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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第73回河川整備基本方針検討小委員会

平成19年8月10日


出席者(敬称略)
委員長  近 藤   徹
委   員  池 淵 周 一

入 江 登志男
楠 田 哲 也
小 松 利 光
樋 口 明 彦
虫 明 功 臣
森   誠 一
山 崎 禅 雄
溝 口 善兵衛
藤 田 雄 山
麻 生   渡


1.開      会

(事務局)  ただいまより、第73回社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会を開催いたします。
 私、本日の進行を務めさせていただきます河川計画調整室長の○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、お手元に配付しております資料のご確認をお願いいたします。
 議事次第、名簿、配席図がございます。次に資料目次がございます。これにのっとりながら確認をお願いいたします。資料1−1、付議書及び付託書、資料1−2、社会資本整備審議会運営規則、資料1−3、河川分科会運営規則、資料1−4、一級水系にかかる各種諸元。次は資料2、特徴と課題でございまして、江の川水系、矢部川水系の2つ、2−1、2−2となってございます。資料3、工事実施基本計画と河川整備基本方針(案)、こちらも2水系ございます。資料4、基本高水等に関する資料(案)、こちらも2水系ございます。資料5、流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する資料(案)、こちらも2水系ございます。資料6、土砂管理等に関する資料(案)、こちらも2水系ございます。次に参考資料でございます。参考資料1、流域及び河川の概要(案)、こちらも2水系ございます。参考資料2、管内図、こちらも2水系ございます。参考資料3、流域図、こちらも2水系ございます。
 以上でございますが、資料に不備がございましたらお申しつけいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 本日の審議はAグループでございます。会議に先立ちまして、本委員会の新しい委員をご紹介させていただきます。
 江の川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として、○○委員でございます。
(委員)  代理で土木部長の○○でございます。よろしくお願いします。
(事務局)  ○○委員でございます。
(委員)  代理でまいりました土木部長の○○でございます。よろしくお願いいたします。
(事務局)  地元に詳しい委員として、○○委員でございます。
(委員)  ○○でございます。よろしくお願いいたします。
(事務局)  矢部川水系の審議のため、地方公共団体からの委員として、○○委員でございます。
(委員)  代理で土木部次長の○○でございます。よろしくお願いいたします。
(事務局)  地元に詳しい委員として、○○委員でございます。
(委員)  九州大学の○○です。よろしくお願いします。
(事務局)  本日、○○委員、○○委員、○○委員、○○委員、○○委員、○○委員は、ご都合によりご欠席されております。
 傍聴の皆様におかれましては、傍聴のみとなっております。審議の進行に支障を与える行為があった場合には、退室いただく場合があります。議事の進行にご協力願います。
 本日、本委員会でご審議いただく水系は、江の川水系、矢部川水系の2水系です。江の川水系、矢部川水系の河川整備基本方針につきましては、去る7月20日付で国土交通大臣から社会資本整備審議会長に付議がなされ、7月24日付で同会長から河川分科会長あて付託されたものであります。
 それでは、委員長よろしくお願いいたします。

2.議      事

(委員長)  本日は、委員の皆様には、ご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。それでは、議事次第に沿いまして、江の川、矢部川の2水系の河川整備基本方針について審議をいただきたいと思います。
 事務局から説明をお願いいたします。
(事務局)  それでは、江の川につきまして説明させていただきます。河川情報対策室の○○でございます。お許しをいただき、座って説明させていただきます。
 江の川につきまして、3Dの映像を用いて説明させていただきます。
 江の川は、広島県と島根県を流域に持ちます流域面積3,900km2の一級河川でございます。水源は広島県の阿佐山、江の川上流には昭和49年に完成いたしました土師ダムがございます。治水と、上・工・農水、発電等の目的を持った多目的ダムで、流域外の広島県、遠くは瀬戸内の離島にまで配水しております。
 下流の三次市におきまして、上流の江の川本川の流域面積とほぼ同等の面積を持ちます支川、西城川と馬洗川がほぼ同一地点で合流しております。それが三次市でございます。したがいまして、三次市は、治水上非常に重要な地点となってございまして、昭和47年の観測史上最大の洪水に見舞われました際には、多くの被害が生じております。
 支川の馬洗川の上流には灰塚ダムが平成18年に完成しております。治水と環境と上水の目的を持ちます多目的ダムでございます。
 江の川取水堰でございます。目的は発電でございます。江の川全体といたしましては、26の発電所がございます。
 このあたり、自然を利用しましたレクリエーション等が非常に盛んでございまして、「江の川カヌー公園さくぎ」もそのうちの拠点の一つとなっております。このあたり、非常に湾曲部が連続しておりまして、良好な瀬と淵、それから砂州等が発達しております。生物にとりまして良好な生息環境を提供しておりまして、国の天然記念物オオサンショウウオも生息しております。
 江の川は中国山地ができる前からの歴史ある河川でございまして、中国山地の隆起量に負けない侵食力を持っていたために、今のような流路を維持してきたと言えます。
 浜原ダムで、発電を目的としたダムでございます。
 これより下流は河床勾配が1/900から1/6000と非常に緩やかなところで、かつての舟運を栄えたところでもございます。このあたりも、自然を利用しましたレクリエーションが盛んで、「カヌーの里おおち」も有名でございます。
 このあたり、山間狭窄部でございまして、洪水時には非常に水位が高くなります。高い堤防が必要ですが、そうしますと川沿いの貴重な宅地や農地がつぶれてしまいますので、土地利用一体型の水防災事業を全国に先駆けまして実施しております。
 下流に見えております濁川の中流あたりまでサケの遡上が確認されております。さらに、その下流におきましては、水害防備林があちこちに見られます。これは昔、弘法大師が伝えたとされておりますけれども、川沿いに、川の中に列状に植えられました竹林でございます。洪水時の流れを緩やかにする反面、洪水の阻害にもなっていると思っております。
 下流におきましても、昭和47年、かなり大きな洪水に見舞われました。このあたりも上流と同じように大きな被害を受けてございます。このあたり、都野津層と言われる瓦の原料に適した層がございまして、江津市は石州瓦の産地としても有名で、愛知の三州瓦に次ぐ第二の生産量を誇っております。
 河口には、右岸に砂州が発達しておりますが、大規模洪水ではフラッシュすることが確認されております。
 以上でございます。
 それでは、次に、流域及び氾濫域の概要と書いてございます、A3判の資料2−1を用いまして、江の川水系の特徴と課題についてご説明申し上げます。
 左上のオレンジ色の四角、流域及び氾濫原の諸元ということで、先ほど申し上げましたように、流域面積は3,900km2、3段目ですが、流域内人口は約21万人でございます。一番下、主な関係市町は、島根県江津市、広島県三次市がございます。
 その下、降雨特性ですが、流域の年平均降水量は約1,750ミリということで、全国平均並みでございます。
 その下、土地利用ですが、流域の土地利用は約92%が山地、7%が田畑で、宅地は1%未満でございます。人口資産は、先ほど申し上げました河口部の江津市と上流の三次盆地の三次市周辺にほぼ集中していると考えればいいと思います。
 主な産業でございますが、下流の江津市におきまして、パルプとか窯業が盛んでございます。特に石州瓦につきましては、全国第2番の出荷量を誇っているということでございます。
 右側の地形特性ですが、先ほども説明しましたが、三次盆地で同規模の流域を持ちます江の川本川、馬洗川、西城川が一気に合流するのが特色でございます。それから、中流部は狭窄部ですので、洪水時には急激に水位が上昇するということでございます。真ん中の下から3段目あたりの絵、下流部と上流部、真ん中に中流部が細く書いてある横断図がございますけれども、上流部、下流部におきましては築堤ですが、中流部は非常に川幅の狭いところで、狭窄部の中を流れている。したがって、洪水が流れますと非常に水位の上昇が大きいと言えると思います。
 2ページ、主な洪水とこれまでの治水対策でございます。
 左上、主な洪水と治水計画とございます。現在記録が残っているもので一番大きな洪水といいますと、下流では嘉永3年(1850年)6月洪水、下流の川本というところで、推定ですが、12,100m3/sの流量が流れてございます。上流では、明治26年、吉田の地点で2,000m3/sが最大でございます。昭和20年に枕崎台風が襲いまして、死者1,239名を出しました。これを契機に、昭和28年から当初計画と書いてありますけれども、江の川の上流部で改修事業に着手いたしました。その後、昭和41年に工事実施基本計画が策定されて一級水系に指定され、直轄事業に着手しております。これは上流からでございます。
 ちょっと飛んで、下側に国管理区間の変遷とございます。見づらくて申しわけございませんが、地図に色で河川を塗ってございます。右下の三次河川国道管内という凡例に「S41国管理区間編入」とございます。この緑の部分、41年に着手したのが最初でございます。その後、左側の浜田河川国道管内の一番上に黄緑色で「S44国管理区間編入」とございます。上流部、下流部で改修が始まりまして、それぞれ中流部に向かって管理区間が伸びていきまして、昭和53年に一連がつながって一元管理になったという歴史を持ってございます。
 上の主な洪水と治水計画に戻っていただき、昭和47年7月洪水ですが、これが観測が始まって最大の洪水でございます。この洪水を契機といたしまして、昭和48年に工事実施基本計画が改定されています。基準地点は尾関山で1/100、江津でも1/100、基本高水は尾関山が10,200m3/s、江津が14,200m3/sという計画でございまして、現在もこの工事実施基本計画に基づきまして事業を行ってございます。
 右側の主な洪水ですが、昭和47年7月洪水でございます。3Dでも見ていただいたと思いますけれども、三次市の市街地のかなりの部分が浸水しました。左下ですが、江津市の桜江町を中心に浸水があったということでございます。
