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旅客鉄道の運賃料金制度について

運賃・料金の概要

(1)運賃・料金とは
   「運賃」とは、「人又は物品の運送に対する対価」であり、一方「料金」とは、「運送以外の設備の利用や付加サービス、役務の提供に対する対価」と定義できます。

(2)運賃・料金体系とその手続き
   運賃には、基本的な運賃としての「普通旅客運賃」及び「定期旅客運賃」の他、「貸切旅客運賃」、「特殊割引運賃」等があり、また、料金には、「特急料金」、「急行料金」、「グリーン料金」、「入場料金」等があります。
 これらの運賃・料金の設定及び変更の手続きは、「鉄道事業法」に規定されており、認可申請または届出が必要となります。
 運賃及び料金の上限の設定及び変更は国土交通大臣の認可を受けることになりますが、上限の範囲内で定める運賃等(同法16条第3項)や特急料金(新幹線鉄道に係るものを除く。)、グリーン料金、寝台料金、座席指定料金等(同法16条第4項)の設定、変更は事前の届出でよいとされています。
 また、回数旅客運賃や運賃及び料金の支払いのためのプリペイドカード等の割引や、適用する期間、区間、その他の条件を定めて行う運賃・料金の割引も割引率に関係なく届出でよいとされています。
 なお、入場料金、払戻手数料等については、無規制となっています。
 上記のように、鉄道事業者による運賃等の設定、変更の自由度が高まることから、特定の旅客に対して不当な差別的扱いをする場合、他の鉄道事業者との間に不当な競争を引き起こす場合には、国土交通大臣は運賃・料金の変更命令を行うことができる旨の規定が設けられています。(同法16条第5項)
 さらに、運賃に係る規定には上記の他、利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認められる時は、国土交通大臣は運賃・料金を変更すること等の事業改善命令を行うことができる旨の規定が設けられています。(同法第23条)
 また、運賃・料金は、関係駅等に公告した後でなければ実施することができないこととされており、運賃・料金の値上げの際は、7日間以上の公告が義務付けられています(鉄道営業法第3条)。
 なお、路面電車、新交通システム、モノレール等の一部で、道路上を走行するものについては、道路との関係から「軌道法」が適用されていますが、規定の基本的な仕組みは鉄道事業法とほぼ同様なものとなっています。


旅客鉄道運賃の上限価格制のイメージ

 

運賃・料金のしくみ

 現在、旅客鉄道は約200社局あり、JR旅客会社や大手民鉄、中小民鉄、公営、第三セクター等経営規模、経営主体が異なるばかりでなく、鉄道の種類も普通鉄道の他、モノレール、新交通システム、路面電車、鋼索鉄道等の種類があり、その経営規模、旅客流動量、沿線の状況等路線の環境も様々で、運賃・料金も異なっています。

(1)普通旅客運賃
   普通旅客運賃は根幹の運賃であり、定期旅客運賃とともに「基本的な運賃」に位置づけられています。
 この普通旅客運賃の乗車券としては、普通片道乗車券や普通往復乗車券として発売されていますが、近年では自動改札機に軽く触れるだけで運賃の支払いを行うICカード乗車券が様々な事業者において導入されてきています。
 現在、鉄道会社が実施している普通旅客運賃は、次の4種類の類型に区分されます。

 

  <1> 対キロ制
   対キロ制は、キロ当たりの賃率に乗車区間の営業キロを乗じて運賃額を計算する方法であり、JR旅客会社及び一部の中小民鉄事業者において実施されています。
   
  <2> 対キロ区間制
   対キロ区間制による運賃は、一定の距離を基準として区間を定め、乗車区間に応じた運賃を算出する制度で、乗車距離に応じて階段状に運賃が変化してゆくものです。乗車距離が長くなるにしたがって階段の高さ(加算額)、階段の奥行きの長さ(同一運賃で乗車できる区間長)を変化させることにより遠距離逓減が図られています。この制度は簡明であり、かつ券売機その他の取扱の面からも合理的メリットがあることから、大手民鉄、東京地下鉄、公営地下鉄、中小民鉄の多くがこの運賃制度を実施しています。
   
  <3> 区間制
   区間制運賃は、営業路線を概ね等距離に区分できる駅を基準として2以上の区間に分割し、区間に応じて運賃を算出する方法であり、筑豊電気鉄道(福岡県)、叡山電鉄(京都府)等の一般鉄道の他、箱根登山鉄道鋼索線(神奈川県)、近畿日本鉄道生駒鋼索線(奈良県)等の鋼索鉄道で実施されています。
   
  <4> 均一制
   均一制運賃は、乗車キロに関係なく運賃を均一とする制度であり、利用者にとっては単純でわかりすく、鉄道側にとってみれば出改札での設備の簡素化、省力化が図れることのメリットがあります。一方、短い距離を利用する者にとっては割高感があり、この制度は鉄道全体の営業キロが短いか、旅客の乗車距離が平均して比較的短い山万(千葉県)のような新交通システムや東京急行電鉄世田谷線(東京都)、阪堺電気軌道(大阪府)、長崎電気軌道(長崎県)等の路面電車等で実施されています。

 

(2)定期旅客運賃
   定期旅客運賃には、乗車距離あるいは区間ごとに額を定めた表定制のものと、普通旅客運賃額を基礎として割引率を乗じて算出するものがあります。(例 1ヶ月定期の場合:普通旅客運賃×60×割引率)
 定期旅客運賃には通勤定期旅客運賃と通学定期旅客運賃とがあり、JR旅客会社の通学定期旅客運賃は、さらに高校生、中学生、小学生の区分を設けています。

 

(3)料金
   特別急行料金、急行料金は、
 
  1. 速達性に対する価値が大きいこと、
  2. 施設やサービスが良好なこと、
  3. 高速運転のための費用やサービスの高度化のための費用が増大すること
  等が設定の要因となっています。

 この他、特別車両料金(グリーン料金等)や、寝台料金は、設備の利用に対する料金であり、入場料金や、払戻し手数料等は、運輸に付帯する役務の料金です。

 

(4)旅客の区分
   運賃及び料金のうち特急・急行料金、座席指定料金は、次の年齢区分に従って決められています。
大人   12才以上の者
小児   6才以上12才未満の者
幼児   1才以上6才未満の者
乳児   1才未満の者

  <1> 小児の運賃・料金
  小児の普通旅客運賃、定期旅客運賃、特急・急行料金又は座席指定料金は、それぞれの大人の運賃、料金額を折半し、10円未満のは数を整理して10円単位とした額です。
 
 <2>

幼児・乳児の運賃・料金
  幼児・乳児に対しては、運賃・料金を収受しないこととしていますが、次の場合は、小児の運賃・料金が適用されます。
  • 幼児が幼児だけで旅行するとき
  • 幼児が乗車券を所持する6才以上の旅客(団体旅客を除く)に2人を超えて随伴されて旅行するとき。ただし、2人を超えた者だけ小児とみなします。
  • 幼児が、団体旅客として旅行するとき又は団体旅客に随伴されて旅行するとき
  • 幼児又は乳児が、指定を行う座席を幼児又は乳児だけで使用して旅行するとき
    (なお、特別車両料金、寝台料金やコンパートメント料金は、旅客の区分をせず、すべて同額となっています。)

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