ホーム >> 政策・仕事  >> 河川トップ  >> 審議会等  >> 過去情報

河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第6回豪雨災害対策総合政策委員会
(議事録)


2.議事
総合的な豪雨災害対策の推進について

(委員長) 本日は委員の皆様には御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは議事に入ります。本日は前回の議論も踏まえ、本委員会としての総合的な政策提言の取りまとめについて審議を行いたいと思います。
 それでは、事務局より説明をお願いします。
(事務局) 事務局です。資料−1と資料−2に基づきまして、お話をさせていただきます。
 座って説明をさせていただきます。
 前回、大きなお話としまして、12月に緊急提言が出ておりましたが、それに合わせて今回の最終提言は、それに加えた部分について整理をさせていただいたんですけれども、全体をあわせて構成した方がいいということで、そんなふうにしております。
 資料−1の1ページをお開きいだきますと、目次が入ってございます。資料−1の1枚めくったところの目次でございますが、「はじめに」の後、「近年の災害の特徴と新たな課題」ということで、自然的状況と社会的状況の変化。それから2として、これを踏まえて「今後の対策の基本的方向」。それから「具体的施策」でございます。
 以前はどちらかというと、情報だとか水防力の向上は緊急提言の方に入っておりましたので、今ここにあります1番の、「早期に災害安全度を高めるための防災施設の整備の質的転換」と、2番の「防災施設等の機能の維持管理の充実と危機管理体制の強化」を中心に書いておりましたが、それ以外に3番の「的確な判断・行動を実現するための防災情報の提供の充実」と、その次のページへいきまして、「地域防災力の再構築」という全体でとらえてございます。
 これの中身と構成についてですが、資料−2のA3のカラーの横長のものをごらんいただきたいと思います。これは前回の緊急提言の、若干おさらいになって恐縮でございますが、上の方にございますように、本文の方もこういう書き方をしておりますが、先ほどの近年の災害の特徴と新たな課題につきまして、自然的な状況として集中豪雨が多くなっているとか、これが続くといった点でございます。中身は基本的に前の緊急提言のときと同じです。
 それから社会的状況も、少子高齢化ですとか、コミュニティの変化ですとか、地下空間の利用。これらを含めまして、下の今後の対策の基本的方向のところも基本的には同じでございますが、大きくとらえて1つ項目をふやしてございます。
 一番上のソフト対策とハード整備が一体となった減災体制の確立は前も同じですが、どちらかというと付随的に行ってきたきらいのありますソフト対策につきまして、災害対策の重要な柱として、本格的に展開するという中身のことを本文の方では書かせていただいております。
 2つ目がハード整備について、今まで少し画一的に考えられていた部分につきまして点検をして、土地利用だとか住まい方の状況等を踏まえたハードの整備に、質的転換を図るという中身でございます。
 ここまでは緊急提言のときもありましたのですが、最後の地域防災力の再構築への本格的支援ということで、河川、砂防、海岸等の行政で、こういった点につきましては関連が深いのでございますが、一生懸命その部分をやってきたという感じではないのかもしれません。これを今後の行政としては、こういう地域の防災力の向上への支援も本来の重要な使命だということで、展開をしていこうというものでございます。
 1枚おめくりいただきますと、整備といいますか、先ほど最終提言で加わりましたというか、密な検討をいただきました1つが、3の1の「早期に災害安全度を高めるための防災施設等の整備の質的転換」ということで、ここでは画一的な施設整備の防御から、土地利用とか住まい方なんかの状況を踏まえて、以下の施策を総合的に展開しようということでございます。番号は本文の方に合わせてあるので、主要なものだけが飛び出ている感じなので2から始まっております。
 2は、「土地利用状況に応じた安全度確保方策の体系的確立」。従来、いろんな将来の土地利用の可能性を考えて、これまでは連続した堤防で整備してきたと。しかし、整備には長時間を要するみたいなことでございます。
 片や、人口の減少時代、それから土地の開発圧力の低下等がございますので、こういったことを踏まえれば提言と書かれているところに、写真がございますが、宅地のみを例えば輪中堤で防御して、そこの安全度を確保する。また、堤防施設をつくるかわり、右のように守るべきものそのものをかさ上げしたり、移転したりする。こういうものは今までも暫定的な措置とか、施設整備に伴う補償という概念で限定的には行われてきているんですが、きちんと下の3も含めまして、実際の手法としてできるような格好で、制度とか事業をきちんと整えるべきではないかという中身であります。
 3が、これも関連いたしますが、効果的な災害対策の観点から土地利用を考えるというものでありまして、これもすべて氾濫を防ぐというところからこれまでやってきたと。これがある種、ここはどうせ安全になるんだからというので、災害に遭いやすい場所にも住宅が建てられたり、従来遊水していた場所、右下のように霞堤みたいなのがありますが、そこで洪水になればあふれるところが閉め切ってきて、水系全体としては安全度が低下するということが起きてきたと。これを土地利用状況と災害対策状況をリンクさせますことで、うまく整理していこうと。この中で、場合によっては土地利用の規制・誘導みたいなものも検討していくべきではないかという提言内容にさせていただいております。
 多分、23などは非常にリンクした格好で、あふれるところの土地を、例えば2の手法でやるという性格かと思います。
 右側の5は、昨年の災害を見ますとかなり市街地で堤防が切れて、大きな被害が発生したと。足羽川にしましても、刈谷田川、五十嵐川にしても、施設能力を超える、堤防からあふれるような非常に大きな洪水であったわけでありますが、そういう万が一の状況でも、市街地で切れるようなことは避けるべきではないかということで、下の提言にございますように、例えば施設を超えますような洪水のあふれる場所を、市街地以外のところで確保する。
 それから、瞬間、高い水位が上がるようなのが中小河川でございますので、そういうことも考えれば、少々洪水位が上がったときでも切れないような堤防の強化を、重要な部分について、ネックとなる部分について特にやっていこうというものでございます。
 その他、1467に書きましたようなことを、緊急提言でも出ていました、例えば既存施設の有効活用ということで、ダムの予備放流なんかもしっかり考えようということ等でございます。
 1枚おめくりいただきまして、もう1つの御議論、御審議いただきました大きな点は、「防災施設等の維持管理の充実と危機管理体制の強化」であったと思います。昨年の災害で、かなり施設規模を超える洪水での被害が起きております。きちんと管理をするということ、それからもう1つは、万が一堤防が切れたり、いろんな事件が起きましても、被害を最小にするための危機管理体制をしっかりやると、そういう2つのことが重要ではないかという中身でございます。