 これまでの治水対策ですが、右側の地図の上流側、三次のあたりには堤防等整備事業、内水対策事業等がございます。昭和47年7月洪水を契機といたしまして、築堤とか、引堤とか、掘削、堤防強化等を実施しております。それに伴いまして、内水被害防止のために排水機場等の整備を行ってきたというのが上流改修でございます。
 地図を見てもらいますと、中流部にピンク色の点がかなり多いと思います。これは土地利用一体型水防災事業でございまして、堤防をつくりますとかなり土地がつぶれてしまいますので、水防災事業を全国に先駆けて行ってきたということでございます。
 また、下側に中下流と書いてございますけれども、そこの土地利用一体型水防災事業のイメージの絵の下に水害防備林と書いてございます。江の川には、弘法大師の教えにより水害軽減対策として植えられたと言われます竹林が、水害防備林として今も残ってございます。このあたりが中下流についてのこれまでの対策でございます。
 申し忘れましたが、上流につきましては、土師ダムが49年に完成、灰塚ダムが平成18年に完成しております。
 3ページ、基本高水のピーク流量の検討でございます。
 最初に考え方を大ざっぱに申し上げておきたいと思いますが、一番上の黒い四角で囲いました2行に書いてございますけれども、既定計画策定後に計画を変更するような大きな洪水は発生しておりませんし、流量データによる確率からの検証とか、既往洪水からの検証によりましても、現在の基本高水のピーク流量は妥当だと考えてございますけれども、これまでこの小委員会の中でも議論していただきましたように、安全工学の考え方といいますか、上流側で設定した流量が下流地点でかなりの負荷にならないような流量の設定をする必要があるというチェックも今回はいたしました。
 その結果が右下でございます。基本高水ピーク流量の検証というところ、2段目に表がございます。尾関山地点の対象洪水の通過流量ということで、これは尾関山地点の基本高水を江津地点に設定したときに、いろいろな洪水を比較いたしまして、対象となりました洪水が4つございました。昭和38年7月、40年6月、40年7月、47年7月でございます。このときの尾関山の流量で一番大きな10,200m3/s、昭和47年7月洪水をもちまして尾関山の基本高水のピーク流量を決定しておりますが、このときの江津の通過流量を今回検証いたしました。そうしますと、昭和40年7月洪水が14,500m3/sということで、これが現在の江津の基本高水14,200m3/sよりも多いので、今回は江津の基本高水のピーク流量を14,500m3/sと改定させていただきたいと考えてございます。
 もとに戻りまして、これまでの基本高水のピーク流量の妥当性について検証した結果をご説明申し上げます。左のオレンジ色の四角の下、年最大流量等の経年変化でございます。赤い棒で示してあるところが昭和47年でございまして、これより後には計画の変更が必要な大きな洪水は、2日雨量からも、年最大流量からも発生していないと言えると思います。
 それから、流量データによる確率からの検証ですけれども、これは左側の江津地点におきましては1/100規模の流量につき10,900m3/sから15,100m3/sという幅がございますので、14,500m3/sはこの中に入っていると言えます。尾関山ですが、7,800m3/sから11,500m3/sという幅になりますので、10,200m3/sはこの中に入っているので、流量データによる確率からの検証からも今の基本高水のピーク流量は妥当ではないかと考えてございます。
 その下、既往洪水からの検証でございます。一つは江津地点ですが、左側に川本町の写真がございます。光永寺というところに嘉永3年6月洪水の浸水位の記録が残ってございます。この水位をもとに不等流計算でこの地点の流量を求めますと、再現計算で12,100m3/sという数字が出てございます。これは流域面積比で現在の基準地点の江津に換算いたしますと14,500m3/s、ほぼ今の基本高水のピーク流量と同じでございます。
 それから、尾関山地点ですが、これは安芸高田市吉田町というところで記録が残ってございまして、そのときの浸水深から不等流計算で求めますと、再現流量は2,000m3/sになります。ただ、尾関山は、先ほど申しましたように、江の川と馬洗川と西城川、3つの河川が合流した後ですので、この流量をそのまま流域面積比でというのは少し乱暴ですので、近年のさまざまな降雨パターンにこの2,000m3/sが合うように計算いたしまして、その結果の尾関山での流量を計算いたしますと、6,600m3/sから17,000m3/sというのがそれぞれの洪水のパターンによって計算されます。したがいまして、その結果から、基準地点の尾関山での10,200m3/sはその中に入っているので、尾関山の基本高水のピーク流量も既往洪水の検証からは妥当ではないかと考えてございます。
 ということで、基本高水のピーク流量につきましては、江津で300m3/s足しまして14,500m3/s、尾関山で10,200m3/sとさせていただきたいと思います。
 以上が基本高水のピーク流量の検討でございます。
 4ページ、治水対策の考え方でございます。
 左上、三次市街地周辺の治水対策の考え方です。三次の市街地につきましては、昭和47年に洪水を受けまして、その対応として、災害復旧事業で引堤いたしまして、移転していただいた方の家屋が堤内地の堤防沿いにずっと張りついております。右側、オレンジ色の欄の真ん中の写真をごらんいただきたいと思うんですが、仮に現段階での既設ダムのみで対応して引堤するといたしますと、そこに書いてございますピンク色の範囲に影響が出てきます。この部分につきまして、左側の尾関山付近という写真の「S47災移転家屋の再移転」というのは、例えば三次の病院の移転ですとか、左側の堤防わきにあります市街地部分等が再移転する必要がある。あるいは、右側の西城川でいきますと、西城川が合流する直前の右岸側に再移転の建物も結構出てくるということで、これはなかなか難しいということでございます。
 左上の治水対策の考え方に戻っていただきまして、引堤は困難ということで、平水位以上の河道掘削、それから河道内樹木群の計画的伐開、できるだけ河道の中で流下能力を確保いたしますと、河道で確保できる流下能力が7,600m3/sになります。したがいまして、計画流量7,600m3/sといたしまして、その上で不足する分につきましては、現在の既設ダム、土師ダム、灰塚ダムのほか、尾関山上流域の洪水調節施設で対応したいと考えてございます。
 以上が上流の治水対策の考え方でございます。
 5ページ、中下流部での対策ということでございます。
 まず、オレンジ色の左上、河道改修ということで、下流部も昭和47年に災害を受けておりまして、そのときに引堤しております。沿川にそういう再移転を伴うところがございますので、さらなる引堤はなかなか難しいということでございます。
 右側のオレンジ色の四角の真ん中の右、「横断図(1K000)」と書いてある上に写真がございますけれども、1キロから2キロにかけまして右岸側に昭和47年災の移転家屋がございますが、これを再移転させる必要が生じますので、なかなか引堤は理解が得られないと考えてございます。
 もとに戻っていただきまして、河道改修ですが、河道部について、砂州の状況をもとに出発水位を決めておりますけれども、それを念頭に置きまして、河道掘削により流下能力を確保するといたしますと、ここの流下能力は10,700m3/sまでしか確保できないということでございます。したがいまして、河道で不足する流量につきましては、既設ダムのほか、流域内の洪水調節施設で対応したいと考えてございます。
 中下流部の考え方ですが、先ほど申しました右側のオレンジの四角の左側、流域住民の方々の合意のもとに、土地利用一体型の水防災事業を進めていきたいと考えてございます。計画水位を上げるというのも、これまでも水防災事業をやっておりますので、再嵩上げということになりますと、さらに土地の面積が少なくなったり、限界集落――65歳以上の高齢者が人口比率で50%を超えたところをそう言っていますけれども、そういうコミュニティーそのものが消滅することがございますので、なかなかそれもできないということでございます。
 それから、この部分につきましては、先ほども説明しました良好な瀬とか淵がございまして、オオサンショウウオ等の希少動物も生息しております。大幅な河床掘削というのは河川環境上からもいろいろ問題があるということでございます。現在の流量で河道改修、これまでのように水防災事業等で対応していきたいと考えてございます。
 一番下の水色の四角に水害防備林についての考え方が書いてございますが、江の川には弘法大師の教えにより水害軽減対策として植えられたと言われる竹林がございます。これにつきましては、河積阻害が洪水に与える影響というマイナス面と、河岸の流速の低減効果というプラス面がございます。こういう機能をモニタリングで調査しておりますけれども、その結果を踏まえて適切に対応していきたいと考えてございます。
 したがいまして、流量ですけれども、江津につきましては計画高水流量を10,700m3/s、尾関山につきましては7,600m3/sとさせていただきたいと考えてございます。
 次は6ページ、自然環境についての説明でございます。
 上流部、中流部、下流部と書いてありますが、下に流域図がございます。下流部と申しますのは、河口から浜原ダムのところまで、それから、浜原ダムから江の川の取水堰まで、ほぼ三次の市街地の下流あたりまでを中流部、それより上流を上流部と分けてご説明させていただきたいと思っております。
 左上の上流部をごらんいただきたいと思いますけれども、源流付近につきましては急勾配の山地が続いているところでございます。オヤニラミとかメダカ等が生息しております。また、河原では樹林化が進行しておりまして、澪筋が固定化しているところでございます。
 対応といたしましては、まず一つは礫河原再生事業をこれまでも行っておりまして、これを促進していきたいと思っております。左側に写真がございますが、昭和40年以前はこのあたりは砂利河原であったわけですが、大きな洪水もないことから植物が繁茂した状況になってございます。もともと固有の川らしいものを取り戻そう、そうすることによって生物の生息、あるいは生育環境も本来のものに戻るのではないかという話と、それから、樹林帯によります流下能力の低下に対応していこうということで、このあたり、礫河原を再生いたしました。礫河原再生のイメージとしましては、施工前、施工後と書いてございますが、それでイカルチドリの飛来等も確認しております。
 また、灰塚ダムからフラッシュ放流いたしまして、この礫河原の樹林化等を防ぐ意味もございまして、この礫河原の維持にもこれから努めていきたいと考えてございます。
