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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第28回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成17年12月6日


2.議事
利根川水系の河川整備基本方針の策定について

(委員長) 近藤でございます。本日は、委員の皆さまにはご多用中のところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。それでは議事に入ります。
 前回までに、利根川水系の河川整備基本方針の基本的な考え方につきまして審議いただきました。本日は、前回までの審議を踏まえて、河川整備基本方針に記載すべき事項について、審議をいただきたいと思います。それでは事務局より説明お願いいたします。
(事務局) 担当の河川計画課長の布村でございます。座って説明をさせていただきます。
 まず、資料1で前回幾つかのご質問、ご指摘等ございましたことについて補足の説明をさせていただきまして、その後、今、委員長からお話がございましたこの基本方針に記載すべき事項のほうへ、併せて説明をさせていただきたいと思います。
 まず、A3の大きいカラー版の資料でございます。資料1を1枚おめくりいただきまして、「利根川放水路事業と印旛沼の水質改善」のお尋ねがございました。利根川放水路事業というので、印旛沼の水質管理との関係はどうだろうかというようなことでございますが、まず上にグラフが3つございます。
 印旛沼を活用した利根川の放水路の細かい施設設計だとか、計画の中身が固まっているわけではございませんので、状況的なお話になります。上の3つのグラフは、左下の地図にございます赤い点の各場所で、どんな水質かということが描いてあります。1つは、利根川本川と布川の栄橋のところの点、あとは印旛沼の各地点のものです。
 左側のCODを見ていただきますと、印旛沼の基準値は赤い点線で書いてございますが、赤い幾つかの線、黄色の線もございますが、これが印旛沼の現在のCODでございます。これに対して利根川のものが黒い線でございます。それから真ん中のグラフが総窒素(T−N)でございますが、これも同じように見ていただきますと、総窒素の分は利根川も印旛沼も似たようなものです。それから一番右が総リン(T−P)でございまして、これも利根川と印旛沼が似たようなものということでございます。
 それで、右下のほうにちょっと書いてございますが、水質改善は流域全体でいろんな対策、下水道のお話、それからいろんな汚濁加減の除去のお話がございます。そういうものと連携して当然成り立つわけでありますけれども、この利根川放水路との関係からいいますと、下に3つ書いてございます。
 1つはCODにつきましては、洪水の導水で一時、ここからの分が少し入ってくるわけでございますけれども、洪水後もずっと低減させる中では、結果的には利根川の平常時の水質のものが入ってくるということでございますので、左上のグラフのように、CODが低い分、そこの改善がなされると思われます。
 2つ目は、総窒素、総リンございますが、これは先ほど申し上げましたようにあまり変わらないわけでございますけれども、今、印旛沼は閉鎖的に、ずっと滞留してございます。こういう栄養分がありますと、一般的には水が流れるというようなことがあればいいのですが、滞留すると植物プランクトンなどの異常増殖みたいなものがありまして、これが水質悪化の1つの原因になっている。こういうものは、改善されるのではないか。
 それから一番下でございます。まだ計画そのものの細かいところは今後の話でございますけれども、洪水だけでなく平常時の導水のことも考えていかないといけない。そうした場合に、一般的には導水とその水そのものを、途中に浄化施設などを入れまして浄化をする。それから周りの植生での浄化、底泥の対策等も併せた検討をこれからしていくことになるかなと思っております。
 次おめくりいただきますと、別なお尋ねの中に、高潮その他、河口部の水位のとらえ方のお話がございました。今、どんなふうに河口部の水位が考えられているかというお話をさせていただきたいと思います。
 左の上は、普通の洪水のときの河口部の減水といいますか、この水位を想定して、そこに上から洪水が来たらというものでございますが、赤い四角の中にございますように、朔望平均満潮位と淡水と塩水の密度差を考慮した水深を足してセットしております。
 それぞれの経年的な値は、その下のグラフでございます。ちょっとデータ計測部分に歯抜けになっている部分があってすみませんが、青い線が東京湾、オレンジの線が銚子でございます。いずれにしましてもそんなに大きな変化がない状況でずっときてございます。今後、温暖化その他等々いろんなことがありますが、まだそういう状況がここ近年急激に出ているということはございません。
 結果としてその下の表のようなことで、河口部の水位につきましては、Y.P.表示で1.686mと1.90mになってございます。
 それから下のほうは高潮の計画でございます。これにつきまして、江戸川と利根川はちょっと河口の状況が違います。江戸川については、「江戸川」と書いた字の下の1は朔望平均満潮位でございます。これは先ほどと同じものです。それから2は高潮の偏差を足してございます。過去に高潮被害をもたらした台風のデータを重ね合わせまして、3mというものでございます。
 これを足し算いたしまして、上の赤い四角のところで、Y.P.表示で4.80m、標高でいきますと3.96mという高潮計画を、ここは江戸川の河口だけではなく東京湾全体でございますが、そういうものを設定しております。
 それから右のほうは、利根川の河口部でございます。そこも文字で少し書かせていただきましたように、千葉県側と茨城県のちょうど境目になるわけでございますけれども、千葉県側、南のほうは海岸部なども含めました計画高潮位は、T.P.でいいますと1.5m、北のほうの茨城県側はT.P.でいいますと1.3mということで、湾内と比べますと非常に小そうございます。結果として、利根川の河口部の計画高水位と比べますと、T.P.で1.46mでございますので、ほぼ同じということでございます。特別に高潮を考えなくても大丈夫といいますか、そういうもので計画をセットしているというものでございます。
 整備状況について、右上にも載せさせていただいております。
 次のページでございます。正常流量の検討の中で、還元量、例えば農地にかんがい用の水を取水いたしました後に、それが非常に大きな水系なものですから、また川に戻ってきまして、下流の地点ではそれも含めて川の流れが形成されているというので、その辺りの中身はどうなのかというようなお尋ねがございました。
 上のほうに緑地の四角で囲みましたところに黒ポツが2つございますが、黒ポツ1つ目に書いてございますように、農業用水の河川への還元につきましては、河川の縦断方向において同時流量観測というものをしてございます。観測は右下の四角い点々で囲んだところにありますが、中央大橋、前橋、上福島、八斗島、古戸、川俣というようなところで、平成2年、6年、12年に観測を実施してございます。このような同時流量の観測や、既往事例調査から還元量を求めてございます。
 黒ポツ2つ目、支川からの流入量でございますが、一応利水の安全度が高いとき、低いときで異なりますので、周りの利水の安全度と同じ5年に1回程度の渇水のときのものを想定して、流入量を置いてあります。
 大きな流れといいますか、枠はその下にありますように、例えば栗橋地点での正常流量は、この前ご説明申し上げました各地点でどれだけの維持流量が必要かというものと、それから下流にございます取水の水利権量、これは足し算です。次は引き算になってございますが、還元量といたしまして、下の緑の文字で書いておりますのが先ほどの同時流量観測結果などで50%でございます。これを戻ってくる分の取水量と掛け算いたしまして3.44m3/sが戻ると。これに、さらに川にとってはプラス方向といいますか、式ではマイナス方向になりますが、周りの自然から入ってきますのが27.41m3/sです。
 これは下のグラフをご覧いただきますと、前にも見ていただいたのと同じようなグラフなのですが、左側が上流、右側が下流です。凸凹がございますが、途中、途中で、例えば鬼怒川とか小貝川と書いてあるところでグラフが上がりますが、こういうところは、流入してその分、水が増えるというところです。一方、逆に下がったところの代表例として、両総用水とか一之分目用水がありますが、これが取水です。これを縦断的に全部とらえまして、正常流量115.13m3/sというものを形成してございます。
 次の話に移りたいと思います。次のページでございますが、江戸川に中川や綾瀬川のほうから洪水の排水をいたします。左側に描いてありますのはその模式図で、前にもご覧いただきましたようなものでございます。
 従前ですと、赤い四角で書きました100m3/s、200m3/s、200m3/sという幸手放水路から三郷放水路まで3つあります。首都圏外郭放水路の、流入量は本川ピーク時は0m3/sということでありますが、この3つの放水路の量についても0m3/sと見ていいのではないかというようなお話を前回させていただきました。
 それで大丈夫だろうかというようなお尋ねがありましたが、時間の関係で若干はしょった説明になるかもしれませんが、グラフを見ていただきますと、左下に昭和22年9月洪水というのがございます。青い実線が江戸川の水位でございます。これに対して赤い直線は水の収支を考えましたときに、中川のほうから江戸川のほうへ吐ける可能量です。ですから、ある程度江戸川のほうが洪水で導水が高くなりますと吐けない期間が出てきます。ちょっと地点がずれているので、これは上のグラフと合わない部分がございますが、そういうものでございます。
 緑の線がそのときの中川からの排水量でございます。これを見ると、可能量よりも下で排水量が存在すると。つまり江戸川のほうが計画高水位になると吐けないのですが、まだ吐けるという分が、先ほどの横の赤線、途中下がりましてまた水平になっている線、その下に緑の線があるというのが、昭和22年の洪水です。
 同じようにいたしまして、最近の昭和57年、それから平成11年のものを右のほうにお付けしてございます。見ていただくとわかりますように、緑の線は全部、それよりも下に来ております。その他たくさんのケースをしてございますが、代表で載せさせていただきました。一応過去の洪水のパターンからいうと、問題はないのではないだろうかと思われます。
 それから次のページに移らせていただきます。高規格堤防、いわゆるスーパー堤防の話でございます。スーパー堤防について、あまり記述がないのではないかというお話がございました。それから堤防強化対策というのも登場しているがそれはどういうものかというようなお話がございました。