 左側の「維持管理の充実」については、これまでどちらかというと経験的に各河川ごとに考えられてきた維持管理、それから中小洪水の経験も減ってきたという中では、少しきちんとしたマニュアルといいますか、維持管理の基準みたいなものを考えて、こういうふうにしないといけないということを明確にしまして、下の提言でございますが、1を踏まえて、各河川ごとにどういうふうな管理方針、管理計画でやっていくかということを、ちゃんと決めてやっていくべきではないか。はたまたそれが整備計画だとか、そういうものともうまくリンクする形をつくっていくべきではないかという中身かと思います。
 右側の「危機管理体制の強化」につきまして、その次のページの「情報」、それから最後の「地域防災力」で書かせていただいておりますところは、従前の緊急提言のところでもある程度記載されていたことでございます。危機管理につきましては関係機関全体で、緊急時の行動計画をつくろうと。
 それから、最後のページの「情報」などでは、きちんとした避難勧告なんかができるように、それからいろんな支援をしようということで、かなりの部分は緊急提言でいただきました結果をもとに、水防法の改正、それから予算制度の創設ということで、水防法はうまくいきますと今週にも法律ができ上がる予定でございますので、7月ぐらいを目途に、もう既にいろんな検討だとか、各自治体との連携も少し始めているところでございまして、いただいた提言に沿った格好で情報の充実を今、図っている最中でございます。
 右側の「地域防災力」につきましても水防体制の強化ということで、災害時要援護者への避難の関係、地下空間の管理者が避難誘導計画をつくるなどの体制も、水防法の改正の中で盛り込ませていただいて、すぐ整理するという段階までこぎつけているところでございます。
 本文で、その後いただきました修正箇所等もございますので、前々見ていただいているものと大きく変わっている部分は少ないのでございますが、資料−1へ戻らせていただきます。
 先ほどの目次の後、「はじめに」が1ページに来ております。基本的には前にお示しした内容でございます。
 2ページ、3ページの、「近年の災害の特徴と新たな課題」につきましては、先ほど申し上げましたようなことで、前の緊急提言のときとほとんど同じでございます。
 4ページ、5ページでございますが、ここから今後の対策の基本的方向ということで、具体的な中身について書いております。ここについては幾つかの御意見をいただいていますので、さっと通しで見ていただきますと、最初の今後の対策の基本的方向の第1フレーズ、それから第2フレーズ、大体そのままでございます。
 「また」以下でございますが、幾つか御意見いただきました。「また、「減災」は自助・共助・公助がバランスよく機能して初めて達成されるものであることを踏まえ、これまで施設管理者等としての役割に重点を置いてきた河川・砂防・海岸の各行政は、地域の防災力の向上への支援も行政の本来の重要な使命として取り組むべきである」というふうに、少し御意見いただいた部分で文章を直してございます。
 そういうことを踏まえて、「以下の内容に重点を置いた災害対策に大きく転換すべきである」ということで、1つ目の○、2つ目の○は大体緊急提言で書いていただいたものであります。
 2つ目の○の最後は、「管理の高度化」とだけございましたのを、「管理の高度化・効率化」というように、少し修正をさせていただいております。
 それから、3つ目の○の「地域防災力の再構築への本格的支援」につきましては、先ほどのように、これも本来の重要な使命だということで、こういう形のものを取り出させていただいております。
 中身その他、細かいところはあまり変わりありません。
 6ページへいきまして、「具体的施策」でございます。具体的施策の書き方は、すべて今後の対策の基本的方向を踏まえて、以下の施策について具体化に向けて取り組むべきであるというように、最初のところで先ほどの基本的方向を踏まえて、具体的に以下のように取り組むべきであるというふうに書かせていただきまして、そこから以下は「このようにする」、「すべき」とか、「必要」とかいろんな文字があちこちに書かれておりましたものを整理しております。
 また、緊急提言との関係は、先ほどの2段落目でございますが、行政が行う情報提供、地域で実施する水防活動等を中心とする施策については、緊急提言において早急に具体化を図るべきものとして提案したということで、緊急提言との関係を整理させていただいております。
 1番から、ちょっとそこだけ読まさせていただきます。ここのあたり、いろいろ御意見をいただきました。
1.早期に災害安全度を高めるための防災施設等の整備の質的転換
 これまでの治水対策は、防御される氾濫域の将来の土地利用の様々な可能性を考え、現在の土地利用に関わらず、ほぼすべての河川の区間で同様の安全度を確保すべく、連続した堤防を築造する手法等がとられてきた。
 しかしながら、集中豪雨の頻発等を踏まえ、また投資余力が限られる中で、災害に対する安全度を確実かつ早急に向上させていく必要があることから、今後は、人口減、土地開発圧力の減少といった氾濫域内の土地利用状況等を踏まえ、守るべき対象を明確にして、効果的・効率的な整備を進めることが重要であり、以下の施策を総合的に展開する。
1防災施設等の整備状況の調査・評価・公表
 地域の災害安全度や防災施設等の整備状況を調査・評価・公表するとともに、その結果に基づき適切な整備の進度管理等を実施する。
2土地利用状況に応じた安全度確保方策の体系的確立
 氾濫域の土地利用状況に応じて必要な治水安全度を設定し、これに合わせ、従来からの連続堤防方式にこだわらず、輪中堤の築造、宅地等のかさ上げ・移転等により宅地等を早期に安全にする方式を治水対策の重要な手法として進める。このため、治水安全度とその設定方法等について整理し、地域の土地利用、意向等にも適合した整備手法等の体系的制度を確立する。
3効果的な災害対策の観点からの土地利用の誘導
 従前からの遊水機能を有し、上下流バランスや水系全体の治水安全度の確保の観点から、その機能が今後も維持されることが望ましい区域、治水安全度が元来低く、土地利用に当たって相当の安全確保対策が必要となる区域等については、土地利用状況を踏まえた治水対策を実施するとともに、治水対策の方針を反映した土地利用への誘導を図る。このため、治水計画と土地利用計画との調整、並びにそのための地域の合意形成を図る仕組みを構築する。土砂災害については、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定の促進を図るとともに、高潮災害についても海岸背後地の土地利用計画と調和した海岸保全対策を講ずる。
4既存施設の徹底した有効活用による防災機能の向上
 計画を超える自然の外力にも早急に対応するため、降雨予測技術の進展も踏まえ、ダムが下流区間に対してより効果的に機能を発揮させることができるような操作ルールの変更など、既存施設の有効活用を進める。
5中小河川における異常洪水発生に備えた減災対策
 集中豪雨の影響を受けやすい中小河川において、施設能力を超える洪水が発生した場合にも、人口・資産が集積した市街地部での破堤をできるだけ回避できるよう、市街地部以外での遊水地域の確保、治水上重要な区間の堤防の質的強化等を図る。その際、洪水位が急激に上昇する一方、高い水位が短時間しか継続しない中小河川の特性を考慮した施設設計とするとともに、堤防の機能の劣化を把握できるよう維持管理する。
 67は前々のところと変わっておりません。
 次に、8ページの2番は、「防災施設等の機能の維持管理の充実と危機管理体制の強化」でございます。
(1)防災施設等の機能の維持管理の充実
 昨年は多くの地域で、破堤をはじめとした防災施設の破壊により甚大な被害が発生した。施設規模を超える自然の外力の発生が原因であるとはいえ、地域の防災力の低下、水防体制の脆弱化等が進行する中で、機能維持としての管理の重要性がより一層再認識された。
