W−4 公的機関所有地土地活用型

1.調査地区の概要
 

地区名・提案者

対象地区の所在

面積(u)

現状の主な
土地利用

法規制等

地権者状況

土地需要など開発の
方向性

@

福島県須賀川市
【須賀川市】

福島県須賀川市中心市街地

調査地区約10.1ha
提案地区6,288u

市中心市街地の住商混在市街地。提案地区は、国の施設跡地とそれに隣接する大型店、及びその駐車場。 商業地域(80/400) 提案地区のうち国の施設跡地(1,018u)は、平成11年度に市が取得。 国の施設跡地は多目的広場として活用することとされており、隣接大型店は撤退の話が出てきている。周辺は、都市計画道路拡幅に伴う残地や駐車場等の低未利用地が多く分布しており、その活用が望まれている。

A

秋田県秋田市
【秋田市】

秋田県秋田市中心部

○旧産館跡地地区4,792.3u(公的機関所有地,207.5u)

駐車場、空閑地。 商業地域(容積率600%/建蔽率80%) 秋田県及び民間1名 旧産業会館跡地周辺街区まちづくり促進事業基本構想等の計画でバスターミナルや福祉医療施設の導入が提案されている。
○保健所跡地地区9,955.5u(公的機関所有地,393.0u) 保健所及び商業・業務施設が立地。 (同上) 秋田県及び民間19名 既存計画では、土地利用の方向性は示されていないが、周辺の多くの開発プロジェクトとの競合の回避や東西軸と南北軸の交流の場の確保が考えられる。

B

群馬県前橋市
【前橋市】

群馬県前橋市岩神町二丁目等

調査地区約120ha
提案地区21,916u

調査地区は、都市基盤が未整備なまま、市街化が進んだ住宅地である。戦前から戦後にかけて大規模工場周辺に住居併用工場がつくられたが、その後専用住宅地化が進んだ。提案地区は、学校跡地で、敷地が不整形、接道条件は良好ではない。地区内の体育館は、近隣の中学校用に暫定利用している。 近隣商業地域(80/200)
第1種住居地域(60/200)

法調査地区:

      提案地区:市土地開発公社所有地人1

調査地区は、市内でも人口減少率が高い地区であるとともに、高齢化率が高い。不動産の取引や建築確認申請の状況も少なく、市域全体からすると停滞している地区である。東西に縦断する都市計画道路・日吉岩神町線の整備については、当面、事業化の計画はない。ただし、調査地区の東側を南北に縦断する都市計画道路(3.4.26幅員18m)の一部区間で事業中となっている。

C

神奈川県秦野市
【秦野市】

神奈川県秦野市本町1・2丁目

調査地区約11.5ha
提案地区約1.4ha

調査地区は、昭和2年の小田急線開通に伴い形成された駅前商店街とその背後に広がる低層密集住宅市街地である。商店街の空店舗や空き地は年々増加しており、特に(都)秦野駅前線沿道は、商店街としての体を成していない。背後の住宅地も老朽化が進んでいる。提案地区の市有地等は、市街地再開発や土地区画整理の種地として取得したもので、駐車場や空き家、未利用地となっている。 商業地域
(80/500)
(80/400)
近隣商業
(80/300)
(80/200)

調査地区:

提案地区:市有地/1005.78u
土地開発公社所有地/1666.51u
農協用地 /3849.79u

昭和60年度に市総合計画で賑わいのある商店街整備プラン「シビックマート構想」が提唱され、これまで、市街地再開発事業や商業集積整備による商業活性化が検討されてきたが、いずれも実現には至らず断念されている。現在は土地区画整理事業による都市基盤の先行整備が課題として残されており、市は平成11年に担当組織を経済部から都市部へ移行し、基盤整備計画案の見直し作業を進めている。

2.調査の視点

(1)「公的機関所有土地活用型」の対象
 このタイプは、土地を所有する公的機関によって大きく3つに分類できる。
  @市区町村所有地/A土地開発公社所有地(公拡法による取得土地)/Bその他公的機関所有地(都道府県所有地等)

