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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第3回豪雨災害対策総合政策委員会
(議事録)


2.議事
(1)今後取り組むべき具体的施策について

(委員長) ○○でございます。本日は、委員の皆様にはご多用中のところ出席いただきまして、まことにありがとうございます。それでは議事に入ります。
 まず、前回の委員会、11月29日開かれたわけでございますが、それまでに年末を目指して予算等のこと等もございまして緊急提言をお願いしておりました。11月29日のこの場で皆様の議論を集約いたしまして、私に緊急提言の最終版についてはお任せいただきました。その後、皆様のご了解を得た上で、12月2日にとりまとめをいたしまして、12月3日に緊急提言を公表した次第でございます。事務局においては、その後、これに基づきまして、行政側からアクションプランを作成いたしました。これらの経緯につきまして事務局から説明を受けた後、今後、取り組むべき具体的な施策について審議を行いたいと思います。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
(事務局) 事務局の○○でございます。座ってご説明をさせていただきます。
 今、委員長のほうからお話がございましたように、おまとめいただきました緊急提言のほうは資料1のとおりでございます、事前にお送りをしておりますとおりでございます。それから、今お話がありました中に、資料2のほうはそれを受けまして、行政としてどうするということで、国土交通省としての緊急アクションプラン、具体的な期間、数値目標を入れましたものをまとめましたものが資料−2でございます。細かいところはごらんいただきたいと思いますが、それらのエッセンスが参考資料−1ということで、A3判の横長のものを用意してございます。参考資料をちょっとごらんいただきますと、全体の提言の中身に沿いましてちょっとまとめております。一番最初に今年の災害の特徴と新たな課題、それからこれを踏まえてどういうふうにしていくかというので、真ん中にオレンジの欄がございますように、ソフトも一人前にきちんと取り扱った減災体制の確立というのが一つ、それから2番目は、ハードのほうも多様な整備手法、既存施設の有効活用など、質的な改善を図っていくということでございます。
 次のページをちょっとお開きいただきますと、これは今の緊急提言のお話と、それから行政のほうでそれを年次計画も含めてどうするかということをあわせて記述したものが次の紙でございまして、緊急提言としてはどちらかというと情報その他のところが中心でございますが、一番上は緊急時の災害時の情報ということで、送り手情報から受け手情報ということで、左側がこれまでなのでございますが、右側のように、例えば洪水予測等につきまして、大河川で大体1時間間隔でやっておりましたものを、具体的な緊急アクションプランの中では気象庁の降雨ナウキャストというものも活用いたしまして、できる限りの情報を出していこうと。それから情報の中身も、災害を実感できる情報ということで、氾濫域の浸水情報を、3年間でまずは国が管理しています河川のほうから始めたい。それから土砂災害のほうも前兆現象の情報を400市町村での実施を3年間で確立していきたい。それから、洪水時の情報につきまして、リアルタイムでの公表を17年度からやるとか、いろんな国土交通省等が持っております施設の開放等もしていこうということであります。
 2つ目が平時からの情報ということで、ハザードマップもしくはそれの前段となります、どういうふうに浸水が想定されるかという浸水想定区域図につきましては、これまで左側にありますように国が管理しています大きな川を中心に整備されてきておりますが、昨年の新潟や福井のように中小河川でも堤防があったり、周りに市街地が広がっているような川につきまして、右側にございますように浸水想定区域をつくっていただこうと。これは洪水予報というものがしっかりできていない川でも、最低限の必需品として、どういうふうにあふれたら、どんなところが水に浸かるかという図、それから、それをもとにした市町村での防災情報も含めましたハザードマップというものを目標数値も掲げてございますが、この5年間くらいで刈谷田川とか足羽川みたいな川につきましてはつくっていこうと。
 ここは今、水防法という法律で何とか義務化をすべく検討をしているところでありますし、右側にございますが、単に義務化だけではなく、財政的にもちゃんとそういった調査の費用、作成の費用もこの法律の中で制度化をお願いしようと。予算的には今、昨年の政府原案の中では一応、そういう作成費用、調査費用につきましての予算も財務省原案からの内示としては認めていただいております。こういうものをもとに、5年間ぐらいで整備したいと。それから、その他、避難場所の全面的見直しですとか、大きく3つ目には防災施設の機能の維持向上ということで、整備状況等を、これはたまたま三位一体のいろんなご議論もございましたので、特に河川は国が管理していますところ、県が管理していますところをあわせて、水系全体でどういうところがどこまで整備されているか、どういうところをちゃんとしないといけないかということを調査、評価、公表するということを17年度から始めたいとしております。
 また、堤防もいろいろご議論ございましたが、質的強化、それからダムも降雨が予測されて、必ず回復するというようなことがわかる分だけでも、事前の予備放流についてやっていこうと。それから一番下は地域の防災力ということで、最近の水防団が高齢化しましたり、少なくなっている中でNPOなどが水防活動もきちんとできるように、法律上の明確化を図ろうとか、地下空間がいろいろ浸水をして被害が出ておりますが、そういうものも地下空間の管理者の方にきちんとした避難計画等もつくっていただこうというようなことも法律等で今、具体化をしております。
 いずれにしましても、いろいろいただいた提言は単にご提言ということでなくて、着実に具体化を図ろうということで行政的にも取り組んでおります。
 それから参考資料−2でございますが、これはこの提言とあわせまして、私ども河川管理者としましても、例えば地方整備局が今どのようになっていて、どう対応していかないといけないかということを、いろいろ地方整備局長等でもご議論いただいております。そういうアウトプットもちょっと参考資料−2ということでつけさせていただいております。市町村への支援体制の確立であるとか、情報把握のためのヘリコプターの整備だとか、紺屋の白袴みたいであれでございますが、高潮で四国の地方整備局なんかの建物も水に浸かって、発電機も動かなかったとか、いろんなこともございますので、危機管理体制、そういった面でもちゃんと機能するようにやるというようなこと等が、この中で整備されてございます。
 それから、参考資料−3は来年度の予算の概要というものを、これは毎年つくっているものでございますが、くどくどしたご説明は申し上げませんけれども、緊急に提言を出していただきましたものをなるべくきちんと反映をいたしまして、予算制度としても、先ほど申し上げましたようなハザードマップの作成等々も含めてでございますが、対応するというようにしてございますので、また後でごらんいただければと思います。
 簡単な説明で恐縮でございますが、以上ご説明申し上げました。
(委員長) ありがとうございました。
 ただいまの説明について、ご質問・ご意見ございましたら、ご発言をお願いいたします。
 それでは審議の時間を確保する意味もございまして、後ほどご質問等がございましたら、またその段階でお願いすることにいたします。
 続きまして、今後取り組むべき具体的施策について事務局より説明をお願いいたします。
(事務局) それでは続けて、資料に基づきましてお話をさせていただきます。
 本日の議論のメーンの部分でございますが、ちょっと資料−3をごらんいただきたいと思います。ご案内のことではございますが、11月の終わり、12月の初めにまとめていただきました提言の中にも書いていただいておりますけれども、それが左側のほうが今後の対策の基本的方向ということで、一番上が緊急時、災害時の情報を受け手情報として展開していこうと。2番目が、そのために平常時からちゃんとした防災情報の共有、3つ目が減災を図るというようなことで、これまでつくりましたものも含めて防災施設機能の維持向上、それから危機管理体制というものをしっかりしておこう。これがすべて減災ということで進めていこうと。それから4つ目が、いろいろな災害がございましたが、早期に安全度を高めていこうということであれば、従前ですと目標の設定を少し高めまして、それに向かって整備をしていくという手順でございました。必要なところはそれをきちっとやっていくわけでございますが、早くいろいろな安全度を高めていこうとしますと、従来の手法にこだわらない計画、整備の手法というものを考えてはどうかと。それから5つ目は、地域の防災対応力というものがいろいろ社会も変化してきてございます。この中でどうしていくかと。その他というものでございます。
 真ん中の黄色いところが緊急的な対応ということで、先ほどの緊急提言の中でもご紹介させていただきましたような部分でございますが、この前の緊急提言の中に、一番右側の引き続き検討すべき施策というものをご提示いただいております。一番上が、避難勧告等の発令基準の明確化、これは内閣府、消防庁と共同で今、別途やっております委員会等の関係で、本日は用意してございませんが、2以降につきまして、本日、少し論点の整理をお願いできればと思っております。2が、避難勧告等の情報を入手していない状況下でも的確な判断・行動につながる災害状況等の情報の提供、○○先生が再三おっしゃっておりますが、管理社会というか、何でも待っていれば市町村から避難勧告の情報が出るとか、そういうのはもし伝わらないとか、いろんなことがありました場合、非常に弱いということ。それからまた、実際、避難勧告等が出ました場合でも、周辺の状況がわかっていただいているかどうかで的確性が違うということです。3が、管理水準の区分設定と管理内容の基準化というので、管理というものにつきまして、もう少し精緻化をして、めり張りのあるしっかりしたものにしていくべきではないか。4が整備途上段階でも被害の最小化を図る危機管理体制ということで、大きな外力があって壊れたりすることがあるわけでございますから、壊れた場合ということに対しての備え方をしておくべきだと。6というのが、土地利用状況に応じた異なる安全度の設定や施設整備にかわる住宅等の移転など、従前の計画論にこだわらない多様な整備手法ということでございます。それからまた土砂災害、その後の中越地震なんかでも災害で孤立化がいろいろ問題になりました。そういうものに対する施設整備。8が、水防団等の水防技術の向上、それから被災者支援センター設立の支援、こういうことに対して河川や土砂災害行政等も支援をしていくべきではないか。それから防災教育の分野。それから一番下は大規模な自然災害等がこれからまたいろいろ発生しました場合の調査検討体制ということで、引き続き提言ということでいただきました。
 これらにつきまして本日お願いをしたいことは、掲げられました事項につきましての論点みたいなものも資料−4、それから資料−5のほうにはそれの若干の参考資料をつけてございます。これについてご意見を賜れましたら、次はそういうことをもとに一つの報告書の案みたいなものを整備していければと思ってございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、本日はこの論点で書きましたことだけ挙げましたが、これ以外も何かあればぜひ、これに限らずご意見をいただきましたら、先ほどのように報告書の案の中でうまく整理をさせていただければと思っております。
