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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第38回河川整備基本方針検討小委員会

平成18年5月10日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤   徹
委   員  綾   日出教

池 淵 周 一
伊 藤 和 明
岡 本 敬 三
岸 井 隆 幸
小 池 俊 雄
小 松 利 光
越 澤  明 
坂 本 弘 道
中 川   一
福 岡 捷 二
福 永 浩 介
虫 明 功 臣
 森   誠 一
森 田 昌 史
潮 谷 義 子

1.開      会

(事務局)  それでは、皆さんおそろいになられましたので、小委員会を開催したいと思います。カメラの方はご退席いただきますよう、お願いいたします。
 ただいまより、第38回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。
 私、本日の進行を務めさせていただきます事務局○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、お手元に配付しております資料のご確認をお願いいたします。
 最初に議事次第がございます。次に名簿でございます。配席図が次にございます。
 それから資料の目次一覧表でございます。
 資料1、全体の審議会の流れがございます。
 資料2−1、A3版のカラーでございますが、1回目の委員会での審議の補足でございます。
 資料2−2、川辺川ダムに関するアンケート調査、及び荒瀬ダム撤去についてという熊本県資料でございます。
 資料3−1、A3版のカラーでございます。川辺川ダムを考える住民討論集会と森林の保水力の共同検証の概要でございます。
 資料3−2、「川辺川ダムを考える住民討論集会」論点(治水・環境)でございます。
 資料3−3、住民討論集会の論点及び「ダム反対側」の説明資料でございます。
 資料3−4、住民討論集会の論点及び「国土交通省」の説明資料でございます。
 資料3−5、「森林の保水力の共同検証」に関する主な主張(概要)でございます。
 資料3−6、森林の保水力の共同検証に関する専門家会議資料抜粋でございます。
 次に資料4でございます。A3版のカラーでございます。基本高水の検討の考え方でございます。
 それから参考資料といたしまして、参考資料1、流域の概要ということで、A3版でございます。こちら7ページ、前回のところが修正点が1カ所ございます。7ページの表の平成11年9月というところの被害の状況の中で、床上浸水の戸数が、前回2戸と書いていましたが、3戸でございます。床下浸水の戸数が12戸から20戸に今回変えています。今回のほうが正でございます。
 次に参考資料2、球磨川水系工事実施基本計画でございます。
 次に参考資料3、球磨川水系の流域及び河川の概要でございます。
 参考資料4、A3版でございますが、管内図がついております。
 そして参考資料の5番、流域図がA3版でカラーでついております。
 以上でございます。過不足等ありましたら、お申しつけいただければと思います。
 では、よろしいですか。それでは、報道機関の皆様及び一般の傍聴の皆様におかれましては、傍聴のみとなっております。議事の進行にご協力をお願いいたします。
 それでは、○○委員長、よろしくお願いしたいと思います。
(委員長)  ○○でございます。本日は委員の皆様にはご多用中のところ、ご出席いただきましてまことにありがとうございます。
 まず議事に入る前に、地元の方々から意見書や要望書が来ております。大分部数がございますが、それぞれの委員の皆さんにも届いているものもあると思いますが、それも含めまして、この場で配付していただきたいと思います。
 それでは議事に入ります。全体の審議の流れがわかりやすいように資料を作成してもらいましたので、事務局より説明をお願いいたします。

2.議      事

(事務局)  事務局○○でございます。よろしくお願いいたします。座ってさせていただきます。
 お手元A4の1枚の紙、資料1と右肩に書きました紙をごらんいただきたいと思います。球磨川水系河川整備基本方針に関する審議の流れでございます。
 一番下にも書いてございますが、これ、各回1つの○ずつをこなすという意味ではございませんで、全体の流れとしてつくらせていただいたもので、最初に前回やりましたが、治水、利水、環境の特徴と課題ということでご紹介をさせていただきました。
 本日のところ、ちょっと四角書きしてございますが、基本高水のピーク流量の関係、前回お話もございました住民討論集会、森林の保水力の共同検証等のお話をまずさせていただきまして、その後、保水力、ピーク流量というお話をさせていただければと思ってございます。
 その後に、計画高水流量、これは実際の河道での流量でございますが、河道の状況、それから今後の整備はどうするのか、あと河道配分流量として計画をするにはどうするのかという議論かと思います。
 その次に、環境面それから利用面につきまして、前回の特徴と課題では触れさせていただきましたが、ここについての掘り下げた課題整理等をさせていただければと思っております。河川環境、空間利用、水利用、流水の正常な機能を維持するために必要な流量というのを設定することになってございますので、このこと。
 それらのご議論をご審議いただきましたら、その後に河川整備基本方針の基本的な方向というのを体系的に骨格で一度ご議論をお願いして、それをもとに最終の基本方針の案文のほうのご検討にいっていただければと思ってございます。以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。ただいまの説明について、質問またはご意見がございましたらお願いいたします。よろしゅうございますか。
 それでは、前回は球磨川水系の特徴と課題につきましてご審議をいただきました。今回は、前回の審議の際に出された質問について事務局から説明をいただきます。また川辺川ダムを考える住民討論集会と、それを受けた森林の保水力の共同検証についてご紹介をいただきます。その後、基本高水のピーク流量の考え方について、その説明とご審議をいただきたいと思います。
 まず、前回の審議での質問事項等について、事務局から説明をお願いいたします。前回、お話のありました荒瀬ダムの撤去と、熊本県内での川辺川ダムに関するアンケート調査について、熊本県内のほうで資料を用意していただいております。これはごらんになっていただきたいと思います。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
(事務局)  それでは、A3のカラー版、左肩に資料2−1と書きました、1回目の委員会での審議の補足と記しました資料をごらんいただきたいと思います。
 前回ご質問をいただきましたものは、今日ご用意していますもの以外にもあるんでございますが、先ほど申しました流れの中で、例えば河川環境なんかにつきましては、そこでのご審議のときにあわせてご説明をさせていただくようにさせていただきたいと思ってございます。
 まず1ページ、ごらんいただきたいと思います。左上のほうは、これは球磨川流域におきまして、川辺川は非常に大きな支川ですというお話を申し上げましたが、あとその他の支川と合流がございます。それぞれ流域で少し色分けしたらどんな状況かという、これは単にこういう資料を見せてくれというご指摘かと思いますが、用意してございます。こんな感じでございます。
 それから、真ん中上と右側はワンセットの話でございますが、山地のところで、山のほうで雨量観測所というのが山のかなり深いところまでないということもございまして、実際の雨量観測所の場所ともう少し深い山のほうの雨とが、少し山の上のほうが多いとか、そういうことはないだろうかというご指摘がございました。
 真ん中の上にございますように、球磨川の、今回、川辺川という支川がございますが、その上流部の山の山間部のところを切り出しまして、右のほうに書いてございますが、ここに、一番右のところの左側ですが、幾つかの基準点が書いてございます。観測所がございます。地上にあります雨量観測所の雨をこういう分割をいたしまして、流域の雨というのを評価しているわけであります。
 あと、じゃあ、面的に見るものはないかということで、最近レーダーアメダス、いろいろテレビ等でもご案内かと思いますが、メッシュといいますか、地上を四角で切りましたところでの細かいデータがとれてございます。これとちょっと比較をしてございます。
 これが下のグラフでございまして、17年9月4日から7日までのものにつきまして、時間ごとの流域の平均雨量を地上でとったものと、それからレーダーアメダスで撮りましたものを全部比較してございます。グラフのほうは、下の軸が地上の観測所のデータです。それから縦軸がレーダーアメダスのデータですが、大体ずっと45度の線に並んでございまして、相関係数0.95というのは通常の確率の世界では極めて同一と見ていいようなものと評価されているものでございますので、この点においては問題はないのかなと思ってございます。
 それから下のほうでございますが、これはちょっと黄色いところに文字で書かせていただいていますが、47年4月の洪水に比べまして57年7月の洪水が、流量が大きいにもかかわらず被害が小さくなっているのはどうしてだろうかというお尋ねがございました。
 右側の表をごらんいただきますと、洪水被害等の実績というのがございます。47年と57年を比べていますが、右側に最大の流量というのが書いてございます。人吉と下流の八代のほうのもとになっています横石を比較してあります。47年よりも57年のほうが、両方とも大きゅうございますが、ただ被害の概要というところを見ますと、47年のほうが被害が大きい。これはどうしてだろうかということでございました。
 文字のほうでも書いてございますが、幾つか理由はあるかと思いますが、主なものとしまして、1つは、被害というのは流域の市町村単位で水害被害報告等がなされますので、流域の市町村単位でとっているということと、それから洪水も、例えば球磨川本川だけじゃなくて、入ってきます支川、それから近傍の小さな二級河川だとか、通常一緒に被害が起きますので、あわせたものが右下のようになってございます。そういう誤差等の問題もあるかと思います。
 それから真ん中下にございますように、この2つの年代、47年、57年の間には河川改修が行われまして、代表断面だけを書いてございますが、オレンジで書きました線、赤っぽい線のやつがその後拡幅してございますので、当然、この分の治水効果というものが、人吉のところにつきましては非常に大きなものがあったかと思います。こういうものが理由で先ほどの大小関係が変わっているというものかと思います。
 次、お開きいただきたいと思います。
 次のページは、川辺川の上流域の山腹崩壊の状況についてのお尋ねがありました。左側のちょっとカラフルな絵をごらんいただきたいと思いますが、ここは左下から右上に赤い太線で仏像構造線というのが見てとれるかと思います。ちょっとカフラルなので見づろうございますが、太線で左下から右上に斜めに走っているものでございます。その北のほうには秩父帯南帯と書いてございますが、結構治水が複雑な部分がございます。この辺が崩壊しやすい場所じゃないかということで言われております。
 小さいマルがたくさんございますが、赤いマルが17年の山腹崩壊143カ所ぐらい。それから青いというか黒いというか、このマルが52カ所は16年のものでございまして、こういうところに発生してございます。
 先日もございました、出てきた土砂がどういう状況でたまっているかというお尋ねがございました。右側の上の絵のように、実はここは昭和38年の豪雨災害を契機に直轄の砂防事業が入ってございまして、これまでも39の施設ができてございます。
 今ここにありますのも、縦断図が書いてございますが、朴木、樅木という2つの堰堤がございます。こういうところに、満杯にはなっていないんですが、土砂が相当捕捉されております。少し下流のほうもまだたまっているというのが見てとれるかと思います。えん堤がたまりましたようなところ、最大では3.7mありますが、もともとためる施設ものでございます。
 じゃあ、これが下流にとってどうかというのが、見づろうございますが、下のグラフがございます。これは前回も河道の、河床の変動といいますか、河床が上昇したり下がったりという状況を長年でとったものを示しましたが、加えて、川辺川のものもつけ加えてございます。ですから、こういう山腹崩壊の下のところの箇所を見ますと、数十センチオーダーという、大きな変動があるものではないので大丈夫かと、いろいろな下流への影響はないかと思いますが、もともと先ほどのような土質、地質でございますので、砂防事業をしっかりとやっておかないといけないということ、それから土砂の動態箇所の状況はモニタリングをしっかりやっていこうと考えてございます。
 次、おめくりいただきたいと思いますが、今度は海のほうへまいりますが、高潮の計画がどんなふうになっているのか、またそれらの対策はどうなっているのかというお尋ねがございました。
 左の上のほうに高潮の計画について若干触れてございます。高潮は通常起きます、干満がございますが、朔望平均満潮位でございますが、これに高潮が、台風が来たりしますと、気圧で海面が上がったり、風で吹き寄せられたり、打ち上げ波高という風そのもので波が出る、これは伊勢湾台風級を想定してございますが、これで出しました合計が標高で6.2mというものが出てございますので、河川のほうも海岸のほうもこういう高潮の堤防をつくっているわけです。
 河川の断面につきましては、下の絵がございますが、ずっと下、左側が河口部0kmです。1.7kmぐらいまでのところの高潮の影響区間につきまして、6.2mで堤防をつくり、それから上は上流から来ます洪水の高さに堤防を合わせるという整備がなされているところでございます。
 真ん中に堤防の状況等を書いてございますが、大体概成をしたり、一部工事をやってございます。河川の高潮につきましても、鼠蔵地区というところを除きまして、これは現在実施中でございますが、おおむね完成をしているところでございます。
 次、おめくりいただきたいと思います。人吉あたりの川で、川の中に中川原公園というのがございますが、ここは川の中で少し河床が上がっている形になりますので、この辺の水面系といいますか、洪水の流れましたときの水面の状況はどうだろうか、その辺の状況はどうだろうかというお話がございました。
 これは、真ん中上にございますが、今まで下流の洪水対策としまして、先ほど来申し上げました引堤をして、川を拡げますというのを40年代から50年代にかけてやってございます。
 それから左下でございますが、それでも堤防の高さが足りないということがございまして、堤防をつくったりもしておりますが、市街地の密集地でございますので、特殊堤、これはコンクリートの壁みたいなものでございますが、これを一部つくってございます。
 ただ、あとそこにもクラック等がございますが、地盤の沈下その他で変形をいたしますので、通常はあまり好まれていないわけでございますので、余裕高の確保、計画高水よりも上になりましたところについてこういう特殊堤というものにしてございます。一部こういう補修部分につきましては、今、補修を、対策をやったりしているところでございます。
