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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第58回河川整備基本方針検討小委員会

平成19年1月19日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤   徹
委   員  浅 枝   隆

上    真 一
岡 本 敬 三
坂 本 弘 道
谷 田 一 三
中 川   一
福 岡 捷 二
道 奥 康 治
宮 村   忠
虫 明 功 臣
森 田 昌 史
上 田 清 司
石 原 慎太郎
井 戸 敏 三
藤 田 雄 山


1.開      会

(事務局)  ただいまより第58回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。
 私は、本日の進行を務めさせていただきます事務局○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、お手元に配布しております資料のご確認をお願いいたします。最初に議事次第、名簿、配席図がございます。それから資料目次がございます。それにのっとってご説明します。
 資料1、付議書及び付託書、それから審議会運営規則、河川分科会運営規則、一級水系にかかる各種諸元でございます。これが1、2、3、4でございます。資料2、荒川、揖保川、太田川それぞれの特徴と課題ということで1、2、3と3つございます。資料3、こちらも3水系につきまして河川整備基本方針(案)の骨子ということで、1、2、3とございます。資料4、工事実施基本計画と河川整備基本方針(案)ということで、こちらも3つございます。資料5、基本高水等に関する資料(案)ということで、こちらも3水系、3つございます。資料6、流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する資料(案)ということで、こちらも3水系、3つございます。資料7、土砂管理等に関する資料(案)ということで、こちらも3水系、3つございます。それから参考資料1でございますが、3水系の流域及び河川の概要ということで3つございます。参考資料2は、3水系の管内図でございます。参考資料3は3水系の流域図でございます。
 以上でございますが、資料に不備がございましたらお申しつけください。よろしいでしょうか。
 本日の審議はBグループでございます。会議に先立ちまして、本委員会の新しい委員をご紹介させていただきます。
 荒川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として、○○委員でございます。

2.議      事

(委員)  代理で来ております○○でございます。よろしくお願いいたします。
(事務局)  次に、○○委員でございます。
(委員)  代理で来ております○○でございます。よろしくどうぞ。
(事務局)  地元に詳しい委員として○○委員でございます。
(委員)  ○○でございます。よろしくお願いいたします。
(事務局)  揖保川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として、○○委員でございます。
(委員)  代理の○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
(事務局)  地元に詳しい委員として○○委員でございます。
(委員)  ○○でございます。よろしくお願いします。
(事務局)  太田川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として○○委員でございます。
(委員)  代理の○○でございます。よろしくお願いします。
(事務局)  地元に詳しい委員として○○委員でございます。
(委員)  ○○です。よろしくお願いします。
(事務局)  本日、○○委員、○○委員、○○委員、○○委員は、ご都合によりご欠席されております。
 傍聴の皆様におかれましては、傍聴のみとなっております。審議の進行に支障を与える行為があった場合には退出いただく場合があります。議事の進行にご協力願います。
 本日、本委員会でご審議いただく水系は、荒川水系、揖保川水系、太田川水系の3水系です。荒川水系の河川整備基本方針につきましては、去る6月14日付で国土交通大臣から社会資本整備審議会長に付議がなされ、6月26日付で同会長から河川分科会長あて付託されたものであります。
 また、揖保川及び太田川水系の河川整備基本方針につきましては、去る9月21日付で国土交通大臣から社会資本整備審議会長に付議がなされ、10月4日付で同会長から河川分科会長あて付託されたものであります。
 それでは、○○委員長、よろしくお願いいたします。
(委員長)  ○○でございます。本日は、委員の皆様にはご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、議事次第に沿いまして、荒川等3水系の河川整備基本方針について審議をいただきたいと思います。
 事務局から説明をお願いいたします。
(事務局)  事務局を担当させていただいております事務局○○でございます。よろしくお願いいたします。
 本日、3水系でございまして、荒川、揖保川、太田川の順でご説明をさせていただきます。ご説明に当たりましては、まず概括的に把握していただくために、画像を使いましてご紹介をさせていただいた後、資料を使ってご説明をするということになってございます。資料のほうはかなりボリュームの大きなものになっておりますので、少しはしょりながらのご説明になるかと思いますが、お許しをいただければと思います。それでは、お許しをいただいて座ってご説明をさせていただきます。
 まず、荒川水系でございますけれども、ご承知のとおり、関東平野の西側、埼玉、東京といったところを流れております。流域面積は2,940平方キロメートルと大変大きな川でございます。
 2,500メートル級の甲武信ヶ岳から流れ出しまして、秩父山系のかなり険しい渓谷を流れ下ります。上流部にはダムがたくさんありまして、水機構の滝沢ダム、現在、試験湛水中で、61%湛水が進んでおりますが、そのほかにも直轄の二瀬ダム、これは重力式のアーチダムでございます。もう少し下っていきますと、水機構の浦山ダムというのが秩父市街地の上流側の支川にございます。いずれも水資源開発と洪水調節を目的としたダムでございます。
 秩父市の西側をずっと北流いたしまして、秩父盆地を抜けていきまして、長瀞という景勝地を抜けます。こういうライン下りがあったり岩畳のところがあったり、観光地となってございます。ここを抜けまして、東に流れを変えまして、発電の逆調ダムの玉淀ダム、農水の取水も行われていますが、ここを抜けまして、寄居という利水の基準地点のほうにまいります。この下流に6つの堰を統合した六堰頭首工といったものがございまして、ここらあたりから堤防がきっちり出てまいります。この熊谷周辺では瀬切れというのが問題になっておりまして、川に伏没してしまうというようなことになってございます。
 もとの荒川は、そこに書いてありますように元荒川という名前で呼ばれてございますが、そこから切り離されまして今の荒川がございます。昭和22年のカスリーン台風のときには、利根川も切れましたけれどもこちらのほうも切れておりまして、左岸側が大きな浸水区域になってございます。下流のほうからは利根川から水を持ってくる武蔵水路といったものが入ってまいります。このあたりは大変川幅が広くて、2.5キロぐらいあるという日本でも有数の川幅の広さでございます。そういったところで横堤というのを設けまして、河道の安定と遊水効果を高めているということでございます。
 このように川幅が広い状態で維持されておりますが、横堤がいろいろなところで出てきております。
 ここはもともとの蛇行していた河川が残っておりまして、自然再生を行っているところでございます。
 もう少し下流で入間川という大きな支川が合流してまいりますけれども、こういった川でございます。
 昭和57年に結構浸水被害がございまして、新河岸川流域をはじめといたしましてかなり大きな被害を発生しております。その関係で激特事業が行われたりしてございます。またここは、浄水処理施設が大久保、朝霞とあります。ちょうどここに荒川第一調節池がございますし、秋ヶ瀬取水堰のあるところでございます。第一調節池の中に彩湖というのがございまして、多目的遊水地として水の開発、洪水調節といったものを行うこととしてございます。
 ここは戸田のボートコースがちょっと見えてございますけれども、もう少し下流に行きますと、岩淵の治水の基準地点になります。岩淵水門で隅田川のほうに分派しておるというような状況でございますけれども、ここから旧荒川を、隅田川だったわけでございますけれども、治水能力アップのために、約22キロの区間について人工的に放水路をつくってございます。ここでは左岸側から中川という支川が合流してきてございます。
 河口部ではスーパー堤防の整備が進んでございまして、小松川のスーパー堤防がこういったような形で整備が行われてございます。
 東京湾に流れ込みまして、左側に葛西臨海公園などがございますけれども、こういう状況でございます。特に下流部は地下水の取水等で地盤沈下を起こしておりまして、ゼロメートル地帯ということで大変危険な地域ということも言われてございます。
 以上が荒川水系の状況でございました。
 それでは電気をつけていただきまして、お手元の資料2−1で荒川水系の特徴と課題についてご説明をさせていただきます。ご準備はよろしいでしょうか。
 まず、荒川水系の概要でございますけれども、左上の四角の中にございますとおり、我が国の政治経済の中枢機能を有する首都東京を貫流している。土地利用の約3割が市街地でありまして、流域の資産は150兆円に及んでおります。先ほど見ていただきましたとおり、河口から22キロの区間は人工の放水路となってございます。
 流域の諸元、左の箱の中にございますけれども、流域面積は2,940平方キロメートル、幹川流路延長は173キロ、浸水想定区域内人口が540万人ということで、大変人口の集中した地域でございます。
 地形は、下の真ん中のところにございますけれども、流域の43%が山地、36%が台地・丘陵、地形的には、先ほど画面で出てまいりました寄居付近を扇頂部とする扇状地が熊谷市付近まで広がっています。そこから下流につきましては沖積地の平野ということになってございます。
 土地利用でございますが、左側にいきまして、先ほども言いましたように、流域の43%が山地、市街地は28%ということになってございます。流域内の資産は150兆円ということで、大変集積した地域になってございます。
 降雨特性は、右上でございますけれども、年平均降水量が約1,400ミリということで、全国平均に比べますと少ないということでございます。
 流域の分布を見ますと、そこに分布図が出てございますけれども、秩父の市街地と平野部の間の山のところで多雨ということになってございます。
 河道特性といたしましては、先ほど見ていただきましたとおり、中流部が非常に大きな高水敷を有しておりまして、最大で2.5キロの川幅ということになってございます。放水路区間でございますけれども、約500メートルの川幅で人工的な河川ということになってございます。河床勾配につきましてはそこに記載したとおりでございます。
 次に2ページにまいります。流域及び氾濫域の概要のAでございますけれども、首都東京を貫流し、沿川の土地利用は高密度に進展している。下流沿川はゼロメートル地帯が広範囲に広がっているため、氾濫した場合の被害は甚大だということと、さらに、地下空間、地下街とか地下鉄などいろいろな施設が多数存在していて、非常に脆弱だということが言われてございます。
 市街地の発展につきましては、著しい市街化の進展のところにありますように、猛烈な勢いで市街化が進みました。一たん荒川が破堤しますと、左下でございますけれども、浸水区域が10区、約78平方キロメートル、浸水想定区域内人口は116万人ということで、これは岩淵地点が破堤した場合の氾濫でございますけれども、大変な被害が発生する。結果的には、左下にございますけれども、銀座の町並みまで浸水が及んでしまうということになってございます。
 それから次にゼロメートル地帯の話ですけれども、右上でございますが、地下水、工業用水を中心とした地下水のくみ上げが原因で地盤沈下が顕在化してございます。最大で4.5メートルというような記録もあるそうでございまして、江東3区を中心にゼロメートル地帯が広がっているということでございます。
 さらには、右下でございますが、地下空間につきましては地下鉄網が発達してございますし、仮に北千住付近で堤防が決壊すると、北千住駅で地下鉄内に流入した氾濫水は3時間で東京駅に到達してしまう。危機管理対応上も非常に重要な事案だと考えられます。
 次に3ページでございます。改修の変遷でございますけれども、荒川という川は利根川と同じで、かなり手が入りながら今日まで来てございます。もともとは上・中流部で洪水をあふれさせて東京を守ってきたということでございます。左下にございますように、日本堤、墨田堤というものを設けまして、東京に入ってくる水をある意味ではとどめて、そこより上流側であふれさせるというようなことで、そこから下流側ではあふれないようにするというようなことで江戸を守ってきたという歴史がございます。
 また、江戸時代の改修としましては、荒川の西遷とありますけれども、木材を運搬するルートを確保するということで、荒川をもともとの入間川のほうにつけかえたというような歴史もあります。その結果、川沿いにたくさんの河岸ができまして、物流の拠点となってございます。
 明治時代になりましてから、先ほどご紹介いたしました、岩淵から下流22キロの放水路を開削してございます。
 大正時代の改修ということでございますけれども、堤防、横堤の整備などを行いまして、流路の安定あるいは遊水効果を高めるというようなことをしてございます。
