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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第47回河川整備基本方針検討小委員会

平成18年8月31日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤   徹
委   員  伊 藤 和 明

金 子 信 二
小 松 利 光
齋 藤  晃
佐 藤  準
瀧 本 浩 一
谷 田 一 三
浜 田 康 敬
福 岡 捷 二
虫 明 功 臣
石 川 嘉 延
二 井 関 成
古 川  康


1.開      会

(事務局) お時間前ですけれども、皆さんおそろいですので、ただいまより、第47回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。
  私は、本日の進行を務めさせていただきます事務局の○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、お手元にございます資料のご確認をお願いいたします。議事次第、名簿、配席図の3枚がございます。それから、資料目次がございます。本日は、資料1、これが付議書及び付託書。それから審議会の運営規則。河川分科会の運営規則。一級水系にかかる各種諸元になっております。資料2でございますが、大井川水系、佐波川水系、嘉瀬川水系、この特徴と課題でございます。資料3でございます。河川整備基本方針(案)の骨子ということで3水系ございます。資料4でございます。工事実施基本計画と河川整備基本方針(案)ということでございまして、これについても3水系ございます。資料5でございます。基本高水等に関する資料(案)でございます。これも3水系ございます。資料6でございます。流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する資料(案)。こちらも3水系ございます。資料7でございます。土砂管理等に関する資料(案)。こちらも3水系ございます。
 それから参考資料、まず、参考資料1といたしまして、各3水系の流域及び河川の概要(案)でございます。参考資料2、3水系の管内図でございます。参考資料3、3水系の流域図でございます。資料に不備等ございましたらお申しつけいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の審議はAグループでございます。会議に先立ちまして、本委員会の新しい委員をご紹介させていただきます。
 大井川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として、○○委員でございます。
(委員)  代理の○○でございます。
(事務局)  地元に詳しい委員として、○○委員でございます。
(委員)  ○○でございます。
(事務局)  佐波川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として、○○委員でございます。
(委員)  代理で参っております○○と申します。
(事務局)  地元に詳しい委員として、○○委員でございます。
(委員)  ○○でございます。よろしくお願いいたします。
(事務局)  嘉瀬川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として、○○委員でございます。
(委員)  代理の○○でございます。よろしくお願いします。
(事務局)  地元に詳しい委員として、○○委員でございます。
(委員)  ○○でございます。
(事務局)  本日は○○委員、○○委員、○○委員、○○委員、○○委員、○○委員は、ご都合によりご欠席でございます。
  傍聴の皆様におかれましては、傍聴のみとなっております。議事の進行にご協力をお願いいたします。
  本日、本委員会でご審議いただく水系は、大井川水系、佐波川水系、嘉瀬川水系の3水系です。大井川水系、佐波川水系及び嘉瀬川水系の河川整備基本方針につきましては、去る6月14日付で国土交通大臣から社会資本整備審議会長に付議がなされ、6月26日付で同会長から河川分科会会長あて付託されたものであります。
 それでは、○○委員長、よろしくお願いいたします。  

2.議      事

 

(委員長)  ○○でございます。本日は、委員の皆様には、ご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、議事次第に沿いまして、大井川等3水系の河川整備基本方針について審議をいただきたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
(事務局)  事務局の○○でございます。それでは、座って説明させていただきます。
 まず、簡単に流域の概要を画像でごらんいただきたいと思います。まず、大井川でございますが、静岡県の少し西部といいますか、真ん中ぐらいを、上流のほうは南アルプスでございます。3,000m級の山のところから流れ出ている川でございます。間ノ岳のふもとから流れます。ずっと山間の狭窄部を過ぎまして、幾つか湖みたいなのが見えますが、発電用の井川ダム、それから洪水調節その他多目的のダムの長島ダムなどがございます。川根を過ぎまして、長島ダムは平成14年3月に完成しました多目的のダムでございます。寸又峡、温泉などもございますが、そのあたりを流れていきます。山合いを蛇行しながら流れている川でございます。
 これは発電用の取水の堰でございますが、この川はたくさん取水がなされております。先ほど七曲り、曲がったままずっと進行していくといいますか、蛇行をしております。神座、ちょうど扇状地の一番上のところが基準点になってございます。見ていただいている牛尾、このあたりは昔、山内一豊などが治水対策をやってきた場所でございまして、このあたりからずっと扇状地の広がりになってきます。赤いところが流域の下位なんですけれども、実際周りに見えます市街地も洪水になったときあふれていく、氾濫区域としては周りの市街地もみんな含んでいます。東海道の主要幹川がたくさん走っている川でございます。河口部を今ごらんいただいています。
  恐縮です。お手元の資料のA3判の横長で資料2−1と右肩に書きました大井川水系という資料をごらんいただきたいと思います。時間の関係もあって、さっとはしょった説明になるかと思いますが、よろしくお願いします。
  まず、1ページ目、「流域の概要」でございますが、見ていただきましたように、南アルプスから流れていきます。左側のほうに縦断の勾配の図面がついてございますけれども、そういう川でございますので、かなり河床勾配のきつい急勾配の川でございます。左下のほうに平面図がございます。上流のほう、北のほうの山間部から流れてきて、下のほうへずっと行きまして、牧ノ原のほうまで行きます。それからその下が広く扇状地が広がってございます。
 真ん中の土地利用図というところをごらんいただきますと、これは黒い線で囲みました川側の部分が流域ですが、青い線で囲みましたところが想定氾濫区域です。ですので、扇状地でございますから、ひとたびあふれますと、広がって洪水が流れていくという場所でございます。扇状地を断面で切りましたのが右側の図でございます。真ん中に大井川があって、周りが低くなっている。こういう地形のところを流れているわけでございます。
 上のほうに上流から山間部、左下の図にもございますが、中央構造線とか糸魚川-静岡構造線の間にある場所でございますので、かなり崩壊地も多い場所でございます。それからその下、中流部が写真の真ん中にございます。先ほどもありました七曲り、蛇行したまま侵食していって、そのまま流れていく川でございます。下流部は海のほうまでずっと扇状地が広がっているという地形でございます。下のほうに諸元等を書かせていただいておりますが、流域内人口は9万人ですけれども、想定氾濫区域内人口は30万人という場所です。下流のほうは東海道のいろいろな産業の盛んな場所でございます。ウナギ、茶畑、ミカンその他の農業、水産業がございますが、それ以外にいろいろ製薬、化学、製紙などの工場もたくさん立地してございます。
 1枚おめくりいただきまして、治水対策といいますか、洪水の話としてどういう状況かというところをごらんいただきたいと思いますが、左上のところには、江戸時代の河川改修というのを書いてございますけれども、左側の写真に「出し」というのが書いてございます。こういう急流河川でございますから、流れが強く、河岸、堤防に当たるのを防ぐために「出し」というものを、突堤を出して流れを川岸のところまで行かないようにしております。そういう場所が真ん中の地図にちょんちょんと黒く「出し」というのを引き出しておりますが、場所でございます。
 それから上の地図では、黄土色といいますか、ベージュのところにたくさん黒い点々で書いてありますのが舟形屋敷の分布状況でございますが、これは下のほうに写真と図面がございますが、こういう扇状地に洪水があふれた場合、大変な被害になるということで、大体屋敷の前のところでといいますか、流れが来ましても、屋敷には直接当たらないで流れを二またに分けるような、そういう舟形のつくりをしておりまして、イヌマキとか、洪水に強いような木を植えて、また家も水屋といいますか、少し高くしてつくっていると、そういう昔からの工夫をしている場所でございます。
 右上のほうを見ていただきまして、中世〜近年ということでございますが、先ほどもちょっとございました山内一豊の「一豊堤」などがございます。右側に図面がございますけれども、神座という緑の斜線を引いた、ちょっと見づらいかもしれませんが、そのぐらいから下のほうへ流れがございます。昔は、青い矢印で書きましたように、この絵でいうと下側、川でいうと右岸側のほうへあふれて、それがちょうど流れが曲がって反対側の島田の中心部のほうへ流れるということでございましたのを、今、川の絵が書いてありますようなほうへ流れをつけかえてございます。この辺のつけかえるための堤防が上の写真でございますように、青い点線は一豊がつくった「一豊堤」とか、最近の堤防は赤い点線で書いたようなところでございます。ここに牛尾山という山がありまして、ここはこの流れのこのあたりのネックになっているところでございます。後でまたその辺の対策の話もさせていただければと思います。川はそういう状況でございます。
 1ページおめくりいただきまして、これまでの時間的な経緯を左側のほうへ入れてございます。大きなものとしては、昭和29年、上から4段目ぐらいでございますが、5,500m3/sぐらいの洪水が流れたりしております。その後、昭和36年、このあたり被害家屋が3,000戸、2,700戸というような洪水が流れてございまして、昭和33年に直轄管理区間ということで事業を実施してきてございます。
 現在は、昭和49年につくりました工事実施基本計画、基本高水のピーク流量が1万1,500m3/s、計画高水流量が9,500m3/sという計画で今実施しております。基準点は神座という、先ほどの扇状地の一番上の部分に当たるところでございます。その後も、昔ほどの大きなものではございませんが、昭和54年とか、昭和57年、昭和60年など幾つか洪水が発生してございます。
 上のほうには近年の被害の一部を載せてございますが、こういう急流河川ですので、真ん中上の写真は、河岸がかなり洗掘されたり、侵食されたりするというのがこの川の一つの問題といいますか、課題でございます。
 それから下のほうにあります、これまで実施された治水対策の絵は、そういうことで今までやってきておりますのが、堤防もございますが、赤い三角で書いてある災害復旧箇所というのは、大体流れがこの絵の中で水色のところがあっちへ行ったり、こっちへ行ったりといいますか、ある程度の幅の中で流路が安定しないで網状に流れていきますので、そういうものを川岸のほうまで行かないようにといいますか、そういう護岸をつくったり、水制をつくったりという仕事をこれまでしてきている川でございます。また、長島ダム、先ほどありましたが、平成14年3月に洪水対策その他の目的で完成してございます。
 1枚おめくりいただきまして、現在の基本計画の中身でございますが、工事実施基本計画は、左上にございますように、確率規模で100年に1回のものということで、基本高水のピーク流量が神座地点で1万1,500m3/s、上流の洪水調節施設で調節いたしまして、計画流量、河道へ流しますものが9,500m3/sという計画でございます。
 左下のグラフで見ていただきますと、これは経年的に雨量と流量が書いてございますが、昭和49年のところで現在の計画がつくられてございますが、その後も、雨は少し大きなものも時たま来ておりますが、洪水としては、下のグラフのようにこれらを超えるようなものも出ておりませんので、何か大きく変更しないといけない事情があるというものではないかと思います。
