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河川局

平成15年度河川局関係予算概要

I.平成15年度河川局関係予算の概要

2.事業連携、ハード・ソフトの連携、既存ストックの有効活用等

(1) 事業連携・融合

○ 防災情報の集約
 防災関係機関をはじめ広く一般の国民が、分かり易い気象・災害情報を手軽に入手し、活用することができるように、関係機関が共管で「防災情報提供センター(仮称)」を設け、気象や災害などに関する情報(水文・水質データ、道路管理用雨量データ、過去の長期にわたる気象観測データ及び災害事例等)を、光ファイバーネットワーク等を活用して集約し提供する。

防災情報提供センター(仮称)と光ファイバーネットワークによるワンストップサービスの実現

○ 水辺都市再生
 首都圏等の大河川沿いの木造密集市街地など、治水・都市防災の観点から整備の必要性の高い既成市街地を、安全・安心な水辺都市に転換するために、市街地整備と連携を図って高規格堤防整備を推進する。

○ 総合的な都市水害対策の推進
 浸水被害の著しい都市部の河川の流域において、河川管理者と下水道管理者が共同で計画を策定。本計画に基づき、河道から離れた雨水貯留浸透施設の河川管理者による整備、大雨時において浸水被害を最小化するための効率的な排水ポンプの運転調整ルールの確立、適切な役割分担の下で、施設整備を促進する仕組みを創設するなどにより、総合的な都市水害対策を実施する(これらを法制化する「特定都市河川水害対策法案(仮称)」を通常国会に提出予定)。

○ おいしい安全な水の確保
 河川事業と下水道事業等が連携して行動計画を策定し、水量・水質を改善する「清流ルネッサンスU」を推進するとともに、河川事業と下水道事業の連携による初期降雨時の汚濁した雨水排水の処理や、重要湖沼において河川部局・農政部局及び関係者等が共同で策定した湖沼水質保全対策行動計画に基づいた浄化対策により、おいしい安全な水を確保する。

○ 省庁横断的な連携による自然再生事業の推進
 環境省や農林水産省等と連携し、河川の蛇行復元や河畔林・渓畔林等の整備、乾燥化傾向にある湿地の再生等の対策を行う自然再生事業を推進する。

○ 市民との連携による河川の維持管理活動の推進
 地域の特色にあふれたきめ細やかな水辺環境の保全を行うため、各地で活動する市民団体、NPO等の持つ知識や情報等を共有し、幅広く活用できる人材バンクの仕組みについて検討を進めるとともに、河川管理者との協定に基づき、地域住民や市民団体、NPO等が積極的に参加した河川の清掃、草刈り等の維持管理活動の推進を図る。

市民による清掃活動の実施状況(旭川(岡山県))
【市民による清掃活動の実施状況(旭(あさひ)川(岡山県))】
○ 水源地域ビジョンの策定・推進
 ダムを活かした地域活性化を図るため、ダム周辺の自治体や住民等が共同で策定する水源地域ビジョンの支援等を、河川局、土地・水資源局、都市・地域整備局が連携して実施する。

○ 「子どもの水辺」再発見プロジェクトの推進
 文部科学省、環境省と連携し、各地域における市民団体、NPO、教育関係者等と河川管理者が一体となって水辺における子どもたちの環境学習、自然体験活動を推進するとともに、必要に応じ「水辺の楽校プロジェクト」により水辺の整備を実施し、活動の充実を図る。

(2) ハード・ソフトの連携

○ ハザードマップ整備の推進
 整備水準を上回る災害の発生時にできるだけ被害を減じるとともに、あらかじめ災害の発生に備えるために、被害想定区域や避難経路などを示す、洪水・高潮・津波・土砂災害・火山ハザードマップの整備を促進する。
 特に火山については、時々刻々と変化する火山現象に応じて影響範囲等をGIS上でリアルタイムに予測する『リアルタイムハザードマップ』を整備する。
リアルタイムハザードマップの整備
【リアルタイムハザードマップの整備】

○ 東南海地震等大規模地震防災対策の推進
 今後発生が懸念される東南海地震等は海溝型地震の中でも大規模であることが想定され、発生した場合には国民の生命、財産等に重大な被害を広範囲に渡って及ぼすおそれがある。
 このことを踏まえ、地震に伴い発生が想定される津波対策等として、
・海岸保全施設の新設、耐震性の向上や応急復旧に資する施設等の整備
・津波の観測や的確な情報収集・伝達や避難誘導を可能とする防災情報システム等の整備
・地方公共団体が策定するハザードマップの作成支援
等、ハード・ソフトの両面から強力に推進していく。

