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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第35回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成18年3月14日


2.議事
天神川水系及び重信川水系の
河川整備基本方針の策定について

(委員長) 近藤でございます。本日は委員の皆様にはご多用中のところ、ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。それでは議事次第に沿いまして、天神川等2水系の河川整備基本方針について審議をいただきたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
(事務局) 事務局の布村でございます。座ってご説明をさせていただきます。まず天神川の概要につきまして、画像でご覧をいただきたいと思います。
 天神川は山陰地方の倉吉市を流れる川でございます。全体が鳥の羽のような流域の形をしてございます。左川の奥に大山がございます。天神川の本川のほうは三朝町の上流のほうから流れはじめます。先ほどの左側の大山のほうも斜面、勾配があって、砂防事業等が行なわれているところであります。三徳川という川が合流しまして、このぐらいから少し川の合流付近のところが広がっているという場所でございます。三徳川の上流のほうをご覧いただいています。三徳川が合流いたしまして、今見えてきましたのは倉吉市の中心部でございまして、小鴨川という川と合流をいたします。鳥の羽のような形ですので、今の本川と、この小鴨川が大きな流域になっています。これ、大山が源流になっている川でございます。先ほど申し上げましたように、それぞれ土砂の対策が行なわれてきている川であります。
 この天神川は昭和9年、いわゆる室戸台風で大被害を受けたところで、地図の中でも水色が見えましたように、ほとんどの地域が水に漬かるというような被害を受けております。今、紫というか、ピンクのものが出ているのが、霞提でございます。急流の川でございますので、内の水が川の外へあふれましても水が引いたら、うまく川のほうへ水が戻っていくという工夫というか、知恵で昔造られた霞提というものが、今ピンクでマークしましたところに写っています。
 先ほど見ていただきました倉吉市の街中をこの左支川の小鴨川のほうからご覧いただいているわけです。右側から天神川の本川が入ってきております。これがずっと倉吉の市街地を流れて行っています。このあたりから、ずっと扇状地でございます。流域はこの赤い線で引いておりますが、洪水の氾濫する氾濫域はもっと大きく広がるというところで、それは日本海へ砂丘部分をくぐりまして出ている川でございます。
 お手元の資料の2-1というカラーのA3の資料をご覧いただきながら説明をさせていただきたいと思います。資料2-1と右肩に書きました「天神川水系流域の特徴と課題」と書いてある資料でございます。今、画像でもご覧いただきましたような流域でございまして、流域面積が490km2/と、比較的小ぶりの川でございます。
 それから左下にございますが、年間の降雨量はだいたい1700mmでございます。日本の平均がこのぐらいでございます、平均的な雨です。真ん中下ぐらいに「小鴨川流域がやや多雨傾向」と書いてありますが、これは年間雨量の平均の等雨量線が書いてございますが、左側は大山がございますが、大山のところあたりにかなり雨が多いということが見てとれます。
 その右隣が急流河川と書いてあるところでありますけれども、かなり急勾配の川でございます。縦断の図面がその下にございますように、本川の天神川、それから合流します小鴨川、それぞれあと支川の三徳川等でございますが、こういう状況になってございます。
 右上は流域の土地利用でございます。9割が山地、8%が農地、残りが宅地などでございます。
 右下は流域の状況でありますが、今金温泉とか名前を聞いておられると思いますが、有名な三朝温泉があり、大山の関係で国立公園になっています。それから産業は稲作とか、鳥取県の二十世紀梨が有名でございますが、かなりの部分はこの流域のなかで作られているという、そういう場所でございます。
 左側1枚おめくりいただきますと、洪水といいますか、治水上のお話を整理してございます。左上はこれまで過去の、どんな工事があり、どういう計画かというものでありますが、先ほど来出ております昭和9年9月の室戸台風が一番大きな洪水になってございます。洪水が氾濫しておりますので、実際全部川の中へ流れたらという流量でみますと、毎秒3500m3/sでございます。こういうのを契機に直轄、国の改修工事に着手してございまして、その後、昭和34年には伊勢湾台風なども受けたりしまして、また43年に工事実施基本計画という、現在の計画を策定してございます。このときも室戸台風の3500m3/sという実際の洪水に対して対策を行なうという計画になっています。その後、少し小ぶりでございますが、平成2年、10年等の洪水とか水害が発生してございます。
 真ん中の上をご覧いただきますと、先ほど来出ています倉吉の町(街)を守るために江戸時代も千人破戸、二重土手などが造られまして、対策が行なわれてきた川でございます。
 左下は先ほどの室戸台風のときの浸水エリアです。画像でも瞬間で見づらかったと思いますが、この絵の水色で塗りましたようなところが全部水に漬かっているわけでございますので、ほとんどの平地部――日本海側は海側に砂丘で小高くなっていますので、そういうところを残して、全て水が浸かっているという状況でございます。
 右上は河口部の改修、これは歴史的なものですが、昔から海岸部が少し小高くなっていますので、上のほうでの水害が心配されております。1736年〜1741年ぐらいには砂丘を切り開きまして、その上に岩盤も切り開きまして、川を直接日本海へ流れるように改修をしたりしております。
 右上ですが、室戸台風を契機に、先ほどの直轄事業が始まったりして、急速に整備をした部分につきましては、当時の河床材料などをもとに築堤をしていますので、洪水の水位が上がりましたときに水が漏れるというか、透水性が高いというようなことが心配されております。
 右下には現在の洪水の流下能力が書いてあります。左のグラフが天神川本川です。赤い線が計画の流量でございまして、これに対して実際の流下能力が青い線になっています。その差分になっているピンクで塗りましたところが、流下能力が足らないというものです。大きな階段状になっていますが、それぞれ小鴨川だとか三徳川だとかが合流して、合流部で流量が上がるというのが赤い線の階段になってございますが、ピンクで塗りましたところが足りない部分と。同じように小鴨川が右側の絵でございます。だいたい全川にわたって流下能力が不足しているというのが小鴨川の状況でございます。
 下に「課題」と書いてございますが、流下能力を確保するというのと、今の堤防の質的強化と言いますか、浸透対策等が課題になってございます。
 次のページでございますが、基本高水のピーク流量ということで、左上は現在の工事実施基本計画の内容でございます。先ほどお話していますが、昭和9年の室戸台風の実際の流量に対してどうしようかということで指摘してございます。それが3500m3/sということで、それを各流域に割り振りましたものが左上の流量配分図でございます。これを雨量とか流量とか見ますと、左下のようなブルーの棒グラフが雨量でございまして、下のピンクのグラフが流量でございますが、昭和9年のものが一番支配的といいますか、その後それを超えるような大きな洪水などは出ていないという状況です。
 真ん中には雨量確率法による検証と書いてございます。この川は室戸台風の実際の3500m3/sというものを対象に計画を立ててきているわけですが、実際よくやっております雨量確率手法ではどうかと申しますと、ちょうど100年に一回の洪水、100分の1の洪水で3500m3/sになりますと。これは別に合わせたわけでもなく、ほんとにたまたまでございますが、これになるというものであります。昭和31年〜平成16年までのデータで行なった結果であります。
