ホーム  >> 政策・仕事  >> 河川トップ  >> 審議会等  >> 社整審  >> 河川分科会  >> 小委員会  >> 基本方針

河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第24回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成17年11月9日


2.議事
利根川水系の河川整備基本方針の策定について

(委員長) 近藤でございます。本日は、委員の皆様には御多用中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。前回までに利根川水系の治水、水利用と河川環境に関する特徴や課題につきまして審議いただきました。本日は前回までの審議を踏まえて、利根川水系の河川整備基本方針の基本的な考え方について審議をいただきたいと思います。
 それでは、事務局より説明をお願いします。
(事務局) 河川計画課長の布村でございます。それでは、資料に基づきまして座って説明をさせていただきます。
 資料1と右肩に書きましたA3のカラー版の資料をごらんいただきたいと思います。そのほかに前回の資料もつけてございますので、また適宜ごらんいただきたいと思います。
 前回いろいろな御質問等をいただきまして、後日それも併せて御説明と申し上げました中身をこの資料全体の中に散りばめてと言うと変ですが、今日は例えば、利根川水系全体の治水計画はこういうふうな考え方で随所にそういうお話を入れさせていただいているつもりでございますので、そのようにごらんいただければと思います。
 まず、資料1の1枚目でございますが、これは資料全体的に治水計画を見ましたときに、この紙で少し総括的なことを御紹介させていただいておりまして、後のページに個別のそれぞれのところではどういう考え方かというのをつけた形になってございます。
 1枚目の左上ですが、現在の工事実施基本計画の治水計画の考え方を書いてございます。これは前回の資料につけてございますが、その少しおさらいになってございます。さっとだけ御説明しますと、万一破堤した場合のダメージポテンシャルの増大ですとか、堤防の安全性、橋梁等を改築した場合には周辺の市街地等も高さの秩序もみんな変わりますので、大幅な市街地改変等があります。そういうこともあって、従前からの計画高水位を上げることはしないと。
 それから、明治改修以来ずっと引堤をしてございます。関東平野を流れている川でございます。周りはその後も相当な土地利用の高度化が進んでございますので、部分的引堤はできるかもしれませんが、流量増となりますと延々と全体の幅を広げる用地買収をするということは、ほぼ不可能な状況でございます。このため河道の洪水処理としては、掘削等で河積の増大をできるだけ対応しようとしております。
 ただ、河床の掘削につきまして、河床の安定というのをきちんと考えないといけませんので、当時の河道の平均河床というのを一つの計画の河床として考えてございます。
 それでも河道で処理し切れないものにつきまして、1都5県にまたがります大きな水系でございますので、上下流バランス、本支川のバランス等考えて放水路、それから、遊水地、上流のダムというようなことで構成されているわけでございます。
 左下は現行の流量配分図でございます。これについて今回の基本方針の中での見直しでございますけれども、基本的には右側の方に書かせていただきましたように、基本的な考えは特段変わるわけではございません。しかし、沿川の土地利用の高度化、それから、社会的状況の変化、あと河床の低下など河川の状況の変化を踏まえまして、より早期に、かつ、確実に水系全体のバランスのとれた治水安全度の向上というのが図れるように、個別個別のところで見直すということにしてございます。
 1でございますけれども、八斗島地点下流とか利根川下流など、これはまた後で出てきますが、河床が低下した後にある程度近年、河床も安定してございます。この大分安定しているものも踏まえまして、河道の分担量、八斗島地点では例えば500m3/sぐらいでございますが増加をすると。
 2は中川から江戸川、これは利根川と江戸川に分派されますが、その江戸川に中川からポンプなどで排水をしてございます。放水路で出しておりますが、近年まで洪水実績データ等から見まして、洪水の時間差等を考えれば、江戸川の上流から来ます洪水のピークのときには、中川、綾瀬川の方から排水をしてくるものはぶつからないといいますか、ゼロにして可能であるというような状況でございます。
 それから、3は利根川と江戸川の分派というのがこれまでもずっと大きな問題になってございますが、申し上げましたような江戸川のところでは500m3/s減らせます。それから、上流からは1のように500m3/s増えていきますので、これがちょうど相殺できるというようなことで、基本的には従前からの利根川の取手、それから、江戸川の松戸を一つのポイントとして見ておりますけれども、このバランスは変わることなく処理できるのではないかというものでございます。
 4は利根川放水路ですが、これは後で細かく御説明させていただきますが、市街化が進行してございます。もともとは花見川という川のところを相当拡幅して整備しようとか幾つかの案がございましたが、現在の状況からいって困難でございますので、印旛沼の活用を図りながら現実的な処理方法を考えようと。ただ、若干規模は小さくなります。
 5は小貝川とかの支川合流でございますが、昭和61年の災害等を踏まえて上流の遊水地群の整備等を考えますと、この分を合流量として見なくても実績ではいいではないかというようなことが見えておりますので、そういうものを評価すると。
 6は中流部に河道内調節池、例えば、菅生、稲戸井、田中等の調節地がございますが、周囲の堤防の安定性等を確保しつつ、地下水位の影響を受けない範囲で掘削ができるようになりました。この分、可能な限り既存施設を有効活用するというような点から、洪水調節量をその分だけ増加できるのではないかと。
 それから、7は今見ました河道での処理、それから、放水路だとかの分派、それから、本川での調節、その残りましたものが7の八斗島上流の洪水調節ということになるのでありますが、この部分は先ほどのように下流の方へ500m3/sが流せるというので、その分が減りますとともに、河道内調節地の掘削増、これは烏川辺りの広い河川敷をうまく活用するようなことでの調節量の増強ですとか、既存の洪水調節施設の再開発だとか機能向上、ダムの再編だとかいろいろな手だてがございます。それから、洪水調節施設の治水機能を最大限に生かせるよう、操作ルールも少し見直そうというようなこと等を踏まえて、洪水調節施設の整備を上流の方は図っていこうと。
 その他細かいと言うと恐縮ですが、地域の状況に合わせて一部より適切なものに変更しようというものでございます。
 次をお開きいただきまして、ここからは少しスピードアップをしてお話しさせていただきたいと思いますが、先ほどお話し申し上げました順番に大体なっているかと思います。
 まず、河道の状況でございます。右上のグラフは平均河床高の変動量です。昭和48年のラインがゼロ点でございまして、緑が昭和48年から昭和57年の変化量、それから、昭和48年から平成13年までが青い線となってございます。左側が河口で、右側が上流でございます。
 ざっと見ていただきまして、河口堰辺りは少し上昇しております。それから、佐原だとか布川がずっと書いてございますが、全体的には河床が低下してございます。
 原因が下の方に書いてございます。1つは、前にもお尋ねがございましたけれども、地盤沈下の問題がございまして、前は江東デルタだとか東京都心部の方が低下をしていたんですが、そういうものは地下水規制法その他、ダムなどで開発しました水への転換で今は収まりましたが、まだそういうことが追いついていないところで、今は栗橋だとか絵が描いてございますが、こちらが地盤沈下したりしているような状況になってございます。こういうものに引っ張られて川全体が下がっていると。右の方に断面図があります。
 それから、右下のように、これは量的に因果関係を正確には出せておりませんが、大体河道の容量の増加分というのはグレーで描いたものです。この部分が沈下して余計に流れるようになっているわけですが、こういうボリュームと比較して大体掘削量、河道整備などの掘削として行っているもの、それから、砂利採取量というボリューム感としてはこういうものでございます。何割かこういうことでも効いているのではないかと思います。
 次のページでございますが、今度の整備方針でしていることは、先ほど1枚目でお話ししました計画高水位は変えるべきものではない。それから、河道の安定性につきまして、河床変動予測だとかいろいろ行いました。元の計画も現在の河床を平均的な河床にして、平均河床を掘削の深さとして考えておりますが、今回も先ほどのページで申し上げましたなところで変化してございますので、河道の状況、それから、その下の掘削下限高とございますけれども、そういう下がりました後、今現在は落ち着いてございますが、こういう状況下の平均河床高を一つのコントロールポイントとして、そこまで計画の河床が下がってもいいのではないかというものにしようということでございます。
 あと、必要高水敷幅というのがございますが、従前とっておりましたものからもう少し全国的にいろいろな検討が行われてございます。大河川の被災事例等も含めて、今はこういう川で大体原則30〜40mぐらい確保すれば何とか処理できるというので、右側の絵にございますが、真ん中ぐらいが掘削の絵になってございます。1つは、話の順番から言うと最後にお話ししましたことの方がわかりやすいですが、河川敷のところが少しグレーの斜め線でハッチをしてございます。この部分は広げられるのではないかと。必要な幅は「bH」と書いてございますけれども、そういう幅を確保した上で少し広げると。それから、河床方向といいますか、垂直方向には従前の既定計画河道となっておりますものから、もう少し下部も掘れましたものを踏まえて下へ下げてもいいのではないかと。
