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記者発表

「底質のダイオキシン類対策技術資料集」のとりまとめについて

平成19年4月13日
河川局河川環境課

○食物連鎖を通じた生物への蓄積や長期間の摂取による生物への悪影響が懸念されるダイオキシン類による河川、湖沼の底質の汚染について、平成11年より実施している国土交通省及び地方公共団体の調査で、22河川において、底質のダイオキシン類の環境基準(平成14年告示)を超える汚染が確認されています。

○汚染が確認された河川では、それぞれ河川管理者等が主体となって、対策に向けた検討が行われていますが、平成15年度時点では、対策工法については安全かつ経済的に処理できる技術が十分には確立されていない状況でした。

○このため、国土交通省河川局では、平成16年度より、「底質ダイオキシン類対策技術検討委員会(委員長:楠田哲也北九州市立大学大学院教授)を設置し、主要な底質ダイオキシン類対策技術である分解無害化処理技術(注1)、原位置固化処理技術(注2)、覆砂処理技術(注3)について、現地試験等を実施し、各技術の実用化に向けた検討を行ってきました。

○今般、平成16年度から平成18年度までの3ヵ年にわたる検討の成果として、各技術の効果、処理に伴う周辺環境への影響の有無等を評価し、「底質のダイオキシン類対策技術資料集」(詳細は下記URL参照)としてとりまとめましたのでお知らせします。
今後は、本書を踏まえて、ダイオキシン類に汚染された底質の対策を促進していく予定です。


 本書掲載(平成19年5月修正)
 https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kankyo/press/200701_06/070413-1/pdf/070413-1shiryou.pdf

本件担当
国土交通省 河川局河川環境課
課長補佐 岡 下  淳 (内線:35452)
係  長 増 田 大 美 (内線:35483)
 代表電話 03-5253-8111
 夜間直通 03-5253-8447

注1 河川から掘削除去した汚染底質に含まれるダイオキシン類を高温加熱や微生物の分解作用などにより分解して無害化する技術。
注2 汚染底質を移動することなく、セメント等の固化剤を混合して、原位置で固化することでダイオキシン類が周辺環境に拡散することを防ぐ技術。
注3 汚染底質を移動することなく、汚染箇所の表層を良質な砂で覆うことで、ダイオキシン類が周辺環境に拡散することを防ぐ技術。


1. これまでの経緯
 食物連鎖を通じた生物への蓄積や長期間の摂取による生物への悪影響が懸念されるダイオキシン類について、平成12年1月に施行された「ダイオキシン類対策特別措置法」を受け、ダイオキシン類による底質の汚染に係る環境基準が平成14年9月に定められた。平成11年度から国土交通省及び地方公共団体が全国的に実施している河川、湖沼の底質ダイオキシン類に係る調査の結果、22河川において、環境基準値を超える底質が認められ、その対策が緊急の課題となっている。
  そこで、国土交通省河川局では、平成15年6月に、ダイオキシン類に汚染された底質について、汚染範囲を確定するための調査、対策手法・工法の検討、工事実施中の環境影響の防止策の検討など対策を実施するための基本的な流れをまとめた「「河川、湖沼等における底質ダイオキシン類対策マニュアル」を作成した。
 このマニュアル等に基づき、汚染が確認された各河川では、それぞれ河川管理者等が主体となって、対策に向けて具体的な検討が行っているが、主要な底質ダイオキシン類対策技術である分解無害化処理技術(注1)、原位置固化処理技術(注2)、覆砂処理技術(注3)のうち、平成15年度時点では、分解無害化処理技術、原位置固化処理技術については、施工実績がなく、安全かつ経済的に処理できる技術は確立されていない状況であり、綾瀬川(管理者:関東地方整備局)で試験的に実施された覆砂処理技術による対策のみとなっていた。
  このため、国土交通省河川局では、平成16年度より、学識経験者で構成する「底質ダイオキシン類対策技術検討委員会(表1参照)」を設置し、図1に示すような現地試験等を実施して、各技術の実用化に向けた検討を行ってきた。
 今般、平成16年度から平成18年度までの3ヵ年にわたる検討の成果を、「底質のダイオキシン類対策技術資料集」としてとりまとめた。

表1 底質ダイオキシン類対策技術検討委員会 委員名簿(平成19年3月時点)
  氏名 所属・役職
委員長 楠田 哲也 北九州市立大学大学院国際環境工学研究科教授
委員 鈴木 譲 独立行政法人土木研究所水環境研究グループ上席研究員
委員 細見 正明 東京農工大学工学部化学システム工学科教授
委員 益永 茂樹 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授
委員 村岡 浩爾 大阪産業大学人間環境部教授
図1 河川局のこれまでの取り組み
図1 河川局のこれまでの取り組み


2. 底質のダイオキシン類対策技術資料集の目的
 本書は、河川、湖沼における底質ダイオキシン類対策を適正かつ円滑に実施していくための資料集として作成した。現状におけるダイオキシン類の無害化・拡散抑制の対策技術について、処理の効果、処理に伴う周辺環境への影響の有無、経済性、施工性等を客観的かつ詳細に技術評価を行った結果を整理している。

3. 底質のダイオキシン類対策技術資料集の構成
第1章 総則
 本書の目的、これまでの対策の経緯、関連する法令等についてとりまとめた。

第2章 対策の基本的考え方
 汚染底質の特徴と対策の基本的考え方をとりまとめた。

第3章 対策技術の概要
 分解無害化処理技術、固化処理技術、覆砂処理技術等の概要をとりまとめた。

第4章 分解無害化処理技術の検証
 公募により選定した技術の分解無害化処理実証試験(8技術)の概要・実用化試験(3技術)の概要、試験結果及び結果に対する評価をとりまとめた。

第5章 原位置固化処理技術の検証
 横十間川において実施した原位置固化処理試験の概要、結果及び評価をとりまとめた。

第6章 覆砂技術の検証
 神崎川及び綾瀬川において実施した実証試験の概要をとりまとめた。

4. 今後の予定
 本書を河川等において、底質のダイオキシン類対策に取り組む地方公共団体等に配布し、ダイオキシン類に汚染された底質の対策を促進していくこととしている。
 なお、本書は、底質のダイオキシン類対策技術に関する今後の研究実績の蓄積や新技術の開発動向などを踏まえて、引き続き改定を行うこととしている。

<参考 底質のダイオキシン類の環境基準を超えた汚染が見つかった河川>
河川管理者 河川名
関東地方整備局 綾瀬川
宮城県 長沼
埼玉県 伝右川、古綾瀬川
東京都 横十間川、北十間川
山梨県 濁川
静岡県 巴川
大阪府 住吉川、東横堀川、道頓堀川、古川、恩智川、尻無川、神崎川、平野川、正蓮寺川、木津川、六軒家川
和歌山県 山田川、和歌川、有本川





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