 また、管理施設が増加する一方で、限られた予算と管理体制の中で効率的に維持管理を充実させていくことが大きな課題となっている。特に、都道府県が管理する中小河川においては、堤防等の施設の点検も十分行われていない場合が見受けられた。
 これまでは、管理内容については特段の基準を定めず、個々の河川ごとに経験的に必要と考えた管理が実施されてきたが、最低限必要な管理内容は何かといった点が不明確に行われてきたため、結果として本来必要な管理内容に対して、実際行った管理内容に不足や無駄があった可能性がある。このことは河川の区間レベルの問題としてだけでなく、個々の施設、その部材レベルでも同様である。
 このため、維持管理内容等を明確化して、確実に実施することにより、的確な機能維持を図る。
1最低限行うべき維持管理の基準の制定
 「どのような河川の区間では、どのような河川の機能が維持されるべきか、そのためにどのような管理をすべきか」を明らかにした上で、維持、操作、状態の監視、・評価、改善等について最低限行うべき管理行為の内容、頻度等を具体的に定めた維持管理の基準を制定する。
 その際、必要に応じ、河川の規模、氾濫域の状況等から想定される災害ポテンシャルの大きさ等を勘案して、幾つかの分類を考慮した管理基準とする。
2河川ごとの管理方針・計画の策定
 的確な管理を行っていくためには、各河川の特性を踏まえ、管理基準にも照らし、各河川ごとに管理方針・計画を定め公表する。また、策定に当たっての地域の理解を得るためのプロセス手法等についても検討する。
 河川の管理方針・計画の策定に当たり、河川整備基本方針及び河川整備計画との総合性を確保する。
 さらに、維持、操作、状態の監視・評価、改善といった一連の行為が相互に関連するサイクル型管理体系を構築する。あわせて、今後の事後評価システムは、災害の有無にかかわらず、出水後に治水機能、施設状況等について評価するものにする。
3耐久性・効率性等を重視した施設・部材の整備・管理基準の充実
 施設や構造物を構成する部材等についても、全体として河川の機能が発揮されるように、例えば「洪水時に損壊してはならないもの」、「ある程度の損壊を許容するもの」などに評価・区分するなど、必要な機能、耐久性、品質等について基準化し、効率的な施設整備・維持管理・更新等を行う。
 堤防については、状態の監視・評価を適切に行い、計画高水位に達するような高い水位が長時間続いても必要な機能が確保されるよう、質的強化を図る。
 (2)の「危機管理体制の強化」につきまして、前々書いていますことと同じでございます。1が「河川管理等の防災体制の総点検と改善」、2が「危機管理行動計画の策定」、次のページへいきまして3「広域的な危機管理体制の構築」、4「大規模な豪雨災害等の調査検討体制の確立」でございます。
 11ページへまいりまして3番が、「的確な判断・行動を実現するための防災情報の提供の充実」でございます。
 (1)が「緊急時の防災情報の送り手情報から受け手情報への転換」。このあたりは緊急提言で大体書いておるものですが、1としまして「中小河川等における洪水予測等の高精度化」。2「市町村長が的確に避難勧告等の発令をするための情報の充実」ということで、その後の「避難勧告等の発令の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」等が内閣府、国土交通省、消防庁で作成をいたしましたものの記述を加えてございます。
 3「市町村等への支援体制の確立」。4「災害を実感でき判断・行動に役立つ情報の提供」。  次へまいりまして、5「迅速かつ確実な情報の収集・伝達のための体制整備」であります。
 13ページへまいりまして、(2)「平常時からの防災情報の共有の徹底」。1「浸水想定区域等の区域指定の拡大」。2「ハザードマップの全国的緊急配備」。3「豪雨災害に適合した避難場所の総点検」。
 4は全く新しくつけ加えさせていただいていますが、○○委員からお話をいただきました、わかりやすい用語への転換というか、これはちょっと済みません、先ほどA3の紙では「改善」と書いてありますので、「改善」の方がよろしいのかなと思いますが、4「わかりやすい用語への改善」。
 「情報提供において使用する専門用語について総点検し、その言葉としての機能を損なわない範囲内で住民等が理解しやすいものに見直すとともに、やむを得ず理解がしにくい用語を使用する場合においても、用語の意味をあわせて提供する。」というのをつけ加えてございます。
 14ページにまいりまして4.「地域防災力の再構築」であります。(1)「水防体制等の充実強化」。1「水防体制の強化と水防技術の向上」。2「災害時要援護者の避難誘導体制の充実」。3「地下空間における避難誘導体制の構築」。
 (2)「被災後の復旧・復興への支援」。1「被災者の後片づけ等への支援」。2「被災者支援センター設立への支援」というので、この辺は○○委員の方から、平常時からということでございますが、体制として平常時からできるかどうかでございまして、関係機関とも相談をして、3行目から4行目にかけまして、「災害発生後に迅速な設置が可能となるよう、関係機関は平常時より十分な連携を図る」というふうにつけ加えさせていただいております。
 (3)「防災教育等の推進への支援」。1「学校教育での防災教育」について。2「地域の防災講座等の実施」。
 最後のページでございますが、3「災害記録等の整理とすぐれた教材の開発」。4「災害の伝承者の登録・派遣体制の整備」。5「防災教育支援行動計画の策定」ということで、この辺ちょっと飛ばしましたが、前々ご覧いただきましたようなところ、それから御意見をいただいて直しましたところを御紹介させていただきました。
 以上、説明を終わらせていただきます。
(委員長) ありがとうございました。
 ただいまの提言案について御質問等をいただきますが、事務局から前々から御連絡もしてあるようでございますが、本日最後に国土交通大臣がおいでになって、この席で取りまとめた私たちの方針を差し上げることになっております。
 したがいまして、この案文のままではちょっとまずいところがあれば、先に皆さんにおっしゃっていただいて、事務局で即時手を入れて直していただく段取りにしたいと思います。それが終わった後は、これを踏まえて今後へ、あるいは皆様の思いをここで議論していただくという2段階で進めたいと思います。
 そこで恐縮ですが、今の説明案の案文の中で、改善して直した方がもっとすっきりするとか、あるいはちょっとこれは誤解を招くんじゃないかという致命的なところがありましたら、先に御発言願いたいと思います。
 今、事務局の説明で13ページの4の「わかりやすい用語への転換」というところは、事務局も「改善」の方がよかろうというので、これはそのように直してもらったらいいと思います。
 そのほか、ひとつ順次御意見ございましたら御発言をお願いいたします。
(委員) 今後のところはまだあれで、ちょっと文章的に気になるところだけ、遅ればせながらあれなんですが。9ページですけども、堤防の問題について、中小河川等で急激に水位が上昇という話が堤防強化のところで書いてあるんですが、9ページでは「計画高水位に達するような高い水位が長時間続いても」というところがありましたね。これ、一番最初のときには、「計画高水位に達しないような」という文章だったと思うんですけども、非常にあいまいなところですね。中小河川などで洪水継続時間が非常に短いときの問題と、それから長時間の問題とごちゃまぜにならないかというのが、ちょっと明確に……。