 一方、流量確率ではどうかというので、これも平成16年までのデータで分析をしてみましたのが右側のグラフで、だいたい100分の1相当で考えますと、1800m3/sから3500m3/sぐらい。実績のほうも3500m3/sというのがこの川でございます。今のような状況から左下にちょっと結論めいて書いてございますが、新しい基本方針におきましても、基本高水のピーク流量は現在と同じように3500m3/sということをしっかりやっていくということでよろしいのではないかと思われます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。その洪水をどんなふうに各川などでの対策といいますか、流量を処理しないといけないかというものでございます。これは計画高水流量ということでございますが、現在の流下能力、先ほどは流量で書いてありましたが、水位で書きますと、左側のグラフのようになります。上のほうが支川の小鴨川で、下のほうが天神川の本川です。先ほどと同じ感じでございますが、下の天神川本川からいうと、部分的にピンクで書きました矢印のところが流下能力が不足していまして、河積の確保が必要と。それからいくつか固定堰が書いてありますが、少し上流のところに固定堰の分での堰上げがあるものがございます。小鴨川につきましては先ほどの絵でも見ていただきましたように、かなり長区間にわたって河積の確保が必要というのが現状の状況でございます。
 右は、それでどういう対応かということでございますが、だいたい堤防は9割ぐらい完成していると。先ほど来申し上げていますように、堤防の質的な改良といいますか、堤防の強化は必要かとは思われますが、残る河道内の掘削で流量の確保をしていくということが、この川の対策の中身になってございます。赤い線で書きましたぐらいを掘削すればその流量がだいたい確保されるというものでございます。前々誤解が生じたりしていましたので、平均的な掘削面と書きましたように、だいたいこのぐらいのところでの掘削ということでございまして、水平に全部単純にするということではございません。もともとの改修計画でもこのぐらいの掘削をしようという中身とだいたい同じでございまして、いちおうそういう掘削が可能なのではないかと思っております。
 課題としては2番目にあります、河道内の樹林がかなり繁茂していまして、これが流れの阻害になっている部分もございますので、計画的な伐採というものをしていかないといけないという課題がございます。それから一番下のように固定堰の堰上げ等ございます。これも必要な改善を関係機関と一緒になってやっていかないといけないことかと思います。いずれにしましても、今回の基本方針のなかでも、現在の工事実施基本計画で書いてございますような計画高水流量の配分と同じかたちで、今まで進めてきておりますものをしっかりやるというのが、この川の様子かと思いますので、流量配分につきましては、右下の絵の通りでよろしいかと思います。
 次のページは自然環境の話でございます。上流域、中流域、下流域等の状況を少し分けて書いてございますが、左上は上流域です。土砂流出が多い山地渓流的な流れでございまして、ツルヨシが密生いたしますが、水質はきれいでございますし、オオサンショウウオだとか、ヤマメ、イワナなどがおります。
 少し課題ということで認識しておりますのは、砂防堰堤などで上下流の連続が途切れている部分がございますので、対応と書かせていただいておりますが、透過型の砂防堰堤を考えたり、整備したりしているところでございます。
 左下は中流、下流の分が入っています。中流は固定堰上流の湛水区間が少しございます。それと瀬が連続する流れみたいなものでございますが、真ん中右ぐらいに昭和38年の断面図が書いてありますが、38年ぐらいのところはみお筋という水が流れるところがあって、そこに少し草が生えていると。これが平成14年ではかなり水の流れのみお筋の部分が深くなっていきまして、逆に草が生えているようなところは高くなるというか、どんどん乾燥化をしています。その分、セイタカアワダチソウなどが繁茂しているという状況でございます。こういうのがこの中流域の問題も含めた特徴でございます。
 左に戻りますが、そういう場所でスナヤツメ、スジシマドジョウなどが砂礫底を好むような魚類とか、カジカカエルがおります。下流域は交互砂州が見られまして、ヨシ、オギ、ヤナギ、ススキなどの植物が分布しているような場所でございます。少し草が生えているようなところが乾燥化といいますか、そこの課題を真ん中に記述しております。
 右は河口部周辺ですが、コアジサシの生息地、それから砂丘がございますので、砂丘の植物、また周辺の水面はコハクチョウの越冬地みたいなところでございます。洪水の流下に必要な維持掘削をうまく産卵だとか、いろんなものを含めて気をつけながら、このへんの維持をしていくのかなと思っています。
 先ほど、みお筋が下がりまして、草が生えており、乾燥化しているところの対応方針が右下に書いてございます。一番下にありますように河道内かく乱の促進を目的に水面幅を拡大というふうに、少し平水よりも下になるようなところまで、真ん中の部分は掘削をいたしまして、水が少し右左に動くような状況をつくろうと。もう少し右側にあります緑がかかったようなところは植生の保全というゾーン分けをして対処しようとしてございます。
 次のページ、水利用・河川利用でございます。左側、河川利用の状況はスポーツ、釣り、水遊び、散策等が行なわれております。いろいろ水辺の楽校とか、いくつかモノが整備されたりもしていますが、そういうものも含めて、まわりの人々との関わりが盛んなところでございます。また、左下にありますような倉吉市内の白壁の土蔵群とか、その支川の玉川とか、こういったところもございます。
 真ん中下には水利用でございますが、農業用水が31%、発電用水が68%、この分はちょっと重なっている部分がございますが、水道用水が1%ということであります。その下にございますように10分の1ぐらいの渇水流量は約1.8m3/sぐらいです。あとで出てきます正常流量もそのぐらいでございますので、まあまあ特別な無理をしなくても現在の水利用が維持されている川ではないかと思われます。
 右側は水質でございますが、環境基準値はA類型、部分によってはAA類型がございますが、満足をしている状況ですので、今後引き続き、そういう流域水質の保全をはかっていくという地域かと思います。
 地域の交流ということで天神川流域ウォークとか、清掃活動、これは天神川流域会議などで行なわれています。
 次のページは流水の正常な機能を維持するための必要な流量、正常流量の設定です。左側の検討項目に従いまして、右は縦断図で、一番左側が下流で、右側が上流でございますが、各地点で赤い点は生物で見たもの、緑は景観で見たものとか、そういうものをずっとプロットしますと、赤い1と書きましたところがクリティカルポイントといいますか、ここが支配的になっておりまして、サクラマスがちょうどこの川ではございますけれども、この移動の必要な流量というので1.8m3/sぐらい。あと他の流量はそれより下でも大丈夫だと。それから少し上流のほうではB区間で維持流量と書きましたところが支配的になりまして、これは1.5m3/sというものです。これに水利用の量を足したり引いたりしますと、今回の基準点の小田地点でも約1.8m3/s、概ね2m3/sということで考えればいいのではないかと思っております。
 次のページは土砂の管理でございます。土砂は左上の絵は昭和38年〜昭和48年までの変動量、昭和48年〜昭和59年、昭和59年〜平成9年、平成9年〜平成14年ということで色分けしたもので、実線がその間の平均的な河床の変動量です。50センチぐらいの幅の中で若干アップダウンがあるということですので、大きな変動ではないのではないかと思われます。併せて、点線で書いたものがございます。それは最深河床、もっとも深くなったところの河床ですが、この部分は場所によってはけっこう変動といいますか、深くなったりしているところがございます。平均河床よりも下がっている部分がその分深くなっているというような場所でございますので、そういったところの対策が要る部分がございます。
 下の絵は小鴨川でございます。この部分で、右側に実線でも下がっているところがございます。注釈で局所的な河床低下が発生と書いてありますが、ここ自身は平均の河床も、今の最深河床も下がっているから、こういう実線で下がっているわけでございまして、生態の保護だとか、みお筋の固定化みたいなものを考えていかなくてはいけないという課題が残っております。
 右の上は土砂の流出の話で、先ほど来大山の流域のところは傾斜が20度とかの斜面が多くございまして、かなりの土砂が出てくると。それから、この絵の右側ですと10度ぐらいの斜面で、崩壊の発生があるという斜面でございます。それぞれ砂防事業で今、鋭意やっているところでございます。
 真ん中は河口の汀線の状況というのは今現在におきましては後退傾向等は見られておりません、等々でございます。
 次に重信川にお話を移させていただきたいと思います。
 重信川も画像でご覧いただきましたように、四国の愛媛県松山の市街地が白く広がっているところです。団扇のようなかたちをしてございます。ここは天神川以上に急流な川でございまして、四国山地から北のほうへ流れていく川でございます。最初はずーっと山間部を流れています。25kmぐらいですから、たとえば東京の荒川ですと北区あたりで20kmぐらいですので、そのへんぐらいがこのへんの地形になってございます。このわずかの間に市街地が広がっておりますので、扇状地の上に松山、その他の町があるというのがこの地形でございます。