 あと、右上のほうへいきますが、河床整正ということで、今、絵がございますけれども、下、軟岩層の岩盤がありまして、その上にアユが住んだり、球磨川下りとかやっています貴重な砂礫層がございますので、こういうところを傷めない格好で、ふだんの水位よりも上のところだけ少し削りまして、水を流すという対策をやっているところでございます。
 今ちょっとこういう状況の中で、この前、昨年17年9月の台風のときはどうだったかというのは真ん中下の絵でございます。これは縦断図でございますので、左側が下流、右側が上流です。
 ご指摘のありました中川原公園というところで水位が上がるというよりは、実はこの少し下流、左上の写真で見ますと、61K000というところあたりは狭くなってございます。これは周りの土地利用の関係からこういうことになっているわけでありますが、ここの影響で、その上流のところに水面が上がるという影響が出ているやに見えます。このような状況でございます。
 それから、次おめくりいただきたいと思いますが、工事実施基本計画の流量の記載についてお尋ねが2つございました。左側のほうは、人吉地点の基本高水のピーク流量7,000m3/sと計画高水流量4,000m3/sですが、この差が3,000m3/s。ところが、下のほうの八代の萩原地点では、基本高水のピーク流量、ダムだとかでカットしないとき9,000m3/s、ダムとかで調節いたしました計画流量が7,000m3/sということで、差が2,000m3/sというので、上流のほうで3,000m3/s、下で2,000m3/sというのはどうしてでしょうかというお尋ねがございました。
 真ん中下、左のほうに表がございます。上が人吉地点、下が萩原地点。前もお話し申し上げましたとおり、いろいろな雨の降り方があるので、そういう降り方に従っていろいろ基本高水のピーク流量、洪水の調節は幾らか、結果、河道のほうの流量の計画高水流量は幾らかというのを出してございます。
 ただ、川の計画高水流量などは川の水を流します器でございますので、結局、どのタイプ、川辺川型とか本川上流型だとか、どの雨の降り方かでどこにたくさん洪水の流量が大きく出るかというのはちょっと異なる場合がございますので、ただ、先ほど申し上げました器でございますから、一番大きいもので器をつくらないといけないということでございます。
 結果、オレンジで書きましたものが計画のもとになってございまして、一番右にまとめてございます結論として、既定計画では、人吉では基本高水7,000m3/s、計画高水流量4,000m3/s、萩原地区では基本高水が9,000m3/s、計画高水が7,000m3/sとなってございます。ですので、ちょっと差が出ますが、例えば本川上流型というやつだけ見ますと、上流でも下流でも洪水調節量というのは約3,000m3/sということで、同じような傾向が見てとれます。
 右側のほうに移らせていただきたいと思いますが、これは流量の配分の図が書いてございまして、川辺川ダムというところの下に川辺川を小さく書いてございますが、これは括弧書きで「500」と書いてあるところの意味のお尋ねがございました。括弧書きのものにつきましては、合流してきます流量なんですが、これは人吉地点だとか下流のところで、一番洪水が大きな量になりましたとき、川辺川からは幾ら入ってくるかというものを書いてございます。
 ちょっと下に3タイプ並べてございますが、例えば本川上流型というのをごらんいただきますと、このグラフは人吉地点のほうは実線が7,060m3/s、これは人吉地点の基本高水、ダムだとかで調節しないときの流量です。これをダムで調整いたしまして、ちょっと見ずろうございますが、小さい点線のように人吉地点ではなる。このときの一番大きいのが4,000m3/s。こういう、本川の人吉側が一番ピークになりますときの川辺川から入ってくる水というのを見ているわけでありますが、川辺川のほうはその下の実線が、川辺川のダムがないときの流量です。
 ちょっと見ずろうございますが、その下に同じように点線で書いてあるものがダムで調節した後の流量でございまして、例えば一番上のケースですと、人吉で一番大きな流量のあるときは川辺川から300m3/s入ってくる。こういうようにやりますと、実は一番大きいのは、一番下の川辺川から入ってくる量として、人吉が一番大きいときに川辺川が入ってくる量が一番大きいのが、一番下にございます500m3/sというのがございますので、この値を書いてあるというものです。
 ちなみに、川辺川そのものは真ん中にありますやつが1,400m3/sというのがオレンジで囲ってございますが、川辺川そのものはこれが一番大きな流量なので、川の改修は1,400m3/sである。ただ合流、大きなピーク、全体が大きな洪水のありますときの流入は500m3/sですという意味で書いてございます。
 次に移らせていただきたいと思います。森林の状況のお尋ねがございました。この部分は後でご紹介します森林の保水力の関係と非常に密接に関連いたしますが、お尋ねでございますので、ここで入れさせていただいております。
 左上、球磨川流域の植生図でございますが、そこの10種類のようなものです。真ん中上は、森林の林種別の面積の推移でございまして、大きくは、色がわかりづらいかもしれませんが、下の大きな黄色は針葉樹林の人工林でございます。上のほうに3、4割ある薄緑のところは広葉樹林の天然林というものでございます。その他、薄く入ってございます。少し人工林化していますが、最近それが鈍化しているという状況かと思います。
 右上は、森林のうち、国有林、民有林、公有林というのがどういう状況だろうかということがございます。それは年代ごとに書いてございますが、大きな黄色、大体6割ぐらい占めておりますのが民有林という、これは林業のほうでの区分では、公有林も民有林と書いてあるようですが、民有林の中でも特に民有といいますか、私有のものが大体6割、薄黄色でございます。それから一番上の緑が国有林、その他、下のほうは県有林とか市区町村林等々でございます。
 それから左下でございますが、林家数、林業専業労働者数の変遷を載せてございます。
 真ん中下は樹齢別の面積でございます。左側が人工林、右側が天然林でございまして、41年〜45年、46年〜50年という林齢が人工林のところで少し大きな山の右側になっていますが、これが大体伐採適齢期かなというコメントを下に書かせていただいてございます。
 右のほう、川辺川ダムの上流域における山腹崩壊状況というのを植生別にあらわしたものをご用意してございます。左の○は、川辺川ダム上流域の植生区分、平成11年時点でございます。オレンジが人工林、緑の濃いのが自然林等々でございまして、全体で470km2ございますが、この区分です。こういうところに昨年の台風14号で起きました山腹崩壊がどうだっただろうかと見ますと、これは箇所数でございますので面積でございませんが、箇所数としては人工林が4割ぐらい、自然林が4割弱、混交林が13%ということでございます。
 下のほうにございますが、人工林、自然林とも同じような崩壊が出ているものが見てとれます。
 以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。
 それぞれの質問についてお尋ねしたいと思いますが、資料の1ページの最初の課題、左上は、これは○○委員でしたでしょうか。こういう答えでよろしゅうございますか。はい。
 それから右上の降雨の問題ですが、これは○○委員でしたね。
(委員)  よくわかりました。
(委員長)  そうですか。はい。
 それから下の被害状況、これは○○委員でございましたね。よろしゅうございますか。はい。
 それから2ページの山腹崩壊の件ですが、これは○○委員でしたでしょうか。
(委員)  はい。資料ありがとうございました。これを見ますと、やはりこの地域の地質とのかかわりで、秩父帯のほうに圧倒的に崩壊箇所が多いのがわかります。サンドストーンとかチャートですね。これは仏像構造線の破砕帯ということもありますけれども、もう1つは、これらの地層そのものが、地質そのものが非常に脆弱であるということを物語っているので、問題は、これからさらに、一たびこれだけの崩壊が起きますと、今年、来年、さらに大雨が降ると、崩壊地が拡大するということを視野に入れておかなければいけないのではないかということです。以上です。
(委員長)  秩父層と書いてありますが、埼玉県の秩父と同じ関係の……。
(委員)  石炭期、二畳紀ぐらいのいわゆる秩父古生層と昔から呼んできたものです。
(委員長)  それから3ページ、これは○○委員でしたか。高潮計画について、よろしゅうございますか。
 4ページ、人吉の河道の問題ですが、これは○○委員ですね。
(委員)  はい。ご説明ありがとうございました。
 先ほどの説明で必ずしも私は同意できないところは、61.1km付近で、ここは狭窄になっている、この図のとおりなんですが、そこの影響はあるというのは言うまでもないんですけれども、中川原公園のところも含めて、流れはそこの、もしもそこだけ効いているのであれば、もっと下流の59.5kmぐらいに平らになっているところがありますね。
 ここも1つのネックになるところだと思うんですが、こういうふうに平らに流れは、水面はなるはずなんですが、それが徐々に変わっていっているというのは、これはすべての、要するに中川原公園も含めて、水面を押し上げているという結果だと思います。
 ですから、61.1kmとか、そこだけの狭窄ですというふうに言うのは、決してこの場所にとってはいいことじゃない。特にここのところは、ご説明がなかったですけれども、4,300m3/sという流量が出たときにハイウォーターを超えているわけですよね。しかも特殊堤があるわけですよ。そういったところについては、この水面がこういうふうに変わるということは非常にネック部なんだということをしっかり認識していただきたい。そういう意味で質問しました。以上です。
(委員長)  一応この中川原公園は、治水上支障があるかないかという点では十分点検の必要があるということですね。
(委員)  十分検討しなきゃならないと思います。
(委員長)  じゃあ、また審議の段階でいろいろ検討いたしましょう。
 それから5ページは○○委員でした。よろしゅうございますか。はい。
 それから6ページは、森林関係で、まず○○委員から。よろしゅうございますか。はい。
 それから○○委員からもお話がございましたが。
(委員)  結構です。
(委員長)  じゃあ、ただいまの説明、それ以外の質問についてはまた次回以降の検討の中で事務局から説明していただきたいと思います。
 続きまして、川辺川ダムを考える住民討論集会と森林の保水力の共同検証について、客観的に紹介できるよう、熊本県とも相談の上、資料を用意していただいております。事務局より説明をお願いいたします。
(事務局)  それでは引き続き説明をさせていただきます。大変恐縮ですが、資料が多分4つぐらいを、これを見て、これを見てというお願いをさせていただくかと思います。それからちょっとボリュームがございますので、ちょっと早口になるかもしれませんが、ご容赦をお願いしたいと思います。
 まず資料3−1、カラーのA3版をごらんいただきたいと思います。これは前回、委員のほうからのお尋ねもございましたので、住民討論集会でのちょっとバックグラウンドとして川辺川ダムの概要を用意してございます。左側は位置図でございますが、流域面積がございますように、大体流域全体の4割ぐらいが川辺川ダムのところで捕捉するといいますか、とらえるというぐらいの位置関係でございます。
 川辺川ダムの諸元は、左に書いてございますアーチ式のコンクリートダム、総容量が1億3,300万m3というもので計画されてございます。
 川辺川ダムの目的が上に書いてございます。大きくは治水、洪水対策でございまして、真ん中よりちょっと下にございます3,520m3/s、これを下流側に200m3/sしか流さないということで、3,320m3/sをためるというものでございまして、これで結果、人吉で7,000m3/sを4,000m3/sにするという中身になってございます。
 それからかんがい用水ですが、前々お話ご案内かと思いますが、農業水の計画として、今、新利水計画ということで農水省のほうで見直し作業中でございます。
 それから発電につきましても、発電が載っております。
 それから流水の正常な機能の維持ということで、下流の安定的な水の確保ということでございます。
 大体、事業費といいますか、よくアロケーションと費用負担がございますが、95%ぐらいが治水、洪水対策でございますので、ほとんど治水ダムとしてもともと計画されたものでございます。
 右上に経緯を簡単に載せてございます。もっとたくさん経緯はあるかと思いますが、昭和42年に自主計画調査という現地の調査に入ってございます。44年に、これは建設事業、予算上の建設事業というものになってございます。それから、51年に特定多目的ダム法第4条に基づく基本計画の告示というものがされまして、その後、補償の関係、地元の関係でのいろいろな調整がされてきてございます。
 最近のところだけちょっと細かく触れさせていただきますが、平成12年12月には土地収用法に基づきまして、川辺川ダム建設工事及びこれに伴う附帯工事に係る事業認定という告示がされました。公共事業の事業認定していいというものでございますが、このバックで土地収用等がなされるわけであります。
 平成13年11月に球磨川漁業の臨時総会で漁業補償についての案が否決されてございます。これを受ける形で、同じ年の12月に土地収用法に基づく収用裁決申請というのがなされてございまして、この後、平成15年5月、国営川辺川土地改良事業、農水省さんの事業ですが、かかります控訴審判決が出てございまして、農業の事業の同意の3分の2が法定上必要だというものを十分満たしていないということで、国側、農水省さんのところの敗訴になってございます。
 平成15年6月には、そういうこともありまして、新しい農業の新利水計画を考えようという動きが、国・県・市町村が一体となって取り組むということで始まってございます。そういうこともありまして、17年9月には土地収用法の収用裁決申請取り下げ。まだ現在進行形でございますが、新たな利水計画について検討しているというところでございます。
 下のほうに簡単に事業の進捗状況を載せてございます。左のほうは道路がほぼでき上がってきていて、移転の代替地のほうは、人家のほうはほぼ移転をされています。真ん中には、各事業の進捗状況を棒グラフにしてございますが、大体、代替地とか道路とか生活体験関係が終わって、ダムのみが残っているという感じの状況でございます。
 次、おめくりいただきまして、ここから川辺川ダムの住民討論集会の内容に入らさせていただきたいと思います。偏った説明にならないように、先ほど県のほうともご相談して、メーンの資料は住民討論集会で県のほうでおまとめになられましたものをご説明させていただきたいと思いますが、少し経緯のものだけこの紙で用意してございます。
 川辺川ダムを考える住民討論集会につきましては、左にございますが、開催に至る経緯ということで、13年11月から公開討論会等々の話から始まってございます。先日、知事さんのほうからもお話がございましたように、熊本県のお考えでこういう場をつくろうということで、代替案が、治水の手段としてダムにかわり得る具体的かつ妥当な選択肢たり得るのか、県民に見える形で科学的に議論する必要があるというお話できております。
 また国交省といたしましても、ダム事業に関して県民への説明責任を果たすということから、そういうことをやりましょうということで始まってございます。趣旨等も書いてございますが、主催は第1回が熊本県のほうでおやりいただいて、2回目から9回目は国土交通省主催ですが、コーディネーターは熊本県ということでしてございます。