 左側は高規格堤防でございます。これは利根川だけに限らない話ですが、背後地に人口及び資産が集積した大河川の堤防が計画の規模を上回る洪水により破堤した場合の甚大な被害を避けるため、計画規模を上回る洪水による浸透や越水、あと地震などもございますが、これらに対しても大丈夫なように破堤による壊滅的な被害の発生を防止するために、スーパー堤防、高規格堤防を整備すると。
 利根川につきましては、上下流及び左右岸のバランスも考慮いたしまして、利根川の小山川合流点から河口まで、それから江戸川も含めて、対象区間として昭和62年から着手してございます。
 整備の順番としましては、計画規模までの整備が優先いたしますが、沿川の開発、例えば区画整理や再開発などいろんなものがございますけれども、その後でやりますとまた社会的にも大変でございますので、そういう土地の改変に合わせてやる必要があります。本来、計画内容の整備が優先ではございますが、そういう沿川開発に合わせてやるところは高規格堤防を整備する。
 それから右側は、首都圏氾濫区域堤防強化対策の話題です。左下の図ではオレンジの線でちょっと見づらいかもしれませんが、ここの堤防がもし切れました場合には、首都のほうへ行きます。この地域は人口資産が多いだけではなく、日本のいろんな中枢機能を背負っていますので、ここについては特に高い安全性の確保が必要ではないかということでございます。
 ただ利根川の堤防は、いろいろ洪水被害の度に拡大してきたというようなこともございます。中も複雑になっています。また、最近漏水の話もございますので、今のようなニーズのところについてはしっかりやろうと。このときに、単に堤防の強化というだけではなく、先ほどの高規格堤防にもつながるといいますか、役立てるような形のものでやろうとしております。
 それから最後のページでございます。森林の治水機能について話がございます。利根川について見ますと、利根川上流域、例えば群馬県。栃木県なども似たようなものでございますけれども、群馬県の例を出させていただいております。森林の面積そのものは、昭和25年以降など、戦後の状況と最近まではあまり変わってございません。荒れ地・農地が減りまして、都市的な利用が増えているというのが全体の状況でございます。
 治水計画としましては、昭和55年に今の工事実施基本計画(既定計画)ができてございますが、このときも当然25年頃とあまり変わらないという森林の状況を前提にして計算して検討しているわけでございますし、実際に流出したものと併せて、その状況を確認しております。下が、そういう計算と実際のものとの比較でございます。
 それからその後につきましても、最近の森林の状況そのものはあまり変わっていないのですが、既定計画策定以降も近年の森林の状況のものでも一応流出計算をしてみますと、同じ計算モデルで十分再現性が高いという状況が見て取れます。
 右のほうは、幾つかのところで長く観測をしております中で、相俣ダム流域で見てございます。このグラフは、横軸が降った雨の量で、トータルがどれだけだったかということです。それから縦軸が流出量です。実際、それが今度は川などに流れてくる量を計測してございます。
 これを見ますと、川によって場所が違うのですが、しばらくの分は保水機能ということで水をためます。この分は、カーブが45度の線よりも寝てきます。土壌の中にたまっているということだと思いますが、これが飽和いたしますと、今度は45度、要は流入イコール流出という格好で流出することが見て取れます。
 右下のほうはよくご案内かと思いますが、日本学術会議へ農林水産大臣から諮問をされて、今の相俣ダム流域のグラフではありませんが、中小洪水のところは一定の効果はあるけれども、大きな洪水については効果はないという報告がされてございます。
 以上が補足説明でございます。
 それから資料2のほうへ移らせていただきます。ご審議の時間を取りたいと思いますので、あわてた説明になるかもしれませんがご容赦願いたいと思います。A4判縦の資料2でございます。
 「利根川水系河川整備基本方針に記載すべき事項(案)」でございますが、基本方針のほうは、今ご用意しましたものに「河川及び流域の概要」というものを追加して書かないといけないものでございます。ただ、それを踏まえてどうするかというのはここに書きました「河川の総合的な保全と利用に関する基本方針」から始まりますので、その分につきまして、特にご用意をさせていただいております。
 まず「治水・利水・環境の総合的な方針」でございます。
 利根川は我が国の社会経済活動の中枢を担う首都圏を抱える関東平野を貫流する国土管理上極めて重要な河川でございます。そのため、洪水から貴重な生命・財産を守り、地域住民が安心して暮らせるよう、これまでの河川整備の経緯、沿川の社会的状況や河川の状況の変化等も踏まえて、水系全体のバランスのとれた治水安全度をより早期にかつ確実に向上させる。水系全体のバランスでの安全向上度は、この利根川でも重大なテーマになってございます。
 また、広大な関東平野の農業用水や首都圏の社会経済活動を支えてきておりますし、今後もそういうことをさせる。広域ネットワークによる安定的な水の供給。
 渓谷、礫河原、湿地、湖沼、汽水域等さまざまな形態の河川環境があちこち存在しているのが利根川の1つの特徴でございます。こういう豊かな自然環境の整備や保全。
 それから都市及び都市近郊でございます。貴重な身近なオープンスペースということでの自然を生かした自然共生型の整備が求められます。そのため、関係機関や地域住民と共通の認識を持って、連携を強化しながら、治水・利水・環境に関わる施策を総合的に展開する。
 併せて、災害発生の防止、河川の適正な利用、流水の正常な機能の維持及び河川環境の整備・保全の観点から、河川の有する多面的な機能を十分に発揮できるよう、河川の維持管理を適切に実施し、治水・利水・環境を含めた水システムを維持向上させながら、次の世代に継承していく。
 河川整備の現状、森林等の流域の状況、うんぬんと幾つかございますが、そういうものをいろいろ踏まえまして、機能の維持に十分配慮していく。
 それから治水・利水・土砂管理等、水源から河口まで一貫した計画として実施していく必要がある。
 また非常に長時間を要する整備でもございます。整備途上の各段階でもできるだけ便益といいますか、効果がうまく発揮できますように、効果的かつ効率的な整備を進めるため、各段階での目標を明確にして段階的な整備を実施していく。さらに、治水・利水・環境にわたる健全な水循環の構築ということでございます。
 それから1−1からは、災害・治水関係でございまして、あと利水環境と続きます。1−1の前文のところだけさっとさせていただきます。
 1−1−1「河川整備の基本方針」といたしまして、利根川は流域面積が大きく支川も多いため、防御すべき地域も多く、それぞれの地域で特性に合った治水対策を講ずるということで、水系全体としてバランスよく治水安全度を向上させることが基本ではないか。
 その上で、現況の河川の安定状況も踏まえ、洪水を河道でできるだけ分担。
 また河道で処理できない流量につきましては、上下流や本支川のバランスに配慮しながら、河道が有する游水機能を一層増強し、洪水を貯留する。それとともに、既設洪水調節施設の徹底した有効活用を図った上で、洪水調節施設を新たに整備。
 渡良瀬川、鬼怒川、小貝川等の大支川は、本川に負荷を与えないよう、洪水調節施設により洪水調節。
 利根川から江戸川への分派については、これまでの分派バランスを維持。
 流域が低平地で内水被害が生じやすい市街地域では、本川等に負荷を与えない範囲で内水排除及び流域外への排水を実施。
 堤防の新設・拡築、河道掘削、治水上支障となる堰・橋梁等の改築による河積の増大、放水路の整備等々により、計画規模の洪水を安全に流下。
 なお、河道掘削等により河積の確保にあたっては、河道の維持、河岸等の良好な河川環境等に配慮。
 河口部、狭窄部、支派川の分合流部、深掘れ箇所等において洪水の安全な流下、河床の安定を図るため、洪水時の水位の縦断変化、河床の土砂動態等について、継続的な調査観測を実施し、反映をしていく。
 人口資産が稠蜜な首都圏を氾濫域に抱えており、氾濫した場合の壊滅的な被害が予想される区間について、計画高水を上回る洪水流量による浸透・越水などに対して高い安全性を有する高規格堤防を整備。
 このようなものを基本にいたしまして、各川については次のページからでございます。
 (1)は利根川本川上流部でございまして、利水容量と治水容量の振り替えを含むダム群の再編と嵩上げなど、効果的な操作ルールの採用などによって、既設洪水調節施設の治水機能の向上を図るとともに洪水調節施設を整備。この洪水調節施設の整備は、現在建設中の八ッ場ダムで最後でございます。利根川本川上流部については、その分でございます。
 それから、堤防の新設・拡築、河道掘削、治水上支障となる堰・橋梁等の改築による河積の増大等で、洪水を安全に流下。
 破堤した場合の被害が甚大となる江戸川分派点から上流右岸の高規格堤防整備区間について、高規格堤防の整備にもつながる緩傾斜堤防による堤防強化の実施。超過洪水対策、高規格堤防につきましては、後で横断的にまとめて書いております。
 (2)は利根川下流部で、堤防の新設等々による河積の増大によりましての安全な流下。なお、河道掘削にあたっては、河口付近の河床の安定に留意しなければいけない。それから印旛沼を活用した放水路の整備。また整備にあたっては、水質改善対策や周辺の内水対策にも配慮していこうと。
 (3)烏川につきましては、広い高水敷など有しているものを活用した游水機能の増強。それからダム群の再編や既存施設の有効活用等を含めまして、洪水調節施設の整備。堤防の新設・拡築、河道掘削等々で計画規模の洪水を安全に流下。
 (4)渡良瀬川につきましては、同様に洪水調節施設の嵩上げや掘削、効果的な運用ルールによりまして、治水機能の向上を図るとともに、支川の思川に洪水調節施設を整備。この思川の分は、現在整備しています南摩ダムでございます。
 それから堤防の新設等々で、河積の拡大、計画規模の洪水を流す。
 急流河川でございますので、高速流による浸食、洗掘に対応した堤防強化。
 河床勾配が緩やかで高い水位が長時間続きます下流部につきましては、浸透等の対策の堤防強化。
 (5)鬼怒川でございますが、既設洪水調節施設の掘削や効果的な操作ルールの採用による治水機能の向上を図るとともに洪水調節施設の整備というので、これは湯西川ダムで一応満足いたします。
 堤防の新設・拡築、河道掘削、治水上支障となる堰・橋梁等の改築による河積の増大等でございます。
 それから、田川合流点付近から上流側の広い河道と霞堤等を活用しました游水機能を確保できるよう、河道を適切に維持管理ということであります。
 (6)小貝川は、洪水調節施設として幾つか遊水地を計画しているものをつくりましょうということで、まだ残っているものがございます。それから、河床勾配が緩やかで洪水時、利根川の背水位の影響を受けて、洪水が長く続く区間がございます。そういう下流部については、浸透に対しての強化。
 (7)霞ヶ浦については、合流する利根川の水位の影響を受ける等によりまして、高い水位が長時間続き、かつ、地形特性により高い波浪等がございますので、こういうことの対策をやる。
