有珠山噴火に関する建設省の対応
1.建設省の体制
- 3月28日12時00分:注意体制
- 3月29日11時10分:緊急体制
- 3月31日13時15分:建設省有珠山噴火災害対策本部(本部長:河川局長)を設置
- 3月31日17時00分:同本部会議を開催し、基本方針を決定
- 4月 5日11時00分:第2回本部会議を開催
2.職員の派遣
- 3月29日:有珠山現地連絡調整会議に建設本省職員2名派遣
(31日14時30分、有珠山噴火非常災害現地対策本部へ変更)
- 3月29日:観測体制強化のため国土地理院職員3名派遣
(4月1日、6名を追加派遣)
- 3月31日:政府調査団の一員として建設本省職員3名派遣
- 4月 1日:有珠山土砂災害対策専門家チームのうち、
土木研究所の専門家2名派遣
- 4月 2日:有珠山土砂災害対策専門家チームの建設本省職 員1名派遣
- 4月13日:虻田町公共下水道復旧プロジェクトチーム
建設本省職員1名派遣
- 4月14日:公共土木施設被災状況の確認及び災害復旧工法指導のため
総括被災査定官他1名派遣
- 4月19日:公共土木施設被災状況の確認及び災害復旧工法指導のため
災害査定官1名派遣
- 4月25日:国道、道央道、道道等の被災状況把握及び広域交通に
関する情報収集のため、建設本省職員4名を現地へ派遣
- 4月27日:虻田町下水道施設被災状況等の調査のため
土木研究所の専門家1名派遣
- 5月 4日:有珠山土砂災害対策専門家チームに機械及び
電気通信の専門家を建設本省から2名派遣
- 5月24日:有珠山土砂災害対策専門家チームに電気通信の専門家として
本省から1名派遣
- 6月6〜
7日:河川局長、公共下水道課長、砂防課長、国道課長及び
総括災害査定官を大臣現地調査の随行として派遣
3.建設省の対応
関係機関と協力して、
(1)応急対応
- 現地画像等の配信
3月28日より建設省多重無線通信回線及び衛星通信回線を使用して、官邸対策室や国土庁などへ現地画像を配信するとともに、現地対策本部と官邸対策室、国土庁間のTV会議を実施
- 道路通行規制と迂回路の設定
地元市町による避難勧告などの状況を踏まえた周辺道路の通行規制を行うとともに、迂回路について道路利用者に情報提供
避難地域の一部解除に伴う道路交通規制の一部解除(4月13日9時、12時〜:4月20日9時〜:5月2日9時〜:5月24日9時〜)
(2)観測体制の強化
- 現地調査のための災害対策用ヘリコプターの派遣
現地調査のため関東地方建設局配備のヘリコプター「あおぞら」派遣(4月2日)
- GPSによる広域的な地殻変動観測
通常24時間間隔のGPS連続観測システムの解析を6時間間隔で緊急対応するとともに、臨時観測点を8箇所(予備費で6箇所追加)増設
|
→ |
3月28日から29日にかけて、基線長に約1cmの伸びを計測し、
|
|
|
30日頃から4月3日頃にかけて基線長に約8cmの縮みを計測。
|
- 測角、測距などによる有珠山の局地的な地殻変動の観測
有珠山北西部の活動域での局所的な地殻変動を観測(4月8日より)
|
→ |
有珠山北西部で北東〜南西方向に開く変動、顕著な隆起を観測
|
- 災水準測量による上下変動の把握
5月12日から実施した有珠山周辺の第1回目の水準測量により、昭和新山南麓で約30cmの最大隆起を確認
6月13日から実施した第2回目の観測で、第1回目で大きな隆起が見られた昭和新山南麓等で約1cmの沈降を確認。
- 空中写真撮影及び地形変化の計測
(3月31日、4月3日、18日、26日、5月19日、25日、6月12日及び16日)
空中写真測量により、噴火前の山頂周辺で隆起を確認(3月31日)
噴火後、火口付近で著しい変動を確認(4月3日)
(18日時点で最大34.2mの隆起、26日時点で最大39.4mの隆起と20mの水平移動)
- 人工衛星衛星画像解析
西山周辺の大きな地殻変動を人工衛星画像からも面的に確認、平均的に約10mの隆起、西山北西部で北へ5m、南西部で南に5m移動
- 地形の変化をより詳細に把握するためのレーザー測量の実施
3月31日に実施し、噴火前のデータを図化
4月26日に第2回レーザー測量を実施
|