  真ん中下でございますが、これを流量確率で評価をいたしておりますと、これまでの流量をあわせて、大体確率1/100ぐらいのものというのは、拡大図にもございますように、8,700m3/sから1万1,600m3/sぐらいになりますので、現在の計画の1万1,500m3/sというのは、最近の流量データまで入れても妥当なものではないかと思います。
 それから右上のほうは過去の洪水の痕跡なども含めまして、そういうシミュレーションをしてみますと、寛政4年の洪水では1万1,500m3/sから1万2,500m3/sぐらいの洪水が発生していたと思われます。そういうことも含めまして、現在、工事実施基本計画で1万1,500m3/sが基本高水ピーク流量になってございますが、この基本方針の中でも基本高水のピーク流量につきましては、同様に1万1,500m3/sのままでよろしいのではないかというように考えてございます。
 1枚おめくりいただきまして、そういう流量に対して、実際の川のほうでの対策の中身でございますが、左上のほうにまとめて、文字ばっかりで大変恐縮でございますが、流れといいますか、ストーリーを書いております。大規模な引堤といいますか、下流のほうは先ほどのように東海のかなりいろいろな産業や住宅その他の開発がされている場所でございます。島田市、大井川町等の沿川の土地利用から堤防を広げるというようなことはなかなか難しい場所でございます。また、河道の掘削は後でも出ておりますが、先ほど来ありますように、土砂の供給が非常に多い川でございますし、そういうものがちゃんと安定して維持するということが一つこの川の重要なテーマでございますので、現状の河道を大事に考えるというか、現状の河道でどのくらい流れるかということを中心に考えようというふうにしております。そういう意味で現在の9,500m3/sというのが計画高水流量でございますが、この計画の流量をきちんと達成していくというのがこの川の基本ではないかと思います。また、これにあわせまして重要交通網、たくさん東海道は道路、鉄道がありますが、そういうほかのものもこれまでもつくっておりますし、今も整備中でございます。
 それから洪水調節につきましては、上流で2,000m3/s調節をいたします。1万1,500m3/sで、河道が9,500m3/sですから、上流で2,000m3/s調節する予定でございますが、先ほどありました長島ダムで、左側に書いてございますが、大体基準点、下流では1,000m3/sぐらいの効果がございます。ということは、残り1,000m3/sぐらいまだ上流で洪水をためるという必要性がある川でございますが、左側のほうにありますように、この川は発電を中心といたしまして、たくさんのダムがございまして、それらの総貯水容量は約3億7,000万m3/sぐらいございますので、この中で有効活用といいますか、治水への活用というのを今検討中でございます。十分対応できると思いますので、残りの1,000m3/sにつきましては、こうしたダムの有効活用を図っていきたいというのが基本でございます。
 それから右側のほうに流下能力の図が書いてございます。左側が河口部で、右側のほうが上流部です。それで一番右側のほうが「神座基準地点」と書いてございます。下の青い線が平均河床高で、計画高水位というのが黒い線で書いてございますが、洪水がこの計画の流量を流れますと、見ていただきますと、河口部が少し足りないのと、それから右上の牛尾地区というところがまだ足りないという状況でございますので、このあたりの対策をしていくという川かと思います。
  下のほうには下流河道、先ほど来ございますように、広い川幅の中で流路が定まらないといいますか、これだけの急勾配で、かつ土砂の多い川でございますので、網状に流れが変わります。周りの河岸を守るというのがこの川の大事なテーマでございますので、現在、例えばというので水制による河岸の保護という写真なんかもつけてございますが、護岸とか、そういう水制で流れが余り川岸のほうまで強いものが行かないような対策をしております。こういうことはこの川の重要な治水対策のテーマかと思います。
  下側の右側のほうは、先ほど申し上げました上流の牛尾地区の断面が一番右側の断面図でございまして、現在19.6kmと書いてある図面ですが、黒い線が現状です。これを先ほどの牛尾山のところを少し広げまして、赤い線でやれば、一応このネックの解消ができるのではないかと思われます。それから河口部は左側の断面でございますが、上のほうの整正といいますか、河床の整正ぐらいで対応ができるぐらいの量でございますので、河道の掘削樹木の伐採等、適正な格好で行えるということで全体の治水対策を進めていきたいということでございます。
 次のページへ行きまして、今度は「河川環境の現状と課題」でございます。左上のほうは上流部でございます。先ほどの山間部でございます。原生自然環境保全地域がわきのほうにございますような場所でございます。それから右上へ行きまして中流部、大井川ダムから先ほどの扇状地の上ぐらいまでのところは鵜山の七曲りみたいな瀬や淵が明瞭に発達してございますので、そこ特有の生物がいるという状況でございます。
 左下へ行きまして下流部で、複列砂州とか網状の流路があります。あるいは瀬や淵のところでございまして、そこに合った植生、それから動植物がございますので、左下のブルーのところに書いてございますように、現在のそういう河川環境をできるだけ保全するような格好で河道掘削とか、樹木の伐採を行う。また、大井川本来の植生みたいなものがございますが、少し水を時たまかぶるとか、そういう必要性もございますので、冠水頻度なども考えた格好で掘削するというように考えてございます。
 右下は河口部でございますが、河口の砂州のところがコアジサシその他の繁殖地でございます。また、アユとかアユカケの産卵場でもありますので、そういうものに合わせた整備、保全をしていこうということでございます。
 1枚おめくりいただきまして、「河川水の利用と水質」でございますが、この川は発電を中心に、あと農業用水がございますが、たくさん取水が行われ、かつ反復利用をされている川でございまして、左側の図のように随所で水が取られ、点線のところで回しながら下流へ行って、また取水されてというようなことでございます。利用の状況はグラフ等でも書いてございますけれども、また後で出ておりますが、川に水が逆にないというようなところについての解決が一つの課題になってございます。
 それから右側に白濁化に対する取り組みというのが書いてございますけれども、山間部、崩壊地が先ほどのように構造線の近くで多くございましたり、急峻であるというのでかなり濁りの成分が出てきますので、大井川ダムという、これも発電のダムですが、濁水拡散防止膜みたいなものをつくりまして、下のほうには幾つか絵を書いてございますけれども、基本的にはきれいな水をバイパスするか、膜でこしてやるというようなこと、それから最近できました長島ダムのほうは選択取水をやるというようなことを駆使してございます。水質は右下のようなものでございまして、各上中下流といいますか、各地点とも、それぞれの環境基準については、現在満足している状況でございます。
 次、おめくりいただきまして、今、見ていただきましたようにたくさん取水がございますので、かなり昔から地域の方々も何とか川に水を戻すべきであるというような非常に強いご要望があって、いろいろな動きもございました。結果、時間の関係で少しはしょりますが、徐々に発電の水利権の更新時期などに合わせまして、まだ100km2当たり0.1m3/sから0.3m3/s、十分ということかどうかわかりませんが、一応そういうものを一つの目安に、まずはこのラインのところまでの水を確保しようということでガイドラインを昭和63年につくってございますが、これにあわせて順次、川に水を戻してきてございます。
  真ん中に絵がございますが、真ん中の絵は赤い線で書きましたもの、それからブルーで書きましたものも全部含めて、もともと水がなかったところでございますが、赤い線のところは、今のようなガイドラインに沿って前よりは回復したところでございます。引き続きそういったことを、一番下に「大井川水利流量調整協議会」というのがございますけれども、こういったところで関係機関が集まりまして、水の適正な回復みたいなものについて調整を行ってございます。
  1枚おめくりいただきたいと思いますが、今度は空間の利用でございますが、上流は南アルプスでございますし、そういう山間部をずっと流れてきた、下は扇状地の川でございます。上流の自然景観、それからダムとか、温泉とか含めて観光資源になっている場所でございますので、こういう利用にあわせた整備をしていければと思います。
 それから右側のほうには下流域、東海道のいろいろな歴史と文化がございます。越すに越されぬ大井川の島田宿のいろいろなものもございます。それから下流部にたくさんの人が住んでおられますので、いろいろな高水敷の利用等につきまして、引き続き配慮した整備をしていく必要があるかと思います。
 1枚おめくりいただきまして、「流水の正常な機能を維持するため必要な流量」でございますが、これにつきましては、政令に書かれました9項目につきまして、各項目について検討しております。この川は、左下の絵でJR橋というところが今まで低水のほうの基準点としておりましたが、川の全体の流れからいたしまして、JR橋あたりの澪筋といいますか、水の流れが余り安定していないこと。それから先ほど来お話ししておりますように、扇状地の上流のところが一つの大きなコントロールポイントになってございますので、その扇状地の上流の神座というところに基準地点を変更させていただきたいと思ってございます。この神座を中心に考えますと、先ほど動植物とか、景観、流水の清潔の保持とかの項目の検討がございますが、これに合わせた縦断図が左下にございますけれども、大体10m3/s前後のところに赤い四角がございますけれども、長い間ずっと水がない川でございまして、やっと少しずつ戻している川ですので、さらなる対応が必要かとは思いますけれども、現状の今おります生物からすると、大体10m3/s前後ぐらいのものがあれば生息していけるのではないかということでございますので、これをもとに、その他の水利権量も勘案して、正常流量ということで設定したいというものでございます。具体的には、期別で若干違いますが、9月から12月は11m3/s、1月から2月は9m3/s、3月から8月は10m3/sというように設定させていただければと思います。
 1枚おめくりいただきまして、今度は土砂の話でございますが、土砂の量が上流から供給がおいおいございますけれども、どんな状況かというのは、左上をごらんいただきますと、2段になっていますが、上の段は左側が河口部です。ゼロと書きましたのは河口部のところから数えてでございます。それから数字は距離でkmでございまして、1列目の一番上が2列目の一番左ということです。横一線を昭和49年とか昭和50年、上と下で年が1年違いますが、昭和50年ごろをベースに考えますと、それよりも前の上の緑の線が昭和39年です。ですから、その間は実は河床が下がってございます。下流部はですね。上流部のデータはございませんので、書いてございません。それから昭和49年以降につきましては、大体下流部十数kmぐらいまでは余り変化がないということです。それから16〜17kmぐらいから上が少し下がったままになってございます。さらに32kmから40kmぐらいまでが少し下がって、それから56kmぐらいから上は河床が上昇していると、こういうふうなことだとごらんいただければと思います。
 先ほどの下流部の昔よりも下がったというのは、これは砂利の採取が行われていたことが大きな原因でございまして、右下に砂利採取量の経年変化がございます。直轄区間と指定区間、県が管理されている区間と色分けされておりますが、直轄区間が下流だと思っていただきまして、指定区間というのが上流だと思っていただきますと、大体下流部のところでは、昭和47〜48年ぐらいまでたくさん取っていたわけでございますが、これをこの後規制してやめておりますので、左上にありましたように、現状は戻っているということです。全般的には、上流まで含めて少し砂利採取が行われてございます。
 左下の図をごらんいただきますと、これは各砂利採取量に対しまして堆積しているかどうか。青い丸がついている線が砂利採取量でございます。下のほうではそれだけ取っているんですが、赤い線が河床の状況です。ですから0kmとか1km、2km、3kmという下流のほうは、採取していても河床は上がっている。それから少し上流のほうへ行きますと、採取した分下がっているというようなことが、ちょっとわかりづらい図で恐縮ですが、そういうことになってございます。ということで、下流は余り下がっていない。上流は少し下がっているというのが状況です。