 右の中流部ですが、このあたりはキシツツジやユキヤナギが生育しております。また、国指定のオオサンショウウオ、あるいはイシドジョウといったものも生息しております。そのようなことから、河道内の樹木伐開により河積を確保しなければいけないところもございますけれども、それも環境に配慮して行っていきたいというところでございます。
 対応ですけれども、崖とか河岸の岩場を保全して、希少動物の生息環境を保持していきたいということと、オオサンショウウオなどが生息できる良好な水域環境を保全していこうと考えてございます。
 下流部ですが、河口砂州にはいろいろな動物がございます。川沿いに水害防備林も多く存在しております。それから、支川の濁川にはサケ、下流部にアユ等が産卵等をしているわけでございます。感潮域におきましても、河積確保のために一部平水位以下の掘削が必要な部分も出てまいりますが、そのあたりも環境に配慮してやっていきたいと考えております。
 以上が自然環境の状況と対応でございます。
 7ページ、水利用・水質・空間利用でございます。
 左上、オレンジ色の四角の水利用ですが、主に発電用水と農業用水、農業用水は主に上流域で利用されておりますが、そのようなものに多く使われております。
 下の太田川水系への分水ということで、土師ダムから太田川水系に上水、工業用水、それから発電にも利用されているという事実がございます。
 右上、水質でございます。産業排水や生活排水の影響は少ない川でございまして、おおむね環境基準は満足しております。下流の川平で平成5年と平成7年に環境基準を若干上回っておりますが、この時期が渇水だったことが原因だと我々のほうで分析しております。
 空間利用も、先ほど申しましたように、上流からいきますと、土師ダムの親水公園ですとか、三次における鵜飼、あるいはカヌー、そのほかさまざまなことに使われている親しみある川だと言えると思います。
 8ページ、流水の正常な機能を維持するため必要な流量の設定ということでございます。
 水利に関しまして、これまでの歴史的経緯を若干ご説明申し上げます。左上の地元の調整による魚道の改築ということで、先ほどの3Dでもご紹介いたしました、江の川の取水堰と浜原ダムで水力発電等を行っているわけですが、当時、つくった際には、魚道の機能の不足と、こういうものをつくることにより減水区間が発生したということで、地元の漁協の方々ともいろいろ協議を進め、それにより魚道の改築等を行いました。そのときに、地元の漁協の方々と電力会社の間で江の川の河口の取水堰では義務放流量8.85m3/s、浜原ダムでは6.92m3/sで合意いたしました。これは尾関山に換算いたしますと、これから設定いたします正常流量のおおむね16m3/sに相当することになります。これまでの経緯を踏襲したような正常流量の設定をさせていただきたいと考えてございます。
 正常流量の基準地点は、馬洗川と西城川が合流した後の尾関山です。このあたりだと流量の資料もかなり蓄積があるということで定められております。
 正常流量の設定ですけれども、下流から30キロ地点、上の地図は見にくくて申しわけありませんが、ブルーで@と書いてございます。30キロで濁川が合流しているあたりですけれども、このあたり、右上に書いてございます動植物の生息地ということで、アユの産卵に必要な流量22.5m3/sが維持流量として最も大きな流量でございます。下の真ん中のオレンジ色の四角、正常流量の設定ということで、@で維持流量22.5m3/s、これを尾関山との間での水利流量と流入・還元流量を差し引きいたしますと、尾関山での正常流量はおおむね16m3/sということでございます。
 ちなみに、尾関山における昭和32年から平成16年までの過去48年間の1/10の渇水流量は10.6m3/sぐらいでございます。灰塚ダムが平成18年にできて、まだその効果が出ていない、この効果には入っていないということが原因ではないかと思っております。
 9ページですが、総合的な土砂管理ということでございます。
 先ほど申し上げましたように、上流では自然再生事業によりまして礫河原の再生を実施しているところでございます。
 河床高の変動につきましては、そこにグラフが書いてございます。上段が江の川の下流の平均河床の変動、下の3つが上流の変動です。3段目がそれぞれ最近の変動でございまして、一番下の欄ですが、例えば133キロぐらいに河道改修ですとか、あるいは156キロぐらいに右岸河床掘削というのがあります。こういう人為的な改修等を除きますと、おおむね河床の変動量は小さく、安定傾向にあるのではないかと考えてございます。
 横断的変化でチェックいたしましても、下流と中流のそれぞれ1キロ200、118キロ800では、ほとんど大きな変化は見られません。上流につきましては、先ほど言いましたように樹林化が進行しておりまして、澪筋が低下傾向にございますが、平水位以上は上昇傾向にあるということで、このあたりは礫河原の再生事業により河床の安定等にも努めていきたいと考えてございます。
 右上、土師ダムの堆砂実績です。グラフのオレンジ色の線が計画堆砂量、ブルーの線が実績の堆砂量ということで、計画を若干下回る、ほぼ計画どおりと言っていいと思いますが、そういう堆砂量を持っております。
 河口の状況です。河口の砂州の状況でございますが、昭和22年には左岸側から砂州が出ておりましたけれども、その後、導流堤が左岸にできました関係で、左岸からの砂州の形成はなくなりました。逆に、右岸から若干砂州が形成されるようになったのが昭和45年の写真ですが、その後、47年の洪水が来たときには、これがフラッシュされているということでございます。現段階、平成18年はそこの写真のような状況になっておりますけれども、大規模な出水があればフラッシュされるものと考えております。
 以上でございます。
(事務局)  それでは、続きまして、矢部川水系のご説明をさせていただきます。河川計画調整室長の○○でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、3Dで見ていただきたいと思います。
 矢部川水系、これは九州の福岡県の河川でございます。流域面積が647km2、幹川流路延長は61キロメートルでございます。福岡県の南部で、熊本県の県境を流域界としてございます。三国山が水源で、こちらからずっと今から下ってまいります。
 下ってまいりますと、日向神ダムがございます。こちらは福岡県のダムで、昭和35年に完成した多目的ダムでございます。
 ずっとまた下ってまいりますが、この矢部川は久留米藩と柳川藩の藩境の河川でございます。このため、昔から治水、利水におきましていろいろな争いがございました。馬渡堰というのがございますが、こちらに廻水路という、それぞれの藩の水はそれぞれの水路を使って自分たちの堰にまた落とす、つまり、自分の水は絶対人に渡さないという昔からの水システムがございます。後ほどまた詳しくご説明いたします。
 また下ってまいります。こちらは黒木町ですが、盆地の形状を呈しております。次に星野川が見えてまいりましたが、こちらの合流点に花宗堰がございます。こちらから花宗川という川がございまして、この花宗川を通じまして筑後平野に水を送っております。水田がたくさんございまして、そちらの重要な供給源になっています。
 昭和28年6月、西日本水害がございまして、非常に大きな被害が出ています。ブルーで塗っているところが浸水区域でございます。
 これは千間土居と申しまして、柳川藩がクスノキを植えまして水害防備林をつくっております。また、水はね、こういう石の水制ですが、これをつくって、対岸に水をはねたということでございます。
 直轄管理区間が見えてまいりました。次に船小屋という基準地点が見えてまいります。こちらもクスノキ林、これは樹齢約300年のクスノキで、天然記念物にもなってございます。
 これは松原堰でございます。こちらの堰から沖端川という川が右に分かれております。この川を通じまして、水郷柳川へ水が行っている状況でございます。
 次は瀬高堰でございます。この瀬高堰で塩水がとめられております。ここから下流が汽水域になってございます。ちょっと見ていただくと白濁しておりますけれども、これは有明海の潟土が入っている河川でございます。
 中島地区が見えておりますが、こちらに漁港がございます。この下流になりますと、これは全部有明海を埋め立てた干拓地でございまして、広い水田が広がっております。
 こちらは河口でございます。河口は5mから6mという非常に大きな干満差を持っております。
 こちらは有明海でございます。細かく見えていますのは、多分、ノリの養殖だと思います。
 それでは、お手元の資料2−2の特徴と課題でご説明させていただきたいと思います。
 流域諸元は今申し上げました。主な市町村といたしまして、筑後市、柳川市、みやま市等でございます。
 右側の地形特性ですが、上流部は山地で急峻な地形でございます。先ほど3Dで見ていただいたとおりですが、中流部で扇状地が広がります。そして、下流部では沖積平野、そして海岸付近には干拓地が広がっている。中積平野から干拓地に至りましては低平地となってございます。人口資産は中流部から下流に集中している川でございます。
 それから、下にございますが、先ほど申し上げましたように、久留米藩と柳川藩の藩境河川になっており、ここに模式図を入れておりますが、先ほどの廻水路、それぞれの藩の堰から水を取り、流域に配りながら自分の湛水域にまた戻す、こういう水システムを持っていたということでございます。
 左側の降雨特性ですが、年間の降水量は2,500ミリ、九州は雨が多いところですが、全国平均の約1.5倍ということでございます。
 土地利用ですが、流域の73%が山地、25%が田畑、宅地等は2%でございます。特徴といたしましては、下流に広大な水田がございまして、こちらにクリークが網の目状に発達して、非常に複雑な水の利用形態を持っているということでございます。
 主要産業はお茶、八女茶ということてお聞きになっていると思いますが、全国有数のお茶の産地でございます。特に玉露については、全国で約半分のシェアを占めているということでございます。
 次のページ、主な洪水とこれまでの治水対策でございます。
 年表を見ていただきたいんですが、大正2年から福岡県の改修工事が始まっています。それから、昭和4年、昭和25年の県の改修工事を行っております。そして、先ほど申し上げました昭和28年6月、西日本水害ですが、これをもとに、この後、工事実施基本計画が立てられていくということでございます。昭和44年7月にも大きな洪水がありまして、45年に一級河川の指定を受けております。そして、46年に工事実施基本計画を立ててございます。このときの基本高水のピーク流量は3,500m3/s、計画降水流量が3,000m3/sです。そして、平成2年7月にも大きな洪水かございました。
 これは主な洪水ということで、右側に昭和28年6月の洪水、昭和44年7月の洪水、平成2年7月の洪水についてご紹介してございます。
 その下、これまでの治水対策ということですが、藩政時代の治水対策、これは先ほどから申し上げておりますけれども、久留米藩では連続堤防、柳川藩では、先ほど申し上げましたクスノキの水害防備林を植樹いたしまして、さらに水はねにより水勢を弱める、こういう治水対策を実施しておりました。