 それでは、資料−4と資料−5もちょっと見ながら資料−4を中心にお話しさせていただきます。時間の関係もありますので、雑駁な説明になるかもしれませんが、よろしくお願いします。
 まずめくっていただきまして1ページでございますが、避難勧告等の情報を入手していない状況下でも的確な判断・行動につながる災害状況等の情報の提供。先ほど申し上げましたように、いざというときには自分の身は自分で守るというようなことが防災の基本かなと思います。市町村長からの避難勧告の情報の伝達がないから避難しないというような受け身の対応というのは、防災上は極めて危険ではないか。それから、避難勧告等の情報が届いていない場合でも、住民がみずから判断・行動できるよう、自然現象、それから災害の状況、そういった全体の状況が把握できるようなことが重要なのではないか。また、避難勧告等が届いている場合でも、こういう情報がありますと、より的確な避難行動に寄与するのではないかという問題意識でございます。
 対応案として、一つは雨量や河川水位の経時変化とか、堤防の漏水状況など施設の状況、それから浸水・氾濫の拡大状況、周辺で現に土砂災害が発生している情報など、自然現象や災害の状況、その変化の程度を容易に認識でき、事態の緊急性が理解できる情報というものを何とか出せないだろうか。
 2つ目でございますが、やはりこういったことはビジュアル化された情報、映像みたいなものがやはり力が大きいということもありますので、そういった情報を中心に、それにいろいろな意味とか、どうしたらいいかというようなことをつけ加えるようなことが有効ではないか。一番下の丸でございますが、これは若干、方法論になっておりますが、こういった情報をあらゆる手段で伝達することを検討すべきかと思っております。CCTVカメラの設置、それから、そういうカメラはどこでもはつけられないのであれば、移動カメラのこと、それからヘリコプターからの映像などの情報のインの方の多元化、それから出します方もメディアへの配信を一部しておりますが、メディアへの配信、それからインターネットその他の媒体をいろいろ使った体系的なやり方を考えるというものでございます。
 説明資料で資料−5というのを横に置いてパッパッと開いていただければと思いますが、1枚めくっていただきまして1ページには、左側に現状というのがございます。例えば避難勧告なんかで、実際に伝えられている中身というのは、左側の白抜きのところに書かれたようなものでございます。これに加えて右に幾つか例示等がございますが、出していくべきではないかというものでございます。
 次の第2番目のテーマでございます。資料−4本文の2ページの2番でございます。管理水準の区分設定と管理内容の基準化、これは問題認識のところでございますが、全体として被害の最小化を目指すということ、それから被害のことを考えますと、被害の大きさ、それから場合によっては被害を受けてはいけない施設といいますか、ダムだとか堰だとか、そういうものは絶対壊れてはいけないとか、そういう重要度なんかも考慮して、防御すべき重要な区域をきちんと管理するというようなことが重要じゃないか。施設の整備が進み、相当蓄積されてきておりますので、この中ではやはり今後の河川管理、既存施設のちゃんとした運用、活用というのが重要になってくるのではないかと思います。それから、こういうことを今回、きちっとしていこうということでありますが、こういうめり張りがある管理というのが、当然、予算面、管理体制の合理化にも資するものではないかと思っております。あと、すべての川ではございませんが、特に重要な河川については、治水・利水・環境上、常に変化するというような河川、斜面その他でございますので、こういった状況を監視して、あるべき水準に照らして評価し、その結果を踏まえて河川の機能を着実に改善するというサイクル型の構築が必要かと思います。
 対応案ということで、幾つか丸に挙げていますが、一番上の丸は、管理水準の区間の設定でございます。下に「・」が3つございますが、守られるほうのポテンシャル、人口・資産の集積状況、それから2つ目が洪水現象の大きさみたいなもの、それから3つ目が、破堤等が生じた場合の被害の大きさといいますか、被害の起こり方の大小みたいなもので、管理水準みたいなものを区分できないだろうか。区間で分けられないかというものであります。
 2つ目の丸は、これは区間で分けるというよりは堤防とか水門とか、そういう施設に着目して管理水準の設定があるべきではないかというものでありまして、災害時にも絶対壊れてはいけないもの、それから復旧の容易さから、ある程度、壊れても後で直せばいいものみたいなもの等を区分評価していくべきではないか。
 一番下の3つ目ですが、河川管理の内容としては、では、具体的内容としてはということで、河川管理というのは一体、何をしていくべきかという内容でございますが、ちょっと括弧に書きましたように、一つはやはり洪水は安全に確実に流下させると。それから2つ目、今の堤防等の施設が壊れない。3つ目が、水門だとか排水機場、ダムもそうかもしれませんが、緊急時に所要の機能をきちんと発揮させるといったことが通常の基本的な機能かと思われます。こういうものを確実に果たすということが管理そのものかと思います。これをうまくやるために、平時からの点検だとかの状況把握、それからそれに基づいて、また修繕とか改善を行うというものかと思われます。
 その下の丸でございますが、河川管理水準の基準化を今考えようということでございます。これは基準化というか、レベル設定でございますが、河川管理のレベルが違うというのはどういうことかというようなことを考えますと、今申し上げましたような河川の機能というものを、どの川も本来、要るわけでございますけれども、このような一連の、この「管理行為」というのはちょっと間違いかもしれません。管理の機能、川の機能をどこまで厳密に行うべきか。許容される幅があるものなのか。その幅をどう考えるか。例えば川の中に砂州がありまして、草木が生えるというのも、非常にシビアなものにつきましては、かなり厳密な管理をしないといけないと思うんですが、そうでないものについては、ある程度の幅が許容されると。そういったものを考えていくべきかなというものでございます。
 それからその次の丸、こういう管理水準を設定いたしました場合に、決め方のプロセスというもの、特にこういうことは地域の住民の方の安全性に直結するものでございますので、地域の合意形成とか理解ということのプロセスについても、しっかりと用意をしておく必要があるのではないかと思っております。
 一番下でございますが、もう一つ危機管理の面もこういう被害の程度、それから場合によりましては一部、弱部があれば、そういった面での管理水準というものを決める、危機管理上の水準も決めるべきではないか。この危機管理につきましても、先ほどのようなサイクルとしてチェックを行って改善をするという手法を用意しておく必要があるのではないかというものであります。
 ご参考までに説明資料の2ページには、管理といいましてもどういうことをやっているのかというので、今申し上げました機能のために、状況把握しか書いていないところがあってちょっと不十分ではございますが、2ページにはこういう川の様相で状況が変わってございます。右のほうの管理内容の一例と書いてあるのは、ほんとうはちょっと調べることしか書いていないので不十分ですが、左に幾つか分けておりますように、非常にたくさん周りに資産がある大きな川というのは密な点検調査もやるし、そうでないものはというのをちょっと例示として書いてあります。
 3ページには、先ほど申し上げましたサイクルとして、ここもすべてについてきちんとやらないといけない川というのは限られるかもしれませんが、いろんな状態が常に変化する中で、状態の監視、それからそれを踏まえた状態の評価、状態の改善というものをしていくと、こういう体系をしっかりした形でつくっていければと思ってございます。
 本文に戻りまして4ページでございますが、次の3点目は、整備途上段階でも被害の最小化を図る危機管理体制の構築ということでございます。問題認識のところにさらりとだけ書いてございますが、現在ある施設規模、これは計画規模とありますが、施設規模を超えることはしょっちゅうあるわけです。計画規模を超えることもありますし、タイトルにございますように整備途上であれば、施設の規模を超えることは容易に出てくるわけでございますので、今まではどちらかというとそういう場合には大きな外力のための整備を急ぐと。安全なための施設整備を急ぐということに非常に重きを置いてきておりますが、あるいはそういう現象が起きるということでありますから、壊れた場合ということを考えて、それでも被害が小さくなるように危機管理体制というのをきちんとした形で戦略的に用意しておくべきではないかという問題意識でございます。
 対応案のところには、被害想定というものをやはりしっかり置いておくべきではないかと思ってございます。それが、ちょっと出だしにございますように、堤防がどの箇所で切れるかわからないというようなことがございますが、よく地震とか火山でも、どの場所で起きるかわからない中でいろんな想定を、いくつかの練習問題を持ってやっておけば、それと違ったものが出てきても対応できるということでしてございます。そういう被害想定をもとに、関係機関とも連携して救助・救援・復旧・復興みたいなものを、当然、河川行政とか砂防行政だけでは対応できない分野でございますが、こういったことにつきましてあらかじめ行動計画というものを、若干、地震なんかについては整備され始めておりますが、水害についてはほとんどこういうものを整備してございませんので、きちんとつくっておくべきではないかと。当然それを防災の業務計画、地域防災計画に記載すると。
 特にと書かせていただいておりますが、利根川とか淀川とか大きな河川の氾濫は、非常に大きな広域にわたる被害を及ぼしますとともに、我が国の社会経済全体に非常に影響を与えるというようなこともございますので、国家的な戦略プログラムというものを、これもまたいろんなところとご協力していかなきゃいけないんですが、つくっていかないといけないのかなという問題があります。
 その下に、今の利根川などの大河川ということで書いておりますが、それ以外の川でも基本的には同じようなメニューになるのかもしれませんが、1番でございますように、破堤のおそれが高まった時点というか、そのときどうするのかと。それから破堤した場合の情報から、避難の体制、次のページへいきまして、あふれた水、それから救助・救急はどうするのか。食料や応急復旧活動、排水ポンプ車も含めてどうするのか。緊急道路の確保とか等々につきまして、やはり横断的にそれらを整備すべきじゃないかというものであります。
 次の6ページでございます。これは、大規模な自然災害が発生した後の原因究明等についての調査検討体制でございます。問題意識としましては、一つは今まで事業評価というか、いろいろ今、アカウンタビリティーその他、公共事業等につきましての評価の話が出てございます。その一つに、事後評価というのがございます。要はつくる前に評価をするというのもあるんですが、でき上がった後、実際それがどうであったかという評価をいろいろしておるんです。通常ですと5年後とか10年後、例えば道路ですと交通量がどう増えたとか減ったとかやるんですけれども、こういう自然現象を対象にいたしました災害関係の事業につきましては、なかなかそういうことがしづろうございますので、実際の災害があるような自然現象が起きたときに、その評価をするということが極めて大事なのかなとも思われます。そういう意味では、こういう事業の事後評価みたいなものを体系的につくっておく必要があるのではないか。
