております。下流はアユの産卵場になっておりまして、左下にアユからウナギ、コイ、フナ。これは漁獲量ですので生息量ではございませんが、そういう魚がいる状況です。先ほどから申し上げている川の掘削はまだ必要でございますが、こういう生息に極力影響を及ぼさない格好で、真ん中下にございますように今の産卵場等に直接関係しないところに限った掘削をやろうとしております。右は河口部から干潟でございますが、下のほうは大分市の市街地になっておりますので、昔に比べれば当然干潟も少なくなってはございますが、まだ残された干潟にはハクセンシオマネキ等がございますので、可能な限りそれらの保全に努力していく必要があるかと思います。これもハクセンシオマネキの生息環境をきちんと調べて、そこをいじらない格好で掘削等をやるようにしようとしております。右下は水質ですが、大分の真ん中を流れている川にしては水質はきれいで、環境基準を十分クリアしている状況ですので、これから引き続き保全していく必要があるかと思います。
 次のページは土砂の関係です。土砂の関係はここでの大きな問題は余りございません。上下流をあわせ、河口部もあわせ安定している状況にございます。
 最後のページでございますが、流水の正常な機能を維持するための流量の設定でございます。これもほかの川と同じでございますが、左上にあります政令で示された項目について検討してございます。代表点だけ下に載せてございますが、赤字のように動植物の生息、生育の状況としてどれだけの水深水位が要るか、景観はどうか、3には水質ではどうかということで、必要流量についてBODについて、これは前もご議論がございましたが、低水流量と渇水流量との違いその他がございまして、基準値の2倍を満足するための流量を設定しております。それが右上のグラフのように、これはそれぞれなぜこういうことが決まっているか、出してきたかを、動植物からか、景観からか、流水の清潔からかをプロットしてございます。これらを包絡する線として青い線を引いてございます。結果としては、黄色の吹き出しで書いてございますが、府内大橋地点が一番クリティカルでございますので、ここの量が6.6m3/S確保されれば、その下の取水も、上流のいろいろな意味での流量、取水流量も満足されるだろうと見受けられます。小さい文字で書いてございまして、府内大橋地点から下流に床止がございますが、ここから下もこの量が流れていればアユの遡上には影響はないことを確認してございます。
 以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。
 それではただいまの説明に対しまして、ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。
 せっかくでございますので、地元に詳しい委員としてご出席の、まず○○委員からコメントをお願いします。
(委員) 地元の町長をやっております。ご配慮、本当にありがとうございます。
 先ほどスライドでいろいろありました。特に特徴的な部分を申しますと、この川は北海道で初めてという言われ方をしておりますけれども、明治以前から魚の網の制限をしたり、あるいは川での洗濯や食器の洗いものを禁止して、川の汚染を防止・規制して、サケの資源を確保しているという歴史的なものがありまして、これを北海道的には最も早い段階から手をつけたところであるという話がされてきております。
 そういうことから、私ども地域にいる者としてもそういういう機運を盛り上げようということで川を大事にしようという心構えを持っております。くしくも昭和62年に国土交通省の水質ランキングが行われたときに日本一になりまして、連続4回日本一をいただきました。それをきっかけにいたしまして、地元の方々も声をあげて、後志利別川清流保護の会を設立し、河川清掃などのいろいろな活動をし、平成14年にはNPOにいたしまして現在も活動されています。
 実は、土曜日も河畔林の植樹をしまして、私が出る予定だったのですけれども、告別式が入って出ることができなかったのですが、そのようにさまざまな活動をしているところです。私は町の職員でありましたが、企画畑が長かったものですから、そういうことで上流の使命として、恵まれたすばらしい水を下流にそのまま送り込むことが私どもの使命であるという認識を職員時代からずっと言い続けてきましたし、町長になってもその気持ちは変わりません。特に日本海側は、漁業では磯焼け現象が随分ありまして、そこに通じるものがあるという認識を持っておりますので、そういうことから植樹と川の環境については大変気持ちを入れておりますし、これからも何とか努力していきたいと思います。資料の中には8度日本一ということがありましたが、今年いただいた数字はどんと落ちまして、非常に気落ちしており、ショックを受けております。そういう面ではこのたびの小委員会の委員の任命を受けましたので、何とかこれを契機にまた一生懸命活動していきたいと考えております。
 あとは、そういうことから担当であったことも含めて、洪水時期は内水氾濫が随分あったものですから、これについては開発局あるいは国土交通省のお力をいただいて、排水場整備については大変ご努力いただいております。今でも最大の課題は、私は排水機場の整備にはなかなかなりませんけれども、内水排水対策をとることが一つの大きな使命として行政責任として行わなければならないのではないかと考えております。