 近年ですが、昭和35年に完成いたしました日向神ダムで、基準地点船小屋におきまして3,500m3/sの基本高水流量を3,000m3/sに低減、500m3/sの低減効果を持っておるダムでございます。
 それから、平成10年に完成しております松原堰は、固定堰を可動化してございます。
 次のページ、基本高水のピーク流量の検討でございます。
 まず、工事実施基本計画の概要をご説明いたしまして、各種データから基本高水のピーク流量について検証を行いました。
 まず、工事実施基本計画の概要ですが、計画規模は、先ほどの昭和28年6月の実績洪水を用いております。確率規模ではおおむね1/100に相当する洪水でございます。計画降雨量というところで、352.4ミリ/日と書いてございますが、これで評価いたしますと、おおむね1/100だということです。基本高水のピーク流量は3,500m3/s、計画高水流量は3,000m3/sです。この計画の基本高水のピーク流量の出し方ですが、合理式等により算出したということでございます。
 次に、下の年最大雨量及び流量の経年変化。工事実施基本計画策定以降のデータを用いまして、雨の状況、それから流量の状況について検証しております。見ていただくとわかりますように、計画を変更するような大きな出水は発生していない状況でございます。
 次に、真ん中ですが、流量データによる確率からの検討を行っております。昭和48年から平成17年、33年間の流量データを用いまして、確率流量からの検証をしてございます。1/100の確率流量は2,600m3/sから3,600m3/sと推定されます。
 次に、時間雨量データによる検討をしてございます。特にここは、先ほど工事実施基本計画が合理式等で基本高水のピーク流量を算出してございます。近年の手法に照らしますと、必ずしも適当ではございませんで、今回、時間雨量データを用いまして、貯留関数法により基本高水を算出いたしております。
 まず、降雨継続時間の設定といたしまして、洪水の到達時間や洪水のピーク流量と短時間雨量との相関関係などから降雨継続時間を9時間と設定いたしました。
 次に、降雨量の設定ですが、9時間雨量で、昭和28年から平成17年、53カ年のデータを統計的に処理いたしまして、各確率分布モデルの平均値として232ミリを採用いたしました。これは下のグラフでございます。
 基本高水のピーク流量の算出ですが、計画降雨継続時間内の雨量を計画雨量まで引き伸ばしまして、貯留関数法により流量を算出いたしました。その結果が下の9時間雨量による検討結果という表でございます。最大は37年7月の4,862m3/s、最小が昭和63年6月の1,900m3/sでございます。このデータを見ていただきますと、大体3,300m3/sから3,500m3/sといったところの流量が出てございます。
 次に、真ん中の一番下、1/100確率規模モデル降雨波形による検討をしてございます。これは1/100の確率規模のモデル降雨波形によりモデル降雨をつくって洪水流量を算出したものでございます。こちらが大体2,200m3/sから4,400m3/sと推定されます。
 そこで、基本高水のピーク流量の設定ですが、まず、既定計画策定以降に計画を変更するような出水は発生していないということ、それから、今いろいろ検証いたしました各種手法、流量データによる確率を見て、さらに雨量データによる確率、それから既往最大洪水流量が昭和28年6月で3,470m3/s、それにモデル降雨等も考えまして、現計画の基本高水のピーク流量3,500m3/sが妥当だと判断いたしております。
 次のページ、治水対策の考え方でございます。
 矢部川におきましては、工事実施基本計画と同じく、既設のダムと河道で流量を配分することを考えてございます。
 まず、現況流下能力を見ていただきたいんですが、これでいいますと16キロから18キロで流下能力が不足してございます。これに対します河道での対応ということで、右側にございますが、船小屋の分水路の低水路部を掘削いたしまして水位を下げます、さらに、上流の竹林の部分、これはB−B’という断面があるところですが、河道内樹木を一部伐開いたしまして、現況2,700m3/sから3,000m3/sの流下能力の確保を考えてございます。
 ダムにつきましては、県の日向神ダムで、現在の工実と同じく500m3/sの洪水調節が可能ということでございます。これによりまして、3,500m3/sのうち500m3/sをカットし、3,000m3/sの河道で流下能力を確保するということでございます。
 次に、左下の高潮堤防についてのお話をいたします。高潮堤防につきましては、先ほど漁港があるとお話ししました中島地区、大体4キロから5キロのところの右岸でございます。現況の特殊堤は高さが不足しておりまして、さらに老朽化が進んでおります。写真を見ていただくとわかりますように、コンクリートが剥離いたしまして、鉄筋が出ております。これはコンクリートの壁と見ていただけばいいんですが、こういう堤防でございます。こちらにつきまして、今後改築をしてまいります。新しい高潮堤防といたしまして、下に絵がございますが、土堤の上にパラペット部分としてコンクリートをつけた形状の堤防を改築していきたいということでございます。
 次に、堤防の強化ですが、昭和30年以前の堤防材料は粘土質だけでなく砂質土で堤防がつくられており、浸透による堤防の破壊が懸念される。さらに、地震対策もまだ完了しておりません。そこで、堤防の強化対策、地震対策も含めてですが、基礎地盤の地盤改良を含めて段階的に堤防の強化を図っていきたいということでございます。
 右端が河川整備基本方針における計画流量配分図でございまして、船小屋で3,000m3/s、河口でも3,000m3/sということでございます。
 次に自然環境でございます。
 矢部川の自然環境、これは大きく河川で区分いたしております。上流、中流、下流と3つに分けてございます。下の表ですが、下流部は河口から瀬高堰まで、特徴といたしましては、汽水域と干潟、潟土のあるような勾配の緩い環境でございます。中流部は瀬田堰から花宗堰、こちらは瀬、淵があったり、河畔林があるところで、河床材料も礫とか大礫があるということでございます。上流部は花宗堰から上流ですが、渓流環境がありまして、礫、大礫、また勾配もきついということでございます。
 右側にそれぞれの環境ごとに課題と対応を書いてございます。
 まず、上流域ですが、治水上、河積の確保が必要なところがございます。そのため、河川改修に当たりましては、水域と陸域の連続性に配慮する必要がございます。そこで、河積の確保におきまして、平水位以上での掘削をし、水域、陸域の連続性が保たれる形状に配慮していきたいと考えてございます。
 次は中流域です。中流域は船小屋地点より上流、こちらは瀬、淵が連続いたしまして、クスノキ林や竹林等の河畔林が帯状に分布しております。船小屋地点より下流につきましては、4つの堰がございまして、湛水区間が連続している。上流と下流、中流部では環境が異なってございます。また、上流部ですが、国指定天然記念物のクスノキ林やゲンジボタルの発生地がございます。また、耕作地から流れる細流と矢部川との連続性がありまして、そういうところにはタナゴなどの魚類が生息している場がございます。
 ここでの課題ですが、治水上、やはり河積の確保が必要でございます。河川改修に当たりましては、河川と耕作地、クスノキ林、こういったもののエコロジカルネットワークに対する配慮が必要だと考えております。そこで、流下能力の確保に当たりましては、河畔林を必要最小限に伐開し、エコロジカルネットワークを保全していきたいと考えてございます。
 次に下流域です。こちらは汽水域で、干潮時には干潟が広がる有明海独特の景観がございます。低平地には発達したクリークがございまして、河川や水田と連続しているということです。
 こちらの課題ですが、先ほどお話ししましたが、高潮堤防の高さが不足しておりまして、堤防整備をしなければいけない。こういった河川改修に当たりましては、有明海特有の魚類や底生動物、また塩生植物群落の生息・生育場である干潟に対する配慮が必要となっております。そこで、干潟を保全し、また、塩生植物群落等の環境調査を行いながら環境を守っていきたいと考えてございます。
 次、空間利用・水質でございます。
 空間利用につきましては、これは上流、中流、下流、それぞれの特色に応じまして利用されてございます。上流では日向神峡の景勝地等がございまして、多くの観光客が訪れております。中流部では、先ほどから出ておりますが、クスノキ林の木陰に公園や散策路が整備されております。また、基準地点の船小屋には船小屋温泉がございまして、流域内外の人々が憩いの場として利用しております。また、下流部では、有明海のノリをはじめとする漁業が盛んでございます。特に矢部川には、先ほど中島地区といいましたが、漁港がありまして、水域は航路としての利用がされております。
 また、派川の沖端川の下流には柳川市がありまして、旧柳川城の掘割、水郷柳川の街なみの景観を形成し、全国から多くの観光客が来られている状況でございます。
 次は水質です。水質につきましては、環境基準地点である浦島橋、船小屋、上矢部川橋において、おおむね環境基準を満足している状況でございます。また、日向神ダムにつきましても、COD75%値で見まして、近年、おおむね環境基準を満足している。水質については問題ない状況でございます。
 次の水利用にまいります。
 こちらの水利用ですが、筑後平野のかんがい用水を矢部川がかなりの比率で占めているということでございます。真ん中に筑後平野と書いて、矢部川、筑後川の絵が書いてございます。この高さ関係を見ていただくとわかりますように、大きな筑後川は実は一番低いところを流れておりまして、矢部川からかんがいの水を供給する形になってございます。グラフがございますが、矢部川の水の利用のほとんどは農業用水でありまして、全体の約8割を占めております。筑後川につきましては、低いところと言いましたけれども、23キロ付近までは塩水がのぼってまいります。そういった意味でも水の利用はしにくい。矢部川は、先ほど言いました高い天井河川でありまして、こちらから筑後平野の約8割のかんがい用水を供給している状況でございます。
 右側ですが、先ほど下流部でクリークが網の目になっていると申しましたが、こちらはクリークを活用した高度で複雑な水利用ということです。こちらに反復利用という絵が書いてございますが、このクリークに一度水をためまして、必要なときに利用する、使った水はまた戻ってくる、こういった水の使い方をしてございます。また、地域には取水に関する不文の慣行がございまして、いろいろルールがございます。そういったルールや水の利用の仕方から、非常に水の取水形態は複雑になっているということです。クリーク網の一例として平面図を挙げておりますが、樋管といったものがたくさんございますし、網の目のように水が流れている、矢印を見ていただくと、どちら向きに流れているのかわからないぐらい難しいのですが、こういった取水形態をとっているということでございます。
