水管理・国土保全

  

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揖保川の主な災害

既往洪水の概要

揖保川の流出特性としては、流路方向南北に約60km、東西に約15kmの細長い流域形状であるが、河床勾配が急峻(上流部で約1/100、下流部で約1/500)のため、洪水到達時間、継続時間とも短く、洪水波形はシャープです。

揖保川における水害は、明治25年7月に台風により全川にわたり氾濫した洪水があり、7月23日の篠首における日雨量は417mmであり、龍野地点の推定流量は約4,200m3/sに達する最大出水となっています。この洪水により各地で堤防の決壊が生じ、浸水家屋数約11,000戸、浸水面積は約900haに及びました。戦後の洪水としては、昭和45年8月の台風10号や昭和51年9月の台風17号および秋雨前線による洪水があります。



発生日 発生原因 被災市町村 被害状況
1892年(明治25年7月) 台風 ほぼ全川にわたり氾濫 浸水家屋 10,793戸 浸水面積 約900ha
1941年(昭和16年8月) 台風14号 揖保川町正条堤防決壊 浸水家屋 250戸 浸水面積 約1,000ha
1970年(昭和45年8月) 台風10号 浸水家屋 1,079戸 (床上:162戸、床下:917戸) 浸水面積 318ha
1976年(昭和51年9月) 秋雨前線
 台風17号
浸水家屋 3,034戸 (床上:1,457戸、床下:1,577戸) 浸水面積 2,782ha
1990年(平成2年9月) 台風19号 浸水家屋 656戸 (床上:59戸、床下:597戸) 浸水面積 155ha
2004年(平成16年8月) 台風16号 浸水家屋 22戸 (床上:2戸、床下:20戸) 浸水面積 0.6ha
2004年(平成16年9月) 台風21号 浸水家屋 476戸 (床上:49戸、床下:427戸) 浸水面積 10ha
2009年(平成21年8月) 台風9号 浸水家屋 628戸 (床上:120戸、床下:408戸) 浸水面積 292ha



昭和51年9月11日洪水(台風17号および秋雨前線)

西日本一帯に停滞していた寒冷前線は、台風17号の北上に伴って刺激され、8日午後から降り始めて西日本一帯に大雨をもたらしました。

揖保川流域では、9日から11日にかけて各地点で連日150㎜程度の降雨量を記録し、最大日雨量は下流部で300㎜に達し、総雨量は600㎜に及びました。
前線の活動による代表的な降雨で、未曾有の降雨量をもたらし、龍野地点では3日間にわたり指定水位を超え、最高水位は3.61m、最大流量は2,031m3/sを記録したが、本川の溢水、堤防の決壊の被害は免れました。

しかし、支川を中心に被害が相次ぎ、栗栖川では、堤防の決壊、溢水、橋梁の流失等が発生しました。また、上流部の宍粟市一宮では、大規模山崩れが発生し、死者3名を出す大災害となりました。

被害は、戦後最大となり、死者3名、浸水家屋3,034戸(床上:1,457戸、床下:1,577戸)、農地、宅地等の浸水2,782haの他、河川管理施設等の公共土木施設にも甚大な被害をもたらし、被害総額は、 8,138百万円に及びました。



左岸山崩れにより揖保川を堰き止められた状況(宍粟市一宮町福知付近)


揖保川が土砂で埋没し流路が変わった状況(宍粟市一宮町西深)



平成16年9月洪水被害(台風21号)

9月21日3 時にグアム島の西南西海上で発生した台風21号は、発達しながら北西に進み、26日に強い勢力で沖縄本島と宮古島の間を通過しました。27日に東シナ海でほとんど停滞した台風は進路を北東に変えて進み、29日8時半頃、暴風域を伴って鹿児島県串木野市付近に上陸しました。15時過ぎ、高知県宿毛市付近に再上陸した後、20時半頃、大阪市付近に再上陸し、北陸、東北地方を通って、30日12時に三陸沖で温帯低気圧となりました。

揖保川流域では、29日6時頃から雨が降り始め、上流の引原では189㎜、中流の神戸では134㎜、下流の龍野では187㎜の日雨量となり、龍野地点で最高水位3.04m、最大流量2,228m3/sを記録しました。

支川栗栖川において、観測値では既往最大となる流量(東栗栖観測所:271m3/s)を記録し、たつの市新宮町では堤防越流により浸水被害が発生しました。

被害状況は、農地・宅地の浸水10ha、浸水家屋476戸(床上:49戸、床下:427戸)の他、河川管理施設等公共土木施設にも被害をもたらし、被害総額は561百万円に及びました。







平成21年8月洪水被害(台風9号)

8月8 日に日本の南で発生した熱帯低気圧は北上しながら9日21時に台風第9 号となり、10日に紀伊半島の南、11日には東海と関東の南を通って、日本の東海上へ進みました。熱帯低気圧及び台風周辺の非常に湿った空気の影響で、8~11日にかけて九州~東北地方の広い範囲で大雨となり、局地的に1時間80mmをこえる猛烈な雨となりました。兵庫県佐用町では、9日21時頃に1時間に89.0mmの雨量を記録し、死者18名、行方不明者2名の甚大な被害となりました。また、8~11 日までの総雨量は、近畿地方の一部等で8月の月降水量平年値の2 倍を超過しました。

揖保川流域では、8日18時頃から雨が降り始め、上流の引原では210㎜、中流の神戸(かんべ)では186㎜、下流の龍野では125㎜の日雨量となり、龍野地点では最高水位3.97m、最大流量3,346m3/sを記録しました。中流域や上流域での降雨量が多く、中・上流部では水位が一部、計画高水位を超過しました。宍粟市一宮町の上流部では計画規模を超える流量が流下し、計画高水位を約1m上回る水位を記録しました。

被害状況は、農地・宅地の浸水292ha、浸水家屋628戸(床上:120戸、床下:408戸)、家屋全半壊223戸の他、河川管理施設等公共土木施設にも被害をもたらし、被害額は7,152百万円に及びました。なお、これらの被害の殆どは、中・上流部で発生したものです。







過去の主な渇水
渇水の被害状況
揖保川流域の年降水量については減少傾向にあり、極端に降水量が少ない年も見られています。近年では、平成6年、12年、14年と取水制限に至る渇水が生じています。


発生年月 取水制限延日数 最大取水制限率 揖保川の瀬切れ発生日数
昭和42年9月 36 引原ダム底水使用
昭和48年8月 12 工水30% 上水10%
昭和53年9月 5 引原ダム底水使用
昭和59年11月 4 引原ダム底水使用
昭和61年11月 5 引原ダム底水使用
平成6年8月 56 工水90% 農水50%
平成12年9月 19 工水35% 農水33%
平成14年8月 31 工水30% 農水25%
平成17年7月 工水35% 農水33%



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