 そういうことから、与えられたすばらしい水を利用した農業、漁業をこれからもますます生かしていきたいと思っていました。
 PRでございますけれども、今金でとれる今金男爵は日本一といわれておりまして、特に関東周辺の市場では最も高価なイモだといわれております。PRをさせていただきました。
 今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
(委員長) ありがとうございました。
 次に○○委員、お願いいたします。
(委員) ○○市長の○○でございます。
 河川菊川につきまして詳しくご説明いただきましたが、地元の代表として少しお話しさせていただきたいと思います。
 まず、ごらんいただきますように流域面積の小さな、そして幹川流路の短い、全国でも小さなほうから3番目の直轄河川でございます。しかし、大正10年に同盟会ができまして、それから数十年間、地域の町民の皆さんはこの川との共生、あるいはまた闘いをしてきたという歴史がございます。菊川市はことし1月17日に、菊川町と小笠町が合併しまして、一級河川菊川の名前をいただき新市・菊川が誕生しました。もう一つは、4月1日に掛川市と大東町、大須賀町、1市2町が合併し、そして今は菊川市、掛川市を流れている川であります。
 特に私どもは小さな河川であり、地域に大変密着している川でありますので、何と申しましても治水については市民の皆さんが大変注目しているところであります。特に記憶に新しいところでは、昭和57年の台風と平成10年の集中豪雨により甚大な被害を受けまして、国、県の対応をいただく中で、その記憶が私どもも鮮明に残っているところでございます。平成10年からは、毎年のように集中局地的豪雨のために水害を受けておりまして、これからさらに河川改修が避けて通れない大きな行政課題であります。それが1点であります。
 もう一つは環境問題でありまして、先ほども下水の整備率が低いというお話がございましたが、私どもも今公共下水に取り組んでおりまして、水に対しての環境あるいは水辺の環境に対しても市民の皆さんにこの数年は大変関心を持っていただいていまして、この川を中心とした環境づくりに積極的に取り組んでいるところでございます。
 以上が河川・菊川について、最近の地元の動きにつきましてご説明させていただきました。
(委員長) ありがとうございました。
 それでは○○委員からお願いいたします。
(委員) ○○と申します。
 私、大分川の一番上流の湯布院町、湯布院盆地のすぐ横に湯平温泉という温泉があり、湯布院町には湯平と塚原と湯布院という三つの温泉があるのですが、そのうちの湯平温泉で生まれました。その後は高校時代に一番下流の大分川の近くに下宿しておりまして、大分川の河原で遊んだ経験と山で遊んだ経験の両方を持っております。
 大分川水系の特徴は、先ほどの説明がありましたように下流部に平地があって、そこにほとんど資産がある。上流側については、唯一湯布院盆地がいわゆる築堤区間を持った氾濫区域であるという特徴がございます。その間の途中はほとんど河岸段丘で、人の暮らしと川が比較的薄いということがあって、実際に隣を流れる大野川水系に比べると、流域の市民活動そのものは流域全体の広がりはまだそれほど見せていない状況です。最近、私としては、といいながらも流域の中のネットワークを今後どうやってつくっていくかということに取り組んでいきたいと考えています。
 もう一つは人と川のつながりですけれども、子ども心に覚えていますのが、私の実家の旅館の前を花合野川という川が流れているのですが、いわゆる土石流の危険渓流でございます。この間の台風のときも、河原の石が形が変わっているのがよくわかるわけです。子ども供心に怖いのですが、川のすごさを目の当たりにしていまして、大雨のときには川の石と石がぶつかって川の中で火花が散るのを見た経験がございます。
 そういう意味で、人と川とのつながりが非常に薄くなってきているのをどうしていったらいいのかということを考えています。特に湯布院は観光地で年間400万人の観光客が訪れます。その割には川と山の景観をどうやってつくっていくかというガイドラインがまだできていない状況なので、そのあたりも景観も含めて今後、例えば単に桜を植えればいいというのではなくて、田園空間の中の川の植栽はどうあるべきかということにも今後取り組んでいきたいと考えています。
(委員長) ありがとうございました。
 それでは随時、どなたからでも挙手でご発言をお願いいたします。
 ○○委員、どうぞ。
(委員) 後志利別川水系の現地を見せていただきました。現地で説明を受けたのですが気になる点が1点ございます。それはご説明いただいた資料2−1の2枚目です。「今後の課題」と右下に書いてありまして、下流部の河道掘削区間がございます。この区間の河道掘削は、樹木が密生しているので樹木を切って、中水敷といって一番低いところと高水敷という高いところの間にもう一段中水敷をつくり、流下能力を確保しようということです。現地の当該河道は樹木が密生しております。中水敷をつくるということは流量を確保する上で、大事だと思うんですが、中水敷を長期間にわたって維持できるのか、あるいは維持管理をすることも含めて、計画を実行していくには、きちんと調査をして、しっかりと見きわめていただきたい。北海道では、中水敷化を考えてる川が多いと思います。対策として十分考え得ることなので、先鞭をつける意味でもきちんとした調査をして、今後十分に機能する、あるいは機能させるためにはどうしたらいいのかということを検討することが大切だと思います。基本方針を立てるに当たって、その辺を十分考慮に入れていただきたい。
