出羽三山の昆虫
出羽三山、特に月山には、多様な種類の昆虫がいます。この豊富さは、深い積雪、湿原の生息環境および豊かな生物多様性によるものです。
月山 (1,984 m) では、羽黒山 (414 m) や湯殿山 (1,500 m)、また (山頂間の距離で) 60kmしか離れていない鳥海山 (2,236 m) など、近くにある似た標高の山々では見られない多くの種が発見されてきました。これらの種には、標高700mあたりで見られるカオジロトンボの亜種 (学名: Leucorrhinia dubia orientalis) や、標高1,400mあたりでよく見られるメススジゲンゴロウ (学名: Acilius japonicus) などが挙げられます。
この地域の豪雪は、トワダカワゲラ (学名: Scopura longa) にとって好ましい環境を提供します。トワダカワゲラは、翅のない原始的な水生昆虫であり、生きた化石だと考えられています。この種は、月山の谷に生息しています。この谷では、雪解け水が、夏でも川の上流の水をごく冷たく (約10°C) 保っています。トワダカワゲラはきれいな水だけに生息するため、水環境に関する天然の測定器だと考えられています。
月山は、エゾゲンゴロウモドキ (学名: Dytiscus marginalis czerski) にとって、日本で最も重要な繁殖地の1つです。エゾゲンゴロウモドキは、この地域の他の場所では稀にしか見られません。この種は3.5cmくらいまで成長しますが、泥の中に潜るため見つけにくい種です。
月山の上流部 (標高1,200m超) の厳しい気候は、高山性の昆虫を引き寄せます。オオルリボシヤンマ (学名: Aeshna nigroflava) は、大型のトンボです。この種は、トンボに変態する前に幼虫として池や湿原で2~3年を過ごし、厳しい月山の冬を生き延びます。
ベニヒカゲ (学名: Erebia niphonica) は、山形で唯一高山に住む種のチョウです。このチョウは、標高1,000mを超える山地に生息しており、月山やその他近隣の山で見ることができます。