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河川局


河川環境の保全が可能となるような工法の基準について(通知)
  • 〔平成十年六月四日建設省河防海発第九三号〕
    最終改正 平成一八年六月二一日 国河防第四六号
    建設省河川局防災・海岸課長から
    都道府県及び指定都市土木主管部局長あて

災害査定官申合事項(昭和四十年六月十六日付け建設省河川局防災課)第三第一号(2)にいう「別に定める基準」については、下記のとおりといたしますので、今後はこの通知により運用願います。

1.災害復旧箇所河川特性整理表

復旧工法選定にあたつては、選定に要する事項を整理した「災害復旧箇所河川特性整理表」(別紙1、以下「A表」という。)を作成する。

A表は災害発生後に担当者が直接現地を確認して必要事項を整理の上、所定の記載事項を様式に従つて記入するものとする。また、過去の被災履歴、周辺環境、地域特性等の資料は、事前に可能な限り収集整理に努めるものとする。

2.護岸工法選定の手順(参考‥河川災害復旧工法の選定フロー)

護岸工法の選定にあたつては、被災状況、被災原因、河道状況、背後地の形態、上下流施設との関連、河川環境への配慮、設計流速、経済性、施工性等を総合的に勘案して選定するものとするが、その手順は以下のとおりとする。

  • (1) 「設計流速算定表」(別紙2、以下「B表」という。)により設計流速を算出する。設計流速に用いる設計水位は次のとおりとする。

    • イ 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法事務取扱要綱(昭和三十一年十二月十日建設省発河第百十四号建設事務次官通知、以下「要綱」という。)第三第二号ハ、ホ、ト、チに該当する場合は、当該災害を与えた洪水の水位。

    • ロ イ以外の条項に該当する場合

      • (イ) 計画高水位が設定され、そのとおり施工されている場合は計画高水位。

      • (ロ) 計画高水位が設定されていない場合

        • a 既設護岸が被災した場合は、既設護岸の天端高に相当する水位又は洪水痕跡水位のいずれか高い水位。

        • b 要綱第十五第一号に該当する維持上又は公益上特に必要と認められるものとして採択される天然河岸については、上下流施設の護岸の天端高に相当する水位又は洪水痕跡水位のいずれか高い水位。

  • (2) A表、B表、「護岸工法設計流速関係表」(別紙3、以下「C表(護岸)」という。)を勘案して護岸工法を選定する。
    C表(護岸)は復旧工法の目安を示したものであり、工法の選定は各要因を総合的に勘案して決定する。

  • (3) 護岸選定にあたつての留意事項

    • イ C表(護岸)は護岸選定の目安であり、護岸の決定にあたつては上下流施設の状況等も勘案しなければならないため、C表(護岸)で選定された護岸より柔らかい護岸で決定される場合やC表(護岸)に記載されている以外の工法が選定されている場合もある。

    • ロ 護岸工のタイプには各種のものがあるため、現場の条件に応じ複合型護岸工(上部と下部のタイプを変える等)にする場合がある。

    • ハ 他工法の実績も踏まえて今後適用工法の見直しは順次行つていくものとする。

3.河川環境保全に配慮すべき事項

  • (1) 護岸の植生の早期復旧を図るために残土を利用した覆土を行うように検討する。なお、災害復旧で行う覆土は植生の早期復元を図るために土を散布する程度(植生の繁茂するような厚さ)のものであり、設計として護岸強度を強化するものでないので、締固めや覆土厚の管理は必要としない。

  • (2) 河床の瀬や淵、河岸の形状については現状の河川形状を尊重し、基本的に平滑な河床面や、画一的な護岸勾配としない。また、新たに瀬や淵を創らない。

  • (3) 水際部は動植物の生態系の保持に特に重要であるため、著しく改変することは避け、極力多孔質な構造で検討し、残土処理、跡地整理の中で寄せ石を行う等変化のある多様な水際部の復旧に努める。

  • (4) 被災現場や近傍から在材として利用出来る木や石など自然の素材をできる限り活用する。

4.根固工・横断工作物

  • (1) 根固工法選定の手順は2・(1)、(2)に準ずる。根固工法の選定にあたつては、被災状況、被災原因、河道状況、背後地の形態、上下流施設との関連、河川環境への配慮、設計流速、経済性、施工性等を総合的に勘案して選定するものとする。