(委員長) それでは○○委員。
(委員) 後志利別川についてですが、北海道は雨が本州、九州に比べて比較的少ないということで計画降雨も230mmで比較的小さいのですが、最近は本州、九州で流木による被害が結構大きいわけですね。北海道も一昨年の日高・胆振の豪雨で沙流川、厚別川で非常に大きな流木被害が出て、多くの橋が流されたり橋台が洗われたりして人が亡くなっています。北海道は雨に対して流木災害という意味で弱いのかなと個人的に考えているのですけれども、この後志利別川でも既往の水害があったわけで、そのときに流木はどうだったかが、もしわかったら教えていただきたいと思います。
(委員長) 答えられなかったら、次に。
(事務局) そうですね、後日に。
(委員長) 追加ですから、○○委員からお願いします。
(委員) 私も流木に関しては資料を持ちませんので、直接お答えできません。私からは河口の問題を少し申し上げたいと思います。ここの判定では洪水の流下に支障にならない、魚の遡上に影響はないというご判定でございますので、これを信用したいと思うのでありますが、河床高の経年変化を見ましても一時期を除いてほとんどプラスでございます。堆積傾向にあることは間違いないということで、写真を見てもかなり細くなっていることは事実ですので、河口のこの種の計算はかなり面倒で、必ずしも精度がいいというわけでもございませんので、今後の現地調査並びにシミュレーションのさらなる向上みたいなものをお願いしたいと思います。
(委員長) ○○委員、どうぞ。
(委員) 後志利別川の3ページの洪水の検証のあたりのことでお尋ねしたいのですが、3の既往洪水からの検証で、十分に湿ったところでの洪水流出を出すことは大切なことだと思うんです。ただ、そのときに考え方として、ここではたまたま昭和60年9月の洪水に湿った状態で流しているのですが、基本的な考え方として十分湿ったところへ計画降雨を流すという考え方もあろうと思うんですけれども、その辺はどういう考え方というか整理をしておられるのか、お聞かせいただければと思います。これはほかのところでもそういうお話がありましたので。
(委員長) これは事務局からお願いします。
(事務局) ここで行っておりますのは既往洪水の検証ということで、現在の基本高水のピーク流量が大きいものなのか小さいものかを過去の洪水から確認してみようということでございます。したがいまして、計画降雨で今の基本高水が決まっている洪水で過去の一番小さい湿潤状態で雨を降らせたら、ここでいえば1,600m3/sより、数値としては大きくなるのが計算するまでもなくわかっておりますので、そうではなくて、実際に過去に生じた洪水で過去に生じた湿潤状態のときをぶつけることによって、現在の1,600m3/Sという数字が妥当なものかどうかを確認しているということですので、計画降雨でそれをぶつけること自体、検証としては余り意味がないだろうと考えております。
(河川局長) これは、実績として起こり得る最大はどのぐらいかということのために、基本高水から考えたときに、実際に降った雨でどれだけのものが起こり得るのかということを検証するときに、普通に降った雨と前期降雨のある雨とありますね。前期降雨があってそういう雨が降るということは実際に起こり得る可能性があるのじゃないか。実際に起きた雨の中で最大どのぐらいまでいくのか。これは数年の中からこういうやり方をしているのですが、流量確率で検証する、こういう実績で検証してみる、計画の波形を入れてみる、こういうものをトータルで検証して、現在の流量は妥当かどうか。その妥当性を見るということで、これから計画を決めるということではないんですね。今やっている数字が妥当かどうかを見るときに、実際に起きた雨から起こり得るかどうかの検証のために、これが今までの実績から見ると起こり得る最大限のものだという見方でやっています。
(委員) 検証はわかるんですが、計画論として考えるときに、例えば基本高水のときには流域の湿潤状態はどう考えていたんでしょうね。
(河川局長) 例えば2日雨量とか何時間雨量等がありますね。そういう雨量の確率を処理するときは当然引く伸ばすわけですね。引き伸ばす中にいろいろな雨を降らすというのがありまして、さらにそこに湿潤状態を入れるということは、逆に計画の規模以上の雨を入れることになってしまうものですから、計画規模以上の雨を入れるということにはしない。計画降雨についてはあくまでも2日雨量何mmと、そこまで引き伸ばすということは、それ以上に前期雨量を与えるということは、確率理論上はそれ以上の洪水になってしまうということなのでそこはやらないで、実績だけについて湿潤状態を当たっていくということです。
(委員) わかりました。計画降雨の中で流域を湿潤させているということ。ただ、やはり基本的に問題があって、湿潤状態は本当に重要なファクターなんですね。それを計画論でどう考えるかは、検証だけではなく検討すべきだと思います。
