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国土交通省 都市局 公園緑地・景観課
企業のみどりの保全・創出に関する取組みサイトの表題の画像
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     地球環境問題等と都市の緑

緑は、温室効果ガスである二酸化炭素の吸収固定作用等による地球温暖化の防止や風の道の形成・蒸散作用等による ヒートアイランド現象の緩和などの都市環境改善に大きく寄与しているとともに、 生物多様性の確保に資する野生生物の生息・生育環境を形成する等生物多様性の保全にも寄与しています。
   地球温暖化の防止をはじめ、ヒートアイランド現象の緩和、生物多様性の保全等は国家的な課題であり、 それらの課題に対応するため、各種計画等が国において定められています。
   公園緑地分野においても、これらの計画等に沿って、各種の取組みが進められています。

地球環境問題への対応の画像

■1. 地球温暖化対策
(1) 京都議定書等における都市緑化等の位置付け
都市緑化等は、京都議定書(1997年採択、2005年2月16日発効)及びマラケシュ合意(2001年COP7で決定、2005年COP/MOP1で承認)等に基づき、 京都議定書第3条第4項の対象である「植生回復」※として、森林による獲得吸収源の上限値(4,767万t-CO2、基準年総排出量比約3.8%)とは別枠で、 吸収量を計上することが可能となっています。
※  マラケシュ合意により「植生回復」は、「0.05ha以上の植生回復を行うことによって、炭素蓄積量を増加させる直接人為的な活動で、 1990年1月1日以降に開始され、新規植林、再植林の定義に当てはまらないもの」と規定されています。
 我が国は2006年8月、条約事務局に対する『京都議定書第3条7及び8に準拠した日本国の割当量に関する報告書』の中で、 この植生回復活動の定義を「1990年以降に行われる開発地における公園緑地や公共緑地、 又は行政により担保可能な民有緑地を新規に整備する活動」と解釈することを報告しています。
(2) 京都議定書目標達成計画における都市緑化等の位置付け
「京都議定書目標達成計画」(H17.4.28策定、H20.3.28全部改定)は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」(平成10年法律第117号)のうち、 第8条及び第9条において「政府が京都議定書第3条の規定に基づく約束を履行するために必要な目標の達成に関する計画」として、 京都議定書の温室効果ガスの6%削減約束を確実に達成するために必要な措置を定めたものです。
同計画では、「都市緑化等の推進」について、以下のような内容が位置付けられています。

1) 地方公共団体の基本的役割として、地方公共団体実行計画に都市における緑地の保全及び緑化の推進等の施策を定め、取組を推進すること

2) 国民の基本的役割として、緑化運動等の温暖化対策活動への積極的な参加に努めること

3) 都市公園の整備等による緑地の確保、公共空間・官公庁等施設の緑化、緑化地域制度の活用等による建築物敷地内の緑化等、 地域全体の地表面被覆の改善や水と緑のネットワーク形成等ヒートアイランド対策による熱環境改善を通じた都市の低炭素化を進めること

4) 都市緑化等は、国民にとって、最も日常生活に身近な吸収源対策であり、その推進は、 実際の吸収源対策としての効果はもとより、地球温暖化対策の趣旨の普及啓発にも大きな効果を発揮すること

5) 都市緑化等については、京都議定書に規定する吸収源であり、都市公園の整備、道路、河川・砂防、 港湾等における緑化、建築物の屋上等の新たな緑地空間の創出を積極的に推進すること

6) 都市緑化等の意義や効果を国民各界各層に幅広く普及啓発するとともに、市民、企業、 NPO等の幅広い主体の参画による都市緑化や緑化施設整備計画認定制度や立体都市公園制度の活用など、 多様な手法・主体による市街地等の新たな緑の創出の支援等を推進すること

7) 都市緑化等における吸収量の報告・検証体制の整備を引き続き計画的に推進すること  等


(3) 都市緑化等による温室効果ガス(CO2)の吸収量の推計
都市緑化等の吸収量については、COP10で決定した国際的指針(LULUCF-GPG)に即し算定した結果、 2010年度末において74万t-CO2が確保されると推計しており、京都議定書目標達成計画に位置づけられています。