 運営方法等につきましても一定の取り決めをしてやっていますというのが、真ん中の四角でございます。経緯は、第1回が13年12月9日から始まりまして、第9回、15年12月14日まで、これまで9回行われてございます。それぞれ討論内容を決めまして意見交換をしているところでございます。
 ここから赤い線で右へ引っ張っておりますのは、森林の保水力共同検証ということですが、この第9回の住民討論集会におきまして、森林の保水力というのが主要な大きな課題であると、じゃあ、その保水力の検証みたいなものをしないといけないだろうということがありまして、ここでそういうことをやろうということが持ち上がってございます。
 専門家会議を開催する。主催/形式は国土交通省主催で、コーディネーターは熊本県、形式は国土交通省とダム反対側の対論形式という形で、その下に経緯がございますが、16年3月の第1回から17年11月の第16回まで、いろいろな打ち合わせがされてございます。途中途中に、それぞれ16年、17年に地表流観察試験というのが書いてございます。これは現地の実際の地表流の観測をしているという流れでございます。
 恐縮ですが資料を、A4版の白黒の、右肩に資料3−2というものをメーンにお話をさせていただきたいと思います。1枚お開きいただきますと、これは熊本県のほうで全体的なおまとめを総括をされました第9回での資料でございます。よくまとまったものですので、これを使わせていただきます。
 1枚開いていただきますと、この資料の形がわかるかと思います。左側にダム反対側、右側に国土交通省推進・容認側というふうにずっと比較で書いてございますので、これに沿っていると思いますが、ただ、この文字だけ見ましてもと思いますので、恐縮ですが、資料3−3とか3−4だとか3−5、特に3−3と3−5のところを引用しながらお話をさせていただきますので、その3つぐらいの資料をあわせてお開きいただくことになるかと思いますが、お許しいただきたいと思います。
 時間もあれですので、早速お話ししますが、先ほどの資料3−2を1枚めくりましたところ、1ページでございます。主なところを中心に話をさせていただきます。治水の必要性とか大雨・洪水被害の実態等についてでございますが、この後、基本高水流量につきまして議論が出てございます。これはちょっと大事な話でございますので、少し丁寧にお話をさせていただきたいと思います。
 ダム反対側と書いてあるところには、幾つかの川辺川研究会だとか幾つか過去の流れがありますが、結果的には平成15年6月30日の川辺川ダムの体系的代替案、毎秒5,500m3/sというところがこちらのダム反対側の考え方になってございます。それから下の八代地点につきましては、同じく15年6月30日の川辺川ダムの体系的代替案7,800m3/sというのがダム反対側の案になってございます。これに対して国土交通省のほうは、人吉は毎秒7,000m3/s、八代は9,000m3/sと書いてございます。これは前回ご説明したような内容です。
 今のダム反対側のところというのは、恐縮です、資料3−3の12ページをお開きいただきたいと思います。ページ、2種類書いてございますが、大きな右下に書いてあるページでごらんいただきたいと思います。12ページから14ページぐらいにつきまして、この基本高水流量のことについて触れられています。
 左側、12ページでございますが、2の計算手順、(1)というのが森林の生長と人工林化による山の保水力の変化の把握ということでございまして、ここの考え方は、その下に「具体的には」とか書いてございますが、1995年の洪水をもとにいたしまして、これから計算をしてタンクモデルというものをつくってございます。この定数を決めてやっているわけです。
 この同じ資料の59ページに、タンクモデルで出しました図が載ってございます。右下、59ページと書きましたところに図1、川辺川・柳瀬地点における実測流量と計算流量(1995年)というのがございます。これが実測とタンクモデルで計算しましたものでございます。こういうものでタンクモデルの定数を決めましたというのが1つでございます。
 大変恐縮ですが、また12ページに戻っていただきまして、今のモデルを使いまして、12ページ一番下の、1995年7月以外のほかの10洪水についても計算をしているというものであります。へ行きまして、これを今度は実績流量と計算流量というのを分数で出してございます。これはちょっと意味がわかりにくいので、同じ資料の62ページをごらんいただきたいと思います。右下62ページでございます。
 図4、実績洪水流量/計算洪水流量の経年変化(川辺川・柳瀬地点)というものでございます。これは非常に大事な考え方の資料でございまして、何をしているかというと、1995年で先ほどのモデルをつくってございます。このときを横の軸で1.0と例えば見ますと、このときに対しまして、1995年のときの森林の状況で計算をいたしましたタンクモデルで、過去の1955年ですとか、例えば1965年のときはどうだろうかという計算をしてございます。ところが、実際は1955年や1965年のときの森林の状況で、実際の洪水は流れてきているわけでありますので、1995年のときの森林の状況をもとに計算したものとでは差が出ますので、その差が、比が左側の軸に書いてあるわけです。
 ですので、これは例えば左側の0.8というのが1955年ぐらいにございますが、そうしますと、1955年あたりではもっと山の森林のほうに水がたまって、洪水として流れてくるのは8割ぐらいだっただろうというお考えのものです。
 流れからいいますと、その後1965年、1970年とか75年とか、今度は1.幾らということで超えますけれども、これは逆に1995年よりももっと森林の状況が悪くて、もっと洪水が出てきてしまっているということです。こういう検討がなされております。
 13ページへ戻りまして、これをもとに後の検討をしているわけでございますが、大きく今度は13ページの下の(2)に基本高水流量の計算手法の選択というものがございます。
 ここにちょっと書いてございますが、ご案内の方はたくさんおられるかと思いますが、そういう雨とか流量の確率、雨量確率法と流量確率法というのが洪水を検討するときに2つある。例えばこの紙の3行目でございますが、流量確率法は実績流量から統計手法で直接80年に1回などの洪水流量を求める方法だということで、この文章ですと、一番下のほうに、例えば「また」というのがありますが、雨量確率法には計算者の判断要素が入るという問題があると。逆に言えば、流量確率法はそういう恣意性がないということで、流量確率法がいいのではないかというお話もされております。
 これを受けまして14ページに、次の手順として、(3)でございますが、人工林間伐による針広混交林化を考慮した毎年の洪水流量の補正というのをされてございます。これは、大変恐縮ですが、同じ資料の62ページを見ていただきますと、このときの、先ほど見ていただいた図でございますが、1995年に対して、今、1955年ぐらいの森林の状況にしてやれば、このぐらいの流量でいいのではないかと。ただ、0.8まで下げるというのは少し不安な面もあるので、0.9ぐらいで見てはどうだろうかという作業がなされているものでございます。
 あっち行ったりこっち行ったりで恐縮でございますが、先ほどの14ページの(3)はそういうことをおっしゃっているものでございます。
 (4)は、そういうものを全部含めまして、じゃあ、流量そのものを計算いたしますと、結果としては(4)のところにございますが、人吉地点では5,300m3/s、横石地点、八代のほうでございますが、7,500m3/s。ただ、安全側の若干の余裕を見て、計画の流量といたしましては、人吉で5,500m3/s、横石で7,800m3/sが妥当なのではないかというご意見でございます。
 大変恐縮ですが、先ほどの右左比較で書きました資料3−2に戻っていただきまして、これが今、1枚めくっていただいた1ページと下に書いてあるところの流量の話でございます。
 それから1枚おめくりいただきまして、今度はもう1つの大きな点、森林の保水力というのが次のページに載ってございます。これはダム反対側と国土交通省推進・容認側というのが2つ書いてございますが、若干これは右へ行ったり、左へ行ったりという流れがございまして、流れからいうと一番左上の、森林の斜面を水が流れる場合、表層流、中間流、地下流の3つの流れがある。浸透能が高く、まで雨水が浸透すれば、森林の保水能力は高く、ピーク流量は低減するのではないか。
 またその下の広葉樹林と手入れの悪い人工林では、浸透能に約2.5倍ほどの差があるのではないか。これは、恐縮ですが、右上に資料3−5というのがございます。これの13ページをごらんいただきたいと思います。
 基本的な考え方は、下のほうに13と書いてあります。これの下のほうの絵でございますが、森林の斜面であまり手入れがいっていないような森林ですと、左側のように、雨が降りましても表層にたくさん流れて、地下へ浸透するのは少ないのではないか。それがちゃんとなっておりましたら、右のように浸透能が大きければ、ほとんど地下のほうへ行って、結果、洪水として出てきますのは下のグラフのように、左側のようにあまり浸透しないのであれば一気に水が出てくるけれども、浸透するものであれば、ゆっくり水が出てくるんじゃないかということでございます。
 これが、大変恐縮ですが、資料3−3の57ページ、これは先ほどの反対側として2.5倍と書いてありましたものでございます。今の絵で見ていただいたものを、ちょっと深いかかわりのあります数字が、今、資料3−3の右下57ページの真ん中の資料5という表がございますが、これでございます。森林の治水力(浸透能)の相対評価表というのがございます。左側は針葉人工林か広葉樹林や自然林かで分けております。上のほうは、軸は林齢、林の育った年齢でございますけれども、入れております。
 これは広葉樹林や自然林を1といたしまして、林齢を20年以上ぐらいになりましたところ、これを1とした場合に、ほかのほうはどのぐらいの浸透能か、もっと低いというのが0.25とか0.4とかいうものです。ですから、相当育ったところで針葉人工林か広葉樹林かで大体2.5倍ぐらい、広葉樹林や自然林のほうが水が浸透していくという話でございまして、先ほど絵で見ていただきましたような構図はそのことでございます。
 これに対しまして、大変恐縮です。資料3−2という比較の資料をごらんいただきたいと思いますが、こちらへ戻らせていただきたいと思います。国土交通省、推進・容認側のほうをごらんいただきたいと思います。森林を伐採しても、森林土壌が残っていれば浸透力はほとんど変わらない。それから、我が国の森林土壌は浸透能が非常に大きいので、広葉樹であっても針葉樹であっても、通常、雨水はすべて浸透し、地表流は発生しない。よって浸透能が増加したとしても、森林の洪水緩和機能は変わらないのではないかというものであります。
 これは資料3−1を、ちょっとこれは後でごらんいただきます。上の森林の土壌が残っていれば、伐採したかどうかとか、上のほうがどうかというのはあまり変わりないというのが写真とかで用意されてございます。後で資料3−1のほうでまた見ていただければと思いますが、その下の浸透能が非常に大きいのでというのは、資料3−5でございますが、3−5の33ページをごらんいただきたいと思います。
 3−5の33ページでございます。左下に表の8、土地被覆条件別の最終浸透能(1時間当たり)というのがございます。これは針葉樹で天然林か人工林か、それから広葉樹の天然林であれば、そのときどのぐらいの浸透能が、要は地下へしみ込んでいく最大がどのぐらいまでかということでありますが、これは時間雨量でございますので、1時間当たり210mmとか260mm、270mmという雨が入っても、それが浸透していく。
 ちょっと数字がわかりづらいかもしれませんが、私どもの洪水で、例えば球磨川なんかの洪水で時間雨量というと、今、すごく大きい洪水で40mmとか50mmとか、そういうものが先ほどの治水計画のベースになってございますので、二百数十mmというのは、それよりも相当大きいものが、どの樹種であろうが、みんな入ってしまうんじゃないかということが、先ほどの比較でございましたところで示されているわけです。ですから、土壌がちゃんとあれば、森林がどういう状況であろうが、大きくは変わらないのではないかということでございます。
 恐縮です。3−2の比較のほうへお戻りいただきまして、森林のところまではおつき合いをお願いしたいと思います。森林の先ほどの保水力の左側、ダム反対側の3つ目の点といいますか、ポチのところをごらんいただきますと、広葉樹林と手入れの悪い人工林とで浸透多能に差があるとしても、それはあくまで相対値で、測定された浸透能の値がそのまま実際の降雨時の、特に集中豪雨時の浸透能として評価することはできないのではないかというご意見が出ております。
 その下でございますが、ここが1つのシリーズみたいなものです。別の話題のところで、今度右側のほうから始まりますが、国土交通省などのほうでございます、森林の保水能力は、雨量が200mmぐらいで頭打ちになり、400mm以上の非常に大きな雨量のときには、森林の保水能力だけでの洪水への対応は不可能。大規模な洪水時には洪水がピークに達する前に、流域が流出に関して飽和に近い状態となるため、ピーク流量の低減効果は大きく期待できないのではないかというものでございます。
 恐縮です。さっきの資料3−5の33ページ、先ほど開いていただきましたところと同じ紙でございます。この右下に図10というのがございます。これは川辺川流域の保水能力でございまして、200mmぐらいとか、こういうところまでは横軸が降った雨です。縦軸が土壌とか地中にたまる量でございます。ある程度まではずっとたまっていくんですが、200mm、300mm、400mmとなりますと完全にカーブが出てきます。要は全部土壌の中で満杯になって、下へ流れていくということでございまして、これがその次のページの34ページ、35ページ、36ページというので、少し段階を踏んだもので書いてあります。
 ちょっとカラーでないので非常にわかりづらいんですが、最後の36ページだけごらんいただきますと、ちょっとわかりづらいかもしれませんが、左側の森林が生えているところの下の土壌の部分に水が入って、母岩の上を流れて、しかし、ここが満杯になると全部川のほうへ流れていく。土壌の中の構造も右上にございますが、空隙のところがみんな満杯になって、そういう現象が起きる。こういうことが先ほどのグラフとあわせて、土壌水文のメカニズムじゃないかということでございます。
 これに対しまして、資料3−2、先ほどの対比のものでございますが、浸透の4つ目の点の部分でございます。ダム反対側のほうの4つ目の点の部分でございますが、「浸透能が高ければ、400mm近い大雨が降った場合、仮に国交省が主張しているように森林の保水機能が頭打ちになるとしても、残りの200mmの雨水について徐々に河川に放出することとなり、例えばピーク流量を30〜40%削減できるなど、一定の洪水調節機能を発揮すると考えられる」というものでございます。
 この部分はちょっと先ほど見ていました資料3−5の13ページとか62ページのことをもう一度あわせておっしゃっています。先ほどの絵と数字がございました。それからその下に「人工林を間伐など本来の手入れをすることで浸透能が改善され、保水力が増大する可能性が高い。国交省の持つ大量のデータを情報公開し、現地の状況について検証すべき」と。