 あと、右の方に代表断面図というものがございます。非常に小さいもので恐縮ですが、既定計画、元の計画のところは薄いオレンジみたいな線で、昭和48年河道というのがございます。それとほぼ同じぐらいのところに赤い直線で書きましたものが現在の計画でございます。これに対して、黒い線が現在の河道でございますので、これに合わせて緑の線のところまでは確保していいのではないかというものでございます。
 それから、順番が上下になりましたが、一番右上にあるのが流下能力の状況でございまして、細い線が現在の計画、それから、太い直線が基本方針の先ほど来お話ししているものです。それから、現況の流下能力というのが平成16年でこんなふうになってございます。見ていただきますと、下流は流下能力が全体的にないと。それから、結構コントロールポイントになったり、今までも議論になっております栗橋ですとか八斗島等ずっとその辺りをごらんいただきますと、川俣と書いてある辺りが一番ネックになっているという様子が見てとれるかと思います。
 下の方は掘削下限高、先ほどの横断のものを実際の河床との関係で見ましたときに、現状の河床の大体下のところをされたようなものですというようなことでございます。ちょっと時間の関係で次へ行かせていただきます。
 これもいろいろお尋ねの中にございました布川の狭窄部というのがございます。これは右上の写真を見ていただくと非常にわかりやすいんですが、ここのところだけ全体上下流に比べて川の幅が狭くなってございます。両方に市街地が広がってございます。過去も引堤の話をしてございますが、こういう状況下でなかなか川を広げるというのは難しゅうございますし、ここで地元の方の御理解がいただけない状況でございます。ここはずっとこれを前提に考えて、治水計画が成り立っているわけであります。
 右下のところが布川地点の平均河床の経年変化が書いてございます。右左が今までと逆で恐縮ですが、左側が上流で、右側が下流でございます。およそずっと見ますと77km辺りがまさに狭窄部の辺りですが、この辺りがぐんと下がっていて、かつ、上流と下流に丘になっているようなところ、赤丸で囲っておりますが、こういう川の形状から幅が狭いところは強く流れて、それから、広がったところではたまる河床の形状になっているわけです。
 中段の真ん中と中段の右の絵を見ていただきますと、中段の真ん中の横断図は77km辺りのまさに狭窄部の場所です。赤い横線の直線の下にオレンジの線があります。これは昔の河道です。昭和47年の河道ですが、これに合わせて大体既定計画というのは赤い直線で書いております。ここから平成13年河道というのが一番下の線でございまして、こういう状況でございます。
 それから、右側の図が下流でございます。これは今と同じような凡例になっているわけですが、薄いオレンジが元の河道で、それに対して赤い直線が計画で、それから、黒い線が現況で、これを踏まえて緑のような格好で、これは前のページと同じようなことでございますが、そうすれば全体の流れとしては非常にたくさんのいろいろな検討をしてございますけれども、この分の流量が従前よりも流れると。左上に書いてございますが、現在の計画は8,000m3/sですが、8,000m3/sはもともとは流れにくいとございましたが、先ほどの河床低下で8,000m3/sが流下してございます。先ほどの緑線ぐらいに河道を下流を広げますと、10,500m3/sぐらいが流れることができるのではないか。詳細はこれからですが状況としてはこういうものです。
 次の5ページは利根川放水路でございます。右の絵が模式図でございますが、右側の絵の左下が東京湾でございます。ここへ花見川と書いてございますが、この辺りというので、黒い点々の太い線が一つの想定ルートで書いてございます。実際にこのところをどうしようとしているかというと、真ん中の左側の写真、もともと計画の3,000m3/sを流そうといたしますと、現在の花見川の周辺を赤い線まで広げることになります。こういう状況ですが、真ん中の一番下に土地利用状況の変化図を載せてございます、昭和51年と平成9年でございますが、改めて御説明するまでもなくではございますけれども、千葉、東京等ずっと密集地帯になってきてございますので、こういうものがここで展開することはできないと。一つ検討しておりますのは右側の絵にいきますと、横に印旛沼がございます。利根川から印旛沼へ取り入れて、そこから花見川の方へ流そうと。花見川の方は少し整備をしないといけないことはあるかと思いますが、周りの市街地の大きな問題はなく処理できるものとして、500m3/sぐらいの量を流すことができると。そのときに、印旛沼が洪水の調節機能をうまく果たせるように、少し整備をすればこういうことが可能になるのではないかと。
 あと、直接洪水に関係してございませんが、地元千葉県等のお話でも印旛沼の水質の汚濁が非常に心配されてございますので、こういうことの改善にもこういったやり方でうまくやっていけるのではないかと想定してございます。
 次に6ページでございますが、利根川の下流部でございます。これは銚子の方で太平洋に流れていくわけですが、先ほどの布川からもっと下の状況です。非常に勾配の小さい川なわけでございますが、真ん中の左のグラフのように、先ほど申し上げた流下能力との関係はこういうものでございます。これにつきまして、左下のような浚渫、元の線が赤い線で計画をされておりましたが、これを緑のように現在の河床状況と周りの状況を見まして、その分で若干能力を上げることが可能ではないかという状況でございます。
 ここで問題といいますか、ずっと検討している話題として右上のように、深掘れといいますか、非常に部分的に深く河床が下がります深掘れが大きなもので6つございます。こうしたものが周りの堤防だとかいろいろなものの安定性上いろいろ課題であるという認識でいろいろな検討をしてきてございます。こういうものについての強化も一つの例として書いてございますけれども、対応していくことが重要かと思われております。
 それから、河口部は細部の話かもしれませんが、導流堤が港の整備等の状況で、昔のものが要らなくなっているものにつきまして、現在に合ったような格好へ直すというようなことをしようというものでございます。
 それから、7ページでございますが、江戸川分派ということです。今、利根川の本川の河道の流下能力だとか、それに付随した計画みたいなお話を申し上げました。大きなシステムの中で重要な話が、利根川と江戸川に分かれていくということがございます。その状況が真ん中下の写真のようなところでございまして、利根川が写真の下から上の方へ流れていきますが、関宿というところで分派をいたします。こっちの方が利根川本川の本来の方だとおっしゃる方もおられますが、こういう構造になっているわけでございます。
 これにつきましては先ほど1ページ目でお話ししましたように、全体のバランスとして従前からの大きな意味でのバランスは、そのまま利根川下流の取手で10,500m3/s、江戸川の松戸で7,000m3/sというようなことで、そのままいけるのではないかと思っています。
 それから、利根川の下流部につきましても、先ほどの放水路も含め、それから、江戸川につきましても、それなりの量をかなり厳しい中で確保しているものでございますので、現在のこのバランスのままでいくべきではないかと考えてございます。
 一つここでの課題として分派率の経年変化というのが左下にございますが、江戸川の方へ行く計画分派率35%の線が直線で横線上の方ですが、昭和30年くらいのところはそれを超えるものがあったりするんですけれども、その後だんだんこれは地盤沈下の影響その他で、どちらかというと利根川の方へ流れやすくなっているという状況にございます。この辺は、いろいろな検討を相当長い年月しております。検討だけしているんじゃないかと、委員の方からおしかりを受けたこともございますが、こういう状況のバランスを基本方針できちんと保つように、いろいろなことを過去やってきております中で、ここの処理を適正にやっていこうとしてございます。
 それから、次に8ページでございますが、今度は分派いたしました江戸川本川の周辺でございます。利根運河がございます。この前、○○委員からもお話がございました。写真がございますが、これに対して今500m3/sの河道に広げるとすれば赤い線まで河道を広げないといけないという状況でありますが、この辺もどんどん住宅地その他が広がってございますので、現実的に500m3/sを流すような河道にはしないとしていくべきだというものでございます。
 中川とか綾瀬川ですが、これらの排水の話は前回お話しさせていただきました。そこから江戸川の方へ出ていきますものが下の絵にございます幸手放水路、それから、外郭放水路、金杉放水路、三郷放水路というのがございます。このうち外郭放水路につきましては、洪水時、江戸川がピークになったとき、このピークがぶつからないという検討がちゃんとできておりますが、幸手放水路、金杉放水路、三郷放水路等につきましても、最近の雨のデータ、洪水のデータを検討いたしますと、これもピークのとき0m3/sで大丈夫であるということが確認されてございますので、そういうふうに直すと。その分500m3/sが江戸川の中川、綾瀬川から出てくるものとしては減るということになります。
 同じような話でございますが、下流に旧江戸川というのがございます。これにつきましては、中川の下流部等に位置しているわけでありますが、この洪水の水位を低下させるために、旧江戸川の方へは水を流さないで、全部江戸川放水路という真っ直ぐ行徳可動堰で流そうとしておったわけでありますが、先ほどの中川合流のところで書きましたものと同じように、これまでの洪水のデータ等を検討いたしますと、旧江戸川のところへ中川のピークが重ならないというようなことがございますので、ここへも現状の河道能力に合った1,000m3/sという量を分配して、全体のシステムをバランスよく運営しようというものでございます。