CO2の吸収量の推計の画像


    
 
下線部は各項目の表題等)
 
第3章 目標達成のための対策と施策
第1節 国、地方公共団体、事業者及び国民の基本的役割
2.「地方公共団体」の基本的役割
(1)地域の特性に応じた対策の実施
地球温暖化対策推進法の改正により、都道府県並びに指定都市、中核市及び特例市において、地方公共団体実行計画に太陽光、 風力等の利用の促進、その区域の事業者又は住民の温室効果ガス排出抑制等に関する活動の促進、公共交通機関の利用者の利便の増進、 都市における緑地の保全及び緑化の推進、廃棄物等の発生の抑制の促進等の施策を定める取組を推進する。

3.「事業者」の基本的役割
(1)創意工夫を凝らした取組
それぞれの事業者が創意工夫を凝らしつつ、事業内容等に照らして適切で効果的・効率的な地球温暖化対策を幅広い分野において自主的かつ積極的に実施する。 また、省CO2型製品の開発、廃棄物の減量等、他の主体の温室効果ガスの排出の抑制等に寄与するための措置についても可能な範囲で推進する。

4.「国民」の基本的役割
(2)地球温暖化対策活動への参加
地球温暖化問題への理解を更に深めるとともに、3R(廃棄物等の発生抑制、資源や製品等の循環資源の再使用・再生利用)推進の国民運動、 森林づくりなどの緑化運動等の温暖化対策活動への積極的な参加に努めるなど各主体との連携した取組を実施する。

第2節 地球温暖化対策及び施策
1.温室効果ガスの排出削減、吸収等に関する対策・施策
(1)温室効果ガスの排出削減対策・施策
①エネルギー起源二酸化炭素
ア.低炭素型の都市・地域構造や社会経済システムの形成
A.低炭素型の都市・地域デザイン
○緑化等ヒートアイランド対策による熱環境改善を通じた都市の低炭素化
    (中略)
また、地表面被覆の人工化による蒸発散作用の減少や地表面の高温化の防止・改善等の観点から、 都市公園の整備等による緑地の確保、公共空間・官公庁等施設の緑化、緑化地域制度の活用等による建築物敷地内の緑化、 湧水や下水再生水等の活用、路面温度上昇抑制機能を有する舗装材の活用、保水性建材・高反射率塗装等の技術の一体的導入、 民有緑地や農地の保全等、地域全体の地表面被覆の改善を図る。
さらに、冷気の発生源となる緑の拠点の形成・活用や、緑地・水面等の風の通り道の確保等の観点から、 都市に残された緑地の保全、屋上・壁面緑化等の施設緑化、都市公園の整備、公園、道路、河川・砂防、港湾、 下水道等の事業間連携等による水と緑のネットワーク形成等の推進、環境負荷の小さな都市の構築の推進により、都市形態の改善を図る。

(2)温室効果ガス吸収源対策・施策
②都市緑化等の推進
都市緑化等は、国民にとって、最も日常生活に身近な吸収源対策であり、その推進は、実際の吸収源対策としての効果はもとより、 地球温暖化対策の趣旨の普及啓発にも大きな効果を発揮するものである。
都市緑化等については、京都議定書第3条4の対象である「植生回復」として、 森林経営による獲得吸収量の上限値である1,300万t-C(4,767万t-CO2、基準年総排出量比約3.8%)とは別枠で、 吸収量を計上することが可能である。
このため、「緑の政策大綱」や市町村が策定する「緑の基本計画」等、国及び地方公共団体における緑の保全、 創出に係る総合的な計画に基づき、引き続き、都市公園の整備、道路、河川・砂防、港湾、下水処理施設、 公的賃貸住宅、官公庁施設等における緑化、建築物の屋上等の新たな緑化空間の創出を積極的に推進する。
この一環として、都市緑化等の意義や効果を国民各界各層に幅広く普及啓発するとともに、 市民、企業、NPO等の幅広い主体の参画による都市緑化や緑化施設整備計画認定制度や立体都市公園制度の活用など、 多様な手法・主体による市街地等の新たな緑の創出の支援等を積極的に推進する。
これらの対策が計画通り実施された場合、第1約束期間において年平均で対基準年総排出量比0.06%(74万t−CO2)程度の吸収量が確保されると推計される。
また、都市緑化等における吸収量の報告・検証体制の整備を引き続き計画的に推進する。