 これは資料3−5の27、28ページをごらんいただきたいと思います。28ページの右下のほうは、先ほどごらんいただきましたようなことで、樹種によって相対比較としては大きい小さいがあるんじゃないかということでございます。これを28ページの上の球磨川流域の森林の人工林や天然林、それから林齢等も書いてございますが、これをあわせて仮想的に、例えば間伐して、こういうものにかえたらというものを含めましたものが左下、27ページのグラフでございます。
 実線のところ、途中までは実際のものをといいますか、これまでのことのやつを先ほどのデータに基づいて入れているわけです。あと右側に、点線になっていますのと実線になっていますのは、放っておけば実線だと。間伐等、強間伐のほうをしてコンクリートにすれば、点線のほうへ行くということをご主張されているわけでございます。
 恐縮です、さっきの3−2、比較のほうへ戻らせていただきまして、大きなところは、すいません、ここぐらいでございますので、よろしくお願いしたいと思います。今の右側の、今度は国土交通省、推進・容認側というのは、これに対しまして一番下の部分、先ほどの森林の保水力の一番下でございますが、最終浸透能のデータについてはこれまでの研究で既に大体わかっている状況であり、森林に過度の洪水調節機能を期待するのは危険なのではないか。間伐等を行い、森林の状態をよくしたり、天然林に戻しても、そんなに大きな変化は期待できないというのが森林水文学の考え方ではないだろうかということで、先ほど見ていただきました資料3−5の33ページ等々の話です。
 実はこういうふうなやりとりがございまして、先ほども現地の状況の検証というのがございました。それで、森林の共同検証というものが行われたわけでございます。森林の共同検証はちょっと後にしまして、今見ていただいています後ろへさっと行かせていただきたいと思いますが、あとこれはダムにつきましての住民討論集会でございますから、ダムのところで議論がなされればいいといいますか、基本方針を考えるものであまり主要でないものもあると思いますが、さっと見ていただければと思います。
 2ページの4番の現況河道流量につきましては、ダム反対側、人吉地点は4,300m3/s、これは計画高水で4,300m3/sです。その下にございます5,400m3/sというのは、堤防の天端まで流れるといたしましたら5,400m3/sでもいいのではないだろうか。国土交通省のほうは現況3,900m3/sということで、これは前回の資料に入っていたかと思いますが、そういうものでございます。
 それから、八代地点の反対側のほうは9,000m3/sということでございます。これはちょっと下を読ませていただきますが、「昭和57年7月に八代で毎秒7,000m3/sを上回る洪水が発生したが、萩原堤防での推移は堤防の上端から3m以上も余裕を持って流れた。実際には現況の堤防高が計画堤防高より70センチ高く、破堤しない」ということが言われてございます。
 お時間もあれなので、さっとだけ見ていただきますと、資料3−3でごらんいただければと思います。資料3−3の45ページ、46ページあたりをごらんいただきたいと思います。45ページの一番上の図7には、人吉地点の現況河道の流下能力を4,300m3/sとされている根拠といいますか、このときの計算、ちょっと根拠の詳細はわかりませんが、出てございます。天端まで行ったら5,400m3/s。
 1枚おめくりいただきまして、46ページには1982年の再現、それから一番右のほうは八代地区の、先ほどありました、かなり高さに余裕があって流れているのではないかというのは、右上、例えばハイウォーターが2つ目の細い実線でございます、その下の点々といいますか、○が書いたり、つながったりしていますやつが1982年とか1995年の実績でございますが、このときだとこのぐらい、まだ上に差があったのではないかというご主張でございます。
 それから、恐縮です。3−2のほうへ戻らせていただきまして、計画河道流量というのが3ページにございます。人吉地点5,400m3/sで、これは計画河床高まで掘削し、計画河道を確保した場合ということです。
 国土交通省側を見ますと、人吉地点が4,000m3/s、それから仮に以前の計画どおり河床掘削した場合でも4,400m3/sと書いてございます。ここに以前の計画というか、計画箇所とか、そういう言葉が出ますが、これは昔、まだ下の岩盤だとか砂礫のことはあまり考えない時代に書きました計画箇所のことだと思います。いずれにしましても、この辺は後日の河道の流量のあり方のところで、現状及び今後どうかということは、細かいところはまたご審議をお願いしたいと思います。
 八代地点につきましては、下、8,600m3/s、7,000m3/sというものでございます。先ほどの同じ流れでございます。
 それから、下、洪水調節流量につきましては、いろいろ書いてございます。先ほどのように基本的な話はその一番左下にございますように、先ほどのように基本高水のピーク流量は森林が改善されれば低くなるんじゃないか、それから河道の流下能力はうまくやれば確保できるんじゃないかということで、ダムが要らないのではないかというお話です。
 それから国土交通省、推進・容認側のほうは、河床は限界がありますし、森林の能力は期待できるものは期待していいけれども、期待できないところを期待するのはおかしいだろうということでいいますと、ダムで3,000m3/sカットする必要があるというご主張でございます。
 1枚おめくりいただきまして、4ページ、八代のほうも同じ意味でございます。そのほか、ダム以外の代替案につきましても7番として検討されております。遊水池なんかの話もございますが、いろいろな社会的影響だとか費用が検討されてございます。
 それから5ページへ行きまして、費用対効果とございまして、これは先ほどのように八代地区なんかで十分流せるのであれば、ダムが要らないのであればB/Cは低いじゃないかというダム反対側のご主張と、現在の計画での1.55という主張が国交省側でございます。
 ちょっとはしょりましたが、今の住民討論集会の中身でございまして、これを受けまして、恐縮ですが、資料の3−1へさっとお戻りいただきたいと思います。お時間の関係もありますのであれしたいと思いますが、今のお話がちょっとわかりにくい面も、かつ資料があっち行ったりこっち行ったりで大変失礼で申しわけございませんが、なるべく現地で使われました資料ということで話をさせていただきました。
 それをちょっとわかりやすくということで、3ページから5ページまで、3ページには、これは全部住民討論集会で使われましたものからピックアップだけをしているものでございますが、ダム反対側でのお話は、今の森林の治水力としては先ほどの樹種だとか林齢で違うだろうと。それから流出パターンとしては、よく浸透すればゆっくり出てくるんじゃないか。それからちゃんと森林を管理してやっていけばそういう昔の形態、1955年だとか何かに近くなって、その分、水をためられるんじゃないかが左下でございます。
 右上の流量も、先ほど見ていただきましたように、1995年のものをもとにして、1965年もしくはそれに近い状況へ戻せば、計算として五千何百m3/sかの洪水の流量ということではないかということかと思います。これは先ほどのやつを単に並べ直しただけでございます。見やすく、わかりやすくしたものでございますので、ご容赦願いたいと思います。
 4ページも同じ趣旨でございますので、少し飛ばさせていただきます。
 5ページが国土交通省のほうの抜粋でございます。先ほどはしょらせていただきました土壌が伐採をしても残っているかどうかにつきましては、ちょっとそこの写真なんかも当時説明に使ったものを入れてございますが、球磨川とか何とかであればそういう状況かということであります。
 それからのところは、先ほどの森林の状況が変わりましても、時間当たりの雨量でも相当な量の浸透ということではないだろうかということ、それから右のほうは、一定のものまでは水を保水しておきますが、それ以上は流れ出てしまうということではないかというのが、モデルと球磨川のデータで見ております。
 よく話題に出ます日本学術会議でこの辺の問題はあちこちで似たようなことがございまして、以前、林野庁さんというか農水大臣のほうから諮問された学術会議の答申でも、その辺を踏まえて、洪水緩和機能はあるんだけれども、小さな洪水なんかで済みましたら、そこまではためているんですが、それを超えますと、みんな飽和して流れてしまって、顕著な効果は期待できないのではないかということが言われていますというのが国土交通省その他の主張になってございます。
 それからもう1つの、森林の保水力の共同検証につきましては、そういうことを受けまして、その次のページ、6ページでございますが、先ほどのように現地のことをやろうということで始まってございます。
 6ページをごらんいただきまして、左上は、先ほど来ちょっと申し上げていますことで、第9回の住民討論集会でこういうふうにやろうというやり方を双方で意見交換いたしまして、下の専門家会議という緑がございますが、そこで図ろうと。主催国土交通省、コーディネーター熊本県、国土交通省とダム反対側の対論方式でございます。
 開催趣旨等はそのようなことでございまして、やり方につきまして、右上でございますが、専門家会議におきまして試験の実施方法とか試験はどこでやるかとか、そういったことについて協議をして、合意ができたものについてやるということになっていたようでございます。
 これを中身としては、地表流観察試験、これは樋による捕捉、及びビデオカメラによる撮影というものでやろうと。それから、そういったデータを森林水文学の専門家の方にコメントいただこうという合意で始まったものでございます。
 下に現地検証の概要がございます。実際の点が下にもございますが、表にもございますように、人工林、これは手入れの悪い人工林です。それから自然林、それから幼齢林という3つのところを抽出いたしまして、ものをやってございます。
 やり方は、実験のものにつきましては、ビジュアルでないと様子はわからないので、その次のページから用意してございます、7ページ、今申し上げた自然林、手入れの悪い人工林、人工林の幼齢2年のものというのはそういう場所でしてございまして、真ん中ぐらいに漫画が書いてございますが、斜面に、グレーで書きましたような四角の枠をはめてございます。この中に降りましたものを下の樋で受けて、集めて、はかる。またビデオカメラをたくさん設置いたしまして、状況を見るということをしているわけでございます。それが左下のビデオカメラの撮影が、一昨年の台風18号、それから右の設置状況につきましては、ダム反対側、国土交通省、熊本県の三者でこういうふうに現地を含めてこういってやろうとしております。
 途中、右下のほうは枝が落ちたりしても、そういうものを直したりしたというのがあったということです。8ページが、その共同検証の結果でございます。右上に生データをそのまま載せてございますが、上半分が16年、下が17年のものです。16年は台風期の9月、それから平成17年は梅雨期でやってございます。
 16年のところなんかでも、ごらんいただきますと、左側に観測範囲の面積という下に、観測期間の総雨量、それから桶に捕捉された量、桶に捕捉されなかった量というのがございます。要は、上から降ります総雨量は今の面積掛ける雨量でございます。それから桶に捕捉された量が、地表を走りまして桶にたまったものと、残り分が左下に青で書きました桶に捕捉された量でございますが、これが地下へ浸透していった量ということで始めたわけでございます。
 例えば、左上の人工林で見ますと、総雨量は7万5,400リットルぐらいのうち、地表が188リットル、地下へ浸透するのは7万5,200リットルという状況です。それが自然林ではどうだろうか、ほかの幼齢林ではどうだろうかというのをしてございます。下のほうも大体データ的には似たようなことでございまして、若干の地表流というか、桶に捕捉されたものはございますが、多くは地下へ浸透しているというものでございます。
 ちょっと17年の7月5日のところ、左側のところ、人工林に※といいますか、注釈のマークが書いてございます。17年7月のデータは、観測機器の不具合で少しデータがうまくとれていない部分がございます。双方の見解の相違がまだそこはございますというものでございます。
 それから、森林水文学の専門家のコメントをいただくということで、これは資料3−6の資料11でございます。いただいたものそのままを載せてございます。78ページから、九州大学の小川先生のほうに今のような結果についてのコメントをいただいております。
 さっと要約のところだけ見ていただければと思いますが、これはちょっとわかりづらいかもしれません。すみません。おっしゃっておられることは、先ほどのカラーの8ページの左下にございますように、地表流発生のメカニズムにつきまして、森林地でははげ山裸地斜面のような場所を除いて、ホートン型地表流、地表をそのまま浸透しないで滑ってくるものでございます。こういうのが起こらないと考えられている。それから伐採及び林分の相違によるA層側方流への影響について、これは地表部分でございますが、上のほうはA層でございますが、森林制御、要はどんな森林に、人工林にしたかどうかということに伴う土壌劣化というのは、地表面付近では浸透能の低下、大孔隙の減少、土層圧の減少が起こることが報告されており、A層側方流の増大をもたらす要因となっていない。林分の違いによるA層側方流の相違を議論する場合には、浸透能の相対的な大小で比較するだけでは不十分であるというお話が出ています。
 それからもう1枚、カラーのを1枚開いていただきますと、観測の欠測データの話がありました。これは端海野という地点のものでございます。左上のほうに観測の機器がございますが、その水をためるメカニズムが左の漫画であります。それの溜升のところに、ものを濾すといいますか、ろ過する部分がございます。そこのところが、植物の枯れ葉だとかいろいろなものが詰まりまして、とれなかった部分があるのではないか。
 これは右上のデータを見ますと非常にわかりやすいのでございますが、黄色で示しましたところが、これは転倒ますの転倒回数というのが今のここで計っているものです。林外雨というのは、普通の雨量計でございます。全体的に雨が降っているときにはやっぱり転倒回数が多くて、そうでないときは少ない。
 ところが、詰まっちゃったものでございますので、例えば赤で書きましたようなところは、見ていただくと、下から3段目とか一番下なんかもそうですが、雨は降っていないのに18というものが出てみたり、これは後からちょろちょろ入ってきたのが入っているのかもしれませんし、逆に、転倒ますのほうは少ないけど、林外の雨が多いということが起きたりしております。
 下の絵も同じようなもので、上半分のブルーで書きましたものが雨量計です。雨量計で出ているときは、例えば右側のほうを見ていただくとわかりますように、下の転倒ますのほうも大きく出ているけれども、先ほどのデータだけは、特に後半部分につきまして、ちょっとうまく詰まって、とれていなかったんじゃないかと思われます。ということです。
 あと、若干の紹介だけさせていただきたいと思いますが、資料3−5でございます。共同検証につきましては、先ほどの資料3−5で県のほうでおまとめいただきました両方の争点の資料がございます。
 1ページおめくりいただきますと、川辺川ダムを考える住民討論集会の論点抜粋というのがございます。これは先ほど見ていただきましたようなところの同じものを書いてございますので、これが基本だということです。
