水管理・国土保全

  

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阿武隈川の主な災害

洪水の歴史

阿武隈川では有史以来幾度となく、大規模な洪水被害に見舞われています。戦後最大の出水を記録した昭和61年8月の台風による洪水では死者4名、災家屋20,216戸、浸水面積15,117ha という甚大な被害を受けました。それを契機に支川広瀬川等では激甚災害対策特別緊急事業により引堤等の改修が行われましたが、阿武隈川中上流部の完成堤防割合は、約3割程度にとどまりました。

その後、約5日間で計画高水位を2回も超過するほどの大雨であった平成10年8月洪水では、死者負傷者20名、被災家屋3,659戸、浸水面積3,631ha に達する被害が生じ、社会及び地域経済に大きな損害を与えました。中上流部ではこの洪水に対する改修事業を「平成の大改修」と称し、無堤部の築堤を中心とした治水対策が実施されました。

しかし、阿武隈渓谷などの狭窄部や集落が分散する地域など、連続堤による治水対策が困難な箇所や、暫定堤防までの整備であった旧本宮町では、平成14年7月においても浸水被害が発生しました。


昭和61年洪水による岩沼市市街地付近の浸水状況

発生日 発生原因 被災市町村 被害状況
1938年(昭和13年) 台風 本宮市、伊達市 他 死者・負傷者25名 全半壊79戸 床下浸水2,918戸 床上浸水1,068戸
1941年(昭和16年) 台風8号 郡山市、本宮市、福島市、岩沼市、角田市 他 死者・負傷者69名 全半壊208戸 床下浸水16,582戸 床上浸水17,708戸
1947年(昭和22年) カスリン台風 郡山市、福島市、岩沼市、角田市 他 死者・負傷者38名 全半壊209戸 床上床下浸水合計 33,470戸
1948年(昭和23年) アイオン台風と低気圧 福島市、岩沼市、角田市 他 死者・負傷者95名 全半壊737戸 床下浸水24,558戸 床上浸水18,834戸
1950年(昭和25年) 台風11号 福島市、岩沼市、角田市 他 死者・負傷者115名 全半壊686戸 床下浸水17,097戸 床上浸水8,414戸
1958年(昭和33年) 台風21号 伊達市 他 死者・負傷者68名 全半壊707戸 床下浸水29,233戸 床上浸水9,549戸(台風22号との合計)
1958年(昭和33年) 台風22号 伊達市 他 死者・負傷者68名 全半壊707戸 床下浸水29,233戸 床上浸水9,549戸(台風22号との合計)
1966年(昭和41年) 台風4号 玉川村 他 死者・負傷者0名 全半壊0戸 床下浸水0戸 床上浸水0戸
1966年(昭和41年) 台風26号とその温帯低気圧 須賀川市、郡山市、福島市 他 死者・負傷者0名 全半壊338戸 床下浸水0戸 床上浸水1,935戸
1971年(昭和46年) 台風23号 福島市、白石市 他 死者・負傷者0名 全半壊1戸 床下浸水357戸 床上浸水37戸 浸水家屋394戸
1981年(昭和56年) 台風15号 福島市、伊達市、角田市 他 死者・負傷者0名 全半壊0戸 床下浸水176戸 床上浸水24戸
1982年(昭和57年) 台風18号 本宮市、福島市、角田市 他 死者・負傷者0名 全半壊23戸 床下浸水4,204戸 床上浸水675戸
1986年(昭和61年) 台風10号とその温帯低気圧 郡山市、福島市、伊達市、岩沼市、角田市 他 死者・負傷者4名 全半壊111戸 床下浸水11,733戸 床上浸水8,372戸
1989年(平成元年) 台風13号 福島市、岩沼市、角田市 他 死者・負傷者0名 全半壊16戸 床下浸水668戸 床上浸水412戸
1991年(平成3年) 台風18号 郡山市、福島市 他 死者・負傷者0名 全半壊1戸 床下浸水273戸 床上浸水79戸
1998年(平成10年) 停滞前線と台風4号 須賀川市、郡山市、福島市、岩沼市、角田市 他 死者・負傷者20名 全半壊69戸 床下浸水1,713戸 床上浸水1,877戸
2002年(平成14年) 台風6号 郡山市、福島市、岩沼市、角田市 他 死者・負傷者0名 全半壊0戸 床下浸水886戸 床上浸水605戸
2011年(平成23年) 台風15号 須賀川市、郡山市、本宮市、岩沼市、角田市 他 死者・負傷者0名 全半壊0戸 床下浸水873戸 床上浸水1,665戸