(2)「公的機関所有土地活用型」の調査の視点
@公的機関所有土地固有の問題の把握:
公的機関がまちづくり用地として取得した経緯や現在低・未利用地となっている今日的な事情、立地条件や敷地の形状、接道条件などを把握するとともに、市町村の財政事情や関係者との合意形成、制度上の問題など行政機関固有の問題を具体的に把握する必要がある。
A市街地特性や地域資源、市民のニーズの把握:対象地区はそれぞれ歴史や生活・文化が異なり、多様である。周辺には様々な地域資源がある。このような対象地区の持つ固有性(場所性)の把握と地域資源の活用の可能性を検討する必要がある。
B周辺の市街地整備事業や行政課題の把握:周辺の様々な市街地整備事業の実施時期や市町村の財政負担状況等に充分留意するとともに、都市基盤整備や地域の活性化、少子・高齢化に伴う福祉需要、多様な市民のニーズへの対応など、公的機関として取り組まなければならない課題を総合的に把握する必要がある。

(3)「公的機関所有土地活用型」の土地利用転換計画案作成の視点
@公的機関の役割:
公的機関は、広く公共の福祉の視点から土地の有効活用を図ることが求められており、都市基盤の整備や広域的な行政課題や様々な行政施策の実現を視野にいれた土地活用を考える必要がある。
A市町村の行財政をめぐる状況:少子・高齢化をはじめとした社会・経済の構造的変化や地方分権や財政事情の逼迫など、市町村の行財政をめぐる現実と将来の変化を想定した計画案を考える必要がある。
B地域住民等の参加と連携:計画立案や合意形成、事業の推進、運営管理などにあたっては、関係地権者をはじめ市民やNPOの参加と連携の視点も必要である。
C民間資金の調達と役割分担:効率的で効果的な行財政運営を図るため、PFI(民間による公共サービスの提供)方式等による民間資金の調達方法や公共民間のリスク分担・責任分担・役割分担、公的機関所有土地活用の規制緩和などに関する視点も重要である。
D段階的な土地活用:公的機関所有土地活用は関係者との合意形成等事業が長期に及ぶ可能性があることから、暫定利用も含めた段階的な土地活用を検討する。

3.調査の方針

(1)本調査の基本方針
@対象地区の地域特性と課題の把握:
関係者ヒアリングや現地調査、関連資料の収集・分析等を通して対象地区の地域特性や地域資源、行政課題等を把握し、それを踏まえて公的機関所有土地の有効活用の促進するための課題を把握する。事業化にあたっては関係者との協議が必要となるが、本調査では実施しないこととする。
A計画的介入の方策と事業化の可能性の検討:市町村の行財政をめぐる現実と将来の動向を踏まえつつ、新たな整備手法の適用や新たな機能の導入等を考察し、以下に述べる計画案作成の方針を念頭において、社会的・経済的に見て効果的な計画的介入の方策と事業化の可能性を検討する。
B類似地区にも汎用できる調査の実施:本調査の成果を類似する公的機関所有土地活用型の地区にも汎用できるように、調査と土地利用転換計画案作成づくりをすすめる。なお、関係地権者や居住者に係る個別具体の問題の扱いや事業の実施に係る詳細な検討は行わないこととする。

(2)本調査における土地利用転換計画案作成の方針
@周辺地区の市街地整備に活用する計画案:
公的機関所有土地を周辺地区の都市計画道路や区画道路、公園等の市街地整備の種地や代替地、又は「広場」として活用する計画案を検討する。
Aソフト面の行政課題に対応する計画案:少子・高齢化等を背景にした福祉施策や新たな産業施策、NPOなどの市民活動支援などのソフト面の行政課題に対応した公的機関所有土地の活用計画案を検討する。
B公的機関所有土地の敷地整序に係る計画案:公的機関所有土地の有効活用を図るため、区画道路の整備や土地の交換分合や買収等により、接道条件や敷地形状を改善する計画案を検討する。
C段階的な整備に向けた暫定利用に関する計画案:上記の計画案の段階的整備に向けた、当面の暫定利用に関する計画案を検討する。但し、暫定利用の場合、その質に留意する必要がある。

■調査地区の位置図
 

広域的な位置

調査地区の範囲と提案地区

福島県
須賀川市

秋田県
秋田市

群馬県
前橋市

神奈川県
秦野市