  それから1枚おめくりいただきますと、今度は河口部のものを載せてございます。河口部の状況というので昭和22年と平成16年が左上にございますが、昔は出口のところがテラスといいますか、土砂が出ていったものが台地状に海の中に出ておりましたが、土砂の供給量が減っている分、現在は大体海岸線のところぐらいで急に海が深くなっているというような状況でございます。
 左下はダムの堆砂状況ですが、本川のダム、これは発電の井川ダムとか長島ダムなども含めまして、大体計画どおりでございますので、これ自身は余り心配することもないと思いますが、支川といいますか、横のほうの川では満砂になっているものがございます。
 それから右上は海岸部でございますが、昭和40年代ぐらいから比べると、大体50mぐらい少し海岸線が下がっているということのようでございます。ちょっとわかりづらいのでございますが、下の絵は年代ごとに、黄色いのが侵食を受けているところですけれども、その侵食を受けている幅がだんだん広がっているというのが、赤い太い線で左側へずっと下がっている線で書いているものでございます。この絵で見ると、さほど変わっていないように見えますが、大体50mぐらい下がっていると。それから海岸の土砂というのは非常にわかりづらいものがございますが、単に川から来るものだけではなくて、海の防波堤とかの影響を直接受けますので、大井川の港の防波堤の前後でがらっと侵食と堆積とがなってございます。
 こんな状況ということで、次のページでございますけれども、いろいろわかりづらい資料で恐縮でございますが、左上に、ざっと見ますと、上流から見まして、大井川上流のところがございます。ダム堆砂76万8,000m3と書いてあるのは、堆砂していますが、これは大体計画どおりですのでオーケーなんだろうと。それからその下、畑薙第一ダム、井川ダム、長島ダムとか書いてありますが、見づらくて恐縮ですが、河道変動量の225の左側に点が見えるのは、これはマイナスのつもりですが、ここは少し下がっていると。それから下の塩郷堰堤のところも−8万2,000m3と書いてあります。その下の直轄上流端というところも−11万8,000m3、それからその下の河口までは+14万m3ぐらいだと。びっくりするような量ではないのですが、先ほど縦断図で見ていただきましたように、少し上流のほうは下がりぎみだけれども、下流のほうは大体安定しているというような状況でございます。ただ、そういうことを含めて、今、少し上にたまりましたものを海岸線も含めてどんなふうに持っていったらいいかというのを勉強中でございます。
 次のページでございますが、右下のほうに、「大井川総合土砂技術検討会」というのをつくりまして、そういったものにつきまして、今、計画を立てようとしている段階だという状況でございます。土砂につきましては、今、申し上げましたように、土砂の量の多い川でございますので、まだ現在進行形のところがございますが、下流のほうは安定していて、上流のほうは少し下がりぎみで、あと海岸線が少し後退しているというので、上流のダムその他たまりましたものを含めて、どんな運用をしたらいいかということを今後立てていこうという状況でございます。
 次に移らせていただきます。次は佐波川でございますが、画像をごらんいただきたいと思います。佐波川は山口県の下流部は防府市でございます。そこを流れている川でございます。流域面積460km2ということで、比較的小さなほうの川でございます。中国山地から南のほうへ下ります。北のほうから南のほうをごらんいただいている感じです。佐波川ダムという県のほうでおつくりになったダムがございます。昭和31年9月の完成でございます。
 山間部、昔、このあたりから用材を東大寺のほうへ持っていったというような歴史もございます。谷合いのこういう平場が、今見ていただいている全体が洪水になりますと、全幅がほとんど水につかるというような地形でございまして、薄いピンクで大正7年のときの浸水のエリアが書いてございます。また、昭和26年の写真もごらんいただいておりますが、そういう地形がしばらく続きます。
 支川の島地川のところに昭和56年3月に島地川ダム、これは洪水調整その他多目的ダムということでつくられたものでございます。山合いの少し平たくなりましたところにいろいろな土地利用がされてございますが、薄いピンクがずっと重なってございますように、あふれた場合には全体が水がつくというような地形の場所でございます。たくさんの頭首工がございまして、水利用がそれぞれ細かく取水され、また還元されるということが続いてございます。
 このあたりからだんだん扇状地へ入っていきまして、新幹線がございましたり、防府の街中へ入っていきます。新橋基準地点、ここも先ほどの川と同じように、扇状地の少し上流部のところを基準点としてございます。扇状地から下、ここあたりは干拓地その他広がってございますが、ひとたびあふれると全体的に洪水が広がる場所になってございます。たくさんの工場がある地域でございます。以上、瀬戸内海のほうへ流れていきます。
 それで、また恐縮ですが、A3横長の資料2−2と右肩に書きました佐波川水系の資料をごらんいただきたいと思います。佐波川、今見ていただきましたように、流域としては全国的には小さなほうでございますが、中国山地のほうから瀬戸内海のほうへ流れていきます。先ほども申し上げましたように、流域を越えて、想定氾濫区域内といいますか、洪水がもしあふれた場合のエリアのほうが広くなってございまして、左下に流域内の人口は3万人ぐらいですが、想定氾濫区域内人口は8万2,000人ぐらいでございます。
 真ん中上にございますように、大体中・上流部は急流河川の蛇行しているものです。そこから扇状地が拡がって、それから下のほうは、真ん中上の絵にございますように、江戸時代、明治時代、ずっと干拓などで広げてきた場所でございます。ですから、3段階といいますか、山のほうの急流河川があって、扇状地があって、それから平たい干拓地が広がっていると。干拓地とか、そのあたりを中心に非常にたくさんの工場、その他産業が営まれております。
 右下のほうは、若干上流のほうで河川争奪、中国山地は幾つかあるのでございますが、川の流れと侵食で、昔は日本海側へ流れておりまして、流域が変わっているというものが上流のほうでございます。右下のほうに流域の社会環境とございますように、昔、製塩が盛んでございましたが、終わりました後に輸送機械を中心にたくさんの工場等が立地している場所でございます。
 1枚おめくりいただきまして、「過去の災害と治水上の課題」というもので、左側に時間的な流れがございます。大正7年7月の洪水、先ほども写真がたくさん大正年代のものが出ておりましたが、この洪水がこの地域としては非常に大きなものでございます。3,500m3/sぐらいの洪水があっただろうと思われています。昭和19年に直轄河川改修に入りまして、その後も昭和26年とか、そういうときに3,000戸の被害を受けてございます。現在は昭和49年3月に立てました工事実施基本計画、基本高水3,500m3/s、上流で600m3/sぐらいためまして、河道で2,900m3/sという、この計画で現在河川改修その他が進められているところでございます。
 右上のほうは大正7年7月の洪水です。下のほうは干拓地等でございます。扇状地と干拓地というので、あふれました場合、広く広がるという様子です。それからその下の「治水上の課題」というところに書いてある地図は、例えば、昭和26年、大正7年でありますが、少し上流部の山間部のところにつきましては、先ほどあふれたら、山の平場が全部水がつくというような感じで水がついているという様子を見ていただけるかと思います。過去、そういう急流河川では流れをゆっくりさせるために、わざわざ少し流路を長くするような工事なども昔は行われてございます。
 それから次、おめくりいただきまして、現在の工事実施基本計画でございますが、確率規模、左上に計画規模1/100ということで、新橋地点で基本高水のピーク量3,500m3/s、上流で調節いたしまして、河道としては2,900m3/sという計画でございます。左下に最近のデータまで含めました雨量と流量を載せてございますが、ここもこれまでの洪水を超えるようなものは余り出てきてございません。最近のデータまで含めて、真ん中下のように流量確率で検証いたしますと、大体1/100のものは2,800〜3,500m3/sぐらいになります。それから右上にございますように、大正7年7月の洪水が大きかったわけでございますが、大体過去のたくさんのいろいろな痕跡がございますけれども、3,500m3/sぐらいの洪水が出ております。こういうことも含めて、現在の工事実施基本計画の3,500m3/sという流量で今後も治水対策を行うということが妥当かと思います。
 それから次のページでございますが、個別の流量に対して対策の中身でございますが、これも左上のほうに文字で恐縮でございますが、少し基本的流れを書かせていただいております。人口資産が集中します下流市街地部の河道は、工事実施基本計画の今の計画流量2,900m3/sでございますが、一部を除きまして、そういう河道ができ上がってきてございます。というので、これをさらに広げるというのは、密集地帯であったり、その他なかなか大変でございますけれども、というので2,900m3/sという今までの計画のとおりをしっかり、残りできていないところをきちんとやるということが1でございます。
 それから上流につきましては、実はたくさんの固定堰などがあるのでございますけれども、2,900m3/sにあわせまして、その上流も、これは現在、計画どおりでございますが、改修していくと。ただ、たくさん固定堰がございますので、うまくまとめていただけるものはまとめて、極力統廃合などもやって効果的に進められたらと思います。その辺の感じのものが下のグラフに載っておりますが、水位縦断図がありますように、新橋地点より下流につきましては、大体流下能力があると。ベージュ色で黒い線よりも出ているところが、洪水が流れたとき、今はこの分はあふれるというところでございますので、この辺の対策をしていくというのが一つでございます。
  真ん中上のほうは下流部で、大体はできているけれども、一部できていないというところの一部できていない場所の写真と横断図でございますが、2kmぐらいのところが狭くなっておりますので、この分は河床の部分を少し広げて対応したいというものでございます。
 それから上流のダムでございますが、調節が必要な600m3/sのうち、現在、島地川ダム、それから佐波川ダムで400m3/sぐらい調節いたします。残り200m3/sの上流での調節が必要なのでございますけれども、これにつきましては、今あります佐波川ダム、島地川ダムでの各容量をもう1回、今現状で見てみますと、いろいろな有効活用が利水も含めてできそうだというめどが見えますので、そういったことを関係機関と話をしながら、既存のダムの有効活用で全部600m3/sをカットしようということでできるのではないかと思ってございます。
 次のページでございますが、「自然環境」でございます。自然環境、上流部は山地の渓流部の自然でございます。また、途中には島地川ダムとかあるのでございますが、ここはその湖を母なる湖としたアマゴ(サツキマス)の生息場所にも最近はなってございます。そういうことがありまして、良好な渓流環境の保全というのもテーマだと思います。
 右上のように中流部につきましては、河床勾配が1/300〜1/450で、山と山の間を蛇行しながら流れるところでございます。河原にはツルヨシ、ヤナギなどが繁茂してございますが、対策というところに書いてございますように、ツルヨシなどが再生しやすいようにうまく水がつかるといいますか、冠水する、時たま水がつかるような冠水頻度なども考えた掘削というのを工夫してやっていきたいと思ってございます。
 左下は下流部でございまして、山口県全体的にはホタルが、地域として熱心に取り組んでいたり、有名でもあるわけですが、ここもゲンジボタルが地元のご努力も含めて生息してございます。こういった状況というのをうまく保持できたらと思います。また、砂礫河川としてアユの産卵場にもなってございます。
 右下は河口部の感潮域でございます。干潟が広く存在し、ヨシ原が形成されておりますので、こういう干潟の動植物の生息空間をうまく残しながら掘削していくということにしたいと思います。
 次のページは「水利用・河川利用・地域連携」というものでございます。先ほどゲンジボタルなんかも含めまして、地域ぐるみで、学校も含めていろいろな活動がされてございます。また、下流市街地でございますので、身近な空間としていろいろな運動、その他利用がされてございます。