→ |
噴火後の隆起範囲、隆起量を面的に把握(最大隆起量約65m)
|
- 予備費によるGPSの増設等の観測体制の強化
- 水準測量の繰り返し実施
火山活動に伴う上下方向の地殻変動の様相を高精度で測量
- 測距自動観測システムによる連続観測の実施
マグマ上昇に伴う湖岸のせり出しを監視
- GPSによる地殻変動観測の強化
新たにGPS機動連続観測装置(4点)及びGPS火山変動リモート観測装置(2点)を設置
- 航空磁気測量による地下の熱分布調査
- 空中写真による地形変化の計測
(3)避難生活、被災者への支援
(4)道路交通機能確保の強化
(5)熱泥流及び二次泥流(土石流)への監視・観測・緊急的対応
- 土砂災害対策専門家チームによる調査
有珠山土砂災害対策専門家チームによる火山泥流等の発生の危険性の変化の把握、対策に必要な基礎調査の実施及び関係機関への情報提供(4月3日から)
- 有珠山土砂災害対策検討委員会の設置
4月20日「有珠山土砂災害対策検討委員会(委員長:新谷融北大教授)」を開催
・ |
緊急的に実施すべき対策とその技術的検討
|
・ |
降灰分布、地盤変動等の状況を踏まえた現砂防計画の見直しの検討
|
・ |
警戒・避難基準雨量の見直し等
|
- GPS搭載無人ヘリコプターによる調査を実施
土木研究所による板谷川の泥流対策検討のため無人ヘリコプターによる調査飛行を実施
(4月24日〜26日実施)
- 板谷川下流部で有人による泥流対策を実施
4月24日より板谷川の既存の遊砂地の容量確保のための掘削及び土砂流出防止のための大型土のうの設置を有人により実施中(主体:北海道)
- 板谷川上流部で緊急対策を無人化施工で実施
板谷川の遊砂地は災害関連緊急砂防事業(事業費837百万円)で4月25日に採択し、5月1日から着手
・西山川の緊急対策のための無人化施工実施
・具体的な施工計画を詰めるための現地調査に5月1日から着手
・無人化施工のための調査工事に5月22日から着手
・無人化機械の走行開始(6月4日)
・町道こんぴら橋撤去作業終了(7月2日)
(6)避難指示一部解除に伴う安全対策と生活基盤の整備
- 板谷川流域の泥流警戒態勢の整備
・板谷川遊砂地脇に雨量計を設置し測定を開始(4月23日から)
・板谷川遊砂地上流に土石流検知センサーを設置し監視を開始(4月29日から)
・警戒基準雨量を設定し、現地本部及び虻田町の避難態勢を支援
|
降灰、火砕流の堆積により土砂流出が予想される板谷川流域において泥流警戒基準雨量を設定 |
4/21設定
|
1時間雨量5mm、連続雨量20mm
|
5/19修正 |
1時間雨量10mm、連続雨量50mm
|
- 洞爺湖温泉街地域の泥流警戒体制の整備
・ |
洞爺湖湖畔小有珠の右の川付近に雨量計を設置し観測を開始(7月4日から)
|
・ |
警戒基準雨量を設定し、現地本部及び虻田町の避難体制を支援 |
降灰、火砕物の堆積により土砂流出が予想される西山川流域において泥流警戒基準雨量を設定
- 虻田町公共下水道復旧プロジェクトチームによる支援と応急復旧
・ |
応急復旧方法の検討・指導、被災状況の調査、指導、とりまとめ、関係機関との連絡調整 |
・ |
本町地区については、応急復旧により簡易処理(沈殿処理及び滅菌)による汚水処理を実施。また二次処理に向けた応急工事施工中 |
・ |
虻田町公共下水道トンネルの被災状況不明のため、洞爺湖温泉地区では避難指示解除に備えて、仮設処理場の建設等を施工中 |
・ |
本復旧については、鋭意検討中
|
- 避難路確保等早急に対策が必要な箇所の緊急的な災害査定の実施及び早期復旧
泥流対策、避難路確保等、早急に対策が必要な箇所について緊急的に災害査定を実施(5月10日〜12日)
伊達市公共下水道についても災害査定を実施(5月16日〜17日)
河川、道路施設に対する第2回目の災害査定を実施(6月13日〜16日)
4.当面の課題と対応
(1)二次泥流(土石流)・熱泥水対策
- 板谷川及び西山川における二次泥流(土石流)・熱泥水の規模の把握及び対策
(2)虻田町公共下水道の復旧
- 洞爺湖温泉地区の被災状況の把握及び対策
- 虻田町公共下水道トンネルの被災状況の把握
|