2.横断的施策
(6)国民運動の展開
◯情報提供・普及啓発
    (中略)
吸収源対策としての緑化の重要性を広く普及啓発するため、みどりの月間、都市緑化月間等における国民的緑化運動の展開、 緑の募金や都市緑化基金の活用等による民間の森林づくりや緑化活動の促進など、国民参加型の緑化運動を展開する。

◯環境教育等
    (中略)
また、地球温暖化防止に係る森林の機能や森林の整備と木材資源の循環的利用の必要性、 都市緑化の意義等に対する理解を深めるため、森林内や公園緑地等での様々な体験活動などを推進する。

第3節 特に地方公共団体に期待される役割
1.総合的・計画的な施策の実施
   (中略)
具体的には、各地で創意工夫を凝らし、温室効果ガスの排出削減に資する都市・地域整備、社会資本の整備、 地域資源を活かした新エネルギー等の導入、木材資源の積極的利用等の推進、森林の保全及び整備並びに木材・木質バイオマス利用、 緑化運動の推進等を盛り込むことが想定され、他の地域の模範となるような先進的なモデル地域づくりが各地の創意工夫で進められ、 それが他の地域に波及することが期待される。

第4章 地球温暖化対策を持続的に推進するために
第1節 京都議定書目標達成計画の進捗管理
3.定量的評価・見直し方法の概略
(1)温室効果ガス別その他の区分ごとの目標に関する評価方法
②吸収源の活用の評価方法
京都議定書において算定の対象となる第1約束期間における吸収量について、 評価を行う年までの適切に整備された育成林や保安林など保護・保全措置が講じられた天然生林ごとの森林面積、 各種森林施業の面積、公共公益施設等における高木植栽面積等から、吸収量に関する最新の科学的知見を基に推計し、評価する。

【ヒートアイランド対策大綱(平成16年3月30日ヒートアイランド対策関係府省連絡会議決定)】
第1 はじめに
第2 ヒートアイランド現象の現状<略>
第3 基本方針
第4 ヒートアイランド対策の推進
1.人工排熱の低減 <略>
2.地表面被覆の改善
<目標>
緑地・水面の減少、建築物や舗装などによって地表面が覆われることによる蒸発散作用の減少や地表面の高温化を防ぐため、地表面被覆の改善を図る。
(具体的施策の業績指標)
・都市域における水と緑の公的空間確保量
平成19年度までに約1割増  12 u/人(平成14年度)→13 u/人(平成19年度)

【具体的施策】
1) 民間建築物等の敷地における緑化等の推進
○ 都市緑地保全法等の改正により、都市計画に定められた緑化地域内において、大規模な敷地の建築物を対象に、 敷地の一部の緑化を義務づける緑化地域制度等を創設するとともに、(中略)緑化施設整備計画認定制度を推進することにより、 市街地の大半を占める民有地の緑化の推進を図る。
2) 官庁施設等の緑化等の推進<略>
3) 公共空間の緑化等の推進<略>
4) 水の活用による対策の推進<略>
3.都市形態の改善 【具体的施策】
<目標>
都市において緑地の保全を図りつつ、緑地や水面からの風の通り道を確保する等の観点から水と緑のネットワークの形成を推進する。 また、長期的にはコンパクトで環境負荷の少ない都市の構築を推進する。