 それから、また、というので、これはまたの後先どっちが先でもよろしいんですが、現在、自然災害が発生いたしますと、個別の原因究明、もう少し課題をどうしたらいいかという部分を含めまして、それぞれ必要性に応じて委員会をつくったりいろいろやっているわけです。当然、そういうことを閉じるわけではないわけですが、類似の災害、似たような経験、そういったものを踏まえて効果的に災害対策を進めようとしますと、少し全国的な体系を持っておいたほうがいいのではないかという問題意識でございます。
 これらを含めて、下のほうには、これは例えばということでございますが、審議会の中に自然災害調査等委員会みたいな形で、日ごろからの用意といいますか、事前に体制をしておくなど、ほかでも結構でございますが、災害が起きたときに即座に英知を集めて何らかの対応ができると。それから、そのことがまた後々ほかへ反映できると。そのことがまた、事業その他の評価にもうまく使っていけるというようなことができないだろうかというものでございます。
 次の7ページでございますが、これは土地利用状況等を考慮した多様な整備手法の展開、12月までというか、11月までの委員会の中でもいろいろご議論がございました。ちょっと問題認識のところに書かせていただいておりますが、これまで治水対策などのいろんなバランス論がございます。例えば河川ですと、上下流のバランス、左右岸のバランス、そういうものに配慮して連続した堤防で順次、下流のほうから整備していくと。そういうのが水を流す器でございますので、非常に大事なこととしてやってきております。このことはこのことで重要かと思いますが、昨今の集中豪雨、それから計画規模を超える外力の多発等を考えますと、局所的な場所じゃなくて、水系全体、全部の川の水系の安全度をうまく早めに上げていこうということを考えますと、単純化した上下流バランスとかではなくて、ある種のバランスをとるのでありますが、土地利用状況に応じて早期にまもるべき箇所について優先的に守るというような、そういったことをそういう災害の対応の中でも考えていくべきではないかというものであります。このほうはどちらかというと計画論でございますが、2つ目の丸は、これは整備手法みたいなものであります。
 一方、人口の減少もだんだん、日本国全体も出てきますし、既に一部地域ではそういうことが生じてきております。それから、未利用地の増加みたいなものも出てきている中で、日本国全体の災害に対するやり方という中で、そういう土地利用状況も踏まえて、今までの連続堤防、どこも開発可能性があるということで連続した堤防をつくっていくんじゃない、土地利用状況を効果的に反映させたような手法で、ある種の効率性を、効果を上げていくというようなことをしてはどうか。
 対応案というので、ここは幾つか案の例示を乱暴に書いております。それぞれにちゃんとした裏打ちがあるわけではございません。一つは、区間で安全度に差をつけると。河川の区間などで背後地といいますか、守っている土地の利用状況、そこがあふれたら大変な被害を受けるところと、そうでないところとみたいなものを区分いたしまして、人口・資産が集積している区間なんかを少し高めの安全度にして、優先的に防御する。
 2つ目は、似たような部分ではございますが、今のは計画として安全度に差をつけるのですが、2番目は守るべき地域を優先して、そこを守るというか、2−1にございますように、先ほどのように市街地だとか集落だとか、優先的にそこだけでも早く守っていかなきゃいけないところを抽出して、かさ上げだとか輪中堤だとかの手法として、そこを優先して守ると。
 次のページでございますが、もう一つは、去年の円山川だとか、その他の昨年、一昨年の遠賀川もそうですが、内水排水が非常に問題になっています。堤防が切れたり、あふれるというのを外水と呼んでおりますし、そこへ入ってきます水であふれるのを内水と言っておるわけですが、これらも2メートルぐらいとかそうなってきますと、あまりほうっておけるものではございません。こういう内水の問題も、先ほどのように市街地の部分と、例えば田んぼしかない部分と、田んぼのほうはほうっておいていいというのではなくて、田んぼは田んぼの必要な安全度で、少々水を被ってもまだ大丈夫だとか、片方は水を被ってもう避難できないというようなことを、少し区分・差別化をしていってはどうかというものであります。
 3は、施設整備で守るかわりに、安全な場所に移転していただくということができないかというものであります。土地利用状況に照らしましてというので、特にあまり利用されていないといいますか、水がつくところに少し家があるようなところは、それを大きな堤防で守るというのじゃなくて、守られるほうの家を安全なほうへ移転する。もしくはかさ上げする等々のことをとっていったほうが、費用の面でもいいと。費用の面がいいということは、早く安全になる。それからもう一つは、土地利用としてもそのほうがいいというようなことがあるのではないかと。
 4は計画遊水地でない遊水機能の確保ということでございますが、いろいろあってわかりづらいのですけれども、大体、平地のダムといいますか、平野部で水をためるために計画遊水地というものを整備してございます。この場合、日ごろは大体、水田になっておりまして、洪水のときだけ水がつくということになっておるわけですが、そういうところは、大体、水田にしか使えないということで、権限を一部譲っていただくといいますか、土地利用制限します分だけ、3割程度の地役権補償というものをしてございます。要は水田ぐらいにしかならないというようなことで、限定するためにそういう費用をお支払いすることで、計画的にここが遊水する場所だというようにしているわけですが、非常に大きな洪水が昨年も出ております。その中で、すべてダムだとか計画遊水地なんかをつくっていくんだろうかという問題意識でございまして、計画の規模までは川の中で流しますが、それを上回る洪水については、特定の場所にあふれさせるというようなことができないだろうかというものでございます。ちょっと複雑でわかりづらくて大変申しわけございませんが、今までの遊水地というものは、計画の洪水を一部、上流のダムと同じようにためようというものでありますが、一定のものを超えました場合は、どこでもあふれるんじゃなくて、ここにあふれるというようなものをつくっておく考えはどうだろうかと。その場合には、計画以上のものでございますし、通常の土地利用が可能なのであれば、買収をしないというか、権原の取得をしないというようなことも含め、法的な区域設定もいろいろ考えないといけないのですが、考えられると。ちょっと4のところがわかりにくくて、いろんなことが入っていて恐縮ですが、そういうものでございます。
 54とちょっと似ておりますが、遊水地の地役権設定にかわるような補償、これは今の計画遊水地というものでも3割ぐらいの地役権補償というのをしておりますが、効率的・効果的に進めようとしたときに、めったに洪水に遭わないということであれば、あふれて浸水しました後にお金をお支払いするようなことも考えられないか。それから、保険の活用みたいなもので何か似たようなことができないかというものであります。
 6、狭窄部等の無堤区間における規制区域の設定、新たな概念河川区域、これもちょっとこの言葉だけでは非常にわかりづらくて、後でちょっと絵を用意しております。狭窄部などの無堤区間では、洪水が氾濫しますところと、全部谷が洪水で流れていきますと、洪水が流れるための断面といいますか、区域等の区別が非常に不明確でございますので、ここを全部杓子定規に川の洪水が流れる区間はこんなふうにつくらないといけないと。同じように堤防をつくるんだとかやりますと、狭窄部なんかですと土地があまりない中でそういうことに土地が逆に奪われてしまうとか、それから非常にコストもかかるとか、いろんなことがございますので、この辺、非常にはっきりしていない部分につきまして、法的な整備等々をしてはどうかという問題があります。
 ちょっとわかりにくいもので恐縮ですが、もう一つの説明資料の6ページから、現在やっておりますようなことで似たようなことを、ちょっと写真等で用意しております。サッとごらんいただければと思います。6ページには遊水地、これは計画遊水地と申し上げましたものでございます。利根川の田中調節地というのがございますが、右側が日ごろでございます。一部分堤防が低くなっておりまして、左側の洪水のときはそこから洪水があふれて、下流とか全体の洪水の量を減らすと。真下の模式図を見ていただくとわかりやすいかなと思いますが、日ごろは水田にしてあります。ちょっとミソなのは、これは何もしないと水田になっております遊水地のところはしょっちゅう水が浸かるのですが、こういう計画遊水地としますと、これは越流堤という赤い線が書いてありますが、通常の洪水ではここへ水は入ってきません。通常の洪水は川のほうで十分流せますので、ある程度以上の大きなものになりましたとき、初めて遊水地のほうへ水がいきます。そういう意味で、ここの人たちからすれば、以前よりは水害には遭わなくなったと。しかし、まれにといいますか、時間的にはなかなかですが、大きな洪水がきますと、そこは水がつくというのがこの遊水地であります。そういうものでございます。
 それから、その前にこの遊水地と言っているところについては、費用もお支払いをして、水田以外の土地利用について、法律的には河川区域というものにしております。
 7ページは、水防災という事業制度を持っております。これはちょっと例を載せておりますのは、四国の愛媛県の一番西のほうに大洲平野というのがございますが、そこを流れています肱川という川です。大洲平野から下へ至りますまで、整備前と書いていますような、川の横の平地に集落、鉄道があるという地域が営々と海まで続いております。これを全部堤防なんかをつくって整備をいたしますと、小さい平野部の宅地も少なくなってしまうというようなことがありますので、右下に絵がかいてありますし、上には写真がございますが、全部地盤を上げることで、利用する土地はあまり少なくならないで治水安全をするというようなことをやったりして、そういう制度をやったりしています。
 8ページは、優先して市街地や集落だけを守るという例でございます。これは秋田県の雄物川の強首というところでございますが、パッと見ていただくと、真ん中に集落があります。こういうところについて、川側の堤防だけじゃなくて、輪中堤、右側とか上のほうにありますようなところを整備して、この場所だけは洪水になっても浸からないと。しかし、その右側にありますような水田だとかというところは、今すぐには水害から守られるわけではないというようなやり方でございます。
 それから、9ページは霞堤というものをお聞きになったことがあるかと思いますが、霞堤というのは左側の絵にちょっとかかせていただいていますように、洪水のときには堤防と堤防の間の隙間から水をあふれさせ、流れをここでゆっくり緩和させる。それから、その漫画の絵が下にございますように、あふれた水も逆にここから速やかに戻ると。どちらかというと少し急流河川といいますか、黒部川の例がありますが、そういう川で非常に有効な手法でございます。
