高千穂夜神楽:面様、彫り物
面は役の性格、気分、性別、年齢を伝えるなど、世界中および日本での儀礼、大衆芸能で重要な役割を果たしてきました。
能や舞楽など日本の演劇芸能でも、面は効果的に用いられてきました。
高千穂では、日本の創造神話「天岩戸」に登場する神々、女神をうまく描写するのに夜神楽の面(面様)は不可欠になっています。
喜劇から悲劇まで、恐ろしいものや感動的なものまで、これらの面はそれぞれの神々の特徴を捉え、何百年もの間観客を魅了してきました。
そのため、面職人には面に神や女神の特徴をうまく捉えて書き付けるための高い技術が必要で、多くは家族ぐるみの工房です。
彼らの技術は、使用する道具と同様に研ぎ澄まされています。
工房の中には、楠や桐の木から面を彫り、4世代にわたって活動しているものもあります。
樹木収穫から最終仕上げの塗装まで、面制作の全行程は工房により行われます。
木材に表情豊かな顔に彫る作業に2日、絵付けと塗装にもう5日、1つの面を仕上げるのに1週間かそれ以上かかります。
面職人はここでは彫刻家ともみなされています。面は、稲作に不可欠な木・火・地・水を表す模様が描かれていて、家の神聖な舞台である神庭の四方や、高千穂神社の神楽殿に置かれるなど、彫刻としても機能しているのです。
精巧に彫られた面は、他にもお祝いの品、魔除け、公私の場ともに装飾品としても使われます。