 あとは、2ページ以降は、やるに当たっての双方の意見交換がされてございます。流出過程、地表流のメカニズムについてはどうであるかということ、1枚おめくりいただきまして、地表流の発生状況、例えばここでも、ダム反対側でございますが、大通峠なんかでは手入れの悪い人工林では頻繁に地表流が発生して、表土の流亡といいますか、そういう痕跡も見られるのではないかというお話がございまして、これに対して国交省・ダム推進側は、でございますが、球磨川流域では、過去から森林土壌は存在し続け、通常、雨水は浸透するので、ホートン型地表流は発生しないか、発生しても局所的じゃないか等々の意見がされております。
 それから4ページ(3)の地表流観察試験は、やり方についてお互い協議した内容をずっと書いたものでございます。5ページは、(4)散水試験でございますが、これは散水試験もやったらどうかということでお話が出されたんですが、散水範囲について合意に達せませず、実施はしてございません。
 それから(5)のタンクモデルにつきましては、ダム反対側が採用したタンクモデルの妥当性につきましての意見交換をしてございます。その中身を次のページまで載せてございます。
 9ページまで行っていただきまして、9ページからは(6)浸透能調査、10ページは(7)土壌サンプリング測定でございます。(6)と(7)はこういう調査もあるんじゃないかということで、これもお話し合いがされましたが、結果としてはやる中身の合意がとれず、実施がされてございません。
 最後になりますが、次のページ、11ページでございます。(8)土壌への浸透及び蒸発散図、先ほど来、雨が降りましたものはどれだけ川へ出てくるか、もしくは地面の中へしみ込んでいるかというのをグラフにして、200mmを超えたら頭打ちになるという図がございましたが、ああいうものについての意見交換がなされました。
 それから(9)は、流域の森林の状況というものにつきまして、ダム反対側、国交省側の見解が述べられているところでございます。
 以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。
 住民討論集会と森林の保水力と、それ以外もあるわけですが、共同検証については熊本県が総合調整役を担っていただいたということですので、○○委員のほうからご意見等ございましたら、お願いいたします。
(委員)  森林保水力につきましては、私どものほうも基本高水流量とのかかわりの中で数回にわたって、これはやられたものでございます。
 それから前回、○○委員のほうから、自治体で住民団体が言うように森林の管理ができるかというような前提条件になるようなお話もございましたが、この点につきましても、森林は県土の保全、水源の涵養、さまざまな公益的機能を有しておりますので、安全で快適な県民生活の確保に重大な役割を果たしている、そういう思いの中で、水と緑の財産づくりということを県政の大きな柱に掲げております。
 それで今回、実験の中で、手入れをされた森林、それと手入れをされなかった森林、そういったところにおける浸透ます等々についての実験というところでは、双方とも結論を得ているという感触は私のほうでは持っていないわけですけれども、県としては今、森林の管理ということにつきましては非常に力を入れてやっているということをご報告させていただきたいと思いますし、森林環境税等も設けまして、放棄地に対しましても手入れを進め、あるいは間伐と消費というところでも、県庁の中を挙げて目標を定めて、できるだけ消費につながっていくようにということで今やっているところでございまして、今後とも球磨川流域においての森林の適正な保全・管理については検討して、積極的に取り組んでいきたいと考えているところです。
 それで、今ご説明にもありましたように、森林の保水力は球磨川流域で面積の8割以上を森林が占めておりますので、河川流出に与える影響をどう評価するかということは、今後の基本高水流量を考えていくときにも影響が大きいと思います。
 それから森林の保水力は、国の定めた基本高水流量が過大であるというダム反対派の主張のポイントになっておりますことから、住民討論集会でこの点について4回にわたって議論をされ、そして今、ご説明がありましたような専門家集団による実験も行われているという状況でございますので、今後とも、今日委員の皆様方にぜひお願いしたいことは、住民討論集会や森林保水力の共同検証に取り組んできたといういきさつを踏まえた上で、ぜひ科学的・専門的見地から検証・審議を行っていっていただきたいということを私のほうからは要望させていただきたいと思います。
 以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。そのほか、持ってこられている資料は、一応参考資料ということでよろしゅうございますか。はい、わかりました。
 それで、次に、各委員からもご意見があると思うんですが、審議時間が30分しか残っていません。事務局の説明も必要で、長すぎると思いませんでしたけれども、予定では次の基本高水ピーク流量の説明もしていただくことになっていましたが、次回回しということで委員長としては仕切りたいと思います。これまでの議論で、専門家の意見は後から聞くとして、専門用語が数多くあったので、非専門家の方からご質問やご意見を承った上で専門家の解説をお願いしたいと思いますが、○○委員はご意見なり、ご質問なりありましたら、どうぞ。
(委員)  では、ご指名でしたので。まず、膨大な資料をいろいろ国と県とご用意いただいて、ありがとうございました。
 1つ思いますのは、確かに今、大都市圏でも、熊本でもこういう取り組みをしているのはわかりましたけれども、現実に民有林がまだ圧倒的に占めている。いずれにせよそれを現状の地方自治体の財政の状況と、人口が減少している中で、緑のダムのためだけにという考え方があるという前提で、そのためだけで森林を維持・管理するということが地域によってできるのかどうかとなると、これは外から見てみたら、科学的な検証はしていないわけですけれども、これは非常に疑問に思います。本当にできるのかどうか。
 それはまず大前提は、地域の民有林を保持している森林組合の方々を含めての意向についてはここに一度も何も資料がなくて、つまりその方々は一体何を考えているのか、自分たちの民有林を一体今後どうしていきたいのかというのが何もわからない。ダム反対派の方々の主張は、そこについて触れられていないというのは私はおかしいと思います、率直に言って。
 つまり、森林の管理をこうしたらという前提条件の部分について、本当に成り立つのかどうかはだれも触れていないということで、もし前提条件が成り立たないのであれば、議論の展開が少し違ってくるのかなというのが、これは率直に思います。これが1点です。
 それからもう1つは、これはむしろ私自身は、専門外ですからこのことは全然わからないんですけれども、日本全体は丘陵、山地の地形が多いわけですから、日本全体の中でむしろ土壌と実際の降雨の浸透については、科学的ないろいろな見地はわかっている部分がおそらくあると思いますので、それは逆に私は率直に教えてほしい。
 こういう形で議論していること自体がやや不思議に思う。これは根本的な部分は、降った雨が基本的には浸透していくのか、地上へ流れていくのかというところが最初の分かれ目でありまして、それが裸地であるか、針葉樹なのか広葉樹なのかというのはむしろ別の問題だと思います。
 ですから、基本的に降った雨が浸透していたのかということについては、またはシラス土壌ならどうなのか、通常の関東ロームだったらどうなのか、九州のこの地域の地質だとどうなのかというのは、これはおそらく国土交通省であれ林野庁、どなたであれ、ともかくきちんと客観的にある程度の納得するデータは出せたんじゃないか。
 この2つが、大変実は不思議に思っているというのが率直な感想でございます。以上です。
(委員長)  ちょっと私も質問させてもらいたいんですが、3−1の8ページのところを、森林水文学専門家、あるいは林業の専門家に、もうちょっと丁寧に説明していただきたい。ホートン型地表流とか、A層側方流とか、林分とか、専門用語があってわかりにくいので、一般の専門外の人にもわかるような解説をしていただくとありがたいと思うんですが。
 どなたでしょうか。○○委員ですか。じゃあ、お願いいたします。
(委員)  私は森林水文学ということじゃないんですが、森林も含めて水循環の研究をやっています。20年ぐらい前まで、多摩ニュータウンで、都市化によって流出がどう変わったか、自然状態のところと都市開発されたところで、10年間程観測して、土壌水文とか浸透のこともやったという経験があるので、森林水文学ではありませんけれども、この程度の説明はできると思います。
 まず前提として、森林の効果というときに、それは何かというと、3つの部分に分けて考えるのが分かりやすい。1つは樹木そのものです。樹木があって根があるという、その樹木がどういう機能を果たすかということと、それから2番目がその下に土地があって、森林があるために森林土壌というものが形成されている。その土壌層も、表面のほうがふかふかで、だんだん空隙が少なくなるという。3番目は、その土壌層の下にある基岩です。もともとのジアナがあるわけです。
 そのそれぞれの効果を分けて議論しなきゃいけないんですが、ここでは治水計画が対象としているように異常豪雨を対象に考えます。木の効果を考えていますと、これは洪水に対してですけれども、いっぱい雨が降っても、針葉樹林のほうが表面積、面積が広いですから、たくさん保留するんです。広葉樹は葉の面積が狭いから少ない。針葉樹のほうが葉の面積が大きいんです。面積で比例しますから。杉とか何かはものすごく、1枚の葉でもぐじゃぐじゃしていますね。広葉樹は葉がぺろっとしているのではつきにくいという、そういう意味です。
(委員長)  葉と葉の間でどう持つかということですか。
(委員)  葉が針になっているという。松だったら葉と葉の間とか、そういうことです。
 その量はたかだか、針葉樹の多いのでも1mmとか3mmとか、これは森林水文学でむしろ○○委員なんかがよくご存じですけれども、調べておられる。広葉樹はせいぜい多くても1mm程度である、面積当たりに直して。だから、少なくとも洪水のときには……。
(委員長)  面積というのは地表の面積ということですか。
(委員)  地表の面積に対して1mm、雨に対して1mm。ですから、いかにうっそうとしていて、木が洪水をとめてくれるという印象を持たれるかわかりませんけれども、洪水は、ここでやっているのは400mmとか、そういう雨を対象にしているわけですから、雨の降り始めのところでサチュレートしてしまうから、木の影響は考えなくてよろしいです。ということで、次に土壌の話になるわけです。
 土壌は、森林土壌というのは調節効果を持っているわけです。そのときに、ここでホートン流とか団粒とか言うんですけれども、地上の浸透の能力というのはどれだけ時間当たりしみ込むかというのが浸透能という概念ですが、それが、例えばコンクリート、アスファルトなら全くしみ込みません。あるいはもうちょっと土でも、粘土質の土が表面に出ていれば、これは雨が強くなれば、そこからしみ込まないで、表面がすぐ飽和状態になって流れ出す。そういう状態をホートン流と言います。地上面の浸透能力が雨よりも弱くて、それが地表を襲って流れるのをホートン流。
 一般には、森林土壌ではそういうことは起こらなくて、これは世界中そうで、実は、こういう細かい議論ができるようになったのが、この分野ではそう古いものではありません。○○委員、覚えていますか。ヒルスロープハイドロジーというのは20年ぐらい前に、いろんな検証ができるようになって、森林へ入って、こと細かく土壌の中の流れとか地下水の流れというのを計測するようなことが始まって、こういう議論が出てきたんですけれども、これは日本だけじゃなくて、外国の森林があるところでは降雨強度、雨の強さを上回る浸透の能力がある。
 一たん浸透して、先ほど申しました土壌の中でも、上はふかふかで、中間的な層があって、基岩の浸透がしにくいところがある。そこまで来ると、そこで浸透できなくなって、斜面に沿って横の流れができてくる、一たんしみ込んだものが。それをここではA層側方流と言うようになっているわけです。
 それから、イメージとして木の影響、土壌の影響、土壌が鉛直に浸透するだけでなくて、斜面に沿ってしみ込みにくい層があるから、そこへ側方に流れる、それによって、それがだんだん斜面の下へ行って、わき出してきて、それが洪水を形成するというのが、森林地帯での洪水時の水の流れで、もちろん局所的に凹地や溝のようなところがあって、そこでわき出すようなことがあります。また斜面土壌層の中の側方流が低い谷底近くで洪水期間中に地表に出てきて、洪水になる。斜面全体を流下するような現象ではないというのが最近の一般的な知見です。
 もう1つ、先ほどの議論の中で、木を切っても土壌が保全されていればという議論がありました。一般的に日本は四季があるわけです。熱帯地方では、森林を伐採すると、これは灼熱の太陽で腐葉土が分解して植生が回復しないんですけれども、日本の場合には幸いにして4つの季節があって、落ち葉が落ちるとか、太陽がそんなに養分を分解する能力がないので、一般の山でははげ山になることはないんですが、ただ唯一あるのが花崗岩の真砂地帯。
 花崗岩の真砂地帯というのは、一たん木を切ると、その上の腐葉土が流れやすくて、これはご存じのとおり、花崗岩の真砂地帯というのは日本で治山治水というのが始まったように、はげ山があるのは花崗岩の真砂だけなんです。ほかは切っても必ず植生が回復するけれども、花崗岩の真砂地帯では回復しないという特徴を持っているので、これも一般的にというか、どこでも同じ現象じゃなくて、土地の特徴によって違うということで、球磨川では少なくとも土壌が全部流亡するということは、伐採しても、今までもなかったし、これからもないだろうということが言えます。
 ここでは用語の説明の部分だけにして、これに対するコメントは今やったほうがよろしいですか。
(委員長)  難しい用語がありましたので質問したわけですが、よろしゅうございますか、今の説明で。
(委員)  今、○○委員から流出に関することと土壌に関する2つの話で、流出のことで1つつけ加えの説明をさせていただこうと思います。先ほど○○委員からお話がありましたように、1980年代にヒルスロープハイドロジー、丘のような地形のところで詳しく水の流れ方がどうなっているかということを調べられるようになりました。
 これはイギリスの丘陵地で発達したんですが、そのときに、今回の検討と非常に密接な関係のある考え方が出されました。それが流出寄与域という、洪水などのハイドログラフ、川の流量の変化でございますが、大雨のときにこれを形成する領域というのは、実は川のすぐ周辺だけで、それが大雨とともに、その周辺が広がっていく、徐々に。ただ、それは流域全体の面積からいきますと非常にわずかですという考え方が出てきました。これが、ですから、たかだか二十数年の歴史しかないんですが、現地観測、あるいは理論的、さらにはそれを数値モデルで表現するということで確かめられてきました。
 先ほど○○委員のほうからお話がありましたように、土の中はしみ込みやすさが下に行くほど、しみ込みにくくなりますので、しみ込む速度よりも上から来る速度が多ければ、水は横に流れます。そういうふうになって、この水の流れは洪水をつくるような強い流れではなくて、ゆっくりした流れです。