 左下には水利用が書いてございますが、まず、水質としては環境基準値A類型で、一応満足しているものでございます。水利用は、先ほどありましたたくさんの取水堰がございましたが、大体は農業でございます。若干の取水制限はございますが、顕著な被害は今まで渇水としては出ていないというものでございます。右側のほうはいろいろな利用がございますが、そういうものを進めていく。下のほうに防災学習ということで防災マップの紹介がございますが、右下のように原図が下にありまして、GISと同じ意味合いかと思いますけれども、もともとの地図があって、まちはどんなふうに構成されるというか、どういう関係でできていて、その中にそれぞれの施設、設備があって、それで被害がこんなふうに来てという、こういう重ね合わせで地元の方々、子どもたちを含め、学習その他を熱心にやっていただいているところでございます。
  次のページ、「流水の正常な機能を維持するため必要な流量」ということでございますが、基準地点の新橋でございます。ここで動植物等を見ましたところ、絵が右上のほうにかいてございますが、ちょっとわかりづらいのですが、下流部の一番左側の4kmとか4.2kmぐらいのところが一番クリティカルになりまして、そこの流量が大体0.4m3/sぐらい確保されますと、上流の6kmとか12kmとか、幾つか点が書いてございます。こういったところの生物も大体満足される。これにあわせて水利権の量がそれよりもたくさんございますが、こういう縦断図のところで水管理をしていこうというものでございます。結果的には新橋地点で、水利権の量も合わせまして、1月〜5月は1.5m3/s、6月〜12月は2.5m3/sを確保しようというものでございます。
  次、最後のページでございますが、「土砂管理」でございます。土砂につきましては、年代ごとのものを用意してございますけれども、余り近年の変動量はございません。安定した傾向が長く続いている状況でございます。右側のほうへいきますと、ダムの堆砂状況がございます。これは大体計画ぐらいのところで推移しているものでございます。特にこれも問題ない。右下のほうは河口の状況でございますが、河口閉塞とその他の問題も特段生じていないという川でございます。
  佐波川につきましては、以上です。
 それでは、もう一つの今度は佐賀県の嘉瀬川でございますが、画像をごらんいただきたいと思いますが、佐賀県の東部です。北から南のほうへ流れてございます。脊振山から入りまして、このぐらいで50kmでございます。この川も余り大きな川ではございません。山間部を流れますが、余り高い山がないので、少し平たい平地が川沿いにつながってずっと流れていきます。北山ダム、これは農業用のダムでございます。
  現在、嘉瀬川ダムは計画され、事業を実施されているところでございます。これは多目的ダム、洪水調節とか、その他水利用等でございます。嘉瀬川がしばらくこういう山間部を流れました後、ここも最初、山の出口から扇状地が広がります。その下のところは、有明の低平地のほうへ入っていくんですが、ここの扇状地でございます、水色で塗りましたところが過去の災害のときの氾濫したエリアでございます。川の左岸側のほうが佐賀市の中心部、佐賀のお城がありましたり、市役所、県庁がありましたりする場所がございます。石井樋というのは、昔ここから水を分けて佐賀の城下のほうへ水を引っ張っていった施設がございます。このあたりはずっと干拓で過去つくられてきた平野でございます。
 祇園川というこの川では大きな支川が右側から入ってきます。下のほうはかなり広い河川敷がございますので、今ありましたバルーン選手権みたいものがありましたり、そういうものも開かれております。また、河口は有明でございますので、干満が6mございますし、有明のガタ土の影響で水はけその他の問題も生じております。佐賀市の下流側のほうはかなり優良な米がとれるといいますか、農地地帯でございます。
 資料2−3というA3判の資料をごらんいただきたいと思います。右側の上に資料2−3、嘉瀬川水系と書きましたものでございます。今ごらんいただきましたように、左側のほうに、上流のほうは山間部でございますが、九州でございますので余り高い山はございませんが、その中を流れてきておりまして、官人橋というのが、これも扇状地の一番上のところを基準地点としてございます。ここから下が扇状地が広がって、その下が干拓地という場所でございます。
 右下のほうに縦断図がございますが、山地のところをすごい勾配で流れてきて、官人橋というのがあって、ここから少し扇状地が広がった後、非常に緩いといいますか、低平地が続くと、こういう特徴を持った流域でございます。
 右上のほうにございますように、地形・地質がありますが、風化花崗岩でございますので、脊振山地周辺、かなり土砂の供給が多い場所でございます。それから河口部は有明海でございますから、干満が6mぐらいありますし、ガタ土の堆積がございます。こういう特徴を持った流域でございます。
 産業その他、真ん中下にございますけれども、下のほうの干拓地といいますか、全体は非常に良質の米がとれる耕地でございます。それから真ん中ぐらいに佐賀の中心部があると。左上の図で、嘉瀬川が真ん中、北のほうから南のほうに流れているんですが、官人橋から少し下がりましたところ、これでいうと右側、川でいうと左岸側ですが、多布施川というのが同じ嘉瀬川水系でございますが、分派して佐賀のまちのど真ん中を流れていくという川があります。こういう水系でございます。
 1枚おめくりいただきまして、今のようなことで、少し治水上の問題からいって、左上でございますが、下流部は低平地のところは天井河川になってございますので、ひとたび堤防が切れてあふれますと、周りの被害が広がるというところでございますし、ここに佐賀の中心部があるという場所でございます。下流部は、左真ん中にございますように、干拓によって6世紀ぐらいからだんだん広げてきた場所でございます。そういう場所に佐賀の中心部、それから農地が広がっている場所でございますので、あと干満例が左下にございます。
 右側のほうは、そういうことでございますので、これは浸水想定区域図ですが、黒い点線とか、全体浸水想定区域でありますが、下の赤い線で書きましたところは、特に先ほどの有明の干満なんかで水がはきにくい場所、そういう内水排除不良が起きますような場所がこんなふうに広く広がっているところでございます。天井河川ですので、ひとたびあふれますと広く浸水いたしますし、浸水した場合、なかなか水がはけない。過去も相当長い期間、水がはけなかったことがあるようでございますが、こういう場所でございます。
 1枚おめくりいただきまして、これまでの洪水とか治水対策です。一番右側に時系列的に書いてございます。大きなものとしては、昭和24年に官人橋地点で3,400m3/sぐらいだろうと思われます洪水が発生してございます。浸水家屋が2万5,000戸、全壊も含めまして、2万6,000戸以上の被害が出たりしております。その後も昭和28年でも3万戸とか、こういう被害を受けてございます。現在は昭和48年の嘉瀬川工事実施基本計画と書きました基本高水ピーク流量3,400m3/s、計画高水流量2,500m3/sという、これに基づきまして整備が行われてございます。その後も平成2年には非常に大きな被害が出たりしております。
  左側には幾つかの例がございますが、時間の関係で説明しませんが、どこかで切れますと、どんと広がるというのが左上でございます。なかなか水がはけないというので内水被害の頻発がございます。それから下のほうは、これまでの治水対策ということで、山間部につきましては、急に流れるというところをゆっくり流そうということで、先ほどの川でもございましたが、曲げてみたり、少し幅を広げてみたりというような工夫をしております。そういうので普通の川幅よりも5倍以上にしてみたり、それから周りに水害防備林を置いたりというような川でございます。近年は幾つかショートカットといいますか、下流部のほうは逆に速く流れるように曲がっているものを真っすぐつなげたり、堰を改築いたしましたりすることをしてきてございます。
 1枚おめくりいただきまして、今度は工事実施基本計画の流量でございますが、現在の工事実施基本計画は、左上にございますように、100年に1回の規模で、基本高水ピーク流量3,400m3/s、上流で900m3/sぐらいの洪水を調節いたしまして、河道で2,500m3/sというのが官人橋を基準点とした計画としてございます。
  右の表にこれまでのデータで雨量とか流量を並べてみますと、最近はちょっと洪水の流量としては大きなものが余り出てきていないという状況でございます。大きな過去の洪水の状況もございますので、これをしっかりやっていくと。これを変更しないといけないというほど大きな洪水は出ていないというものであります。最近のデータまで入れて、流量としての確率としてどんなものだろうかとやったのが左下でございます。流量確率で大体3,200m3/s〜3,700m3/sということですので、計画の3,400m3/sというのが大体このレンジの中に入りますので、大体3,400m3/sというのが妥当ではないかと思われます。
 それから既往洪水、これは昭和24年そのものでございますが、大体3,400m3/sぐらいの洪水が流れていたということを検証してございます。結果として、現在の計画の基本高水のピーク流量、官人橋3,400m3/sというのを今度の基本方針の中でも踏襲して、しっかりとこの対策をしていくというふうに考えたいと思っております。
 次のページがそれの具体的な対策の中身でございますが、これも左上のほうに基本ストーリーを書かせていただいておりますが、官人橋から下流、嘉瀬川大橋までの中流部におきましては、堤防の防護に必要な高水敷幅を確保した上で、河道掘削などで河積を確保したい。これは右側の中流部での河積確保という断面図がございますが、現状のものから赤い線で書きましたところを掘削して、その左側に一応必要な堤防防護幅というのをとったぐらいで大体2,500m3/sの対策ができるということでございますので、この対策をしたいということでございます。
 ただ、この中流部は佐賀のまちの中心部になってきます。ということもありまして、川幅全体を広げるというのはなかなか難しいという場所ですので、大体2,500m3/sの洪水対策をこのところでしたいというものでございます。それからこういう2,500m3/sの洪水を流します上では、上流で、これは先ほどございましたように、3,400m3/sに対して2,500m3/sですから、上流で900m3/sの調節をする必要がございます。これは現在もそういう状況でございますが、嘉瀬川ダムが今現在事業中でございます。これで900m3/sの調節が全部できるということでございますので、これをしっかりと進めるということで計画を全うしたいというものでございます。
 ただ、この中流部につきまして、ちょっとわかりづらいのですが、右下のところに計画流量配分図というのがございますが、1ページ前の計画流量配分図と比較いたしまして、嘉瀬橋と書いてありますところは、現在の計画では2,800m3/sというふうにさせていただいております。これを、先ほどの資料の右上の中流部のところで申し上げましたように、堤防防護幅をもって掘削いたしました場合に2,500m3/sが限界だろうと。これを川幅全部広げるには周りの市街地等の利用から難しいということで、2,500m3/sぐらいの対策になります。
 ところが、祗園川という川が横から400m3/sと書いておりますが、合流時、ピークが入ってきますときは大体300m3/sでございますけれども、この300m3/sを足して、1ページ前は2,800m3/sとなっていたのでございますが、現状のことからいうと、最近の全国の川のある程度防護幅とかの検討からいうと、2,500m3/sぐらいできちんと対応したいということでございます。その差分300m3/sにつきましては、5ページの右側の中段ぐらいにありますように、中流部の遊水機能の確保ということで、中流部は遊水地等で対応できる場所もございますので、ここで300m3/sを調節いたしまして、嘉瀬橋のところでは2,500m3/sという無理のない流量にさせていただければと。ここは現在の工事実施基本計画との変更点でございますが、そんなふうに考えてございます。
 左下はガタ土、下流部、干拓地の部分はガタ土の影響を受ける場所でございますが、ここ特有の問題がございます。ここはある程度川幅を広げたり、いろいろなことができるのでございますが、普通の掘削をやりますと、すぐガタ土で埋まってしまうと。絵が平成12年ぐらいに掘削をしたときの例が書いてございますが、緑の線まで掘削いたしましても、約3年6カ月ぐらいにだんだん戻っていっている状況を紹介させていただいております。というので、現在のこういう河道形態を保持した格好で下流のほうは対応したいと思います。ただ、こちらのほうは現状1,800m3/sぐらいの流下能力でございますが、周りが人家密集地帯ということではないので、地元のご理解をいただいて川幅全体を広げて、河床の掘削ということではなくて、川幅全体を引堤をしたりして対応するということで考えてございます。