 その次が、10ページが二線堤というものでございます。これは、昭和61年に関東・東北でたくさんの水害がございました。このときに鳴瀬川支川の吉田川というところが堤防が切れまして、水がついてございます。大体、4メートルぐらい浸かっているようなところがありました。これは何をしているかというと、吉田川というのがございますが、そこからもし水があふれましても、二線堤という緑のところにこれは道路の事業と共同でしてございますが、少し高い道路と堤防をつくりまして、もし万が一水があふれましても、街の中心部には水が行かないというようなことをしているところであります。右側がその昭和61年の状況でございますので、街の中心部までみんな水がついている状況が見てとれるかと思います。ただ、こういう手法は少し地方でといいますか、都市部ではなかなか道路というのは沿道利用があっての道路でございますので、沿道利用がしづらい高い道路というのはつくれない等々の問題もございます。
 それから11ページは、横堤というものの例でございます。この例は先ほどの二線堤と同じようなもので、巨瀬川からあふれましたものが赤い点々で書きましたところの横堤というのでとまって、市街地の中心には行かないというものでございます。
 それから12ページは、先ほど申し上げました新たな河川区域とかでやりますものでございます。狭窄部等の無堤区間で、これは阿武隈川の丸森地区というのがございます。日ごろは左側のような写真ですが、右のように洪水のときはもう谷川全体が川みたいになって流れていきます。もう1枚めくっていただくと、そこの断面がかいてございます。13ページでございますが、どういうことかといいますと、上の絵のように、これは左側にかいてある堤防がないのですが、右側のようになっているとしたときに、洪水が流れるためには河川区域と書いてあるところの黒いところまででよろしいのですが、その新たな河川区域が必要かと書いてあるゾーンは、洪水が流れるためには要らないんだけれども、洪水のときは一緒になって流れるというゾーンでありまして、ここに、ここまでが川だぞといって下の絵のように堤防をつくったりというようなことをすべきかどうかと。ここはあっさり、お家を少しどけていただくなり、かさ上げするなり、そういったこと、それからそういう区域、川の洪水が流れる区域なのか、あふれる区域なのか、こういうわからないようなところについて少し、法律も含めました整備が要るかなというものでございます。
 それから、その次はちょっと飛ばしまして、本文の10ページで、孤立化等を防止する施設の整備ということでございます。こちらのほうはあまり大したことは書いていないので、恐縮でございますが説明資料の14ページのほうが同じ6番でございまして、小さくしたので恐縮ですが、14ページの説明資料のほうの6番をごらんいただきたいと思います。土砂災害でこの前の福井豪雨なんかの例がありますが、やはり孤立してございます。道路その他が遮断されると。それから、この前の中越地震でも同じようなことが起きております。というので、ここではもう具体の方法論が行政計画的に書かれておりますが、部分的にそういった孤立対策としてのランクアップ、対象外力のランクアップと書いてございますけれども、少々大きな雨とか外力が来ても壊れないようなものを1ルートでもつくっておくというようなこと等を考えようということであります。
 次へめくりまして、同じ説明資料の次の15ページでございますが、行政を含む地域の水防対応力の向上、A4横長のほうの15ページでございます。これは地域の水防対応力の向上につきましては、この前の委員会でも2つのお話があったかと思います。一つは、真ん中にございます赤で囲みました左側のほう、被災経験も少なくなっているという中で、市町村だとか我々のところもそうかもしれませんが、いろいろノウハウ、そういった的確な判断等ができにくくなっている場合があると。それから、右側にございますように水防団等の団員の減少や高齢化もあって、その下にございますが、水防技術の向上みたいなものを考えていかないといけないと。ちょっとこの2つは別な話題かもしれませんが、あわせて書いております。左側のように災害時における市町村への支援として、河川管理者だとか土砂災害、対岸の管理者につきまして、従前からいろんな諸状況、それからハザードマップの活用だとかについてお話をきちんとしておく体制、それから緊急時には、避難そのもののアドバイスをすべきかどうかについては、法的な権限、責任、いろいろありますが、自然現象が起きていることが一体、どういう意味があるのか、これがどう変化していくのか、そういうことが、例えば、こうなれば堤防が壊れて、こういうところはこういうふうに危ないとか、そういった状況判断のためのアドバイスみたいなものをする仕組みを、これは行政だけじゃなくて、場合によっては学者の世界もあるのかもしませんが、そういった仕組みが要るのか等々でございます。研修だとか、いろんなカリキュラムだとかマニュアルだとか、まだちょっと触れられておりません。それがまた防災訓練みたいものがあるかということは書いてあります。
 右側のほうはもう1個の話題で、水防技術の向上ということが一つあります。水防技術というのが旧来のものにずっときておりますので、これを水防団が高齢化したり少なくなっている中で、もうちょっと簡単にできないかとか、ものによってはもっと高度化できないかというのがあるかと思います。それから機械化への対応もあります。また、広域的な水防活動の支援ということで、水防資機材の効率的な調達みたいなものについても、まだお恥ずかしい時点ですが、どのぐらい、どこにどういう資機材があるかということについて十分把握されている状況下にはございませんし、そういう情報が共有されているわけでもありません。それから、そういうのが広域的に応援体制をどうしたらいいかということについて、うまくできているわけではないので、こういう点につきましてしっかりとすべきではないかということでございます。
 資料−4の縦長のほうの13ページに戻らさせていただきます。被災者支援センター設立の支援というのが、たしか○○先生からいただいたのかと思いますが、書いてございます。中身がちょっとまだ整っていないかもしれません。被災者支援センターというものについては、いろんな場で必要だということが言われています。特にニューヨークのテロの9.11の後にファミリアアシスタントセンターというのを国と州と市と赤十字だとか救世軍だとか、みんなでつくって、そこへ行けばすべて住民サービス、被災者から見てワンストップサービスといいますか、全部診断をしてカルテをして、あなたはここへ行けば、こういうことになると、やってくれればいいということを、一つのセンターへ行けばすべて整理をしてくれると。また次に来れば、そのときのつくったカルテにまた次の項目を足し込んでやっていけると、そういったこと等が非常に効果的になされたと言われています。そういったことについて、国土交通省だけではございませんが、きちんとした対応を取っていくものかというのであります。ここに書いてありますのは、災害に関します情報だけを特記してございますが、こういう災害に関する情報もそこへ行けばわかると。加えて救援、支援のサービスをだれがどのようにしてくれるのかとか、各個人の起用をどんなふうにしていけばいいかという相談であったり、生活再建の相談であったり等々をやっていく体制を考えるべきかと思っています。ちょっとまだ埋めていませんので、また整理したいと思います。
 それから14ページでございますが、防災教育、これは防災教育だけでも相当いろんな話題がでてくるかと思います。問題意識というか、改めて申し上げるまでもありませんが、知っておくということが極めて大事かと思います。それから、ちょっとここも伝承の話が強調され過ぎてしまっておりますが、そういう知っておくということの中の一つに、その土地に付随して大きな災害が起きたことがあるかがうまく後々伝わっていくというようなことも必要かと思っております。
 対応案のところで知っていただいておいたほうがいいことというのが幾つか、災害というのはどんなものなのか。危険はどうかというようなこと、それからどうしたらいいかというようなこと等でございます。それから、下の対応案の丸の2つ目は、一つは子供でございます。子供は通常の授業、それから総合学習、これは学校の場でございます。もう1個は学校外の地域活動みたいなものがございまして、こういうような中でのカリキュラム、補助教材、出前講座等々のことがあるかと思います。それから、特に学校外につきましては、自然保護関係なんかでもやっているわけでありますが、さまざまなNPOだとかボランティアなんかのネットワークでやっていくということも考える必要があるかと思います。「NPO等を統括する全国組織と連携し」というのは、ちょっと変な文章かと思います。すみませんが、別に統括を代替するわけでもありませんし、全国組織でなくても、個別の組織とも連携していていくべきか思います。
 それから下の丸でございますが、今度は大人のほうはということであります。これも地震とかその他でも町内会だとか市民講座、それから地域ごとに、リグとかいうのがございますが、ロールプレーイング型の地域の訓練みたいなもの等、ちょっと中身を吹き込んだものとしていくべきかと思います。
 最後のページでございますが、ちょっと唐突に市場原理の導入みたいなのを書いてございます。最近、テレビその他を見ていましても、防災に配慮したものについてのコマーシャルが非常に増えてございます。防災に配慮したもののほうがよく売れるというような、単に防災グッズということじゃなくて、建物であろうが保険であろうが、通信機械であろうが電話だろうが、そういったものみたいなのを少し考えていくべきではないかということであります。これらは防災についての関心みたいなのが特別な場ではなくて、日ごろのコマーシャルベースその他の場でまた配慮すべき事項の周知にもうまくつながるのかなというのを例示しております。別途の説明資料のほうには、教材をつくることにつきまして、土木学会とちょっと連携をしているものが例示として少し載せてございますが、このことだけではございます。
ちょっとあっちへ行ったり、こっちへ行ったりの話で、かつ時間がかかりまして恐縮でございますが、論点の議論のためにということでつくったものをご説明させていただきました。以上でございます。

(2)その他

(委員長) ありがとうございました。
 ただいま、前回の緊急提言以降、これから本格的に取り組むべき課題について考えられる事柄を事務局で、一応総ざらいという形で出していただいたと思います。これらの点についてそれぞれご意見をいただきたいと思います。
 なお、ちょっと先ほどの説明でこれは資料−5の横長の13ページですが、河川区域指定の必要がある箇所の例示がありました。先ほどの写真の阿武隈川のようなところで、両側に堤防がないところは、今の法制度上では河川区域の指定ができません。したがって、こういうところへも河川区域の指定をしないと、何ら河川行政から手を差し伸べられないのではないかというのが私の問題意識です。
 それできょうの議論で、大変網羅したご提言がございましたので、ご意見を承るわけでございますが、ちょっと私の感触で言いますと、これだけの災害は起こったけれども、政府として、では災害対策にこれから国の資源を大幅に投入できるかというと、そういう状況でもございませんし、また今後、少子高齢化という時代になると、今までと違った視点で議論すべきではないか。いわばこの委員会はそういう歴史的な転換点になっているときの議論ではないかというふうに思います。ある意味では守るべきところと、若干、次にランクを下げるべきところといったことによって、壊滅的被害を防ぐとか、社会の存立基盤をしっかり守っていくというような思想のもとに、この委員会の結論が出てくるのかなと思いつつ聞いておりました。とりわけ説明者のほうは河川行政の専門家で、我々のほうはどちらかというとそれを承りながら、社会一般として、こういう災害対策に対して国民としてどういうふうに要求していくかという視点も必要かと思います。