 これをずっと見ていただいているところは扇状地の部分になっているわけでございます。流域が今、赤い線で書いてございますけれども、氾濫した場合には、たとえばこれは昭和18年の台風ですが、洪水の氾濫は広がって発生するというような川でございます。松山の市街地、それからその隣を流れている川でございまして、今見えましたのはたくさんの泉が湧き出ておりますので、そういう利用が多い地域でございます。石手川という、右側から合流してきます川を合わせた下に出合というところを、基準点にしてございます。そのまま伊予灘のほうへ流れていきます。
 今の大きな右側の支川で石手川の画像が入っております。上流には石手川ダムが造られています。瀬戸内地方ですので、かなり水が少ないといいますか、水不足で悩まされた地域でございますが、洪水対策と水不足対策で石手川ダムは造られてございます。この川は石手川のほうにも基準点が設けてあります。右側が松山の城下、それから市役所等が見えます。これが先ほどの出合というところの上流で、重信川の本川と合流して、海へ流れていきます。こういう場所の川でございます。
 恐縮ですがA3の資料2-2をご覧いただきたいと思います。今度は重信川の特徴と課題でございます。左上にありますように地形の特性はかなり急な勾配の川です。全国の川を並べましたグラフがありますが、一番左に重信川があります。左下は先ほど画像でも見ていただきました扇状地が広がっている様子が見てとれるかと思います。だんだん勾配が横の縞になった格好で、かなり河口部の近くまで扇状地が広がっている感じの川でございます。流域は白い線でありますが、洪水が氾濫したときの氾濫域はオレンジの線になるという、そういう洪水の広がり方をする川でございます。
 右上には降雨の特性ということで、瀬戸内ですので四国の地図がございますように年間の平均降水量は1300mmで小そうございます。それから土地の利用は山地が約7割、水田と畑が2割、宅地とか市街地が1割という川でございます。松山の市街地などが広がっているわけですが、愛媛県全体の面積の5%ですけれども、人口の3割がここに集中しているという場所でございます。その他、農業では伊予柑などのミカンの産地、それから右側にありますように、最近ではこういうハイテク、その他の産業が盛んな場所でございます。
 1枚おめくりいただきますと、洪水とか治水のこれまでの流れが書いてあります。左の上の図はかなり昔の、400年前あたりのことでございますけれども、左上の下に正木城趾がございます。ここを防ぐために重信川――昔は伊予川と言ったようですが、これを北のほうへつけ替えています。その後、また松山城を水害から守るということで、今度は石手川を南のほうへ合わせまして、現在の重信川という川になっております。そういう特徴ですので、もしひとたび氾濫とかありますと、元の川まで洪水が行くという状況でございます。昭和18年7月の洪水の概要ですが、観測史上最大の洪水で、本川の8ヵ所で破堤をし、大きな被害が出ております。
 真ん中の上ですが、急勾配の川ですから、中小の洪水でも河岸が削られて崩壊をします。こういう急流河川の問題というのが存在しているわけでございます。
 一番下は重信川水系の治水対策ですが、現在の状況を見ますと、真ん中ぐらいに、現在の堤防整備状況という表が小さくつけてありますが、堤防はだいたい82%ぐらいができていますし、16%ぐらいは暫定的な堤防という、そのぐらいの整備状況でございますので、ある程度できていると。それから、先ほど画像にもございましたが、石手川には多目的ダムの石手川ダムが昭和48年3月に造られています。
 右には主な洪水と治水計画の流れが書いてございます。一番上に昭和18年7月の台風12号、これが出合地点3200m3/s、それから石手川の湯渡地点が770m3/sと最大でございます。これを契機に昭和20年に直轄河川改修工事が始まっています。昭和41年に工事実施基本計画が作られましたが、黄色の中に書いてありますように、基本高水のピーク流量3150m3/sで、上流で調節をいたしまして、2900m3/s。石手川のほうも700m3/sでカットして450m3/sということでございます。
 その後、昭和48年には石手川ダムが完成しまして、現在の工事実施基本計画は平成7年に改定をしてございます。このときに今まで計画外力は実績洪水でしたが、松山市を守るというようなこともございまして150年に1回の洪水に耐えられるように。そのときの基本高水のピーク量は3300m3/sということになっています。重信川の計画高水流量が3000m3/s。石手川は770m3/sの基本高水のピーク流量に対して、計画高水流量は550m3/sというものが現在の計画でございます。最近では平成13年の出水などで、また被害が発生しております。
 1枚おめくりいただきまして、基本高水のピーク流量はどうだろうかというものでございます。左上は重信川、石手川、これは二つの基準点になっています。出合と湯渡でございますが、計画の規模は1/150です。それから石手川は観測史上最大の昭和18年の洪水ということで、それぞれ3300m3/sを3000m3/s、770m3/sを550m3/sにします。流量の配分は右に書かれたものになっています。
 左にいきますと、それぞれ昭和18年の洪水というのが大きく、これが全体の計画とほぼ同じぐらいになっております。これを超えるようなものは発生もしていませんので、基本的にはこれを踏襲していくのかなと思われる川でございます。
 流量確率での検証が右上のようなものでございます。150年に1回の規模で、最近の平成16年までのデータで見てみますと、重信川出合地点では3030m3/sから3730m3/sというのがいろんな確率手法のなかで妥当な線としてこのぐらいのレンジで考えられます。3300m3/sはこの間でございますが、妥当なものではないかと思われます。右は石手川、湯渡で、同じように1/150規模、650〜770m3/sということになりまして、770m3/sでよろしいのかなと思われます。
 基本洪水の検証というのがございます。真ん中ぐらいに昭和18年7月の洪水につきましても、三千百何十m3/sというのが過去のものですが、実際の氾濫域等を調べてみますと、3200m3/s〜3500m3/sぐらいあったのではないかということが推定されます。石手川については、実際湯渡で起こりましたものを当時の実績降雨を用いまして出したものも770m3/sぐらいというふうに推定されますので、基本的には現在3300m3/sと770m3/sというかたちで治水対策は行なわれているわけでありますが、このまま同じ流量で対策を実施していくというのがこの川の重要なことではないかと思われます。それぞれのハイドログラフはその下に載せたものでございます。
 1枚おめくりいただきまして、治水対策の中身でございますが、左上に整備方針の考え方が書いてございます。流出土砂が多い急流河川で扇状地が形成され、破堤時には松山市街地等に洪水氾濫が広範囲に拡散するというような地形でもございます。今後はそういう意味で河道の流下能力の確保、堤防とか河岸の洗掘、浸食対策というのがこの川の中心的な対策かと思います。というので、中身からしますと、河道の流下能力の確保につきましては、下流のほうは市街地がかなり形成されたもので、河道の確保は困難だということで、掘削のほうで、従前もそういう中身で考えていましたが、引き続きそういう内容でしていくのかなと思われます。
 洗掘とか浸食対策は、急流ですので、河岸等が浸食されたりするということですが、これに対して全国の状況等を見まして、高水敷幅として原則片岸40m。少し急流でございますので、普通の川よりもかなり幅広くとることになります。確保できない場合は堤防の基礎部の強化をそれぞれ考えようということかと思います。また、霞堤が先ほどもありましたが、氾濫した水を河道に戻す役割を活かすためにできるだけ残すというような、こういう全体の方針で今後も治水対策をやっていく川ではないかと思います。
 霞堤の状況はその下に書いてございますが、右の絵のように家屋浸水の恐れがありというのがピンクで名前のラベルになっています。グリーンで書きましたところは家屋浸水の恐れがないということであります。下に小さく文字が書いてありますが、家屋の浸水につきましては、開口部を閉じてしまうのでなくて、その堤防が交わるところがございますが、その堤防の部分を川の内側にある堤防を下げるといいますか、開口部の場所を川の上流から少し下流のほうにずらすかたちで行ないますと、今、お家がありますところまでは水がつかないで、しかし霞堤のほうはそのまま残すというようなことはできるということで、そういう対策を行なっていけたらと思います。