 次のページでございますが、今度は流量でございますけれども、ここの土質的な問題がございまして、堤防の下、それから堤防そのものも含めまして、周りの材料でつくりました堤防を含めまして、非常にシルトが多うございます。この隣にあります六角川というのは地盤そのものも全部固めないといけないぐらい地盤が悪いのでございますけれども、それほどではないようでございますが、左下にございますように、堤防の質的強化をきちんと図っておく必要がございまして、ドレーンを設けて、それからちゃんとした堤防の厚さを持ったものにするという対策がここの課題として残ってございます。
  それから右のほうは、先ほど来ございますように、内水がなかなかはけないという問題がございますので、現在、右の絵のようにポンプがたくさんございます。このポンプの対策以外に、現在、佐賀導水事業というのをやってございます。これは平成20年ぐらいの完成になりますが、佐賀導水路というのが西佐賀導水路という周りの内水につきましては、ここへ内水を集めて、巨勢川調整池で調節して、そのポンプで嘉瀬川のほうへどんとはくというものを現在事業実施中でございます。こういったものもあわせて、この辺の内水対策をしていこうという状況です。
  それから右下は、これは検討段階のものもたくさん含まれてございますが、こういう低平地でございますので、濃尾平野なんかでも似たような話がございますが、もし水がついた場合の緊急対策といたしまして、高速道路、それから道路、堤防、河川なんかでつくりました防災ステーション、道路の横にありますサービスエリア、パーキングエリア、道の駅、そういうものも含めて、万が一のときの緊急資材運搬路とか、避難するための道路、それから資材の備蓄場所みたいなものを今ネットワーク化してつくろうとしてございます。一部破堤いたしましても、別のところから回っていけるとか、そういうものも含めまして検討しているところでございます。右下は情報ですが、情報も当然のことながら関係するところのネットワークを図ろうというものであります。
 次のページ、「河川水の利用」でございますが、そういう水はけの悪いところですが、かなり農業のいろいろな水を使っている場所です。真ん中上のほうにありますように、ため池、それからクリークというこの辺独特の田んぼの近くに水たまりがあって、そこでしばらくためておいて使うとか、それからアオ取水、干満が激しゅうございますので、海水と淡水が上がったり下がったりいたしますが、うまく干満を利用して、淡水のときだけ取水というようなことをやったりしております。
 ただ、左側にありますように、地下水利用という部分が西側のほうにございます。この辺は左下にグラフがございますが、地盤沈下がそのおかげで進行しております。特に渇水になりました昭和53年とか、平成6年、ちょっとグラフが見づらいんですが、そのときになるとカーブがぐっと下がっているのが見えますが、そういうときに顕著に出ておりますので、これらにつきましては、右下にございますけれども、一つは嘉瀬川ダムというものでかんがい用水をこういう地域に供給しよう。それから右下のように佐賀導水、これは筑後川から持ってきますが、水道用水なんかにつきましては、こういう佐賀導水で引っ張ってこようということで、広域的な水運用の中で地下水利用というものを表流水への転換を図ろうとしているところであります。
 それからその次のページは水利用で、時間の関係でちょっとはしょりますが、石井樋というのが先ほどございました。佐賀のまち中に水を持っていくのが過去いろいろな、成富兵庫茂安等が苦労されております。真ん中の絵にございますが、上から下へ嘉瀬川が流れておりますが、途中石井樋のところで分けて、多布施川のほうへ持っていっております。こちらのほうに佐賀の中心部があると。ところが、老朽化したり、過去いろいろな水利用が輻輳したりいたしまして、うまく水が嘉瀬川のほうに流れていないとか、いろいろな状況になっております。結果からいうと、左下に課題の対応とございますが、石井樋の復元、それから関係機関が集まりました協議会で水運用全体をご相談して、それで今、試験通水をやって、このぐらいだとこの川ではこんなふうになるなということを確認し合って、そのルールで直そうとしているところでございます。
  それからその次のページですが、「河川環境、水質」です。上流部は山間部の環境で、ただ、課題は、上流部のところの2段目にありますように、堰がたくさんございますので、縦断的な連続性というのが確保されていない状況もございます。魚道がないようなところについては魚道の設置その他を関係機関とご相談しながらしっかり整えておくというのが、この川の健康度といいますか、そういうものが重要かと思います。
 真ん中は中流部、瀬や淵が、全体的には少ないんですが、こういうところにございます。そういうものを大事にしようというものでございます。また、歴史的に水害防備林なんかもありますので、そういうところが、自然環境上も、価値も含めてきちんと考えていきたい。右側のほうは下流部です。広大な干潟、ガタ土の堆積がございます。また、ヨシも繁茂してございますので、こういった自然を保全整備していこうというものであります。右下は、河川の水質状況ですが、一応環境基準についてはずっと満足を長年してございます。
 次のページは「空間利用」です。かなり歴史、文化その他ございますので、過去の、先ほどの成富兵庫の話、それからいろいろな水利用の苦労された歴史もございます。それから佐賀のすぐ近くである。それから全国的なバルーンの大会がありましたり、いろいろなものがございます。こういう利用、その他かかわりが非常に地域密着型である川でございますので、そうしたものがさらにうまくできるような整備をしていく必要があるかと思っております。
 その次のページは「流水の正常な機能を維持するための流量」でございます。これにつきましては、左下の図で、左側が河口部で、右側が上流でございますが、幾つかの赤い丸が生物上の話で、黄色い三角が清潔の保持だったりしておりますけれども、池森地点でおおむね2.5m3/s確保されますと、ほかの区間のところでも満足されるだろうと。ただ、川上頭首工というのが右側にございますが、川上頭首工というところで非常に大量の取水がされます。その後のところの状況を見ても、一応これだけの水があれば、自然環境その他について満足されるだろうということで、これをベースに維持流量、正常流量の設定を池森地点でしたい。実際の流量は川上頭首工よりは二十数m3/sぐらいの状況になるものでございます。
 最後でございますが、総合的な土砂管理というので、上流部が急峻、下がガタ土という場所でございます。左下のグラフは年別に河床の変動状況を見ております。グラフの左側が河口部で、右側が上流ですが、過去、昭和58年から平成2年、平成2年から平成10年、このあたりで砂利採取をしておりました分下がってございますが、その後は安定した状況にございます。ただ、川から海へ行く量は、上のグラフでございますが、赤い斜線で書いてあるものは、最近のところだけガクンと減ってきていますので、この辺の全体の収支バランスを今検討していこうということで、これは右下のほうに「有明海ガタ土と河口に関する調査検討委員会」というのがございます。これは名前からいうと、ガタ土と河口の話ですが、全体の土砂の関係について検討いただいているところでございますので、こういうものも踏まえて対応していきたいと思います。
 以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対して、ご質問なり、ご意見なりをちょうだいしたいと思います。時間の関係もございますので、私のほうからまず指名させていただきます。大井川の関係で、地元事情に詳しい先生としておいでいただきました○○委員にまずお願いいたします。
(委員)  大井川を取り上げていただきまして、ありがとうございます。きょう取り上げました川の中では一番長さの長いものでございますけれども、上流からほとんど下流、ごく近くまでダム、堰堤等でコントロールされておりまして、つい最近までといっても、20年にもなりませんけれども、下流の一部では、中流のほうもそうですけれども、時期によっては河原に水が一滴もないという状態だったわけです。幾度かの水利権交渉のときにいろいろ地元の方々が熱心に頑張っていただきまして、現在ではいつでも流れるようにはなりました。河原に水が全然なくなったということで農業の方々、特にお茶の農家の方々がお茶の品質が悪くなったということで大分お悩みになられたんです。どうしても川から発生する川霧がお茶の葉っぱに当たる日光を和らげるということで、お茶の品質が非常によくなるんだそうでございます。土木屋ではちょっと考えつかなかったことでございますけれども、こういうことも地元の方々の非常に大きな悩みでございまして、だんだん直っております。
 ただ、下流のほうは、山内一豊の治水工事で水田を増やした工事などもございますけれども、既に万葉集の時代から水郷地帯でございまして、愛しい妻のもとに通うときに、男が夜、小さな舟でこいで行って、朝、きぬぎぬの別れを、愛しい妻と別れて、舟で帰っていったというところでございます。それが万葉集の歌にございます。そういうところが、最近は、我々の先輩たちが頑張ってくださったおかげなんですけれども、頑張り過ぎたというところもちょっとございまして、昭和20年代まででしたら、ちょっとした台風、あるいは大雨のときに何日間か浸水するような田んぼ、農地だったところが新興住宅地になりかけています。
 ですから、そういうところを今後、我々土木屋はどこまで安全保障すべきなのか。これは総予算も限りがございますので、大井川だけではなくて、全体で考えなきゃいけないところでございますけれども、とりあえず想定されるような緊急の災害に対しては、ぜひ河川工事を推進していただいて安全度を確保すると。それ以上のことは、予算をたくさんいただければ、それは結構なのでございますけれども、全体の中で考えなきゃいけませんので、地元の方々には少し安全の面でPRを、マイナスのPRになるのは嫌なのでございますけれども、決して土木技術者だけでは頑張れないんだということを周知徹底していただいて、場合によっては洪水保険のような、アメリカのようなものも必要なのかな、ソフト的な対策も必要なのかと思います。
 それから取り上げていただきましてありがたかったのですが、下流の海岸侵食が非常に目立っておりまして、実際には80m、百数十mの海岸がなくなったところもございます。その点もダムリフレッシュ問題とか、あるいはバイパス問題などで大分技術的にも取り上げられて検討を重ねられておりますけれども、ぜひ大井川のところでも、これも国家百年の計の一つでございますので、自然環境を守る、それから動植物を保護するのも大切でございますし、それから下流、海岸での侵食もできればブレーキをかけたいものだと思います。そのようなところでございまして、牛尾あたりの狭窄部ももし認めていただきましたら、この辺も、河積の不足のところも解決できれば、地元の方は大いに喜んでいただけるかと思います。
 以上、そんなところです。
(委員長)  ありがとうございました。
  きょうは○○委員がおられませんので、次の川に移りたいと思いますが、佐波川の関係で、地元に詳しい委員としてご出席の○○委員からお願いいたします。
(委員)  山口大学の○○でございます。地元に詳しいということで、私はもともと防災を専攻しておりますが、実は地域づくりとか、まちづくり、防災でも活動しておりまして、下流部に防府がございますが、そこを中心にずっと活動してまいったことで今回お呼びいただきました。ありがとうございます。
 それで、きょうはお話ということで、実は「しんすい」という言葉を使わせていただこうかと思います。この「しんすい」は、いわゆる「親水」というのと浸水害の「浸水」、この2つでお話をしようと思います。実は防府市は、先ほどご説明ございませんでしたけれども、工業都市ではあるんですが、古くから、菅原道真ではございませんが、防府天満宮、それと周防国分寺を有しておりまして、いろいろな歴史的なものがたくさんある地域でございます。その関係で、地元の方々もまちの景観、あるいはまちづくりに非常に熱心な方が多いという背景がございます。その中で、この防府市を流れております佐波川に対しても強い思いを持っている方が非常に多い地域でございまして、川づくりに対しても非常に熱心に皆さんかかわっておられます。
 例えば、最近、国土交通省さんのほうでエコサイクルシティの施策といいますか、自転車を利活用した動きをされております。その中で、サイクルツアー推進事業というのが全国15地域を選定されておりますが、山口県も2地域選定されておりまして、その1地域が佐波川沿いの自転車道整備にかかわる事業ということで、私、そこのワークショップを担当させていただいておったのですが、自転車はあくまでも道具でございます。その自転車が走ることによって、佐波川の皆さんの思いをいろいろ聞いてみますと、先ほどもお話に出てまいりましたが、上流部、例えば関水と重源さんということで、東大寺再建にかかわるような木を切り出したと。そして流していったという歴史がございますが、この辺の保全がうまくいっておりません。ほうっておいている状態でございます。できればこういう上流部に歴史的、佐波川沿いを見ますと、だんだん歴史的なものがほとんど今ない状況でございますので、ぜひこういう歴史的なもの、川を理解する、川の利活用という歴史の観点から、ぜひこれを残すような形でお願いできればと思っております。