 それから、9ページは、先ほど来からの通り下流や放水路の河道の調節ということを考えますと、残りのところが今、八斗島上流の洪水調節施設になってございます。現在、洪水調節量は上流で6,000m3/sを見込んでおりますが、これは先ほど河道分で500m3/sぐらいを下流に流せるということで5,500m3/sぐらいの調節の必要量に今回見直そうというものでございます。
 それから、5,500m3/sのうち現在、整備方針の考え方と書いてございますけれども、大体八ツ場ダムぐらいまでで1,600m3/sぐらいの洪水調節が見込まれております。残り三千数百m3/sございますが、烏川の河道内調節池、それは先ほどの菅生、稲戸井だとかと同じように、可能な限り掘削ができる部分までを広げることが検討ができてきておりますので、そういうふうに調節量を広げると。
 それから、既存のダムの再開発だとか、ダムの連携・再編等をやって既存ストック等も活用して、全体のシステムとして最適化を図る。
 それから、運用ルールもそれに合わせて直そうというものでございます。
 例示として下に、ちょっと時間の関係で飛ばさせていただきますが、下久保ダムというものと別のダムとの間で、今までの下久保ダムの洪水調節容量と片方の利水容量を双方振り替えて、より効果的なシステムに切り替えようというものでございます。
 それから、次の10ページでございますが、各支川がございます。渡良瀬川、鬼怒川、小貝川。渡良瀬川については、基本的に内容に変更はございません。鬼怒川につきましても、基本的な変更はございません。それから、小貝川につきましては1ページでお話し申し上げましたようなことで、昭和61年に非常に大きな出水がございました。これまでのものをはるかに超えるような出水でございました。この分、上の方で母子島遊水地等を整備しております。あと、一部遊水地の整備が残ってございますが、こういうものと、それから、合流しました後の菅生、稲戸井、田中の調節地を考えますと、小貝川から入ってくる洪水は利根川本川のピークとはゼロ合流とみなしていいだろうと。それで合流量はゼロとしてございます。
 これらを踏まえて11ページに総括的な絵がございます。各ポイントのところ、基準点、それから、主要な視点の元のものが黒、それから、新しいものを赤で示してございます。
 12ページでございますが、また話題が変わりまして、正常流量のお話がございました。それぞれについてどうか、御説明させていただきたいと思います。まず、前に申し上げましたが、1つは一般的にこれまで正常流量の基準点は、水系で1点しか設けていないものが多うございますが、これだけ大きな水系システムでございますので、複数点で多点化と前に説明はしましたが、設けようと。そのうちの1つに利根大堰という御説明を申し上げました。そのとき上流・下流、その全体が大事なんだという御指摘をいただきました。ここの基準点だけ、前の絵ではうまく見えていないんですが、利根大堰の上流と下流という非常に近接してございますが、両方を基準地点として今回見ようとしてございます。各項目につきまして河川法施行令の検討項目を入れてございますが、それぞれについて出してございます。
 右上の表が利根川の上流部から渡良瀬川合流までのところでございますけれども、左側が下流、右側が上流でございます。幾つか赤い「○」とか数字が書いてありますのが、左側の維持流量の検討の番号や色と合ってございます。もっとたくさん検討しているんですが、主要なものを入れますとこういう格好でございます。利根大堰の上で見てみますと、下流では維持流量としては19.6m3/s、かなり上の方になりますが、これに水利権が92m3/sぐらいございますので、それぞれ正常流量として上流では112m3/s、下流では19.6m3/sというような数字でございます。
 時間の関係で恐縮ですが、幾つかの横断図等々の御説明は省かせていただきたいと思います。
 次は、渡良瀬川合流から河口までのところでございます。ここは、栗橋、布川、利根川河口堰の下流というところで基準点化してものを見ようというものでございます。これも同じように、動植物の生息・生育などでは、それぞれのところの魚種が生息するための必要な流速は幾らとか、水深は幾らというようなことを検討いたしまして、これらの結果が右上のグラフの中で出てきてございます。例えば、栗橋地点で見てみますと、維持流量というのは59m3/s、グラフの一番右の方にひし形の四角がございますが、維持流量の矢印が入れてあるところぐらいが出ておりますけれども、これは利根川下流部の塩害の防止だとか江戸川分派の量、水閘門の上流の動植物の保護の必要流量を足し算したものでありますけれども、これに対して水利権量が86.98m3/sということで、これから流入・還元量を引いてというものが115m3/sと設定してございます。それぞれ布川、利根川河口堰というようなところで、それぞれの最大値といいますか必要量を計算しています。
 14ページは、分派いたします江戸川ですが、ここは野田と一番河口に近い江戸川水閘門の下流というところの2点を見てございます。これも同じように、右上のところでちょっとシンプルな絵になってございますけれども、設定をしようというものでございます。
 それから、15ページでございますが、これは鬼怒川、渡良瀬川でございます。渡良瀬川につきましては、大間々というところで動植物の生息・生育のための必要流量とか水質の必要流量等を入れましたもの、下の方に「○」が書いてございます。これについて検討いたしたものが23.6m3/sというものでございます。
 それから、右の絵は鬼怒川でございますが、ここは佐貫を基準に考えてございます。この部分も同様でございます。
 ちょっとはしょった説明ですみません。16ページからまた別なことでございます。この前の御指摘・御質問の中に、水資源開発の話と地盤沈下のお話がございました。まず、地盤沈下の状況といいますか、一番上のグラフは地下水の取水量の変化でございます。大体昭和50年ぐらい前までは、特に江東デルタでひどいところではマイナス4m以上まで地盤沈下をしておりました。この大きな原因が工業用水などの取水でございましたが、色分けで字が見えづらいかもしれませんが、一番下の濃い紺色が東京、その上のオレンジが千葉、赤が埼玉、青が群馬、黄色が栃木、緑が茨城でございます。ですから、昭和40年代のところはまだ東京が一番多い感じでございます。ただ、全体的にも結構あちこちで地下水取水がされてきてございます。これを地下水規制と上流のダム開発で水利用を切り替えて地盤沈下を抑えることができてきたわけでありますが、その後も近年はどうかといいますと、真ん中の方に楕円形の「○」が書いてございます。上流側といいますか、北関東、埼玉も含めてでございますが、茨城、栃木、群馬、埼玉、上流だと栃木、群馬、埼玉というところかもしれません、この辺りの地下水は逆に少し多くなってきている面もございます。
 こういうものが多分、真ん中の平面図で地盤沈下の状況、前のページでもございましたが、昔は江東デルタに代表されますような東京、埼玉辺りでしたが、少し今は埼玉と一部栗橋だとか群馬、栃木、この辺りの地域で全体の地盤沈下の状況が移っているという状況でございます。
 その他は大分縮小傾向にはございます。一番右のような状況に現在はあるということでございます。
 それから、今の水資源開発の整備状況は一番下のグラフでございます。人口の増大とか産業の増大のための水資源開発というのは、一つの役目として、これだけの社会を支えるわけでございますので、水資源開発がなされておりますが、その中の一つの大きな役割として地盤沈下対策がありまして、先ほど申し上げましたような昭和50年より以前ぐらいのところについて、水資源開発により地下水取水がこれがどんどん転換をしていくと。その後の水資源開発が階段状になりましたものでございますが、上とリンクした格好で進められてきているわけです。
 この絵で、前も一度お尋ねが少しございましたが、暫定水利権というのが話題になっております。施設の見込みはあるんですが、まだ施設はできていないと。だけれども、間に合わないので事前の借金をしているような水利計画があるわけです。これが赤い斜線で引きましたもので、相当なボリュームのものがございます。こういうものも併せて関東平野の水資源開発とか地盤沈下対策、それから、生活用水、工業用水等の確保などが進められてきたという状況でございます。
 17ページは、これも委員の方からお話があって、十分うまく表現できていなくてすみませんが、暫定水利、それから、利水安全度の低下、水資源開発みたいな話があって、フルプランの話等の話かもしれないけれども、どういうことですかというようなお尋ねがございました。簡単な模式で書いておりますが、一般的には左上のようにオレンジの階段のものが施設の整備によって水量がこれだけとれますみたいなものでありますが、青い線が取水量というか需要量でございます。これは需要見込みに合わせてその前に施設をつくっていくという、それが普通の姿かと思いますが、右の方に暫定水利権とありますように、施設そのものがまだつくられていないけれども、施設の見込みがあるものにつきましては暫定水利権というものを取水だけは出している。これは先ほどのところに書いてあるものと同じ状況です。それが安定水利権の施設ができれば、オレンジのものに切り替えるというものでございます。この辺の説明は真ん中に書いてございますが、時間の関係もございますのではしょらせていただきますけれども、そういうある種借金的な水利権でございますので、許可期間も1年更新、最長3年というようなことで運営がされてございます。
 関東平野の暫定水利権の量は、下の方に量的にはこのぐらいあるという、全国的には非常に大きな量がございます。