 9ページの真ん中ぐらいですね。3の「計画高水位に達するような高い水位が長時間続いても必要な機能が」というのが、ほかのところで議論している短時間の話とちょっと誤解を招くのじゃないかという気がいたしました。
 続けてよろしいですか。
(委員長) はい。
(委員) 11ページの3の(1)の1「洪水予測等の高精度化」と書いてありますけれども、高精度化と、もう1つは中には書いてあるんですが、「情報空白域の解消」。すなわち精度を上げるだけじゃなくて、精度が足らなくても、そういう予測システムがあるところの範囲をできるだけカバーしていくんだという方針だと思うので、ゴシックのところを高精度化だけに限らない方がいいんじゃないかという気がいたしました。
 もう1つは13ページ、「浸水想定区域等の区域指定の拡大」と書くと、区域がどんどん拡大するようなんですが、区域指定制度とか、そういう枠組みを広げていくわけで、指定区域を広げるわけではないので、誤解を招くという意味で、さっと読んだときに気になりました。
 読んだときに誤解を招くという視点での指摘はその3点でございます。
(委員長) おっしゃられたのは、まず最初は9ページでしたね。
(委員) はい、9ページ。これはどんな位置づけに。
(委員長) これと中小河川のところと、どう調整するのか。こちらはどちらかというと、中小、大河川もあわせた議論と。中小河川はどこに出ていましたっけ。
(委員) 7ページの5の真ん中に、「洪水位が急激に上昇する一方、高い水位が短時間しか継続しない中小河川の特性を考慮した堤防の強化」みたいなことが書いてあって、さっと眺めたときに、少し混乱するかなという気がいたしました。
(事務局) ちょっと性格が違っているんですけど、9ページの方は緊急提言のときの御議論のままの文章なんですが、基本的考えだと、今あるものをきちんと品質を確保しようという話なので、その中のどちらかというと施設の機能維持の中へ書いております。
 ただ7ページの方は、中小河川の洪水が一時的に急激に上昇するときの特性をとらまえて、それに対して、先ほどA3のカラーのやつもございましたけど、そのときに町の中で切れるようなことは避けるという意味で、堤防の質的評価という単語は一緒と言うけど、それがすべて一緒という意味ではないので、このままでどうかと思います。
 そこを「堤防質的強化」というと、いつも同じものなんだということではないと思って整理をしているのでありますが。
(委員) 私はそう理解しているんですけれども、ちょっと読んだ方が誤解するんじゃないかなということで指摘しただけで、中身は私自身は心得ています。
(委員長) 7ページに「特に」を入れておきます。「その際特に」とか。「特にその際」か。中小河川をちょっと特別扱いをしているよというニュアンスが入ればいいでしょう。「特に」がとんでもないところへ入ってはまずいけど。
 9ページは堤防全般論だと。7と9が逆転していればいいんだけど、位置づけがあるから、前の方に「特に」とか入れましょうか。どうですか。
(委員) 今、○○先生が言われた9ページの3の3行が入ったことによって、ここの2がよくなったと思います。これはこれで、私はいいと思います。
 それから中小河川は、高い水位が短時間で急激に上がることから、実は今まで大河川のやり方で、計画・設計を進めてきているんですが、そういうのではまずいし、それから堤防の機能の劣化を把握できるような維持管理をするというのも、中小河川の場合は抜け落ちています。これをいかに今後やるかということのためにも、これはこれでよろしいんじゃないかなと思っています。
(委員長) 御提案者はわかっているんだけど、誤解を招かないかというところですから、誤解がなければいいですか。
 じゃあ、それから次の課題はどうでしたっけ。
(河川局長) 最初に○○先生が問題提起されたときも、9ページ目の方は計画高水位に達するということは、計画高水位をオーバーして長時間というふうにとられては困るのではないかという御指摘かなと思ったんですね。そうしますと、計画規模に近いような、そういう洪水が高い水位が長い時間続いてもというニュアンスになれば。
(委員長) これはそうは読みますよね、9ページはね。達しないというか、近いということだろうと思います。
(河川局長) 実は7ページの方が逆に、計画高水位を超えるという、ここに表われてはいませんけど、そういうことなんですよね。
(委員) そうですね。一番最初のときに議論しましたね。一番最初のときに、9ページの分だけがあって、どうして7ページの分がないんだという言い方をしたんですけども。それはそれでよろしいんですけども。
(委員長) 「特に」を入れてもというんだけど、「特に」の入れ場所が難しいですね。
(委員) そうですね、はい、結構です。
(委員長) それから11ページの、これは両方入っていますね。「高精度化」と「情報空白域の解消を図る」、これは表題を「充実」にしたらどうですかね。
(委員) そうですね。
(委員長) そうすると両方入りますかね。「予測等の充実」。11ページの上から3行目の表題ですね。これを「高精度化」じゃない、「情報空白区域の解消」というものが入っているぞということなので。
(委員) これ、ちょっと性格が違うんじゃないですか。予測精度の高精度化と、観測の空白域の解消。
(委員長) はい、違うんですけど。
(委員) 観測の空白域の解消ですよね。ですから、予測等の高精度化というのは極めて重要な課題で、それを担保するために情報の空白域の解消というふうに読むのではないかと思うんですけどね。
 その意味では、私はこれで十分わかると思いますが。これ、事務局の方が整理していただければいいかと思います。
(委員) 私自身考えましたのは、洪水予測等が情報が少なくてできないところでも、ある程度のレベルでの予測が必要だということが認識されたんだと思うんですね。すなわち、予測が全く行われなかった区域というのは、情報もなかったんだけども、実は少しの情報があっても、0次レベルとか1次レベルの予測もなされなかった。そういうものを予測と言わないんだと言えばそれまでなんですけれども、1時間後にどれぐらいの雨になるのかということ、精度が低くてもそれをある程度の予測をして、そういう防災情報として生かすことが必要だという議論をしたように思ったので、私はそう申しました。
(委員) 今の問題は、委員長が言われた「充実」というのがよろしいんじゃないでしょうか。ですから、「予測の精度を上げる」という部分と「空白域の解消」という部分が、「予測等の充実」ということであれば、両者含むことができるように思いますが。
(委員長) さて、提案者はいかがですか。
(委員) いや、「充実」にしていただければいいんですけども。
(委員長) じゃあ、「充実」にさせていただきましょう。
 次の13ページの「浸水想定区域等の区域指定の拡大」。
(河川局長) これは実際、指定区域は拡大というか、前に指定してあったところがさらに拡大するという意味ではなくて、指定される国土の面積が拡大されていくという意味で使っている言葉なんですね。
 御指摘の「制度の拡大」と言うと、またちょっと違うニュアンスになりますから、何かもう少しいい表現を考えた方がいいかと思います。
(委員長) 対象区域指定の拡大ではいかがですか。
(河川局長) ええ、そういうことなんです。
(委員長) じゃあ、そうしましょうか、異論なければ。
(河川局長) 対象区域の拡大。
(委員長) はい。
 そのほかございますでしょうか。
(委員) 9ページの1行目のところで、「総合性」というのが出ているんですが、「総合性」というのは並立するものをあわせて全体で見たときの印象ですが、これはむしろ基本方針整備計画という上に、少し上位概念の下に管理方針とか計画があるような気がしますので、総合性というのかなというのは、ちょっと奇妙に感じたんですが。むしろ整合性とか、そういう言葉の方がふさわしいのではないのかと思ったんですが。