 (8)江戸川につきましては、いろいろな対策での河積の増大をして、計画規模の洪水を安全に流す。それから、先ほどの高規格堤防が整備されますまでのところにつきまして、緩傾斜堤防の整備。また、河口部についての高潮対策。
 (9)中川につきましては、流域が低平地で湛水被害の発生しやすい地域ということで、流域内の洪水調節施設を整備するとともに、洪水の一部を流域外へ排水するための放水路等を整備。それから、全体の河積の増大によるもの。また、著しい都市化の進展に対処するため、流出抑制対策や流域の保水・游水機能を確保するための総合治水対策。
 (10)の内水被害の軽減対策は全体的に関係機関と連携、調整を図りながらやりましょうと。
 1−1−2は「超過洪水対策」でございます。先ほど申し上げました高規格堤防の話を書かせていただいてございます。また、施設整備の整備途上でも施設能力以上の洪水が発生したりいたしますので、それに対する対策ということでございます。
 1−1−3は「河川の維持管理の方針」ということで、先般来、河道の維持等につきまして、また実際の排水機場等の運用につきまして、いろんなご意見が出てございます。こうしたものを堤防、洪水調節施設、排水機場、樋管等の河川管理施設の機能を確保するため、巡視、点検、維持補修、機能改善などを計画的に行うことによって、常に良好な状態を保持し、施設管理の高度化、効率化への改善をする。
 また内水排除や流域外への排水施設につきまして、排水先の河川の出水状況に合わせた適切な運用。あと、河道内の樹木等につきまして、環境保全に配慮しつつ、洪水の安全な流下を図る。
 1−1−4は「段階的な河川整備の進め方」でございます。非常にこれも大きな水系で、かつそれぞれのユニットが非常に密接に関連いたします。それぞれ本川、支川の整備にあたりましては、早期かつ着実に水系全体のバランスのとれた治水安全度の向上が図られるよう、段階的な目標を明確にして河川整備を展開する。
 特に、江戸川分派部の整備や本川上中流部の掘削等につきまして、上流の洪水調節施設及び本川下流部の整備状況を十分踏まえて、本支川及び上下流間バランスを考慮しながらやる。
 1−1−5は「洪水氾濫時等における被害軽減対策」です。洪水時等による被害を極力抑えるためといいますか、あふれて水害が起きることがございますが、そういうときのハザードマップなどの作成支援や、そういったものを活用した地域住民の方も参加しての防災訓練等、平時からの防災意識の向上。
 また警戒避難体制、情報伝達体制等を全体でやりましょうと。それから土地利用計画や都市計画との調整など、総合的な被害軽減を図っていきましょうということです。さらに、防災基本計画に則して、地域防災活動拠点やその他の施設の整備等でございます。
 1−1−6「地震等に対応した防災対策」ですが、地震については、利根川及び江戸川等は、南関東地域直下の地震が非常に心配されており、「南関東地域直下の地震により著しい被害を生じるおそれのある地域」に指定されてもございます。特に、そういうことに着目した堤防施設等の耐震対策を実施ということであります。
 その次が1−2「河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持」でございます。
 渇水時における地盤沈下の防止とか、河川環境の保全・保持、近年の少雨化傾向に対応した利水安全度の確保というようなことでの必要な流量を計画的に確保する。そのため、既存施設の有効活用ですとか、水資源開発施設の整備とともに、広域的かつ合理的な水利用の促進、都市用水や農業用水の安定供給や流水の正常な機能を維持するための必要な流量を安定的に確保しよう。
 それから広範囲な水需要地域への供給、渇水時における被害の最小化を図るため、広域水融通ネットワークを構築した効率的な水運用でございます。こういう水の確保につきまして、この前もお話ししましたように、1点だけではなく複数地点、場合によりましては線的な状況把握と管理というものが必要ということでございます。
 渇水時においては、関係機関が連携いたしまして、情報を中でもうまく流通させて円滑な水融通を図ろうと。それから、水質事故対策等でございます。
 次のページです。1−3「河川環境の整備と保全」でございます。
 我が国最大の流域面積を有する利根川には、先ほどもお話ししましたいろんなタイプの自然環境や景観がございます。一方、首都圏の中にある、もしくは近郊にあるというようなことでの人々がいろいろ自然に触れる場、それからいろんなことで楽しんだりする場という重要な川でございますので、このような特性がうまく高まるように、現在の豊かな自然環境を保全することが必要です。
 このため、環境を保全できるものは保全し、また利用する場合でも自然共生型のものでしていこうと。そのためには、地域といろいろ連携していかなければいけないということでございます。
 1−3−1「動植物の生息地・生育地の保全」でございます。
 そういうものの保全をしていこうということ。それからネットワークとして、特に水にかかる自然は、そういう特徴がございます。そういうものを大事にしていこう。それから、礫河原や汽水域といった川特有の状況を保全、再生しよう。さらに瀬や淵などの話でございます。
 1−3−2「良好な景観の維持・形成」でございます。
 都市近郊で、かつ上流部は渓谷がありましたり、また途中、途中でそれぞれの風景がございます。こういうものを大切にしていこうということであります。特に市街地は、貴重な都市の健全さを確保するような空間でもございますので、そういう水辺景観の維持・形成を図る。
 1−3−3「人と河川との豊かなふれあいの確保」でございます。
 今でもさまざまな関わりがございます。釣りやスポーツなどの利用もございます。環境学習もございます。最近では、ご年配の方も散策をしたり、いろいろする場に需要が高まってもございます。また周りのいろいろな自治体との計画利用等にも合わせていきましょうということであります。
 1−3−4「水質」でございます。
 水質も、こういう都市域でございますので、周りの関係機関等と合わせて、その浄化等を引き続きしっかりやっていこうということであります。
 1−3−5「河川敷地の占用及び許可工作物の設置・管理」。
 貴重なオープンスペースで、かなり高度な利用も進んでもございます。それでいて動植物の生息・生育の場としても重要なものでございます。そういうものがうまく調和しますように、許可占用物件についても配慮をしていこう。
 1―3―6「モニタリング」は、当然しっかりしていかなければいけない。
 1−3−7「地域の魅力と活力を引き出す河川管理」ということで、そういう魅力につながるような形での、例えば河川愛護やいろんな学習といったものを推進していこう。
 1−3−8「地域ごとの方針」ということで、ここから上流部、中流部、下流部、環境のことでそれぞれの場のポイントだけ書いてございます。
 渓谷だとか、アユだとか、ヒヌマイトトンボが生育する汽水域だとか、それらを述べさせていただいています。
 江戸川なども、トビハゼ等々ございます。
 それから鬼怒川には、そういうものがありますということを書かせていただいています。
 渡良瀬遊水地は、ご案内のとおり、そういう特性を生かしたヨシ群落等の湿地を保全・再生。
 霞ヶ浦は、また湖としての利用でございます。
 11ページからはそれらを踏まえまして、今度は「河川の整備の基本となるべき事項」というので、1つは基本高水並びに河道及び洪水調節施設への配分でございます。
 ちょっと時間が押しておりますので、以前、資料でいろいろご説明申し上げましたものを書いてございます。一番下の表−1のように利根川の八斗島地点では、基本高水のピーク流量22,000m3/sに対しまして、洪水調節施設による調節流量が5,500m3/s。500m3/s分が前の計画とは変わってございます。その分、河道への配分が500m3/sぐらい増えております。
 渡良瀬川は高津戸地点で4,600m3/sのピーク流量に対しまして、河道への配分流量は3,500m3/s。鬼怒川が石井で8,800m3/sのピーク流量に対しまして、河道への配分は5,400m3/s。小貝川は黒子で1,950m3/sのピーク流量に対しまして、河道への配分は1,300m3/sということであります。
 これらを絵にしましたものが、12ページの流量配分図でございます。基準点以外の主要な地点のものにつきましても書いてございます。
 先ほど来の話と、この利根川放水路、前に申し上げました3,000m3/sぐらいを印旛沼を活用して1,000m3/sにしようというもの。それから利根運河につきましては、通常0m3/sということでございます。
 そのようなものを踏まえて、利根川と江戸川の分派も結果として下流の取手だとか、下のほうでは同じでございますが、入り口のところは少し500m3/sとかずれているというものでございます。
 13ページは、上が烏川、下が渡良瀬川でございます。
 14ページは、上が鬼怒川、下が小貝川でございます。
 15ページは、江戸川でございます。江戸川につきましては、それぐらいと同じというようなことで、上から7,000m3/sということになってございます。
 16ページは、中川でございます。
 17ページは、「主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項」ということでございますが、説明は省略させていただきます。
 18ページは、「主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項」ということで、前にお話をさせていただきましたところのものです。結果、19ページの下、表−5に書かせていただいている数値が、この前、円グラフ等で見ていただきましたものを書いたものでございます。
 利根川につきましては、前は1点ぐらいでございましたものを5点に広げて、かんがい期と非かんがい期で何m3/s確保していくというものを書いてございます。以下、ご覧のようなことでございます。
以上、ご説明させていただきました。
(委員長) ありがとうございました。前回までの審議で、説明漏れ、あるいはさらに補足強化した資料、それから利根川水系河川整備基本方針に記載すべき基本的な事項についてご説明をいただきました。
 なお、私のところにもまいっております、皆さんのところにもあるいはまいっているかもしれませんが、3件ほどご意見が委員あてにまいっております。例えば、関東弁護士連合会公害対策環境保全委員会から、あるいは「STOP THE YAMBA DAM住民訴訟1周年集会」参加者一同、それから首都圏のダム問題を考える市民と議員の会。
 大体趣旨は同様だと思いました。基本高水流量が課題ではないか。それから森林の整備問題、そういうこともご意見にありました。それらを踏まえまして、以後の審議を進めたいと思います。
 時間の関係もございますので、それぞれ委員にご発言をお願いしたいと思います。まず、流域に密接な関係のある○○委員からご意見を賜りたいと思います。