 あと、フルプランが右下に書いてございますが、利水の安全度が低下してございます。もともと利根川の水資源は5年に1回ぐらいとか数年に1回ぐらいの安全度と言われておりますが、全国的に見ますと10分の1。ただ、なるべくデータも踏まえてというので20分の2というのを10年に1回ぐらいと置き換えてございます。こういうものが全国の水系の検討の中でなされてございまして、これを木曽川に当てはめてみましたときは113m3/sの計画でございますけれども、そういうときには77m3/sの実力くらいになってしまうというものでございます。
 では、この足りない分はどうするんだというお話がございます。一応一般論としましては、渇水対策の容量、公共全体として国の方で確保するという手法がとられておりますが、特別に当然個別の利水で自分のところは貯金をしておきたい、万が一のときにはその貯金を使いたいという方が独自でおつくりになっている場合もございまして、そういうもの等の合わせ技で緊急時の対応をしているというものでございます。
 最後のページ、水利許可制度につきましては、水政課長の方からお話をさせていただきます。
(事務局) 水政課長の高島でございます。
 それでは、今お開きいただいています資料の最後の18ページの水利許可制度上の転用の考え方につきまして御説明申し上げたいと思います。先般の小委員会で水利権の転用についてお尋ねがありましたので、簡単に御説明させていただきます。
 もう御案内かもしれませんが、水利の許可制度でございます。許可制度につきましては、河川の流水が有限な公共の資産であるという考え方に基づきまして、公平な判断基準に基づきまして、福利の増進に資するように計画的に利用するという形で運用させていただいています。
 具体的な法律の根拠は河川法23条、御案内いただいている簡単な条文でございますけれども、今申し上げました許可制度の意義を踏まえまして、最高裁の判決でこれにつきましてはここに書いてございますように、「ある特定の目的のために、その目的を達するに必要な限度において」云々ということで、目的と必要な限度、量を2つとも満たす形で使用するという形で定義されております。
 許可に当たりましては、こういう考え方を踏まえまして、審査基準等に基づきまして用水の目的、それから、必要水量の妥当性、実行の確実性等を審査し、適正に運用しているところでございます。
 具体的な必要水量の算定は下の方に書いてございますけれども、水道用水と工業用水を例示させていただいています。これは、ごらんいただいたとおりの形になってございますが、客観的な形の数式をもちまして、それぞれの必要水量を算定しているところでございます。
 実は、現行制度におきましても転用をしておりまして、ただ、これは御指摘がございました包括的な目的の中で許可をして転用してというものではございません。あくまで個別の目的、水道を審査した上で、現在の許可の変更と新規の申請を併せて行うという形で転用を認めております。そういう意味では、現行制度の転用でございますので、新規申請と同様にその目的、それから、必要水量の妥当性等々について審査し、他の水利使用との公平性を保っているところでございます。
 具体的な実績でございますけれども、ここに書いてございますように、昭和40年度から平成15年度までの実績、9水系でございますが、御案内のとおり農業用水、工業用水から主に水道用水に転用しているという形になっております。
 この転用に当たりましては、幾つかちょっと問題がございますが、下に書いてございますけれども、1つは、転用元と転用先の関係者間の調整がつかない。これは、いわゆる水利権や工作物の所有権等の権利の譲渡を行う必要があるため、このために関係者間での調整が必要になってくるということでございます。
 それから、2つ目は、補助金を受けたダムやそういう権利を譲渡する場合について、補助金の返還等が必要となりまして、その際、資金調達等の問題が出てくるという2点でございます。
 簡単でございますが、以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。
 前2回は大変限られた時間で、しかも、淀川と同じ日にやるということがありまして、各委員には落ち着いた審議をする時間がなく、御質問を受けたまま次の機会にということで、今日は事務局からそれを併せて御説明いただきました。今までで委員の方からありました質問で、今日回答漏れがあれば御発言いただきたいと思いますが、かなりのものは河川整備計画策定の段階でということだったと思いますので、基本的な事項は事務局から今説明を伺ったと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは、本日の説明に対して御質問なり御意見なりを賜りたいと思います。順次お願いいたします。
 せっかくですから、地元委員代表としておいでの○○委員から、まず口火を切っていただきたいと思います。
(委員) 説明を聞かせていただきまして、前回お願いした点について十分配慮していただいたということで、本当にありがたいと思っています。8ページの利根運河の関係「整備方針の考え方」の中で、一番下の方に「緑豊かな水辺の回廊として市民の憩いの場となっていることから、引き続き良好な河川環境の保全に努めていく」という記述をしていただいております。非常にありがたい話だと思っておりまして、実はこの利根運河の沿川というのは、私どもも含めて3市が関係してくるところでございますけれども、その3市の間で民地側についても利根運河を見たときに、その周りが余り見栄えがよくなっていないというようなことがあって、景観上で検討していこうかということも考えておるところでございますので、非常にありがたいと思っております。この方向でこれからも御指導いただければありがたいと思っております。
 お願いベースの話は前回も申し上げましたが、河川敷、高水敷を利用させていただいている、占用許可をいただいている部分がございます。それぞれについて、これから高水敷を掘削していくというような話になるようでございますので、これはお願いとしての話でございますけれども、十分御配慮いただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
(委員長) それでは、○○委員、御意見がございましたら。また前回質問もございましたので、併せてお願いします。
(委員) 御説明いただいて、1つは意見で、1つは質問させてください。
 7ページの江戸川分派のところで、整備方針の基本的な考え方が書かれて、高水についてはバランスを利根川の方に傾向としては流れやすくなっているというお話でした。この流れやすくなっているということで分派のところが終わるといいますか、整備方針が終わると考えるのか、あるいは低水について江戸川の方に入りにくくなってしまっている、同じように利根川の方に行ってしまっているとなると、この関宿の流頭の施設というのは将来どういうふうに考えるかということに掛かってきてしまうので、ここの基本的な考え方として高めるだけで必ずいいよと言ってしまっていいのかどうか。後の方の正常な流量というところでは関宿の話というのは余り出てこないので、その辺は同じように考えていいのかどうか、もし何かお考えがあったら教えていただきたいと思います。
 それから、もう一つは、前回もちょっと意見を言わせていただいたんですけれども、河道幅は変えないけれども、横と深さで掘削して流量を増やすよという方針のようですが、いずれにしても布川が拡大するということには変わらないのか。布川が拡大することは利根川にとっては大変な大転換になるというような認識をしていいのかどうかが、少しわかりにくいので、もしそうだということになると大変なことだなという気がします。利根川始まって以来の大転換と考えているんですけれども、そんなこともお願いします。
(委員長) これは、答弁いただけますか。
(事務局) ○○先生のお話ですが、まず、7ページの江戸川、利根川の分派のお話ですが、高水・洪水につきましては、現在、利根川の方に流れやすくなっているのをよしとしているわけではございませんので、幾つかちょっと例も書いておりますが、こういう検討を踏まえて、きちんと分派のとおりになるような格好にしたいということでございます。基本方針の中でも、そういうことをきちんとしていかないといけないということは、書かないといけないということかと思います。
 それから、低水でございますが、これは江戸川に入りにくくなっているということでございますけれども、どういうバランスかというのは先ほどの維持流量のところにございました14ページで、江戸川の野田地点での正常流量というものを30.8m3/s、これは江戸川分派点から江戸川水閘門の動植物のための流量と、野田から江戸川水閘門の地点の水利権の利用、それから、一部周りから還元してくる水を引き算してございますが、そういうものを入れてこの量だと。これを確保するためには当然、これは基本方針でございますので、具体的な整備の仕方は整備計画の中でかと思いますが、きちんとやらないといけないと認識してございます。
 それから、大きな2点目の布川の拡大は、先ほどの資料の4ページでお話し申し上げましたが、布川の狭窄になっているそのものは現状のままでいきまして、実際のところ洪水の流れからいたしますと、下流側のマウンドみたいになっているところがきいているということでございますので、この部分を先ほどちょっと絵の中にもございましたが、少し横方向に広げることでかなり洪水の流下が出てくるのではないかと。そういう動作を今回していくことを見込めばいいのではないかと考えてございます。
 以上でございます。
(委員) 要は、布川の狭窄部だろうが、その下だろうが、余計に流れるようになるということが大きな転換だと考えているんです。ここが狭窄部であったというのは利根川政策上、一つの大変なポイントになっていた。ここで下流と上流が、ある意味ではきっちりと分けられていたわけですね。これをつなげるよ、下流に増やすよということですから、これは狭窄部の下流を掘削して流下能力が上がるということは、狭窄部の流量が増えるということですから、これは大きな転換じゃないかと考えました。