 ただし、それが川の近くの流出寄与域を若干ずつ広げていきます。それが川の近くへ行きますと表面へ出てきますから、その若干の広がりが洪水をつくるということで、森林の土壌の場合、先ほどお話がありましたが、あるいは実験でもありましたが、ほとんどがしみ込みますので、しみ込んだ土の中での鉛直方向のしみ込み方の違いによって、横に流れるものが谷部に集まって、その谷部のところの非常に湿っているところの面積が少し拡大することによって、洪水流が大きくなるという効果になっています。
 そういうことから言いますと、この実験にもございますように、実験で確かめられておりますように、森林の、この球磨川の状況では、表面を流れるような流れがそれほど大きいわけではない。河川周辺の流出寄与域を若干広げることに寄与していると考えます。
 それから2つ目の土壌のことでございますが、○○委員からお話がありましたように、土壌は植生とそこの基岩、下にある岩、それと気候条件によって違います。
 それはどういうことかというと、土壌を、植生の作用によってふわふわの土が増えるというのは、植生が葉っぱを落とすからです。しかし、気候が、温度が高いと微生物が分解する速度が増えますので、実は先ほどお話があったように、熱帯地方ではたくさんつくるんだけれども、微生物の分解も速いので薄い土壌になってしまう。ですから、木を切ってしまうと、その土壌はすぐ流れてしまうということになります。
 ところが、日本のように温帯の地域では、土壌を蓄積する速度と、それを微生物が分解する速度は若干土壌をつくる速度のほうが大きいので、土壌がどんどん蓄積されていきます、植生があれば。そういう中で、その蓄積が、木を切ったことでどうやって減るかといいますと、これは強い雨によって流れ去ること、流出することによってそれが減るということがございます。先ほどの、以前のほうの写真にありましたこの土砂崩れなどがありますと、そういうことが起こるわけです。
 その流出は何で決まるかといいますと、斜面の勾配と雨の強さと、もともとその斜面をつくっている基岩の性質によって違います。ですから、○○委員が先ほど、そんなことも調べられていないのかというお話がありましたが、気候条件、基岩の違い、植生、地形、さまざまな要因が密接に絡み合っておりますので、現実の問題として、水がどれぐらい浸透するかという観点で土壌がどんな性質を持っているかということは、この日本の中でも全面的には調べられておりません。
 ただ、特徴的なところにおいては幾つか調べられている結果がこういう資料に出てくるんですが、先ほど○○委員がお話しになった花崗岩の真砂地帯、これは近畿から中国地方に広がっているところですが、このところでは森林を切ると土壌がすぐ失われる作用が大きいです。それは複雑なプロセスがあるんですが、冬の霜だとかいろいろなプロセスがあるんですが、それによって日本の戦後は、あのあたりは一体はげ山でありました。非常な労力でもって森林の復活が行われたわけです。
 多少私が気になりますのは、今回挙げられている資料の中に、東広島とかそういうところの資料が多くありまして、そういうところでの浸透能の違いがデータとして出ておりますので、これをそのままこの熊本に使うと、大きな間違いを引き起こす可能性はあると思います。そういうことで、地形、地質の違い、それから気候条件の違いによって、この土壌の流出が、土壌がなくなることが大きな問題になりますが、少なくとも今回の共同実験等の資料を見る限りにおいては、この土壌の問題が森林伐採によって大きく影響を受けているということは少なくとも、この実験からは見てとることはできないように思います。
 それから、ちょっとつけ加えでございますが、この中で非常に重要な図とご説明があったので、1つだけ申し上げておきたいと思いますが、資料の横長の3−1でしょうか、それの3ページでございますが、3ページの右側の上にあるピークがどういうふうに時代とともに変わっているかという図でございますが、非常に重要な図だというお話がありましたので、一言コメントを申し上げたいと思います。
 先ほど言いましたように、○○委員からお話がありました植生による雨のカットがある。それから土壌によって、最初、からからの土壌のところに水が入る、そこの貯留は増えますので、そういうふうに最初のところの貯留の効果が全体の雨の中から引かれるという効果は森林には確かにあります。
 そうしますと、総雨量が大きい場合は、引かれるのは絶対値ですので比率ではございませんので、総雨量が大きい場合はあんまり影響しないし、総雨量が小さい場合はかなりの影響になります。そうすると、1955年から95年までの比率で比較しますと、その部分の情報がありませんので、必ずしもこれだけで森林の効果を論ずるということはできないということ、そういう1つのポイントがあろうかと思います。
 以上でございます。
(委員)  今のに関連します。今おっしゃった3ページの図は、もう1つ問題は、タンクモデルというのはどんなタンクモデルを使ったかというんですが、おそらく、ほかにもちゃんと出ているところがあるのかわかりませんが、資料3−6の89ページ、これが○○さんが使ったタンクモデルだと思うんですが、人工林とか広葉樹林というのが書いてあって、これはタンクの上のほうが表層に近いところの水の流れで、中間タンクがもっと深いところの水の流れで最後が地下水の流れというようなイメージです。
 それで、下へ穴がついているのが浸透を表します。横穴が川へ出てくることを示しているんですが、言いたいことは、この穴が幾つあるかというと、上に3つあります。中段に3つで、下段に1つで、7つあります。それが要するに変数なわけです。この穴からどれだけ出るかという係数を決めてあるということが必要。
 それからもう1つは、横穴の高さも変数になります。そうすると、横穴の数は5つですから、合計12個の変数を持っているんです。これを雨のデータと流量のデータで合わせるという作業をするわけですが、1つのデータセットで合わせるのに12のパラメーターがあると、これはいくらでも、いくらでもと言うとちょっと語弊がありますけれども、パラメーターの組合せはいくらでもあり得るんです。1つに決まらないわけです。これがタンクモデルのいいところでもあって、穴を適当に調整すれば流量に合わせることができる。
 ですから、1つの洪水に対して決めたからといって、それがその流域のパラメーター、特徴をあらわすかということは、これは全く言えません。一般に我々タンクモデルを使うときには、数個のデータについて検証し、それも小さい雨に対して合わせたら大きい雨は検証にはならないわけですから、なるべく大きな雨が降った洪水に対して、幾つかの洪水を対象に、合わせて、それを検証としてほかのところに当てはめるということで、このモデルの正しい使い方になるわけですが、ここではたまたま1つの1995年のデータで合わせて、それを正しいものとしてほかの洪水に合わせているという意味では、実際にたまたまこういう計算が出たとしても、これが森林の効果だと短絡することは極めて乱暴な議論だと思います。
 それから、少し基本的なところへ行きたいんですが、その左の一番上、表ですけれども、針葉人工林と広葉樹・自然林が樹齢によってというのがあって、自然林を1として、どれだけ人工林が下がるかということですが、これも比率で議論する、比率はこうなっているかもしれません。ただ、これの絶対値はどこかにあるんでしたっけ。これの比率を出す前の絶対値は。人工林と、それからどこかにあったんですが、私ちょっとすぐには出てこないんですけれども。ちょっとこれの比率を出した元のデータが資料のどこかにあったら、探していただきたいんですが。
 要するに僕の記憶では、人工林といえども時間当たりにして400mmとか500mmという浸透能を持っていて、広葉樹林のほうが1,000mmという値が出ていましたけれども、要するに先ほど事務局のほうからもお話がありましたが、時間当たり400mm、500mmというのは、これは雨量に比べたら圧倒的高い浸透能です。
 日本で時間雨量で最大記録というのは、1982年の長崎豪雨、300人近くの方が亡くなった、あれが時間当たり187mmです。日本で一番雨が降ったときが時間当たり187mmなんです。世界的に見ても、250mmとか260mmという例はありますけれども、時間当たり400mmの雨が降ることはないわけです。ですから、絶対値から見たら、相対的にはこういう比率になるかわかりませんけれども、人口林でも十分鉛直には浸透させてくれますよということです。だから、これをもとに下のグラフも出ているのではないかと思うんです。
 そういう議論、比率での議論をやるのは非常にまずくて、やっぱり絶対値でこれについては見ていただきたいと思います。
 それで、先ほど3ページの左上のもとになっているのが3−3の54ページ、これは広島県と書いてありますね、先ほど○○委員が指摘された。これの値は、鉛直浸透試験というのは本当は非常に難しくて、○○委員に後で補足していただきたいんですが、全部横へ、ある程度までシリンダーを入れても外へ逃げますから、非常に過大な値を与えるのは事実なんですけれども、だからむしろ私自身は、A3の5ページにあった左側の下の、○○さんの森林水文学のデータのほうをむしろ妥当な値だろうと思います。この値は、○○さんがやられたんですか、ちょっと過大だという気がします。
 これにしても、見ていただければ、全部時間当たり200mm以上、だから日本の記録した最大雨量よりもかなり大きな値で、九州の長崎豪雨のような雨が降っても、森林のある斜面のようなところでは浸透することができるということを意味しているということです。
(委員長)  専門家の先生からいろいろと解説がありましたので、これを踏まえて、ただいまの報告等についてご意見を承りたいと思います。地元からご参加の○○委員、お願いいたします。
(委員)  今までの森林の保水能力という点でございますが、川辺川の流れている地域の特性でございますけれども、先ほど○○委員は傾斜ということをおっしゃられました。これは両岸が大変な急峻な山でございまして、雨が降ったらすぐに流れ出る、そういう地形なんです。それからもう1つ本質的に私どもの地域は、熊本県内でも阿蘇地方と私どもは年間の総雨量が非常に多いところでございます。また、前回も申し上げましたけれども、台風の通過地域でございまして、毎年1つ以上の台風が来るというところでございます。
 よって、山そのものはいつも水が飽和状態といいますか、浸透していくだけの余裕を持った山の状態ではないんじゃないかと思っております。私どもの地域では10万人以上の人間が生活していますけれども、その飲料水は全部地下の湧水でございまして、水が非常に豊富ということはありがたいわけですけれども、常に森林においては水を浸透していくだけの余裕は多分ないのではなかろうかという感じを持っております。
 先ほどうちの知事が森林のことについて随分心配してございましたけれども、そのとおりでございまして、熊本県内で植林の放棄地が一番多いのもまた私どもの地域であるわけです。放棄地が多いということは、山そのものが多いということから放棄地が多いわけですけれども、今後は県の支援をいただきながら、森林での植栽といったものにも力を入れていきたいと思いますけれども、しかしながら、残念ながら林業も相当疲弊していまして、植林をする人がまた探すのが大変だというような状況でございます。それが私どもの川辺川周辺の山と水、そういう関係でございます。
(委員長)  それでは、地元から河川工学の専門家としてご参加の○○委員、お願いいたします。
(委員)  大体今まで出てきた意見と同じなんですが、先ほど○○委員が、森林が大事で力を入れているとおっしゃったんですけれども、これはずっと永続的にやっていかなきゃいけないわけです。今、中山間地が随分弱体化してきているということ、雨の降り方自体が最近どんどん変わってきているということを考えると、森林に過大な期待はできないんじゃないかと考えています。
(委員長)  じゃあ、河川工学の専門家のほうで○○委員、お願いいたします。
(委員)  私も試験地での観測、東京の八王子試験地等での経験等もございますが、既に○○委員とか○○委員がおっしゃったように、森林を含めた流域という中では、降雨規模との関連で出水とか洪水の出てきかたを考えなければならない。ある場所の、何もかも拘束した形の円筒浸透計の浸透能がでているが、実際には雨の降り方の時間的なプロセスが、場所の問題を含めて、あると思うんです。
 既にお話があったように、小出水では裸地域、これらには林道・透水性の低い一時的水みち、踏地・岩石の露出部分などがあろうかと思いますが、そういうところで、先ほどのホートン流の表面流だけがある程度出水においては形成寄与するのであろう。中小出水ではこういった裸地域でのホートン型の表面流と、それから森林土壌の上のほうにありますA層側方流、こういったものがあわさった形の出水というのが出てくるのが流出の出てき方だろうと。
 大出水になりますと、裸地域からのホートン型の表面流とA層側方流、それを超える飽和表面流といいますか地表流、こういう形で、そういったものの発生場が、先ほど来ありましたように斜面の河岸、あるいは河道近くのそういったところに、表面流のソースエリアという形のA層側方流を超える表面流が発生して、それが雨が降り続けることによって拡大していく。こういう形の出てき方ということで、雨の規模、そういった形と、時間的な推移という形のもので形成されていっているというのがまず、大きな水文学としてのとらえ方としてあるんじゃないか。
 そういった形のものを、試験地とか、そういったところの小スケールが流域というkm2というスケールにアップするときに、そういった小試験地でのいろいろな観測、あるいは知見を反映させながら、流出モデルという展開で流域というところでの洪水の形成の時間的なハイドログラフという形のものが観測され、それを記述、説明することができるということが出てきている。
 そういった形のものになりますと、ここにありますように、前回ご説明があった流出モデルとして、貯留関数法というのとタンクモデル法という形のものが実用的に多く用いられているわけですが、先ほどご指摘があったタンクモデルの使い方の、その内容は、先ほどコメントがあったと同じような取り扱いで私も見るわけですけれども、貯留関数法については前回も少し、また基本高水を出すときにという追加のご説明をお願いしたいというのをいたしました。
 そういった中で、一部資料に出てきているものを見ますと、40年代、50年代、そういった時間の推移を見ても、森林の面積、樹種等の若干の変化がございますけれども、そういったことからして、貯留関数法で同定された値がどの時期の大きな洪水、出水、そういったものについて再現がなされているということで、流域規模で見ましても、概念的なモデルでありますけれども、流域の森林の変化率という形のものが若干あるとしても、そういった形のものを同じ同定パラメーターですべての時期の大きな出水が再現されているということからすると、そういった森林の樹種の部分的な、そういった形のものが試験地規模では若干あるやに思っても、そういう形のものを大きな雨では飽和した形の流出モデルがなされているとすると、そういった変化のない形で同定パラメータを定めて、それを計画値とすることはうなずける。
 むしろ雨の計画降雨の与え方、そういう形のものをテーマにして、森林の保水機能の問題、時間推移というものを考えた場合には、そういったモデルで十分説明のできる内容になっているんじゃないか。そういうふうに思う次第でございます。
(委員長)  小さな流域の試験地で流域全体を推しはかるということなのか、雨が降ったものが出てきた流量をよく観測することによって、そこはある程度ブラックボックスになるけれども、そう変化がなければ変化ないというご趣旨ですかね。わかりました。