 これらのことも含めまして、ご自由なご意見をお伺いしたいと思います。ぜひ、活発なご議論をお願いいたします。どうぞ。
(委員) 委員長が今、最初に言ったことで、ちょっと前提条件を確認しておきたいと思います。
 地震災害の場合は、国民全部に降りかかる災害であります。先日の神戸の国際防災会議でも、耐震性能を高める、耐震化を進めてきたと。しかし、基盤力だとかそれの応答を見ると、制御という機能の面の整理がこれからの課題になってきており、それによって、どこまで減災効果があらわれるかその評価が必要だと、こういうお話を聞きました。水災というのは国民全てに降りかかるのではなくて、水災を受けるべく領域というのは決まっているような気がするんです。それに対してどういうハードウエア的な、あるいはソフトウエア的なもので、基本的にどの程度までは守り得るというメルクマールみたいなものは描かないと、河川行政というのはできないと思います。もともと限界は必ずあるわけです。その辺は現在の行政の領域でどういうふうに考えているかはっきりさせておかないと、転換期になったときに、何が変わり得るのかというのはわかりづらいのではないかと思います。
 お答えが難しい質問だとは思っていますので、きょうお答えは必要はないのですが、そういう前提条件はある程度、こういう議論のときにはっきりさせておかないといけないのではないかという気がいたします。つまりは地震災害と水災とはちょっと違う置き方ではないかという実感を神戸のセミナーで感じたところです。
(委員長) では、事務局でまずお答えいただけますか。
(事務局) 話すと長くなりそうなのですが、また整理してあれしたいと思います。ちょっと場所が限られるというか、水害に遭いやすいところとそうでないところが、地震よりははっきりしているかなというのはあります。ただ、水害も地震も非常に似たものだと私自身は思っています。どこまでが防災の対象であるべきというか、どこまで備えるべきかというようなことは、似たようで、よくわからないところがあったり、過去のデータの中でこういうところまでは守っていくというのが国民合意の中ではどうつくっていくのか。それからタックスペイヤーとしてどうしていくのか。若干あるとすると、今まで地震とか火山はよくわからないので、過去起きた災害みたいなものを、とりあえずそこまでは税金を払うことについては世の中は理解すると。それ以降のもっと巨大なことまで考えるべきだという学識者の方はたくさんおられるのですが、そこまでは到達していないと。水害については、ちょっとそういう予防のことも踏まえて、過去起きたことが、ここ数十年ぐらいのデータプラス、少し全国的なバランスというのを考えて、よく確率200分の1とか何とかとか言っているんですが、そこが少しわかりにくくなっていたり、国民の合意形成の中でも難しくなっていたりもするので、極めて重要なご指摘かなと思います。ちょっとお答えするのに相当な時間を使わないといけない感じがあるので、簡単な何かの多少整備しましたものを、その辺の問題意識のものを用意させていただいてお話ししたいと思っております。
(委員長) ちょっと私の専門の分野として申し上げると、浸水危険区域に居住する人口が、日本は大体5割、諸外国は1割以下というのですか、アメリカが1割以下とか言っています。しかも、日本の場合は主要な都市圏はほとんど浸水危険区域に入っているものですから、特定な人たちが危険に遭いそうだというわりには、遭う人の割合がかなり大きい。しかも、被災経験のない人が都市部に多くなっています。そのため問題意識として避難問題が大きな課題になっているのかなと思います。それは浸水氾濫区域に限っての話ですが、その他に土砂崩れの危険区域がまた、これは別枠になります。したがって危険区域対象者が限定されたとは言いつつも、国民の大半の人が水災害の潜在的な対象になっているんだと思います。
(委員) 関連でちょっとよろしいでしょうか。
(委員長) はい。
(委員) 今のご質問といいましょうか問題提起で、私も概略とすれば委員長が言われた氾濫原のところにどのぐらいの人口がいるかというのが一つの指標になると思います。それと、先ほどのご説明の中では、整備途上段階でも被害の最小化を図るという資料−4の4ページのところで、国家危機管理の戦略プログラムを策定するというようなことが考えられるのではないかということが触れられております。これが氾濫の場合に必要であると思います。それと先ほどの、これも委員長が触れられた土砂災害、豪雨に伴って災害が起きるという危険性のある地域なり人口なり、そういったものを基本的な資料としてまとめておくと良いと思います。報告書の段階では、それに基づいて議論をしました、というような整理があり得るのではないかと思います。
(委員長) それでは、そのほかどうぞ。
(委員) 今の関連でいいですか。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) 今の関連のご議論で、災害に対する行政責任がどこまでかという話があります。それは法律学のメーンテーマでありまして、私の理解では、地震の話と水害の話もございましたけれども、基本的に行政責任があるかないかという話は極めて抽象的に言えば、予測可能性があるかということと、それから、それに対して何らかのアクションを起こせる「統御可能性」という言葉を使います。これは統制ではなくて、統制だとコントローレ(Kontrolle)という言葉を使うんですけれども、そうじゃなくて、シュトイエルング(Steuerung)というドイツ語ですが、統御という言葉で、少しソフトな面も含めた上で、国家がある程度、ハード面を整備したり、あるいはソフト面も整理するということを含めた広い概念であるのです。言うなればその両者が要するにきちんとそろっていると。予測できて、しかも予測できたら、それが何らかの形で具体的な対応ができるというときに、行政責任が明確に存在すると思うわけです。
 そうすると、巨大地震の場合は、予測可能性は通常の意味ではないわけです。予知という言葉を使いますが、これはもう時間の単位が違いますので少し違うと。それに比べますと水害というのはわりあい日常的な災害でありますし、地域もある程度わかるし、季節もわかるというようなことで、社会科学的に言うと、大体予想できるということになります。そういう前提で堤防を造るとか、あるいは危ないという情報を出すということによって、何らかの形で予防することかできるということになりますと、これはやはり行政責任がある領域であったと。これが水害の領域だと思います。
 そういう大枠が基本的にあるんですが、今回のこの案というのは、資料−4の4ページですけれども、先ほどの整備途上段階で被害の最小化を図るなんていうのは、確かにコンセプトとしては大転換でして、戦後今までの行政という意味で言っても、例えば大東水害訴訟のときに、あれはやはり河川というのはもともと危険なもので、氾濫するものなのだから、人間のやることには限界があるという形で、わりあい河川管理者の責任を軽減する方向で議論が進んでおりました。しかし、あの判決自体も、もともとはハード面をきちんと整備をして、それなりに時間とお金をかけていけば、いつかやがては完璧な河川というのですか、安全な河川ができるはずであると。そういう理想は捨てていなかった判決だと思います。だけど、今はちょっと大変だから、過渡的安全性という概念で現状を追認するという判決だったわけです。
 ところが、今回の議論というのはもともとそこに触れる部分があり、人知を超えた自然力というのがあると。そして、今回の提示された案は、正直言ってハードの整備はやりきれない、だけど行政としては一生懸命誠実に対応しますということを言っている案だと思います。そうするとその意味で、ややハード面の話とソフト面をどう位置づけるかというところに非常に大きな転換が、それは歴史的転換という言葉がありましたが、確かにあると。そういう契機をはらんでいる話なのです。
 そうすると、理屈としては例えば整備途上段階で被害の最小化を図るようにいろいろやっていきますと言ったときに、今度はどういう場面で問題が出てくるかというと、今までだったら、例えば国家賠償の2条で議論をしてきたような話が、今度は1条の話で、わかるところまでは責任が生ずる可能性がありますから、ある程度予想はできると。で、危ないと、計画の中には入っていないけれども、それなりに抽象化された形での予想の範囲内に入っていますというところはやはり行政の責任として入ってくるわけです。入ってきて、危ないから危ないということは言っておきますと。整備はできないけれども、言っておきますと。それになのにきちんと言わなかったとか、あるいは調査しなかったとか、適切な資源を投入しなかったとかいうことになってくると、これは広い意味で国家賠償1条の話として、国家責任として問われる可能性が出てくるという話だと理解しています。
 だから、責任のとれる場面は変わってくるし、それに応じて施策のあり方というのが違ってくるだろうと思います。
(委員長) これからなかなか局長をやる人がいなくなるかと思いますが。(笑)今のお話を展開していくと、どういう場面でどういう判断をすべきか。あるいはどういうコンセンサスをとるか、その手続の透明性みたいなことが今度は議論されるのでしょうか。
(委員) ええ、それも確かに深刻な問題で、具体的には例えば河川管理水準の基準化という話がありますが、これもなかなか難しいといいますか、これは要するに一種の行政の内部基準ですね。河川法の枠の中には入りますが、しかしながら、一種の行政のマニュアルといいますか、内部基準としてつくっておくと。
 ところが一方でそれを外部化しましょうという話があって、それから地域の合意も得なきゃいけないという話がある。そうすると、今までの議論としては、内部法と外部法と大きく分けているんですが、内部法は行政が自由につくっていいですという話だったのです。外部法は法律的なものとか、委任立法とか、そういう国民に対して規範性を持っているような基準を指します。河川管理水準を基準化して、しかもそれを公表していきます、住民の理解を得ますということになると、内部基準を外部化するという話なので、ドグマが大きく変わるという話なのです。そういう意味で、今度は住民の理解が必要であるということで、抽象的には正当化の手続ということが大事になるのです。
 それから、1回つくった基準というのはやはり守らないと意味がないので、自己拘束規範としての拘束性を持ってくるということになります。しかしながら、ここがややこしいところで、だけど、ではその自己拘束規範というのは、もともとは河川行政をちゃんとやるためにつくっているものですから、この基準に厳格に拘束されてしまうと、かえってよくない場合も出てくると。そうすると、拘束するものでありつつ、合理的な運用が必要ですので、例外的な柔軟な運用といいますか、そこから外れるということも当然、許されるというような基準でなきゃいけない。このような話は、行政手続法を制定するときにさんざんしている議論で、外部法と内部法の中間にあるような基準が必要になるということになるのです。