(河川局長) そういう意味では、いろいろな降雨パターンの中で引き伸ばし率を入れて、いろいろな降雨パターンの中で前期降雨が非常に多くて湿潤が多いような降雨パターンとか、それから初めのうちに雨が降って後ろのほうにゆっくり下がっていくようなパターンとかいろいろなパターンがありますので、そういういろいろなパターンを引き伸ばすことによって、計画降雨については湿潤状態のものも出てきているということかと思います。さらにそこに雨を追加するには、計画論上は少し過大になってしまう可能性がある。
(委員) いや、追加するといっているではないと思います。湿潤状態で計画雨量を降らすという検討はしないのかという質問です。
(河川局長) そうです、湿潤状態になっているということが既に雨が降っているということなんです。
(委員長) きちんと答えていないんですよ。
(委員) わかりました。つまり、その中に湿潤させる雨も含まれているというお答えなんですね。
(委員長) もう一度整理してくださいね、必ずしもそうはなっていないかもしれませんので。
(委員) 菊川についてですけれども、菊川は先ほどのご説明で、内水を特に考えなければいけない川だということが強調されたわけですが、その内水は今どんな内水排除状況にあるのかということがよくわからなかったんですけれども、今後基本方針を立てるときに、やはり内水を配慮した流量配分のようなものになるのかどうか。これだけ氾濫していて吐くだと、前に都市河川の庄内川でも議論されていたかもわかりませんけれども、それは流量配分にもかかわるような形になるんでしょうか。次の機会でも結構ですけれども。
 言っていることがわかりますか。
(委員) 菊川の2ページですが、内水氾濫が非常に問題になる川で、これをはくことが治水の一つの基本になるというご説明があったと思いますけれども、これだけの内水を外へ吐くということなら、流量配分にそういうものがあらわれるような形になるんですかということ。
 それから、それを前提として、今どれだけ内水排除のポンプ場があって、将来内水排除までも基本方針では流量として考えるのかどうかという質問です。
(委員長) これは事務局、お願いします。
(事務局) おっしゃる意味はよくわかります。答えから言うと、詰めた整理をしてもう少しおかないといけないのかなと思うんですけれども、今までの実態から言うと、全部川へ入り込む計算をしているものと、例えば農地で十分の1、市街地だと30分の1ぐらいでカットしているものと、荒川などはそうですが、個別の排水計画とマッチングさせて、その分だけを内水に入れ込もうとしているものがあるんです。ところがこういうものは、まさに先生おっしゃるように、場合によっては基本高水そのもののバックグラウンドが変わるといいますか、みんな入るとすれば基本高水が高くなるみたいなもので、流域基本高水みたいな話も含めてどうするのかというのがあるのはおっしゃるとおりだと思います。場合によっては、前に鶴見川でやったみたいなこと、流域で貯留することと、内水を排水しないということは結構同義な格好になっていると思います。
 内水について今ここで細かいことを言うと、多分相当長くお話ししないといけないので、今のようなことで整理したいと思います。
(委員長) この菊川についてははっきりさせてください。
(事務局) これにつきましては30分の1の確率で一般的にやっているものにしてございます。それは分類した整理を申したほうがいいのかもしれませんが、例えば東京の荒川みたいなところのドーンと水が入ってくるものと、もう少し普通に吐かれる状況のものであるので一般的な形を使っておりますが、そういうものです。
 先ほどのお話の湿潤状態は、湿潤状態を平均的なものとしてこの中では見ておりますので、整理したものはまた用意したいと思います。
(委員長) ですから、2日雨量で計画する河川と流域面積が大きく3日雨量で計画し湿潤状態が余り関係ないような川の議論といろいろありますから、標準モデルはこうだということで整理してもらえればいいと思います。
 どうぞ、○○委員。
(委員) 菊川の資料2−2の3ページに基本方針の流量配分図が出ておりまして、従来のものと今回こういうふうに変えようかというものがあります。この書き方ですが、資料4−2に同じように計画流量に関する事項が出ていて、これで見るとそれぞれの各部分部分で数字が入っている。従来型のパターンですね。数字を拝見すると、ところどころで今回のほうが大きいものがあるわけで、一方で参考資料1−2の41ページを拝見すると、堤防が既に整備済みになっているという状況も一部見受けられる。つまり、これから実際にものを整備計画に落としていくことを考えると、部分部分の数字を書いてもいいのじゃないかという気がするのですが、ここを書かなかった理由があれば。今後のこういう流量に関する書き方の問題にもなりますが、なぜこういうふうにされたのかが気になりました。
(委員長) 事務局から。
(事務局) 済みません、今おっしゃった資料が一般的な書き方になっていないのですが、以前に幾つかの水系の整備方針をやった段階で、石狩川で整備方針の整備計画を並べてみて整備方針の書き方も、ある川は細かく書いてみたり、ある川は書いていなかったりなので、統一した図式の整理をご議論いただきまして、その結果からするとA3判で書いてあるようなぐらいの書き方にしましょうとしております。それは整備方針の役割からいって、この水系の全体はどうか、大きな点での整備のあり方はどうかということなので、それは書こうと思ったら、整備方針の整備計画の役割分担の中ではそういうふうにしておくほうがいいのではないだろうかということです。そうでないと、途中途中の細かいデザインが例えば10年、20年が過ぎたとき、より適正なものと逆に縛ってしまうようなことはしないほうがいいだろう等との議論がありました。