(事務局) 先ほど利根川放水路と利根川の下流部の分担の中で、放水路も現実の都市化の状況からすれば大きく転換しないといけない中では、おっしゃられるとおり全体的にそれを利根川の下流の方で今回大きく見直そうというものでございます。
(委員長) よろしゅうございますか。
 それでは、今回の提案の基本は、従来上流ダム群等で処理するという形になっていた計画量の中で、下流河道でも徹底して受けられるものは受け入れようという形で、かなり河道計画についても注目した検討がなされているようでございますが、一つ河川工学の立場から○○委員、御意見がございましたらお願いいたします。
(委員) 私は幸いに利根川を勉強する機会が多く、利根川はそれなりに勉強してきた川の一つであります。今日の御説明を聞きまして、事情はある程度理解しながらも、これは大変厳しい河道計画を立てられるんだなというのが、まず基本的な理解です。具体的には、河道に相当負担を強いているということです。
 前回も申し上げましたように、私は3点大事なことがあるだろうと思います。1点目は、今、○○委員が言われましたように、布川の狭窄部をどう考えるのかということであろうと思います。もう一点は、それもお話がありましたが、上流の江戸川と利根川下流への分派量の問題、構造的にどうするのかはこれからの課題ですけれども、分派をどう確保するのかということです。第3点目は、利根川下流部の河道に相当負担を強いるために、河道掘削をするということなんですが、河道の状況をよく見てみると負担が重くて、流れることは流れるんですけれども、堤防等に対する相当な圧力が掛かっていること。計画で考える断面形では流れにくいことです。すなわち、緩やかな蛇行をしている河道ですので、掘れるところは掘れて、たまるところはたまるということを十分認識して河道の掘削を考えていかなければならないと思います。それは河口部の計画も含めてであります。
 その3点を含めながら、一体これをどういうふうに具体的に実行していくのかというのは大変重要です。整備計画を意識しながら基本方針を立てることが重要です。基本方針というものは整備計画でどういう段取りを整えながらこの基本方針を達成していくのかということが、利根川の場合には計画流量が大きく、河道に負担が大きいために大変重要なことだろうと思います。
 具体的に、これから長い間掛けて計画的に川づくりをやるときに、今挙げた3〜4点を確実に安全に達成していくのはどういう方法があるかまで考えておかなければなりません。これはゴールは決まっているとしても、それを確実に検証しながら事業を進めていく。私は、これまでの多くの河川の基本方針の検討の中では意見としては時々申し上げていたんですが、この利根川につきましては是非にこういう方法でやっていかないと、計画をつくっただけで実際はそうならない可能性もあることから、着実にそれをチェックしながらやっていける仕組みを基本方針の中で明記する必要があると考えています。
 具体的に、分派量をどうしっかりと決めていくのかということです。今の○○委員のご意見の低水流量の場合の分派はどうなるのかという課題は、利根川の河道が安定しているとはいえ、江戸川の河床高に比べて相対的に下がっているので、河道の安定、分派の安定を分派点でどのように行うのかということが大事であります。もっと言えば、河道の安定を図るためには具体的に分派点付近でどんな洪水の流れ方をしているのかということを確実にとらえない限りは、この大河川の計画達成に向かっていくのは難しかろうと思います。
 この分派点と、布川地点、河口地点、この3地点につきましては、私は前から申し上げていますように、今後起こる洪水の水面形の時間変化を着実に測り、各地点の洪水の流れ方、流量ハイドログラフをしっかり把握することが最も大切と考えています。現在、分派点のところにつきましても、栗橋と芽吹の間に自動水位計が設置されていません。自記水位計でない水位計は2つほど入っているんですけれども、私が思うのはやはり自記水位計を入れて、洪水時の水面がどんな挙動をするのか、洪水の情報はすべてが水面形に表れる。例えば、川底に土砂がたまっているとかたまっていないとか、掘れているというのは水面形に表れてくる。いろいろな洪水の水面形の時間変化を比較すれば、流量と水位の関係の縦断変化に、洪水に対する河道の応答が明確に現れてきます。利根川のような大河川で、○○委員の言葉を借りれば計画の大転換をやるというときに、河川を勉強している者から見てもこれは大変なチャレンジをしていることだと身が引き締まる思いです。計画を確かなものとしていくために一番大事なのは、確かな情報を持つこと、そのためには縦断的な水面形の時間変化を着実に測れるような水位計を縦断的に並べていくことです。これは布川についても当然必要です。布川は、水は流れるでしょうけれども、川底が一体どうなるのかとか、そういったことを見るためにはどうしても縦断水面形を布川で測り続けなければならない。縦断水面形の時間的な変化がわかれば、今後、流量はどう増えることによって水面形はどうなって、どういう地点がどうなるということを正確に着々とオンラインでチェックしていけるということです。
 河口について言っても、今の河床土で言えば河床は上がって堆積傾向にあると言いますけれども、恐らく河床材料は小さいので私は大きい洪水が来たら、それはフラッシュされるだろうと思います。それもそう思っているだけで、実際に河床材料が流れた、1m、2m下がったとなったら、それは水面形の時間変化に表れるわけですから、そういうものをいろいろな洪水について着実に押さえて、計画流量が懸案の3地点で、安全に流れるのかを正しく把握する手段に用いるべきです。
 これまでの収集された利根川の洪水データは、それなりにいいデータがとれています。これまで洪水のデータである程度判断できますけれども、基本方針の河道計画は河道に大きな負担を持たすことになりますので、確かなものとしていくためには、しっかりとした調査、このための施設を整備することを基本方針の中に、具体的には、維持管理の中にしっかりと書き込んでいただきたい。これが私どもも外部からサポートする上で大変重要になるし、技術の進展と学術の進展とが一体的にこの大きな川を安全なものへ導くために、どうしてもそれが必要であると思っています。
 委員長からもお話がありましたように、これはまた整備計画の中で順番に検討していくべきことだとも思います。特に、利根川下流河道に対しては相当無理が掛かることを認識してモニタリングをしっかりしながら今までわかっていること、これから明らかにされてくるデータを一緒にして、これなら確実にいける、ゴールは見えているんだけれども、そういうものに向かうやり方をどうしたらいいのかということを安全に確実に実行していただけるようにしていただければ、私としてはこの整備基本方針が実際のものになり得るだろうと考えています。
 以上です。
(委員長) では、これは御意見として承っておきます。
 ○○委員、何かありますか。
(委員) ○○委員と○○委員の言われたことはもっともだと思うんですが、ここで幻の放水路がある種の形を得たというのが、やはりもう一つ大きなことだと思います。
 5ページの図を見ながらなんですけれども、先ほど○○さんがおっしゃったのは、布川の狭窄部があるがために、その上で放水路で洪水を放流するというのが従来の計画であったのが、今回は布川狭窄部の流下能力を増やして、その下流で放水路が抜けたというのが、恐らくその辺が大転換だとおっしゃる意味だろうと思います。それはそれで下流の流下能力が増えているという実態を踏まえて結構だと思うんですけれども、印旛沼は今日の御説明でも全国の水道水源としてはワースト1であるということに絡んで、この放水路計画がある種の印旛沼の水質改善にも結びつくような御発言がちょっとあったと思うんです。地元は実は非常それを期待しているわけです。私自身、印旛沼流域の水循環健全化計画の関係でかかわっておりまして、地元は印旛沼の流動化というのは非常に関心が高い。ただ、洪水、これも恐らく100年に1回とか200年に1回しか入らない計画なんでしょうけれども、洪水そのものは恐らく水質が非常に悪いんですよね。つまり、流動化に対する期待と洪水の分派というのは、少し整理して説明していただかないと、地元は後で非常に混乱するというような気がしますので、今日お答えいただかなくても結構ですけれども、その辺はちゃんと整理して、ある意味では今までの歴史の中である種の決着をつけるわけですから、皆さんにもわかりやすいような説明をしていただきたいと思います。
 以上です。
(委員長) ○○委員の方から御意見ございますか。
(委員) 利根川ということですけれども、少し質問的なことで恐縮なんですが、河口部で特に海面水位はこれからどういうふうになっていくのかということ。それから、洪水と高潮の同時発生ということで、河口処理対応という形のものは考えていく視点にあるのかどうかという形のものをちょっとお聞きしておきたいということと、それから、少しさっきお話がございましたけれども、整備基本方針と整備計画の関係についてちょっと教えてほしいんですが、河川法あるいは政令でいろいろ定めなければならない事項。これが整備基本方針という形で書かれると思うんですが、この整備計画という話も出ていまして、整備基本方針に沿ってとか則してという形で整備計画を考えていくというときの期間の設定という形のものは、整備基本方針はどちらかというと長期というような意味合いなのか、期間設定という概念は一向に見ないものですので、整備計画の方はより具体的になってくると、期間設定がそれよりも短い形で到達可能という形で、整備基本方針と整備計画のかかわりの中で、そういう達成するスパンの期間設定という形のものは余り描かないのか、描いているのか、その辺りがちょっと我々の整備計画を策定する委員会等々で結構ある中で、整備基本方針に向けてとか沿ってとか則してというあれですが、その目標というのは規模とかそういうものは従来もあるんですけれども、それをどういうふうにやっていく期間という形の概念は、どういうふうに見ておったらいいのか、描いたらいいのか、法令とか期間の話がないという形でしかちょっと読めないものですので、その辺り法律の解釈として整備計画をつくっているときには、えらい具体的かつ設定期間があるような印象を持って議論をするところもございますので、その辺りを質問的なことで大変恐縮なんですけれども、法解釈として少し教えていただければということをちょっとお願いしたいと思います。