(委員長) 若干これは私の持論もございまして、提案者ではないんですが、河川整備基本方針というのは、この河川をどういうふうに改修して、どういうものをつくっていくよという形が表されます。でき上がった姿の議論が多くて、現実の河川をどう管理するかというところが、書いてあるといえば書いてあるんだけど、ちょっと不足ぎみなんじゃないかと思います。
 それから、どちらかというと、実際に現場の人もいずれここは改修するのでこうしますという、将来像の理念が多くて、今ここはやばいよとか、当面どのように維持管理すべきかという管理の理念がちょっと薄かったんじゃないかと思います。これから少子高齢化となっていくし、国土の開発圧力も減ってくるとすると、現実の国土を眺めながら、現段階でどのように管理するのかという方針が必要です。整備と管理は車の両輪ぐらいに、将来は上げていってはどうかなという思いがありまして、それを提案した次第なんです。
 整備計画が工事中心のものだとすれば、管理あるいはそれこそここには書いてありませんけど、例えば許認可みたいな方針も必要です。今回も庄内川で下流が破堤しているのに上流でポンプで排水した例がありました。あれは怪しからんじゃないかというのは、常識的には言えますけど、維持操作についての手続はとられていない。だから、上流側は排水する権利があるし、下水道管理者だったら当然じゃないかということになります。将来、下水道管理者とか、あるいは農業の管理者も含めて、こういう状態では向こう何カ年は少なくとも破堤した際はポンプ排水運転はやめてくれというのを、極端に言ったら法定計画ぐらいにしておかないと、なかなか難しいのではないかと思います。そちらの方へ向かって一歩進んでいただきたいというのは、この項については提案者として申し上げたいのです。
 ほかの委員の方はいかがでございますか。現状ではおっしゃるとおりで、管理は確かに「整備方針には維持、操作も含む」と括弧書きになっていますから、整備方針は管理まで含むよとは言いつつも、実際に書かれているのには、かなり改修の仕事の将来像みたいなのが多くて、完成するまでの間どうするかというところはあまり書かかれてないんじゃないか。
 環境については大分書いてありますけど、施設の維持管理については欠けているのではないか。あるいは、ダムが将来5つできたら、このダムはどう操作すると言いながら、5つのうち3つしかできていないときは、操作ルールを整備方針の内容とは違ったものにしなければならない。効率的運用というのが別なところに書いてありましたけど、そういう現状に合わせたやり方があるんじゃないかなと。そんないろんな、もろもろの意味を込めております。
(委員) 別のところで庄内川の議論をしていますので、非常に今のお話はよくわかりました。最終形状ができれば、多分、整備方針と管理方針は整合性がとれたものでないといけないんだけれども、整備方針なり整備計画というものは時間がかかっていくと。そういうものと、それから現実、現実の問題に対して河道をどう管理するかというものを、お互いに補完され合いながらという意味合いを持つという意味で「総合性」と書かれたと。
 これは、確かに整備計画とか基本方針が、計画ができ上がった時点では整合性がないといけないのは当然なんですけども、そういう見方で現実やっていかないと、庄内川みたいなところもだされましたが、災害の問題というのはまさに現実の問題なんだから、ここで議論されるのは、総合性で座長が言われた形というのは、ここで言うべき話としては非常に妥当なものかなと判断いたしました。
(委員長) いかがでございますか。
(委員) いや、そういうことでしたら。
(委員長) はい、わかりました。
 そのほかに御意見ございますでしょうか。
 それでは、一応ここで締め切らせていただいて、ただいまの変更点をひとつ直していただいて、大臣に差し上げる案文の(案)をとったものをつくっていただきたいと思います。
 以後はフリートーキングで、この答申を踏まえて、議事録に残るわけですが、大いに皆様方の思いをいただければありがたいと思います。
 ○○先生、御意見ございましたらひとつ。
(委員) ありがとうございます。
 ちょっとその前に、この案文は決定で結構なんですけど、私の名簿のところの名前の漢字がちょっと違うので、直しておいていただけるとありがたいと存じます。申しわけありません。
 内容についてですけれども、私、この委員会に参加させていただきまして、ずっとここで議論されていることとか、今日の案もそうなんですが、それがどういう意味合いを持っているものなのかということを、ずっと考えてきたところがございます。
 今の総合性とか整合性の話に、やや象徴的に出ているかなと思ったんですが、今までの河川行政の流れから見ますと、今回の案というのは、1つはソフト対策を単に補充的なものではなくて、嫡出子というんでしょうかね、本格的な柱として掲げたというところが、一つ画期的なところであったと言えると思うんですね。
 ただ、ハードとソフトというのは、理屈上はハードが基本であることは事実で、それは従前もそうでしたし、今後もそうだし、そこはやっぱりちゃんと工事をやっていくところが大事であり、そこは悪びれず堅実にやっていくべき事柄であろうと思っています。そこは逆転するととてもまずいので、「危ないから逃げろ」というふうに言えば河川管理者の責任がなくなるかというと、そうではないということだと思います。
 情報の提供の仕方をどうするのかという話で、こことも関連していまして、それはそれで画期的であるんですけども、理屈上はそんなに深い話ではなくて、割合ノウハウを蓄積してわかりやすい情報とか、人が逃げたくなるような物の言い方って何なのかとか、そんなようなことを経験的に積み上げていくことが大事なのかなと思っています。
 もう1つは、ただ、この案の非常に潜在的に持っている可能性というのか、ちょっと頭出しが出ているような、出ていないようなという感じなんですが、それがもう1点ありまして、ハード整備の質的転換という話とも関連しているんですけれども、それがこの案の中であんまり明確にどーんとは出てないんですが、土地の利用のあり方との関連で、水の管理をどうするかという面に踏み込んでいる。
 ただ、本格的な議論は全然展開はされていないんですけども、そこの部分が大変気になるところで、恐らくポテンシャルとしてはそこがまさに、もし今後議論が本格的にできるとすると、大きなパラダイムの転換になるのかなと考えているところであります。
 考えてみると河川行政というのは、水系主義をとったときに、歴史的、政治的な文脈からしますと、流域には手は出さないというのが政治的文脈としてあったと思うんですよね。
 そこから始まったにもかかわらず、総合治水対策という形で行政の内部基準みたいな形ではありましたけれども、流域にきちんと関心を持っていくということに踏み出したわけで、そこは一つ、大きなパラダイムが転換した時期だったと思うんですね。
 ただ、土地利用に関して水管理を位置づけていくというのは、非常に複雑な話が出てくるのと、大変難しい話であるということもあって、ずうっと10年、20年、30年という流れの中で、少しずつ発展してきているところで、この間成立した都市水害法などはそれがごく一部、しかも完璧な形ではないけれども、ようやく法制度に昇華したところがあって、恐らくそういう事柄が、ちょっとずつもっと展開していかないといけないという話なんだろうと思っています。