 あともう一つ考えなきゃいけないのは、一方これは住民からすると、優先度をつけるというのは命に何か順番をつけるみたいな話になるのです。ということは、優先順位であなたは後回しですと言われたほうはたまったものではありませんので、そうすると、どうするのかという話になって、これは今、行政法が改正されて、こういう内部基準的なものを争うことができる道が開かれたということがあります。4月以降、こういう内部基準であっても訴訟の対象になってくる可能性があると。その裁判の仕組みが、例えば裁量審査もかなり踏み込んでやりますという形になりますと、中をずっと見ていくわけです。やり方がちゃんとやっていたかどうか、調整すべきことをしているかとか。あけられちゃって、だめだと言われちゃう可能性もあるということで、今後はそういうことも含みながら基準をつくっていくということと、それから問題提起があったときに、きちんと誠実に対応するということに尽きるのかと思います。
 やりっぱなしじゃいけないし、説明もしなきゃいけないし、基準もつくらなきゃいけないんですが、といって、それを守っていればいいというわけでもない。何かますます大変かなというか、エレガントな行政が必要ということじゃないかと思います。
(委員長) ありがとうございました。
 それでは、○○委員お願いします。
(委員) きょうのこの資料を見て、大体のことを網羅されていると思います。これからもう一、二回委員会がありますので、私はきょう、一つだけに限定して考えていることを話したいと思います。それは、場所についてです。洪水氾濫という重大な話はあるのですが、氾濫以前の重要な課題として堤防が一番問題にされるべきと考えます。堤防の強化をどのようにするのかという話は緊急提言の中でもありましたし、この中でも堤防の質的強化ということは書いてあります。質的強化はぜひやらなければなりません。
 それで、河川の管理水準の区分設定と管理内容の基準化という中で、川の中の問題として堤防が非常に重要な問題となります。その問題との関連で、土地利用や遊水地が必要になると思います。堤防をどういう構造に考えていったらいいのだろうかということから申し上げたい。堤防について一番わかっているのが誰だろうかと。行政は堤防の管理をしていますから、堤防について十分わかっているはずです。一方、新聞報道とか大学人の書いている堤防論を見ると、ほんとうに堤防についてわかって議論しているのかどうかというのが大変気になるところです。すなわち越流しても壊れない堤防とか、粘り強い堤防とかという形がいろいろ出てくるのですが、堤防は本来どれだけもつかは別として、越流したら壊れるというのが当たり前の話で、そういったことを市民に対してどういう形で伝えたらいいのかということをまず申し上げたい。
 それは、堤防の中身、建設の経緯がどうだとか、そういう話はいろいろ言えるのですが、最も大切なことは、現在の自分らが管理している堤防の各区間がどれだけの実力を持っているのかということをきちっと技術的にわかりやすく説明する必要があると思います。そのために、一つ二つ申し上げなければならないことがあります。それは、現在の河川計画では流量を非常に大事にしています。この川は流量が毎秒何千トン流れますと言う言い方をしますが、これは一般向けには川の中に流れている量を言っており、これはまた川の規模を言ったり、もしも堤防が決壊したら、流量が大きいと被害が大きいとか、それからそういう流量をコントロールするためには、ダムをつくったり、遊水地をつくったりする必要がある等との関係で言う話と解釈されます。
 河川改修計画の中ではこの流量というのは非常に大事であって、そういう考え方で河川改修をやってきて正しいと思うんです。一方において、これからは多くの人々は川の中を流れている流量がなんぼというよりも、水位が一体どれ位の高さなのか、水位が今後どうなるのか。水位がどれくらいあるから、どういうふうに管理するのかということが大変重要になります。その辺は今回の資料の中にも書かれていまして、このことについて私はいいと思います。しかし、河川の計画というものを流量を中心にたてるというだけでなくて、水位を含めた計画に直していかないと、いろいろな意味で無理が出てくるだろうと思います。水位については計画高水位があります。計画高水位は、河川計画上の守るべき重要なラインです。計画高水位にいくまでの過程とか、それを超える過程のことを言っているわけではなく、治水上、守るべき重要な水位です。
 重要なことは、洪水水位が時間的・空間的にどう変わるかということを着実に測れるようにするとか、そういうものがわかったら、流量ハイドログラフも数えられることから、水位観測や予測から計画、あるいは施策にどのようにつなげていくか、今の学術・技術でかなりの程度議論が出来るようになっています。流量が前面に出てくる計画論から、水位を前面に出していく治水計画に重点を置く計画論がこれからは非常に大事になるんじゃないかと思います。
 そういう意味で、今回のこの資料は水位について重要な視点が書かれているのですが、対策については、この方向でよいと思っています。長期的な視点を展望することについては、少し抜け落ちていると。そこのところをぜひ詰めてほしいいと思います。洪水時に水位ハイドログラフがどういうふうに変化し、今後、どうなっていくのかということが重要で、例えば破堤した場合、流量はなんぼ流れましたかというのは、長い期間検討しないと出てこないようなわけで、流量は大事なものですから、もう正しい流量を出さなきゃならないといろいろ検討をやるんですが、私は水位がわかっていれば、その他いろんなことがわかっていれば、流量を含めかなりのことはもう見えているのではないかと思います。ダムとか遊水地を考えるときは流量が大事で、これはもう今までどおりでいいんですが、そこのところのバランスをよく考えていただきたいと思います。
 話しに戻りますが、私は、実は堤防についてよくわからないのです。何が問題なのかわからない。もっとざっくばらんにいいますと、私は土木研究所の河川にいたときに、堤防の破堤問題は、浸透が主であったために、土質の専門家が中心になって検討をする、川の研究者じゃないのです。だけど川というのは堤防があって初めて川の安全性が重要になり、特に越流が問題になるような状況では、特に水理的な立場での検討が必要になります。堤防のことについてもう少し平易にわかりやすく、何が問題なのかも含めてまとめる必要があるだろうと思います。ケース・バイ・ケースの検討でもよく、全部について言う必要はないのですが、こういう場合もあるとか、いろんなことを明らかにしていかないと、結局誤った、現象だけ見て、壊れない堤防をつくれば安全であるという議論になっちゃうわけです。壊れない堤防をつくることは究極の目的であるんですけれども、それは今の土を用いてつくる場所という意味では非常に難しく、なるべく破堤までの時間をもたせるという堤防だろうと思います。
 最後にもう1点だけ申し上げますが、堤防の余裕高、これは計画の中には含めないというのは、私はそれは正しいと思っています。余裕高は計画の中に含めるのではなく、堤防の構造上に重要な意味を持っているんだと。これは正しいと思うのでが、河道の場所によってはものすごく水位が上がって、余裕高を食って何とか流れるような場合があり得ます。この余裕高のところをもう少し強化する方法というのは、考えていくことが必要であろうと思います。川によってあふれやすい場所とか、市街地で非常に大事な場所だけれども、水位が上がってきてひたひたになるような場所です。そういうところで、構造的な余裕高を使って流れるようなやり方というのを考えないといけません。これはある場合にはそれで壊れるだろうし、ある場合にはたまたま流れるときもある。たまたま流れる頻度をもう少し上げる。これも必要です。
 余裕高の強化を計画の中に入れたようなことになっちゃうともめてくるので、私は構造としてこれを考えているということを含め、堤防のほんとうの中身の話、内容の話、機能の話、安全性の評価の話というのをしっかりと一般の人々に出せるようなものをつくっていくことを、お願いしたいと思っております。
 まだ申し上げたいことはあるんですが、堤防についてぜひここの中でライトを浴びるように、何か強化をするという言葉だけで終えてしまわないで、本当の実力の評価と今後何をやるのかということを、明示していただきたいと思います。
 以上です。
(委員長) ありがとうございました。
 また、そのほかに。
(委員) 今後の論点をまとめていただいて、すっきりまとまっていると思います。それで、緊急提言のポイントはハード対策とソフト体制の一体化という表現が使われました。連携みたいなところなんだけれども、実はやはりよく考えていかなきゃいけないのは、そのうちのどこをここで問題として考えるのか。ほんとうに考えるところはどこなのか。羅列は幾らでもできるけれども、ほんとうにそれが一体的に運用できるためには、どうすればいいのかというところが私はきっと問題だと思います。確かにソフト体制のところはこれまでも行政組織が違っていたわけで、防災行政に入っているし、ハードのところがいわゆる河川行政だった。現実にも浸水想定区域図をつくるところまでは河川管理者であるし、それをハザードマップに読みかえるところは一般行政、あるいは市民との連携でやっていくところ、ここを上手につながないといけないというのは非常によくわかっているんだけれども、じゃあ、どこまで首を挟んでいくのというところが、先ほどの○○先生の言われたところの行政責任との絡みで、私は非常に大きな問題だと思います。我々がソフト体制をなかなかうまくとれなかったのは、やはりハードとソフトがうまく連携する接点を我々は見出していなかったからだと。すなわち計画を超えるとか、先ほどの説明でも万が一という表現があったんだけれども、一体、何が万が一で、何が計画を超えるか、あるいは施設を超えるかがやはり明確でない。これは緊急提言の中で明確にしていくと我々は言ったのですが、先ほどの説明の中でも一体、どこまでをそういう河川が守ろうとしているのかを明確に言えていない。基本方針レベルなのか、整備計画レベルなのか、あるいはときどき起こる災害に対して、災害復旧のレベルであるのか。その辺が明確でないために、次のソフトとうまくつなげないし、つなぐような話をするだけだと、渾然一体として一体どこまでを責任を持って守るのかというところが明確でないという気がするんです。
 それで、一番最初に○○さんが地震の問題と洪水の問題は違いもあるし、共通点もあると。現実に多分、ソフト体制、防災計画、あるいは防災行動計画みたいな話、あるいは社会学的な連携をとらなければいけないところというのは、共通だと思うのです。共通であるにもかかわらず、今まで共通化できてこなかった。これをここで議論するような河川管理として、あるいは河川管理をもう少し一般行政まで含めたところまで責任を持つ形で議論するなら、どんなふうにつなぐのだと。彼らが逆にそういう防災行動計画とかをやっていたグループなり組織が洪水の問題に入ってこられなかったのは、やはり逆にハードの体制がどこまでとれているのかが見えていなかったからだと。
 今ここでそのハードな整備を超える部分についてもソフトなやつでやりますということをもし言い切って、個別のソフトをとるなら、これはうまくいかないと思うんです。やはり我々は我々がやらなきゃいけないハードの部分をきちっと明確にして、どうソフトにつなぐのかをきちっと、それも明確にして、そしてそういう危機管理体制、防災行動計画体制については地震とか津波とか、ほかの災害に対するものとうまく連帯をとっていかないといけない。河川だけでソフトまでありますというのは、やはりそこは若干気になるところ。議論でどれぐらいのところまで河川でやります、どの部分が地震あるいは地域防災と連携をとりながらやりますというようなところの議論をやはりきっちりしていかないと、内部に矛盾をはらんでくるような気がいたします。