  • (2) 根固工法選定にあたつての留意事項

    • イ 「根固工法設計流速関係表」(別紙3、以下「C表(根固)」という。)は根固工選定の目安であり、根固工の決定にあたつては上下流施設の状況等も勘案しなければならないため、C表(根固)で選定された根固工より柔らかい根固工で決定される場合やC表(根固)に記載されている以外の工法が選定される場合もある。

    • ロ 他工法の実績も踏まえて今後適用工法の見直しは順次行つていくものとする。

  • (3) 落差工、帯工等の横断構造物の設置にあたつては、魚類等の遡上、降下に支障とならない構造とするが、魚類の遡上、降下のみを目的とする施設(魚道)の新設は行わない。支障とならない構造としては、天端部に切欠を設ける場合や緩傾斜型とする場合がある。

5.A表及びB表は事前打合せ時、災害査定時に提示できる様にしておくものとする。

参考1

《 河川災害復旧工法の選定フロー 》
(1)災害発生

[確認]

  • 異常な天然現象により生じた災害である
  • 被災した施設が公共土木施設である
  • 地方公共団体又はその機関が施行するもの
  • 適用除外の確認
(2)災害報告
(3)災害復旧箇所河川特性

整理表(A表)の作成

  • 災害発生後に申請者が直接現地を確認して必要事項を確認
(4)設計流速(B表)を算定

整理表(A表)の作成


(5)適用工法の選定
  • 適用工法に対応する設計流速の目安はC表を参考
  • 護岸工法の選定にあたっては、被災状況、被災原因、河道状況、背後地の形態、上下流施設との関連、河川環境への配慮、設計流速、経済性、施工性等を総合的に勘案して選定する。
  • C表以外の新工法、復旧工法の検証は技術基準を参考に個別に行う
(6)工法の決定

参考2

  • (多様な水際部の復元)

    現地の石や土を残土処理、跡地整理として河岸に寄せることにより、変化のある水際部の復元に努める。

    参考2(多様な水際部の復元)

参考3

  • (複合型護岸について)

    現場条件に応じ、河川特性に合わせて種々の護岸工法を組み合わせて設計するものとする。この場合、接続部に急激な変化をつけないようにすること。

  • (1) 河床の転石対策を考慮した事例

    人頭大の転石のある河川においては、耐久性を考慮して護岸の下部を自然石又はコンクリートブロック積とし、上部を流速に対応し環境に配慮した工法とする組み合わせも可能である。

    参考3(複合型護岸について)(1) 河床の転石対策を考慮した事例
  • (2) 用地制約を受ける場合の事例

    川幅の小さな河川で法勾配を一:二・〇とした場合、河床部が狭くなり洗掘が進行したり、水面幅が小さく環境上好ましくない場合は、下部を立て(一:〇・五程度)豊かな水際部を創出する。

    参考3(複合型護岸について)(2) 用地制約を受ける場合の事例
  • (3) 現況の法勾配が急な場合の事例

    現況法勾配の下部が急な場合、これに準じた地形なりの勾配とする複合型工法あるいは、上部だけ法勾配を緩く植生の復元の可能性の大きな工法を選定することも考えられる。

    参考3(複合型護岸について)(3) 現況の法勾配が急な場合の事例

参考4

  • (災害復旧における覆土の考え方について)

    覆土は、生態系の保全、資材の有効利用のために現場発生材を利用するものとし、残土処理として扱うこと。

    災害復旧で行う覆土は、植生の早期復元を図るために土を散布する程度(植生の繁茂するような厚さ)のものであり、設計として護岸強度を強化するものではないので、締固め覆土厚の管理は必要としない。

    材料としては周辺の残土のうち表土を用いて従来の植生の早期復元を図ることが望ましい。

    やむを得ず覆土ができない構造の護岸の場合は、現地状況に合わせて残土による水際部の寄せ石、天端部の覆土を行う。

    参考4(災害復旧における覆土の考え方について)

参考5

  • (落差工・帯工等の横断工作物の設置について)

    落差工、帯工の基本的な構造は「河川砂防技術基準(案)」及び「河川管理施設等構造令」によるものとするが、その設置に当たつては、魚類等の遡上、降下に支障とならない構造とする。

    支障の少ない構造としては、天端部に切欠きを設ける場合や緩傾斜型とする場合等がある。

    参考5(落差工・帯工等の横断工作物の設置について)

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