飛濤亭
第119代天皇である光格天皇(1780~1817年)が茶室・飛濤亭を仁和寺に寄贈した(仁和寺の28代目の住職は光格天皇の義理の兄弟であった)。遼廓亭とは異なり、飛濤亭の戸口の高さは普通であり、「貴人口(王の入口)」と呼ばれている。半分の高さしかない遼廓亭の戸口は、中に入る者すべてがかがみ込んだ姿勢にならなければならず、茶室に入る前に自分の社会的なステータスを捨てなければならない。これにより、茶会の場により平等でオープンな雰囲気が生まれる。飛濤亭の戸口は通常の大きさなので、外の世界で形成された社会的な関係性が茶室の中にまで持ち込まれる。これはおそらく、天皇によって寄贈された茶室ならではの性質である。この建物は通常は一般公開はされていないが、団体は事前に見学予約することができ、「苔の海」と呼ばれることもある庭園を散策したり、外側から茶室の建物を見学したりすることができる。茶室には付属の庭園があるが、ここからは仁和寺の美しい北庭も眺めることができ、牧歌的な美しい雰囲気をさらに高めている。