 次に、主な洪水とこれまでの治水対策でございます。荒川水系では、明治43年に大きな水害が出てございまして、399名の方が亡くなられ、20万戸ぐらいが床上浸水だったということがございました。これを踏まえまして、荒川の最初の改修計画がまとめられておりますが、その時点では岩淵地点で4,170m3/sという計画でございました。その後、カスリーン台風を経験し、荒川の工事実施基本計画が改定されていきまして、昭和48年に荒川水系工事実施基本計画改定ということで、基本高水流量が1万4,800m3/s、それから計画高水流量が7,000m3/sということで、岩淵地点での基本高水、計画高水が決められております。計画規模は1/200、当時隅田川への分派はゼロとされてございます。それ以降の工事実施基本計画改定は、高規格堤防(スーパー堤防)の位置づけの関係でございました。
 次にまいりまして5ページでございます。市街化の進展とその対策ということで、荒川の流域は、先ほどから申し上げておりますとおりかなり市街化が進展いたしました。特に新河岸川の流域や芝川の流域などいろいろなところで急激な市街化に対して特別な措置をとらないといけないというような状況が出てきてございます。
 左下に芝川での流域対策というのがありますけれども、芝川というのは荒川の左岸側の支川でございますけれども、戦後しばしば水害を受けましたけれども、流域内の人口増がものすごく急激だったということで、見沼三原則というような農地の転用方針の三原則をつくりまして、遊水機能を何とか保持していこうというような取り組みをしてございます。いわゆる総合治水の先駆け的な取り組みでございまして、左下に三原則が書いてございますが、原則として緑地を維持するとか、農地の転用を認めないというようなことを方針として打ち出したものでございました。
 一方、新河岸川につきましては、昭和41年6月の洪水とか、57年、平成3年、平成10年、1,000戸を越える床上浸水といったものを記録し、激しい洪水に見舞われております。その背景には、右上のところに新河岸川の流域特性というのがございますけれども、市街化がどんどん高度成長期に進展したということで、市街化率がまたたく間に50%ぐらいまで達した、これによりまして流出の形態が変わった、あるいは被害を本来受けないところに受けるような人たちが住むようになったというようなことがございまして、洪水被害が出てきております。新河岸川では、そういった状況を踏まえまして、昭和54年に総合治水対策に着手し、河道だけの対処ではもう困難ということで、調整池をつくったり、降雨の地下浸透促進を行ったり、いわゆる校庭貯留といっているような貯留施設を設けたり、流域全体として水をためようというような取り組みとあわせて対応するというようなことをやっております。その一方で、激しい被害に昭和57年以降3度にわたって見舞われておりますので、激特事業でいろいろな対策をやってきているということでございます。
 6ページにまいりまして、荒川の基本高水ピーク流量の検討でございます。工事実施基本計画は、そこに記載してありますとおり1/200の規模で、3日で548ミリという雨を対象にしてつくられてございまして、基本高水ピーク流量が1万4,800m3/s、計画高水流量は7,000m3/sということに岩淵地点でしてございます。今回これを検討いたしましたけれども、左側にあります年最大流量等の経年変化ということですが、既定計画を策定いたしました後に計画を変更するような大きな洪水はまず発生してございません。
 それから流量確率による検証は、ほかの川でもいつも同じパターンでやらせていただいておりますが、それを検証いたしました結果、9,600m3/sから1万6,500m3/sという幅に1/200規模の流量がなりまして、これにつきましてもそのバンドの中に入っているということで、特に変える必要がないなと。
 それから既往洪水による検証ということで、長瀞という先ほど画像で見ていただきましたところに、昔の洪水の痕跡というのが山の高いところにございますけれども、この辺を踏まえまして、今、実際にどういうふうに流量が出たかと計算いたしますと、1万6,300m3/sから2万3,900m3/sぐらいだったんじゃないかというふうに考えられます。こういうようなことを踏まえまして、一応、1万4,800m3/s、7,000m3/sという今の計画で大きく見直す必要はないのかなと考えてございます。
 次に7ページ、治水対策の考え方でございます。特に荒川の中流部から下流部にかけまして、先ほど画像で見ていただきましたとおり、沿川に人口・資産が集積しておりまして、引き堤をするとかハイ・ウオーター・レベルを上げるというのは得策ではないということで、河道でどの程度対応できるかという検討をまず行いましたところ、左下にございますけれども、現状の流下能力は6,350m3/sで、さらに可能な限り掘削をすると、7,000m3/sまでは何とか河道で流せるというようなことが検討されてございます。
 それから右上にございますが、上流部での洪水調節といたしましては、既設の二瀬ダムのかさ上げによる治水容量の増加といったものを含めまして、既にあります浦山ダム、滝沢ダムの洪水調節を行う。それから中流部では川の幅が広い特性を生かしまして、遊水機能を生かした調節池を、今は第一調節池だけございますけれども、さらに設けまして対応していこうと考えてございます。
 ちなみに、横堤のところに家屋がまだ残っていたりするものですから、そういう堤外民地に対する対応もあわせて行う必要がございますけれども、そういったことも行いまして、7,000m3/sという岩淵地点での河道の配分量というのを決めまして、基本高水ピーク流量が1万4,800m3/sに対しまして岩淵7,000m3/sという基本高水と計画高水で、もともとの工事実施基本計画のときと基本的には同じ数値でやるというような考え方でございます。
 次に8ページにまいります。治水対策の考え方ということで、今申しました基本高水、計画高水のもとでもう少しどういうふうな対応をしていくかということでございますけれども、まずはゼロメートル地帯が広範囲に広がっておりますので、洪水氾濫した場合の被害が甚大だということで、ハード・ソフト一体となった対策を行うということと、いわゆるスーパー堤防(高規格堤防)の整備、それから堤防強化といったものをあわせて行うというふうに考えてございます。
 高規格堤防につきましては、これまでも利根川の際にもご説明してございますが、計画高水位を上回る高水流量による浸透や越水に対してより高い安全性を持つ高規格堤防を整備するという考え方で、真ん中にありますような大きな丘のような形の堤防が絵にかかれてございますが、こういうような形の堤防を地域の再開発といったものとあわせて行うという考え方でございます。また、質的な安全が確保できていない堤防につきましては、計画高水位までの高水流量による浸透や洗掘に対しても高い安全性を持たせる必要があります。万が一破堤しますと大変な被害を発生するということで、そういう堤防断面が不足している区間、あるいは浸透による安全性が不足している区間につきましては、堤防強化という対策を行うというふうに考えてございます。
 また、そういうハード面の整備だけではなくて、ソフト対策といたしまして、地下鉄事業者との危険情報の共有とか、地域の皆さんにハザードマップを提示して危険情報を共有していただくとか、リアルタイム情報をケーブルテレビを通じて発信するというようなことを進めていくという考え方でございます。
 また、危機管理の観点から、広域防災ネットワークの構築ということで、右の真ん中にございますが、舟運、道路のネットワークも構築しまして、万が一地震や大規模な洪水が発生した際の救助や救援物資の輸送といったものが円滑に行えるように考えてございます。
 なお、新河岸川につきましても、流域対策として引き続き調節池の整備などのいわゆる総合治水対策を進めていくことにしてございます。
 次に9ページでございます。自然環境ということでございますが、荒川の上流部は大変自然豊かな秩父多摩甲斐国立公園となってございます。そこから流れ出まして、中流部は川幅の広い、砂礫河原や瀬・淵が発達した川になってございます。こういったところの保全を図っていくことが必要だという認識でございます。さらにもう少し下流の中流部につきましては、太郎右衛門地区の自然再生の話を先ほど画像の中でご紹介いたしましたけれども、大きな川幅の中に旧流路が残っておりまして、そんなところを自然再生するということで協議会をつくりまして、ビオトープづくりといった取り組みを進めてございます。川幅が広い中で貴重な自然が保全できるところは保全してまいりますし、回復、自然再生をさせていくところは再生させていこうという考え方でございます。また、サクラソウの自生地などがございまして、こういったところでは冠水頻度を変えないような対応といったものをしてございますし、下流部ではヨシ原や干潟の保全といったものが重要と考えておりまして、地域の皆さんと一緒にそういったものの再生やビオトープづくりといったことに取り組んでございます。流域全体としては市民参加というのがかなり進んだ河川でございまして、荒川学会といったものを設けてかなり活発に活動されていると聞いております。
 次に10ページにまいりますが、空間利用でございます。こういう都市内の河川ですので、大変貴重なオープンスペースとしてたくさんの方々に活用されています。上流部は、長瀞を含めまして観光地やキャンプ地などに活用されてございますし、中流部から下流にかけましては、先ほど申しましたような豊かな自然環境を背景として自然体験の場や環境学習の場として活用されてございますし、もう少し下流に行きますと、もっと都市型の利用として、グラウンドや公園といったものにも活用されているということでございます。さまざまな活動と自然の保全といったものをうまく共存させていくことが必要だと考えてございます。
 次は水質ということで11ページでございます。荒川の水質につきましては、左側に数値を示してございますが、上流部、中流部、下流部ともおおむね環境基準値を満足しているということでございます。周辺部で水質の悪いところがございますので、例えば綾瀬川といったところには、本川の水を地下鉄のトンネルの中に設けた導水路を利用して送水したり、隅田川につきましても余剰水を送水して水質改善などに努めてきておりまして、こういった成果がありまして、かなり流域全体といたしまして、あるいは周辺の流域を含めまして水質改善というのは大きな効果を上げてきてございます。
 次に12ページでございますけれども、水利用でございます。ご承知のとおり荒川水系は、東京都、埼玉県といった地域に住まれる方々の貴重な水源となってございます。水利用の現状といたしましては左側にありますが、発電用水、農業用水、水道用水、工業用水、いろいろな面で大量に使われているのが実情でございます。1枚めくっていただきまして、水資源開発の経緯というのを示してございますけれども、もともと荒川水系では二瀬ダムを整備しまして発電や農業用水の安定化などいろいろなことを図ってきておりますが、東京の水が不足しているというような状況で、いわゆる水資源開発基本計画というのを策定いたしまして、多摩川だけではもう足りないということで、東京都の水源として利根川から持ってくる計画を立てました。利根川の上流で開発した水を武蔵水路等で導水してくるわけでございますけれども、それでも賄い切れないという状況になりまして、荒川も含めまして水資源開発を行うというように方向転換をいたしまして、利根川・荒川水系水資源開発基本計画というのを第V次フルプランからは位置づけまして、荒川での水資源開発施設の整備も進めてまいっております。先ほどご説明した浦山ダムや滝沢ダムがこういったものに当たってございます。こういった成果によりまして、オリンピック渇水も乗り切りましたし、最近の水事情につきましてもかなり対応ができてきているというような状況かと思います。
 次の14ページでございます。ただ、安全度といたしましては、必ずしも十分な、ほかの川並みの安全度にはなっておりませんで、利根川のときにもご説明いたしましたけれども、大体1/5の安全度というのを目標としてやるというような川の状況になってございます。近年の課題といたしましては、荒川に3年に1回渇水が発生して取水制限が行われております。渇水時には、先ほども申しましたように、中流部の熊谷付近で瀬切れが発生するというような支障も生じましたし、秋ヶ瀬の取水堰の下流側も維持流量が不足するような状況も見られておりました。また、全国的な話かもしれませんけれども、長期的な課題としましては、この流域でも年の降水量は少雨化傾向で、変動幅が大きくなり、利水安全度自体が低下しているというような指摘もございます。
 そういった中でいろいろ対応しないといけないということでございまして、右側に書いてございますように、荒川ダム統合管理及び利根川との広域低水管理というようなことで対応していく必要があると考えてございます。荒川水系では1/5という低い利水安全度で水資源開発施設を整備しており、ダムの効率的・効果的な運用を図るために、既存のダムの容量といったものを活用し、補給量をうまく調節することによりまして安全度を上げていくとか、そういう対応をするというようなことを考えてございます。
 なお、熊谷の瀬切れ対策といたしましては、六堰の頭首工の改築の際に合わせまして流水改善水路というのを河川管理施設としてつくりまして、六堰の下流に最低3トンを流下させるということを進めてきております。こういったような努力によりまして、平成12年以降、中流部の瀬切れは解消し、また平成10年以降は、秋ヶ瀬取水堰下流において5m3/sが確保されており、かなり流況が安定してきたというふうな状況になってございます。
 15ページでございますけれども、流水の正常な機能を維持するため必要な流量の設定でございます。工事実施基本計画では、左側の青いところにございますが、流水の正常な機能についての基準点を古谷本郷地点ということにしてございましたけれども、今回基本方針を策定するに当たりまして、基準点を2地点設けることといたしております。地点は、秋ヶ瀬地点と寄居地点ということでございます。その理由でございますけれども、左上に青く記載されております箱の中にございますが、秋ヶ瀬取水堰の設置に伴い湛水域となり、古谷本郷地点が流量観測できなくなったため変更する。変更するに当たりまして、寄居地点の近傍では農業用水の大規模な取水がある。それから秋ヶ瀬取水堰下流地点近傍では都市用水の大規模な取水がある。六堰や秋ヶ瀬取水堰といったことでございますけれども、さらには寄居地点下流では、ご説明しましたが、熊谷地点で瀬切れが起こっているとか、秋ヶ瀬取水堰下流地点では汽水の環境保全に適切な流量管理が必要であるとか、そういう2つの地点でなすべきことが違うというようなこともございまして、さらにはそれぞれの地点の流量の相関も芳しくないというようなこともありまして、2つの地点を基準地点として設けるというようなことで考えてございます。