(委員) 今日も補足説明をいただきました。また記載すべき事項、従来から説明いただいているものにプラスアルファをして説明いただいているわけでございますが、流域に住んでいる者の素朴な感じから申し上げますと、ともかくも最近、何だか雨の降り方がちょっと変わってきているよと。
 特に、どかっと降るときと降らないときとあるということで、私どものそばでも時間雨量で100mmというようなときが出てくることがあります。今までとちょっと違ってきてしまったなというようなことの中で、住民のほうから河川の整備、堤防の整備等々については、やってきてくれているんだけれども、このままで大丈夫なのかなと。こんな素朴な気持ちがどうも出てきているようでございます。我々としても、そこら辺については整備は進めてきていただいているんですけれども、まだまだ不十分だということについては、十分承知しているというような感じがしているわけでございます。
 それではどうしようかというときに、ハザードマップづくり等々についてもやっておるわけでございますが、これがまた非常に難しい問題になります。何かというと、避難体制等をしっかり取っていこうということでやっていくわけですが、高齢社会になってきてしまっているという中で、どうしてもマン・ツー・マンの対応が必要になってくるだろう。
 このマン・ツー・マンの対応というのは、災害弱者、特に高齢者一人住まいの方、そういう方を十分に把握しておいて、地域でしっかり対応できるようにしていきたいということで考えているのですが、それがなかなか難しい。なぜかというと、個人情報の保護という形にさえぎられてしまいまして、それを地域の皆さん方に、こちらにこういう方がおられますよということをはっきり伝達することが難しいということもございまして、結果として、100%これを守りきれるかなということになると、あまり自信がない。できるだけ川のほうで守っていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
 もう一方で住民の考え方として見てみますと、特に堤防沿いに家がずっと並んでいるわけですが、その皆さん方の中で既に2回ぐらい引堤をしたときに移動しているという方が、「これから河川整備でもう一回広げられるんじゃたまらないよな」と、そんなことを言う方がおります。
 またもう一方では、昔だったら数軒だったところに人家が連たんしてしまっているということで、「とてももう堤防を引堤してやっていくというのは無理だよな、どうしてくれるのかな」というような話の中で、今回のような考え方が出てきたということです。
 そういう意味においては、非常にありがたい考え方になってきているかなという感じがしております。確かに今までの議論でそれぞれの先生方から出ている話として、技術的に難しい話であるとか、そういう点があるのだと思いますが、我々としては、できるだけそういう技術的に難しい点もクリアしていただき、なおかつ、何をやるにしてもやはり地域の住民の皆さん方のコンセンサスは絶対に必要ですから、そこら辺、十分にコンセンサスが取れるような計画にしていただいて、早く対応していただく。早く対応できるような政策を今回考えていただいたのだろうと、そのように思っておりますのでお願いしたいなと。それが地域に住んでいる人間の素朴な感じだということで、今日はお話をさせていただきます。
(委員長) ありがとうございました。河川工学の立場から○○委員にお願いいたします。
(委員) 私は今まで発言をしてきまして、今日は特別には言うことはございません。
(委員長) ○○委員、何かございましたら。
(委員) 今回補足資料をいただきまして、私が関心を持った点については、こういった形で整理するということがわかりました。その後、いろいろ自分も勉強してみまして気になることがありますので、それを今日の整理の中との関係で申し上げたいと思います。
 今日いただいた資料2の12ページです。この小貝川のところの分流量を0にするという理由は、利根川河道沿いの遊水地群等ができて、それから昨年以降の雨の降り方からして、計画に対する合流量が小さいということで、そのように考えるということですが、気にしていますのは、小貝川の直下流に、布川の狭窄部がり、また、利根川放水路をつくるということで、この小貝川合流量500m3/sの持っている意味は、河道のほかのところの500m3/sと重みが違います。どうも気になるところですので、後でデータも含めて合流量をゼロとする根拠を見せていただきたい。
 2点目は、スーパー堤防についてお話しをいただきまして、よくわかりました。その中の説明で整備途上の各段階で、できるだけ便益を提供できるように効率的にやるということは重要です。スーパー堤防の建設は、非常に時間がかかります。しかしこれは超過洪水対策整備途上も含めて大事だということで、スーパー堤防をこの基本方針に位置付けることは大変な意味があり、その途中段階として緩傾斜型の堤防によって、スーパー堤防への移行がスムースに行えるようにするということがわかりました。
 しかし、今後、このスーパー堤防を計画的に位置付けをしていったときに、利根川でスーパー堤防区間ではない堤防の質的強化の計画論と整合しづらいところが出てくるだろうと思います。特に計画高水位を超えるか超えないかの議論になったときに、スーパー堤防と他の堤防の余裕高の整理が必要となります。
 時間がかかりますから、スーパー堤防ができることと、基本方針が完成していく段階というのはかなり近いだろうと思います。その段階でやればいいということでもありますけれども、計画論としては、今から整備しておいて欲しいと考えます。
 スーパー堤防をつくるような低平地に発展した都市域を流れる河川では、他の地域に比較して川の安全度や守り方に差があるということだろうと思いますから、計画論としても、しっかりしておくことが必要です。非常に大きな事業であるだけに、十分検討しておいていただきたいというのがお願いです。
(委員長) 小貝川の放水路とおっしゃったんですか。
(事務局) いいえ。小貝川が本川に合流するところで今回は合流量を0にしているんです。前回、委員長からこれで流量配分はよろしいですねと言われて、これでいいなと思っていたのですが、ちょっとその後、この場所が500m3/s入っていたのを0にしたということですので、これが放水路のすぐそばであるということと、布川の狭窄部を下流に抱えているということで、合流量が0であることの理由を明確に持ちたいというのが、私の関心です。
(委員長) では、これは事務局から答えていただけますか。
(事務局) すみません。「0」という表記が適切かどうか検討しますが、小貝川から洪水が出てくるのは、もっと大きいわけですね。ただ、本川合流のときはもう少し小さいと。それがかつ、その周りの田中、稲戸井などの調節池を増強いたしますことで、結果、その分の小貝川から来ているものはみんな下流へ負荷がかからないようにしましょうということなのです。ちょっとこの表記で誤解があるかもしれませんが、今のような趣旨でございまして、今ご心配の下の布川だとか、そういうところに影響がないようにということかと思います。
(委員長) 昭和61年に未曽有の大災害が小貝川で起きて、堤防が2回も破堤したときに、利根川の洪水流量には小貝川は参画しないように、ピーク流量のときは0合流になるように遊水地を設置するというのが基本だったと思いますし、そのような表現になっているのではないかと思います。
 ですから、私はこの表記でいいのではないかと思いますが、いわばピーク合流に参画させないということが括弧で書いてあるのだと、私は理解していますが。
(委員) はい。私もそこは理解しているんです。
(委員長) その確認ですか。もし直すのなら今のうちに言っていただかないと、事務局から……。
(委員) 直すというよりも、そのデータを私どもは確認させてもらっていません。ここは非常に大事な場所だと思いますので、次回に資料を示していただければと思います。
(委員長) この22,000m3/sが過大ではないかということについては、基本的に防災計画の問題であり、流域住民、それぞれ都県の住民への責任を持つ立場もございますので、ちょっと一言ずつ各県知事さん、あるいは代理の方にご意見を賜りたいと思います。
 いつも上流からですが、この際、下流の東京都知事さんからご意見、コメントをいただきたいと思います。
(委員) 私どものところでは、直接印旛沼のところよりは、どちらかというと江戸川のほうが興味があるところでございますけれども、先ほど冒頭、事務局のご説明がありました水系全体のバランスという中で考えたときに、もちろん地元の方のご意見もあると思いますが、私は水系全体のバランスの中で妥当なものではないかというふうに考えております。
(委員長) では、千葉県知事さんからお願いします。
(委員) 千葉県も最下流部でございますので、できるだけ安全にという気持ちはございます。東京都さんも言われたとおり、上下流のバランスなり、下流に負荷をかけない形で、かけないと言うと語弊がありますが、十分安全な形で整備を進めていただくということでよろしいかと思います。
 一言言わせていただいてよろしいですか。印旛沼がせっかく表現されているのですが、印旛沼の水質についてはきっちりいろいろと表現していただいておりますが、やはりもっと環境全体的な形の表現というのをいただければいいなというふうに思っています。
(委員長) もし、ご希望な案文があれば、事務局へ寄せていただきたいと思います。では、埼玉県知事さんのほうからお願いします。
(委員) 埼玉でございます。私どもは、全国的なバランスを見て、今回の計画はこれで妥当だというふうに思っております。
(委員長) では、群馬県知事さんのほうから。
(委員) 河川の大きさとか、そういう全体的なバランスから見て、適当ではないかと思っています。
(委員長) 栃木県知事さん。
(委員) 最初にもうお話ししましたが、やはり流域全体の役割として、上流部ではそれなりのダム、ここでは思川でありますとか湯西川がまだ必要であるという表現になっておりますし、また流域バランスの取れた、治水安全上、早期に確実にということでお話し申し上げたことが表現されているのではないかと思っております。
 また、希望につきましては、委員長からありました意見等もありますが、歴史的にも明治時代から大洪水ごとに被害を受けてきており、それを基に洪水計画の流量を決定しているわけですが、それ以降の最新のデータの検証を行って、今の数字は妥当だという説明でございますし、流域全体としてはこれで私どももよろしいのではないかと思っております。
 それから、ちょっとほかのことでもよろしければ。特に環境の面でもお話がございましたが、ここにモニタリングの話と、それから8ページ、9ページ辺りに住民参加、あるいは地域の計画等を併せて検討していただくというような方針が書かれてございますので、そういう表現でよろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
(委員長) もし、適当な案文がありましたら、事務局へ寄せていただきたいと思います。茨城県知事さん、どうぞ。
(委員) 今回の基本方針の案でございますけれども、私どもの県といたしましては、これで基本的に了解をしたいと考えております。