 ○○委員、お願いいたします。
(委員)  私はこの課題で関心があるのは、具体的に川の洪水流量にどんな形で森林の保水力が効いてくるのかということです。そういうことを意識されて、現地で力を入れた実験をされたこの試みは大変すばらしいことだと思って、データを見せていただきました。
 まず、最初にタンクモデルについて私の考えを述べます。私は、タンクモデルにを豪雨に伴い土中の水分濃度が上がることによる山腹の土砂崩壊の推定に、使いました。その結果は、たくさんの豪雨と崩壊発生のデータを使ってパラメーターを同定し検討しました。どれくらいのパラメータ数値を用いれば、この土砂崩壊を起こすような土中保水量となるかについていろいろ検討したんですが、先ほど○○委員が言われたように、多くのケースを的中させるためには、かなりの数のデータを用いてパラメーター同定を行う必要があります。
 大体、多くの人がやっているように、多くの崩壊データ、そのときの雨量データを用いて崩壊の発生を検討してみることによって、何とか、それらしい限界保水量を求めることができます。タンクモデルはたくさんのデータについて検討しなければある程度信頼できる答えが得られないというのが本当のところです。
 次に現地試験について述べます。委員会に先立って森林の保水力の共同検証の専門家会議資料を勉強させていただきました。この結果に対し両者が言われていることについて、データをチェックさせていただきました。
 その結果、どうしてこれらのデータから、両者の言っていることが違ってしまうのか不思議に思っています。試験地面積の大きさがほぼ同じ大きさで、そのときに樋を通って出てくるポトン流量が総降雨量の1%弱という量です。この数値がどんな意味を持つのかについて、河道を流れる洪水現象に突き合わせたみたときに、何で違う答えになってしまうのだろうか、認め合うところがどうしてないんだろうか、ここはそうだと、だからもっとこういうふうに考えようとかという、そういう議論にほとんどなっていないことを残念に思います。
 この試験結果を見ると、明確にいえることがあります。しかしながら両者の出発点での考え方が違っているものですから、それにこだわりすぎちゃって結果の解釈が異なってしまいました。もっと明確に言いますと、反対グループの言っていることは、試験結果の解釈にだけこだわり、河川洪水流に対してこの結果をどう解釈すべきかを考えずに、試験前の主張と同じ展開をしています。
 試験結果は雨量200o程度についてのもので、これについては、十分議論する必要はありますけれども、総雨量のうちホートン流出が1%以下になるという数値からは、洪水流量に効ないという結論が導かれると考えます。もちろん、この小さい流域の流出量を全部足していったら川の洪水流量になるかというと、必ずしも一致しませんが、少なくとも方向としてはここで出ている試験結果からは、そういう答えが導かれます。
 雨から洪水流出を考える上では、降った雨が川の中に出てくる時間洪水の到達時間が非常に重要です。洪水の継続時間、そして雨の継続時間と到達時間の関係、もちろん地質も大事です。地中に浸透した部分と地表面を通ってくる部分の流出形態は違うということは、すでに明らかになっています。問題は、ここで行われた試験よりも、大きい雨が降った場合の洪水流量に、この結果はどのような解釈を与えるかということです。
 そういうことで、私が申し上げたいのは、森林の保水力の共同検証という試験はすばらしいことをやっていただきました。これを素直に評価することを、この委員会ではぜひやらなきゃなりません。立場によっていろいろな見方をしてということはあるので、これを、科学的に判断することが、私たちに与えられている重要な役割じゃないかと思います。その時も、計画規模の降雨が降ったときに、ホートン流があるか、ないかの議論よりも、降った雨と実際の河道に洪水となって出てくるものの関係について、十分考えなければなりません。
(委員長)  結果は結果として、○○委員が言うように、いまだに意見は合っていないんですよね。私が聞いても何となく合っていないんですよね。両方正しく聞こえちゃうんですね。それは何なんだと。
(委員)  最終的なゴールである豪雨と洪水流量の関係の議論と今回の現地試験結果の議論が正しく結びついていないんじゃないかと思うんです。
(委員)  見方が違うんでしょう。この辺は次回の議論になるんだろうと思います。
(委員長)  わかりました。それでは、○○委員はいかがでございますか。
(委員)  私も○○委員と同じ意見でございます。非常に貴重な共同検証の実験をされたと思います。この結果をどう見るかということが、お互い歩み寄りが要るという気もしますし、ただ、この結果がまだ感覚的にしか議論できない、多いのか少ないかというとらえ方しかまだできないような気がします。
 といいますのは、例えば、専門家のコメントで、ホートン型地表流は起こらないと考えて、あるいはA層側方流云々という話、あるいは一方で浸透能が云々という話があるわけです。実はこれは物理現象そのものを明らかにしないとわからない話なんです。
 ところが、量、これだけの1%にしか過ぎないという量を、多いと見るか、少ないと見るかという、またこれは感覚論になってしまっている。
(委員)  そんなことはないです。
(委員)  いや、私はそう思うんです。
(委員)  豪雨と洪水流量との関係で議論すればいいわけです。
(委員)  そうそう。結局はそうなんですけれども、一方で、モデルとの乖離があると思うんです。こういう観測をされて、その観測結果が、例えば用いているモデルの、こういうパラメーターで皆さんいいですね、こういうパラメーターを使うことで合意しましょうという、そういったことにも全然なっていないんですよね。それが私は非常に残念な気がします。
 ですから、こういうことをせいというわけじゃないんですが、例えばそういった飽和、不飽和の浸透流のモデルを使って、どういう流出の仕方をするのか等々、例えばキネマティックウエーブのモデルで必要なパラメーターで計算してみるとか、そういった方向で、なるべく起こっている物理現象に即したモデルを用いるということと、そのモデルに用いられるパラメーターというものをいろんな方々が合意して、こういったパラメーターを使いましょうという格好でやっていけば、将来、もう少し森林の持っている機能というんでしょうか、保水力というんでしょうか、そういったものがある程度共通の認識が持てるんじゃないかなと私は思います。
(委員)  資料3−5の9ページのところでごらんになっていただければと思いますけれども、熊本での検証作業の中でも浸透能調査が反対派の皆さんたちから提案されております。しかし双方の合意ができないで、実施に至っていないといういきさつがございます。
 今、委員の先生方のお話を伺いながら、こういったいきさつも踏まえて、森林保水の共同検証も双方が合意の上でやるのが前提ということでありましたけれども、実施に至らなかったという実態がございますので、ご報告をさせていただきます。今伺うと大変残念だったなと、そんな思いを改めて抱いているところです。
(委員長)  わかりました。○○委員もぜひお願いします。
(委員)  山のことはまだほとんどわかっていないのかというお話がちょっとございましたけれども、実は20年ほど前に河川工学の先生と森林水文の先生が共同で勉強会をやったことがあるんです。そのときの結論が、森林の機能は確かに認められる。しかし、これを定量化することはまた極めて困難であるということがわかったというのが、20年前の結論だったように思います。
 その定量化といいますか、大流域の定量化まで、それがなぜ問題かというと、1つは、2mぐらいもあるような森林の、地下で起こることをまず調査、しかもそれを再現することが全く難しい。その次には、○○委員が言われましたけど、ファクターが極めて多い、しかも大変に交絡しているということ。
 それから、まだ出ていませんけれども、時間の問題があるわけです。1つは、そういう効果は考えられるけれども、それが発現するのに短くても10年、長ければ100年、1000年という時間的なレベルの問題がある。
 反対派の方の出ているのを見ますと、場所によってかなり変動のあるものを別の地域に適用するという、全体のほうは進んでいませんけれども、個別に適用させていくというやり方は進んでいるんですが、それを誤ると、ちょっと間違った結論を得る。
 それから、例えば戦後の伐採のときに攪乱された。それは非常に条件が悪いんだから、どんどん条件がよくなってきている、こういうふうに言われるんですけれども、既にご指摘がありましたけれども、広島のような場合ですと、それも相当効くのではないかと思いますが、例えばA層に限ると言っているんです。それがB層にもかなり寄与しているようなケースについては、攪乱があっても、その程度というのは、影響というのは土層が深くなればなるほど薄まるということで、非常に大きいように言われていますけれども、それが果たしてそうなのかなということがございます。
 それからもう1つは、今の針葉樹は広葉樹を入れて混交林にすれば機能が上がる、こう言われています。それは考え方としてはそうなんですけれども、じゃあ、そのときにそれがどう考えられるかといえば、根系の量が増えるとか、あるいは腐食酸の発生によってB層以下、場合によってはC層まで影響があるということですけれども、例えば根系が増えるということでいえば、10年単位のレベルで議論ができるのかなと。ただB層、C層になると100年単位とか、そういうことなわけです。
 そういうことは、だから、時間をぐっと短縮して議論をされる間違いがあると思うんです。だから反対派だけじゃなくて、国土交通省は、いや、山のほうは200mmだから、これは決まっていると言われますけど、100年、1000年単位で考えれば、その機能は上がるという可能性もあるわけですけれども、ただ、ダムが必要かどうかという議論からすれば、100年先の議論はあんまり意味がない、こういうことになるのではないか、そう思います。
(委員長)  今、A層、B層、C層というお話があったんですが、ちょっとご説明いただけますか。
(委員)  広島の乾燥地ではA層がよく発達するわけです。ただ、球磨川流域で見ますと、褐色森林度B、Dというケースですと、あまり発達しないんです。むしろAとBと境がないようなことです。
 ですから、そういうことからいくと、攪乱がA層で起こった場合に、広島の場合はそれが非常に効いてくるけれども、球磨川流域ではあまり影響がないんじゃないか。
 B層については、腐食酸によって構造も発達すると言われていますけれども、それは時間がどれぐらいかかるということも言われているだけで、現実に掘ってみればわかるんですけれども、それがどれぐらいの時間かかるのかということはわかっていないと思います。
 それから、C層が相当側方流では効いているということなんですが、これらについて滞留の時間とか、そういうことについてはほとんど考えられてはいるし、現実に掘ってみればわかるけれども、それが理論的にどうなのかというところまではいっていないというのが現実だろうと思います。
(委員長)  ○○委員、まだわからないんですけれども、A層、B層、C層というのは、土壌の生成過程ですか。
(委員)  生成過程をおっしゃったんですが、簡単に素人的に言えば、上のほうは落ちてきた落ち葉がまだ未分解で……。
(委員長)  まだ土とは言えない。
(委員)  園芸屋で売っている腐葉土のような形であります。それでいいんですかね。
 その下にもうちょっと腐葉土層の割合が少なくて、土壌が含まれている、ミミズなんかがいて、ふんを出しているような団粒土壌みたいなのがある。それからもうちょっと基岩に近いというようなことですが、今、○○委員のお話は専門家だから非常に難しいんですが、要するに森林ができたとしても、土壌が生成されるには非常に時間がかかるということをおっしゃったんですね。
 つまり、今日の話でもあったように、森林の効果といっても木の葉っぱじゃなくて、その土壌がどれだけ保水力を持つか。でも私の非常に単純な、森林水文学から聞いた話では、A層という一番浅い、地表面に近い部分の土壌が1センチ発達するのに約100年かかるということですから、広葉樹をいっぱい植えても、1センチそれが増えるのに100年かかるということでは、これで保水効果を期待するというのは極めて難しい話だということだと思います。そのことを○○委員は専門家の立場から難しく言われたんだと思います。
 私も、間違っていなけりゃいいんですが、素人ですから単純化していますが。
(委員長)  ○○委員、どうぞ。
(委員)  時間が延長している中で再度発言して申しわけないんですが、実は私として先ほど不思議だったというのをもう1回言いますと、こういう点であります。
 つまり、確かに地元の努力というのは大変なことだと思いますし、それ自体はまさに尊敬に値するものすごく大きな、地元関係者は苦労されているとは思うんですが、その結果についての専門的なジャッジをする立場が小委員会の役目ではないと私は思います。
 個々の先生方が当然ながら見解を持つと、それを発言する機会がこの場であるのは当然いいと思います。私もそういう面では責任を持って発言したいとは思いますが、小委員会の機能は、基本方針策定に際しての基本的な治水の考え方として、基本的に今回の問題点の争点は、森林の保水力機能があると判断するかどうかというところに尽きると思いまして、それについてはやはり、私はまず国土交通省自身が、つまりここにいらっしゃるいろいろな専門家の方々は、熊本県も国土交通省自身もいろいろな形でお呼びすることはいつでも可能なわけですから、その見解についてはまずきちんと国土交通省や熊本県でやっておいてほしいなと正直言って思います。
 それをすべて基本方針検討小委員会の場でするというのは、この小委員会の役割として果たしてできるのかなと。つまり、その前段の段階でやっていただきたい。つまり、見解が分かれるのであれば、最後は判断として、こういう根拠とこういうことについて見解は分かれているけれども、この見解を採用しますというのをやはり責任を持っていただきたいというのが、私は国と県にはお願いしたいと思います。以上です。
(委員長)  委員会無能論になっちゃって心配なんですけれども、それでは○○委員。
(委員)  私は学生のときには河川工学の石原藤次郎先生の講義を聞いた程度でございまして、いわゆる河川工学の専門家ではありません。今回、この前地元のご意見はどうなんだろうとお話しましたら早速国交省が住民討論集会議事録のCDを送っていただきました。1回から9回、これを私は全部コピーしまして、このゴールデンウィークに読みました。これは何をやっておられるのかなと思って、全部で1,000ページぐらいありましたよ。
 私が感心したのは、○○委員が9回のうち8回出ていらっしゃる。1回8時間もかけて議論しています。意見交換会は県の次長さんがいわゆるコーディネーターになってやっているわけです。
 これを読みまして、意見がかみ合っていないと感じました。真理は1つなんですが、わからないことはわからない。わかることは、初めのスタートから反対、賛成、こういうディベートをやっています。そういう中での議論なものですから、途中で大変なことになっていまして、やじが飛んでくると「黙れ、このやろう、そこへ押し込め」とか言って、まるでシェークスピアの劇を見ているようです。長さからいうとドストエフスキーの小説以上のものを、私はこのゴールデンウィークに読みました。
 先ほど○○委員がおっしゃいました。このようにやっているのをきちっとこの場で理解してほしいと。