昭和61年洪水

昭和61年8月1日にフィリピンのルソン島の東で発生した台風10号は、進路を北東に取り、4日朝には本州の南海上に達しました。その後、伊豆半島石廊崎の南海上で温帯低気圧に変わったものの、台風時と変わらぬ強い雨と風を伴ってさらに北東に進み、房総半島を縦断して鹿島灘に抜け、6日朝には宮城県沖に達し次第に東北地方から遠ざかっていきました。

福島県内に4日午前6時頃から降り始めた雨は午後4時頃から本降りとなり、午後6時には県内全域に大雨洪水警報、強風波浪注意報が発令されました。降雨量は、浜通り地方が一番多く、次いで中通り地方、会津地方の順になっており、もっとも多いところでは500mmを記録しました。それに伴い阿武隈川の水位は上昇の一途をたどり、堤内堤外の区別が判然としないほど一面濁流に覆われました。さらに、谷田川や逢瀬川では堤防が決壊、沿岸の住宅、田畑、道路などに深い爪痕を残しました。この記録的な豪雨による被害総額は、約867億3,400万円にのぼり驚異的な数字を示しました。

昭和61洪水から30年の取組(福島河川国道事務所ホームページ)

ボートで救助される住民(福島市)


広瀬川合流点の様子(旧梁川町[現伊達市])



平成10年洪水

平成10年8月末、東北地方に停滞していた前線と台風4号の影響により26日から9月1日にかけて阿武隈川上流の福島県南部を中心に記録的な豪雨となりました。

福島県内の雨量は、阿武隈川上・中流域にある真船、須賀川、二本松、福島の各雨量測候所で既往最大日降水量を更新。また、各水位観測所では軒並み警戒水位を突破、須賀川水位観測所では計画高水位7.915mを超える8.17mを、二本松水位観測所では過去最高水位に並ぶ11.31mを記録しました。

この洪水により、死者・負傷者20人、全壊家屋49戸、半壊家屋20戸、浸水家屋3,590 戸など、2次的な損害を含めて多大な被害を受けました。洪水被害が拡大した要因の一つとして、当時の完成堤防が必要堤防の1/3に留まっていたこと、無堤地区が全体の約30%も残っていたことなど、河川整備率の著しい低さが挙げられます。

このため浸水被害に対する再度災害防止のため、阿武隈川の著しく低い河川整備率を向上すべく、事業費約800 億円をかけ「総合的な河川改修」と「改良型災害復旧」を集中的に行う「阿武隈川平成の大改修」が進められ、平成12年度に概成しています。

阿武隈川平成の大改修について

滑川公民館の浸水(須賀川市)


「平成の大改修」の一環で整備された浜尾遊水地(須賀川市)



東北地方太平洋沖地震
東北地方太平洋沖地震の概要
平成23年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0の地震が発生し、宮城県栗原市で震度7、宮城県、福島県、茨城県、栃木県の4県37 市町村で震度6強を観測したほか、東日本を中心に北海道から九州地方にかけての広い範囲で震度6弱~1を観測しました。また、この地震に伴い、東北地方から関東地方北部の太平洋側を中心に、北海道から沖縄にかけての広い範囲で津波を観測しました。

東北地方太平洋沖地震は、東北地方の太平洋側に甚大な被害をもたらし、自然災害では戦後最大の被害規模となりました。なかでも阿武隈川の左右岸に位置する岩沼市及び亘理町では、死者・行方不明者461名、全壊・半壊の建物被害は、両市の全世帯数の2割程度にまで及ぶ未曾有の被害となりました。

仙台河川国道事務所の東日本大震災関連情報

震災前後の河口部周辺の比較


津波によって崩壊した堤防(亘理町荒浜地先)



過去の主な渇水

阿武隈川流域では、主に昭和42年、昭和48年、昭和53年、昭和62年、平成6年、平成9年に渇水が発生しており、取水制限や農作物への影響、水質悪化など、生活に深刻な影響を及ぼしてきました。


昭和62年の渇水で干上がった乙字ヶ滝(須賀川市)

発生年月 取水制限延日数 最大取水制限率 阿武隈川の瀬切れ発生日数
昭和42年 - -
昭和48年 - -
昭和53年 - -
昭和62年 4日 20%
平成6年 - -
平成9年 - -



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