(委員) もう少し具体的に言うと、西方の合流しているところが、加茂のところでは今回変更したわけですね。ですから、そのすぐ次のところは広げるなり拡大に沿うような方針の整備をしなければいけないということがもう少しわかるように、この場合は書いたほうがいいのじゃないかという意見ですけれども、ご検討いただければと思います。
(委員長) 私も質問しようと思ったのですが、加茂の流量がふえたのはどういう判断なのでしょうか。前回から比べて安全度を変えたのか、流量のハイドログラフを変えたのか。
(事務局) 最近のデータを含めて、雨の降雨の分布等を入れた格好でのハイドロを変えた、結果、安全度については書いていませんが、下流部分の1,500m3/Sは結果たまたま同じでしたということでございます。上のほうはその後ふえています。
(委員長) わかりました。ただ、私も常に申し上げていますが、下流の負担をふやすような上流のふやし方は慎重にしていただきたいと思うんですね。ですから、ここは後で資料説明を再度お願いしたいと思います。
(事務局) 大きな問題は、これが実流量そのものだということです。実際、昭和57年に発生して、その場で流れている660m3/Sですから、これを計画で抑えるということにはなかなかならないのではないでしょうかという感じですが。
(委員長) わかりました。
 どうぞ、○○委員。
(委員) 先ほど委員長が取りまとめられたので、加えてまとめていただくときにご配慮いただきたいんですが、工事実施基本計画の基本高水がいずれも今回3河川で出たものですから目立つのですが、25年から35年ぐらいたっていても妥当であるという結果になっているわけです。その検証の方法として流量確率による検証、それから最大流量の経年変化等の検証、それに加えて先ほど○○先生からお話があった既往洪水による検証で湿潤であった場合にどうかというのが、今回3河川のうちの2河川ではやられているけれども菊川ではされていないなど、河川によって方法がばらついているように思うんですね。30年から40年ぐらいたって基本高水が変わらないのも自然的には多少不思議な気もしますし、先ほど委員長からお話がありましたように、以前の計画の妥当性の検討の方法を整理して教えていただければ幸いです。
(事務局) 細かくはまたと思いますが短くお答えしますと、菊川だけは湿潤状態等を何とかしていないので検証の意味から言うと、先ほど昭和57年そのものが実績そのものでございますから、擬似的なものを用意する必要がないという格好で登場させていないというだけでございますけれども、その検証でございますから、もっと湿潤状態の高いものとを重ね合わせ、このときの降雨と重ね合わせたもっと大きいものを出してくるというのはあるのですが、そのものは過去の流量等を見て変更しないといけないほどではないのではないかというご提案です。それが、例えば3ページにありますように近年出ている流量等から見て直さないといけないというものでもない。計算上は大きなものが出ますけれども。
 もう一つ言われましたものに答えないといけないのですが、何十年かたって見直しておかしいのじゃないかというのも、基本的には毎年のデータだとかでたびたび直すべきものかというご議論が、この場もあれば、もともと河川法を改正したときの議論としてもあるのですけれども、データそのものはデータで確率処理も一つの検討なので、現在あるそうしたものがある程度妥当なものであれば、1年か10年かけたからそれでデータを変えるものであるべきではないのじゃないか、それほどデータによって治水対策みたいなものがたびたび小さくなってみたり大きくなるということでは、我々のとらえている自然現象がそれほど正確に予測できているものではないというものも含めて、今までやっている河道のあり方等を検証して、検証したものがおおむね妥当であればそれをそのまま検証していこうという図式になっています。
 ただ、先ほどのように実際洪水が大きくあふれたときには、これは確実に直さないといけないだろうというので、例えば東海豪雨みたいなものがありました場合も、それであふれておりますのでそうしたものは見直す。例えば今回も菊川の上流では実際の流量としてあふれている。それを計算上はこうだからというのではなくて、それはやはり直すのだろう。それ以外は例えば大きな雨が降りましても、計算上は大きくなっても即座に直さなければいけないというふうにはしないほうがいいのじゃないだろうか。そういう流れの中で進められていると思います。
 細かいところは別途させていただきたいと思います。
(委員) 1点、要するに菊川の場合には湿潤状態であったと認定しているわけですね。
(事務局) そうです
(委員) それならば結構で、それならロジックが合うと思いますが、そのときの洪水が湿潤状態でなければ、湿潤状態のときに実際に降った雨を、先ほど渡辺局長が言われたように当ててみて、工事実施基本計画の前に定めたときと変わらないというのならそれでいいのですが、ほかの川ではそういう検証をされておられるのに、ここだけされていないのが方法論として整合がつかないということを申し上げました。