 流下能力の確保につきましては、先ほどの河道掘削もありますが、いくつか橋梁などのものもございます。ちょっと極端な例として左下の写真はJR石手川橋梁でございますが、橋梁のところだけ横堤といいますか、横に盛土されたものが突きだしている格好でございますので、早期にこういう対策を行なわないといけない課題がございます。
 流下能力不足の狭窄部等は右下の絵に出合地点と書いてございますけれども、こういう掘削を行なって実施していく必要があるかと思われます。
 右は急流河川の中の一つの話としまして、局所洗掘対策でございますが、みお筋といいますか、水があたります場所の状況だとかが、場所が変動していますので、ある程度の区間につきまして、下の絵のように堤防基礎部の強化みたいなものをしていかないといけないかと思われます。
 ここに書いてございませんが、先ほど基本高水のピーク流量だけでなく、流量の配分図、流量の各河川の配分につきましても現在の計画の中身をしっかりとやっていけばよろしいかと思われますので、先ほどの工事実施基本計画の流量配分図そのもので基本的には基本方針のほうも整理をすべきかと思っております。
 次のページは水利用の現状でございますが、左真ん中ぐらいに泉の分布が赤い点でございます。瀬戸内で水が不足する場所ではございますが、川の水、地下水等で泉が出ております。これを利用されております。水道などにも地下水、伏流水がかなりの割合を占めております。
 ただ、右に頻発する渇水とございますように、瀬戸内は水不足がかなり慢性的に起きている場所でございます。真ん中に平成6年がけっこう全国的に渇水になりましたが、石手川ダムなども底水、普通の堆砂容量なども使って水の供給をやったりしたところでございます。
 右下のように低水管理の方針と書かせていただいていますが、石手川ダムでは堆砂容量の活用も含めた有効活用を行ないますとともに、流域を越えた広域的な水融通だとか、水量の合理化、湧水の利用などで都市用水全体、それから流水の正常な機能の維持のための確保に努めていくというのがこの川の状況かと思います。
 次のページは利用と水質でございます。空間の利用としては松山周辺の川でございますので、いろんな利用がございます。東北のほうでは芋煮会とかありますが、こちらでは「いもたき」が愛媛県のこのあたり、西条などでは盛んでございますが、そういうものが行なわれたりしています。あとは今の泉を利用した活動が盛んであります。
 右は水質ですが、そんなにいいわけではないんですが、最近いくつかの努力でだんだん環境基準、BODも基準まで到達したところでございます。一つの例として右下のように石手川浄化施設というようなものが造られたりしていますし、さらに右のグラフでは浄化施設がなかった時と造られた後の比較で、効果が出ている様子が記してございます。
 次のページは河川環境の現状と保全です。先ほどの川とちがって、河口部から書いてございますが、河口部は汽水域特有の環境がございまして、シギ、チドリなどの飛来地でございます。それから下には中・下流域は水のない急流河川でございます。瀬切れもよく発生します。それから湧水に生息するイシドジョウとか、淵に生息するヤリタナゴなどがいるという状況でございます。
 一番右は上流域の渓流の様相でございます。アマゴ、ヤマセミなどが生息している場所でございます。
 次のページは流水の正常な機能の維持のための必要な流量でございますが、先ほどの川と同じように、各9項目につきましていろんな検討をしております。代表的な、決定されたものだけをこの川ではプロットしてございます。一番右側の水収支図というグラフがございますが、左側が下流、右側が上流でございます。赤い丸のところが動植物などが必要な量で、ここの場合はアユ、ウグイの産卵、移動に必要な流量が支配的ということで、これが1.44m3/sぐらいになります。これに水利流量0.8m3/sぐらいを足しまして、2.25m3/sぐらいになります。概ね2m3/sということで、正常流量を設定してはどうかというものでございます。
 最後のページですが、急流河川で土砂の発生等もありますが、現状は左側のグラフのように、昔砂利採取等がされておりましたが、その後規制されました後の影響もあって少し動いたのですが、その後安定しました状況では一番下の左下のグラフのようにここ10年以上は安定傾向にある状況でございます。ただ、石手川ダムの堆砂が右上にございます。これはグラフの下の軸は年でございまして、上が堆砂量でございます。計画の堆砂が黄色い点線で、これを超えて溜まっております。大きな原因は左のように昭和49年9月だとか、昭和50年7月の洪水でドンと溜まったものがそのまま横へ推移している感じでございます。グラフでありますように、オレンジの格子状に塗ったところが堆砂排除ということで溜まった土砂を排除しています。この矢印の分だけ下がっているのが現状でございます。今後もこの堆砂排除を行なっていかないといけない状況にございますし、水がない川でございますので、できれば逆に堆砂容量をうまく利水容量として確保できるようなところまでもっていきたいというのが現状でございます。
 河口部は少し堆砂しているようなところもございますけれども、洪水のときに阻害になるようなものはなく、とくに問題は生じていません。
 以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。ただ今、天神川、重信川の水系の特徴・課題の紹介がございました。それではこれにもとづきまして、皆様からご意見、ご質問などを頂戴したいと思います。最初に天神川水系から、この流域にお詳しい委員としてご参加いただきました○○委員からお願いいたします。
(委員) 昨夜のNHKの10時の気象情報をご覧になった方もあるかと思いますが、倉吉の雪の状況を放映しておりましたけれども、たくさん雪が降るところでございまして、雪の降るのは大変いいことで、渇水のときでも夏の給水制限ということはございません。
 そういう方面ではいいんですけれども、台風のときなどには急に水が出てくる。河口から瀬戸内との分水嶺まで車で30分ぐらい、瀬戸内からですと2時間以上かかります。非常に急流で、昔から洪水が多かったところのようでして、先ほどの資料の特徴と課題の2枚目、「治水上の課題」の上の真ん中、倉吉市街地でたくさん堤防が造られておりますが、私の住んでおりますところもちょうどこの土手に囲まれた、江戸時代にできた町に住んでいるんですけれども、この城下町自体が室町時代、天神川、小鴨川の合流点にあったものが、洪水で流されて、ここへ移転してきたと。そういう場所なんですけれども、私の屋敷の下を掘りますと、1メートルぐらいで田んぼの下の河原の礫が出てきます。だから、まだ非常に近い頃まで、城下町のあたりに水が来ておったというところでございます。
 先ほどの資料の基になっておりました3500m3/sという洪水量ですが、昭和9年のものですが、私はまだ生まれてなかったんですけれども、私の家の押入の上の段の真ん中あたりに浸水の痕が残っていまして、それを「ここまで水が来たんだよ」とずっといわれてきたものでございます。私の家は箪笥屋しておりましたけれども、その仕事場の天井に舟が吊ってありました。それで、「ああ、必要なぐらいな水が来たんだな」という、そういうところでございますが、最近はそういう事態に至っておりません。
 天神川流域は大きく分けまして、小鴨川の右岸から天神川にかけては花崗岩地帯で、近畿から続いております、かなり急峻な地形でございます。それから、小鴨川の左岸は先ほどありましたように、大山のあたりの堆積物とか、島根県に続く、やや老年期の地形に近い部分でございまして境界的なところがございます。生き物のほうも、それが関係しているのかどうか、ちょっとはっきりいたしませんが、天神川流域が生物の分布上の境界になっているものがございます。たとえば魚ですとイワナです。東のほうはニッコウイワナ、島根県にまいりますとゴギという、ちょっと斑紋のちがったイワナになるんですが、天神川水系まではニッコウイワナ、隣の西側の日野川になりますとゴギになります。
 それから、昆虫のほうでは川に関係した虫ですと、カワトンボというのがございますが、東のほうから、ヒウラカワトンボというのが天神川水系の東隣の千代川水系まではいますが、天神川水系からはニシカワトンボという種類に変わってしまいます。移動能力の少ないものがそういうことが多いものですから、マイマイ――カタツムリの仲間ですが、近畿のほうからはクチベニマイマイというのがずーっと分布していますが、これが天神川水系に入りますと、サンインマイマイという、ちょっと殻が高くなる種類に変わります。他のものでも、皆さん馴染みがないザトウムシというクモに近い虫などでもそういう移り変わりがそこで起っているというようなものが見つかっていまして、まだ他のものでもそういうものがあるかもわかりませんので、この流域の生き物の保全というのも考えていかなければならない場所だなという具合に思っております。