 この委員会でも述べさせていただきましたが、布川地点の掘削をしていく上での色々安全確保の対策、あるいは今もお話に出ましたが、小貝川は61年に破堤しましたので、これの堤防の強化、それと話に出ましたが、稲戸井調節池も一生懸命やっていただいていますので、これを早く仕上げることによって、下流の安全も確保できるのだろうというふうに考えていますので、これらの強化対策。
 さらには、江戸川へ確実に分派をしていただきたいと思いますので、これをちゃんとしていただければなと。また、ここにも書いてございますけれども、霞ヶ浦の水質浄化、堤防も全部出来上がっておりますので、導水も今やっていただいておりますが、早く導水することによって、この湖沼も閉鎖的な環境がよくなると思いますので、これについてもよろしくお願いしたいと思っています。
 いずれにしても安全、安心な河川の整備ということで、いろいろここに書かれていますので、基本的には了解させていただきたいと思います。
(委員長) ありがとうございました。それでは、以後、各委員から随時、ご発言をお願いします。○○委員、よろしくお願いします。
(委員) 欠席が続いておりまして、既に議論が終わっていましたら、その旨をお教えいただきたいと思います。
 今日のところでも、洪水の安全な流下のための河床の安定ということがうたわれています。そのために、土砂動態の観測というのが続けられることになっています。これはもっともなことだと思います。その一方で、生物生息空間の中で、例えば、礫の河原を保全するというところもうたわれています。礫の河原を保全するためには、時々たまったものを流していただかないと、礫にならないということがございます。
 さらに、海域を考えますと、海域への土砂の輸送量というものも、上流陸上側としては少しは思いをはせる必要があるのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
(委員長) これは河川工学の立場から、今のお話はいかがですか。では、○○委員。
(委員) 陸域から海域への土砂を出すというのは、これまで議論をそれほどされてきたわけではありませんが、生態との関わりの中で今後ますます重要になってくるだろうなと私も思っております。
(委員長) それでは○○委員のほうから、今度は生態学の立場、あるいは一般的なご意見をお願いします。
(委員) 生態系には将来的につながる問題がありますが、少し別の観点の意見でもいいでしょうか。私がちょっと勉強不足だとも思うのですが、今日のご説明で、補足説明資料の5ページに高規格堤防といいますか、「堤防強化対策イメージ」の図がございますね。前々回ですか、前回、高水敷を50mまで切り詰めて河道の断面を確保するというご提案があったと思うのですが、それとこの高規格堤防の河道断面が、イメージが合わないように思います。それが1点です。すなわち、河道断面をどうこの図で確保するかということです。
 それから逆に、高規格堤防は、私はこういう稠蜜な資産、人口の集積地域では非常に大事な施策だと思うのですが、それでもやはり利根川にしても、計画があります江戸川にしても、非常に自然生態系の豊かな中間流域を持っていますので、その高規格堤防の工事と生態系保全との両立というものを、これからどう考えていただけるのかというのが気になるところです。
(委員長) 高規格堤防の話と高水敷掘削の話は、本来、全然別な話だと思うのですが、高水敷をカットして、なおかつ高規格堤防をつくるのかねという質問になるのかなと思います。事務局で、何か用意していますか。
(事務局) ○○委員のお話は、5ページの絵がわからないというお話でございますよね。すみません。これは少し模式的に川のほうは描いてございますので、これより先に、高水敷というか河川敷があって、さらに普通、水が流れる低水部分があるということなのですが、そこまではちょっと描いていないということですね。それと、川面を少しつぶした格好になっているというところをおっしゃっているのでございましょうか。
(委員) もし同一場所で施工されるとしますと、当然緩傾斜化すると、もう少し引堤をするか何かしないと、この緩傾斜化というのとこの形の高水敷とが両立しないのではないでしょうか。現況の堤防断面が非常に狭く描いてあるからかもしれません。もっと現況堤防断面の高水敷部分が、ずっと河道の中のほうに、中心のほうに出ていれば、話としては全然矛盾しないかもしれないのですが、模式図が、私にはちょっと理解できないのです。
(事務局) わかりました。全く図面の関係だけでございまして、実際は、例えば利根川でも荒川でも、実際の河道の中の洪水の流れる計算をすると、今、例えばここに絵が描いてありますのは、通常ですとこの斜面が、縦が1、横が2ぐらいで、特に小段というのがありまして、全部ならしますと、3か4ぐらいになるのですが、それを1対5ぐらいにします。その分は、計算をしてもほとんど効かないといいますか、そういうものでございます。
 先ほどの、もっと中心部で大きく掘削するとあの流量は効くのですが、多分断面は、均一に水が流れなくて、斜面にひっついたようなところは非常に流速は小さくて、真ん中は長いとか、下のほうはどんと掘ると大きいとかということだろうと思います。
 ちょっとあれでしたら、現実論もまたお話しさせていただきますが、そういったご心配は出てこないと思います。
(河川局長) ここが、今図面に描いてある川表側といいますか、川側のところの基盤線ですね。これが高水敷の高さぐらいと考えていただければ。ここは川底ではないのです。ですから、この先に数十メートルの高水敷があって、その下に、また低い低水路があると、そういうイメージでしたが、ここは河床ではないということでございます。
(事務局) そのイメージです、今先生が言われたのは。
(委員長) これは、その下の緑の点線が高水敷で、100mとかのオーダーであって、川の方にも堤防を太らせますし、なおかつ人家のほうへも堤防を太らせて、できるだけ破堤する確率を下げようとしてますね。特に利根川という我が国最大の首都圏地帯を抱えているだけに、上流の栃木県、群馬県のご苦労でダムをつくるなら、下流は下流でまた努力をして、洪水・氾濫の危険を防ごうというのがこの趣旨だろうと思います。そういうことでよろしゅうございますか。
 先ほどの生態系保全で、砂利うんぬんという話は、貴重なご提言なのですが、答えのほうがあまりしっかりしていません。いつもダムの下はほとんど水がないじゃないかと批判されます。一般的にいうと、発電ダムなどは1滴でも余計に発電させようというので、ダムの下が流量が少なくなってしまって全くゼロの事例が多いですね。ダム計画批判の大半が、実はその明治、大正時代につくった発電所なのです。
 治水関係のダムについては、維持流量を決めていますが、それを増やせというご意見のある一方で、単に増やせばいいというものではない、時々生態系的な撹乱が必要だという意見があります。○○委員も生態系には詳しいですし、○○委員を追っ掛けるぐらい一生懸命勉強しているわけで、我々もその後を継いで生態系の勉強しているわけです。
 そういう意味では、土木工学と生態学が一緒に勉強して、全く空が天気の場合に撹乱するのか、あるいは生物が必要なときに撹乱流量を出すのかとか、その辺は、今後研究課題だと思います。そういう意味で、○○委員のほうから何かコメントがあればいただきたいと思います。
(委員) 国土交通省も省庁間の調整でも頑張られて、発電ダムの下流部に減水区間をなくすプロジェクトをやられて、これはこれから成果がどんどん出てくる事業だったと私は評価しております。それがまず第1点です。減水区間がかなり減少しつつあると思います。
 それからもう1点、土砂の問題も、これも実はダムができてからかなり長くたってからボディーブローのように土砂供給が減ってくるという面がございます。もちろん下流への土砂の直接還元みたいなものをいろんなやり方でやるのですが、まだこれも技術的にも途上ですし、コスト的にも非常にかかる問題ですので、我々もこれから勉強させていただきながら、しかし、チャンスがあって機会があるところですと、積極的に下流へ土砂還元していくのが、私は基本的には生態系を守っていく方向だと考えています。よろしくお願いいたします。
(委員長) その土砂還元について、最近、どういう取り組みをしているのか。もし、事務局から事例があれば説明していただきたいと思います。
(事務局) 幾つかの方法があります。1つは、たまったものそのものを取りまして、安倍川などは静岡の土砂流出の非常に大きい川ですが、その下の三保の松原だとか、あちらのほうも含めて、全部流量を管理しています。あまり土砂が下流へ流れていくと、逆にまたそれはそれで悪さをして被害が出ます。ある程度たくさんの人間が住んでいる社会ですので、ちょうどいい案配がどの辺かということをしております。
 それからもう1つは、たまらないように、ダムそのものに穴を開けてというようなものが富山の黒部川などでもあります。
 あと、最近はバイパストンネルを横へ掘りまして流していく。特に土砂のところでは、細流分と大きなものとありますけれども、量的には細流分がたまるというのもありますので、そういうものは水と一緒にかなり流れていくというところをうまくしてあげられないか。
 あとは上流側に、ダムの底まで行かないところに土砂をためる貯砂ダムみたいなものをつくりまして、そこから取っていくという工夫だとか、そういうものを、今やりつつあります。
 それぞれ一長一短ありますけれども、水系の上から下までの状態をよく観測しながら、今、大体進めているところであります。
(委員長) 森林問題もちょっと出ておりましたので、専門家の立場から○○委員、ご意見あったらお願いします。
(委員) 6ページの森林の治水機能について、ご説明いただきましてありがとうございました。
 結論的にいえば、森林の存在を前提として治水計画を立案しているということですので、これでよろしいのですが、ただ1つ私の意見を言わせていただきますと、一番上の図表ですが、青い面積、森林面積は明治33年ぐらいから変わっていない。こういうご説明はそのとおりですが、中身とすれば随分違っているのではないかと思います。
 昭和25年頃のこの森林は、戦前・戦中の乱伐でもって、だいぶ伐採跡地というか、森林荒廃地が多かったのではないかと。しかしその後、木を植えて、昭和60年になりまして、ある程度大きな木が育っているということで、そういう面で森林の保水力というものは、25年当時に比べれば、かなり大きくなっているのではないかと思います。
(委員長) そこで、右側の図面に描いてあるのは、保水機能はある意味で有限だと。したがって「降雨量が50mm〜100mm程度で森林土壌が飽和し、以降は降雨がほとんど流出するような状態になる」という辺りについて伺いたい。森林は当然整備されるべきであるし、それを前提に治水計画をつくってある筈ですが、どちらかというと、山に木を植えれば洪水はなくなるんだというような、治水計画を立てる人から見ると気になるような定説が出来つつあるのです。100年とか200年に1回のときはどうなんだということについて、また、ご意見ありましたらお願いしたいと思います。