津波対策のイメージ
【津波対策のイメージ】

(3) 既存ストックの有効活用

 貯水池容量の効率的な再配分等既存ダムの徹底活用により、洪水調節効果の増強による洪水リスクの軽減、水量回復による河川環境の改善など治水・利水機能を向上。

(4) コスト縮減

 平成12年9月に開催された「公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議」において、平成12年度以降の政府の新たな「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」が策定され、国土交通省においても平成13年3月に新行動指針を踏まえた「公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」を策定し、直接的な工事コストの低減等を推進してきた。
 今後は、コスト縮減の観点から公共事業のすべてのプロセスを例外なく見直し、従来からの工事コストの縮減に加え、事業のスピードアップによる事業便益の早期発現や将来の維持管理費の縮減を含めた総合的なコスト縮減対策を推進する。

<コスト構造改革の取り組み事例>
区分 事例 コスト縮減効果
規格の見直し ・地震時の安定検討の見直し(動的変形解析の採用)により高規格堤防地盤対策工事のコスト縮減を図る。

(モデルケースによる工事費の試算例)
・約1割のコスト縮減
・見直し前 約90億円
  →見直し後 約80億円
・グラウチング(ダム基礎地盤の遮水性の改良)実績に基づいた合理化を行うために、グラウチング技術指針を見直し、コスト縮減を図る。
H15年度から同指針の本格運用を実施予定。
(H14試行のモデルケースによるグラウチング工事費の試算例)
・約3割のコスト縮減
・旧指針 約7.4億円
  →新指針 約5.1億円
・工期短縮 約6ヶ月
・大水深の駿河海岸において有脚式離岸堤を採用することにより、コスト縮減を図る。 ・有脚式離岸堤と同規模の従来型(ブロック)離岸堤との工事費の差分
 約1億円のコスト縮減
ライフサイクルコストの低減 ・高耐久性塗装により施設の維持管理として必要な塗装回数を減らすことによるライフサイクルコストの縮減を図る。 (モデルケースによる工事費の試算例)
・40年間で約3割のコスト縮減
・従来塗装 約1,500万円
  →高耐久性塗装 約1,100万円
・大水深の駿河海岸において、有脚式離岸堤の採用により、維持管理コストの縮減を図る。 ・50年間の有脚式離岸堤の維持管理費と、従来型(ブロック)離岸堤の維持管理費の差分
 約1,000万円のコスト縮減
事業のスピードアップ ・河川事業において短期集中型事業の導入により重点投資を行い、工期短縮及び治水効果の早期発現を図る。 (実績による1年当たりの試算)
・1年あたり約300億円に相当する事業便益の早期発現が得られる。

※ 短期集中型事業の平均的な工期、工期短縮期間、事業便益から1年当たりの事業便益の早期発現分を算出し試算。
工事コストの低減 ・当該工事現場で発生するコンクリート殻や他工事で発生した発生土及び発生材料(連接ブロック等)の有効活用(再利用)により工事コスト縮減を図る。 (H15年度完成予定の堰において事業費のトータルコスト縮減額を試算)
・約13%のコスト縮減
・従来工法 約530億円
 →各種コスト縮減策の採用 約460億円
・樋管のプレキャスト化に伴う仮設経費(仮締切)等のコスト縮減及び工期の短縮を図る。 (モデルケースによる工事費の試算例)
・約14%のコスト縮減
・現場打コンクリート構造 約7.3億円
  →プレキャスト構造 約6.3億円
・工期短縮 約90日間
・漏水対策工事において途中に固い地層(玉石混り土 N値=50以上)が存在する箇所では、工事コスト縮減を図るためにTRD工法(ソイルセメント地中連続壁工法)を採用する。 (モデルケースによる工事費の試算例)
・約5割のコスト縮減
・従来(矢板)工法 約11億円
  →TRD工法 約5.4億円
・現場発生土を活用する砂防ソイルセメントを採用することにより工事コスト縮減を図る。 (過去の実績による床固工1基当り工事費の縮減額)
・約14%のコスト縮減
・従来工法 約8,500万円
  →砂防ソイルセメント適用 約7,300万円
・一連の海岸において、港湾、漁港等における機能増進のための浚渫土砂等を活用した海岸侵食対策を実施。 (過去の実績による工事費の縮減額)
・約1億円のコスト縮減

新工法(TRD工法)の導入事例

(5)PFI事業に関する取り組み

 民間の資金、技術を活用するPFIの治水事業等への適用を図るために、以下のような事例を含めて、広く民間事業者等へ聞き取り調査等を行い、検討を行っているところ。

PFIを活用した流域調節池整備(案)


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