 資料の説明にありましたように、近年は大きな洪水もございませんし、澪筋も安定していますけれども、それに伴って生き物の世界ではかなり大きな影響が出ているようでして、澪筋が深く掘れましたこと、それから低水域のほうに泥が堆積して、水位差ができましたので、乾燥化が進んで、植生がだいぶ変わってまいりまして、樹林もかなり大きくなっています。中流域は以前にはツルアシなどもけっこうありまして、礫河原が発達しておったんですけれども、最近はヨシからオギに替り、あるいはセイタカアワダチソウに替わって、乾燥化にともなってヤナギとか、メダケとか、多年生ものがどんどん生えています。人も川岸に近づけないような状態になっています。
 そういう澪筋だけの流れになってしまったものですから、深い流れではなく、底に礫が必要だというような、たとえばアカザというような魚は現在上流に1ヵ所と支川に1ヵ所だけの生息しか確認しておりません。スジシマドジョウというような、これはどちらも環境省の絶滅危惧 I 類とか II 類とかの魚ですが、これも見られなくなっております。
 それから、礫河原のような氾濫原に生える植物に依存している、たとえば蝶でシルビアシジミというような、環境省の絶滅危惧T類ですが、これも10年ぐらい確認できていなかったんですけれども、昨年1ヵ所、いることがやっとわかったと。同じようにそういう氾濫原に依存しているような動物がだんだん減っているように思います。イカルチドリというような、石ころの間に卵を産むものも中流部ではもう消えてしまいまして、上流部にごくわずかという状態です。
 悪いことばかりいいましたが、すべてそうではありませんで、先ほどオオサンショウウオが出ておりましたけれども、生息密度が天神川流域は大きい場所ですが、時々1m以上の個体が捕まって、カルガモを食べていたとかいうのがニュースになるんですが、こういう大きいものはあまり意味がございません。寿命が何十年、100年近いものですから、現在は親だけが残っているということも考えられますが、小鴨川流域の支川で幼生がたくさん捕れますというか、存在が確認されています。鳥取県のなかでも2ヵ所しか幼生は今のところ見つけていませんので、その中の1ヵ所ということで、世代交代が行なわれている良い条件があるということでございます。
 それからもう一つ紹介しておきたいと思いますが、これはゲンゴロウでございます。皆さんもよくご存じのゲンゴロウですが、皆さんに馴染みのないほうのコガタノゲンゴロウとうのがございます。これも環境省の絶滅危惧 I 類というもので、以前は全国的に珍しくないゲンゴロウで、生態も調べられていなかったものですけれども、今は沖縄の南西諸島とこの天神川流域だけが確実に見ることができるという場所でございます。水田と冬の間の越冬水域を移動しているものですので、どうして天神川水系だけが残ったのかちょっとわかりませんが、鳥取県の中でも特定希少野生生物というかたちで指定して、採集は禁じて保全に取り組んでいます。このコガタノゲンゴロウの冬季の越冬地はどこでもいいのではないみたいで、まだよく条件がわからないんですが、その越冬地の一つに天神川水系の河川敷のワンド、たまりがございます。水質もよくて、ここにたくさん集ってまいります。畳み4、5畳ぐらいでも200匹以上はいます。かなり良い条件なので、こういうものをぜひ守っていきたいなというところでございます。
 かつて、河川敷は牛を放牧し、火入れをして、樹林化が防げておったのですけれども、今はもうそういう時代ではございません。昨年の降雨でも集中豪雨的な降り方をしておりまして、氾濫しそうだというようなところもありましたので、流下量を確保するためには河道の掘削や樹林の伐採ということもしなきゃならない問題だと思います。
 それと、礫河原はカワラバッタとか、カワラスズとか、植物でもカワラケツメイとか、カワラのつくものがたくさんあるんですが、礫河原に依存しているものはほとんど全滅しています。なんぼか、礫河原が復活すればまた戻ってくるかなというものもございますので、礫河原を再生して、しかも維持する良い手だてがとれないものかなという具合に思います。礫河原ですと、人が川岸まで近づくことができます。ところが、今はそういう状態ではありませんので、川への関心というのも減ってしまうんじゃないかという気がします。
 水辺の楽校で子どもたちは、それこそ水に入って遊んだりしておるんですけれども、一般の人が川と関心が離れてしまうということは、そこに住んでいる生き物に対しての関心もなくなります。あるいは川がただ水が流れればいいというだけの考え方になってしまって、ゴミを捨て、水質のことを考えないという事態も生じるかと思います。氾濫がないということも当然ですが、人が水辺に近づけるように、そういう生き物や景観にも配慮した整備施策をぜひお願いしたいなと思います。以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。それでは河川工学のほうから○○委員にお願いいたします。
(委員) 現地を見せていただいて、ご説明のとおりだなと感じるところが多かったです。まず、倉吉市街地を流れていますので洪水の面で整備が必要です。つまり流下能力がない。それからたくさんの固定堰等があり、河床が上がっているために、水位上昇が起る。川幅が比較的狭いというよりも、水が流れる澪筋が固定化されているということで、急流でそんなに広くない流路ですから、ああいうふうにどんどん川底が掘れていって、その結果として澪筋以外は陸域化を促してしまっている。そういう川になっています。流下能力を上げる手段はどうするのかということを、先ほど来から聞いていましたら、いくつか手段があると。そのひとつは堤防の強化でした。この川は、治水上のダムのない川ですので、河道で全部流そうとしている。ということは堤防をしっかり強化しなくちゃならないという問題と、それから固定堰を下げて、できるだけ土砂が溜まらないようにして、そして水位を下げたい。その上、さらに樹林化しているために治水上樹林を上手に管理して洪水の流下能力を上げるんだということでした。
 この3つの課題、堰の問題と河床を掘削することと、それから樹林をうまく管理する問題です。これしか方法がなく、河床を下げるとすれば、今よりも樹林化を促進する可能性がないわけではない、ということをこれから注意していかなければならないだろう。すなわち、もともと普段はそんなに水が流れている川でないわけですから、大流量に対して対応しようとすると、河床を下げて河積を広げる。樹林も管理する。樹林を上手に伐って、流下能力を確保するということは、普段のときに、澪筋がまたできていって、そして樹林化するということの繰り返しになる心配があります。必要なことは管理をちゃんと普段からすることなのかなと、この川は。とりわけしっかりした河道の管理を普段からやって、洪水に対しては備えをしっかりする。そのための技術的な裏付けをもっとやっていくということが大変大事な川じゃないかなと思っています。
 固定堰もどういうふうにするのか。川底の敷高を下げるというのはあるんでしょうが、今ある天神川の河道は固定堰が非常に多いために、その下流に土砂が溜まって、そしてそれが澪筋を固定化してしまう。そうするとそれがずっと下流まで行くと、また固定堰があるということで固定堰が川の澪筋の構造を決めてしまっている。流下能力を上げるために川底を下げるということは固定堰の改修とあわせながら、よく考えてやっていくことが必要な川であると現地を見せていただき、かつ、ただ今の資料を見て思いました。市街地に流下能力がないというのは大問題ですので、ぜひ時間をかけながら小鴨川の市街地と天神川を含むところの下流地域を中心にしっかりとした考え方をつくってやっていただきたいというのが私の感じたところです。以上です。
(委員長) 今日は○○委員の代理の方は飛行機が悪天候でご出席になれなかったようでございますので、次回おうかがいしたいと思います。
 次は重信川の地元に詳しい委員として○○委員からご意見を頂戴したいと思います。
(委員) 質問が一つとお願いが一つとあるんですが。質問は今日の説明で天神川の確率規模が100分の1ということだったんですが、重信川は150分の1で、これは何か守るべきものの大きさで決められているようにおうかがいしたんですが、そういうのを決めるときに、はっきりとした数値的な基準があるのかどうかという質問が一つです。