1) 水と緑のネットワーク形成の推進
○ 緑の拠点の形成、公園、河川、道路、下水道等の事業間連携などにより、広域的視点に基づく水と緑のネットワーク形成を推進する。 平成16年には、首都圏における都市環境インフラ整備の基本方針となる「首都圏の都市環境インフラのグランドデザイン」を策定するとともに、 近畿圏においても、都市環境インフラのグランドデザインの策定に向けた検討を実施する。 また、水と緑のネットワーク形成による効果の検証やNPOや各事業者間等の連携の方策等について、更に検討を進める。
○ 都市緑地保全法等の改正により、下記新規制度の創設等を実施。都市に残された緑地について、一層の保全を図る。
現状凍結的な緑地保全地区制度に加え、都市近郊の緑地を対象として緑地保全地域を創設し、建築物の新築、木竹の伐採等について届出制を導入。 併せて土地の所有者等と地方公共団体等の協定により緑地を良好に管理する仕組みである管理協定制度を緑地保全地域にも導入する。
地区計画等の区域内の樹林地・草地等について、条例で、木竹の伐採等について許可制とすることができることを可能とする。
首都圏及び近畿圏の近郊緑地を対象とする近郊緑地保全区域についても、 土地の所有者等と地方公共団体等の協定により緑地を良好に管理する仕組みである管理協定制度を導入する。 また、近郊緑地保全区域の新たな区域の指定を実施する。
2) 環境負荷の小さな都市の構築に向けた都市計画制度の活用の推進<略>
4.ライフスタイルの改善<略>
第5 観測・監視体制の強化及び調査研究の推進<略>
1.観測・監視と実態把握
2.原因・メカニズム・影響に関する調査研究
3.計画的な施策展開のための調査研究
4.その他

■3. 生物多様性保全対策
「生物多様性国家戦略2010」(平成22年3月16日閣議決定) (pdf,903KB)における公園緑地等の位置づけ
「生物の多様性に関する条約」(1992年採択、1993年12月29日発効)第6条において、 条約締約国は「生物の多様性の保全及び持続可能な利用を目的とする国家的な戦略若しくは計画」を作成することが求められており、 我が国では、1995年に初の国家戦略を決定しました。その後2002年、2007年と見直しが行われてきましたが、 2008年に制定された「生物多様性基本法」(平成20年法律第58号)の第11条において 「政府は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する基本的な計画を定めなければならない。」とされたことを受け、 2010年3月に同法に基づく初の国家戦略として「生物多様性国家戦略2010」(平成22年3月16日閣議決定)が決定されています。
同計画では、「公園緑地等」は、以下のように位置づけられています。

生物多様性国家戦略2010(平成22年3月16日閣議決定)(抄)

第1部 生物多様性の保全及び持続可能な利用に向けた戦略
 第3章 生物多様性の保全及び持続可能な利用の目標
  第2節 生物多様性から見た国土のグランドデザイン
   3  国土の特性に応じたグランドデザイン
     (3) 都市地域
第2部 生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する行動計画
 第1章 国土空間的施策
  第2節 重要地域の保全
   7  特別緑地保全地区など
     7.1 特別緑地保全地区など
  第7節 都市
   1  緑地の保全・再生・創出・管理に係る総合的な計画の策定
     1.1 緑の基本計画
   2  緑地、水辺の保全・再生・創出・管理に係る諸施策の推進
     2.1 都市公園の整備など
     2.4 緑地保全地域、特別緑地保全地区
     2.5 近郊緑地保全区域、近郊緑地特別保全地区
     2.6 歴史的風土保存区域、歴史的風土特別保存地区
     2.7 風致地区
     2.8 市民緑地
     2.9 生産緑地地区
     2.10 屋敷林、雑木林などの保全
     2.11 民有地における緑の創出、屋上緑化・壁面緑化の推進
   3  緑の保全・再生・創出・管理に係る普及啓発など
     3.1 緑に関する普及啓発の推進
 第2章 横断的・基盤的施策
  第3節 普及と実践
   3  自然とのふれあい
     3.1 自然とのふれあい活動の推進
     3.2 自然とのふれあいの場の提供