 寄居地点では、右側の流況の縦断がございますけれども、その下の、動植物の生息・生育地の状況及び漁業というところに赤で書いてございますが、寄居地点で魚の移動・産卵から必要な流量は4.3というようなことを決めてございます。それからその下に、秋ヶ瀬取水堰下流ではヤマトシジミの生息に必要な汽水環境の保全のための流量5.0というようなことになってございまして、正常流量につきましては、その結果、一番上の箱の中でございますけれども、かんがい期22.21m3/s、非かんがい期8.83m3/s、これが寄居地点でございますが、秋ヶ瀬取水堰下流地点では通年5m3/sというようなことで、今回提案させていただいております。
 16ページ、総合的な土砂管理でございますけれども、どの水系でもお示ししております河床変動の図を左側に載せてございますが、昭和50年代から60年代ごろまではしゅんせつ等による河床低下が見られましたけれども、近年は安定傾向ということで、河口部の状況も、右下にありますように、河口閉塞するまでは至っていないということで、舟運の活発な河川でございますので、河床の管理というのは必要でございますけれども、モニタリング等を行いながらそういったことをしっかりやっていきたいというようなことでございます。
 以上、荒川水系でございました。
 ちょっと時間が超過いたしておりますが、続きまして揖保川と太田川のご説明をさせていただきます。
 揖保川水系でございます。兵庫県の西側のほうに南北に流れる川でございます。流域面積は810平方キロメートル、上流はいわゆる中国山地の藤無山というところから流れ出します。谷合いを流れてまいりまして、途中に一宮町というところがありまして、昭和51年の水害のときに大きな地滑りも起こしております。その下流で引原川という支川と合流をいたします。この引原川の上流には、洪水調節を目的とした引原ダムという既存のダムがございます。今回の計画の中で、これの活用みたいなものを考えてございます。
 揖保川本川は、小さな盆地を貫流しながら南へ南へと流れていきます。昭和45年8月、昭和51年9月、大きな出水がございました。45年は上流部で雨が多くて、51年は下流部で雨が多かったということでございます。
 これは旧山崎町あたりでございまして、十二ン波という地名でございますが、加古川の闘竜灘みたいな景勝地になってございます。こういうなだらかな山地の谷合いをずっと下ってまいります。
 45年のときにはこういう被災をいたしました。旧新宮町あたりを抜けまして、龍野のほうに至ります。河原は、かなり丸石河原みたいになってございまして、その河原特有の生態系が発達しているということでございます。たつの市内はかなり狭窄部になってございまして、両側に人家が迫ってきているということでございました。国道2号線、山陽本線、山陽新幹線という交通の要所を通りまして林田川と合流いたします。
 林田川は、揖保川本川と平行に南北に流れている川でございまして、かつては大変水質が汚いということで有名でございました。そこがようやく清流ルネッサンス事業等で改善されています。河口部は三川に分派しているということで、3つの川に分かれまして、いずれも播磨灘、瀬戸内海に注いでいるという河川でございます。
 資料2−2をお願いいたします。荒川の説明が少し長くなりましたので、同様の説明につきましてはなるべく割愛しながらご説明をさせていただきます。
 揖保川水系でございますけれども、兵庫県の西部、流域面積が810平方キロメートルで、幹川の流量延長が70キロということでございます。上流が中国山地でございまして、ずっと南に下っていまして、龍野のところで扇状地が開けていきまして、そこから下流地域で、臨海部では重化学工業、それから揖保川の清流を生かしたしょうゆや手延べそうめんといったものが有名でございますけれども、そういう産業が発達してございます。
 真ん中でございますけれども、土地利用は、山地が84%、農地が11%ということになってございます。
 年間降水量は、右上のような分布になっておりまして、瀬戸内の気候ですので、下流部のほうはかなり雨が少ないというようなところでございます。
 地形・河道特性が一番下にございますけれども、下流部は、先ほど申しましたような扇状地で、ひとたび氾濫すると被害が甚大となる、拡散型の氾濫をするようなところでございます。
 1枚めくっていただきまして、これまでの主な洪水と治水対策ということでございます。揖保川水系では、昭和16年8月に大きな洪水がありまして、これを契機としまして、昭和21年に揖保川の改良工事が着工されております。当時、計画高水流量が2,900m3/sということでございました。その後、先ほどの画像でも見ていただきましたとおり、昭和45年、昭和51年に大きな出水がありまして、それを踏まえまして、昭和63年に揖保川の工事実施基本計画というのが改定されております。基本高水流量が3,900m3/s、計画高水流量が3,300m3/sという龍野地点での流量で改定されてございます。
 これまでの治水対策は、右側にございますとおり、下流部を中心に堤防整備を実施してきたということで、下流部で堤防の整備率は、暫定も含めまして87%ということになってございます。
 1枚めくっていただきまして3ページでございます。基本高水のピーク流量の検討ということで、先ほどの荒川と同じような検討を行っておりまして、最近の雨の状況、それから右上にあります流量確率による検証、それから時間雨量による計算ということで、降雨の継続時間、洪水の到達時間に着目した解析を行いましたけれども、こういったものを変更する必要がないということになってございますし、その左側には既往洪水の検証もしてございまして、明治25年7月の洪水を対象に既往の出水の検討を行ってございます。こういうもろもろの検証を行いましたけれども、基本高水ピーク流量を3,900m3/sから変更する必要はないと考えてございます。
 1枚めくっていただきまして、治水対策の考え方ということで、一番右側のところに堤防の整備状況というのがございますけれども、中・上流部では堤防の未施工区間が多くて、築堤が必要と言われております。ネック部が何カ所かありまして、そこの対応が必要でございます。
 それにつきましては、その次の5ページでございます。まず、基準地点の龍野というところが、両側に人家が連檐しておりまして、大変川幅も狭くなっているということでございます。ここにつきましては、左側に写真がございますけれども、今は畳堤というような特殊堤も設けて、治水に非常に苦労してきている地域でございますけれども、こういうような立地条件でございますので、川幅を広げることはなかなか困難だということ。それから引き堤が困難になりますと、堤防を上げるかということになりますけれども、今申しましたような特殊堤で対応しているということもございまして、それも難しい。そうしますと、掘削によって河積を確保するというようなことで検討いたしましたけれども、流速がかなり大きくなるとか、上・下流の縦断的な整合性といったことを踏まえまして、ここでは現況の流下能力2,900m3/sに対しまして、あと500m3/sを確保するのに精いっぱいだというような検討でございまして、3,400m3/sということで、この地点の河道の流下能力を設定してございます。そのほか、上流の山崎地点も、先ほど言いましたが、十二ン波という景勝地などがございまして、そういったところはなるべくさわらないような対応をせざるを得ないということがございます。
 また、河口部では三川分派してございますので、こういったところの分派を確保するといった観点も踏まえまして、1ページ戻っていただきまして、4ページの左に基本方針の流量配分図というのがございますが、龍野地点の基本高水ピーク流量3,900m3/s、計画高水流量が3,400m3/sということで今回設定させていただきたいということで提案させていただいております。あと、下流の三川分派のところは、ここにございますような分派量で計画高水流量を考えてございます。
 次に6ページの自然環境でございますが、上流部は中国山地で大変自然豊かなところでございます。中流部は、先ほど申しました丸石河原ということでございまして、河原を生育場所とする植生、カラワハハコなどがありますけれども、そういった植物が見られる環境になっておりまして、こういったものを保全していく必要があるということでございます。下流部・河口部につきましては、アユの産卵場となっているとか、貴重な干潟や塩沼植物群落といったものが残っているということで、そういったところにも保全が必要になってございます。
 また、一番右端にあります縦断連続性の確保ということでございますが、ここはアユの遡上などで有名でございまして、横断工作物でそういった遡上が阻害されているところが結構あるものですから、そういったものを改善していく必要もあるというようなことでございます。
 7ページの水質でございますが、林田川につきましては、全国でも有名な水質の悪い川でございましたけれども、清流ルネッサンス21あるいは清流ルネッサンスUというような事業でかなり水質が改善されてきてございます。説明は省略いたします。
 次に8ページでございますけれども、空間利用、水利用につきましてもかなり活発に行われている地域でございます。
 9ページの、流水の正常な機能を維持するため必要な流量の設定ということでございますが、ここも正常流量の基準地点を今回見直してございます。従来、林田川の水質がものすごく悪かったということもありまして、それが合流してからの地点だと、なかなか評価も難しいということもございまして、従来、龍野地点で正常流量の基準点といたしておりましたけれども、今回は林田川合流後の上川原地点というところに基準点を変更してございます。変更した理由は、林田川の水質が改善されたということ、それから、当時、水文資料の蓄積が少なかったのですけれども、かなり蓄積されたというようなこともございまして、今回、水系全体を見るという観点で、こちらの下流の基準点に変更させていただいております。こちらにつきましては、動植物の生息または生育ということで、通年3m3/sと設定いたそうということにしてございます。
 最後に10ページ、総合的な土砂管理ということでございますけれども、ここも井堰、横断工作物がたくさん存在しておりますので、河床変動は比較的小さいということでございます。河口付近も河口閉塞などの状況は見られておらないということで、三川が分派しているという難しい河川構造でもございますので、モニタリング等は当然必要でございますけれども、今のところ大きな問題はないと理解してございます。
 以上が揖保川でございました。
 次は太田川でございます。太田川は、広島市に流れ込む一級水系でございます。冠山という1,400メートル弱の山を水源としてございます。一番上流のところは割と平らな高原のような盆地になっておりまして、スキー場等もありましてリゾート地としてにぎわってございます。そこから少し渓谷に入りまして、立岩ダムや鱒溜ダムといった発電用のダムがこの辺から増えてまいりまして、かなり急勾配の川でございますので、ショートカットすると落差が稼げるので、発電でどんどん使われている。その結果、いわゆる減水区間になっているところが多くございます。
 下流の滝山川という支川には温井ダムという洪水調節も含めた多目的のアーチダムが既に平成14年に完成してございます。そこから下流に細い谷合いを下ってまいりますが、地形的な関係もありましてかなり蛇行の発達した河川になってございます。平成17年、一昨年9月にかなり大きな出水に見舞われまして、計画高水流量ぐらいに匹敵するような出水があったと聞いてございます。
 玖村という地点が高水の基準点ということになってございます。この辺から広島市の市街地に人家が連檐し始めまして、ちょうどここに高瀬堰という堰がございまして、取水が行われてございます。平成18年9月に大きな出水がございまして、この地域からずっと各地で破堤しまして、大きな被害が発生したということでございます。
 広島の市街地の上流側といいますか、ここで分派してございますが、太田川のデルタ地形になってございますけれども、洪水の疎通能力を拡大するということで、荒川と同じような放水路を計画し、施工しました。この右側の祇園水門というところにある川、こちら側の川が太田川の放水路ということで、下流部のほうはかなり直線化した河川で、いかにも放水路というような感じの河川になってございます。こうして広島湾に注いでおる川でございます。
 平成16年に高松が高潮被害でひどい目に遭いましたけれども、そのときにもこの地域も高潮の被害に遭ってございまして、この河口の左岸側は大きな被害に遭ってございます。
 祇園水門と同じところに大柴水門というのがございます。こちら側のほうが旧太田川でございまして、旧太田川の川沿いに原爆ドームや平和記念公園といったものが立地してございます。太田川は、河口で9つの川に分派してございます。平成16年には、先ほど申しましたように高潮被害で、ここで色塗りをされているところで浸水被害を発生してございます。
 河口のほうから見ますと、デルタの発達したエリアに広島市が発展しているというのがおわかりいただけるのではないかと思います。
 太田川の説明のほうにまいらせていただきます。資料2−3でございます。太田川につきましては、今見ていただいたような川でございますが、右側に地形・地質特性というのがございますが、北東から南西方向の断層が卓越しておりまして、支川はそういう方向に流れておりますが、ここを直角方向に本川は流れておりますので、かなり蛇行が進んだ川になってございます。
 流域面積が1,710平方キロメートルという川でございます。
 降雨特性でございますが、上流部の年平均降水量が2,500ミリでございます。
 土地利用につきましては、山地が89%ということで、河口のデルタ地帯に人口が集中しているというようなところでございます。
 1枚めくっていただきます。河口のデルタ地帯のご紹介でございますが、先ほど9と言いましたが、間違っておりました。太田川下流のデルタ域で6本の川に分かれて流下しておりまして、「水の都ひろしま」と言われております。河口域では干拓などで町が形づくられておりますので、ゼロメートル地帯が非常に多いところになってございます。