 その辺、もう一つ最後に言っておきますと、今後の論点についてもどの部分がソフトで、どの部分がハードなのか。どういうふうな連携があるのかということと、どういうふうにハード側からソフト側へ手を差し伸べるのか。あるいは逆に手を差し伸べてもらうのかというところが見えるような形にする必要が、今後の議論の中であるのじゃないかという気がします。
以上です。
(委員長) はい。
 では、○○委員。
(委員) 今のお話とも少し絡むところで、あまり理念的に語ろうとは思わないんですが、一つは組織の問題、2番目は情報の問題で少しコメントさせていただければと思います。
 今ご紹介がありましたように、やはりどこまで一般行政とかかわるのか。あるいはどういう情報開示をするのかという問題とも絡むと思うんですが、こういう霞が関の場で語っているのと、それから地元の市町村で語っているときというのは、随分乖離がある気がします。そういう面では、やはり一つの例えば市町村の支援ということ、あるいは一般行政との連関ということも含めて考えれば、国がある意味で市町村の幾つかを集めた形の協議会で、県と国もそこにかかわるような形で特定河川の一連の地域防災計画をつくり上げていくという体制が要るのではないかという気がしています。これは具体的には、今、ほとんど事例はありませんが、火山の場合のみ例外として、火山防災会議協議会というのができている。その中で複数の市町村が集まることによって、一番大きいメリットは市町村マンが、行政の防災が育っていくという大変いい面があるのです。そういう面では、やはり河川というのはなかなか、私はここに出席させていただいても、言葉がわからない。難しいというところがある中で、そこをきちっとコミュニケーションとれるということが、実は後ほどの情報のわかりやすいところとつながっていくことになるんじゃないかという気がします。
 組織という面でもう一つ関連して言わせていただきたいのは防災教育という面で、実はここでは防災教育というと、すぐ出てくるのが小学校とか自主防ということで、これはどこでもそういう議論が出てくるのです。ところが、意外に調査をしてみると、こういう災害関係の議論が話題になって出てくるのは、職場でなされていることが結構多いのです。そういう面では、実は職場とかあるいは同業者の観光協会、あるいは農協さんとか漁協さんとか、ああいう既存組織をどう使っていくのかということを少しご検討いただければありがたいという気がしています。
 そして、教育という面でもう一つの、今度は情報というほうで言わせていただくと、わかりやすいという表現は非常に難しい表現なのですが、おそらくこれはそれをクリアしていく上ではやはり前提の情報をどこまで市町村あるいは住民に開示していくのかということがかなり問われてくることになると思います。片や太平洋岸では1,000ミリの雨が降っても、川がもってしまう状況を、日本全国見ていて250ミリの雨で自分の川が破堤するとは思わないのです、普通は。そういう情報をきちんと開示していかないと、なかなか難しいと。
 その中で、最後一つだけ確認させていただきたいのですが、先ほどの水位の情報というのは、これは多分、流量は計画論で、水位というのはある意味では管理の話になって、大変重要な変換点だと思うのですが、その水位の中でも、今、水位何メートルというのはいかんせんわかりにくい。これは余裕はあと何メートル何センチという表現というのは、これは技術的にできるのでしょうか。できればそういう形じゃないと、行政あるいは住民の立場から見るとわからないですよね。その辺がちょっと確認になります。
(委員) よろしいでしょうか。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) 私も全体的な項目なり問題意識は今後、引き続き検討すべきとした施策というのは、全体をカバーしていると思います。ただ、一番難しいのは、既に議論に出てきていると思いますが、管理水準の区分設定とその内容を基準化するというところであり、何が問題であるかということを十分議論しないといけないと思います。当然、実際がどうなっているのか、あるいはいわば工学的な意味の技術がどうかということと、○○委員が言われたような法制度上なり社会制度上の側面をどう考えるかというのが入ってくると思います。
 例えば、それを考える例としては、きょうご紹介があった新たな概念の河川区域等で、既に行われているいろんな施策が紹介されているわけです。水防災計画という形で輪中堤をつくるとか、一部分だけ地盤をかさ上げするということで対応している例はもう既に幾つかあるというのは私も知っております。ですから、例えばここで紹介されたような施策がきょう話題になったような観点からどのような位置づけができるのか。あるいは、何がまだわかっていない課題なのかということを整理するのが一つ切り口としてはあるという気がします。
 例えばそれに関係しては、資料−4の3ページでしょうか、ここでは例えば川の中に植生がどう入っていて、それの管理がどうかというようなことも触れられたのですが、実はそういったことがほんとうによくわかっているのか。現象がどうか、あるいはそれを水工学上の計算でどこまで出来るか、そういうことも含めまして、管理の基準化というのは相当いろいろな問題を含んでいるというのが一つ。
 それからもう一つ最後は、現在行われている体系としては、河川整備計画が住民等、あるいは地方公共団体等も含めての了解のもとに、20年から30年の間の整備を具体的に示すということになっています。ですから、管理水準の区分設定とか、こういった基準化というのを一番近いところでいけば、河川整備計画の中でどのように位置づけるのかということを示さないと、具体的な現地の方々は、どう対応するのかということが見えないと思います。管理区分の設定で典型的な例は、いわば直轄区間と知事の管理区間、これはほんとうに重要性なりあるいは責任論なり、そういうものも含めてきちんと説明をすることがどこまでできるかと言われますと、例えば我々が大学で学生に講義をするようなときも、全部明快に合理的に説明できるかというと、なかなか難しいところがあります。ですから、そういうのもまた一つのイグザンプルとして申し上げているんですが、そういう問題にできるだけ明快な答えを与えられるような体系をつくらないと、全体としては次の政策の検討という点では少し足りないかと思います。この委員会では、そうした点の議論ができればいいなというふうに思います。
(委員長) ○○委員、どうぞ。
(委員) あまり学術的なことがよくわからない中で申し上げますが、自治体の長という立場で今回の施策体系について拝見させていただきますと、特に情報の提供、それからそれをどういうふうに共有していくかという点については、よく検討していただいているのかなと、そんなふうに感じました。ただ、聞いておりまして、さて、これから今度はいただいた情報をどういうふうにして住民につなげていくのかなという点になりますと、何となくちょっと心配な感じがいたします。
 何かといいますと、住民の方たちは災害が起こっている今年のような事態だと非常に気にしているんですが、一、二年たつと大体、忘れてしまう。そうしますと、ハザードマップ等ができ上がり、事前に情報が共有されたという形になっても、それが具体的に災害が起こったときの避難行動にどうつなげていくとかということが、なかなかどうも頭の中にしみ込んでいないという形になってしまうような気がしております。
 そこの部分については、今回、一つにはこの組織化の話として、参考資料−2の中で(仮称)災害情報協議会、こういうものを設立していくというのが書いてあります。ここの中で、これが事務所単位でというような考え方で出ておる中で、市町村について、この市町村が、例えばこれは河川局とつながりのある土木の担当だとかということだけでなくて、市において民生担当の部分であるとか、それから消防関係の部門であるとか、そういう皆さん方にまず入っていただくという形で、まずいただいた情報をその皆さん方が共有化してもらうということが一つ大切な話になってくるのかなと、そんな感じがしております。
 それともう一つは、大変ありがたいのですが、利根川などの大河川において危機管理戦略プログラムということでの例示が資料−4の4ページのほうにございます。こういう形で危機管理のプログラムをつくっていただいたときの避難体制と、その後ろに書いてある項目でございますが、こういうものも、例えば今度はそれを利根川においては1都6県の水防演習等が行われております。私どもでもこの10年間で2回やっていただいておりますが、住民との関係での避難訓練も、この2回の経験の中で、2回目では少し取り入れられておりますが、実際は自治会の人が集まってぞろぞろと歩いていくというような形になっているだけで、まさに河川区域から外に出てというか、実際に住んでいるところ、そういうところにおいての情報の伝達がどうなるかとか、そういうところをこの訓練の中で、防災の演習の中で、水防訓練の中でやっていただけますと、まずどういうふうに動くのかなというのがわかってくる。演習に加わっているのは、自治体の住民全員の参加ではないですが、そういうことを例示としてやっていただくと、各自治体で今度は自分たちが防災訓練をやるときに、そこの中に加えることができると。こんな形で少し住民の頭の中にたたき込んでいくということができるのかなと考えております。
 それからもう一つは、やはり最後に9番目に書いてあります防災教育だと思います。この点について学校での教育ということが書いてございます。今、ゆとりからまた学力の強化へ移行する議論が行われているので、なかなか難しい話なのですが、やはり総合学習のの中で、ここに書いてあるように補助教材等の作成の支援をしていただきながらやっていただくということは重要だと思います。そのときに、過去から伝承されている事柄というようなことが書かれておりますが、それに加えまして、やはりその地域の情報というものをこの補助教材に入れてもらう。全国一律の教材という形じゃない、そういう形にしてもらえれば、子供さんたちは必ず興味を持ってもらえますし、またその子供さんたちが家庭に帰って親と話をするということは当然出てくるだろうと。そんなふうになるかなと思っております。
 それと成人を対象としたもので、いろいろの講座等の場を利用してと書いてありますが、これはできれば先ほどの最初の協議会に戻りますが、協議会の中でコンセンサスをとっていくという形で、各地域で自治会ごとの防災の座談会というようなものをつくってもらって、それを何回も繰り返しやってもらうということから、先ほどのハザードマップの中での避難体制の中につなげていくということ、そういうことができれば、住民のところまでつながっていく避難体制になっていくのかなと思いました。
先ほどからの責任論であるとか、河川局としてどこまでやれるのかという話からしますと、大分はみ出す話になりますが、さっきの協議会あたりをとっかかりにして、少しそこら辺まで持っていっていただければありがたいと思います。
 以上です。
(委員長) ありがとうございました。
○○委員。
(委員) 管理区分の問題、管理水準の問題に関し、提出資料では、河川管理のいろんな内容をこうすれば、することがということを書いていますね。日常的にはこれは行政の責任、だれの責任なのだろうというのが、もっと判れば良いと思います。