(事務局) そういう資料をきちんとお出ししたほうがいいというのとわかりまたのでお出ししたいと思いますが、そのときに1,500m3/Sではなくて例えば
2,000m3/Sになったからといって2,000m3/Sに変えるべきだとはならないのではないでしょうかということを申し上げただけですので、そういう資料はこれにも用意したいと思います。
(河川局長) 実際に3ページの左下の図を見てもらいたいのですが、上に雨が入っていますね。前期降雨があって、後ろに集中して大きな雨が降っていますね。右上にあるように菊川は12時間でピークが一番近いだろうということで12時間でやっているのですけれども、前のほうにだらだら雨が降っていまして、これで前期降雨で菊川の場合は飽和している。前期降雨が湿潤状態になっている上に実績の雨が降っているということで、これ自身が既に前期降雨のある状態の雨であった。ですから、それに重ねるにしても同じ結果になるということかと思います。
 事務局に確認したところ、ここでは前期降雨で湿潤状態になっている。ですから、そういう状態のところに大きな雨が降っている。12時間が計画継続時間ですので、計画雨量段階では湿潤状態になっているということです。
(委員長) どうぞ、○○委員。
(委員) 一、二点ですが、一つは土地利用の件です。菊川は土地利用が進んでいるという形でほかの地区と差がつけられているような感じがしますが、それがどういうことかあるのですけれども、市街地等が2割、ゴルフ場、水面を合わせ23%、ほかは95%が森林の地になっている。そういうことで進んでいるというふうに書かれていると思うのですが、菊川の資料3−2で、5ページの河川の総合的な保全と利用に関する基本方針の中での記載です。後半部に、」健全な水循環系の構築を図るため、土地利用を踏まえた治水対策等等」と書かれているのですが、ほかの地区では「土地利用を踏まえた治水対策」はなくて「流域の水利用の合理化」ですが、「土地利用を踏まえた治水対策」という表現になると、私は非常に大きな問題ではないかなと思います。
 土地利用全体の中で洪水対策にも対応するということもあり得ると私は思っているのですが、ここでは「健全な水循環系の構築を図るため」という中での記載がありますけれども、菊川だけ「土地利用を踏まえた治水対策」という表現でなくていいのかなという感じがします。もし土地利用全体を踏まえた治水対策になりますと、洪水に対していろいろな森林なりの貯留機能をどう対応させていくかということにもつながっていくと思いますので、このあたりの表現を統一されたほうがいいのかなという感じがします。
 もう一つは菊川の例でいいのですが、7ページの河川環境の整備と保全で、これは私も河川空間といいますか、「河川環境の整備と保全が適切に行えるよう空間管理の目標を定め」ということで、資料2でも河川環境のためのいろいろな利用がなされている事例が提示されていて、私もそのとおりだと思いますし、河川空間を地域住民のために活用できるような整備をするのは非常に大事なことだろうと思っております。動植物の生息ということからも、人とのつながりを図っていくという面からも大事なことだと思いますが、前にお話を聞いたときには川づくりなのだ、空間という概念を地域に広げるとあれなのでということだったのですが、菊川においては川づくりという表現ですけれども、ほかの例えば北海道の6ページでは「地域と連携しながら推進する」で、この中で私はもう少し大きな河川水の利用を農村空間なり都市空間にも活用するような形の連携を図られるのかなという感じで受けとめていたのですけれども、そうではなくてといわれていたとすれば、「地域づくりにも資する川づくり」という形で統一されたほうがいいのかなという感じがしております。それが2点です。
 もう一つは正常流量です。正常流量について私は非常に関心があるのですが、どういう形で正常流量を確保していくのかということに一番関心があります。そういった意味におきまして、この表現ももう少し統一したほうがいいのではないか。例えば前の紀ノ川におきましては10分の1渇水量を併記していただきましたし、資料2では平均渇水量が何トン、平均低水量が何トンという表現があります。菊川においては平均渇水量、平均低水量が書かれて正常流量との対比がなされていますが、こういうことも統一的な取り扱いといいますか、表現が必要ではないかなという感じがしております。以上、3点です。
(委員長) まだ本文の審議に入っていなかったので、今の意見に対して次回の説明のときは整理して説明していただく、あるいは統一すべきものは統一するし、そこにニュアンスのあるものはニュアンスに差をつけるとして整理して、お願いしたいと思います。
 そのほかにご議論。どうぞ、○○委員。
(委員) 菊川の資料2−2の2枚目です。先ほど○○先生からもお話がありましたが、河口の流下能力についてもう少し検討していただきたい。すなわち右上の絵で、河口付近では1,200m3/S流れたときに計画高水位を超えています。流下能力は1,100m3/Sですが、計画は1,500m3/Sです。私が今まで勉強してきた河口についての調査では、河口は河床材料が非常に小さいので、大きな洪水が出ると河口では必ずといっていいぐらい洗掘が起こり、河床が下がって滑らかな水面形を持ってきます。今回1,100m3/S、1,200m3/S流れて氾濫したため、掘削しますといっているのですが、掘削したことで、数字上は流れることになるでしょうけれども、洪水のときには掘削量に相当する洗掘が起こっているだろうと想定されます。そういうことからして、掘削の必要性の根拠を示す必要があります。これについて次回検討結果を示していただきたい。