 1枚めくっていただきまして3ページでございますが、主な洪水とこれまでの洪水対策でございますけれども、大正8年、昭和3年という洪水がございまして、それを契機として昭和7年に太田川の改修事業が着手されてございます。太田川放水路自体は昭和40年に通水が開始されておりまして、昭和47年7月や平成17年9月の出水時には大きな効果を発揮しています。
 この広島のデルタ地帯の改修でございますけれども、一番左下にございます江戸時代の治水対策として、広島城が真ん中にございますが、その後ろの北側の堤防を高くして、水制工を設けまして対岸に水をはねて城を守るという治水をしてきてございました。その後、たび重なる出水がありまして、太田川の放水路計画というのが立てられまして、左から2つ目のところでございますけれども、一番西側のところに放水路を建設してございます。昭和7年に事業化いたしましたけれども、戦争で一時中断して、結果的には昭和40年にやっと通水できるというような、結構時間がかかったものでございます。その右側に治水対策効果というのがございますけれども、同じような大きな雨のときの浸水被害を見てまいりますと、この太田川の放水路が大きな役割を果たしてきたというのがおわかりいただけるのではないかと思います。
 1枚めくっていただきまして4ページでございますが、この地域は特に高潮の被害というのが特筆すべき被害となってございまして、一番左にありますが、高潮計画でルース台風や洞爺丸台風がございますけれども、こういう過去の高潮被害を踏まえまして、高潮の全体計画ができています。この広島市は、もともと瀬戸内海の中で干満の差が最も大きいということと、地盤が低いということと、湾が南に向いていますので、台風が来たときに吹き寄せを受けやすいということで、高潮の被害が発生しやすくなっています
 現在、高潮の堤防計画というのが、ちょうど真ん中に図がございますが、段階施工ということで計画されておりまして、現在は第2段階まで整備ができているということでございます。こういった整備が進んできたこともありまして、3年前の平成16年の台風のときの高潮被害も、平成3年のときに比べますとかなり小さくなっていたというようなことが言われております。
 5ページ、基本高水のピーク流量の検討でございますが、他の河川と同様の検討を行っておりますが、玖村地点で1/200、2日雨量で396ミリという工事実施基本計画での基本高水のピーク流量に対しましていろいろ検討を行いました結果、このピーク流量を見直す必要はないということでございます。説明は割愛させていただきます。
 1枚めくっていただきまして、治水対策の考え方でございますが、今の基本高水をどうやって流すかということでございますけれども、下流のほうの河道の疎通能力からいたしますと、市内の分派しているところは、放水路は通水開始後、河床が低下したそうでございますけれども、現在では安定しているということで、河床低下した関係で、現況、もともと評価していたところよりも500m3/sの流下能力が確保可能ということになってございます。それから、市街地の直上流に当たる高瀬堰付近も、若干手を入れると、従来7,500m3/sといっていたところを8,000m3/sまで流すことができるということがございまして、その次の7ページでございますが、一番右下に流量配分図がございますけれども、基本高水1万2,000m3/sに対しまして、玖村地点で8,000m3/sという計画高水流量を設定することが可能だということがわかりまして、そういうようなことで設定させていただくことにしてございます。
 残りの上流での洪水調節施設でございますけれども、温井ダムをはじめ既設のダムもございまして、そういったものの運用の見直しや新規ダム、まだはっきり決まっているわけではございませんけれども、そういったものを検討することによって対応が可能と考えてございます。
 8ページの自然環境でございますけれども、ここも上流が大変自然豊かな地域でございまして、広島市の直上の高瀬堰あたりまではかなり河原が発達した河川ということで、自然豊かな河川になってきてございます。デルタ地帯では、塩沼植物群落をはじめ、干潟や水辺の群落といったものの保全が重要と言われております。また、揖保川と同じでございまして、魚類の遡上降下といったものも重要と考えられておりまして、アユや、この地域におりますサツキマス(アマゴの海降型)といったものが遡上できるような環境に改善しようということで、取り組みを行ってございます。
 水利用につきましては、9ページにございますけれども、広島市の上水、工水といったものといたしまして、流域内の開発のみならず、江の川の流域の土師ダムというところから分水をしてきていただいております。また、この地域から瀬戸内海の島嶼部に逆に水を送るということにもなっておりまして、高度な水利用が行われております。9ページの右側はそういったことを示した図になってございます。
 それから10ページが空間利用・水質でございますけれども、こういう自然豊かな川で、あるいは広島市内では貴重なオープンスペースということでかなり利用が活発化しております。そういった中で、10ページの右側にありますプレジャーボート等の不法係留対策というのがこの川では非常に重要な課題でございまして、全国に先駆けていろいろな対策を実施してきておりまして、効果を上げ始めてきているということでございます。
 11ページになりまして空間利用でございますけれども、「水の都ひろしま」ということで、貴重な水辺というものを活用したまちづくりをしていこうということで、かなりいろいろな取り組みがなされております。左の方にございますとおり、オープンカフェといったものが水辺で展開されましたり、河川環境という観点で、環境護岸を全国に先駆けて整備したり、さまざまなそういう取り組みをやっておりまして、水とほんとうに共存したまちづくりというのが展開されているというのがご理解いただけるんじゃないかと思います。
 12ページでございますけれども、流水の正常な機能の維持ということでございますが、こちらも基準地点の見直しを行っております。基準地点は、従来は、高水でお示しした玖村地点でございましたけれども、高瀬堰ができまして、その湛水区域内になりまして、流量の観測といったものがなかなか難しくなったということもございまして、高瀬堰の下流の矢口第1基準地点というところに基準地点を変更してございます。正常流量につきましては、矢口第1地点においておおむね15m3/sとなってございます。
 最後に13ページでございますが、総合的な土砂管理でございますけれども、こちらも分派している河川でございまして、なかなか堆積の状況や土砂の動向の把握が難しいところもございますので、しっかりモニタリングをしていく必要があると考えてございますが、今のところ、河口閉塞などの顕著な問題は発生していないと聞いておりまして、しっかりモニタリングをしていきながら、河床の把握をしていくということが重要かと考えております。
 長くなりましたけれども、以上で3河川のご説明を終わらせていただきます。
(委員長)  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明についてご質問なりご意見をちょうだいしたいと思います。私のほうから指名させていただきます。荒川水系の専門委員としてご出席の○○委員からまずお願いいたします。
(委員)  もちろん、治水対策のほうは今までのと同じ形ですので、これに対してはおそらく地元の方も、これまでもずっとそういう形できているということで、それほどご異存はないんじゃないかと思います。幾つか、私自身だけじゃなくて、おそらく地元の方とか、いわゆる自然再生地の協議会の方などのご意見を伺ったあたりのところで申し上げますと、まず、荒川という川は、もともとは極めて砂礫河原の発達した川だった。それが、現在特に、先ほどご紹介がございました熊谷の砂州あたりもかなり樹林化してきているのです。その上流はもっと激しくなってございます。ですから、もう少し昔のような、いわゆる砂礫があったような川に戻せないかというような意見が非常に強く出てございます。
 それともう1つ気になったところなのですが、荒川の自然再生等に取り組んでおられる方の意見の中からよく出てくるのですが、特に整備計画だったらかなり近々の話でいいわけなのですけれども、基本方針は、おそらく100年くらいをめどに考えていくべきじゃないか。そうすると、例えば先ほどの生物環境みたいなところを考えたときに、例えば100年に1回くらいの洪水が来れば、今、住んでいるある種のハビタットが完全に流されてしまうようなことだって起きるわけだし、また、そこに合ったような別の種が住むかもしれない。そうしたところをよく考えていただいて、言葉として、種がそのものとしてあらわれるのじゃなくて、そこに出てくるような生物群、そういったものがニュアンスとして出てくるような言葉にしていただいたほうがいいんじゃないかというような意見、荒川の場合は、かなり長期間で考えておられる方が多いので、そういったところがございます。
 あとは、例えば流量の決定といったところも含めてですから、いろいろなところに細かい種とか出ているのですけれども、できるだけ例えばそういったような生物群をあらわすような形の言葉に変えて、少なくとも最終的なものとしては入れていただいたほうがいいんじゃないかなというふうに思っております。
 あとは、基本的に荒川の場合は、もう1つ非常に皆さんが懸念されているのが土砂の問題です。自然再生地のところも、ご存じのように非常に河床が低下している。そういって、これからダムもでき上がりますし、そういったところからやはり土砂の管理みたいなものをしっかりさせていただきたい。先ほどの、昔は砂礫河原だったというところとも関係してなのですけれども、そういった意見が出ていたように思います。
 今、気づきましたところはそのくらいでございます。
(委員長)  では、生物群のところについてもしご意見があれば、仕上がりの案文のときにまたご提案願いたいと思います。
 それでは、○○委員お願いいたします。
(委員)  治水計画、基本方針の中で、48年に改定されましたね、これが大変大きく改定されているので、その説明が少し足らない、わかりにくいかなと思うのです。それは2つの点で問題があるかと思うので、何かご配慮いただけたらと思うのですが、大変大きく放水路の流量を増やしたのですけれども、これによって上流のほうは何のプラスにもなっていない。つまり、上流の河道を直したから下流に増やしたというわけでもないのですよね。それで、その裏腹でいいますと、いまだに上流部、つまり岩淵から上流側は、横堤というご説明でしたが、これは一種の上流側の犠牲みたいなことで、しかも、戸数は同じにならなかったけれども、堤外民地の宅地も随分あるのですね。こういうものをそのままにして、これは暫定として今残されているのでしょうけれども、7,000m3/sを変えない理由といいますか、方向、私はもう少し下流側が、できなくてもいいから努力する何らかの言葉があっていいかなと。隅田川は流量ゼロですよというだけでいいのかなと、そんなことを、これは多分ずっと考え上げてのことだと思いますが、それで説明がつくのかどうかが、ちょっと私には不安感があるということだけ申し上げます。
(委員長)  基本的なところなので、後でまた議論が出たときにまとめましょう。ここでぐらぐらすると前へ進めませんので、お願いいたしたいと思います。
 では次にいきますが、揖保川から○○委員お願いいたします。
(委員)  地元からということで、それから現在、たまたま流域委員会で地元地域の人々ともおつき合いがございますので、若干コメントさせていただきたいと思います。
 先ほど、ご案内ありましたように、まず揖保川を語る場合、治水面、利水面、環境面、いずれにおいても地場産業というものが1つの視点になるかと思います。しょうゆとかそうめんとか皮革産業とか漁業とかというところとの関係から河川の整備について留意する視点が要るのかなというふうに思っております。ご案内いただきましたように、龍野に至るまで上・中流の山地河川区間と、龍野以降は扇状地そのもので、ほとんど上・中流状態での河川でございますので、龍野がいわば扇状地のかなめであると同時に、治水でも要所になっておるという位置づけができるのかなと思います。扇状地のほうは、特に天井河川の状態でございますので、伏流水をかなり涵養しておりまして、そういう意味でしょうゆ産業あるいは皮革産業などの水源になっておりますし、それから急流河川ということでそうめん産業とか、あるいは兵庫県内では一番標高の高い地域から流れている河川でございますので、結構自浄能力の高い河川ではないか。つまり、そもそもの水質は比較的良好な、清澄な河川ではないかと理解できると思います。
 治水面では、扇状地の扇のかなめをいかにコントロールするかということが重要なのですが、先ほどのご説明にちょっとなかったかもわかりませんけれども、その地域が、ある意味景観地区でございますし、それからしょうゆ工場などもございまして、地元の方々は、以前、堤防のかさ上げをする場合などでも景観障害をかなり心配されておりまして、そういった背景で、必要最小限に景観、視野を遮る構造物として、畳堤という特殊堤を地元のご希望もあって建設されたという経緯がございます。地元の皆さんは、そういう背景といいますか、地域の意識というものを「畳堤の心」という言葉で表現されて、そういうところにも地元の水防への意気込みであるとか、揖保川に対する地域の思い入れが非常に感じられますので、ぜひ、そういったことを水防の面でも位置づけた治水対策としていただきたいと思います。
 それから、地域の人にとっては、やはり昭和51年等の水害の記憶が非常に新しいようでございます。特に上・中流はまだ改修がおくれておりまして十分でございませんので、人々は、早く河川整備をしていただきたいということを非常に切望されておられます。その一方で、河川の本川のほうの改修は進んでおるのですが、お話の中にたびたび出てくるのは内水の問題でございまして、やはり下流域については、そういう内水による浸水問題が1つの大きな課題ではないかと思います。今回の治水計画は、流量確率を水文指標を精査いただいて評価いただいていることと、それから、特に先ほどの治水の要所であります龍野においては、想定洪水に対して水理学的な検討をされて、流速等まで細かく分析されておられます。そういった水理学的な面からも疎通能力を検証していただいているという点で非常に評価できる治水計画というふうに考えます。