(委員) 6ページの一番下の四角い枠の中の最後に書いてありますように、「森林とダムの両方の機能が相まってはじめて目標とする治水・利水安全度が確保される」。これに尽きると思います。
 当然、雨がたくさん降れば、森林の浸透能力というのは飽和状態になって、それ以上の雨がどんどん流れるわけでしょうから、そこはダムというものを含めて治水の問題を考えていかないといけないと思います。
(委員長) これは、森林とダムとは対立関係というか、二者択一関係ではなくて、両立してはじめて安全な国土になるというご趣旨だと思いますし、大いに今後も森林を整備していただきたい。これで針葉樹と広葉樹だとかいろんな議論があって、両方ともあまり変わらない、保水機能は同程度だという話もあれば、広葉樹にしないと機能は十分ではないという意見もあったりして、ちょっと我々門外漢から見るとどちらを信用していいのかですが、今、わかっている範囲で、お聞かせください。
(委員) 森林については、針葉樹でも広葉樹でも立派な森林である限り、保水機能にはそれほど差がないのではないかと私は思います。
 ただ、針葉樹の場合、戦後植えられた木が間伐が行き届かなくて、下草が生えていない状況にあって、そこに雨が降っても土中に浸透せずに、そのまま河川に流下するという状態の森林もありますので、そういう面では、針葉樹の場合は、特に間伐等の手入れをしっかりして、下草を生やして、雨水が土壌に浸透するような立派な林にしていくということが必要ではないかと思います。
(委員長) 維持管理が大変重要だということですね。
 それから水利用をする立場として、○○委員、ご意見ありましたらお願いします。
(委員) 前々回の委員会のときに、正常な流水のことに関してですが、正常流量についての渇水時の姿を教えてください、示してくださいと頼んでおりまして、今日ご説明いただきまして、ありがとうございます。
 これについて一言なのですが、今日の資料2の19ページですが、一番上からいきますと、利根大堰上流では「流水の正常な機能を維持するために必要な流量」としまして、かんがい期115m3/s、非かんがい期45m3/sとなっておりますが、その上の表でいきますと、利根大堰上流の平均低水流量は103.5m3/s、平均渇水流量は79.3m3/s。
 大ざっぱにいいますと、かんがい期最大の正常流量が115m3/s、平均低水流量が103m3/sということで、要するに、非常に水が足らないということがこれでわかります。こういうところにおいて、河川整備基本方針で、こういうものを踏まえてこのような115m3/sというのを表現するのが適当なのかどうか疑問があるところでございまして、河川整備基本方針の書き方といいますか、記述の仕方といいますか、表し方といいますか、これについてどう考えたらいいかということでございます。
(委員長) これは事務局から答えていただけますか。
(事務局) 前々にも似たようなお話がありまして、中部で検討していることはございますけれども、利根川各河川、この流水の正常な機能を維持して、こういうふうなものがあるべきなのだと。それに対して今、1つはきちんとそういう流量が確保される努力はこれからもしっかりしておかないといけないのだと思っております。
 ただ、そこの状況が、川によって簡単であったり簡単でなかったりかと思いますけれども、目標値としてはしっかり表−5のようなことをしておくべきかなとは思っております。ただそこへ至る過程の話は、もう少し、これは基本方針全体がそうかもしれませんが、どういうステップを踏んでいくのかとか、どういうやり方をしていくかということについては、今後、もう少しきちんと勉強した格好のものを入れていけたらと思っています。
(委員) それから追加なのですが、表−5の一番上でいきますと、利根大堰上流の非かんがい期45m3/sとありますね。非かんがい期の姿がどうなっているのか。利根川というのは、ご存じのとおり非かんがい期も渇水が多い河川ですので、かんがい期ではなくて非かんがい期の姿が、平均低水値や平均渇水値はないのかもしれませんが、これも平均とするか、何分の1確率とするか、いろいろ議論があるかと思いますけれども、非かんがい期の姿についても教えていただければありがたいと思います。
(委員長) ではどうぞ、事務局から。
(事務局) 資料4というのがございまして、別途、流水の正常な機能を維持するための必要な流量に関して、少し細かい字になっていて申し訳ないのですが、52ページです。
 これは、下に図6−1(3)とございますが、非かんがい期の状況でございます。今おっしゃった利根大堰上下流は、真ん中ぐらいに、グラフの中に文字が横書きでぽんぽんと上と下に書いてあるところがございます。距離で160kmから150kmの間です。ここの分が、今書いております量に相当いたします。
 ちょっとすみません。資料が、今お尋ねのところが、例えば平均低水流量とか平均渇水流量という先ほどの資料のものは年間通してでございます。では、かんがい期だけ取り出したらどうか、非かんがい期だけ取り出したらどうかという流況につきまして、ちょっとこれだけではわかりづらいので、資料を整えまして、検討させていただきたいと思います。
(委員長) では、まず関係の委員から、お伺いしましょう。○○委員から、1つお願いします。
(委員) 利水という立場で、2点ご質問というか、意見を申し上げたいと思います。
 1点目は、今の○○委員のお話とも関連するのですが、毎度、毎度申し上げて申し訳ないのですけれども、利水安全度ということについて、これまでもいろいろご説明いただきました。やはり地球温暖化というのでしょうか、そういうことの影響で確かに降雨の状況は変わってきている。安定的に取水できる量が減ってきているという資料は、前回の10月12日は実は私は休んでしまったのですが、今日でいえば参考資料2の5ページの左側には、少雨傾向というのが出ていまして、右側には安定的に供給できる水量が2割減っているというように、具体的な分析もしておられるわけです。
 今日の資料2の7ページ「河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持」の「整備の方針」の冒頭に、そのことが書かれている。これは、私は大変評価しております。
 「必要な流量を計画的に確保」ということになっているのですが、具体的にはどういうことなのかというのが、今さっき○○委員がお話になった19ページの表で、私なりの解釈では、表−4の平均低水流量とか、あるいは平均渇水流量は、これは35年間とか50年間の平均になっていると思うのですが、時系列的に見ると、恐らく減少傾向にあるということを参考資料2は言っているのかなというふうに理解するわけです。
 そうしますと、この平均でものを語っているのは、もはや時代遅れではないか、これからは気候変動も眺めた将来の推計を少ししながら、利水安全度の推計をしていくほうが、傾向としては正しい解析なのではないかと思っております。したがって、この辺の計算をどうするかという問題もあるのでしょうが、少なくとも、一番最後20ページの「なお」書きにあるようなところには、そうしたことを、ここでは「変動する」ということだけが書いてありますが、やはり大きな要素である気候変動に伴う、特に利水の点からいうと、利水安全度の低下というものについてを勘案した流量の見直しもあり得べしということが書かれてもいいのではないか、ということでございます。
 それから続けてもう1点ですけれども、これは、今日私ははじめて気が付いて、今までも説明があったのを私が気が付かなかっただけなのかもしれないのですが、資料2の3ページ、治水のところの話です。(1)「利根川本川上流部」や(3)「烏川」に、「利水容量と治水容量の振り替えを含むダム群の再編と嵩上げ」というのがさらっと出てくるわけですが、いったいこれはどういうことなのかということが、具体的な例を知りませんのでちょっとわからないのです。
 これが治水のところに書かれているということでちょっと気にしていますのは、治水優先になってしまうと利水のほうが割を食うと言うと言葉があまりよくないですが、利水者にいらぬ負担がかかりはしないかという懸念を持つ次第でありまして、そういうところは個々具体にはいろいろあるのだろうと思います。一般論として語れないと思いますけれども、こういった供給をするのだとすれば、少なくとも利水関係者との十分な協議というのでしょうか、情報を共有するとかいろいろあると思いますが、そういうご努力がまずあることをどこかに書いておいていただく必要があるかなという、その2点でございます。
(委員長) では、○○委員の意見も聞いた上で、また事務局から意見を聞きたいと思います。
(委員) 多分、委員長のおっしゃったのは、治水容量とダム、治水容量の振り替えのお話だと思いますが、私はいろんなダムにのっている利水の、これも歴史的にあっちへ行ったりこっちへ行ったり、結構複雑になっておりますので、整理するいいチャンスかなと思って、期待をしているところなのです。やはり効率のいい用途に貯水施設は設けるべきでありますから、効率のいい格好で用途に向ければ、それだけ経済性も高まるということであります。
 ○○委員のおっしゃるように、ここは関係する諸事業との十分な協議は必要だと思いますので、それはよろしくお願いしたいと思います。
 1つ要件があります。私は、12ページの流量図で、はっきりと幻の放水路が消えておりますことを非常に喜んでおります。以上です。
(委員長) ちょっとダム群再編成とかダムの容量の振り替え問題について、今考えているところ、あるいはまだ制度的に定着していないところもあると思いますし、当然、利水容量は利水者の負担で成り立っているわけですから、全く相談せず勝手に振り替えるということは行政的にも全くあり得ないことだとは思いますが、大変ご懸念でありますので、丁寧な説明をお願いいたします。
(事務局) 2つのお話があったかと思いますが、今、委員長がおっしゃったほうを先にさせていただきます。今お配りしております資料に、参考資料3というのがございます。11月9日にお話し申し上げました資料です。右肩に参考資料3というのがございまして、これの9ページに今の振り替えといいますか、相互運用といいますか、それの1つの例みたいなものを書いてございます。
 左下の図にございますが、例えば下久保ダムというのがあって、現在は洪水調節容量が黄色の部分で下が利水容量だと。これを、例えばもう1つ別な池との、要は一定保持するわけですので別な池が必要になりますが、例えば下久保ダムの嵩上げみたいなものがある。それからそのときに下の振替ダムというものと一定保持しよう。
 なぜ一定保持しようかというのは、実は右上に絵が描いてございますが、八斗島というのがあって、左側の烏川、それからその下の神流川というところには下久保ダムしかありません。こういうことと、例えば奥利根流域のダムというのでは雨の降り方が相当違うということもありまして、実は下久保ダムを単独でつくりましたときよりは、さっきの左下の絵と何が変わっているかというと、当然洪水調節容量が下久保ダムのところよりは増やしているわけです。これは、右の地図にございます南側といいますか、神流川だとかこちらのほうにはあまり洪水を調節する施設がございませんので、ここにどっと洪水調節容量を大きく持って、逆に雨の降り方からするとどこか、例えば奥利根流域のダムだとかいろいろ書いてございますが、こちらのほうで別途振替ダムなり利水容量を持ったほうがいいと。