 もう一つは今日の説明では出てこなかったのですが、重信川の流域には泉があるというようなことは出てきましたけれども、重信川は治水という意味ではあまり不安は大きくないというか、大きくないということは利水のほうに非常に不安が大きい。これは今日の説明にもありましたけれども。少ない水を流域が小さいのに、それに対して水を利用する人口が多いということだと思うんですが、いつも水といえば人間が使う水、水不足ということになっていまして、当然河川環境なんかいうことは最後の最後で後回しなわけです。みんなが環境と人間が水を奪い合っているような状況があるわけです。
 そのなかで泉というのは農業用水を確保するために江戸時代に造られたものが多いようですけれども、泉というのは水質が良いこともあり、そして水が枯れにくいというか、泉によりますけれども、いつも水がある。人間が水を苦労しているときでも泉には水があるというような場所ですので、そこにいろいろな生き物が生息しています。そういう泉はもちろん川の中にはないわけですけれども、川の外にありますが、農業用水ですから、あまり自由にできないというか、一般の者が自由になにかすると、守るといっても、口出しをするのがなかなかむずかしいというような悩みもあります。そういう環境を回復するのに非常に苦労をしているところで、2年前から自然再生事業というのを多くの努力で国交省がスタートさせているわけですけれども、そのなかで協力してきているんですが、大きな現場での悩みがありますので、一つお願いをしておきたいと思うのですが。
 自然再生事業でここでは自然という言葉が出ていますけれども、自然とか環境とかいう言葉はわりあい定義が曖昧に使われていますから、人によって自然とか環境とかいっても、イメージする中身が異なってくるというのが実態で、環境問題は混乱しているんじゃないかなと日頃感じています。何を、どのように再生するのかというような認識が専門家と、そして私たちのような環境にうるさいような人たちと、そして地域の一般の人たちとの間でかなりのズレがあります。自然再生というと専門家などは生態系が豊かであるとか、野生生物の種が豊富であるとか、そういうことをイメージして、そういうものを回復しようという考えを持つわけですけれども、一般の人はメダカとかホタルとかいう有名な、特定の生物や、あるいは観賞用の園芸品を植栽した公園とか、そういうものを現在の自然に期待するわけです。ですからそのギャップの大きさが、協力して自然再生をしていこうというときにかなり障害になっています。
 重信川の自然再生事業でもネットワークをつくって、いろいろな人が協力し合って、厳しいなか、良い自然を回復しようとしているわけですけれども、ネットワークという、外というか、モノはつくってもその中身の充実ということが非常にむずかしくて、仏造って魂入れずというような言葉がありますけれども、中身を実質的に機能させるというのがわりあい困難な状況です。それで自然再生事業が進んでいますけれども、これからも終りのない事業だという説明を受けましたが、とするならば今後そういうギャップを埋めていく努力なしにはこの自然再生事業は成功しないんじゃないか、失敗に終るんじゃないかという不安が非常に大きいというのが、私の実感です。これは基本方針ですから、今後長くこの方針がつづけられるんだと思うんですけれども、自然再生事業というものとからめて、ネットワークをつくる際に、今いったようなソフト対策、形ではなくて、中身を充実させるために自然観とか環境観をお互いに共有するというか、認識や知識を共有できるような学習をしていくというか、そういう場を多く設けて中身が充実するようにして、重信川の自然再生を失敗しないようにしていただきということです。以上です。
(委員長) ありがとうございました。前段のほうは事務局からお答え願います。
(事務局) お尋ねのほうは先ほど重信川の現在の計画は150分の1、それから石手川が観測史上最大の、昭和18年洪水実績となっているが、基準その他があるんだろうかというようなお尋ねだったと思うんですが、全国的には安全度は確率で出しております。そのときにその川の状況、守られる地域の状況等からみて、重信川ぐらいの川でしたら150年に1回ぐらいの洪水に対して守られるべきというのが一つの水準かなと。もうちょっと小さい町ですと、100年に1回ぐらいの洪水に対しては守られるものがあるなと。たとえば利根川などの大きい河川になりますと、200年に1回ぐらいの洪水まで守るというように、必ず決めというものではございませんが、社会への影響度からいって、規模がおおよそ決っているものであります。
 重信川の場合、150年に1回ぐらいで洪水に対しての備えが要るような川なんではないかというものでありますが、もう一方、こういう確率何年というようなところで出しておりますのと、計算で出たものではなくて、実際起きた洪水というのは大事にしないといけない、十分考えないといけないものですから、今の確率でできました流量と、それから実際発生しました洪水の一番大きなものなどを勘案して、一般的にはどちらか大きいほうをとっているというのがだいたいの状況かと思います。
(委員長) この資料の1-4に、この委員会で審議してきましたものの、一応確率を書いた資料もございますので、重信川は県庁所在地にもありますし、全国横並びでこのへんがいいんではないかという事務局の提案だと思います。
 2番目はご意見として承って、もう1回審議がありますので、環境ご専門の先生も出ておりますし、正直いって事務局というか、事業者のほうもまだ自然観がしっかり現場まで定着しているかどうかわかりませんので、共同作業のなかからご提案の意見を方針にも反映させていってはどうかということでございます。
 それでは○○委員のほうからお願いいたします。
(委員) 河川工学の立場から重信川についてちょっとお話したいと思います。重信川は先ほど説明がありましたように、非常に急峻な河川で、山間部から出て、それから扇状地の河川ということでございます。山間部上流地というのは地質が非常にもろくて、土砂生産が非常に活発な地域でございます。大正時代から愛媛県による砂防事業が始まっておりまして、昭和24年からは建設省が引き継ぎまして、砂防事業を非常に活発にやっております。とくに横河原の山間部から扇状地に出る4km地点、横河原流路工という、非常に立派な流路工も造られておりますし、その上流域には非常に多数の砂防ダム、あるいは山腹工がなされておりまして、土砂が一応流域に出てくるのを止めております。だいたいそういう上流域の砂防工事で、土砂を止めることには成功しているような状況でございます。
 それから中流域は、いわゆる扇状地の河川でございまして、これは扇状地ですので全部水が伏流して、先ほど○○委員からありましたように泉になってしまって、河川にほとんど水がないというのが重信川の特徴でございます。したがって中流域は瀬切れという問題がございます。この瀬切れ部分の自然再生事業ということを国土交通省さんいろいろ考えられております。本川中流部に表流水がないということ、これが河川環境という面から見て決定的な問題でございます。すなわち、瀬切れに対して表流水をどうするのかという問題がございます。
 中流部のもう一つの問題点は先ほど天神川でも見せていただきましたけれども、霞堤がたくさんあることです。周辺が市街化したときに霞堤を閉め切るのか、霞堤を残すのか、環境上は残して生態系に非常に豊かな環境を残したいということがあります。天神川の場合はたくさんの霞堤をどのように考えられているのかということを、また後でご意見を聞かせていただければといいと思います。重信川では9ヵ所ぐらい霞提が残っており、市街化してきたところの霞提をどうするのかということ、この問題点の取扱いを慎重にやっていただきたいというふうに思います。
 それから、重信川は50万都市松山を控えておりますけれども、出合地点から下流の河口部は重要な渡り鳥の中継地となってございまして、しかもここは手つかずの自然が残っております。中流部は今後人工的にいろいろ環境整備はしていただきたいんですけれども、河口部周辺は手つかずの自然というのをできれば残していただきたい。非常に大きな砂礫堆等がございまして、渡り鳥の中継地、あるいは汽水域として多様な生物が住んでいます。非常に自然が豊かであるということでそれにふさわしい整備を期待したいというふうに考えております。
 それから先ほどからありましたように、水がないという話で、渇水対策として石手川ダムというのが大きな役割を果たしておりまして、松山市の上水道の50%をまかなっているということで、依然として石手川ダムの役割は非常に大きいんですけれども、毎年のように渇水にこの地域は悩まされております。この渇水対策についても今後どういうふうに考えていけばよいのか。河川整備に直接には関わりあっていませんけれども、いろいろ国土交通省のほうでもお考えいただければと、こういうふうに考えております。以上でございます。
(委員長) それではせっかくご出席いただいています、○○委員のほうからご意見ございましたら。