 それから利水面では、ご案内のように細長い流域でございますので、非常に取水に苦労されておりまして、井堰がたくさん設置されております。そういう意味で、必ずしも利水面で安全度が高いわけではございませんけれども、そのあたりは流域全体の需給バランスを見ますと、新規に水資源開発という話でもどうもなさそうでございますので、そういう利水者間の調整等、施策面での対応が1つの大きなキーポイントだなと思います。井堰の統廃合、改廃の問題は、土砂収支とも絡みまして、河川環境にも非常に密接に関連しておりますので、そういう意味で、利水環境面からの横断工作物の整備というものをお願いしたいと思います。
 それから環境面では、先ほどご案内ありましたように、ここの河川はほかの河川にもまして清流ルネッサンス事業の事業効果があらわれた河川ではないかと思っております。さらに、21のほうでは水質面で非常に大きく改善されましたが、河川水量が減ったという問題がありまして、本川からの導水を今、清流ルネッサンスUの事業のほうでご検討いただいているようでございます。そういう意味で、水量的な部分についても課題を克服いただいているのかなというふうに思います。
 ただ一方で、地元の方々が常々お話しになるのは、水の量が減ったとか、あるいは河口の沖積地などの井戸が塩水化しているとか、中州が陸地化しているとか、あるいは植生が繁茂しているというようなことをどうも強く実感しておられるようでございます。これはしばしばいただくご指摘でございますので、もともと揖保川のほうは土砂生産がそれほど活発な河川ではないと思いますけれども、おそらく背景には水文事象の経年的な変化であるとか、あるいは横断工作物といった水利用の面で、土砂の縦断方向の動態がかなり固定化しているというか、かつて動的なバランスであったものが静的なバランスになって、そういった症状にあらわれているのかなというふうにも思います。土砂生産が少ない川ですから、河川整備が土砂収支に対してどういう影響を及ぼすのかという事業効果を見るには、非常に時間を要するというか、応答がゆっくりとした河川かと理解していますので、そういう意味では、河川環境の基本になる土砂収支に対しましては、かなり長期的な視野で土砂管理を進めていっていただければと思います。
 都市河川空間と違って、この地域は、以前の、特に戦後間もないころの河川の原風景というか、そういったものを記憶にとどめておられる高齢者の方がまだいらっしゃいますので、基本方針もさることながら、それをアクションプログラムに移していただくときにも、そういうもともとの川はどうであったのかといった情報をぜひ反映していただくような基本方針整備計画にしていただければと思います。
 以上でございます。
(委員長)  案文がありましたら、ご提案願いたいと思います。
 それでは、太田川から、○○委員お願いいたします。
(委員)  よく考えていただいている案だというふうに思いま。多分、こちらのほうでは得意なといいますか、もう十分なことだと思いますけれども、ハード面のほうはしっかりこの中に考えを入れられていると思います。しかし、住民の考えからすると、生態面のところが、川がどうあるかというのでは一番大きな問題です。例えば12ページですが、これは川の環境を維持するために必要な流量の設定ではありますが、ここではアユとかウグイなどの産卵の確保のため30センチを確保するためとあります。実際には、アユがちゃんと藻をはまないと川を上ってこないとか、ただ単に魚だけのことでない、周辺環境のこともあるということもありまして、この維持流量というものの見直しを、魚が餌とするような生物も含めて考え直さなければならないだろうと思っております。
 そのアユの話でもありますが、基本的に太田川の一番の問題は、発電用水にすごく使われているということです。これは9ページを見ていただければ、右下に水利権ベースで、最大の場合は95%近い水が発電に行くということになっております。通常はここまではいかないのですが、いずれにしても、発電所が取って川に出すのですが、出したところは水が多いわけですが、すぐ数キロでまた取ってしまうということで、川に水がない、これが最大の問題です。これは電力会社等のこともあるかと思いますが、古いダムはもう相当堆砂をしていまして、水質も悪くて、ダム自身の水質維持にも苦労しているという実態があるわけで、ほかの河川にも同様のことはあるかと思いますが、電力利用における川の利用形態の見直しというのは、どこかで必要になる。特に太田川は、電力での水の利用のあり方が非常に厳しいというか、激しいというか、そういう川になっているということでございます。
 使ったいろいろな水が出てくるのは広島湾ですが、広島湾は、皆さんご存じのようにカキの生産で非常に有名なところです。このカキの生産と川の環境なり水質なりあり方がどういうふうに関係しているかは、まだサイエンティフィックには出ていません。けれども、多くの方は、やはり川がおかしくなって、カキの生産が落ちているということをおっしゃられるわけです。この因果関係を詰めるのは研究者の役割だと思いますけれども、どういうふうにしたら河川が下流の海の生産もうまく支えるようになれるのかという、川だけのことでなくて、下流の海との相関も考えに入れる必要があるのではないか。特に太田川は、カキの生産ということで非常に重要な湾ですので、川、海の一体性も取り込んだ形での河川計画というのが今後必要になるというふうに思っております。
 以上です。
(委員長)  それでは、○○委員お願いいたします。
(委員)  今、○○先生は環境の視点からおっしゃっていただきましたので、私は治水の面から幾つか申し上げたいと思います。
 まず、ここの資料にありますように、広島市が干拓でできてきたということで、必ずしも海寄りのほうの地盤高が低いんじゃありません。当時の人力で干拓をやったような時代ですから、市役所のある中心市街部が低い。洪水と高潮がここの地域では自然災害の典型的なもので、それにどう対応するかというのは大きな問題です。
 申し上げたいのは、高潮がここのところ頻繁に発生しています。平成3年、11年、そして先ほどお話がありました16年。16年の高潮時は、潮位が計画潮位よりも1メートル以上低く、幸いであった状態にもかかわらず、気象偏差等によって高潮の水位が一番高くなりました。そういうことで、もしも3年ぐらいの整備率であれば大変な災害になっていたんだということが、もうはっきりしているのです。東京、名古屋とか大阪という三大都市圏に比較すると、実は瀬戸内海地域の高潮対策は大変おくれています。整備率が低いということで、先ほど、第2段階まで来ていますというお話がありましたけれども、第3段階の4.4メートルという高さを確保するにはどのようにするのだろうか。すなわち、平成3年の災害を受けて再度災害を起こさないようにというところはやってあるのですが、実はもっと高潮が問題になるところについては、いまだに第2段階にとどまっているわけです。とにかく洪水にはすぐ目が行きますけれども、ここ広島市の場合は、高潮が非常に問題で、潮位が上がってしまったら無限の量の水が、広島市内に侵入するということを十分想定して、できるだけ整備のスピードを早めることが必要です。長期計画でやがて対応できますというような悠長な話ではないのではないかと思っています。予算の制約等はありますけれども、高潮問題については、ほんとうに今以上にスピードアップを図るか、効率的なやり方を考える。今ある最終段階の姿を見ながらつくり上げていくのがほんとうにいいのかも含めて、いつの時点で安全性がどの程度なのかをよく考えてやっていかなきゃならないと私は感じています。1点目です。
 2点目は、平成17年、大変大きな洪水がありました。上流・中流と下流と分けたときに、大変大きな経験をしているのです。上・中流は1/100の規模で整備するということになっています。下流は1/200です。今回、実は下流で計画規模にほぼ匹敵するような洪水が出ました。私は河川工学を専門とはしているのですけれども、今まで計画規模の洪水が出たときに、ほんとうに計画高水位に達するような流れになるのか、実は私自身もよくわかっていなかったのです。
 今回、実は、太田川は、上・中流も下流も、計画流量に近いような流量が出ました。それで、下流はかなり整備が進んできていて、もちろん樹木が生えているとか断面が若干足りないとかというのはあるのですけれども、河道については、かなりの整備ができ上がって、堤防もできている。その中で、7,200m3/sと言われる流量が出ました。7,500m3/sが計画なのですが、7,200m3/sが出た結果、ハイ・ウオーターぎりぎりぐらいで流れました。このことに、私はかなり自信を持てました。実は河道計画の中で、洪水の問題を不等流計算で、やっているのですけれども、そこが持っているある種の問題を感じていましたが、実はいろいろな経験を積んできている中でしっかりとした検討がされていたんだなということが改めてわかったということです。
 ところが、上流・中流につきましては大変な被害を受けました。延々と長い距離にわたって、1割に及ぶ区間が被災したと言われています。床上浸水がすごい量です。延長が長いですから、それはぽつぽつかもしれませんが、拠点としては、川が穿入蛇行で曲がっている、川幅が狭い、道路が低い、そこに家が張りついているということで、もう計画規模の流量が出てきたら、土地の状況からしてそうなるのが当然なのです。それに対して今後どうするのだろうか。下流のほうから改修していくのは当然なのですが、下流が治水的にかなり強くなってきました。それに対して上流、中流は、整備が遅れています。
3ページありますが、平成17年9月洪水で、中流の安佐北区が大きな被害を受け、床上浸水が数十件出ています。床上浸水プラス1メートルというのが数十件で、床上浸水マイナス1メートルが100件以上というようなことが起こっているのです。まとまって災害が起こっているところは、輪中堤方式でやりますという説明がありました。長期計画ですから、いろいろな場所が被災しているときに、これらの場所をどうしようとしているのか。輪中堤は良い方法ですが、そのほかに道路地盤を上げるとか、災害危険区域指定をして少なくとも人家を守るとか、それからもっと言えば、堤防をつくるのかとか地域の状況によっていろいろなことが考えられるわけですね。説明を聞く限りどうしようとしているのかが見えてこない。具体的には大きな被災を受けている中流部は、優先順位は下流に比べたらずっと低いのですが、基本方針の中で1/100という安全度について、集中的に被災が起こっているところについてはどんな対策を立てようとするのか、個別の場所をどうこうと言うつもりはありませんけれども、私は考え方を整理し、検討していただくことが必要であると思います。
 もう1点は、基本方針で放水路の流量を500m3/s増やしています。ダムとの関係で考えますと、放水路では、増やして流れるというのであれば、それはそれでいいと思います。ところが、放水路の川底はどうなっているのかを見ますと、最後のページ、13ページの図ですが、放水路をつくってしばらくの間は河床が下っている。ところが、平成に入りましてからは川底が徐々に上がってきている。この理由は何かというと、1つには、河口が海に向かって伸びていることと関係があるように思います。すなわち、洪水等で運ばれてきた土砂が海のほうに運ばれ、デルタが発達してきて、実は川が伸びています。ということは、放水路の川底が下がったから500m3/s増やしてもいいんだということが、これからデルタが伸びていったときに、放水路に土砂もたまる可能性がある。そのため水位も上がる可能性がある。これについては検討しないと、ただ単に500m3/sをここに持たせますと言っていいのかどうか疑問を呈したいということで、ご検討をお願いしたい。
 それから、太田川は、樹木管理が大事だと書いてあります。そのとおりです。今回、平成17年10月に既往最大流量が出ました。計画規模に匹敵する大きさです。その結果、樹木についてはっきりしてきたことがいろいろあります。これは全国に発信すべき情報なので、ここで申し上げたいと思います。太田川は、特に河道の内岸寄りにものすごく樹木が生えています。近年、大きな洪水がなかったために放置してきたのですが、今回の大洪水で、倒伏すべきところは倒伏し、どこの樹木が残るのか分かりました。なるほど、大洪水が来ると川はこうなるんだなというのがわかりました。河道の低水路線形、堤防の線形、流量、洪水水位の関係で、いつごろになったら、この大きさの樹木で、樹冠がどれくらいの高さのところにあるものが洪水位との関係で倒伏するのかということを、太田川は今回の洪水でしっかりと調べてくれました。僕は太田川事務所はすごいことをやってくれたなという感謝の気持ちで申し上げたいのです。太田川は、樹木が多い河川で洪水になると問題を起こす可能性が高いので、木の番地をつけて、どこにどのような木があるのか全部調べてほしいとお願いした結果として、高瀬堰から放水路流入部付近までの樹木について、平面図上に樹木番号をつけて、どんな種類で大きさの木が、どの位置にあるかを調べてくれました。それが平成15年でした。平成17年に大水が出て、どの木が倒伏したのかという情報を持っているのです。その結果として洪水がどんな流れ方をしたのか。樹木との関係で、どの部分の高水敷が浸食を受けたのか、樹木が倒伏しないときには、高水敷のどの場所が浸食を受けたとかということははっきりしてきているのです。こういう情報がほかの川でも集めるように、すなわち、樹木情報バンクをしっかりつくって、大きな洪水が来たときにどう対応するのかというのは、これからの河道管理にとって非常に重要になる。その面で、太田川の事務所でやられていることは大変よかったと思っていますので、申し上げておきます。
 最後に5番目として、実は砂防についてです。今回のお話の中で、平成11年に太田川流域でものすごい大規模な土砂災害があって、広島県知事も含めて大変努力されて土砂法ができました。にもかかわらず、この中に一言もそれについて出てこなかったということはどうしてでしょうか。太田川流域は花崗岩質の地質が多く、土砂を出しやすいということで、太田川流域の本川、支川で土砂災害が起こりました。特に、断層沿いの支川が大規模土砂災害を起こしたことがあるので、河川の土砂の問題との関わりで、しっかりと書き込んでいただきたい。
 以上です。
(委員長)  それでは、先ほど荒川の48年計画について、あの当時、私も担当した記憶がありますので、思い出すために教えてください。