(委員長) では、これは事務局からお願いします。
(事務局) ちょっと海面水位と高潮云々というのは特別の関係はないと思うんですが、別途にあれば説明をまた用意したいと思います。
 それから、2点目の話でございますが、基本方針でどんなふうな川の整備方針かということでありますが、整備計画の方は具体的な事業計画といいますか、どういうものをつくるかということを明らかにするというのが役目なわけでございますので、期間の話も非常に強くリンクしている部分があって、具体的にどういうものをやるかということを想定しない限り、いつぐらいまでにものができていくかということも非常に想定しづらい。例えば、漠然としてはよくございますけれども、四半世紀後にはこうしたいとか、そういう行政上の目標というのは一般にあることはあるんですが、かなりこういう現実のものとしていつまでどうだというものについて、予算の話もあれば、それから、地元のいろいろな事業振興上の話もあれば、それをいたずらに何かやっても余り意味はない。看板だけは立てることはあるかもしれない。そういう意味では、元へ戻りますと、具体のものを書くというのが整備計画だと。そうすれば、具体のものというものが出ると、それに合わせて期間というものもイメージできるというところが、当初の河川法改正のときのいろいろなやりとりの中でも、整備計画で今後20年か30年ぐらいと言ってきたのがちょっと誤解を受けていることがございまして、今後20年計画や30年計画を立てるというふうに誤解されている面があるんですが、そうではなくて具体のものを書く役目なんだと。そうすれば、それは普通は河川事業、ダムなども含めまして20〜30年というのはレンジの中に想定しないといけないというところで来ておるということかと思います。
 そういうことなので、今後ある程度具体的にやるものを明らかにするのが整備計画だということで今後もやっていけばいいのかなと思うんですが、片や、庄内川だとかその他のときにも御議論がございましたが、進めていく手順みたいなものは大事なものであれば、やはり基本的な考え方として示すものであれば、基本方針の中で書くべきではないかとは思います。というのは、基本方針というと何か未来計画でという、そこのでき上がりの絵姿だけがこうですというのではなくて、実はこういう自然公物でございますから、生きているというかその時々の状況で、例えば、庄内川のときも下流がちゃんとできないまま上流の拡幅だけがされるとか、そういった非常に大事なことなどは手順だとかで示していく必要があるかと思っておりますが、それは期間ということではないかと思います。
 ちょっとお答えになっているかどうかあれですが、当時の法律のときもそういう議論がございました。
(委員長) 今の事務局の答弁どおりだと思うんですが、あえて今○○委員のような質問が出たというのも、やはり現場で担当している人と河川局の幹部との間に認識差があるのではないかと思います。全国の河川を見て歩いていると、ここでけんけんがくがく100年や200年に1回の計画をつくったにもかかわらず、あれは御破算でこれから30年に一遍の計画をつくりますとか、50年に一遍の計画をつくりますという話になると、ここで議論したのは何だったんだろうかと思わざるを得ないケースにぶつかります。
 それで、ここで決められた中で、とにかくまず最低の安全度を確保するために、向こう30年間何をやるんだというならいいですけれども、また御破算で30年か50年に一遍の流量計画でまた作り直しているかのごとく印象を受ける説明を聞きました。したがって、ここで議論しているのが土台であり、柱であり、骨組みなんだとよく徹底していただいて、それにどう肉付けするのが整備計画なんだということを徹底していただきたいと思います。
 ということで、もう一つ布川と江戸川分派点に目が行っていますが、川俣地点の問題をどう考えるのか。これが決定的なことだろうと思います。ここで河道計画を出されて流量を500m3/sも増やしました。この辺りが妥当であるとすれば、本計画は大体、河川工学面ではいいんじゃないかと思いますが、その辺も見ていただきたい。
 例えば、3ページの右側の断面、前回と今回とでなぜどこが変わって500m3/s流量が増えることになりました。妥当だという事務局の説明をよしとすれば、これでいいんじゃないかと思いますが、この増量が妥当か御意見があったらいただきたいと思います。
 意地悪みたいに言いますと、できるだけ堤防付近の高水敷は堤防の一部だと考えれば高い方がいいんじゃないかと思います。前回の赤線の方がちょっと高くて、今度は緑で自然地形に合わせてしまっていますけれども、場合によっては盛土しても前回ぐらいに戻しておいた方がいいんじゃないかとか、堤防の安全度と流下能力の確保という相反するものをどう両立させるかがポイントです。これが両立できれば今回の計画はよしとすることができると思いますし、仮に、この赤線と緑の50mという高水敷の幅、ここぐらいケチケチしなくても大いに盛土して堤防の安全度を確保した方がいいんじゃないかなと思いますが、その辺は事務局はいかがでございますか。
(事務局) すみません、多分細部につきましては、それこそ整備計画でかと思いますが、先ほどおっしゃられた話も併せ、かなり掘削によって、さっき川をいじめるというような御発言もございましたが、例えば堤防だとか何かへの影響みたいなものをモニタリングを併せて、そういうところをしっかりやるということをきちんと方針の中でうたって、今のようなことが整備計画の検討の中で生きるようにさせていただければと思います。
(委員) 委員長の御発言に対して私は、短い時間で意見を述べようとしたのでそこは飛ばしたんですが、改めて述べます。3ページの断面ですけれども、こういう図にしておいても今の段階では構わないと思いますが、こういう断面には実際はならないだろうと思います。最終的には流下断面が確保されて、そして、望ましい流速分布の場になるような河道づくりだと思うんです。今この図の中では河積を与えて流量を計算していますから、流量のためにこの河積が必要であると考えられます。ここ149km付近は緩やかに曲がっている川俣の蛇行部ですので、恐らく内岸側は切っても多分たまるとか、そういうことをちゃんとモニタリングしながら、それで、外岸側の方はもっと掘れるだろうとか、考えながらということが委員長の御意見だろうと思いますし、私もそう思います。流量が500m3/s増えるというのは、利根川流域全体の計画を見たとき、やむを得ない判断と思っています。そのときに川俣での流下能力を確保する手段として河積を確保したいというのであれば、これぐらいの河積がなければだめである。それがここの河道では可能であり、それも安全に確保できるということをチェックしながら進めていくということだろうと私は考えています。
(委員長) 一般的に計画上こういう図面を書きたくなるんですけれどもね。計画断面と維持断面という二通りの考え方をして、計画的にはこういうふうに持っていくと。必要とあらば掘削しても広げていくとか、あるいは必要とあらば盛土しても確保するとか。それから、維持断面というのは、それ以上損なわれると安全上問題だから、それ以上になったら護岸でも何でも固めていくとか、2つのプラス側とマイナス側のこれ以上損なわれては困るし、これ以上になったらどんどん掘ってもいいしというような、2つの線を引く方がいいのではないかなと思います。私は多摩川などの経験では、そういう2つの線を引いて維持断面と計画断面というものを設定しておりましたので、参考までに御検討願います。
 川俣付近の問題については、ほかの先生はいかがでございますか。
(河川局長) よろしいですか。個別にちょっと申し上げますと、川俣の絵が本当にこうなるかということは、必ずしもこうならないという感じがあります。何かというと、基準として最低限ここだけは堤脚を確保するという絵を入れるとこうなるということで、川俣断面に限ると、こうではない可能性があると思います。この絵は基本的な考え方として最低限これだけの堤脚は確保しようと。そのときに川俣にその絵を入れるとこういう絵になるんじゃないかという格好で、実際に川俣断面に適用するときには、この断面であればもう少し違った絵になるのではないかと思いますので、一応、定規的に少し描いてしまっているところがございますので、具体的にはもう少し違った絵になるのではないかと私どもは思っておりますけれども。
(委員長) では、そういうことで、局長自ら言っていただきましたけれども、やはり現場はこうならないと場合によってはそこまで掘らなくてもいいんじゃないかというのをわざわざ掘ってみたり、今度はわざわざ盛土しても確保しなければいかんのに、断面上こうなっているから放っておくと。やはり堤防の安全上だったら、先ほど言いましたように盛土しても確保するとか、点線と波線ぐらいで現場にはわかりやすく指導していただいたらいいんじゃないかと思います。
 ここまで議論しまして、それ以外のことでも含めて各委員から御意見がございましたら、お願いいたします。
 ○○委員、余り環境問題がありませんでしたが。
(委員) 私は全く専門ではないんですけれども、従来50mの高水敷を確保することが最小30mまで切り詰めることができればそれはいいと思います。それで堤防の強化はやらなくて、逆にこれは全国スタンダードになる可能性があるからお聞きしているんですけれども、堤防の安全度については懸念は全くないんでしょうか。先ほど○○先生が言われたような外側と中の問題も勿論ありますし。
(委員長) 重大な御質問ですが、いかがですか。
