環境

【導入編】なぜ、今グリーンインフラなのか

○ グリーンインフラが必要とされる背景
 
  • 成熟社会を迎えた我が国では、経済成長一辺倒ではなく、自然豊かで良好な環境で健康に暮らすことができる社会を求める価値観のパラダイムシフトが起きており、グリーンインフラの取組を通じて、人が自然とよりよく関わることのできる緑と水の豊かな生活空間を形成することが必要となってきています。

  • 一方で、人口減少・少子高齢化に伴う土地利用の変化や気候変動に伴う災害リスクの増大といった課題への対応が急務となっており、社会資本整備や土地利用等に際して自然環境の持つ多様な機能を賢く利用するグリーンインフラの取組を通じて、持続可能で魅力ある国土・地域づくりを進めることが重要です。

  • 平成27年度に閣議決定された国土形成計画、第4次社会資本整備重点計画では、「国土の適切な管理」「安全・安心で持続可能な国土」「人口減少・高齢化等に対応した持続可能な地域社会の形成」といった課題への対応の一つとして、グリーンインフラの取組を推進することが盛り込まれました。
 
グリーンインフラ)閣議決定文書とグリーンインフラの関係
【図】閣議決定文書とグリーンインフラの関係
 
 
(参考)国土形成計画(平成27年8月閣議決定)におけるグリーンインフラの整理
  • 社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能(生物の生息・生育の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制等)を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるグリーンインフラに関する取組を推進する。


 
○ グリーンインフラを取り巻く国内外の動向

<国外>
 グリーンインフラは、米国で発案された社会資本整備手法で、自然環境が有する多様な機能をインフラ整備に活用するという考え方を基本としており、近年欧米を中心に取組が進められています。
導入目的や対象は、国際的に統一されておらず、非常に幅広いのが現状です。
 
(グリーンインフラ)欧米と欧州の事例
【図】欧米と欧州の事例

(グリーンインフラ)欧米と欧州の考え方
【図】欧米と欧州の考え方

参考文献:
Green Infrastructure Statement of Intent.2007.EPA
Green Infrastructure Strategic Agenda.2013.EPA
欧州環境総局WEBサイト http://ec.europa.eu/environment



<国内>
 グリーンインフラの概念が本格的に我が国に導入されたのは、平成25年頃。当初は、コスト論(投資額、維持管理費用が安価)や、コンクリート構造物を「グレーインフラ」と称し、「グリーンインフラ」と対峙・比較する議論が一部みられました。 昨今、グリーンインフラを取り巻く議論としては、以下のようなもの(要約)があります。
 
     
【表】グリーンインフラとグレーインフラの対峙・比較(要約、抜粋)
  • 持続可能な社会の形成の観点から、自然環境を保全・再生するのみならず、自然環境を我が国が抱える課題解決の一手段として、積極的に活用していく必要。その際、自然環境の多面的な機能を使いこなすという視点が重要。

  • 防災・減災の手法として、人工構造物と生態系インフラストラクチャーの双方の利点

  • 欠点を勘案し、前者を後者の代替的な、あるいは相補的な手法として検討・評価し、土地利用や自然再生の計画等に積極的に導入すべき

  • 他分野間及び多機関間の連携、組織の統合、災害復旧時における自然環境配慮の観点が必要である。 また、合意形成や、グリーンインフラの関連技術、評価等に関する情報共有が必要である。

  • グリーンインフラは、グレーインフラと対立するものではなく、双方の特性を踏まえ適切な組み合わせが必要。

  • 欧米と比較して土地利用条件、気候条件が厳しい我が国にあっては、グリーンインフラの用途次第では安価にならない場合がある等、日本の気候・風土・地域特性を踏まえた検討が必要である。

  • 展開に際しては、気候変動に伴い生じることが予想される影響の回避、人口減少に伴う開発圧力の低下を踏まえた土地利用が重要である。



 
○ 国土交通行政分野の取り組み

 従来の社会資本整備事業や土地利用の取組では、自然環境が持つ防災・減災、地域振興、環境といった各種機能を活用した取組を既に実施しています。
 これらは「グリーンインフラ」と称していないものの、河川、都市、海岸等幅広い分野で、社会資本整備事業や土地利用に求められる効果を発現させるため、自然環境が有する機能について、地域とのコミュニケーションを図りつつ、技術的検討、制度上の機能担保等を十分に行ったうえで活かしています。
 