 それと自転車で走るわけですけれども、中流部に今度「水辺の楽校」というのが、整備を進めることになっておりますけれども、これも非常に重要な場所であるということで、地元の方は非常に熱意をお持ちでございます。これを使うことによって、自転車道自体は県のものでございますが、実はまだ中流の途中までしか自転車道は下流から延びておりませんで、できれば重源まで自転車道が整備されることによって、「水辺の楽校」をより促進して使えることができるのではないかという意見が非常に多くを占めております。
 また、その道、サイクル道に至るところに川の停留所のようなものが必要であろうと、こういうご提案も市民の方からいただいております。こちらの県との関連というのもございますけれども、ぜひ国のほうでも、川を理解するということでいわゆる親水という観点からの整備をお願いしたいと思っております。
 それともう一つ、浸水でございますけれども、先ほど映像で見ていただいたとおり、上流部はほとんど浸水域でピンク色でございました。先ほど出てまいりました上流部、あるいは中流部、特に中流部もそうですけれども、住民の方は歴史的にそういうことがあったということはご存じですが、やはり防災意識が低いということが、これは否めないところがございます。特に防府市の下流域に至りましても、洪水という概念というか、考え方がございません。防府市の佐波川に関しては、県内で最初に洪水ハザードマップが整備された地域でありまして、全戸配布されているんですが、実は皆さん、このハザードマップを理解されておられない。ハザードマップを理解していないというのは、全国どこでも問題を抱えているかというふうに思っておりますが、先ほど説明にもございましたが、災害図上訓練(DIG)、これは私のほうで中心になってやっておりますけれども、手書きで地図に、実はハザードマップの書き写し作業を子どもたち、大人にさせます。それによってハザードマップを自分のものとして受容するという作業をやっております。これは小学校から大人まで、下流域、中流域、いろいろな地域からご要望がありまして、やっております。この際には、地元の山口河川国道事務所さんのご好意によりまして、私たち動くことができているわけですけれども、こういった活動を通じて防災意識の、どちらかというとソフト的な話になりますが、また、大きな洪水というのは最近起こっておりませんけれども、後世にこういったことを伝えるためにもこの活動を何らかの形で続けたい。また、先ほどお話ししました「水辺の楽校」という、「親水」と書いてありましたが、親しいだけではなくて、別の姿も持っているということを「水辺の楽校」でしっかりと地元の方、子どもたちに災害というものを伝える、そういう要素もこういう施設を使って普及啓発していただければと思います。
 最後に、防災学習の過程で、下流域の小学校で総合学習ということで4年生に授業をやりましたが、災害という話で浸水域、ほとんどどこも浸水してしまうと。ハザードマップでは浸水してしまうのですが、実は最後の発表会であるグループが、災害時にけがをする、例えば地震であればけがをする方が出るだろう。そのけがの手当てのために佐波川沿いに生えている薬草、これが使えるんだという、そういう非常におもしろい発表がございました。つまり、災害からスタートして、地元の子どもたちが佐波川の植生であるとか、生物であるとか、佐波川そのものに興味を持ってきたという形で、災害というと、どうしても遠ざけるという感じがあるのですが、浸水から親水へ引っ張ってくるということが実はできております。このことも含めて、先ほどの整備も含めて、歴史も含めまして、どちらかというとソフト的なものが多うございますけれども、引き続きお願いできればと思います。そのほかのハード的なものに関しては、現在の計画で私どもはよいのではないかなという個人的な感想を持っております。すみません、長くなりました。ありがとうございました。
(委員長)  それでは、河川工学のほうでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  幾つか感じたことを申し上げます。河川工学の立場からということで、この川は、先ほどご説明ありましたように、非常に急流河川で、かつ川幅が狭い。そこを相当大きな流量が流れるために、今まで被災を何度も受けてきていると。破堤氾濫を何回か受けてきているという川です。その中に固定堰が連続してあって、河道の蛇行しているところの中に固定堰が入れられていて、それぞれの区域での農業的な水の利用等に供されているわけですが、治水の面からすれば障害物になっているところです。
 いずれにしましても、これを治水上、問題がないように改善していくということが重要な課題になっているということでご説明ありましたが、そのとおりだと思いますが、改善の仕方というのが、山間狭隘部に始まって、中流部、そして河口でも1/500のようなところの河道、固定堰をどういうふうに統廃合していくと、利水上は言うまでもないんですが、治水上、それほど問題を起こさないようにできるかということは新たな問題だろうと思うんです。非常に連続してたくさんあるという意味で、こういったところの固定堰の改修のあり方というのはよく勉強しないとならないなというのをまず1点感じております。
 ただ固定堰を改善しますと言うだけでは必ずしもよくないのではないか。なぜならば、水当たり箇所がそういう固定堰によって水部と瀬の部分とが連続していますので、堤防に直接水当たり部をつくって、そこから破堤が起こっているという現実が起こりましたから、そういったものをできるだけ抑えないと、下流の防府市のようなはんらん区域の広いところですね、そういったところ、どちらかというと下流ですが、上・中流部といえども、水域に住宅がありますので、そういったところをどうするのかということをよく考えたことをやる必要があるなというのが1点目です。
 2点目は、私は普通余り言わないんですが、河口域の河道改修というか、環境との接点を少し考えなければならないのではないかなと思います。と言いますのは、ここは河口は、先ほどはそれほど変化していない。多少堆積はあるがと言うんですが、見ていますと、もともと干拓域で1/500の河口というところから海に出ていくわけですけれども、少しずつ堆積しているんですね。しかも、そこは流下能力はないということで、かつここは水域が非常にきれいなためにいろいろな生物がおるということです。特に干潟とか水際、そういったところには生物が多いということを、現地を見せていただいたり、こういったところを見ますと、そのようです。そういったところの改修をどうやってやるのか。河口の感潮域の治水の改修のあり方、それは生態との関係でどういうふうに考えるかという意味では、この場所は非常に重要な材料を提供しているのではないかなと思います。これは整備計画等でおやりになるのでしょうけれども、今、問題のない真ん中部分を掘って、河岸際のほうをなるべく今までのように残していくんだということになっているようですが、このやり方が多分望ましいとは思いますけれども、ほんとうにそういうものをモニタリンダしながら、河口域の治水と環境の整合性というのをよく考えてやっていく必要があるかなと思います。
 それから最後になりますが、佐波川と後で出てくる、同じことなんですが、嘉瀬川の表現の仕方ですが、大井川はそうなっていないんです。それは4ページ、非常に気になる書き方をしていますので、この際に申し上げておきますが、4ページの治水対策の基本的考え方というところの3です。どうも書き方が違うのではないかなと思うのですが、なぜならば、右のほうに600m3/sのうち200m3/sを洪水調節するということになっているんですが、ここでは、嘉瀬川もそうですが、河道の対応で不足する流量600m3/sを洪水調節するんですが、「上流の既設ダムの有効活用で対応」と言うんですが、私に言わせれば、河道も洪水調節施設も一体的にやるので、何か河道が足りないから流量をこういうふうに調節するという書き方が、これは今までほとんどこういう書き方は見てきていないし、違うのではないのかなと。むしろ、これは200m3/s足りないから、200m3/sは既設ダムの有効活用というのはわかるんですけれども、600m3/sが、先に川が決まっていて、調整施設はこうですよととれなくもない。とれてしまうわけです。だからこの表現を少し変えたほうがいいのではないかなと思いますので、ご検討ください。
 以上です。
(委員長)  それでは、嘉瀬川のほうで、地元にお詳しい委員としてご出席の○○委員からお願いいたします。
(委員)  佐賀から参りました○○でございます。私は現在、「さが水ものがたり館」というところに勤務しております。さが水ものがたり館は、嘉瀬川から分岐して佐賀市内を流れております多布施川のちょうど分岐点にございます。現在、そこを石井樋というふうに言いますけれども、石井樋については後で簡単に触れさせていただきたいと思います。平成17年12月に開館いたしました。小さいながらも佐賀県では初めての河川資料館でございます。
 嘉瀬川の特徴につきましては、先ほど資料の中で説明がありましたので、一部重複するかもわかりませんけれども、私は歴史民俗学をやっていますので技術的なことはわかりませんけれども、水源となります脊振山系というのは花崗岩が主体の山でございますから、そして山の高さが非常に低いんですね。非常に浅いものですから、雨が降ったときには大量の土砂が流出いたします。それから嘉瀬川が注ぎ込んでおります有明海というのは、先ほどの資料の中にもございましたけれども、干満差が5m、あるいは6mという潮位の変動が大変激しい海でございますので、満潮のときには約6kmほど海水がさかのぼってきます。山が浅くて、河川の距離が非常に短いということで、海と山の影響を受けやすい川になっています。大雨のたびに上流の脊振山系から大量の土砂が流れ出して扇状地をつくって、中流では川底に土砂がたくさん堆積して、河床は周りの地面より高い天井河川になっております。そのため、もしも堤防決壊ともなれば、低平地の佐賀市等では大きな被害になります。
 それから佐賀平野は昔から「降れば大水、照ればかんばつ」ということわざがございます。これは水害と干ばつを繰り返し発生してきたということを言っているわけですけれども、江戸時代には河川の整備がなかなか行き届かなくて、記録に残っているだけでも五十数回も災害が記録されております。近年の資料については、先ほどの資料の中にございましたけれども、戦後でも昭和24年、それから昭和28年という大変大きな被害がございました。このように繰り返し被害が起きておりますので、私たちの先輩は、安全でより豊かな暮らしを求めて絶え間ない努力をして、いろいろな工夫を凝らし、知恵を絞ってきたわけです。そのような中で、さが水ものがたり館で紹介しております成富兵庫茂安をはじめとして、すぐれた技術者をはぐくんできたのではないかと思います。
 それから石井樋の仕組みでございますけれども、簡単に申し上げますと、嘉瀬川の水を分水して、多布施川を通じて佐賀城下に水を送るための取水施設でございます。佐賀では石井樋と言っております。石でつくられた井樋。井樋というのは、皆さん方、なかなかお聞きなったことがないかもわかりませんが、樋門とか樋管の意味でございます。水門ですね。この石井樋を通じて、多布施川では、佐賀城下に土砂の少ないきれいな水を送る。そして、洪水のときには一定以上の水が入らないような工夫がされています。それで佐賀平野のほうには、佐賀城下では洪水が少ないような工夫がされているわけです。
 このたび石井樋は歴史的な水辺整備事業として昨年の秋に復元整備をされました。この復元に当たっては、石井樋といいますか、石組みですね。石積みなどには以前の河川の伝統技術が生かされております。それから近世においては、嘉瀬川から分流した多布施川の水は佐賀城下の生活用水、それから農業用水。多布施川のそばに、江戸時代の終わりには反射炉がございました。江戸の砲台も佐賀のほうでつくったわけですけれども、その反射炉がございましたので、いわゆる旋盤を回すための産業用水としても多布施川の水は使われていたわけです。
 現在、上流域は自然公園になっていて、それから中流域には温泉があったり、下流のほうでは、資料の中にもありましたけれども、毎年秋には熱気球大会なんかが行われています。現在100万人ぐらい毎年見えているのではないかと思います。このようないろいろな行事を通して、文化と歴史を学び、人と川の共生とか、地域住民の交流、それから連携が行われています。現在、嘉瀬川の上流には嘉瀬川ダムが建設中でございます。このダムの建設で、さらに一層の安心と安全な佐賀平野になるのではないかというふうに確信しております。