 この案ですと、例えば6ページとかもそうですし、それから質的転換という話も、だからまだパラダイムの転換までは全然いってないなという感じがあります。
 それから、○○先生が前にお出しになったペーパーで、損失補償の理論の話があって、あれなどは非常に刺激的といいますか、まさに考えているところなんですけれども、土地の利用と災害対策の話がどういうふうに絡んでくるのか、それから緩やかな河川区域概念をつくるといったときには、今まで権原指向で、権原をとって損失補償をするか、しないかという議論をしてきましたが、本当は奈良県溜池条例判決とか、あの辺までさかのぼりますと、多分、権原とは切り離した形で土地の利用制約みたいなことをして、しかも補償しないというような概念に転換していかないと、恐らく新しい流域管理の完全形みたいなものはできない。
 その辺の話は現行制度でもないわけじゃなくて、自然公園法の不許可補償は、そうした含みを持っている。理屈上はそういうものも認められているところもあって、恐らくそういうのをもう少し普遍的なというか、広範な仕組みとしてつくるようなことも考えていいんじゃないかなということで、それは出した途端につぶれるような話なのかもしれなくて、そういうことで、この案の中ではこんな感じでまとまっているとよろしいのかなと思いますが。一歩前進ということと、今後に大きな期待を持っているということで、申し上げたいと思います。
 あともう1つ気になっているのは、行政の実務の方はどういうふうに考えているのかわからないんですけれども、防災の話と水の管理という話には不整合があって、私、抽象的に考えているものですから、災害対策は災対法があって、市町村から始まって県にいって国にいってという、下から行くような構造になっているんですよね。
 だけど危機管理の話とか、それから広域的な危機管理と言えばなおさらですし、それから水の管理を本格的に考えるとなると、すぐれて国家的な事務の話でありまして、地域の意向を反映するとか、住民の意向を反映するということと、中央集権って別に矛盾しないんですよね。
 残念ながら今、地方分権がスローガンで言われているものですから、国に権限を戻すというようなことはとても言いづらいところがありますけれども、多分水の管理というのは、本質的にはそういうところに踏み込まざるを得ないし、水は水として特殊なスキームを考えるのは当たり前のことなので、そこら辺が危機管理の話で言及されているんですが、ちょっと内容が薄いかなという感じは全体として持っていて、これも今後、深められるとよろしいのではないかと考えております。
 差し当たって、以上でございます。
(委員長) 前段の土地利用の話ですが、河川局には既に土砂災害危険区域ですか、法律がありますね。

〔「警戒区域」の声あり〕

(委員長) 警戒区域ですか。あれは土砂災害の危険があるから、ある意味では家はつくるなとか、建築制限とか何かまでは及んでないんですか。
(事務局) 一部そういう部分もある。2種類に分けてレッドゾーンとイエローゾーンと。レッドゾーンの中はやはり危険が大きいと。
(委員長) 不思議に河川の方には水害危険区域制度というのはなくて、危ないところは一生懸命堤防をつくって、ポンプで水を汲んで直しますよということで事足れりだったんですけど、これから少子高齢化とか国土の改変がないとすれば、いろいろ地域によってはそういう方式も考える必要があるのではないでしょうか。
 河川区域にすると補償問題ってなるんだけど、水害危険区域制度だったら補償にまで及ばないのではないかなとか。土砂災害の法律をこっちに転用するなんていうのも、今の○○先生のお話で触発されるかなと思いますが。
 いずれにしても、中身はまだ一歩踏み出ししただけで、浅いけどしっかりやりなさいという激励の言葉と受け取らせていただいたらいかがかと思います。
 ○○委員、御意見ございますか。
(委員) もう入れていただきました。
(委員長) そうですか。では、また後ほど。
 ○○委員。
(委員) 報告書をまとめる冒頭から、いろいろと考えることが多くて、しかし全体の報告書の流れの中ではうまく整合しないなと思って、じっとしていたんですが、1つだけどうしても気になること、今後、技術的にこういうことを考えなきゃいけないのではないのかということで申し上げたいと思います。
 まず、計画高水位についてです。今まで計画高水位を基準にして河川の計画を立ててきているんですが、なかなか完成河道ができていかないときに、計画高水位というのは一体どういう意味を持つんだろうかということを考える必要があるんじゃないかということです。
 それは堤防の余裕高との関係で、堤防が完全にでき上がって、断面も完成していれば計画高水位は確かな意味を持って、この水位までは確実に守るんだということが言えます。これはこれで正しかったんですが、だんだん時代がこうなってきまして、投資余力の減少、少子高齢化とか、それから財源が減っているということが、今回相当強くここに出てきまして、施設の強化という視点でなかなか言いづらい面がありました。
 これからまだ断面が完成していないときに、計画高水位を超えたり、ぎりぎりの状態っていつでも起こり得ます。このとき計画高水位って一体何なんだと。それは、あふれるか、あふれないかという問題に対して、すなわち堤防の安全度との問題で非常に重要になるんだということを、我々はしっかり意識する必要があります。
 今までずうっと右肩上がりで来ていて、やがて完成の堤防ができ、断面ができると思っていましたから、私は本を書いたときに、まず計画高水位ありきということで、計画高水位を決めて、計画高水流量が河道の器に入るようなものにしていくことを考えていました。しかし、断面をどうするかとか、堤防をどうするかという議論がいまだに残っているときに、計画高水位や余裕高の構造について考えなきゃならない。
 先ほど○○先生が言われたハード面の必要性のお話で、私も非常に気になったので、事務局に申し上げたんです。
 それは、ソフト対策とハード整備という順番が逆であると、書いてある順番がですね。今回は効率性、即効性を考えてハード整備よりも、ソフト対策を前面に出してやるんだというのが狙いであることは十分わかっているんですけど、ハード整備についてぴしっと言わないで、お金がないとか、それから少子高齢化だと言って、何となくハード整備が後ろに行くような書き方になっているように思えます。
 しかしながら、提言ではハードの方が先に書いてありますからいいかなと思いました。
 そんなことを考えると、計画高水位というものについて、あるいは堤防の余裕高のあり方について、今後どう考えるのかについては、ぜひ議論する場所を考えていただきたいというのが私の要望であります。1点目です。
 2点目は、これは前から言っていたんですが、河川の計画を考えるときに、水位中心の計画論に少しずつシフトしていっていただきたい。流量はあくまでも、それは水位と流量の関係であって、流量はある種の結果です。水位で我々は河川の諸現象を見ています。
 昔だって、既往最大の水位主義の水位で見ていた。それをダムとか遊水地など水を貯めこむことの重要性が出てきて、流量で計画することになりました。この時代になってきて、どうやって川を管理するのかということですが、水位は、日ごろから見ていますし、洪水がどんな水面形で流れているかとか、縦断的にどういうふうな水面形になるか。川の平面形とか狭窄部とか影響が水面形に全部出てくるということで水位縦断形を的確に計っていくような対応をぜひやっていただきたい。これは本文の中にも、中小河川については水位形を設置することが書かれていますので、そういう方向だろうと思います。
