水管理・国土保全

  

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地域と肝属川

シラス堤防強化対策

鹿児島県には、シラスと呼ばれる火山噴出物が広く分布しており、肝属川流域の約7割もがこのシラスに覆われています。シラスは、通常の砂質土と比べ細粒分が多く、軽いため、シラスで築造された河川堤防や盛土は水の浸透に対して脆弱で浸食されやすい性質を有しており、肝属川の堤防も、過去に幾度となく被災を受けています。

このため、堤防の肝属川の堤防の浸透に対する安全性を評価する詳細点検を実施し、必要な安全基準を満たしていない区間において、シラス堤防強化対策が必要となります。


シラス地山の事例


シラス堤防の一部崩壊
(支川姶良川:平成16年8月)



地域社会とのつながり

肝属川沿いの平野部は、古来(4世紀ごろ)より稲作が盛んであり、江戸時代になると肝属川本川や各支川からの用水路が建設され、肝属川沿いの平地における新田開発が行なわれました。支川串良川の林田堰は、今から300 年前に築造されたと言い伝えられています。

一方、肝属川流域中央部に位置する広大な笠野原台地では、18世紀より開拓が進められましたが、シラス台地ということもあり、飲料水を得るため、80m以上の深井戸から牛馬により汲み上げを行っていました。昭和初期になると、笠野原台地に上水道がひかれ、農道が碁盤の目にように整備され、台地は様相を一変し生産力が向上しました。昭和42年には支川串良川上流に高隈ダムが完成、笠野原台地の国営第一号畑地かんがい事業が完了し、これにより、水を利用した生産性の高い営農が展開され、野菜等の産地化も進んでいます。また、我が国でも有数の畜産地帯となり、肉用牛、豚、鶏については、大規模な畜産経営が展開されています。



林田堰


高隈ダム



肝属川清流ルネッサンスⅡ

肝属川の水質は、昭和30年代からの高度経済成長期の市街地化、畜産や工場・事業所等の地域産業の拡大に伴い悪化しましたが、その後の大気汚染や水質汚濁等の対策のための環境に関する諸法の施行と関係者の努力により一定の改善がみられています。しかしながら、肝属川上流に位置する鹿屋市街地では環境基準値を超えるなど、水質が悪い状況となっています。

このため、肝属川上流鹿屋市域の水環境の改善を図るため、H14年に「第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスⅡ)」の河川に肝属川上流域が選定されました。これを受けて、H17年2月には関係機関で連携して水環境改善緊急行動計画が策定されました。

本行動計画は、「清き流れの肝属川を守り育てて子や孫に」をキャッチフレーズとして流域住民あるいは子供たちが安心して楽しく遊べる水辺環境の創出と多様な自然環境の創出を目指し、行政機関や流域住民等が一体となって水環境改善の具体的な取り組みを行っています。


水質改善対策




肝属川の河川空間の利用

肝属川の河川空間は、中下流部の高水敷や堤防において、散策やスポーツ、花火大会等のイベント会場、畜産用の採草地として利用されています。支川高山川の高水敷では、鹿児島県の無形民俗文化財である「やぶさめ」にちなんだ祭が行われ、肝属川と地域住民との歴史的・文化的なつながりが今に引き継がれています。支川姶良川や支川高山川においては、水辺に近づきやすく水質も良好なことから、カヌーや子どもたちの川遊び等にも利用されています。近年では、子どもたちの河川環境学習、自然体験活動の場としても利用されています。

肝属川本川の上流部に位置する鹿屋市街地の中心部を流れる区間では、鹿屋市による市街地再開発と連携した水辺プラザ事業により水辺に近づきやすい護岸等を整備しており、この一帯は都市空間における“潤いや賑わいのある水辺”の交流拠点となっています。



やぶさめ祭り


カヌー競技



地域住民の取り組み

毎年、「河川愛護月間」「海岸愛護月間」にあわせて、肝属川、支川串良川、高山川、姶良川において、流域団体やボランティアとともに河川及び河口海岸の清掃活動を行い、清流を取り戻す取り組みが行われています。

各市町の小中学校では、環境教育の一環として河川を利用した学習活動が行われており、その中でも、総合学習の時間で川の生物調査や水質調査や地域住民と連携した清掃活動などが盛んに行われています。



肝属川クリーン作戦


河川環境学習





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