 それから河川整備というのは、その時々の時代の要求にこたえるものでなければならないのではないかと思っております。嘉瀬川流域というのは低平地の地域でございますので、従来からの問題であります軟弱地盤の対策であるとか、それから治水・利水も含めますけれども、排水対策、それから新しい低平地の環境の創出といいますか、有明海を生かしたようなことなど、そういうような問題に対しても以前よりも高いレベルで対応していただければというふうに思います。
 ちょっと長くなりましたけれども、以上でございます。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いいたします。
(委員)  まず、嘉瀬川から。今まで何度もお話があったように天井川ということで、破堤すると大変なことになります。2ページの左上の図を見ても、佐賀医科大学のビルがかなりの部分がつかる。佐賀医科大学は、たしか佐賀大の医学部になったんじゃないですかね。小さいことですけど。こういうことで破堤すると非常に大変なことになり、佐賀市街が大幅につかってしまうことになります。そういった意味からも、佐賀平野が低平地であるということがこの地方の宿命的な特徴というふうに言えるかなと思います。そう考えたときに、将来の治水対策を議論するときに、温暖化等による海面上昇とか、台風の強大化による高潮対策等に触れなくていいんだろうかという懸念がちょっとあります。その辺はいかがでしょうかということが1つ。
 それから3ページのところに洪水の歴史のところがあるんですが、例えば、昭和38年6月、それから平成2年7月、これは破堤があったかどうか記述がないんですが、今、お話ししたように破堤があると大変なことになるということで、破堤があったかどうかという記述があったほうがいいと思います。
 それから土砂の問題のところですが、平成10年まで砂利採取を許可していて、その結果、どうも洗掘が起こっているようだということですね。私自身はもう少し早い時期から国交省は砂利採取を規制していたのかなという印象を持っていたのですが、平成10年ぐらいまで結構河床低下が起こるようなところにまで許可していたんだなと。これはどうしてなのでしょうか。というのは、土砂供給が海の生態に大きな影響を与えているということが最近盛んに議論されるようになってきていて、嘉瀬川は有明海に注いでいるものですから、特に土砂供給の問題というのは非常に重要と思います。
 それに関連して、先ほどの大井川のところで砂利採取しても堆積傾向にあるから砂利採取を継続したというようなお話があったのですが、ただ、やはり砂利採取すると、海への土砂供給が減ることになる。そうすると、海岸侵食とか、底生生物、特に二枚貝などに影響が出るのではないかなという気がするのですが、大井川の河口付近ではいわゆる底生生物、水産物に対する影響はどうだったのでしょうか。もしその辺のデータがあったら、聞かせていただければありがたいなと思っています。
(委員長)  大井川まで飛びましたけれども、それは次回、資料を事務局で用意していただくということにいたしたいと思います。
  それでは、全般的に、○○委員のほうからご意見を賜りたいと思います。
(委員)  まず、大井川についてですが、発電水利権更新時に維持流量を下流に流すようにというのを初めてやったのは大井川です。これは説明にもあるんですが、これはぜひ本文でも強調していただきたいと思います。
 それから説明の中で利水の基準点、10ページです、利水の基準点が最近よく議論になるわけですが、JR橋から上流の神座に変更されたと。それでJR橋では流れの状況が不安定だとおっしゃったのですが、利水の基準点はそもそもどういう視点で決めるかという立場からお伺いしたい。扇状地河川では伏流なんかして非常に不安定になるのは、そのとおりだと思うのですが、不安定であっても、基準点下流区間で9項目の評価が必要です。その辺の変えた理由がご説明ではよくわからなかったんです。神座下流では、途中で出てくるものもあるし、発電の放流もありますね、下流で。それから取水もあると。その上流側で基準点にする、変えるという意味を後で説明していただけたらと思います。
 それから嘉瀬川は見せてもらってほんとうに驚いたのですが、やはり干拓で広がった平野だからというので治水問題、浸水問題と水不足問題があると。それに対して嘉瀬川ダムというのは、嘉瀬川だけじゃなくて、もともと六角川まで利水が行っていたりするわけですが、嘉瀬川ダムというのは両方に対して、治水上も利水上も効果を持つダムだというふうに私自身は思いました。それは感想ですが、先ほどから○○委員とか、ほかの方も言っておられると思いますが、外水を抑えるというのは非常に重要なんですが、ここではさっき言った干拓地であるということで内水が非常に重要だと。内水は本来、直轄管理者が責任を持つのではなくて、むしろ地元だということになっていますけれども、ここでは、まず外水を治めることが大切ですけれども、計画くらいの雨が来れば、絶対内水が起こるわけで、内水に対してどう対処するかということを地域と調整するとか、あるいは国もそれを配慮しながらやることが重要。難しいとは思いますが。そういう意味で、先ほど6ページに佐賀導水も含めてポンプの配置がありましたけれども、その辺の現在の内水対策の具体的な方策も含めて、少し資料を入れて内水対策についてもご説明いただければと思います。
 それから、長くなってすみません、もう一つだけ。全体を通じてですが、特に球磨川の議論で洪水到達時間という、流出というか、洪水ピーク評価に対して基本的な概念が出てきました。きょうのご説明を聞くと、流域面積は1,200から300平方キロまであるんですが、すべて2日雨量しか書いていない。基本高水流量のチェックの仕方は問題ないと思うんです。ただ、水文量の基本的なものがほかの川で議論されましたので、できれば、各川の洪水到達時間、それから洪水到達時間内の降雨というのもぜひ出してほしいんですけれども、そういうのを参考資料として今後の川には出していただければと、それがお願いです。
(委員長)  1番目の質問は今答えられますか。大井川の利水基準点を変えた理由。
(事務局)  この中にも、不十分かもしれませんがありますように、現在でもJRのところを基準点にはしてあるんですけれども、実は現在でもずっと観測したり、はかったりやっているのは、実態上、神座のほうになっているというぐらい、そんなにきちんといろいろな意味づけをもってJR橋になっていたかどうかというほうが少し疑わしいというのが正直なところであります。もう少し全体的にどうあるべきかというのはあるかもしれませんが、全体の流量の把握を扇状地の河川の中でやろうとすると、細かい整理はしてみたいと思いますけれども、神座というのが実際の運用の中でも非常に合理的であるというのが、これまでもそうであったというのが正直なところです。
(委員長)  追加質問はいいですか。
(事務局)  どういう考えから、基準点というのはどうあるべきかというのは整えておきたいと思いますけれども。
(委員)  当然下流の、発電から放水がありますね、赤松余水というのが、発電の落ち水か、余水かわかりませんが、それから島田上水の取水なんかあるわけですが、これは当然検討されているんですね、基準点の下流で流入があったり、取水があったりして、神座というのはその上流側ですよね。これは不適当ではないんですか、基準点として考えたとき。
(事務局)  取水があったりという意味ですね。
(委員)  基準点の下流で出入りがある。
(事務局)  取水があってと言われます。
(委員)  取水と放流も両方、何とか余水というのが、発電とかの要するに余り水が出るのではないかと思うのですが。
(事務局)  一応ここに縦断図が、この図ではあれですけれども。
(委員)  10ページですね。
(事務局)  ほかの水系にもありますように、全部戻り水で取っていくものと、全部足し算引き算をして当然やってございます。
(委員)  やっているからあそこでいいということですか。
(事務局)  はい。
(委員)  わかりました。
(委員長)  これは整理してもう1回、次回に説明してもらいたいと思いますが、利水の基準点は、あるべきところにあったかというと、これまでの水系も必ずしもそうではなくて、観測の期間が非常に長いので、それで管理していたというところも大分多いと思うんですね。だから変えるというのは、資料が多かったということを外しても、そっちのほうがいいのかねという質問と私は受け取ったんですけれども、次回、丁寧に説明をお願いしたいと思います。
 ○○委員、その他の河川についてありましたらお願いします。
(委員)  大井川について幾つかあります。大井川は流下能力的には2カ所問題があります。河口部と牛尾の地先です。大井川河口は外洋に面していまして、州が大きく発達しています。発達している州の部分を維持掘削して、高水敷の掘削と河床掘削では流下能力の足りない分をカバーするというわけです。できるのならいいと思いますけれども、洪水ではなかなか飛ばないのではないか、河口の流下能力は掘削をすると確保できるにしろ、維持管理が容易にできるとは私には思えません。
 それで、私は、大井川河口は津波とか、高潮対策がかなり重要な地域ですので、河口の2kmは、津波高潮対策堤防と一体的に、流下能力のない下流部対策を考えたほうがいいのではないのかと思います。今まで洪水は洪水、高潮は高潮として独立に堤防の高さを決めてきていますけれども、この計画論には、時代に合わないところが出てきているのではないのかと思います。両者を一体的に考えて堤防の高さを決めることを検討していただくことが重要ではないかと思います。これが1点目です。
 それから牛尾の狭窄部の開削に関してです。流下能力を上げるため開削が必要なのはわかっているんですが、これには、幾つか課題があります。河口の改修との順番の問題があって、これは当然河口から先に行うべきと思いますが、2番目は、牛尾狭窄部を開削したら、牛尾の狭窄部の内岸側の流れ方がかなり変わると考えられます。すなわち内岸をよぎって流れる流れが増大します。今は内岸が水制のように突出していますので、河床の形態明確に決まっているんですが、そこを一部開削したときに、今の水当たり箇所が変化して、その下流の護岸等が難しくならないか、を開削することによって、今までやってきた護岸等を維持管理していくことも含めてよく考えなきゃいけないんじゃないかと思います。すなわち、開削によって河床の形態がどう変わるのかということを、流れ方を含めて検討すべきであると考えます。流下能力だけを考えた開削というのは、下流十数kmに対する影響が大きくなる場合があります。狭い部分があって、それなりに水当たり箇所は維持されてきたということがあると思います。
 関連して、土出し水制の話がありました。昔からある今までの土出し水制は堤防を守るのが目的で、非常に短い土出しであるけれども、今日必要な低水路の河岸維持のためにどうあるのがよいのか。このあたりは土砂移動の激しい網状流路になる川ですので、その構造や配置をよく考える必要があるかなと思います。とりわけ土出し水制の今日的意義ですよね。以前は低水路がほとんどなくて、堤防を守るのが目的でしたが、今日になってみて、堤防を守るのにほんとうに効いているのかどうかも含めて、今日的な水制の意義をぜひ検討していかなきゃならないなと私は思っています。
 それから長期的な土砂収支の問題を、説明があった流れでやるというのは結構ですが、大井川は土砂収支の検討を本格的にやるべき川の一つですよね。ぜひ進めていただきたいと思います。
  それから嘉瀬川につきましては、嘉瀬川大堰の下流は流下能力がないということで、掘削と引堤で対応するということでした。可能であれば引堤したらいいと思います。私が考えていますのは、有明海は潮位変動が非常に大きい湾です。そのときの出発水位が朔望平均満潮位にしています。全国ほぼどこでも出発水位は、朔望平均満潮位を採用しています。これ自身はほとんどの場合基準としてよいと思いますが、この河口の場合には相当潮位の変動がありますので、朔望平均満潮位で計画洪水が発生するということがほんとうにいいのかどうか、調べてみる必要があります。そのために引堤をしますということと、嘉瀬川の場合、ほんとうに出発水位の考え方をどう整理するかというのは、検討しなきゃならないところに来ているのではないのかと思います。すなわち、施設整備でやることが、その延長を考え、場所を考えると難しい問題もないわけではないので、ここは計画論としてしっかりと出発水位をどう考えるのかということを検討していただきたい。
 ということとあわせて、これも大井川と同様に土砂収支について総合土砂管理について説明がありましたが、今後100年ぐらいのスパンで考えたときにどういうふうになるのかというのをしっかりと考えておかないと、現在の有明海、そして不知火湾の生態系問題とのかかわりの中で議論されているところですから、ここは河川サイドとして少し踏み込んで検討しておく必要があると思っています。