(委員長) それでは○○委員、どうぞ。
(委員) 大分川水系で、資料2−3の5ページです。改修に当たって、これは七瀬川の合流点のあたりですけれども、流下能力が足りないから掘削しなければいけない。ただ、この辺はアユの生息・産卵場所として重要ということで非常に悩ましいところだと思います。掘削の範囲を平水位以上に限定するから瀬を保全できるという論理ですが、実際に河床が変わるのは出水時に変わるわけですね。そうすると、これだけのインパクトを与えると出水時に瀬のほうも変わってしまうのじゃないかなというのが一つ心配なのと、もう一つは、真ん中の下の図を見ると、真ん中に洲がちょっと残るんですかね。赤の左側に少しだけ洲が残っていますね。こういうことをしたらその後どうなるのか、ちょっと心配だなという気がするのですが、その辺もし何かお考えがあったらお聞かせください。
(事務局) 洪水時に河床が変わる云々は豪雨等の話かと思うので、モニタリングを含めてよく監視に行く必要があると思うのですが、今お答えできるのは、絵の話は模式的にといいますか、少々場所が変わろうがこのぐらいのところでは同じような、でこぼこの場所が少し変わっても同じような状況かなということで示してある絵ではございます。
 中洲という格好ではなくて、その辺が流れそのものでいろいろ変わっているだろうと思いますけれども、至るところで切るようなことはないですが、切らないからといって、中洲のような場所が右にいっているか左にいっているかということはいろいろ移動するだろうと思われます。
 済みません。これよりももっと低い場所だというだけです。
(委員長) 今日は文案に至らない議論ですが、一応確認のために、流量計画は基本的に3川とも基本計画を継承するということですね。
(事務局) 菊川だけは上流部の……。
(委員長) 加茂の地点ですね。それ以外は変わっていないと考えて、そういうご提案ですが、今日確認ということではなく、異論があれば今日のうちに言っておいていただいて、加茂のところが増えたのは、下流に支障があるのかどうかは次回に説明していただきたいと思います。
 流水の正常な機能を維持するための流量については、それぞれ今回提示があったと考えていいんですか。今までは後志利別川は調査・検討の上でしたね。菊川も従前は検討中だったのが今回提示する、大分川は計上されているけれども。
(事務局) 場所はわずかずれていますが、基本的には同じでございます。
(委員長) 今後さらに調査・検討の上がついた上で計上されていたのですね。
 先ほどもありましたけれども、紀ノ川のときの議論の仕分けでは今回はどういう位置づけにあるのか、これらも踏まえて現提案でいいのかどうか、もしご意見があれば言っていただきたいと思いますし、今までの検討の流れの中で、九州の遠賀川でしたか、ダムをつくってまで確保する状態にはない。ただし水利権量はかなり大きい。それにかわる流量も決められないので今後、下水道の再利用とかいろいろな対応を踏まえて確保する目標を持つものと、紀ノ川みたいに安全度の低いものについてはできるだけダムも含めてあらゆる施策をつくして確保していくとか、河川によって若干ニュアンスに差異がありますかなというのがこの委員会の議論だったように思いますが、それらも踏まえてまた次回お願いしたいと思います。
 どうぞご意見ください。○○委員、どうぞ。
(委員) 菊川の地震防災上の課題ですけれども、ご存じのように東海地震の震源域の真上にすっぽり入っている。東海地震が切迫していると言われておりますが、先ごろの見直しで、想定震源域がほぼ面積の半分が海域、半分が内陸に入りまして、その内陸の部分にすっぽりこの菊川下流が入っているということでございます。
 そういうことを考えますと、一つは津波が菊川のどの辺まで遡上するだろうかということを一度調べておいていただきたいということです。
 それともっと大きい問題は、河川堤防の強化を他の河川よりも遥かに強烈にしなければいけないのではないか。恐らくこれは内陸直下の巨大地震になりますから、震度6強か震度7になりますので、そうなりますと、周辺の土地利用が大変進んでいるということもあって、ほかの河川以上の液状化対策も含めた強化をやっておかなければいけないと思います。
 この参考になると思うのは、一つ前の東南海地震があります。1944(昭和19)年12月7日に起きました。これは今想定されている東海地震の西隣の海域で起きた地震ですが、このとき静岡県下では菊川と太田川の流域だけが激甚な被害に遭っています。これは資料を調べてもわかるのですが、家屋の全壊率が90%を超えるようなところがあります。当時の家屋だからいたし方ないということがあるかもしれませんが、とにかく地盤が軟弱ですので、そういう意味で非常に大きな被害に見舞われた。ただ、これは戦時中だったから国民にはほとんど知らされなかったんですね。そういう地震です。