 それから堤防、水門というものの機能がどこまで担保されているかということを、河川局なのか、県なのか、市町村なのか、住民なのか。このかかわりについて、示して頂ければなと思います。○○先生がさっき判例の世界で言ったことで、究極は防災かもしれませんが、防災というのは今、社会的には減災も視野に入れていこうという流れになっています。防災ですと、つぎ込むコストが高過ぎる場合があります。社会的に今、日本の現状から見ると、完璧な防災を目指すのではなくて、防災を目指しつつ、減災社会でいこうではないかとこういうことになっております。それで行政責任のところを最初に聞いたわけです。明確に減災という言葉を出していいと思うんです。私は、きょう予算の資料をいただいて見て、やはり河川局が行ってきた施策の中で、明らかに減災効果を現在の堤防でもうつくってきているわけです。これは究極には計画だとか目標だとかいろいろな言葉を、これは河川行政の中の言葉で、我々はほかのグループは全くわかりませんが、何か目標はあると。目標の段階においては減災効果をより発揮するための仕組みに、もしもハード的なものとソフト的なものの運用が、○○先生がおっしゃるようにあるとすれば、それはきちっと改めればいいと思います。
 それから情報と教育のことに関して一つだけですが、土木学会のお世話でこうやって水災に対してテキストができたということはいいんですが、地域防災の中でもしも防災教育ということであれば、国土交通省はこのほかに水害以外にさまざまな災害行政にかかわっているので、それらのまとまったもののようなものにした上で、○○先生がおっしゃるように地域の特性については地方整備局と地方気象台がよく把握しておりますので、そういうものをまとめる形にしていただきたい。
 それと、情報についてですが、私はどうしても気になるのは、一般市民はもともと自分のところに災害は来ないと思ってい勝ちです。正常化の偏見ですが。これは神戸でもずっとそれが議論になっています。災害は認識しています。だけど、自分には降りかからない。だから、こういうどこかに置いている情報というのは、自分が巻き込まれたときにアクセスする。そのときには手遅れなのです。つまりプッシュ型の情報配信というのはどうあるべきか、これは議論しておく必要があると思います。もちろんこういうデータベース化して、さまざまに高度化していろんな情報をボンとデータベースに入れるということは、よさそうで案外よくない。つまり行動様式に結びつかない情報ともなる場合があります。そういう専門家との接続を考えていく必要があるのではないかと思います。
 それから、ダムの放水のどこかで出ているんですが、屋根の拡声器で聞かせますよと。それを緊密にやりますというのですが、時間雨量大体20ミリを超えた雨のときには風が伴うので拡声器は機能しないのです。ですから、知らせる行為というものを従来型のものから、音から視覚にするような行為も含めて、情報伝達のあり方を考えていかなきゃいけないと思います。現実に台風のときに、これはNHKさんが言ったことなのですが、防災行政無線で流していますと言っても、表に出られないのです。そもそも聞こえない。そういう市民のとるべき行動様式を想定した伝達方式を考えていく必要はあるではないか。
 それからインターネットは、発災のときにその地域について、例えば中越のときにメール等は大体、40数分、全く機能しなかったのです。これは停電と回線輻輳のためです。今我々は国土交通省の河川局にもご相談しながら、そういう災害に強いネットのあり方に関し、既存のインフラで伝えられなくなることはあり得るということは想定しておく必要があると思います。
 長くなりまして、すみません。
(委員) 去年というか、この1年間は有名河川、大河川ではなくて中小河川の被害が目立ったということで、私どもマスコミの立場から言いますと、これをどう伝えるべきか。もちろん被害が出ましたということは、一時的な一時速報、どういう被害が出たかというのは、それはもう伝える方法はちゃんとわかっているわけですが、因果の関係まで含めた全体像をどう伝えていくのかというときに、特にこの中小河川の場合というのは大変難しいというのが私なんかの経験的なことでございます。ときどき裁判になって判決が出るのを待っていますと、もうそれはどういう事態か、社会情勢まで変わってしまったころにしか、そういったものは出てこないわけでございます。
 ですから、それはそれで規範としては大変大事なことなのでしょうが、例えば今年起きたこと、新潟や福井やあるいは兵庫県等で起きたことを、少なくとも世の中の関心があるうちに、今年のうちに、あるいは1カ月、2カ月ぐらいのうちに、もう非常に中間的でも結構ですので、4番に書かれたようなこと、全体としてはこういうふうなことが問題ではないのかということをもう少し体系的に出していただけると、我々伝える側もこの水害というものが何なのかというのを世の中に、空気が熱いうちに伝えていくことができるのではないかと感じております。自分でやってみても、だれにコメントを求めたらいいのか、ばらばらなのです。言う方によっては、非常に違う。特に中小河川の場合、去年のような場合。ですから、信濃川の堤防が切れて大変なことになれば、これはまだやりようがあるし、すぐに特集を組んでこうだとまだまだできるんですが、今年は我々も何とかしたいと思ってはいるんですけれども、では、上流、中流、下流だとか、さまざまな総合政策だとかいう中で、現場を見れば見るほど、しかもハードは難しい。ソフトだと。じゃあ、何を言ったらいいのかというのは、ほとんど経験のないジャーナリストにとっては無理だと感じていまして、ここのところが今、こういう現象がなかなか進んでいかない、地震に対してこうだというのが見えてこない最大の原因ではないのかとは思うわけですが、さりとて、じゃあ、どうしたらいいのかというと、なかなか難しいとも思います。
 それからもう一つは、雑駁なのですが、例えば利根川が堤防が崩れます、氾濫しますと言っても、明日の特集で5分ぐらいやっても、次の日に何か変わるかというと、多分変わらないです。最近はいろんなシミュレーションなれしてしまいまして、原発でも放射能漏れがありますとすごい格好をして訓練をやる。もうやるようになりましたね。一時これをやらなかったんですが、だけど、それをやったって、社会的にはほとんど変化しません。ところが、この間の福井の事故のように、管が減肉、薄くなって、ああいうふうなことが起きるんだ、こういうリアリティーを、事故が起きて初めてみんな、ああ、そうかということでびっくりするわけです。
 ですから、堤防もそうでして、利根川が崩れると言われたって、ほとんどの人は何とも思わないのですが、例えば湿潤とか土質の違いとか、堤防の構造はこうなっていて、ほんとうにそういうことがこの数年間にヒヤッとするようなことが、小さな穴が空いて起きているんだと、そういうことをどう伝えるのかということによって、リアリティーだと思うんですが、それをどう確保していくのかという問題。それをあまりオーバーに伝えるとパニックになっちゃいますから、これも困ることなんですが、私は2つぐらいのことを感じていまして、非常に総合的に伝えることが難しいことを、何らかの形で、これは規範化ということもそういうことを、基準化はおっしゃっているだろうと思うんですが、もう少し我々がそれほどの知識がない者でも全体的にこういうふうに伝えられるんだというような、どこかにそういうものが、事態が雲散霧消してしまわないうちに、世の中の空気があるうちにやる気にするような仕組みをつくるべきじゃないのかというのが一つ。
 それから予防的なところでは、通り一遍のシミュレーションではなくて、どの辺のリアリティーを強調していくのかということも伝えていく立場の現場にいる人間からは、次の段階としては、それを伴っていないと、シミュレーションでポンと出せば、つまり浸水予測地図ですと出しても、多分、一般の人にはあまり効かない。もちろん行政の人には効くのでしょうが、その2点を感じました。
(委員長) ○○委員、どうぞ。
(委員) 幾つかコメントしたい点はあるんですが、時間が少ないようですので、2点だけ、しかも簡単にお話しさせていただきたいと思います。
 1点目は全般的な印象ですが、提言の中でソフト対策とハード整備が一体となったと宣言しているわけです。きょうの論点は、私の印象ではソフトがかなりウエートを占めているように見えまして、どこからやるんだという意味での具体的なハード整備はあると思うんですが、その前にどういう質的な強化をするかというところが見にくいように感じました。そういう意味では先ほど○○先生、○○先生もおっしゃましたが、外力が施設を超える可能性があると宣言しておりまして、これについては今回の一連の台風もそうですし、インド洋津波なんかでも再認識したところでありますので、そういう宣言をした上で、そういう認識に立った上で、今までのハード整備と違うハード整備というのが必要なのかどうかということを検討するというのは、重要な項目の一つとして挙げるべきではないかというのが1点です。
 もう1点は、海岸の事情、私は専門は主として海岸を見ているものですから感じた点ですが、これは前回もコメントしましたが、情報の提供を受け手情報に変えていくということを言っているわけです。海岸は特に災害時の情報なんかをごらんになっていただいてもわかるように、出てくるのは台風の進路予報程度でして、送りたくとも送れない状況にあるのが実情じゃないかと思います。そういう意味では、この前の段階として、情報の充実ということも論点の一つに加えるべきではないかと感じました。
 以上です。
(委員長) 各委員にはそれぞれご発言いただいて、まだまだ議論が尽きないわけですが、事務局はずっと沈黙していて、いろいろつけ加えたいこと、あるいは釈明したいこともあったかと思いますが、いいですか。
 では、局長の発言は後からお伺いさせていただくことにします。私なんかはハードのほうが専門ですが、きょうも地域に優先度をつけるとか、いろいろ提案がありました。これから少子高齢化で投資資金も少ない、また生産労働人口も少なくなってくる。今、優先度について基準化と書いていますが、ほんとうにこの基準どおりで住民の理解が得られるのかと心配もしながら聞いておりました。拠点を守るというと、じゃあ、東京の利根川と荒川は守るけど、石狩川は守らないのかという議論に発展してもまたこれはコンセンサスは得られないでしょう。その辺はどういうふうに国民のコンセンサスを得ていくのか。下手に間違うと、さっきの国賠法の1条に引っかかるなんて脅かされましたし、これらも含めて少し事務局で法律的なことも、あるいは○○先生のお話も聞いて整理していただきたい。いずれは通らなきゃいかぬ道だとすると、そういう問題を頭に置きながら、きょうの議論を整理していただいて、次の委員会に臨み、あるいはうまくいけばその場で諮問案まで到達できればいいと思います。そんな形で次回をお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。
それでは、本議題につきましては短時間の中で熱心なご審議・ご議論をいただき、また貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
 次回は本日の各委員のご意見を踏まえ、総合的な政策提言のとりまとめも念頭に置きながら、引き続き今後取り組むべき具体的施策についてご審議をいただきたいと思います。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いて、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議事は、以上でございます。
(事務局) 委員長、どうもありがとうございました。





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