(委員) 県管理の石手川のほうですが、一応あらかたの改修は済んでいるんですが、終戦直後非常に不法物件等がございまして、松山市と県のほうが連携して撤去には励んでいるんですが、まだまだ残っておりまして、こういった環境面の推進ということを課題と思っています。
 それと、昭和18年の洪水ということで、約60年、石手川流域、重信流域、大きな洪水はないということで、今治市民、松山市民というのがそういった面に関心が薄いと。肱川のほうでは平成16年、平成17年と例年のように洪水がありまして、非常にそういったことには懸念をしていますが。今現在こういったソフト、避難とかそういったことの取り組みはしているんですが、そうしたことについて市民の理解が得られにくい状況ということが一つの課題でございます。
 あとは先生からも指摘ありました渇水ですが、この流域で農業用水とか工業用水はそれほど渇水の心配はないんですが、松山は県下の人口の約3分の1で、恒常的な上水の渇水状況です。重信川の地下水と石手川ダムと50:50ということなんですが、それでも水が足りない。今現在、市議会が開催中なんですが、流域からの分水とか、そういったことが非常に議会でも議論されているんですが、そういった上水の問題がこの流域の問題です、このような状況です。
(委員長) それでは河川工学の立場から○○委員お願いします。
(委員) お聞かせいただいた内容で特段ないんですが、さっき○○委員がおっしゃった、この固定堰の改築という、この内容が老朽化とか部分改修とか、あるいはその前に土砂が堆積して、その下流が低下しちゃうと。そういう意味合い等がいろいろ共同の存在とか、そういう分断の形のものを改善する内容にいろんな内容があるんだろうと思うんですけども、それぞれがおそらく関係機関というか、ここに書いてあるような内容で、基本方針としてはそういうことでしょうけど、整備計画をより具体的にかいていくようになると、関係機関との調整とか、そういう形のものが非常にテーマになるのかなという気はちょっとしたところでございます。
 それから、さっき重信川の正常流量と瀬切れの部分で、今、流量が非常に乏しいというかたちに、伏流してしまうんだというだけなのか、水収支が不明という言い方にはなっているんですけど、正常流量のポイントと、さっきおっしゃった再生事業というと、表流水を生み出すような水の手当てを別途考える形でそこへ入れるような、そういうことをいっておられる内容として理解すればいいのか、そのあたりちょっと再生ということをおっしゃったので、この瀬切れのところでのそういう意味合いの内容をいっておられるのか、ちょっとお聞きさせていただきたいということで、方針そのものに直接ということではないですけど、再生事業、再生事業とおっしゃったので、それをちょっとお聞きしたい。
(委員長) これは事務当局から現在実施している自然再生事業ですね、重信川に限ってでも全体でもけっこうですけど、ちょっと事情説明してください。
(事務局) 事務局ですけども、自然再生事業は平成9年に河川法が改正されて、治水、利水に加えて、河川環境の整備と保全というものがその目的に加えられたということで、河川環境整備事業の中で新たな実施を始めた事業でございまして、全国で釧路川とかいろんな箇所で実施しております。どういった自然を再生するのかということで、地元の地域の方々、河川管理者、生物学の先生、河川工学の先生なども入れて、目標を設定しております。
 重信川でどんなことをやっているかということでございますけれども、今、先生おっしゃられた、自然を復活してどうしようかというのは当面の課題ではあるんですけれども、当面はやはりもう少し、今日○○委員もおられますけれども、この川でこうしたいというようなものをきちっと生物学的にそういったものの方針を決めて、今のところやっております。今日は手元にお見せできる資料がございませんので、また次回でもどういうことをやっているかを説明はさせていただきます。
(委員長) では○○委員お願いします。
(委員) いくつかあるんですけども、1番目は今日ご説明いただきましたところで、河積の確保のところできわめて細やかに掘削のところを排除するとうたっていますので、大変ありがたいと思っております。それから2番目は質問ですが、天神川の一番下流に近いところの堰、重信川もそうですが、これは全部潮止堰になっているという理解でよろしいんでしょうか。天神川ですと、1.5キロのところに堰が、重信川は2.45kmのところにあるということですが。
(委員長) これは事務局から、把握した段階で教えてください。
(事務局) 天神川のほうは潮止めを目的にしております。重信川のほうは潮止めの目的ではありませんが、実際的に潮止めの効果が出ているという状況です。
(委員) ありがとうございます。天神川のほうが、潮止堰が1.5kmのところにあるんですが、正常流量の確保のところで0〜1.5km、堰以下の部分について、この概要のところでは記載されてないんですが、7ページのところで。そこのところを少し工夫していただければというのがお願いです。
 それから重信川のほうは、一つは質問なんですが、灌漑期として10月1日から31日という記述がされていまして、田植えの頃のほうの記述はないのかなというのが質問です。それから重信川のほうのお願いですが、河口側に重要地域に指定されているところがあるというふうに記載されておりますし、それを守るための方策として何か検討されていることがあればお教えいただけたらと思います。以上です。
(委員長) 今は、潮止堰下流の正常流量の設定が必要じゃないかと。
(委員) いえ、必要かどうかではなくて、数字がないのはなぜでしょうかというご質問です。もし必要であれば、説明していただける可能性はあるんでしょうか。
(委員長) どうぞ。
(事務局) 楠田委員は、本当にこういう干潮域のご専門なので非常にお詳しいんですが。基本的には干潮域のところの問題ですから、潮が入ってくるところですから、かなり水質的な整理がやりづらく、全国のなかでもなかなかむずかしいんですけど、前、富山の常願寺川のときもそうでしたが、常願寺川の場合はもっと瀬切れの状況とかひどくて、ほとんど水がない河川ですが、やはり流量について何らかのビジョンを持つべきだろうということで、今の干潮域のところで無理やりとって測定した感じがありますが、一般的には少し無理をしている部分でございますので、あまり正確にこれだけここは要るという評価ができてないということでございます。
(委員) 流量というよりは、たとえば河川敷でヨシ原を確保しようというときには、ヨシの場合はすでにご承知のように淡水にある時間さらされていませんと、その間に水をとって、塩水が来るとお休みをするようなことになっていまして、流量というよりは上側に乗っかっている淡水の厚さがちょうどうまく動いてくれるということが必要ですし、流量よりは水の存在のほうが効いてくると思われる。そういう意味で、湿地の確保というときにも、河川工学上は何m3/s流れるということになるんですが、生態系のほうからいくと、淡水域にさらされる時間帯が何時間確保できるかというようなところが必要かというふうに思っています。
(委員長) わかりました。この問題はもうちょっと意見のちがう人もいると思いますので、しっかり議論していきたいと思います。ただ、非かんがい期とかんがい期で流量が多い・少ないとなっているのはどういう理由があるのでしょうか。
(事務局) お手元に資料6-2というものをお配りしてございます。A4版の縦長のものでございます。先ほど説明を申し上げました資料は一時期だけを書いているんですが、ページでいいますと24ページから1月1日〜1月31、2月1日〜4月30日という、月別にずっと載せさせていただいております。たまたまこの川の場合、最大になっているのが、先ほどご紹介しました10月1日〜10月31日のところなので、これをご紹介したということです。今のまとめみたいなものが21ページに表になってございまして、21ページの表を見ていただきますと、上のほうに日別、1月1日〜31日、2月1日〜4月30日という格好で、それから左側のほうに検討項目がございまして、10月1日〜10月31日のところが結果として一番大きいというので、これをご紹介させていただいているということでございますす。
(委員長) 正常流量の議論は望ましいという流量が河川の実力に見合って望ましいのかというあたりを間違えると、川にそんなに水もないのにこれだけほしいというふうになっているんではないかという疑問もありますので、そのへんは皆さんで議論をしていただいて、最後の仕上げのところで議論をさせていただきたいと思います。
 ○○委員は天神川のお話をしましたけれども、重信川についてもご意見ありましたらお願いします。