 そこで調べていただきたいのは、東南海地震のときに河川堤防がどんな被害を生じただろうか。これは聞き取りでもやらないと無理かもしれませんが、東南海地震のときの堤防の被害が恐らく次に起きるべき東海地震の堤防被害を想定するのに役に立つのではないか。東海地震のほうが内陸に入りますから遥かに厳しい条件になると思いますので、そういった点でもし調べられれば調べていただきたいと思います。
(委員長) ○○委員から何かございますか。
(委員) 結構です。
(委員長) ○○委員、どうぞ。
(委員) 大分川の資料2−3の5ページです。七瀬川と大分川が合流するところの内岸側を掘削したいということでした。調べていただきたいのは、こういう複断面で流れている川で蛇行しているところでは、相対水深と言って低水路の全水深と高水敷上の水深の比率が0.3ぐらいを超えるとそこでの洪水は直進して内岸側沿いに流れるので、内岸側を掘削することは流下能力をふやすことになります。ところが0.3以下になると、外岸側、通常の単断面の湾曲流れと同じで外側が速くなって、外側の河床を浸食していきます。このため、広げれば広げた分だけ内側に土砂がたまる。そういう意味でこの場所の河道がどういう特徴を持つのか。計画として考えている洪水が相対水深とか蛇行度という蛇行の特徴からどれくらいの数字を持つのかということを検討しなければ掘削してはいけないケースが出てまいります。
 私の書いた本にこのことが十分書き込まれています。事例もたくさんありますので、その数字を当たって具体的に洪水になったら蛇行の最短距離を洪水が走るような慣性力のある水深流量の洪水なのかどうかを確認して下さい。この部分では、恐らくふだん、内岸側には相当土砂がたまるだろうと思います。けれども、大洪水のときには堆積物は流れるのか、維持管理が必要なのか検討が必要です。
(委員長) これは整備計画の段階で検討していただきたいのですが、河道が湾曲しているという前提抜きで断面計画をつくるおそれがありますから、今言ったように湾曲によって起こる問題を十分踏まえた河道計画をつくっていただきたいと思います。
 なお、樹木の話を遠慮がちにも言っていましたし、今日は環境の専門の先生が出てこられないのですが、北海道の川を見たときも低水路にかなり高い木が繁茂していました。最近は木を切ってはいけないというものですから、どうも本当に大洪水になったら、河道の中心を流れないで堤防と樹木の間を流れるのじゃないかと心配するんですね。堤防に非常に圧力がかかる心配があります。樹木と洪水時の水流の関係を十分検討した上でやっていただきたい。地元の説明になると堤防の近傍の樹木を切って、河道中心部の樹木を残した河道計画になっていて、洪水時に支障があるのじゃないかと心配いたします。
 それでは、せっかくおいでいただきました○○知事の代理の方にもご発言お願いいたします。
(委員代理) 菊川につきましては、先ほど○○市長から話がありましたように小さい流域で、直轄事業とか河川ということで非常に治水に熱心なところでございまして、ハザードマップも県内で一番先にできたところでございます。
 また、先ほど内水の排除ということがございましたが、県では支川でかなりの河川について改修を行っておりますけれども、まだなかなか進まないのが現状でございます。国とあわせて内水対策を行っていきたいと思いますし、この整備方針ができましたら、治水についても整備計画を策定していきたい考えております。
(委員長) それでは○○知事の代理の方、お願いします。
(委員代理) 河川課の防災調整監をしています○○といいます。
 先ほど○○委員からご説明がありましたが、上流域は湯布院という観光資源、下流域には県庁所在地として大分市がございます。堤防自体は、下流部につきましては直轄と県管理の区間がまだ外水に対する堤防が不十分な点がありますけれども、中心部位に対してほぼでき上がっております。
 それで、昨年度の内水被害、平成9年の内水被害とさまざまな内水の被害がありまして、国土交通省とも一緒になって内水被害の対策もやっています。主に直轄と県管理区間境界の外水被害についても一緒に協力していきたいと思っております。
(委員長) ありがとうございました。
 ほかにご意見はたくさんあるんだと思いますが、時間が参りましたので、とりあえず今日の議事はこの辺で閉じたいと思います。
 今日は、河川整備基本方針本文案とその骨子などの資料は用意されておりましたが、時間の都合でその紹介はありませんでした。
 次回は本日の議論も踏まえ、本文について審議していただくこととなりますが、本日配付された資料も含め、お気づきの点がありましたら次回以降の議論にも反映できるようあらかじめ事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。
 事務局におかれましては、本日の議論や委員からの追加意見を踏まえて、本文案に必要な修正を加え、次回改めて紹介するようお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員の確認を得た後、発言者の氏名を除いて国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議題は以上でございます。
(事務局) 委員長、どうもありがとうございました。




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