(事務局) 一応、先ほどもちょっと申し上げましたが、全国の実際の大河川のそういうものを昔は余り調べていなかったんですが、最近ずっと相当密に調べていまして、それからするとこのぐらいのことで、あと、ちょっと護岸だとかの造作が必要になりますけれども、可能ではないだろうかと。それが一つあるんですが、ただ、ちょっと先ほどの繰り返しになりますが、かなり現地の状況と、あとモニタリングみたいなものと併せてうのみにしない格好で、そういうことは必要かと思います。ただ、これは基本方針ですので、こういうことの実現性は大体こういうことではないでしょうかというような御説明のつもりで、実は先ほど断面図以外にもこのとおり全部なるわけではないというちょっと誤解が出るかもしれませんが、そういうものでございます。
(委員) ちょっといいですか。そのようにして低水路を拡幅していただくと、洪水のためにだけではなくて、恐らく動植物の生息環境としても平水位あるいは割と水の少ないときには非常にいい環境が形成される可能性がありますので、そのような低水路のモニタリングを是非していただきたいと思います。
(事務局) それは多分、基本方針の中で先ほどのことと併せ環境だとか、それから、個別河川のものがみんな一辺倒でこれでいいんだみたいな誤解がないようには、気をつけて記述させていただきたいと思います。
(委員長) ちょっと心配になっているんですが、最低50mということは、逆に言うと50mまでどんどん低水路を拡幅していくよという意味では全くないですね。
(事務局) ありませんので、そこは誤解がないように先ほどのいろいろな形式上変えてしまったり、どこかにあると何かなってしまうんじゃないかというような御指摘と同じ意味でしっかりしたいと思います。
(委員長) それから、ちょっと環境の先生の代弁で、水際がすごい勾配になっていますけれども、やはり自然河川の勾配というものを重視しながら、低水路をいきなりどんと2割勾配か何かで掘り込まないで、水際の維持というものも大事だと思うんですね。これは整備計画の段階ですけれども。
(事務局) 小さい話で恐縮ですが、この縦横の縮尺は相当圧縮してございまして、これは利根川ですから実は物すごく横幅はゆったりとしたものでございます。
(委員) もう一点よろしいですか。先ほど来からの議論と委員長の計画断面と維持断面を考えてみてはどうかという話と極めて関係することです。前回も申し上げたんですが、計画河床というものあるいは管理の河床というものは、もう一度議論して、やはり河床高は書くということにしていかないと、今のようなことがなかなか収まり切らないというか明確に説明できないんじゃないかと思います。現在の基本方針のように水面幅と水位だけの議論では問題が多いと思います。是非ご検討をお願いしたい。
(委員長) ○○委員、御意見ございましたらお願いします。
(委員) 特にないんですけれども、1つ教えていただきたいのは、地盤沈下が最近縮小してきているというんですが、今は年間でどのくらいの沈下をしているのか。というのは、16ページの真ん中の地盤沈下状況、これは時代によって変わってきたと。特に、東京湾の沿岸から下流域というのは昭和43〜53年ぐらいがこういう状態だったんですが、それが1980年代になると、ちょうど私、中公審の委員をやっているときのことで覚えているんですが、埼玉県の鷲宮辺りが日本で最大の沈下量を示したということがありまして、思いがけないところでこういう地盤沈下の目玉が出るという。現在は一番右の図のような縮小しているというんですけれども、思いがけないところというのは、次にまたどこでそういう目玉が出るかわからないということもあるかと思います。それは当然、堤防の沈下とか河積の問題とかいろいろ影響が出てくるわけですが、モニタリングをしている地点で、例えば、利根川の中流域辺りで現在年間どのぐらいの沈下をしているのか。当時ひどいときは7〜8cmから10cmも沈んだことがあるんですが、その辺りの経年変化がわかれば教えていただければ、今わからなくても結構ですが。
(事務局) 大体、今おっしゃられた場所で年に1cmちょっとぐらい、こういうのが最近10年間ぐらいの状況で、その状況が続いているようでございます。
(委員長) ○○委員、どうぞ。
(委員) 説明資料の9ページ、これで下久保をどちらかというと洪水調節専用にする、これは非常に結構な構想だと思うんですが、上流の方を眺めてみてもしょっちゅう空っぽというのがよく出ますので、そういう点で結構だと思うんですが、1つは、利水者側の費用分担等はかなり厄介になるのではないかと思うんですが、そういう面も含めていろいろな水需要との再編の一つの機会かなという具合に眺めております。
 それで、左下の方に新規ダムと書いてあるんですが、その辺の御検討はされているんでしょうか。ちょっと感想とお伺いです。
(委員長) では、これは事務局からお願いします。
(事務局) 新規ダムという部分でございますか。もともと利根川の上流にたくさん今後ダムが要るだろうと考えておりますが、それを先ほど説明の中で申し上げました、容量が減るとか、それから、今のこういう利用でかなり減るかと思いますが、まだ整備しないといけないダムがあって、それとこういう運用を今、実際の事業の調査の中で検討をしております。具体的にどこでどうという最終確定のものにはまだなっておりませんが、当然、利根川のところでダム再編事業というものを、そういう想定でしております。ですから、どこのどれでどういう格好というのは今、検討中でございます。
(委員長) 前段の費用負担の問題は、やはり実施の段階でということですか。
(事務局) 当然、共同した皆さんのいろいろな関係者の負担があって成り立っている事業ですから、当然これまでのものを含めて再編に合った確保の費用の再調整みたいなものが出てきています。それも併せて検討しております。
(委員長) これは河川管理者が提案して、共同事業者と合意を得ながらやっていくということですね。
(事務局) その予定でございます。
(委員長) ○○委員、お願いします。
(委員) 後で結構なんですが、正常流量のことなんですが、例えば13ページの一番上の利根川、栗橋地点の正常流量と書いてあります。これを渇水時10分の1でも20分の2でも結構なんですけれども、渇水時の姿はどうなっているのか。例えば、流入・還元水量というのは30.85m3/sとなっていますが、渇水時はこうではないはずなので、そこら辺の考え方を後で説明願えればありがたいと思っています。ほかの地点でも同じようなことが言えますから、その流入・還元量、支川と農業用水からの還元と2つ一緒になっていますけれども、これを2つに分けたりというようなことで説明願えればありがたいと思います。よろしくお願いします。
(委員長) では、これは次の機会でいいですか。
 ○○委員お願いします。
(委員) 本日の説明については特にございませんが、前回欠席をいたしましたので、10月3日の資料のカスリン台風について一言意見を申し上げたいと思います。
 地球温暖化等の影響で、これからカスリン台風を上回るような規模の台風の襲来も予想されますので、治水対策についてはしっかり考えていっていただくようにお願いします。
 一方、カスリン台風規模の降雨量についてはその後、昭和56年、平成3年、それから、最近では平成11年に記録されておりますが、被害についてははるかに少ないものとなっております。この理由としては、今の御説明にありましたような河川改修が進んだり、あるいは上流のダム群の整備や、あるいは植林によって周辺の森林ができて山の保水量が増加するといったいろいろな理由があると思いますが、この際そうした治水事業、砂防事業、治山事業等の成果についても、基本方針の中でしっかり成果を認めていただくようなことでお願いしたいと思っております。
(委員長) お待たせいたしましたが、茨城県知事の代理の方に御意見を賜りたいと思います。
(委員) 先ほどから専門委員の方からお話がございましたけれども、布川のところにつきましては、前提が流量はこれでいいだろうということでございますけれども、お話が出ていましたように、河床を掘削するあるいはほかのところの掘削をするということで、やる場合に先ほどもございましたけれども、確実に安全にやっていただくということが大事だと思うんですね。これは今後の整備計画の中に具体に入ってくるのかもしれませんが、その部分をよくやっていただければ、この前も言いましたけれども、一応県としては一番心配しているところでございますので、よろしくお願いいたします。
(委員長) これは、いきなり完成形にするわけではなくて、絶えず対話をしながらそちらの方向を目指すという考えでいいですね。いきなりどーんと書いてあるから。
(事務局) 先ほど来と同じ話題かとは思いますが、ちゃんとモニタリング、それから、その他状況を踏まえた確保をきちんと基本方針にもその辺の手順をきちんと書いておくようにしたいと思います。
(委員長) お願いいたします。
 それでは、栃木県知事代理の方、お願いいたします。
(委員) 栃木県は利根川本川自体がないものですから、治水の影響としては県南部で足利、佐野辺りが影響されるわけですが、計画自体はこれで私どもはいいと思っております。
 ただ、栃木県全体の面積の3分の2が利根川水系の支川、ここで言いますと10ページでしょうか、渡良瀬川、鬼怒川、小貝川といった支川あるいは更にその支川の流域となっているわけでございます。第1回のときに申し上げましたが、ここでも表現されておられますが、水系全体のバランスのとれた治水安全度の向上を図るということで、特に上流流域あるいは支川を含めた流域全体の治水効果を推進するという方針が示されているということでよろしいのではないかと思います。