(事務局)  お答えをさせていただきます。○○委員からのご指摘でございまして、先ほど先生のほうからお話がありましたが、岩淵地点4,170m3/sという計画でございますけれども、これは明治43年の洪水を踏まえまして荒川改修計画というのをつくりまして、そのときは岩淵地点4,170m3/sです。しばらくその計画を踏襲して昭和40年の工実までつくられているのですけれども、実はその間に、昭和22年9月にカスリーン台風がありまして、これは岩淵地点の計画高水位を1メートル以上上回った。お手元の資料の4ページなのですけれども、昭和22年9月洪水(カスリーン台風)というのがここに紹介されてございますが、岩淵地点の当時の高水位を約1.12メートル上回ったということがございます。こういう背景もありまして、さらには下流部沿川で都市化が猛烈に進展しまして、人家がものすごく増え、資産も増えていったというような背景もありまして、安全度自体も見直さなくてはいけないということで、この4ページの48年のところに書いてございますけれども、計画規模を1/200にして、カスリーン台風も含めたこれまでの既往の出水などを対象にして安全な川をつくるという考え方で検討を行っています。その結果、基本高水流量につきましては、1/200で、岩淵地点で基本高水が1万4,800m3/s、それを河道と上流のダムあるいは洪水調整池との間でどういうふうに分担するかということを当時考えました。当時、そういった検討を行う中で、下流の放水路自体もいろいろ見直しをしまして、しゅんせつをしたり、堤防のかさ上げをしたり、当時は地盤沈下もありまして、全体的に堤防が下がっていたとか、河床が下がっていたとか、高水敷が下がっていたとかいろいろなこともありまして、そういうものを見直す中で、掘削自体は昭和40年代から50年代にかけて行いましたし、堤防のかさ上げ自体も、この計画の改定以降、進めてまいりまして、そういう合わせわざをすると、計画高水流量7,000m3/sと設定して、下流の放水路区間に分担してもらうというような考え方で妥当であろうと考えておったわけでございます。残りの7,800m3/sにつきましては、上流のダム群と、荒川の第1調節池のような調節池を広い川幅の中に設けていくという、そういう合わせわざでやるというふうに考えたわけでございます。
 そういうような経緯で4,170m3/sから7,000m3/sと、突然大きくなったということでございますけれども、間にカスリーン台風や都市化の進展などもありまして、流量を増やさなくてはいけないという背景で増やし、下流との分担関係で、どこまで実際に放水路区間で可能かというようなところの検討をぎりぎり行って、そういう分担関係を当時つくったということでございます。それをこの時点で見直しますと、既に放水路区間につきましては、7ページの左下の下流河道における対応というところに、現状の流下能力6,350m3/sというようなところまでございまして、これに対しまして、さらなる掘削ということにはなりますけれども、この掘削を行うことによりまして7,000m3/sまでは下流の河道で分担することが可能だというふうに考えました。残りにつきましては、先ほど言いましたダム群とか川の中の調節池の組み合わせ、今回もおそらく見直すような形になろうかと思いますけれども、そういう組み合わせでやると、7ページの右側にございましたような岩淵の基本高水が1万4,800m3/sに対して7,000m3/s、あとは流入河川のところにいろいろ書いてございますけれども、こういったような計画となるということでございました。
 ちなみに、隅田川との関係のご指摘もございまして、ゼロ分派でいいのかというご指摘でございました。昭和22年の洪水で、実は内水の計算をしておりまして、内水ポンプの排水の関係と本川のピークがどういう関係になっているかということを実は検証しておりまして、その中で、本川のピークのときに内水のピークもちょうど重なっておるという雨の降り方になっていたものですから、隅田川にここで分派すると、隅田川のほうがパンクしてしまうというようなこともございまして、ここのところはゼロ分派というような計画で、今、考えておるというようなところでございます。
(委員長)  よろしゅうございますか。
(委員)  私の気になるのは、荒川の基本方針を決めるときに、やはり劇的に変わったところを非常に中心にして話を進める。それがないと、すらすらといっちゃったんじゃ、これはわかりにくいじゃないか。隅田川をゼロにしたって、片方で流量を増やしたというのは隅田川のためにやったということにしか映らないので、そうすると、ゼロにしてもらったから隅田川の周りではこれから流量を増やすことも可能なんだというようなことにならないようにという。
 それで、上流のほうへ行くと、やはりまだ暫定じゃないですか。それは大変厳しい状況ですよね。あそこに負担を強いていいのかなと。この48年時代から見たら、はるかに上流の都市化は進んでいる。むしろ下流のほうは、もうそんなに都市化する場所もないくらいですから、この辺は、意識的な問題として、下流が上流にそんなに負担を強いるのかということを、私は逆に下流に住んでいるから、ちょっと危惧というか、心苦しく思って、それは東京都は少しぐらい頑張ったらいい、荒川下流ももう少し頑張ったらいいだろうというのが出てくれると、私どもは堂々と住んでいられるという。
 そういう面で、48年というのは大変な時代で、カスリーン台風の経過というけれども、放水路ができてから40年目にものすごい大変革をさせた。しかも、倍とは言わないけれどもそれに近いような大きな変化をした。雨の大きさでいうと、43年というのはかなり大きい、内水問題としては相当すごいですね。ただそれよりも、地盤沈下が進んじゃったから、そのころを復元するのはもうほとんど不可能かもしれないけれども。ただ、それから同じ年代、30何年かたった放水路をこのままでというのも、距離がもとの隅田川と放水路と同じ長さですから、バイパスという感じがしないだけに、48年は、とりわけ基本方針をやるときにはクローズアップしておいてほしい。
 それに、先ほど○○委員の広島の話もあったけれども、高潮との関係でいうと、一体何が絡んでいてどのくらい余裕があるのか、わかりにくいです。この辺をもう少し強調して説明してもらいたいというお願いです。
(委員長)  仕上がりの案文のとき、また工夫するということにしましょう。一応、ただいまの数字は、経緯がありますね。工実の計画は、たしか昭和22年じゃなくて、大正7年の計画を40まで引っ張ってきちゃって、この間に昭和28年に竣功式までやっているのですね。ですから休眠状態であったのに、急に昭和48年から起き上がって遊水地計画を盛大につくったということになります。それは荒川流域の急激な都市化が背景にあったのだろうと思います。一応そういう前提で議論を進めさせていただきます。
 それでは、河川工学のほうから○○委員、ございましたらお願いいたします。
(委員)  まず揖保川のほうから教えていただきたいのですけれども、これも先ほどの変化になるのでしょうね、高水流量の改定がある、3,300m3/sから3,400m3/sに変えられたということですが、引原ダムの洪水調節量を600m3/sから500m3/sに変えたということですけれども、これは引原ダムの洪水調節能力が、600m3/sあるのだけれども500m3/sで終えておくというのか、今まで600m3/sあると思っていたけれども、実際には安全に調節できるのは500m3/sぐらいなのか、あるいはいろいろな利水容量とかの関係で洪水調節量を500にしたんだとか、その辺の理由をもう少し教えていただければと思います。
 それから荒川ですけれども、2ページに地盤沈下等で、A.P.でしょうか、T.P.でしょうか、平均海水面よりも低いところがあるというようなことですね。カトリーナでもニューオーリンズで長期にわたって浸水が続いて、いろいろな問題が起こったということがございます。したがいまして、こういった低平地あるいは海水面より低いところで、もし水害、溢水などが起こったときに、今の排水システムなどをフルに活用したとして、浸水期間が幾らくらいなのかというふうなこと、これは基本方針とは若干ずれるかもしれませんけれども、危険度みたいなものを教えていただければと思います。
 それから荒川ですけれども、7ページに10.75キロメートル付近の堤防の断面がございます。高水敷を利用するということで、ちょっとした出っ張りのところを、河岸を切り取るということでなるべく流量を確保するということになっておりますけれども、このあたりはどうなんでしょう、海からかなり遠いので、津波なんか遡上しても、例えば堰があってそこより上流へは行かないというようなところがあるのかどうかとか、あるいは津波なんかが遡上したときに、この高水敷が、それらの水位の状況にもよりますけれども、どういうふうな遡上高が考えられているのか、こういった高水敷利用に当たっては津波に対して安全なのかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
 以上です。
(委員長)  わかりました。用意しておいていただいて、○○委員、お願いいたします。
(委員)  荒川のところで、流域の資産が150兆円というような表現があって、あと、ちょっと気になって見たのですが、流域の資産というような表現と想定氾濫区域内資産というのが揖保川には書いてあるのです。それから太田川にはそういうのがないのです。それから表現も、細かいことかもわかりませんが、荒川の表現は浸水想定区域とか想定氾濫区域という表現とか、ちょっとこのあたりが……。それからやはり想定氾濫区域内の資産というのが治水では重要だと思うのですが、荒川の150兆円というのは流域内資産で、想定氾濫区域内資産というものがあってもいいとは思いますが、ちょっとその辺は統一していただきたいというのと、ここでは何をいっているのかというのをお聞きしたいのです。
 それで、荒川でそれを取り上げたのは、その次の2ページ目には、これはおそらく北千住、左岸側が切れたことをいっていると思うのですが、いずれにしろ、治水としてどこを守るかということの背景になっているという気がします。荒川というのは首都圏を流れている川で、そういう意味では、言っては悪いですけれども、ほかの川とは非常に違う意味合いを持っていると思います。そういう意味で、先ほどの北千住が切れるというのを私は前から気にしているのですが、荒川の右岸側を切ったら、これは大変なことになるわけですね、首都機能も全く機能しなくなるし。やはりそういうことをちゃんと書くのは難しいと思うのです、右岸と左岸の問題というのはほんとうはあるのだけれども。ただ、書くか書かないかは別にして、これは十分意識してやる必要がある。つまり、今までやってきた平等主義というのがある。最低限を保証するにはいいのでしょうけれども、超過洪水なり異常なものに対しては、どこを強化するかという選択をする、やはりそれがあらわれてくるような方針の書き方に、難しいのですが、していただければという気がします。
 それから荒川について、あまり大きなことでもありませんが、5ページあたりに新河岸川の記述があります。総合治水対策というようなことが重要だとあるのですが、実は、新河岸川流域では、流域対策をもっと強化しようということで、水循環マスタープランづくりというのが実は鶴見川よりも早く始まっています。これは荒川下流の当時の所長さんが、もう何代も前ですが、ご熱心にやられて、新河岸川全体でやるのは大変だというので、今、綾瀬川の水循環マスタープランというのをつくって、流域ぐるみというか、市民懇談会をつくってやっているのですが、やはりその種の記述も、本文に書くかどうか知りませんが、資料として、こういうところへ出てきてしかるべきだという気がしました。
 それからもう1点荒川については、これは当然、荒川上流の事務所の方々も意識されておるわけですけれども、全国に珍しい横堤を含む広大な高水敷を持っている。これをこれからの治水上にも活用するということが背景にあるわけですけれども、治水も含めて利用をどのように管理するかというのは、一般の河川とは違う視点が必要だろうと思っています。それをどういう視点を出すべきかというのは、私も今ここで言えませんけれども、やはりその辺をちゃんと整理されて、基本方針にも反映されることが重要だろうと思います。
 以上です。
(委員長)  では、お2人の先生から質問があった部分についてお答えください。
(事務局)  まず1点目、○○委員からご指摘がありました揖保川の洪水調節施設の件なのですけれども、もともとの工事実施基本計画で考えておりましたのは、引原ダムだけではなくて、あと3つぐらいございまして、ダム群で考えておりまして、カット量を定めてございました。今回はそれを見直しまして、引原ダムの操作の変更というのは、今、実は鍋底カットみたいな形の調節方式になっておりまして、それを今度はより効果的な方式に見直そうということで、その方式の見直しプラス、他にもう1つのダムぐらいで対応するようなことを考えてございます。洪水調節施設の実現可能性みたいなものと下流河道の分担関係というものを今回新たに見直しまして、下流で精いっぱいのみ込める量が揖保川の龍野地点で3,400m3/sということで、残りの500m3/sにつきましては、上流の引原ダムの見直しと他の洪水調節施設で対応するという計画にしてございます。ですから、前の工実のときと洪水調節施設の数などといったものは今回変わってございますので、ちょっと個別のところまではご説明できていませんので、そういう誤解があったと思うのですけれども、実態はそういうことでございます。
 それから荒川のほうの下流の、ハリケーン・カトリーナのようなことが起こったらどうかということなのですけれども、ポンプの施設能力といたしましては、岩淵より下流のほうにつきましては、700m3/sのポンプ施設が東京都のいろいろな内水排除施設などで準備されておりまして、それをフル稼働させると何日ぐらいで排除できるか。でも実際には、さらにポンプ施設の増強などを行いますので、全国からいろいろなポンプを持ってきたりするので、それよりはかなり能力がアップすると思いますけれども、そういうような対処能力はあるというふうにご理解いただければと思います。