(委員) この出合のところの合流点、石手川と重信川が合流するところは狭窄になっているということで、川底を掘って対応するとしているんですけれども、私はここの場所は川幅を広げるところじゃないのかと思います。広げるというのは大変なことだろうと思うんですけど、急流河川の合流地点で、しかも土砂堆積するようなところを残しておいていいんだろうかと。たまたま今はそういうことでもっているけれども、ほんとに大流量の洪水が来たときに、こんな急流河川の狭窄部を持っているということで、河道計画として非常に心配ですというのが、私の率直な気持です。どうしようとするのか。掘れば流れるというのが資料2-2の4ページに書いてありますが、この場所では、どんな水面形になって、どのような流れ方をしているのかという情報もなくて、これで行きますといわれても、河川の工学を専門としている者として不安ですということをまず申し上げたい。ということで、これについての資料を次回ぜひお願いします。狭窄部に3000m3/sクラスの水が出たときにはどんな流れ方をするんでしょうか、ということが一点目の質問です。
 二点目は先ほど○○委員からお話がありましたが、霞堤を今後どのように活用していくのかという課題です。とくに市坪あたりの合流点付近の霞の話をどうしようとするのかということは、もうちょっと具体的に知りたい。十分遊水機能のあるところだろうと思いますので、このあたりはどういうふうに活用するのか。以上の2点を質問します。
(委員長) これは○○委員の意見もまとめて、次に用意していただきますが、具体的な説明をお願いしたいと思います。
 それでは○○委員のほうから全般にお願いいたします。
(委員) 二つばかり教えていただきたいんですが。天神川の6ページの水利用を拝見しますと、発電用水が68%の水利権量をお持ちだということになっています。それは権利として使われているのか、天神川は大きな発電ダムもありませんので、ちょっと奇異な感じがしたんですが、説明をお願いします。それから重信川のほうですが、これは泉のすばらしい環境が残っていて、生態系のポテンシャルも非常に高いという、その面は非常にいいんですが、ドレーンまで使って本流から水を泉にもっていくことをするということは水利用の面からどうでしょうか。本流の水と泉の水とのバランスの問題はどのようになっているのでしょうか。あるいはこれからどう考えていくか。それと関連しまして、河川管理者として泉の生態系のようなものも河川環境の一部として積極的にマネジメントすることを考えるのかどうか。ここもちょっとややデリケートな問題ですが、お答えいただければと思います。
(事務局) 発電の水利権の話ございましたが、これは一般的な、どこの川もよく似たような問題があるんですけども、発電の場合は発電機を一回くぐって、また出しているということですから、発電だけは別な数字にすべきなのかもしれません。水をとにかく権利として、最大であればそれだけの水を使って流してはいるんですけれども、それが反復利用されているのも全部足し算しておりますから、全体ある水の、たとえば7割がそれで使われているということだとちょっと誤解を受けますので、今のような状況であります。
(委員) 天神川の場合は大きなダムはないと思うんですけども、ほとんど流れ込みの?
(事務局) 発電量が大きいかどうかですけどもダムもちょっとしたものがあるようではございます。
(委員長) 次回資料で説明してください。環境の問題、今の川で生態系が云々というあたりについて、武井委員は自然観をみんなで統一すべきじゃないかということですが、ご自身のご意見ございましたら、ご披露お願いします。
(委員) 泉は伏流水を強制的に取り込んでいるところが多くて、そういうところはいくら人間が困っていても、その泉だけはいつも水が流れているところです。それは200年とか、それ以上年月が経って育まれてきている自然なので、そちらに入っている水を制限して川のほうへ流すというのは得策ではないと思います。というのは年月かかって育まれてきた自然がそこにあるわけですから、それはそれとして大切にしていきたい。川の水が少なくても、泉を大切にしていきたいという気持はあります。それがやはり農水省の管轄なので、その泉を農業者の方が自分たちの使い勝手のいいように改修するというような動きが最近たくさんありまして、その動きをどうするかというので検討委員会なんかもいろんな方面の関係者が集ってしていますけれども、なかなか農業者と環境関係の立場の者の意見がかみ合わなくて、でも結局、権利としては農業者のほうにありますので、自然が残っている泉ですが、少しずつ危うくなっていると。でも口出しができないという、非常にジレンマのある状態です。そういう状態ですけど、やはり水を川のほうにより多く戻すというのは、そのぐらいの水を戻してもたぶん表流水が増えるということはないんじゃないかと思われるぐらい、川の中に土砂が堆積していますから、やはり年月かかって育まれてきた自然は残るような方向で努力したほうがいいと思います。
(委員長) ありがとうございました。それでは○○委員のほうからご意見をお願いします。
(委員) 二つほど。なかなかいい重信川の河川計画だと思います。いつも思うんですが、住宅やいろんな工場等があるところで、霞提から当然のことですが浸水すると思います。その現況での計画洪水が起ったときに浸水する場所、それからいわゆる計画が完成したときの浸水する場所、そういったものの情報について、浸水する浸水域の住民、あるいはいろんな施設等に周知されているんでしょうか。もし、現況の河川で浸水する地域の浸水深とか、広さとか、それからちゃんと出来上ったときに浸水するところ、これがはっきりわかってくればもうちょっと洪水対策に対する協力が得られるんじゃないか。メリットがはっきりしますので、逆にそういう情報がしっかりわかっていれば、可能な浸水域のところにいろんな施設や人が住んでくれないだろうし、情報の徹底サービスが大事なんじゃないかという気がしています。
 もう一つは当然のことながら頻発する渇水、これは前からしょっちゅうですからしょうがないとはいえ、やはりいろんな点で地域の発展に支障を来すんだろうと思うんです。他のところでも申し上げたかと思うんですが、要は本来ならば10年に1回には渇水が起きますよということなんですが、これはあまりにも頻発しておると。ということはやはり再評価をされる――これだけしか水はありませんよということをはっきりして、もう一度新たな施設を造るとか、はっきりしないと、いつまでたっても、また今年も給水制限が延々と続くんだろうという気がいたします。これらの検討状況はいかがかなということが質問です。
(委員長) それではこれは次回にしていただきましょうか。霞堤の問題はとくに私も現地に行きましたけど、実はもう堤防と堤防との真ん中というんですか、狭い谷みたいなところに家ができているんですね。ご本人は水に浸かることを当然だと思うべきでしょうが、たまたま重信川が昭和18年以来、出水がないということで、また公的施設もできているようなところもありました。霞堤の問題について現地は大変辛いんだろうと思います。したがって、私は制度が足りないんだろうというふうに思います。今後の検討課題でもありますので、そのへんの紹介を次回していただいたらと思います。
 それから水の問題は知事さんからもご説明ありましたが、次回補足資料をいただいて、松山地方の水問題の現況をご紹介いただいたらいいんじゃないかと思います。それでは○○委員のほうからお願いいたします。
(委員) とくにございません。次回に発言をしたいと思います。
(委員長) ○○委員、お願いいたします。
(委員) とくにございません。
(委員長) それではいちおう本日の審議はこのようなところで閉じたいと思います。せっかくですが、まず基本高水、河道配分流量については天神川、重信川いずれも工事実施基本計画で定めたものを踏襲するという事務局の説明でございましたが、そんなところでよろしゅうございますか。それから正常流量についてはいろいろご意見ありましたが、多少の変更意見もあろうかと思いますが、いちおう提案された数値をもとに原案を書いていただくということでよろしゅうございますか。なお、ご意見ありましたら、事務局のほうへ寄せていただきたいと思います。
 本日、河川整備基本方針の本文案とその骨子などの資料は用意されていましたが、時間の都合で紹介がありませんでした。次回は本日の議論も踏まえて、この案について修正を加えたものを提出していただくということで、その間にご意見がありましたら事務局にお寄せいただきたいと思います。事務局におかれましては本日の追加意見を踏まえて、今後は必要な修正を加え、次回で改めて資料説明をお願いいたします。
 最後に本日の議事録につきましては内容について各委員の確認を得た後、発言者の氏名を除いて、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。本日の議題は以上でございます。




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