 最後になりますが、石井樋のお話があり、感銘を受けました。大変いい計画だったなということと、現在にも生かされているというのがわかりましたけれども、昔から存在する水防林の位置づけがあいまいになっています。大変重要な役割を果たしてきた水防林が、石井樋の付近の整備に比べたら、水防林が放置されていると感じています。その上、扇状地から出てきたところに樹林が繁茂し、流下能力を極端に落としています。伝統的な治水事業としてやってきた川の中の樹林帯、水防林をどう考えるのかというのは、嘉瀬川の大事なところなのではないかと思っていますので、石井樋の整備とあわせた検討をしていただきたいと思います。
  以上です。
(委員長)  朔望平均満潮位にかえて、何かアイデアをお持ちなんですか。
(委員)  私のアイデアは、長い間洪水を経験していますので、現実に起こっている洪水は、大きな洪水、小さな洪水について、現実にどんな潮位のときに起こっているのかということを調べていただき、洪水と潮位とのぶつかり方というのを、十分調べていただきたいというのが第1点です。
 それに基づいて、潮位差の大きいところはどう考えるのが望ましいのか、全国横並びの出発水位のほかに、嘉瀬川のような河口潮位変動の大きい川ではどう考えるのかということを、検討することが必要なんじゃないかと思います。私は出発水位を下げるのがよいと言っているつもりはありません。安全にするために、引堤できるなら引堤をすればいいと思うんですが、多分、難しい問題を抱えるだろうと思います。低平地で潮位変動の大きい河口での出発水位をどうすべきか、まずは勉強していかなきゃならないなと思っております。
(委員長)  ちょっとそこは私は異論があって、安全工学という立場からすると、やっぱり一番危ないところで計画すべきではないかというのが私の視点です。ただし、満潮から干潮になるわけですから、それは1日の干満の中で洪水波形を考えてみて、例えば、正午に満潮とピークがぶつかっても、その後すっと水位が下がるので、いろいろな河道の貯留能力とか何かでうまく流下するんだというなら了解します。そんなものは今まで起こっていないからいいじゃないかというのですと、私は違うんです。
  一応、全部○○委員の理論で整理されてはいかんので、ご意見申し上げました。それでは、河川工学以外の方にご意見を伺いたいと思いますが、○○委員からお願いします。
(委員)  大井川ですけれども、先ほどのご説明にはなかったのですが、大変防災上重要なのは、この大井川というのは、大体中流から下流域が東海地震の想定震源域の真上にあるということです。東海地震というのは、切迫していると言われているのはご存じのとおりですけれども、この東海地震の震源域は面積のほぼ半分は海域で、駿河湾から遠州灘にかけてですが、残りの半分は陸域に入っております。そこをちょうど大井川が流れているということでありまして、もしもこの地震が起きますと、内陸直下の巨大地震マグニチュード8クラスになる可能性が高いわけであります。ですから、震源域の上では震度7に多分なるだろうということですから、堤防などの耐震強化は非常に重要で、ほかの河川と比べて一層重点的にやらなければいけないだろうと思います。もしも破堤したりしますと、藤枝あたりのいわゆる扇状地にたちまち氾濫を起こしてしまうということかと思いますので、堤防の強化というのが重要であると。
  それから津波の問題ですが、大井川というのは比較的勾配が急ですから、それほど長距離の遡上はないと思います。ただ、問題は、地震が発生してから、多分二、三分で河口のところへ津波が来てしまいます。ですから、例えば地震予知情報が直前に出れば、その時点で住民の方々を避難させられるんですが、予知に失敗しますと、これは前々から言われているとおり、津波による人的被害が大きくなってしまうということで、しかも、堤防の決壊などが起きますと、まさに氾濫してしまうという問題があります。
  それからもともと上流部というのは土砂生産が多いところ、先ほど話もありましたけれども、まさに中央構造線と糸魚川-静岡構造線という、言ってみれば日本列島を分けるような構造線がちょうど北のほうの諏訪湖のあたりで交わっており、まさに断層破砕帯が上流部にはありますので、そういった点で土砂生産が多いのは当然なのですが、もしも地震によって斜面崩壊が各所で起きると、大規模な土砂災害が発生します。安倍川上流での大谷崩れは宝永地震で崩れたわけですが、例えば、ダム湖の周辺で崩壊が起きますと、崩壊した大量の土砂がダムに流れ込むことによって水があふれ出して、大きな災害を引き起こす可能性がありますし、イタリアのバイヨントダムのような災害になる可能性もないわけではないということで、ここはダム湖が非常に多いですから、斜面の安定化を積極的に進めておかなければいけないと思います。ということなのですが、今お話ししたように、想定震源域のほぼ真上にあるということですから、次回にでも想定震源域の図がありますね。ちょうどひょうたんみたいな格好した、あれをこの地図に重ね合わせたものでも用意していただければ、皆さんわかっていただけるかと思います。よろしくお願いします。
  以上です。
(委員長)  それでは、○○委員、お願いします。
(委員)  私自身、学生時代、大井川と安倍川の周りを大分歩きましたので、あそこの川に水が戻ってきたというのは非常に喜ばしいことです。ただ、たしかプログラム評価はしたと思いますけれども、発電からの水の戻しについて、大井川なんかは特にそうなんですけれども、3倍ぐらい戻しているわけです、規定を超えて。その状態が、一体河川生態系にどれぐらいプラスになったかということを科学的に評価し、それを国民の方に、あるいは減電にはなっていないんですけれども、ある程度犠牲を払った電力会社の方々に示すべきだと思うんです。データもあると思いますので、ぜひとも河川局としてやっていただきたい第一のことだと思います。せっかくのいい事業だと思いますので。
  それから、たまたまこの3つの川を拝見して、川の持つ文化遺産が目につきます。私、今回、石井樋のDVDを拝見しながら、これはすばらしい技術、コアの技術だと思いました。それから重源の佐波川の話もあります。それから大井川だって島田の宿の川渡しとか、木を流すという川の伝統的技術による利用がありますので、こういうものを川おこし、あるいは町おこしのコアの一つとして展開していくことを位置づけるような、整備計画に一文二文をぜひ書き入れていただきたい。この2点をお願いしたいと思います。
(委員長)  それでは、○○委員のほうからお願いします。
(委員)  私は嘉瀬川について1点だけ、これは質問ということになると思いますけれども、お尋ねしたいんですが、正常流量2.5m3/sということでご説明がありましたけれども、下流側にいろいろ取水があって、参考資料のほうで流況などを拝見しますと、結構厳しい状況ではないかと。つまり、渇水流量の、これは10年ですか、平均で0.92に対して、上工水だけでも1.3m3/sくらいの下流で取水があるみたいですが、つまり、2.5m3/sというのをどう確保するかという問題はあるんですけれども、私、わからなかったのが、佐賀導水という事業によって、それを前提とした豊水暫定水利権が与えられているような記述が参考資料の概要の39ページにあるんですけれども、この辺の関係ですね。つまり、正常流量2.5m3/sというのは佐賀導水事業と関係あるとして考えていいのかどうか。それと実際の渇水流量との関係をどう考えたらいいのか。もう少し説明をしていただければということです。
  なお、嘉瀬川の参考資料にはほかの水域のような水系の利水状況図がついていませんので、それをきちっとつけていただきたいということもあわせてお願いしたいと思います。
(委員長)  これは次回にしましょうか。
  では、○○委員、お願いします。
(委員)  いいです。
(委員長)  私からは、嘉瀬川で先ほど微妙な説明があって、基準地点官人橋と主要地点嘉瀬橋、官人橋と嘉瀬橋の間に遊水地をつくりますよという説明がありました。そうすると、仕上がりはどういう書き方になるのか。つまり、基準点が官人橋だと、官人橋で嘉瀬川ダムの洪水調節量は入りますけれども、官人橋から下流の遊水地はこの中に載らないわけですね。ですから、むしろ嘉瀬橋を主要基準点にしたらどうかということにもなるんですが、いずもにしても、遊水池をつくるんだったら、ちゃんと書類の中でわかるようにしておくことが必要だと思います。現地で整備計画でつくるんだと言っても、ちょっとそれはいかがかなと。やはり遊水地は私人の土地を公共事業に使うわけですから、国のしかるべき機関決定したものが根拠として必要だし、場合によっては土地収用法の対象にもなるわけですから、そういう意味で根拠が明らかになるように書きぶりを工夫していただきたいなと思います。
 それから私も河川行政に従事しての感想なんですけれども、きょうは流域面積と氾濫区域面積と人口が違って、流域面積の人口より氾濫区域の人口が多いなんていう例がありました。世の中の人は流域をどう考えているのかなと。どうも河川管理者のいう流域と一般人のいう流域とは違っているらしい。一般の人は氾濫区域にかなり重きを置いて流域と言っているので、やはり一般人のほうに頭を少し切りかえてもらって、皆さんのいう流域と氾濫区域ぐらいを足したものが流域としてはいかが。おそらく一般人はみんなそう思っているんですね。言葉が社会的に通用するように努力をしていただいたらどうかというのが感想でございます。
 なお、本日は、基本高水のピーク流量と河道計画流量、嘉瀬川の点はいろいろありますが、おおむねこの提出された枠でよろしゅうございますでしょうか。次回、案文をつくっていただくに当たって、今日提出されました水系では、いずれも工事実施基本計画をそのまま継承するという提案でありました。
 それから正常流量の関係については、従来検討するというのでしたが、今回それぞれ具体的な数字が提案されておりまして、○○委員からのご質問がありましたので、それに説明する前提にして、それを理解いただければという前提で、大体今日ご提出いただいた枠組みで……。
(委員)  委員長が言われた1カ所何か工事実施基本計画の2,800m3/sを2,500m3/sにするというのがありましたね。
(委員長)  あそこはどう書くのかということで、そこは宿題にいたしますが、それ以外の枠組みはこれでよろしいでしょうか。どうぞ。
(委員)  高水のほうはもうちょっと勉強して、正常流量なんですけれども、大井川は特にそうなんですが、従来、発電からの戻しがない状態で設計された正常流量と戻した状態とがほんとうに再検討が必要あるのかないのか。ちょっと私はわからないところがあるんですがね。特に地下水位と河川流量に関係は見られない。取水障害も発生していない。1kmと書いて、多分それは正しいと思うんですけれども、やはり水が戻った状態で地下水位が変わると思うので、そこら辺、ちょっと教えてください。
(委員長)  じゃあ、○○委員のご意見も含めまして、次回丁寧にやっていただくということで、提出したものについては次回もう1回、正常流量は整理していただく。そういうことで本日の議事は締めたいと思います。
  本日は、資料として河川整備基本方針の本文案とその骨子などの資料が用意されていましたが、時間の都合でその紹介がありませんでした。次回は、本日の議論も踏まえ、本文について審議していただくこととなりますが、本日配付された資料も含め、お気づきの点がありましたら、次回以降の議論にも反映できるよう、あらかじめ事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。
 事務局におかれましては、本日の議論や委員からの追加意見を踏まえて、本文案に必要な修正を加え、次回改めて紹介するようお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について発言者の氏名を除いたものとし、各委員のご確認を得た後、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議題は以上でございます。

3.閉      会

(事務局) どうもありがとうございました。次回の本委員会は、Aグループにつきましては、大井川等3水系の審議のため、9月21日木曜日10時から12時の間、場所は国土交通省3号館11階の特別会議室での開催となっておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構ですが、郵送をご希望の方には後日郵送させていただきますので、そのままお残しください。
 それでは、閉会いたします。どうもありがとうございました。






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