さて、我々がこれをどうしたらいいのかというときに、学問的にきちっとできることをここでまとめていただきたい。住民討論集会でもいろいろな学者先生が参加しておられます。
 学者の先生方が全国からいろいろ賛成派、反対派で来ておられて、それがいろいろな繰り返しをやっているのです。私の感想から申し上げますと、国交省のご説明も専門的なことが多かったようで、もう少し地元の、主婦の方たちが判るように説明することです。大学で河川工学を習ってきたものをそのまま持ち出してみても、本当に説得力ができているかと私も思いました。
 私も国の立場におりましたから、よく事情もわかります。国交省もどうしてもダムをつくりたいとか、そんなことじゃなくて、やはり地元のためにどうしたらいいか、国のためにどうしたらいいか、国策として洪水を何とかせにゃいかんと考えているのだと理解します。しかしながら社会はどっちを向いているかということもよく見ないといけない。そこは先ほど○○委員がおっしゃいましたように、地元ももうちょっとちゃんと整理して持ってきてくれんかいということです。
 この辺をまた議論しながら、ダムをどうするのか、私はダムだけではないと思います。流域の、○○委員のところの、現に洪水が起こっています。起こっているにもかかわらず、家の中にアユが入ってきて良いとか言う人も後ろにいらっしゃるのかもしれませんが、そんな意見を聞いていると、本当にこの球磨川はどうしたらいいのかなということで、私自身としても大変悩んでおります。
 幸いにして河川工学の専門家の方、森林の方が委員の中に多くいらっしゃいますので、ひとつよく議論いただきたい。「さっと行くのはだめですよ」とこの前申し上げのはそういうことで、今回たくさん資料も出していただいたので、ありがとうございました。
(委員長)  それでは○○委員、防災の立場からお願いします。
(委員) 天然の広葉樹林と針葉樹林の問題、例えば浸透率のことなどが先ほどから出ておりますけれども、災害という面から見ると、私は長いこと過去放送局におりまして、取材をした体験から、決して専門家ではないんですけれども、ですから定性的なことしか申し上げられませんが、明らかに災害という面から見ると両者は異なることがあって、例えば東北地方の白神山地、今、世界遺産になっています。
 ここはブナ林の保全の問題というのが1980年代にありまして、そのときに取材をした体験で申し上げますと、ブナ林というのは非常に保水能力が高い、小さな生物たちが土を少しずつほじくり返して、土の粒の間に水を蓄えているために保水能力が高いんだということが言われていました。実は保全問題が起きたのはなぜかというと、昭和30年代の拡大人工造林計画のときに、どんどん自然林を切って、杉とかヒノキのような針葉樹の人工林に変えていった時代があって、白神山地の一部でもそういうところがやはりありまして、地元の人に聞きますと、明らかに人工林に変えてから後というのは水害が起き始めているということを、現地を取材して聞きました。その点で、ブナ林というのはやはり守らなければいけないんだということを放送した記憶があるんです。
 それからもう1点、これは90年代の初めごろだったと思いますけれども、阿蘇の宮が大水害に襲われたことがあります。そのときにも現地を見に行ったんですが、あれはほとんどが流木災害、「これは土石流じゃない、木石流だ」と言った記憶があるんですけれども、その流木の種類を見るとやはり人工の杉林の杉なんです。
 そういった点を見ると、天然の広葉樹林に比べると、杉林のような人工林は根っこが浅くて山抜けを起こしやすいんじゃないのか。これは当然土砂災害につながっていくわけなんですけれども、「杉山大崩壊」という言葉が当時あって、NHKでも放送した記憶がありますけれども、明らかに広葉樹の自然林と人工の針葉樹林とでは災害の潜在性が全く異なっているんじゃないのか。この辺のところをどう考えたらいいのか。今日、お話を聞いていて、むしろこれは専門の先生方にお尋ねをしたいところなんです。
(委員長)  時間を30分以上超過していますけれども、一通り皆さんのご意見を承りたいと思います。○○委員、いかがでございますか。
(委員)  流出はあまり専門じゃないんですが、こういう現地での観測等をやります際にいつも私気にしておりますのは、スケールアップというか、小さい場所で実験したのを大きくしたときに結果が全然違ってしまう。それについて、こういうものはかなり難しいなというのが先ほどから資料を見せていただいての感想です。
 その他に関しては特にございませんが、今、○○委員が言われた人工林ですけれども、私も飫肥杉という、ここよりちょっと南側のところの山のほうでよく過ごしていたんですが、そこではあまり見たことないですね、
 災害というのは。結局、山の保守の問題だと思うんです。山がちゃんと管理されていれば、それなりのことはありますし、間伐がきちんと行われていなければ、当然、災害が起きるべくして起きる。そういったことじゃないかという気がしてしようがないんですが、ちょっと感想までです。
(委員長)  ○○委員、お願いします。
(委員)  今日のご議論にはちょっと専門外でわからない点もあったんですけれども、先月、実際に球磨川へお邪魔する機会を得ましたので、その感想と、あと、もしお願いできればということで、事務局のほうに2点ほどお願いをしたいと思っております。
 私自身は前回お邪魔した折には、いわゆる生物の生息環境という視点から川をずっと見せていただきました。生き物にとって重要な点としましては、いわゆる1つの水質、それからいわゆる物理環境という2点が挙げられるかと思います。
 水質に関しては、ダムだとか土地利用だという観点でこれまでもいろいろ資料をいただいているわけですけれども、前回行って、川辺川のほうが濁りがひどくありました。といいますのは、おそらく揚水発電ダムから、何か掃除というんですか、非常に汚れた汚い黒褐色の水が流れているのを黙認しました。それが一体、まあ、それなのかどうかということと、あるいは年にどれぐらいの頻度でされているのか。これは一過的なものかもしれませんけれども、それが蓄積していくことによって、特に付着藻類等にはおそらく影響が、少なくともその年にはあるのではないかと思いますので、1つは濁った原因、あるいは回数あるいは頻度といったようなものについて、少し次回お示しいただければと思いました。
 それから、あと物理環境のほうに関しましては非常におもしろい、興味深い場所も何カ所かありました。ただ、今、時間もありませんので1点だけ申し上げさせていただくと、やはり川の連続性ということを特に強調したいなと思います。
 例えば遥拝堰に関してもそうでしたし、ほかの荒瀬ダムでしたか、これは巨大な魚道がついておりましたけれども、これは撤収というようなお話もありました。特に遥拝堰のほうに関しましては魚道らしきものはついているんですけれども、そもそも魚道にトウガタメがたくさんあるがために魚道に取りつけ得ないという状況でもありましたので、特に不連続性というようなことが幾つか認められたということを、私のほうの1つの感想として、それを強調させていただきたいと思っております。
 そこで、そうした魚道等のいわゆる実績、つまり魚が登っているのか、登っていないのかという実績がもしあれば、ぜひ次回お示しをいただければなと思いました。
 私はここで1つテーマとしたいなと思っておりますのは、尺アユがなぜここにいるのか。尺アユがここにいる原因というのは一体何なのかということが1つわかれば、単にお魚の話だけではなくて、周辺の物理環境あるいは水質、そして彼らのえさというものに直接的に関与するということが考えられますので、尺アユの存在する理由ということを少し考えてみたいなということを思いました。
 以上であります。
(委員長)  環境関係はまた先で議論させていただきますので、ご意見をちょうだいしたいと思います。○○委員、お願いいたします。
(委員)  今日、森林の保水力の取り扱いということなものですから、あまり専門でもないんですが、興味深く議論を聞かせていただきました。非常に深い問題があると感じたところであります。
 ただ1点、内容的には小さい影響かもわかりませんが、この構図に関する森林の保水力の取り扱いをどう扱うのかという問題に合わせますと、流域全体でこの洪水問題も考えなきゃいけないだろうという感じを少し持ちました。県の資料ですか、遊水池のことを記述されたところがあったわけでありますけれども、農地も含めた土地利用、あるいはいろいろな流域内の施設、ため池とか水田をどう扱うのか、そういったものもこういった洪水に対する影響もあるのかなという感じを少し持っております。
 全体的な面積の面でいきますと、森林が80%で、残りのうち10%が住宅、あるいは7%程度が農地という状況でありますけれども、流域全体で見ていくと、そういったものも今後どうするのかなという扱いについて少し気になったところです。
(委員長)  わかりました。それでは、○○委員、またご意見ございましたら。
(委員)  時間がオーバーしておりますけれども、今日、国土交通省のほうから説明をいただきましたことと、委員の先生方からご指摘があったことと関連いたしまして、少し次回でも資料をいただければと思います。
 その1点は資料の2−1でございますけれども、補足資料として出されているところです。これは○○委員もおっしゃっていらっしゃいましたけれども、山腹崩壊によります土砂流出、これで川辺川の河床上昇が起こって、洪水災害が起こりやすくなるだろう、治水安全度の低下につながるおそれが生じるのではないかということを、私も○○委員のご質問、それから今日の中から感じたところでございますので、次回、そういった点についてぜひご説明をいただければと思います。
 モニタリングや砂防で対応しているというご意見、お話もございましたけれども、もう少し説明をと思います。
 それから、今、○○委員のほうからお話がありましたように、環境のところの中ではぜひ住民の関心が高い濁水、これを科学的に検証していただきたいと思います。
 それから、資料2−1でございますが、これは次回という形で議論されると思いますが、○○委員のほうからご意見がございましたけれども、水面を押し上げているのではないかということで、人吉市街部における人吉橋の下流左岸の堤防、この未整理箇所がございますけれども、これがいつまでに整理されるのか。あるいは何か整理されない理由がありますならば、それも次回ぜひお知らせをいただきたいと思います。当然、次回のところの中では、この点が論議にもなってくるかと思いますので、そういった点を準備していただければと思います。
 それから資料の平成17年9月台風における痕跡水位を見てでございますけれども、河積の不足箇所の上流で痕跡水位が高くなっておりますが、現計画では河床掘削で対応するということで流下能力を向上させる、それが可能かどうか、お願いをしたい。現計画については私はいろいろとまた伺いたいこともありますので、また次回にお伺いしたいと思いますけれども、次回、ぜひ今のような資料を含めて、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
(委員長)  時間が大幅に超過しまして、保水力だけの議論で今日は保水力について結論には至りませんでした。ただ、議論を専門家の先生からも聞いて、どこが違うのか鮮明になってきたと私は思います。樹種が問題だという論点と、いや、土壌が問題だというのは、大変明解に両者の発言が違っているなというのが私の印象ですけれども、これを整理していただきたい。
 それから手法は、先ほどスケールアップするとよく違うよねというお話がありましたけど、森林に降った雨が上を流れて、横に流れて、下にしみ込んでいって、結局は人吉のところにどう水が出てくるのか。いわば、マクロな工学的手法に対して理学的に空から降ってきた水分子がどんなふうに旅をして、川にたどり着くのか、これを解明しようという、大変新しい住民側、専門家の提案だと思います。1つの学説というところで立証するには幾つか課題があるねと、専門家から意見が出たなと私は思いました。
 係数が10もあっては、答えをいくらでも都合よく出せるねというお話もありましたし、答え次第でどうにも、ある意味ではなる。広葉樹と針葉樹で差があると思えば差がある計算もできるような状態なんですが、出た資料で、例えばさっき○○委員でしたか、3−1の3ページ右の図、これは比率をやっているけれども、量が足りないねなんていうお話もありました。これらも踏まえて、もう少しいわゆる在来手法と新学説とが学問的にどこが違っているのか。いわゆる新学説のここがおかしい、ここがおかしいと局地戦になってしまって、流出の全体像をどう考えるかというところに議論が至っていないので、いよいよ住民にはわかりにくくなってるという点があるんじゃないかと思います。
 それから、○○委員からは、そもそも国土交通省しっかりせいとおっしゃるんですけれども、委員会では国土交通省の提案が妥当なのかどうかを議論するところで、そっちを決めてから、ああ、そうですかと追認するわけにいきません。我々も独自の立場で考えなきゃいけません。
 そのときの視点をどうするのかということについては、また次回、おそらく○○委員も○○委員も、住民の生命・財産を守っていくという点では同じお立場だと思いますので、我々もそれは踏まえた上で少し次回議論したいと思います。事務局でもう少し今日の議論をわかりやすく整理していただいたらどうかなというのが委員長の注文です。
 それを踏まえて、今日説明を残したところを次回議論するという手続でいかがでございましょうか。そうですか。それじゃあ、今日の事務局の説明はどちらかというとふだんよりわかりやすかったと思うんだけど。それだけに時間を食ったということは大変難しい新学説だったと思います。これは大変実験的学説ですが、ただ、定説にまで持っていくのには少し時間がかかる。それまで放っておくのかねということもありますので、やっぱり人命・財産の問題ですから、その辺、比較しながら、次回議論させていただきたいと思います。
 また、事務局で資料の作成をそういうことで踏まえていただきたいし、ものによってはまた熊本県ご当局のご協力もいただきたいと思います。
 各委員には本議題につきまして貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。次回はそういうことで、私から宿題にしたことと、今日説明を残した基本高水ピーク流量について、引き続きご審議していただきたいと思います。
 本日配付された資料も含め、お気づきの点がありましたら、次回以降の議論にも反映できるよう、あらかじめ事務局までご連絡くださいますよう、お願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員のご確認を得た後、国土交通省大臣官房広報課、及びインターネットにおいて一般に公開することといたします。
 本日の議題は以上でございます。大変長引いて申しわけありませんでしたが、おつき合いいただきましてありがとうございました。

3.閉      会

(事務局)  どうもありがとうございました。次回の委員会は6月6日(火)10時〜12時に同じ会議室、11階特別会議室で開催いたします。これは球磨川の委員会でございます。またお手元の資料につきましてはお持ち帰りいただいても結構ですが、郵送をご希望の方には後日郵送させていただきますので、そのまま席にお残しください。
 それでは、閉会いたします。






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