 水位縦断形がわかると何がわかるかということだけ、申し上げておきたいんですが、水位縦断形が時間的、空間的にわかると、粗度係数の問題はあれども、流量ハイドログラフがどこの場所でもピシッと決まる。堤防が破堤しても水位縦断形をちゃんととっておけば、破堤したことによる河道からの犯濫水量は推定できる。それを今まではやってないだろうということであります。
 そういったことを考えると、どうやって河川の計画をやり、安全な川をつくるのか、そのためには管理も含めて水位を中心に考える方向を御検討願いたいと思います。
 3点目は、超過洪水の話を前面に出して議論をする時期が来たということです。超過洪水によって、先ほどの計画高水位の話もそうですし、余裕高の構造とか余裕高の考え方をどうするのかというのは、避けて通れない重要な課題になろうかと思います。
 このことについてはいろいろな考え方もあろうと思いますし、私もいろいろ考えるところがありまして、これについてぜひ率直に議論できるような場所をつくっていただきたい。特に今まで堤防というと、浸透破壊を中心として、土質的な面からの堤防論が中心でした。もちろん、これはこれで必要かと思うんですけれども、同時に川から見て、流れから見たときの堤防の安全性を考えることが大切です。計画高水位付近または、これを超えて流れる時間が長かったときに、超過洪水になったときの流れから見た堤防の安全性というものをよく勉強しなければいけない。越流だって起こるし、溢水だって起こる。
 それに対して、静的な土の安定問題とか圧密問題ではなくて、流れから見た堤防論も同時に勉強し、その両者をうまく組み合わせるようにしていただきたい。
 最後になりますが、中小河川の話ですが、水位は急激に立ち上がって、また急激に水が引いていく。外力としての力はそれほど大きくないけれどもどうしているかというと、大河川での設計論をそのまま使ってやっている。ですから、提言に書いてあるように、設計が不経済なところもあるし、越流するときにはどうなのかというのをまた考えなきゃならないということで、中小河川の堤防論とか河道設計論を、ぜひこれもお願いしたい。主としてハード面を中心に申し上げました。
 以上です。
(委員長) ぜひ、ハードの研究会、それから○○先生の制度論みたいなのも、引き続き河川局で取り組んでいただくとありがたいと思います。
 どうぞ、○○委員。
(委員) この「提言」の本文の方は、ある種骨組みとしますと、被害最小化の減災を図るのが基本的命題であるというふうにうたわれている。4ページの頭ですね。
 その基本的命題から始まって、管理の計画をきちんとやりますと。それから危機管理行動計画、それと最後に防災教育の支援行動計画とあります。
 こういうつながりといいましょうか、骨組みを持っている内容である。そのように考えて取り組むとき、この基本的命題である減災が達成できるというところをうたうのが、一番重要ではないかと思うんですね。
 本文の方はそういう中身が書いてあるわけですが、例えば、資料の絵の方で、そういうような骨組みのもとにこの本文の内容を再構成すると、よりわかりやすくなると思います。
 それがなぜ問題かというのは、当然、河川管理に携わる方々は地方整備局、それから河川事務所、たくさんの段階があるわけですね。それからまた、世の中の方々にも説明することが必要なわけです。
 そのときに、やはり基本的な骨組みがこうです、それで今後の管理なり、あるいはハードとソフトの整備というのは、こういう考え方でやっていきますという基本構造を示す必要があります。というのは、骨組みを明確に理解して、その認識が共通でないと、全体というか、具体的な事業の段階にまでうまく認識が共有できないと思います。
 経験的に、例えば多自然型の川づくりという場合であれば、末端の実際の事業の段階で皆さん方の認識が同じようになるのは、10年ぐらいかかるということがあります。ですから今回のものも、「基本的命題を減災に」というのはかなりの大きな変化だと思いますし、それから施設の管理計画をつくるということも、先ほどらい議論がありますように、今までなくて、整備計画の中にもそういうことがうたわれてなかったわけです。
 したがって、そういった骨組みを明確に示さないと、河川にかかわる方、一般の方々にも共通認識が生まれていかないのではないかと思います。
 ですから、本文の方にはそういう中身が入っていますので一度、「総合的な豪雨災害対策の推進について」という資料−2のパンフレットを、そういった骨組みがうまくあらわれるといいましょうか、それで考え直すと、よりわかりやすくなると思います。そういう観点でパンフレットの方を、少し考えていただくのがいいのではないかと思いました。
(委員長) また、現場への徹底に当たっては、今の御意見を体して、ひとつお願いしたいと思います。
 それでは○○委員、どうぞ。
(委員) 後ろの方で、特に緊急対策という形で書き込んでいただいた部分が大変多くありまして、こういうふうにやっていただければ非常にありがたいなと思っております。
 14ページに「水防体制の強化」というのがありますが、まさに危機的な状況というのが現状だと思います。水防団という組織、それに加えて代替しての消防団。消防団自体が団員がいなくなってきてしまったという状況でございますので、できるだけこういう形でのNPO組織等も活用した中で、体制の強化を早くやっていただきたいと思っております。
 それからもう1つ、学校教育での防災教育の関係ですが、これでよろしいと思います。通常の授業時間を総合学習の時間に置けるという形でよろしいと思うんですが、どうも文部科学省の方の動きが変わってきちゃって、何か随分教科書が厚くなっちゃったとか、それから今度は総合教育的なもの、ゆとり教育的なものをなくしちゃうという話が出てきているということがございますので、通常の授業の中で、いかにこれを取り組んでいきやすくしていくかということも、一緒に考えていただけるのがありがたいのかなと思っています。
 最後に、○○先生がさっきおっしゃった話ですが、私も実はこの前のときに余分なことを言ってしまいました。そういう性格の会議じゃないということがわかっていながら、文部科学省が耐震対策でこれだけ学校が壊れてしまうので、大変だ、大変だという大騒ぎをしておるよと申しました。
 そういう形で治水という面において、ある意味では愚直という表現を使っちゃいかんのでしょうけれども、守るべきところを守っていくんだという点を、こういう御時世だからこそしっかりと言っておかなくちゃいけないのかなという気がしております。
 ここまで言っちゃうと、今度言い過ぎになっちゃうかもしれませんが、例えばそれじゃ、利根川筋でダムが要らないよという議論が利水サイドから出てきたときに、治水サイドから言えば、本当はそのダム、必要なんだよというところで、全部治水サイドでやっちゃうよというところは、財政的にえらい話になるのは、わかり切ったことを言っていますけれども、やっぱりそのくらいの意気込みというものも、ある意味では前のページの方で、利根川筋についての管理体制をつくっていただけると書いてございますが、あってもいいのかなと思います。これは余分な話でございます。終わります。
(委員長) これも大変基本的なお話なので、ひとつ愚直ではありますが、やっぱりわかるような努力もしていただきたいと思います。
 どうぞ、○○委員。
(委員) すべてなるほどということで、いいことなんですが、それぞれもう一歩、具体的にどうするかと考えたら大変な問題ばっかりですね。技術的な問題もありますし、法律的な問題もあります。もう既にスタートしておられたり、準備しておられるんだと思いますけども、ぜひいいタイミングで進めていただきたい。