 下にまいりますと、先ほど申しました廻水路、「激しい水争い(藩政時代)」と書いてございますが、柳川藩、久留米藩それぞれがみずから設けた堰の水を一滴も他の藩に渡さないということで、1679年より約160年間かけて廻水路というバイパスをつなぎながら自分たちの水をある意味では守ってきた水利システムです。下に色で分けてございますが、上の久留米藩領は黄色、下の柳川藩では青で、自分たちの取った水は次の自分たちの堰の湛水域まで利用しながら落としていく、こういった水の利用をしてございます。
 次に、流水の正常な機能を維持するため必要な流量の設定にまいります。
 先ほど、クリークで取水形態が難しいというお話をいたしましたが、水利用の実態と正常流量の設定という中で、このクリークというのが非常に難しい要素でございます。取水した水を流域内のクリークに一度貯留してから利用する。さらに、複数の水路、河川を通じてクリークに水を供給している。また、クリークの水は反復利用もされている。こういった中で、さらに不文の慣行、ルールも存在している。クリークによる取水形態や水利用が非常に複雑なために、その時々の流況や各地域の水需要に応じまして複雑な取水量の調整がなされております。同一期間内、同じ年の同じ日でも土地によっては水の利用の仕方も全然違う。また、各水利用者の実績取水量も大きく変動しているということでございます。これが大きく変動いたしますと、水利流量の設定は非常に難しくて、正常流量が決められない状況がございます。
 上に流況の図を入れております。平成8年の平水年、特に下の赤いグラフを見ていただくとわかりますが、水が足りなくなると一時的にばっと大きく水を取って、しばらくクリークで使っていく。特に渇水年になりますとそれが顕著にあらわれます。水を大きく取って、またしばらく取らない、また大きく取る、こういった状況で取水量が一定ではないような状況、非常に大きな変動をしているところでございます。
 正常流量を考えるに当たりまして、現行のルールで水収支縦断図を作成してみました。真ん中のところに階段状のグラフを入れております。これを入れてみますと、実流況と大きく乖離し、非常に非現実的な絵になっているということです。こういった中で、現工実におきましても、無数に存在するクリークの利用と絡んで、農業用水の使用実態は極めて複雑であり、これらについて明確にするとともに、水質等も考慮して、さらに調査、検討の上、決定するものとすると。今の工実でも決定してございません。今回も難しいということで、正常流量の設定が困難だと判断いたしました。
 今後の対応ですが、ただし、正常流量を含めた低水管理手法につきましては、流量調査や環境調査等、河川や流域における諸調査を踏まえまして、クリーク等を介した複雑な農業用水の利用特性を把握した上で、やはり決定していきたいと考えております。そのために、右側の下に平面図を入れておりますが、赤の同日流量観測地点、それから取水量報告、きめ細かに、今、水の流れ、水量を把握できるような観測をしております。こういったデータを積み重ね、分析しながら、低水管理の方法を考えていきたいということでございます。
 将来に向けた調査・検討という中で、少しそれについて触れてございます。渇水時や平常時の取水や河川の状況を水利用や環境の観点から検証し、現状における水利用形態のよい点、また、効率化の余地がある点の評価をきちんと行い、管理手法を確立していきたいということでございます。
 右上に流水環境改善に向けた取組みというのがございます。非常に水が厳しい河川でございますので、日向神ダムという県のダムで弾力的な管理の試験をやってございます。洪水調節に支障を来さない範囲で流水を貯留いたしまして、ダム下流の流水環境改善のための放流を行ってございます。こちらに概念図を入れておりますが、小さくて見にくくて申しわけないですが、6月1日から6月10日、赤のハッチが入ってございますが、この100万m3、本来なら下に水を下げるところを水をためまして、この水を活用する。また、7月21日から7月31日にハッチがございますが、この水をためまして、冬場、この水を活用していく、こういったことをやってございます。平成17年には86万m3の水を6日間使いまして流況を改善したということでございます。
 次に、総合的な土砂管理でございます。
 河床高の変動状況についてご説明いたします。昭和46年から昭和63年、昭和63年から平成10年、平成10年から平成14年と3つの期別に分けてございます。特徴的なものは、人為的な影響のある区間を除いて、全川にわたって河床はおおむね安定している状況でございます。特に、砂利採取を平成8年に中止いたしまして、砂利採取をやめてからは基本的に安定した状況が顕著になってございます。
 また、右側の真ん中、河床材料を見ましても、下流部、上流部について河床材料の変化はほとんど見られません。中流部の10キロから15キロ付近は堰の湛水区間であり、一部で細粒分化している状況が見受けられます。これは水色の実線と点線、11キロのところのデータを見ていただければいいですけれども、今後、こういう河床材料の経年的変化の把握に努めていきたいと考えてございます。
 また、日向神ダムの堆砂状況ですが、計画堆砂量の250万m3に対しまして、45年間で約100万m3が堆砂、毎年の堆砂傾向はほぼ計画どおりになってございます。
 また、河口の状況ですが、河口周辺においては、干拓がどんどん進んできた、下に航空写真を入れてございますが、有明海のほうに干拓が進んでございます。しかし、浸食や堆積の傾向は見られず、河口の閉塞もない状況でございます。
 以上でございます。
(委員長)  ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問等ありましたらお願いいたしたいと思います。
 まず、江の川の地元事情に詳しい委員としてご出席の○○委員、お願いいたします。
(委員)  ○○でございますが、この江の川水系の資料2−1の作成に当たって、6、7月あたりでかなり検討したものですから、特別申し上げることはないですけれども、一番気にかかるのは、この間もちょっと地元のほうで言ったことなのですが、水害の件で昭和18年というのが昭和47年の大水害以前としては最大のものだと私は認識しているんですけれども、これは戦時中ということがあって、データが少ないのかどうかわかりませんけれども、全く触れられていない。これは何とか努力して調べられる必要があるのではないかと思います。
 戦時中の状況は、今とは違って、江の川水系の山々はほとんど森林が伐採されて、非常に裸山が多かった時代でございます。昭和18年というのは9月の水でございまして、台風と絡んだ洪水だと思うんですけれども、私の家も大水害に遭ったんですが、昭和47年と、それから昭和18年と言えばほぼ同じ、むしろ昭和18年のほうが水位の高い地域もあります。これは橋の関係でございますけれども、低い地域もあるというふうにちょっと複雑なんですけれども、一つ調べていただきたいということ。
 それから、あんまり触れられてないんですけれども、ダムとして江の川水系には、先ほど26のダムがあると報告がありましたけれども、江の川を上流、中流、下流に分けるときの中流、下流の起点になっている浜原ダムについて、あまり検討されていないということです。これは中国電力の発電ダムということもありまして、あまり触れられない状況なのかもしれませんが、私はあの浜原ダムの下流のほうに住んでいますと、浜原ダムのことがいつも気にかかるわけです。浜原ダムがどのぐらい放水するかということで、浜原ダムから下流の住民はほとんど、今、何m3/s放流したか水位がわかる状態になっておりますけれども、例えば5,000m3/s流したからそろそろ危ないなとか、私らはいつも防災無線の浜原ダムの放水量で大体見当をつけるんです。この浜原ダムについてなぜ触れられないのかなというのが少々疑問です。
 それから、もう1つは、このダムが河口からそんなに遠くないところにできて、中流と下流の真ん中の区切りにできたということですけれども、このダムによって江の川の水質が随分悪くなったことは確かでございます。私、東京から平成元年に帰郷したんですが、平成10年ぐらいまでの間とそれ以後といえば、随分水質はきれいになったんですけれども、やはりこの浜原ダムのためかどうか科学的には認識不足ですけれども、どうもこの浜原ダムのために下流地域の濁りが消えない状況は変わらない。こういう発電ダムについて、江の川のような大きな川の本流にかかる発電関係のダムについて、何か工夫はないのかなということが私はいつも気にかかっているわけです。電力が必要だというのはわかりますけれども、それとあわせながら水質をきれいにする何らかの工夫というのを、21世紀としては考えてもいいのではないかという気がいたしております。
 それから、きょうは矢部川との関連でお聞きしていたのですが、江の川の場合は、矢部川と比べればすぐおわかりのように、私の住んでいるすぐそばを流れている江の川ですけれども、大きな川のくせに、ほとんど効果のない川というか、生産性の低い川といいますか、そういう川なんです。そこに昭和47年以後、この立派な堤防ができて大変なお金が投入されているわけですけれども、その恩恵に浴する人口はほんのわずか、それから、水田にしてもほんのわずか、江の川の河口の江津なんていうのは、一応大きな都市と言っておりますけれども、江の川水系の水を利用している部分なんていうのはほんの知れたものです。そういうところに国交省の方々が大変な努力で立派な堤防をつくられ、立派な橋をかけられ、私としては文句のつけようはないのですけれども、それでもまだ、この昭和47年レベルの洪水には、災害に遭う地域が点々とあるわけでございます。そういう地域をどうして守るかということになると、先ほど報告にもありましたように、やはり農地、宅地、道路、そういうものが一体化した形での堤防をつくること、それはぜひとも必要だと思うわけでございます。
 これは少々冗談めいていますけれども、あまりに巨大な、何億、何十億、何百億円をかける堤防をつくるよりも、私は数軒の地域を守るため、小さな集落を守るためには、江の川のような特殊な場合は、水害を避けるための保険制度というのを考えてもいいのではないかと思うんです。護岸をつくる、堤防をつくる、そういうことばかり考えないで、地域の人たちの安心のためには、水害保険とか、そういう形で見てみる考え方もそろそろあってもいいのではないかなと密かに思っている次第でございます。
 江の川というのは、私は日本でも五本の指に入るくらい大変美しい河川だと思っております。誇りに思っているわけです。その川をあまりいじくり回さないで、できるだけ現在の状況を守りながら、美しい空間、自然環境を守っていく形での取り組みをしていただければ大変ありがたいと感じているところでございます。
 どうも失礼いたしました。
(委員長)  貴重なご意見ありがとうございました。
 別に触れたくなくて逃げているわけでもないでしょうけれども、河川行政として発電ダムに対する監督、指導の考え方みたいなものは、次回まとめてご説明いただきたい。