 それがまさにご指摘のように、雨の降り方だとか、実際水の使い方などで、最適な再配置をやろうということでございます。中身そのものは、先ほど委員長のお話にもありましたように、当然法律的に権利が発生している中身でございますので、現在使っている利水について、間違いがあってはいけないというか、それはきちんと保持した上で、洪水とか利水の最適効率化を図ろうというものでございます。こういうものを今、検討しているところでございます。
 それからもう1点のお話で、近年の小雨化傾向などについてどうかというお話がございました。これについては、1つはこの緩和のほうの関係だけではなく、関係省庁だとかいろんなものが関係いたしますので、フルプランがございますが、フルプランの場では、こういったもともとの計画の基準でといいますか、この水系の1つの「この年の渇水ぐらいの規模までは」とやってきましたものと、それから最近のこういう小雨化傾向を踏まえて、例えば20年分ぐらいの中で2、あるいは1/10ぐらいで行って見ておりますので、20年に2番目ぐらいのデータで再評価をいたしまして、そういうものをフルプランの中で全部表記いたします。
 これに合わせて、どうしていくかということを関係機関で集まってプランニングをしているという造作をしておりますので、これに合わせた格好で、私どもは川のほうの整備もさせていただくような仕組みになってございます。
 記述につきましては、先ほどの利水容量、治水容量の振り替え、それから今の小雨化傾向のお話も含め、ご意見をいただければと思いますし、私どものほうでももう少し中身が見えるような格好で工夫をさせていただきたいと思っております。
(委員長) 水利用の関係者共通の認識として、最近、雨の振幅が大きくなったと言われます。渇水のときは大変な渇水になる、また洪水のときは大洪水になる。これが地球温暖化に影響しているのかどうかわかりませんが、統計資料ではこれが非常に明らかになっている。
 結果、渇水は10年に1遍とか言っているけれども、実際には実力が低下してくるのではないか。水利用者としては、大変懸念するということではないかと思います。
 渇水になったときには、いつも渇水調整というので関係者が集まって、それぞれ農業用水は何パーセントとか、水道は何パーセントとか取水制限をします。最近、そういう事態に頻繁になります。あるいは県別に節約していただくということが多くなっています。
 これがかなり今後も常態化することが懸念されますので、どんなふうに管理していくのか。河川整備基本方針で高々と掲げても、いざ渇水になったときにはどうするのか。これまでいろんな経験を積んでおりますので、これらを踏まえて、どんなときはどうするということをある程度基本ルールにしておくのが大事なのではないか。やはり首都圏の皆さまが、肝心な生活面でも、しのぎきれるということが大事なのではないかと。整備論と管理論と両方からしっかり研究していく必要があるということではないかと思います。
 この辺で、何かそういうアプローチで○○委員、ご意見がありましたら。
(委員) 確かに整備といいますか、制度といいますか、それと実際の河川の管理というのは、いろいろ歴史的な経緯もあり、非常に複雑な問題があるというのはご存じのとおりです。
 それからもう1つ、地域によって、河川によって、それぞれ全然事情が違いますので、これもまた一概には何とも言いようがないということがあります。今申し上げました流水の正常な流量についても、それぞれの背景があるはずなので、これについては慎重に取り扱う必要があるのではないかというふうに思っております。
(委員長) 防災の立場から、○○委員、どうぞ。
(委員) 今、委員長が言われた雨の降り方とか渇水の問題は、9月に気象庁が異常気象レポートを出しました。これは5年ごとに出されるのですが、今回はじめて、地球の温暖化と関わりがあると見られるということをはっきりうたいました。これまでは非常に慎重でその言葉を使っていなかったのです。
 やはり非常に短時間豪雨が、先ほど○○委員がおっしゃったように、特に都市を中心にして起きやすい。これはヒートアイランドとも関係があると見られていますけれども。ですからそういう状況がこれからますます激しくなっていくということは、やはり認識をしておかなければいけないということが1つです。
 それから別のことでよろしゅうございますか。今日、ご説明になった案の前に、利根川の流域及び河川の概要というのは付けられるのだろうと思いますけれども、これは拝見していて、その中で利根川の歴史的な背景として、大切なことが抜け落ちていると思うのです。
 どういうことかといいますと、利根川の河床が上昇したのは、浅間山の大噴火に原因があるのです。これはご存じの方は多いと思いますが、1783年、天明3年、天明の大噴火といいまして、3カ月間、火山活動が続いた一番最後のステージで、大規模な火砕流が発生して、その火砕流の中に含まれている大量の溶岩のかけらが地表を削って、大規模な岩雪崩を起こしたのです。
 1村を埋めてしまったというのは有名な話ですが、それが吾妻川に流れ込みました。吾妻川というのは利根川の支川ですから、吾妻川ですぐに大洪水を起こしまして、これが吾妻川を通じて利根川の本流へ流れてくるということで、このときは多分1,000人以上の死者が出たと言われています。そのときの土砂が、時を追うにつれてというか、洪水の度ごとに下流へ、下流へと流されて、河床を上昇させてきているのです。河床が上昇するということは、河床のほうから見れば、相対的に堤防の高さは低くなっているということになるわけです。
 ですから、それが明治以降の利根川の洪水被害も、言ってみれば堤防を嵩上げすると、次の洪水ではまたそれを越える、また嵩上げするとまた次の洪水で越えるという、いわばいたちごっこを繰り返した原因になっているのはそこにあるのです。
 このことはぜひ加えておいていただきたいというのは、どの川でもそうです、成願寺川でもそうですけれども、上流部で大量な、ドラスチックな土砂生産が起きると、非常に重くて長い後遺症が出るということではないかと思いますので、利根川のそういう治水環境というか、河川環境というのでしょうか、考える上で非常に重要なことだと思いますので、ぜひそれを加えていただければというお願いです。以上です。
(委員長) では、これはまた、今おっしゃっていることを案文化して、付け加えていただきたいと思います。
 ご意見がありましたら、どうぞ。
(委員) 先ほど計画高水のことが出ていたので、ちょっと追加で発言させていただきたいのですが、先ほど来、振り替えの話もあったり、既存施設の有効活用という話が本文にも入っておりますので、上流の立場としては、ぜひ率先して推進していただきたいというお願いをさせていただきたいと思います。前回もそのようなお話をさせていただきましたが。
 それから1つ確認させていただきたいことがあります。前々回のときに、いろんな生物の話もあって、河川環境の上下のつながりに配慮して欲しいというようなお願いをしました。今回のこの資料2「記載すべき事項(案)」のところにちょっと書いてあるのですが、8ページに1−3−1「動植物の生息地・生育地の保全」ということで、ここに「瀬の保全や海域と河川の連続性」という表現がなされているのですが、うちのほうで配慮していただきたいとお願いをした上下流のつながりというようなところも、配慮していただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
(委員長) これは、そのように、必要とあればまた案文を出していただきたい。お願いいたします。
 知事さん方で何か、また後で最終的にお聞きしようとは思っているのですが、特にありましたらお願いします。
 委員あての意見の中で、要は昭和22年の洪水みたいなものは出ないのではないかという一方で、あのときの台風というのは、実はあまり大した台風ではなかったという意見もあります。弱小台風だったのですが、周りを気圧配置で抑え込まれて、台風の行き場がなくて居座ってしまったために、利根川上流で豪雨になったと考えられます。ですからカテゴリーでいうと大した台風ではなかったのですが、気圧配置が利根川にとっては大変不幸なことで大洪水になったと考えられます。
 私も、昨年関西に行ったとき、台風23号でしたか、山陽新幹線で7時間止められました。円山川とか由良川で大変な大災害になりました。あれは強力な台風で駆け足で行きましたが、もし、もう少しゆっくり淀川流域を越えていったら淀川が大災害になったのではないかなと思います。そんなことを考えると、単に「昭和22年はもう来ないよ」という状況ではなくて、やはり住民の安全を守るためには、できるだけいろんな事象に堪える防災計画をつくるべきではないか。そういう意味で、単に22年を対象にしているのではなくて、22年についてはこうやって、なおかつ、ある程度起こりうる事象にも堪えられるという計画であるべきではないかと思います。
 それは先ほど上下流のバランスとおっしゃられましたが、実際には上流県でダムを建設するために住民に移転をしていただいて、ようやく下流の安全を守っているという大変苦渋の決断をされているのではないか。昔、私もダムの現場で、当時、銀座が坪1,000万円でしたかね、「おれの土地も1,000万円で買え」という主張があるぐらい、上流の人は大変被害意識を持ちながらこれに協力していただいております。そのために利根川運命共同体として、上下流が一体になってこの利根川計画に取り組んでいただいているのだと思います。バランスという意味には、そういういろんなものが含まれた上で今回の計画になっているのではないかと思います。もちろん森林整備は最重点に進めるべきですし、それを前提に今回の計画になっているのではないかと思います。
 もう1つは、ダムは非常に生態系を乱すのではないかということについては、河川工学者、特に河川技術者が反省すべきことであり、大変痛い勉強をしてきたわけです。現在、生態学者と河川技術者、工学者が一体となって、生態系を維持しながら土地改編を行う。昭和41年からですから、八ッ場ダムでも40年ぐらいたつのでしょうか。生態系について見ると、当初からこれだけ息の長い時間をかけて、生態系の保全を考えながら土地改編に取り組むべきではないかと思います。
 そういう意味で、つまりは従来、土木だけの判断で進めてきたことについて、土木工学はもう少し生態学者と一体となって、特に河川工学は勉強して生態系を維持・保全しながら進めていく必要性があるのではないか。そういう意味では、予算制度も含めて、もう少し現場の生態系の保全を図りながら、必要なダムについては進めていく。住民の皆さんも含め、悔いのない生態系を維持していくという決意を持ったものにしていただきたいと思います。仕上がりの案文については、そういう意欲の見える案文にしていきたいと要望する次第であります。
