高瀬川水系においては、日本の重要湿地に選定された小川原湖湖沼群、山間渓谷を流下する上流部は、ブナ・ミズナラ類の広葉樹林帯を流れ、瀬と淵の連続する小坪渓流、中流部には、ワカサギ・トウヨシノボリ・カワヤツメ・メダカ等が生息し、砂礫底の瀬はトウヨシノボリ等の産卵場に、水生植物帯やワンドはカワヤツメ・メダカ等の生息場となっています。
下流部に存在する小川原湖は、微汽水性の湖内に水深の浅い場所を中心として、カワツルモやシャジクモなどの汽水性及び淡水性の水生植物が多く生育しています。また、日本で初めてウィットロキエラ属サリナ(マリモの仲間)が確認されるなど、植物相からみても貴重な汽水環境を有しています。
小川原湖と連結する内沼・姉沼・田面木沼・市柳沼などの小川原湖湖沼群は、ガン・カモ類などの越冬地・渡りの中継地となっています。また、かつて連結湖であった仏沼周辺は、シマクイナやコジュリンなど希少な鳥類が生息し、さらに絶滅危惧種であるオオセッカの国内最大の繁殖地となっています。その環境を保全するため、仏沼は国指定鳥獣保護区(特別保護地区)に指定され、平成17年11月にはラムサール条約に登録されました。
小川原湖湖沼群は、鳥類・底生動物・昆虫類・湿性植物など多様な動植物が生息・生育する日本の重要な湿地のある微汽水性の湖沼であり、中でも小川原湖はビオトープネットワークとしての要となっています。