 それから、水害保険の問題についてもございましたので、検討していれば検討資料をご紹介いただきたいと思います。
 それでは、次に、矢部川に詳しい委員としてご出席の○○委員、お願いいたします。
(委員)  九州大学の○○です。矢部川に詳しい委員ということなんですが、よく出かけはしますけれども、もっと詳しい方もきっといらっしゃるんですが、きょうは代表という形で出席させていただいているつもりでお話をしたいと思います。
 矢部川は、星野川も含めてなんですが、行かれたことのおありになる方はこちらにもたくさんいらっしゃると思いますが、大変きれいな水の川でございます。その象徴の一つがアユだと伺っておりますけれども、九州の川というのは、例えば近畿地域、あるいは関東地域あたりでアユを釣るのが好きなアユ師の方がお釣りになるアユに比べると、はるかに大きな尺アユが当たり前に釣れる川の一つとして知られていまして、ほかにも球磨川水系、山国川水系あたりが九州のアユ師の方には大変人気のあるところだと伺っております。私の隣に住んでいる方もアユが好きで、ことし既に2回ほどアユの塩焼きは当たり前で、アユの炊き込みご飯、そういったものをご相伴に預かりまして、いろいろな形で恩恵を被っています。
 そういうきれいな川というと、よく水質の悪化が今後危惧されるような状況が起きてしまっているのではないかというフレーズがその後に続くのですけれども、殊矢部川については、周辺の開発もここのところ非常に落ち着いておりまして、そういう心配はないのではないか。それから、先ほどのご説明にもありましたけれども、非常に水を高度に利用されている歴史が長く根づいているところでございますので、先ほど、流量の設定が大変難しいというお話がありましたけれども、周辺の方が川に対してかなり深い思い入れをお持ちで、川を汚すことに対しては、どこと比較するわけではございませんが、非常に関心の高い流域ではないかと思っております。
 川の相としましても、上流、中流、下流が非常に明確に分かれておりまして、例えば、河川の下流部については干潮区域がしっかりあって、先日、現地視察をさせていただきましたけれども、先ほどのお話に出ておりましたコンクリートでつくった板状の堤防といったものは、有明海に面しているだけに、日本の中でもかなり特有の治水設備ではないかと思います。それに対しまして、中流は、先ほどお話ししたようなアユ釣りが盛んでございますし、上流に行きますと渓谷を形成しておりまして、またこれがすてきなところだと。コンパクトな川ですけれども、非常にいい川だなという印象を持っております。
 さて、今後どうするかというお話ですけれども、2つほど大きなポイントがあると私は考えておりまして、両方とも先ほどのご説明に入っておりますが、1つ目は、江戸時代以降ずっと守られてきておりますクスノキの河畔林等、営々として地元の人の手で営まれてきた治水、利水関係の設備、あるいは風景といったものにきちんと考慮しながら河川管理をしていっていただきたい。それについては、現場の方といろいろお話をする中で、先ほどもご説明がありましたように、クスノキはできるだけ切らずに、その後繁茂している竹の部分を伐開するといった形で残していく方向のご検討をされていらっしゃるということなので、それでいいのではないかと思っております。
 それから、もう1つは、水のボリュームの決定の話ですが、ほんとうに毎年毎年変わるんですね。だから、どうやって決めるかは非常に難しい問題だと思いますけれども、殊この矢部川については、できるだけ行政の河川管理者のほうで流域の市民の皆さん――市民の中には2通りあると思っています、農業等、業として水を利用していらっしゃる皆さんがたくさんいらっしゃるわけですけれども、この方たち、それから、最近、八女をはじめ、各地で盛り上がっております昔からのクリーク、あるいは取水上の水の回廊といったものを守っていく動きと上手にタイアップしていただいて、流域全体の市民を巻き込んだ形の川育てといいますか、河川管理のやり方を構築していただければいいのではないか。似たような話は、こうあったらいいですよねとかいろいろなところでできるんですけれども、殊矢部川については、かなり先行的に動きが見られますので、ぜひそういう形の取り組みをしていただいて、全国のモデルになるような形に持っていっていただければ、非常にいいのではないかと思っております。
 以上です。
(委員長)  それでは、河川工学の立場から、○○委員お願いいたします。
(委員)  今、○○委員から話がありましたように、矢部川、大した実力のない川だと私は思っています。だけど、水利用が発達した、かつ自然環境が非常に豊かな川で、ほんとうに人々から愛される川ではないかなと。大した実力がない川と言いましたが、私がたまに行ってみると、1m3/sぐらいしか水が流れていないようなときもあるわけなんです。ただ、ほんとうにこの川の恩恵を人々が非常に受けている川だと思っています。
 2、3点、ちょっとご質問させていただきたいんですが、日向神ダム、治水で500m3/sカットだということで、これはたしか定量放水だったと思うんですが、そうすると、大きな洪水に対しては非常に効果がある。だけれども、中小洪水に対しては定量放水だと全くきかないというか、そういう操作をしないかと思うんですが、定量がいいのか、定率がいいのか云々というのはあるんですが、この矢部川の場合、日向神ダムが操作に入らなくて下流であふれたような例があるのかどうか、もしあったらそれを教えていただきたいのが1点。
 それから、これは私ちょっと聞き落としたかもしれないですが、高潮堤防が老朽化していて、新しい高潮堤防が必要だということで、これはコンクリート堤にするんですか、今度新しく考えているのは。この点が2点目。
 それから、日向神ダムの堆砂量が減少している時期があるんですが、通常は一方的にどんどん増えていくばかりだと思うんですが、何で減少しているのかなという、この3点です。
 以上です。
(委員長)  それでは、今お答えできる点についてお願いします。
(事務局)  高潮堤防ですが、先ほどの資料の4ページに絵を入れてございますが、土堤にコンクリートのパラペットを建てるという形でございます。一応、高潮堤防でございますので、前にはコンクリート張ることにはなります。
 それから、堆砂量ですが、9ページの日向神ダムの堆砂状況で、平成14年とか平成7年とかにマイナスが出ております。ふだんは水深測量でとっておるんですが、この年は渇水があってダムが干上がりまして、陸上測量をかけています。原因はどうもよくわからないんですが、その誤差の関係もあってかマイナスになってしまっている。これ実は、資料をつくっている段階でも不思議だなということで、大分いろいろ聞いてみたんですが、原因がよくわかっていなくて、ただ、違ったのは、陸上ではかった測量と水深測量との違いのときにマイナスが出ていることはわかっております。それ以上はちょっとわかりません。
 それから、日向神ダムの操作に入らずあふれたことがあるかというのは、35年にできていますので、28年のみ、要は、できてからはないということですね。操作に入らずにあふれたことはないということでございます。
(委員長)  それでは、河川工学の先生方からご意見を賜りたいと思います。○○委員、お願いいたします。
(委員)  特段ないですが、参考までに聞かせていただきたいというのを2点ほどお願いしたいと思うんですが、江の川において、灰塚ダムでのご説明にあった中で、フラッシュ放流により河床の固定化を抑制という文言で説明があったんですが、このフラッシュ放流の規模がどれぐらいのものなのか、いろいろなところで行われているんですが、固定化を抑制するという文言とのリンクで、フラッシュ放流の規模がどの程度なのかをちょっと教えていただきたいということが1点。
 それから、矢部川につきましても、日向神ダムの下流の水利用の高度化、いろいろつぶさにご説明を聞いてすごいなと思う中で、日向神ダムからの発電とかかんがい用水の補給というのは、下流のいろいろな取排水との絡みで、どんな形で放流等の期別の運転がなされているのか、そのあたりを少しご説明いただければありがたいという、その2点でございます。
 以上でございます。
(委員長)  これは次回にいたしますか。いいですか。
(委員)  はい。
(委員長)  それでは、○○委員お願いいたします。
(委員)  ○○でございます。今回の分は審議の1回目のところですので、全体的なお願いをまずさせていただいて、その後、個別にお教えを請いたいところがございます。
 1番目は、この整備基本方針も、回を重ねるとともにどんどん進化していっていまして、コンセプトもどんどん高いレベルに上がっていっていると思います。例えば、治水のお話を伺っていますと、要するに1/100だとかという定量的な値がぼんと出てくるところを議論されているわけです。一方、環境のほうですと、堤内地の中にずっと入り込んでお話が進行していて、それでどうする、こうするということになっている。治水のほうは、堤内地のほうにはあまり入られないわけです。要するに、超過洪水に対しても、住民の方は安全であってほしいわけです。そういう意味で、計画高水までは守るけれども、その先のお話がこの初めの説明の中でも意外としていただけないんですね。ですから、トータルとして、住民の方は被害を最小に抑えていただきたいという願いなので、超過洪水に対してどういう手だてを――大きな出水があって、その後、整備されてきたかというのもご説明をいただければ、総合的にこの治水のところが理解できるのではないかという意味で、今回でも結構、次回からでも結構なんですが、ちょっとまた一段進化していただけたらと思います。
 と申しますのは、この基本方針は、寿命は無限ということになっていますが、現実の整備計画は20年ユニットでつくられるようなことがありまして、その20年ユニットを3回ぐらい繰り返さないと基本方針のレベルには到達しない状況になっています。そういう意味では、この20年、30年の間は、超過洪水に対して安全性をどうやって担保していくかという配慮は、その途中経過としても欠かせないのではないかと思いますので、そういう意味からも、基本方針の中でそういうお話があってもいいのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
 あとは、個別の問題ですが、まずは江の川のところで1点お教えいただきたいのは、分水をされた際に、いわゆる生物的な攪乱が水をもらったほうの河川で生じていないかどうかお教えいただきたい。新たな種が入ってきたということをあわせて、例えば、魚の寄生虫が違う河川に移っているとか、そういう点も、絶対にということではありませんが、わかられるようでしたらお教えいただきたいということです。
 それから、矢部川のダムの堆砂のところですが、○○先生からは減った理由の質問があったんですが、私のほうは、その後、急激に増えている理由をお教えいただけたらと思います。今、堆砂量が100万m3ぐらいになっているんですが、この砂を有明海にいただけると、かなり有明海の環境がよくなるので、何とか工夫していただける可能性はないのかなというところでございます。