 それから津波の件でございますけれども、東京湾になりますので、太平洋に直接面している海溝型の大きな地震によって起こる津波とちょっと条件が違いますので、津波の高さというのは、高潮の計画の中にのみ込まれるぐらいの範囲になっておりまして、津波の遡上という観点での問題は、河川の構造上あまりないというふうに思っています。ただ、高水敷を利用されている方が実際に津波が来るときに気がついているかいないかという問題はあると思いますけれども、何らかの形でアナウンスするような手だてみたいなものは、ちゃんと河川管理者としては準備しておく必要があるのではないかと思います。
 それから荒川の左右岸の問題のお話は、何回か前に物部川のときもご指摘がございまして、現時点で、河川管理者でそこまで言うのはなかなか至難のわざでありますというお答えをしたと思いますけれども、書き方の中で、左右がアンバランスだとか、いろいろなことに配慮しながら整備を進めていくというようなことが書けるのか、ちょっと検討をさせていただきたいと思います。
 それから水循環マスタープランのご指摘でございますけれども、思い出しますと、私も河川環境課の専門官のときにこれを担当しておりまして、ご指摘のとおりだと思います。そういう取り組みについてご紹介できる場所があれば、積極的にしていきたいと思ってございます。
 それから、流域の資産あるいは想定氾濫区域内の資産ということでございますけれども、流域の資産というのがどれほど意味を持つかということはちょっと感じておりませんが、想定氾濫区域内の資産を見ながらいろいろ整備を考えるということは大事なことかなと……。
(委員)  荒川ではそれが出ていないのでしょう、流域内資産と書いてあるから。想定氾濫区域内の……。
(事務局)  想定氾濫区域内は、たしかその次の2ページの左側に、荒川が破堤した場合に……。
(委員)  これは一般、全体の話かな。
(事務局)  申しわけございません。先生お手持ちの、資料1−4というのがお手元に配られているそうでございますけれども、想定氾濫区域内の面積、人口、資産が一覧表になったものがお配りしてございましたので、申しわけございません。
(委員)  ほとんどこれはもう終わったものしか出てないんじゃないですか。
(事務局)  一番上に荒川と揖保川と太田川と3つ。字が小さくて申しわけございません。
(委員)  これを見ろということね。
(事務局)  大変失礼いたしました。
(委員長)  この問題は前から議論があって、流域の定義というのと、治水対策として重要なのは、氾濫区域ではないかという議論がたびたびありましたので、以後、資料をつくるとき、丁寧にお願いしたいと思います。
 それでは、○○委員のほうからお願いいたします。
(委員)  たしか前にお願いした床上浸水と床下浸水の被害戸数が、今回は荒川と揖保川はちゃんとわかる範囲で書いていただいているのですが、太田川は、最近の洪水についてもそれが分けられないで被害戸数だけになっているので、床上と床下はインパクトが違いますので、ぜひ、わかる限り書いていただけたらありがたいと思います。それが1つでございます。
 それからもう1つは、サツキマスが揖保川も太田川もかなり中流域まで上がっているという記述がありまして、魚というか川の生態をやっている者としてありがたいことでございます。前も申し上げたように、上がっているならより上がれるように、産卵ができるように、魚道などの施設を百年の計でぜひ充実していただきたいということがあります。
 そうしますと、東京湾だから無理なのかと思いますが、荒川水系については、ウグイとニゴイとアユという3種が挙げられていてサケ・マス類が記述されていないですが、百年をにらんでも、やはりサケは戻ってこないのでしょうね。ちょっとお考えいただいて、可能性があるようでしたら、将来はということで書いていただければと思います。
 それからもう1つは、こういうことを申し上げて、まさに水を差す話で申しわけないのですけれども、揖保川水系に関して、林田川でしたっけ、清流ルネッサンス計画でかなり水質が回復したという話がございます。生物屋から言いますと、ヤゴが戻ってきたことでBODでどれぐらいになったかというのは実はわかりません。ヤゴの中には、非常に汚れに強いヤゴがおりますので、ヤゴが戻って、はい万歳というわけにはいかないと私は考えております。
 それから清流ルネッサンス計画、これも非常に大事なことで、成果が上がっているのはもろ手を挙げて喜ぶべきなのですが、水を差してきれいになっても本来的な解決に私はならないと思います。基本方針でございますから、百年の計という場合には、それぞれの流域内の改善でもって水質が改善されるのが本来の姿だと思います。記述のときに注意していただいて、そういう目標を立てていただくようにしていただきたいと思います。例えば、現状では導水によって清流が回復しつつあるが、将来的にはそこの環境整備によって清流が回復されるのが本来の姿であるというような方向を出していただければと、以上の点でございます。
(委員長)  ありがとうございました。○○委員からの、百年に一遍の大洪水が来たときに、その後、種ががらっと入れかわるんじゃないかという懸念が示されました。
(委員)  これは私は、○○委員が言われたとき、これを聞かれたらどうしようと考えていたのですが、完全に排除される種もあるかもしれません。可能性はゼロではないのですけれども、比較的少ないと私は思っています。ただ、確率でどれぐらいかわかりませんけれども、排除される種がゼロということはあり得ないと思います。
(委員長)  では、その辺でご理解いただきたいと思います。
 それでは、○○委員お願いいたします。
(委員)  先日、委員長と○○委員と一緒に荒川をずっと見せていただきました。そのときの感想とか、それからまた河川局へのお願いをちょっと申し上げたいと思いますが、下流から、浦山とか滝沢までは行けなかったのですけれども、中流域までずっと見せていただいて、この川はほんとうに大変な川だな、厄介なものを東京は抱えておると。まあ利水の面では大変ありがたいのですけれども、治水の面では、こんなものがおってはほんとうに東京というのは厄介なものを抱えておる、できれば利根川と同じように向こうのほうへ行ってくれんかなというような印象をまず持ちました。ただこれは地形的には無理な話なので、このあるものでもってきちっとやらなきゃいかんだろうと。
 下流なのですが、これはまさに天井川になっておって、これを掘り下げるとかなんとかというのは全くできない話で、海と一緒くたの話でございますから、今、スーパー堤防をおつくりになっているということで、それも見せていただきました。ただ、スーパー堤防も遅々として進まずといいますか、ここに銀座が沈むとか地下鉄のほうに水が入っているような恐ろしいシミュレーションがございますけれども、一般の我々市民からしてみれば、こんなことになるなんて想定もしていないので、これは河川局に任せておいて大丈夫なのかなと。それよりも神様仏様にお祈りしていた方が早いのかなと。この辺の河川に対して、国土交通省は、公共事業費をどんどん削減されておる中なのですけれども、東京にとってこの荒川というのは、ほんとうに死命を制する川だと思います。33兆円という大変膨大な被害があるということで、このスーパー堤防を本気になって、どのぐらいの地震をもっておやりになるのかということ。
 それから、きょうは東京都の河川部長もお見えになっていますから、隅田川との関係とかいろいろなことで、都との関係がどうなっておるのかというようなことも、やはりきちっとやってもらわなきゃいかんし、洪水が来たときに、やはり洪水が大き過ぎたんですよなんて言いわけをしてもらったんじゃ、まことにもって都民としては、ほんとうに生きている心地がしないというような感じもございますので、ひとつ気合いをもってやってもらわなきゃいかんと思います。金はどうなっておるのか、荒川上流、下流、国会でこの辺も審議してもらうぐらいの気合いでやってもらわんと、首都圏に地震が来ます、地震のときに大丈夫かとかいうようなことも含めて、ひとつこの荒川についてはしっかり下流をお願いしたいです。
 それから今度は上のほうに行きます。真ん中も見せてもらって大変びっくりしました。あの2.5キロから3キロの幅の中に、何とホンダの滑走路があったり、ヤクルトの練習場がある。これは利用価値からいって非常に大事、滑走路ぐらい水が来たって沈めばいいというようなことですが、先ほどおっしゃったように、横堤のところに家屋があるのです。この人たちは知っていてお住みになっているんだと思うのですが、おそらく洪水が来たらそこが浸水するというようなことですが、この辺も大変河川局でご苦労いただいているところだと思うのですけれども、こういう非常に特徴が豊かなというとあれですが、そういう中で、割に大らかな部分ときちっとやらなきゃいかん部分があるこの荒川については、何とお願いしておけばいいのですかね、気合いを持ってやりますといってやっていただいているのだと思うのですが、まあ、ひとつよろしく頼みますよ。私の感想はそういうことです。ありがとうございました。
(委員長)  ○○委員は、ほかの川はよろしゅうございますか。何かありましたら。
(委員)  荒川については、治水面だけを申し上げますが、まず一番最後のページの二瀬ダムの図があります。これで代表して申し上げたいのですが、二瀬ダムのところで堆砂が多くなってきたということで、副ダムをつくることによって、ダム貯水池の堆砂が抑えられた、これは二瀬ダムの救済のためにはそうだと思うのですけれども、問題は、先ほど○○委員も言われたように、副ダムに巨石、粗石等、大きい河床材料がたまってしまって、それを河川外に搬出してしまうことを続けたら、これはもう川の中に戻らないわけですよね。どうも今の段階では、こうやって貯砂ダムでダムの堆砂からの救済ばかり行っていますけれども、これは大事ですけれども、ダム下流に対してこの巨石等大きな河床材料がどういう役割をしているかを、そろそろ真剣に考える段階に来ていないか気になりますので、ぜひご検討をお願いしたいということです。
 2点目は、これも毎回申し上げているのですが、河口についてです。河口で7,000m3/s流れるように河口域の川底を掘りますというわけです。でも、海の水位も決まっていますし、河口はものすごく深い水深の流れになっていますから、ほんとうに掘って維持管理をするのかとか、洪水になったときにちゃんと流れるのかとか、よく調査したほう方がいいと思うのです。事実、この図を見ると、土砂が堆積しているわけです。平成3年から14年を見ると、掘ってもたまるという答えがあるわけです。実態がどうなのかというのをちゃんと調査をしてほしいということです。
 3番目は一番大事なことで、最後に申し上げるのですが、きょうの話であまり出てこなかったのですけれども、ダムを幾つかやめて、遊水地群をつくり対応するわけです。工事実施基本計画のときから、遊水地の計画があります。この川幅の広いところで遊水地をつくるにあたって、どうやって、どういう間隔で、どれくらいの大きさの遊水地をというのはよくわかってないと思うのです。基本方針の議論だから遊水地をつくり、ボリューム合わせすればよろしいとは思いますけれども、今後具体的にそれに向かってどういうふうに技術的な面からの調査をするのかという方向性が大事だと思うのです。荒川は大きな洪水がなかなか出にくいので、そういう調査がやりづらいところがあるのですが、だからといって、大きな課題に対して調査を十分にやらないことにならないように、洪水が出たときに決定的にそれが大事な情報になるので、そのための、第1遊水地だけありますけれども、第5まで考えられていて、それをどんな順番でつくろうとするのか。どんな間隔でやったときに河川の水面がどのような高さになるのかとかということを、しっかりとっていただくための調査をしていただきたいというのがお願いであります。
 次に、揖保川についてですが、見せていただいた経緯があるので、ぜひこれもご検討願いたいのです。それは、先ほど、畳を用いる特殊堤が存在する龍野地点についてです。資料の最後のページの河床変動を見ますと、平均河床は変わっていないのです。ところが最深河床がものすごく掘れてきている。そんなところで、流下能力を高めるために、河岸を掘りますという図になっているわけです。このような場所で、特殊な畳堤でどうして維持管理ができると思っているのでしょうか。それについて確たる技術を持ってやろうとしているのでしょうか、ただ流量が流れますということをいっているんじゃないかというふうに感じます。この件についてはしっかりと検討していただきたい。と同時に、そこに固定堰がたくさんありますし、頭首工もありますので、それとの関係をしっかりと見極めないと、ただ単にその断面だけどうですということにはならないんじゃないかなと思います。
 最後に、現在基準点である龍野は流下能力を上げるためにこれから断面を大きく変えるわけです。基準点というのは、長期間にわたってその河川の基本データが備わっていて、それらの情報を見ながらダムの操作等も含めて河川管理を行うということになります。断面が変わっても、計算でやって、これまでのデータとの関連性がつくからいいとか、これからデータが増えるからいいということでいいんでしょうか。これは質問です。
 以上です。
(委員長)  今の質問には次回準備して下さい。重信川では逆みたいなことを言っていたようですが。
(委員)  そうです、川によって違うのです。
(委員長)  君子豹変で。
 それでは……。
(事務局)  今答えられる点だけご説明をさせていただきたいのですが、二瀬ダムは、下流の漁業関係者といろいろ調整を図りながら、試験的に土砂を下流に補給するような実験をやっておりまして、そういう問題意識はしっかり持っているということでございます。
 それから、河道の中の調節池化の件は、先生ご指摘のとおりでございまして、これからすごく技術的な検討をしっかりやっていかなくちゃいけないと思っております。私も実は、今回勉強しておりまして、これはすごい問題なのだというふうに認識しておりまして、今、整備局のほうにはしっかり指示をしているところです。
 畳堤につきまして、これをこのまま放置できるというふうには思っておりませんで、この地域の河川の区間の全体的な見直しに合わせまして、特殊堤にするのか、その辺も含めまして、少なくともここには手をつけないと、十分な危機管理という観点でも安全を確保するというのはなかなか難しいのではないかと思っています。この点につきましては、また次回ご説明をさせていただきたいと思います。
(委員)  ちょっと畳堤について、どのようなものか教えて下さい。
(委員長)  では○○委員に畳堤の説明をしてください。