 そういうことで、なおかつ各県知事さんから再度ご意見があれば、承りたいと思いますが、先ほどの案文でよろしゅうございますか。東京都知事さん、もしあればお願いいたします。
(委員) ちょっと1点だけ、可能ならばお願いしたいと思います。この委員会の中で、東京都としてお話しさせていただいたところですが、6ページの「地震等に対応した防災対策」のところでございます。非常にささいなお願いなのですが、「堤防など」の「など」で読み取れるといえば読み取れるのですが、東京都の場合は水門というのが非常に大きな位置付けになっておりますので、できれば「堤防や水門などの」というふうな明示をお願いしたいなと思っております。
 それから、段階的な河川の整備の進め方ということで、ある意味では新しい考え方を出したということは非常に大きいことだとは思っております。この中でちょっと教えていただきたいのは、1−1−2の「超過洪水対策」と1−1−5の「洪水氾濫時等における被害軽減対策」というところですが、1−1−2のところで前提が、整備の途中の段階と、規模ができてもそれで氾濫した場合という言い方で出だしが始まっているのですが、そのとき何をやるのかと考えると、1−1−5の洪水氾濫時に起きる被害軽減策、ハザードマップの関係だとか施設整備などですが、私どもでいえば一般都民の方がお読みいただいたときに、1−1−2と1−1−5の関係がどうなるのだろうかというのが多少わかりづらいのかなという気が、若干いたしました。最終的に、この形がいけないというわけではないのですが、もう少しわかりやすいまとめ方にご配慮いただければというふうに思っております。
(委員長) 恐らく、この1−1−2はハード対策が主体で、1−1−5はソフト対策、バックアップしているという趣旨だと思いますが、できるだけ誤解のないように修正なり、付け加えてまいりたいと思います。
 そのほか、千葉県知事さん、ありましたらどうぞ。
(委員) 先ほどお話ししたとおり印旛沼の環境ということで、水質だけではなく、できればトータル的な環境整備という項目を入れて欲しいということでございます。
(委員長) では、埼玉県知事さん。
(委員) 私どもは前回お話をさせていただいたことについては、今の補足資料の中の4ページに、明確に答えていただいています。特に、22年型ではなくて、昭和57年、あるいは平成11年型も検証していただいていますので、そういう意味では結構だと思っています。
(委員長) これは、せっかくのポンプが、江戸川が満々となってきたときには放水させないということではなくて、計画論としては盛り込んである。
(委員) そうです。管理とは別に、計画としてはということです。委員が言われたあそこの部分も一緒なのですが、いわゆるピークがずれれば、そういう意味では出てこないということで結構でございます。
(委員長) では、群馬県知事さん。
(委員) 先ほど委員長さんにおっしゃっていただきました、ダムをつくるときにいろいろ地域の住民の方に協力いただいているという話がありますので、上流で幾つかダムを抱えておりますので、そういう意味で、先ほど申し上げましたように、ぜひ既存施設の有効活用を図っていただきたいというのが大きなお願いでございます。
 それと、先ほどカスリン台風程度の台風はどうかというお話が委員長さんからありましたが、カスリン台風は流域全体で318mmとかその程度だと思いますが、群馬県内でも一番降ったのが460mm弱というぐらいです。最近の雨を見ると、それ以上の雨が大変多くあるということもあるので、やはりそういうことはある可能性はあるのかなという認識はしております。以上です。
(委員長) では、栃木県知事さん、どうぞ。
(委員) 今回、段階的な整備ということで、上流から見ますと、常に段階的なんですね。下流の河道ができるまでは上流の河道はある程度抑えているというのがずっと常な整備の方法でありまして、今回、「バランスの取れた」という意味は、1つは上下流のバランスも当然あるのですが、流域全体として同じような治水安全度といいますか、そういう意味でのバランスということも言ったつもりでございますので、そういうふうにこの案では解釈させていただいております。
(委員長) 茨城県知事さん、どうぞ。
(委員) 先ほど言いましたように特にございませんが、○○先生から先ほど、小貝川の流入量が0という話がありましたね。この12ページの絵ですが、これがオープンになったときに、地元の人が見てやはり「小貝川が0というのはおかしいかな」ととられてしまいますので、ここに何かコメントを入れて、小貝川の0は先ほどの調整池で0になるというふうなことをちょっと書いておいていただけると、非常にうれしいかなという要望でございます。
(委員長) これはちょっと検討していただきたいと思います。
 そのほか、意見ございますか。はい、どうぞ。
(委員) よく状況をわからずに話して間違っていたらお許しいただきたいのですが、印旛沼経由放水路で1,000m3/s流すということですが、現在の計画の利根川放水路ができないために今度こうなったということで、これはこれでしっかりとやるということですが、どこに力をいれるべきか順番を効率的にとか時間管理をちゃんとやって、流域全体として意味があるように今後やるのですよということを書いていただいたのは、私は非常に結構だと思います。
 これまでの利根川放水路の問題を考えたときに、新しい放水路の建設については、例えば、都市計画決定して、市街地のようなところでは放水路を確実に実行できる方式をとる等の議論が出てきて当然ではないかと思います。すなわち今までやろうとしたことができなかったということを考えると、この放水路の重要度からしても、それくらいのことまで含めて議論をして、やっていただけるのだろうなと思って私は聞いております。
 整備基本方針では全部同じように計画として位置付けられていますが、当然計画を実行する順番だって考えなければならない。そういうことを考えたときに、放水路の流域全体における位置付けというものをしっかりと議論していただきたいというのが、私の希望です。
(委員長) 施工の手順みたいなものは、本来河川整備計画に譲るべき話だと思います。ただ、そういう意見があったということは十分踏まえて、整備計画を練っていただきたいと思います。
 そのほかに、ございますでしょうか。はい、どうぞ。
(委員) 私も参考資料3の高水の流量配分と、資料2の12ページを見ていて、この印旛沼経由の1,000m3/sがうまくはけるのかどうか。はけることだけというのは嫌なので、はけながら印旛沼の生態系、あるいは環境保全との両立ができるような計画が、もちろんこれは整備基本法であって具体計画ではないのですが、「十分できるんですよ」ということを一言お聞きしておきたいなということです。1,000m3/sというのは、かなりの量でありますのでよろしくお願いします。
(委員長) では、事務局お願いします。
(事務局) 池の容量からいうと、今、横にある手賀沼とかの4倍ぐらいで結構大きなものでありますし、500m3/sというのも、花見川と印旛沼の間をつないでいる大和田機場というのが現存していますので、常識的に見て過大でどうしようもないということはないと思いますが、ただ、先生がおっしゃるように、実際のその水が動くときやためたときの生態系の状況などは、当然丁寧にきちっとやらないといけないとは、みんな意識しております。
(委員長) ほかに、ご意見あるでしょうか。どうぞ、○○委員。
(委員) 前々回のときにお願いしてそのままになっていると思うのですが、今度も中国で、だいぶ工場で廃液を、薬品を流して大騒動になっておりますけれども、水質事故に関しての連絡も教えてくださいということを前々回のときにお願いしました。そういう話題になったから載せろということでもないのですが、こういう大きな川のときは、そういう水質事故が起きました際の被害の影響範囲は非常に大きいので、そのあたりも、単なる水質がよくなったとか、よくしますとか、そういう話だけではなく、やはり一種の災害なので、どこかにちょっと記載されておいたほうがいいかなという気がしております。
(委員長) これは、整備方針というよりは管理そのものですね。先ほどの正常流量の問題にも絡んで、水がいつ、どこへ、どのぐらいのときはどう分配するのかということと併せて、水質事故のときはどう対応するのかということで、管理論だとは思いますが、現にそういうシステムがあるのだと思います。では、事務局からお答え願いたいと思います。
(事務局) 国土交通省と各都道府県と一緒になって、関東地方水質汚濁連対策絡協議会というものを構成しておりまして、その中でこういった事故が起こったときの連絡網ということを、きちんとしております。今日は手元にございませんので、またそういった連絡網は河川ごとの分科会もございますが、次回資料を持ちましてまたご説明させていただきたいと思います。
(委員長) これはかなり伝統があって、私も若い時期に調整に当たった経験がございますので、大変よく機能していると思います。
 しかし管理の問題ですので、河川整備基本方針に書くかどうかというのは、性格上違うのではないかと思います。整備というのはどうも目標を書きますが、管理というのは現に今どうするのだということで、今日はそちらの注文も大変多かったと思います。
 特に利根川ではどう管理していくかというのは、河川管理者だけではなく、水利用者から住民の対応も踏まえて、住民の安全を守るという立場を明らかにしたような、管理方針ともいうべきものをまず、利根川がモデルになって明らかにして、管理に努めていただきたいと思います。そのほか、ご意見あるでしょうか。
 一応本日の資料については、議論を尽くしました。事務局から提案された骨子案につきまして幾つか注文がありましたので、それらについては修正していただくということで、基本的なことについてはこの案を基にして、次は原案を書いてもらうということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

(委員長) 各委員については、本議題につきまして、短時間の中で熱心なご審議、ご議論をいただき、また貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。
 次回は、本日の各委員のご意見も踏まえ、河川整備基本方針の本文について審議していただくことになりますが、本日配布された資料も含め、お気付きの点がありましたら次回以降の議論にも反映できるよう、あらかじめ事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。
 最後に本日の議事録につきましては、内容について、各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いて国土交通省大臣官房広報課及びインターネットによって一般に公開することといたします。
 本日の議題は以上でございます。
(事務局) 近藤委員長、どうもありがとうございました。




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