 2番目は、流水の環境改善のための弾力的運用試験というのがなされているんですが、あまり恒久的にやりますと、それがいわゆる既得権化して水利権として定着する可能性があるのではないか。ですから、そこの対応をどうされているかお教えいただけたらと思います。
 それから、最後の質問ですが、もしお答えいただけるのだったらお答えいただければ。維持流量、あるいは正常流量というのは、完全にここでは設定が極めて困難であるということで確定されているのかどうかということです。
 以上です。
(委員長)  一番基本的なところの超過洪水に対する哲学がどうだというのと、今、どういうことを考えているか。これは我々も含めて中間試験を受けたような気持ちがしますが、考えるところがあったら、まとめて皆さんでまた議論し、これから審議する河川に反映できるようにしたいと思います。
 それから、幾つかありましたけれども、分水の話は次回。堆砂を有明にという前に、観測手法で違っているのかもしれませんね、それはどうなんでしょうか。急に減って、急に戻っているというのは、測定方法がその年だけ違っていたのか。今、断定的に言えなくても、また調べて教えてください。それから、弾力的運用の水利権の問題とか、これも次回にお願いしましょうか。今答えられるものがありましたらお願いします。
(事務局)  土砂の問題ですね、これは資料作成段階で我々も同じ疑問を持っていまして、調べたんですが、まだ理由は明らかになっておりません。平成17年には過去最高、それから18年にはベストスリーの流入量があったということで、流入量は多いということですが、多いからといって、ほんとうにそれがたまったかどうかという因果関係はわからなかったということです。
 それから、既得化につきましては、ここの弾力的な放流につきましては、地域からのきちとした要請があった場合に行っておる弾力的な運用です。ですから、ほんとうに困ったときに、きちんと地域から要請を受けてということでやってございます。
(委員長)  それでは、ペーパーにしてわかりやすく説明を書いたものをください。
 それでは○○委員、江の川のほうでは何かございますか。
(委員)  江の川の説明はきょう聞いたばかりでよくわからなかったんですが、私の理解不足かもしれないですが、1つは工実の基本高水と変わっていないですよね。47年災害を受けて工実ができたんでしょうから、47年の災害移転家屋の再移転が何で必要なのかというのがちょっとよくわからなかった。結局、基本高水が同じなのに、何で再移転云々という話が出てくるのかがよくわからなかったというのが1つ。
 あと、灰塚ダムの機能のところで、治水、上水、それから環境と言われたような気がするんですが、この環境の機能というのは具体的にはどういうことなのか教えてください。
(事務局)  すみません、私の説明が至らなかったと思いますが、再移転と申しますのは、工実のときに計画しておりましたダムで、今はできていないものをやめたとすると、これほど引堤がいるという。ですから、ダムをつくらないとこれだけの引堤があるという効果を説明するつもりで私は申し上げました。非常に混乱をさせて失礼いたしました。
 それから、灰塚ダムの環境というのは、不特定でございまして、維持流量と正常流量等を確保するために必要な容量という意味で、環境という言葉を使わせていただきました。
(委員長)  それでは、○○委員お願いいたします。
(委員)  江の川について2点と、矢部川について2点お伺いしたいと思いますが、1つは、計画高水流量の評価に関することで、これは先ほど○○委員が言われたように、チェック方法もまさに進化していると考えますが、全般いいのですが、江の川の3ページの右下で、これは淀川で出てきた考え方らしいけれども、それとの関係がわからないという質問です。淀川の場合は、枚方を唯一の基準点として、その中流あたりは淀川にちゃんと計画高水流量が流れるようにチェックするという意味での上下流バランスはわかるんですが、ここでは、基準点は当然2つあって、むしろ三次のほうが人口が多いのだと思いますけれども、ちょっとおっしゃった意味がよくわからなったんです。上下流バランスをどう評価してこういう値にしたという、その説明が早口だったし聞き取れなかったので、それが1点です。
 もう1つは、5ページの真ん中の中下流部が狭窄部で、守るべきところに堤防をつくるのではしようがないから、水防災的な手法をとるという話はわかるんですが、これは具体的に、今まで洪水時にはどれぐらい水位が上がるのかということと、ここでおっしゃっているのは、貯留がなければより高くなりますよという、今の計画高水流量での水位と、それから、もし上流に貯留がなかったらどれだけ水位が上がるのだという、おそらく試算があるのではないかと思いますので、その実績とか計画の水位の上昇のデータを出して、この辺のことをもうちょっと具体的に示せるようにしていただければというのが江の川についてです。
 それから、矢部川については、皆さんよくご存じなのかわかりませんが、私が興味を持ったのは、2ページの一番下の柳川藩と久留米藩で、一方はクスノキを中心とした水害防備林で守り、一方は堤防だという、そういう言われ方をしたんですが、なぜそういう手法をとって、それは何か地域特性でなったのか、あるいは力関係でできたのか、その後、治水の中に生きているのかどうか、ちょっと興味もあるし、今までの治水文化を踏まえての治水という意味では、そういうこともわかったほうがいいのではないかということでお伺いしたいと思います。
 もう1つは、正常流量に絡んで、これも○○委員が言われたことと関連するんですが、先ほどの○○委員のお話を聞きますと、尺アユもいて、少なくとも魚類のことではあまり問題がないんだろうと想像もつくのですが、一つはどこを基準点として考えようとしているのか、ちょっと利水の基準点というのが書いていないので、それによって、9項目ある中の何を問題にするかというのは、おそらくイメージは持っておられると思うんです。下流の出水が激しいところで決める必要はないのかもしれないとか、ある程度、正常流量が難しいことはわかるけれども、どこのポイントを見て、何を考えようとしているかぐらいのことは何か整理されているのではないかと思われますので、その辺の正常流量は一般の川と違うところもあると思うので、難しい点を整理して、次回にでもご提示いただければと思います。
 以上です。
(委員長)  これは次回でお願いします。
(委員)  理由も次回ですかね、先ほどの上下流バランス。次回でもいいですけれども。
(事務局)  最初の上下流バランスのお話は、釈迦に説法だとは私も思っておりますけれども、これから尾関山で1/100対応の改修をするわけでございますが、それに対応した流量が当然下流に流れていってしまうわけです。そうすると、今回、尾関山の1/100の流量を決めていくときの対象洪水につきまして、やはりその洪水については、ある程度、上流側の改修をするわけですから、それに見合った下流の流下能力を持たないと、それは上流側の我々が人工的にということになるという考え方から、上流側の尾関山1/100の通過流量を江津でチェックいたしました。そうしたところ、14,200を上回る洪水が1つございましたので、この洪水につきましては、その分、流量が下流のほうに負担としてかかる可能性があるので、その耐力といたしましては14,500をとったらどうかという提案でございます。
(委員)  今度はよくわかりました。すみません、先ほどはちょっとよくわからなかったので。
(事務局)  すみません、ちょっと早口で。
(委員)  ちょっとよろしいですか。柳川と久留米の話。
(委員長)  どうぞ。
(委員)  今、先生からご質問があった、何で柳川が防備林で、久留米が堤防だったのかというのは、これは多分、藩の財政力の違い。柳川はたしか11万5,000石ぐらいで、久留米は三十数万石、その藩の財政力の違いでこういう形になったのだろうと。もともと、この廻水路をつくること自体、ものすごく藩の財政を圧迫していて、最後のところで、やっぱりいろいろな財力の違いが出てきたのだろうと言われています。
(委員長)  それでは、○○委員お願いいたします。
(委員)  江の川水系のところで、水道用取水地点というので江津市というのが最下流のほうにございますが、水量としてはあまり大量ではないと思うんですが、この水道に取水している上流といいますか、そのあたりの水質を見るためには、ここにあります川平地点の水質を見ればよろしいのでしょうか。
 傾向としては下がってきているようなんですが、江津市を含めました上流域の市町村の生活排水がどういうふうに処理されているのか、下水道の整備率とか、合併浄化槽の普及率とか、その他の生活排水の処理状況、流入状況といったものがどうなのか、それによって水質がどうなっていくかということに関心がございます。
 それから、上流の土師ダムですが、この上流には人口が張りついているのかどうか。またその生活排水による汚濁、悪化の影響というのは可能性があるのかどうか、そのあたりのこれまでの水質の経緯等の資料がありましたら教えていただきたい。
 矢部川につきましては、1ページの絵を見ていましたら、久留米藩と柳川藩ということで、それぞれ水を向こうに渡さないようにするとなっているんですが、そうすると、水質に差があるんでしょうか。今でもこういうふうにそれぞれ差があるのか、それとも、これは昔のことで、今はこうはなっていないのか、そのあたり、ちょっと興味があります。
 また、この矢部川の水質というのは、全体的にどうなっているか。この地域は水を非常にうまく使われているということなんですが、生活排水はどういうふうになっているか、教えていただければと思っております。
(委員長)  現時点で答えられるところはご説明いただけますか。
(事務局)  上水の話は、川平の地点のデータを見ていただければいいと思います。ここが一番近いところだと思います。
 それから、生活雑排水に関するいろいろな整備状況とか、そういうものは調査して次回にご報告させていただきたいと思います。
 土師ダムの上流には1万人ぐらいの人がいるようでございます。その状況につきましても、また次回説明させていただければと思っております。
(事務局)  柳川藩と久留米藩の廻水路、これは今もございます。先ほど6ページに水質データを出しておりますが、非常に水はきれいでございますので、水質にそれほど大きな差があることはないと思われます。
 また、生活排水ですけれども、上流部のほうは合併浄化槽、それから農業集落排水事業といったものがありまして、6ページにございます水質がよくなっている理由は、そういう合併浄化槽と集落排水ができたことが大きくかかわっているということでございます。
(委員長)  私からも、この資料1−4に「一級水系にかかる各種諸元」と書いてありまして、先ほど、江の川の、なぜこんなものが一級水系かというふうにも聞けたんですけれども、これを見ると人口20万ですか、結構しっかりした水系みたいに思うのですが、ここは氾濫区域内人口と流域内人口が猛烈に数字が違うことがありますね。おそらく、これは集水区域内人口でやっておられると思うんですが、時々、氾濫区域人口でやったほうがいいような川もありますね。もし調べてわかりましたら、括弧書きぐらいで書いて下さい。たしか山口県の佐波川でしたか、あれなんか山陽の工業地帯にどかーんとぶつかるわけですから、集水区域内人口より氾濫区域人口が大きかった例もありますね。やはり、一級水系かの根拠は、しっかりしておいていただきたい。