グリーンインフラの考え方と事例
】グリーンインフラの考え方と事例


 欧米のグリーンインフラ議論では、人工構造物とグリーンインフラは連続であり、双方の特性を踏まえ、各所、面的に使い分けるべきものと議論されています。
  災害リスクが避けられず、土地利用条件の厳しい我が国では、要素技術、空間配置、相互関係のいずれから見ても、人工構造物とグリーンインフラを切り離すことはできず、双方特性の理解の下、組み合わせて使っていくことが重要です。
 
グリーンインフラとグレーインフラの考え方
】グリーンインフラとグレーインフラの考え方

出典:GREEN INFRASTRUCTURE PLANNING GUIDE Version: 1.1
http://www.greeninfrastructurenw.co.uk/resources/North_East_Green_Infrastructure_Planning_Guide.pdf




 
○グリーンインフラの当面の考え方

 グリーンインフラを取り巻く国内外の状況に関する調査結果、従来の当省の取組を踏まえ、グリーンインフラの当面の考え方をとりまとめました。
  • 「グリーンインフラ」とは、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組です。(※「グリーンインフラ推進戦略(令和元年7月4日公表)」より)

  • 従って、自然環境への配慮を行いつつ、自然環境に巧みに関与、デザインすることで、自然環境が有する機能を引き出し、地域課題に対応することを目的とした社会資本整備や土地利用は、概ね、グリーンインフラの趣旨に合致します。

  • これらの取組は、河川、海岸、都市、雨水貯留浸透、道路、国土管理等既往の社会資本整備や土地利用に多く見られることから、こういった取組を「グリーンインフラ」と呼称するか否かは、当面重要ではなく、かかる取組の推進により自然環境が有する機能を引き出し、地域課題に対応していくことを通して、持続可能な社会や自然共生社会の実現、国土の適切な管理、質の高いインフラ投資に貢献するという考え方が重要です。
 
グリーンインフラの考え方
】グリーンインフラの考え方

【資料へのリンク】
グリーンインフラストラクチャー~人と自然環境のより良い関係を目指して~(PDF形式


 
○ グリーンインフラに取り組む意義

<各種事業に共通する基本的な方向性>
  • グリーンインフラは地域課題への対応のために行うことから、既往の社会資本整備と同様、地域課題を把握し、政策目標を明確化にします。その上で、状況に応じ、自然環境が有する多様な機能を活用する手法も含め、対応案(必要に応じて複数案)を立案します。

  • その上で、必要に応じて環境面、社会面、経済面の評価を行い、対応案を選定します。

  • 対応案の選定に際し、自然環境が良いという観点だけではなく、個別法、地域の状況を踏まえ、技術的あるいは専門的知見に基づいた検討を行うことが望まれます。

  • また、当該取組に関わる住民・関係者等の対象者を適切に把握し、適切なコミュニケーションを実施し連携を図ることが望まれます。
 
グリーンインフラに取り組む意義
】グリーンインフラに取り組む意義

参考:国土交通省所管事業(大規模事業)における計画策定プロセスについて
出典:公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドライン
https://www.mlit.go.jp/tec/kanri/pdf/koukyou_guidegaiyou.pdf
赤字は資料作成者加筆



<日本におけるグリーンインフラの変遷>
 
日本におけるグリーンインフラの変遷
】日本におけるグリーンインフラの変遷



<グリーンインフラとSDGs>
  • 持続可能な開発目標(SDGs) は2015年9月の国連総会において採択されました。(17の目標)

  • 17の目標は相互に関係しており、複数の課題の統合的な解決や、1つの行動によって複数の側面における利益を生み出すマルチベネフィットを目指すことがSDGsの特徴です。

  • 自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるグリーンインフラの推進は、SDGsの目標達成にも貢献するものと期待されています。
 
SDGsの考え方
】SDGsの考え方
 
代表的なGI取組み事例:円山川の治水対策/同河川を軸とした生態系ネットワーク形成の取組
】代表的なGI取組み事例:円山川の治水対策/同河川を軸とした生態系ネットワーク形成の取組


お問い合わせ先

国土交通省 総合政策局 環境政策課
電話 :(03)5253-8262

ページの先頭に戻る