それから、もう一点、先ほど○○先生から期間の話が出たんですが、基本方針として日本全国一の河川ということもあって、治水に対し国としての整備に対する投資といいますか、そういった面の記述が少しできればありがたいのではないかと。最近非常に全国的に大水害が多いということで、利根川水系はたまたまここ1〜2年は大きな水害はないと思いますが、いつどこで起きるかわからない非常に予防的な治水対策が重要ということでございますが、基本方針としては、治水対策は着実に推進するんだと。余り経済社会情勢に振り回されることなく着実にやっていくといった姿勢といいますか、方針を盛り込めるのかどうかちょっとわかりませんが、そんな表現ができたら非常にありがたいと思っております。意見として申し上げておきます。
(委員長) なかなか難しい問題ですが、また次回のときに御説明をお願いします。
 群馬県知事代理の方からお願いします。
(委員) 群馬県の中には、7つほど今ダムが完成していたり、建設中のダムがあること。また、先般発言させていただきましたように、幾つかのダムが中止されています。このような状況で考えますと、先ほど下流の河道が非常に厳しいというお話がありましたが、上流でのカット量が毎秒500m3/s減少するということになっているので、よい方向ではないかと思っています。
 更に、基本方針の考え方として、既存洪水調節施設の機能向上とか、それから、気象予測や情報技術の進展を踏まえた、より効果的な操作ルールの変更なども考えていただけるということなので、是非優先してやっていただきたい。
 それともう一つ、群馬県は今、県を挙げて県産材の利用などを奨励して森林の整備に力を入れています。現時点で森林の整備と河川の流量について、いろいろ解明されていないということは十分承知していますが、今後とも森林整備との関係につきまして、引き続き調査・研究を行っていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。
 以上です。
(委員長) それでは、埼玉県知事代理の方、お願いいたします。
(委員) 要望ということになろうかと思いますが、我が県では中川、綾瀬川がいろいろ治水対策につきまして、従来より非常に御苦労いただいております。感謝を申し上げております。とは申しましても、この資料にもございますように、栗橋付近では地盤沈下が相変わらず進んでいるという状況でございまして、ますます排水が悪くなっているというのが依然として続いているという状況でございます。こういうことでございますので、中川から江戸川への合流量500m3/sから0m3/sという案が今日示されておりますが、理屈としては理解いたします。
 先ほど申し上げましたこの流域にとりましては、やはり江戸川へ確実に放流させていただくということが極めて重要だということを思っておりますので、河道改修も勿論でございますが、排水機能等の操作等々につきましても、十分御配慮いただくようお願いを申し上げたいと思います。
 以上です。
(委員長) 先ほどの説明で、中川からの合流量がゼロということで、いろいろなケースを考えたけれども、江戸川のピークのときには合流しないというお話でしたので、ただいまのようなことになっています。一応、内水問題について、計画論としては内水ポンプの排水量は引き受けるつもりでやってみた結果でもゼロだったという結論でいいんですね。河道が苦しいから内水は勘弁してくれというのではなくて、一応、計画論としては内水は引き受けるしていいのですね。
 それから、管理論としては江戸川の洪水位が計画高水位ぎりぎりになったとき、内水を汲んで破堤に至ったのでは元も子もないわけですから、管理の話と計画の話は分けて、計画論としては見込めるものは見込むこと。今回の中川については、どう見てもピーク時に合流するような事態には至らないと計画論的に整理ができているという理解でよろしゅうございますね。ということを、私も一緒に確認させてもらいました。
 次に、千葉県知事の代理の方、お願いします。
(委員) 千葉県でございます。千葉県は最下流部にございますので、流量が増えるということでかなり心配した面があるかと思います。我々といたしましては、安心できる計画ということで地域住民、特に地域の方々とか、あとは河川を利用する方々、この方々に支障のない計画で進めていただきたいと思います。
 それから、利根川の放水路、印旛沼を使ってというお話がございました。○○先生の方からも出ましたけれども、印旛沼に流入する河川を入れまして治水の問題、それから、利水の問題、それから、環境の問題がございますので、その辺も十分取り入れた形の検討をお願いしたいと思っております。
 それと、印旛沼につきましては、周辺で大規模事業が動き出しておりますので、タイムラグ的なことはあるかもしれませんが、そちらと十分調整をお願いしたいと考えております。
 あと、旧江戸川の方にも流量配分ということで分担が来ておりますので、印旛沼関係、それから、旧江戸川関係については、直轄の方で大分元気よくやっていただければというお願いでございます。
 以上でございます。
(委員長) 次に、東京都知事代理の方にお願いします。
(委員) 東京都では今、最後にお話のありました旧江戸川への分派ぐらいが私ども東京都に関連する部分かなと考えております。1,000m3/sということでございますけれども、洪水時に先ほど江戸川と本川との分派のお話もございましたが、1,000m3/sの担保される方策とか、その辺を検討していただければと考えております。
 以上です。
(委員長) それから、ダム群の再編成の話がありました。従来は治水関係の再編成というのはかなり試みられていると思うんですが、利水施設も含むと結構関係する制度が複雑です。例えば、水源地振興のため都市用水相当分には都市用水施設税が地元市町村に交付されていますが、そういう優遇制度の扱いが治水と利水施設では制度が違っています。治水容量と利水容量を振り返るときは結構いろいろな問題が出てくると思うんですが、それらも並行して十分研究していただいて、実現させる方向で研究していただきたいと思います。
 一通りお聞きしましたが、なお御意見がある方はどうぞ。
(委員) 幻の放水路が印旛沼に少々振り替わるということのようです。印旛沼の設計は農業用水路の設計になっています。連絡水路の名前は忘れましたが、中央干拓地を避けて二つの湖を結ぶ水路は完全にレベルなんですよね。水はあっちに行ったりこっち行ったりします。機場で引っ張っても反応が遅くて、ポンプ井が空になったのに水が来ないとかがしばしば。印旛沼はそうでもないと思うんですが、初期のころはあったと思います。これを洪水の流下、たとえ500m3/sであってもかなりの水理的な検討が要るのではないかという気がします。当然おやりになっていると思うんですが大丈夫でしょうか。変な質問ですみません
(事務局) 大丈夫ですというか、機場の検討もしておりますし、ほかで似たような地形で似たような規模でどうだということでも一応検証してきています。あと、実際の事業等で更に詳しい検討をしたいと思います。
(委員) よろしいですか。最近、首都圏直下の地震というのが非常に心配されておりまして、実はちょうどあさって、11月11日が安政の江戸地震の150年なんですけれども、あの地震は荒川の大体河口ぐらいのところ、東京湾の北部を震源にして起きたと推定されているんですが、先日の中央防災会議の被害想定でも東京湾の北部を震源とする地震が発生すると、最大で死者が1万人以上になるだろうと、こちらの方はいいんですけれども、恐らく江戸川とか中川の下流域、更には荒川の下流域辺りは震度6強にはなると思います。そうしますと、やはり例えば堤防が破堤をしたりしますと、先日のニューオリンズと同じような状況になる可能性もあるということでありますので、是非、堤防の耐震点検と強化は対策の中に入れておいていただきたいという要望でございます。
 以上です。
(委員長) これは、前回も知事さんの代理の方からも御意見があったと思いますので、耐震対策は本文には書き込んでいただくようお願いしたいと思います。
 そのほかにございますか。
 本日の議論の一番の基本は、この流量の配分でございましたが、この件については大変河道も厳しいが、一応この河道計画で可能であろうということが皆さんの一致した意見だったと思いますし、関係自治体の方もそれぞれの地域の痛みを感ずれば、それぞれこれでやっていくのがいいのではないかという合意が得られたのではないかと思います。そういうことで、一応、本日の基本の流量配分計画で次回は基本方針案を事務局に書いていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 それから、正常流量についてはちょっと説明資料をつけていただいた上で、原案でよろしいかまた次回に審議していただくということにしまして、一応、本日の議論で整備方針の原案を書くに必要な審議は全うしたと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

(委員長) では、本議題につきましては、短時間の中で熱心な御審議・御議論をいただき、また、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
 次回は、本日の各委員の御意見を踏まえ、基本方針の本文について審議していただくことになりますが、本日配付された資料も含め、お気付きの点がありましたら次回の以降の議論にも反映できるよう、あらかじめ事務局まで御連絡くださいますようお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員の御確認を得た後、発言者の氏名を除いて国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議題は以上でございます。
(事務局) 委員長、どうもありがとうございました。




目次へ戻る 戻る 進む

社会資本整備審議会河川分科会 目次へ戻る

Copyright© 2007 MLIT Japan. All Rights Reserved.

国土交通省 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3

アクセス・地図(代表電話)03-5253-8111