 先ほどの○○委員のご質問で、わかりました。浜原ダムの下流にお住まいだというので、実はかなり上流の三次というところにも大きなまちがあり、資料を見ますと三次が6万で、江津市が2万7,000ということで、特に上流で水害発生しているので国が一生懸命やらざるを得なかったのだと思いますが、次回資料を用意していただければありがたいと思います。
 各委員はそういうことで、何か追加で――○○委員。
(委員)  ○○でございます。よろしくお願いいたします。環境面を中心に、それぞれ何点か質問させていただきたいと思います。こういう定量的な情報に基づいて、どこをどう保全していったらいいのかということを一つの視点として個別の質問をさせていただきます。
 まず、1点目は、これは私自身の関心もあるのですが、江の川は、中国山地ができる前にあったというお話で、そのあたりの昔の地質学的地図とかそういうものがもしあれば、お示ししていただければと思います。
 いずれにしても、生き物というのは、大昔からその地に住んでいるわけですので、そうしたいわば生物地理学的な情報もぜひ、特にそうした河川の発生が特徴的なものだとすれば、そういった点もお願いしたいところです。
 より個別の議論ですが、江の川の6ページ、先ほど○○委員が言われたことと関連するんですけれども、フラッシュ放流の規模ということをおっしゃられましたけれども、これはまだ調査中ということなんでしょうか、どういった効果があったのかも少しで結構ですので、何かもし結果が出ていればお示しいただきたいと思いました。
 あと、この川に関しては、2点ほどなんですけれども、1点目はオオサンショウウオのお話が出てまいりました。ぜひオオサンショウウオの分布、これは情報公開等でまたいろいろな問題があろうかと思いますけれども、オオサンショウウオはどのあたりにどれぐらいというのがわかっていれば、そのあたりをお示しいただきたいと思います。これは何もオオサンショウウオだけの話を言っているわけではありませんで、河川形態の河床の構造ということとリンクして、おそらく彼らは生息している。そうすると、河川形態というのも、そこから逆に、つまり、生き物の側から読み取ることができるだろうと。そうすると、河道掘削が基本的に環境への非常な悪化ということで議論が進められておりますけれども、場合によってはやり方によってはプラスになることもあるのではないかと思いますので、こういった柔軟な考え方で環境面についても考えていただければと思います。
 もう1点目は、私は、この川にサケがいると認識していなかったんですが、例えばサケをシンボリックなものとしてとらえますと、このサケの産卵場の場所なり、あるいはサケがどこまで、どれくらい上っていっているのか。これも言うまでもなく、ただ単にサケの話をしたいわけではありませんで、河川の連続性、最初に○○委員が言われた発電ダムだとか、農業用水のダムなんかもいろいろあろうかと思いますけれども、そういったものが生物の行き来にどれほど影響を与えているかというようなこととも関連、あるいは直結することになりますので、一つの対象種として、ここではサケ、あるいは回遊魚ではありませんけれども、イシドジョウがとらえられておりましたので、少しそういった種を含めてきめ細かな分布情報があるとありがたいと思いました。つまり、いる、いないという情報だけではなくて、その川に沿った形での情報を少しいただければということであります。
 それから、同じ江の川ですが、8ページの魚道の調査、これはモニタリング中ということでしたけれども、これもどれほどこの魚道の効果があったのか、なかったのか、これはぜひ、流量との関係でデータ収集されるときにはお示しいただきたい。つまり、ただ単に魚道を魚が何匹上っていましたということだけではなくて、そのときの流況、あるいは流量――私、どちらがふさわしいのかわかりませけれども、いわば川の水の状態との対応で、ぜひお示しいただきたいと思います。
それから、矢部川ですが、5ページの自然環境という部分がございます。特に右側のこういった図は非常にわかりやすかったです。それぞれ上、中、下という形で書かれてあって、課題、それぞれの対応と。その対応に関しても、ただ単に河川環境を保全するというようなことだけではなくて、より具体的な中身が書いてあるということで、その書きぶりが随分評価できるのではないかと思いました。
 それから、矢部川に関してはもう1点だけ、これは情報としてお示しいただければというのは、水防対策や、地域防災活動というものが、これはそれぞれの河川についてですけれども、どの程度されているのか。せっかくここで水利用だとか、あるいはレクリエーションの河川利用だとかいうことも書いてあるわけですが、もう1点、それぞれの河川の水防対策の実態、あるいは地域防災として何か特別な活動をされているかといった情報も、ぜひここでお示しいただきたいと思いました。
 以上であります。
(委員長)  これはいずれも次回に資料で説明いただくことにしましょうか。
 それから、さっき落としましたけれども、江の川の昭和18年の洪水というのがこの資料にはないので、おそらく伝聞とか何かで不十分なのでしょうかね、わかる範囲で次にお願いしたいと思います。
 それでは、ご出席の各県知事さんからご意見を賜りたいと思います。まず、○○県知事さんからお願いいたします。
(委員)  ○○県でございます。
 江の川ですけれども、昭和47年、58年の洪水でも、○○県側は甚大な被害が発生いたしました。また、最近でも、例えば昨年の平成18年7月豪雨のときにも、江津市、川本町で江の川本川の水位上昇に伴う浸水被害が発生しましたし、江の川に沿って走っている国道261号線も冠水いたしました。
 その一方で、例えば、堤防の整備の状況などで見てみますと、○○県側の中流、下流は上流地域に比べて相当おくれているという現実もございます。県を含みます地元自治体といたしましては、この沿川の地域、非常に高齢化も進んでおりまして、自力で非難できない住民も増えてきている現実を考えますと、やはり地元の状況や地形に配慮した、それでいてしっかりした治水施設の整備というものを強力に進めていっていただきたいというのが地元自治体の強い要望でございます。
 つきましては、早期に河川整備基本方針を策定していただくとともに、引き続いて地域の特性に合った河川整備計画を策定していただきまして、中下流部での河川整備を早急に実施されることを切望している次第でございます。ひとつよろしくお願いいたします。
(委員長)  一応、事務局の提案では、新たな洪水調節も含めた治水計画となっておるところでございますが、この基本的な枠組みについてはよろしゅうございますか。
(委員)  はい、結構でございます。
(委員長)  それでは、○○県知事さん、お願いします。
(委員)  ○○県でございます。
 この三次市街地、上流部に当たるわけですが、先ほどの資料にもございましたように、非常に大きな被害も出ておるということで、直轄事業で三次の市街地の安全度を確保してきていただいておりまして、非常にありがたく思っております。
 それから、今回議論いただいております基本方針ですけれども、治水安全度につきましても特に異存はございません。詳細なご検討をいただき、まことにありがとうございます。
 また、洪水調節施設につきましては、既存施設の有効利用、また、流域の土地利用を考慮した治水対策、こういったものを基本としてご検討いただければ幸いだと考えております。どうかよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
(委員長)  洪水調節は当然、整備計画の段階でどうするかということでしょうけれども、枠組みとしてはこの案でよろしゅうございますか。
(委員)  結構でございます。
(委員長)  それでは、○○県知事さん、お願いします。
(委員)  ○○県でございます。
 矢部川につきましては、○○県でも指定区間ということで、約190キロにわたって県で管理しておりまして、事業を実施しております。そのため、国が実施しております基本計画に基づいてしていく必要があると思いますけれども、これまでの枠組みについては支障ないと考えております。
 事前にこの基本方針につきまして、県の関係各課のほうに意見照会ということで打診しておりましたけれども、特にこれにつきまして意見はないということでございます。ただ、この川につきましては、内水面漁協という漁業権が設定されている川でございまして、水産振興課のほうから配慮していただきたいということで、水生生物の産卵とか発生、生息、そういった環境の保全には努めていただきたい。また、そういった水産動植物の生存に必要な維持流量の確保といったものにも努めていただきたいというようなことを言われておりますので、この面については十分配慮していただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
(委員長)  治水、環境の枠組みはこれでよろしゅうございますか。
(委員)  結構でございます。
(委員長)  では、今のお話のことは、県当局と案文の段階で調整をしたいと思います。
 本日は資料として、河川整備基本方針の本文案と、その骨子などの資料が用意されていましたが、時間の都合でその紹介がありませんでした。次回は本日の議論を踏まえ、本文について審議していただくことになりますが、本日配付された資料も含め、お気づきの点がありましたら、次回以降の議論にも反映できるよう、あらかじめ事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。
 事務局におかれては、本日の議論や委員からの追加意見を踏まえ、本文案に必要な修正を加え、次回、改めて紹介するようお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いたものを国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議題は以上でございます。

3.閉      会

(事務局)  ありがとうございました。
 私、最初に新しい委員のご紹介のところで○○委員のご紹介を忘れまして、非常に失礼いたしました。おわび申し上げます。
 次回の本委員会は、Aグループにつきまして、また追ってご連絡いたします。お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございますが、郵送ご希望の方には後日郵送させていただきますので、そのまま席にお残しいただきたいと思います。
 それでは閉会いたします。どうもありがとうございました。

 







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