(事務局)  畳堤というのは、揖保川の5ページのところですけれども、基準地点龍野と書いてあるところに川の航空写真がありますけれども、その右下に畳堤と書いてございますが、これだとよくわからないのですけれども、この欄干みたいになっているところに畳を差し込んで一時的に堤防の役割を果たす、海外ではモバイルレビーといいまして、鉄板を持っていって閉めたりしているのですけれども、それの極めて日本的なものでございまして、全国的に見ますと、延岡の五ヶ瀬川とか長良川とか、そういったところに同じようなものがある。当時の所長さんがこれを調べてきまして、こういったもので一時的に何とか守る方法を地域の皆さんとご相談したという経緯がありまして、この区間は非常に厳しい区間でございまして、そういう手当てをして、いわゆる特殊堤という形でやってきています。この技術を維持するというのはなかなか難しくて、近くの水防倉庫みたいなところに畳が保存されているらしいのですけれども、毎年水防団の皆さんがそれを入れる訓練をやって維持しているというふうに伺っております。
(委員長)  それでは、○○委員お願いいたします。
(委員)  1つは、前の委員会のときに、先ほどもどなたかお話しされていましたけれども、整備率という話があったのですけれども、大体すべてのこういう資料にそういう整備率の状況、堤防の延長なのか、または事業費の率なのか、そういう大体のところでもいいと思いますので、この一覧表みたいなものに入れておいてもらうと、非常に河川の整備状況がわかっていいかなと思っております。
 それともう1つは正常流量ですけれども、揖保川の9ページのところでちょっとお聞きしたいのですが、正常流量は維持流量マイナス水利権量プラス流入・還元量というような書き方をしてあります。砂防基準を見ていますと、正常流量についてわかりやすく解説されているのですけれども、水利流量プラス維持用水、維持用水は水利流量を除いた9項目で総合的に判断というような書き方がされているのですけれども、水利流量は、水利使用許可の中で位置づけられるのですけれども、これは1/10渇水量を上回る範囲でという形で水利使用許可をもらうのですけれども、この9項目から成る維持用水は、砂防基準では大体1/10渇水量を目安にというような表現はされています。そうしますと、例えばどこでもいいのですが、水利流量を除いた流量、揖保川ですと3m3/sとなっているのですけれども、これは維持流量が4.97m3/sで水利権水量をマイナスされているから、ちょっとこの表現はおかしいかなという気がしますが、今までの委員会の検討で、正常流量については1/10渇水量を参考に明示してもらえれば非常にわかりやすいんじゃないかなということを申し上げてきたつもりですけれども、この9項目に相当した維持流量が、1/10渇水量とどういう対比で考えておられるのかというところを見るためにも必要かなという気がします。といいますのは、水利流量以外の維持用水の水量を見てみますと、1/10渇水量より3倍から数倍ぐらいの量で書かれているように思われますので、そこらあたりをどういうふうに考えておられるのか。定性的な表現としては、正常流量というのは非常にいい河川の必要な流量ということでわかるのですけれども、定量的に見た場合、もう少し明確な基準を持っておられたほうがいいのかなという感じがいたします。それが大体、本文では正常流量の確保に努めるとか、確保するというような表現にもなっているのですけれども、そこらとの関連とも深くつながっていくような感じがいたしますので、そのあたりの考え方を少し整理しておいていただければという感じがしております。
(委員長)  これはこの前に宿題にして、まだ結論が出ていないのでしょうけれども、一度整理していただきたい。この問題だけでも小一時間ぐらいかかりそうな気がしますね。したがって、場合によっては、そこで決まった考え方で既に決まった川も見直すぐらいのつもりでお願いしたい。やはり昭和30年代につくった河川砂防技術基準で1/10を確保すると書いてあるので、実は1/10と思っていたのが、最近の気象変動で1/2ぐらいの川になっちゃっているのもありますね。だから、それらの実態と教科書との差があまりに出てきちゃってます。洪水のほうでしたら、実は1/100だと思っていたのが1/30になりました、1/100に計画を改定しますと言えるのですけれども、利水の関係は非常に関係者が多過ぎて、あなたの水利権は1/10だったのに1/2ですよとデノミができない。そこが大変ふくそうしているのでしょう。100%うまく全河川の説明はつかないとは思いますけれども、それらの課題を含めて整理していただいて、一度この場へ紹介していただきたいと思います。
 ということで、これは今回だけで結論が出るのかどうかわかりませんけれども、早目に、少なくとも、一通り終わるまでにはお願いしたいと思います。
 それでは、お待たせしましたけれども、○○委員のほうからお願いいたします。
(委員)  埼玉県でございます。
 県のほうでは、現在、県の新5カ年計画をつくっております。「ゆとりとチャンスの埼玉プラン」と申しますが、要は、首都圏に隣接して企業就業のチャンスがあって、豊かな田園風景がある、ゆとりがある埼玉の特性を生かそうということでございます。そういった中で、荒川水系の広大な河川空間というのは、県民がゆとりを実感できる非常に貴重な空間で、重要でございますので、その辺、県民が親しみやすいような河川整備について計画の中でご配慮いただきたいと思います。
 また、治水につきましては、荒川は、利根川に並び本県にとって非常に重要な河川でございます。先ほど、右岸側が切れればというお話がありましたが、左岸側が切れても、50万都市の川口市をはじめ、県都さいたま市まで被害が及ぶということでございますので、万一本川の堤防が切れるようなことがあれば、甚大な被害ということになります。県といたしましても、総合治水で新河岸川等の浸水被害の解消のために努力しておりますが、治水につきまして万全の対策をお願いしたいと思います。
 さらに入間川ですけれども、現在、緊特事業ということで重点的に進めていただいております。県の改修区間とも非常に密接にかかわっておりますので、現在、いろいろ調整をいただいておりますが、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
(委員長)  きょう示された1万4,800m3/s、7,000m3/s、このあたりはこれでよろしゅうございますか。基本高水のピーク流量と河道、計画高水流量ですね。
(委員)  一応、整備局とはいろいろお話をさせていただきますが、入間川の考え方をどうするのかというところがまだ少し解きほぐれていないところがございますので、引き続きお話をさせていただければと思います。
(委員長)  では事務局、次回までに調整をお願いしたいと思います。
 それでは、○○委員お願いいたします。
(委員)  東京都は、昨年末に「10年後の東京 〜東京が変わる〜」というものを発表させていただきました。オリンピック招致を機に、今後10年間にわたって展開するまちづくりの取り組みをまとめさせていただいたところでございます。今後、東京を、災害に強く緑豊かな都市として整備していくためには、河川が担う役割は非常に大きいものだと考えております。やはりラウスの言うところ、都市にとって水辺は魔法であるという言葉は、洋の東西、時代を超えて真理だと考えております。特に、荒川の下流部は、江東デルタ地帯を中心としたいわゆるゼロメートル地帯でございまして、堤防や水門により高潮や洪水から守られており、多くの都民が生活するとともに、資産も集積している地域でございます。また、先ほど来説明もございましたように、地下鉄網が非常に発達しておりまして、ここが湛水しますと日本の経済がとまってしまいます。また、荒川水系である隅田川、神田川、日本橋川などは、日本を代表する著名な都市河川でありながら、一昨年の9月4日は6,000棟に及ぶ浸水被害が発生してしまったりしておりまして、都民あるいは日本国民の注目度が非常に高まっているところでございます。
 都といたしましては、従前の工事実施基本計画と同様に、首都圏の水害を守るかなめとして荒川本川を引き続き整備していただくとともに、水と緑の回廊で包まれた美しい東京の復活につながるよう、環境にも配慮した基本方針にしていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
(委員長)  基本的な数値のところはよろしゅうございますか。
(委員)  結構でございます。
(委員長)  それでは、○○委員お願いいたします。
(委員)  兵庫県でございます。失礼いたします。
 まずもって、揖保川の河川整備基本方針のご審議をいただきまして、ほんとうにありがとうございます。兵庫県といたしましては、先ほど来話題に上っております引原ダムでございますが、このダムは、本県が昭和33年に建設したものでございまして、その後に、ご説明にもありましたように、既定計画の工事実施基本計画が策定されているところでございます。この引原ダムでございますが、工事実施基本計画と同様に今回の基本方針の案の中でも有効活用されまして、直轄区間内の基準点における洪水調節機能を有するということになってございます。
 しかし、先ほど来もお話ありましたように、操作計画の見直しが想定されているということでございますが、先ほど○○委員のご指摘もありましたように、中・上流部の改修が非常におくれております。そういうことを勘案いたしまして、ダムの直下流の県管理区間の洪水に対します負荷を、できるだけ軽減できるような形で今後十分な協議、調整をさせていただきたいと思っております。さらに、こうした位置づけを持つ引原ダムを県が管理していることの特殊性に鑑み、今後のダム管理のあり方について、ダムの移管も含めて、ご検討をお願いします。どうかよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
(委員長)  基本量はこれでよろしゅうございますか。
(委員)  はい、結構でございます。
(委員長)  はい、わかりました。
 それでは、○○委員お願いいたします。
(委員)  基本的には、従前の工事実施基本計画の内容を踏襲されてございますので、流量配分等につきましては、特にご意見はございません。よろしくお願いします。
(委員長)  一応、皆様のご意見をお伺いしたところで、重大な宿題はなかったように思います。それで、本日の議論を取りまとめたいと思います。
 ちょっと私からも意見を申し上げますと、先ほどの意見の中に、荒川の中に住宅があるということでした。これは戦後多く見られた、いろいろな人が川の中を不法占用したのと全く経緯が違います。それこそ当時の内務省の河川の勢いで、あれだけの川幅を確保して堤防をつくった結果、堤外地に住宅が入ってしまった。この人たちに対して、単に出て行け、買収するから移転しなさいというだけでいいんだろうか。その土地に執着して住んでいる人に対する生活が成り立つような方法はないのか。実態を見ますと、横堤のところに住んでいますよね、あれを今度は逆転の発想で、ああいうふうに移転地を横堤の横に確保するというふうに考え方を変えたら、もっと話がうまく進むんじゃないでしょうか。○○委員が、ああいう形だからもっと下流が背負わなきゃいかんじゃないかとご心配になられます。その地域に合った柔軟な地域対策をもう少し膨らませていただいたらどうかと思います。
 それから、広島の太田川の件で○○委員が遠回しに言っていましたが、正直言って、公共事業とは何ぞやということを現地で考えさせられました。あの上流で河川改修をやって水を集めたためにあそこの方が被害に遭ったわけじゃなくて、もともと自然状態で洪水で被害に遭っているのです。これはほんとうに自然災害です。今、安佐北区のこの写真なんかを見て、この人たちのために堤防はできないじゃないか。もし、移転させてそこへ堤防をつくったら、守るところがなくなっちゃうのですね。一般的に水防災といってやっている事業は、上流で河川改修した結果、そこの人たちの水害を助長するから対策をとるのだけれども、水害を助長させりような河川工事は上流でやっていないんじゃないか。そうすると、道路や何かの事業で、もっと高いところへ移転させる。道路でしたら交通の必要性があってそこを通らざるを得ないわけですから公共事業による補償というのはあり得ると思うのですが、河川の補償ってないんじゃないかなというのが現地を見ての感想でした。公共事業の原点は、犠牲になった人は補償するんだけれども、単に水害に遭ったから移転させるというのはいかがか。もし移転するのでしたら、もっと別途の視点ではないかなと思いました。
 以上、2つつけ加えた上で、次回の審議をお願いしたいと思います。
 本日は、資料として河川整備基本方針の本文案と、その骨子などの資料が用意されていましたが、時間の都合でその紹介はありませんでした。次回は、本日の議論も踏まえ、本文について審議していただくこととなりますが、本日配布された資料も含め、お気づきの点がありましたら、次回以降の議論にも反映できるよう、あらかじめ事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。事務局におかれては、本日の議論や委員からの追加意見を踏まえて、本文案に必要な修正を加え、次回改めて紹介するようお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について発言者の氏名を除いたものとし、各委員のご確認を得た後、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することといたします。
 本日の議題は以上でございます。

 

3.閉      会


(事務局)  ありがとうございました。次回の本委員会は、Bグループにつきまして、荒川等3水系の審議のため、1月29日月曜日、13時から15時の間、場所は中央合同庁舎第2号館低層棟共用会議室2での開催としております。よろしくお願いいたします。
 また、お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございますが、郵送ご希望の方には後日郵送させていただきますので、そのまま席に残していただきたいと思います。
 それでは、どうもありがとうございました。閉会いたします。

  







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