 下手をすると、5年、10年たっても同じような問題点を指摘して、モデル事業みたいなものだけがちょこっとできてというようなことになりかねない。それだけ難しい問題を皆抱えていて、非常にいいことだけども大変という感じがします。
 先ほどの「総合性」という言葉が見事に表現しているんですが、こういう管理の話がパラレルに並んできますと、先ほどのようにハードの話とソフトの話と、どっちが先なんだと。本当は総合的なんですけども。今回のような情報が、公表されていく。そうすると、流域委員会のようなところの整備計画で、管理でいくと言っているじゃないかと。堤防の補強をすると言っているじゃないかみたいな話に流れて行くのではと懸念します。
 したがって、国土交通省河川局としては基本的なスタンスを、先ほど○○先生が言われた、計画高水位もそうですけども、はっきりしたもの、こう考えていこうというものを出していかれないと、それぞれの川で随分な混乱が起こるかもしれません。要するに、選択肢がいっぱいあり過ぎて組み合わせられないということになっていくんじゃないかと思います。これは具体的に考えるとえらいことになるんじゃないかなと。心配しながら、期待しながらというところです。
 したがって、皆さんも努力されると思いますけど、大学なんかも含めて、みんなで分担して協力して、急いで作業していかないとまずいんじゃないかなという印象を持っております。よろしくお願いいたします。
(委員長) ありがとうございました。
 先ほど、少子高齢化で資金もないし人口移動も少なくなりますから、守るべきところを守るということは、ランクの低いところは守らないよということになる。そうするとお金が少なくて済むねって、そう簡単にいくのかなと。○○委員からも意見がありました。
 地域の中で、あるいは国民のコンセンサスを得なければ、どこを守るのかという対象を、河川管理者が独断でできるわけでもないでしょう。これは引き続き理解をしてもらって、治水事業の資金が足りないという話になるのかもしれません。この提言は非常に網羅的ではありますが、扱いによっては将来の河川行政へ向けての大きな転換点になるのかなと私は思っております。
(委員) 今回の提言といいますか、枠組みの非常に重要なことに、ソフトとハードというものの一体化があるんだけども、どう一体化さすのかというものが難しいんですが。
 もう1つの相対立するものとして、○○先生の議論から思いついたんですけども、1つはトップダウン型とボトムアップ型をどうつなぐのかというのも、必ずしもソフトとハードと全く同じじゃないですね。ちょっとはすかいになって、2×2のバリエーションがあると思います。
 それからもう1つ、これをやっていくときに技術とか仕組み以外に、法的な枠組みをどうつくるのかということも、一つの技術的なものばかりではできないところを、どう法的に補っていくのか、あるいは法的なものとして考えたものをどう技術でサポートするのかとか、その辺の連携も非常に重要だなという気がいたしました。
 例えば水防の問題でも、今までの水防というのは、あそこにも書いてありますけれども、施設対応、いわゆる昔ながらの治水に対するサポート、すなわち施設が壊れそうなときに出かけていって、それは壊れないようにするというのが水防の役割だったわけですけども、もう1つソフトと一体化すると、もともと持っていたんでしょうけども、避難経路をどう確保するかとか、支援をどうするかとか、そういうものを水防法の非常に重要な側面になります。
 これは、一方は多分トップダウン型の話だし、一方はボトムアップ型の話と連携する話だろうし、そのいずれも技術的なサポートは必要なものだという形で整理していくと、かなりソフトとハード、あるいはトップダウンとボトムアップ、あるいは法的、法制的な仕組みと技術的なもの、こういった相対立するものの連携の仕方が見えてくると思うので、そこをぜひ、1つ1つのレールを引きながら、お互いがしっかり貢献できているという意識を持ちながら、技術が何もサポートできていないじゃないかと憂うるんじゃなくて、あるいは法的な枠組みだけで、治水は勝手に技術ばっかりでやっているということも、お互い不満を持たないで、お互いがしっかりサポートできる側面を見出していけるような議論を、ぜひやっていただけたらということを感じました。
(委員長) それでは○○委員、よろしゅうございますか。
(委員) 今日は最後だというので、こういう発言をする準備はしてなかったんですが。お願いは2つ、まずございます。
 多分これ、ハード、ソフト一体と言っても、全体の総合計画が達成されるまで、相当先ですよね。昨年度の洪水量を契機として、この総合政策をまとめたわけだから、昨年度の洪水の二の舞は起こしてはいけないわけなのではないかと思うわけです。
 それで、ここに書いてございます豪雨災害調査体制の整備は、現状における河川の安全度というんですか、その中で災害が起きたとすれば、何が課題であったか。多分ここは運用の問題、あるいは首長さんと我々との連携の問題、こういう問題を点検するだけでも、財産までは守れませんが、相当数の人命の救済につながる可能性があるわけですね。
 そういう意味で、この災害調査体制の整備をする上に当たって、河川局、気象庁、あるいは国土地理院がいるわけですので、これまでの洪水災害の点検を、ぜひしていただきたい。多くの場合、情報のところに問題があって、多くの人命が失われている可能性があるわけであります。それを第1点にお願いしたい。
 もう1点はハザードマップの件ですが、実は私、事務局の方に、「この言葉がよくわからない」って3度ほど直していただきたいとお願いしたけど直ってないので、直すのをあきらめました。
 それは、災害安全度、治水安全度、それから堤防の安全度。私は災害の安全度というのはよくわかるような気がするんですが、それを実現するための治水安全度との関係ですね。
 これ、何を言いたいかというと、災害の安全度がわかれば、それをハザードマップの方に生かしていただきたい。つまり、先ほど○○さんがおっしゃった、水かさが何mは安全度とは無関係なはずなんですね。災害の安全度というのは実は何を意味するかを、もう少し丁寧に書かないといけないのではないかと思いました。
 それから、ちょっとこれは全く話が別で恐縮なんですが、我々はこの委員会が災害対策、洪水対策に関する検討をした上で、治水対策の問題を議論していたわけですが、私は別なところでこれからの21世紀の、今後30年、50年を考えたとき、地球温暖化問題は治水行政にもろに影響を与える。水収支がドラスティックに変わるわけですから、今まで以上にダムの管理体制、それから水管理の問題性は避けて通れない。
 これは国土の基本的な要件でございまして、災害対策という非常に目先の外力に対する対策も極めて重要だけども、生命線である水の管理をどうするか。そういう意味ではぜひ別なところで、総合的な治水対策という議論は進めていただきたいと思います。
 これは最後に、あまり金がないから、ここだけ手抜きしたい、したいという印象にとらわれるもので。金があろうがなかろうが、やらなきゃならないところはやるんだというのは、ぜひやっていただきたいと、これはお願いです。
(委員長) おっしゃるとおりです。
(委員) この委員会の中では議論されてこなかった点ですが、今の○○委員の御発言等にも関係して申し上げたいと思うのは、地震との対比ということです。昨年の水害で全壊の戸数が大変多かったのは刈谷田川の中之島地区なんですが、それでも十数戸とかそういう数なんですね。
 地震の方は何千戸ということで、結局は個々の家の耐震化を図ってもらうことが、最大の減災につながるという議論が最近出ていると思うんですね。
 ですから、民間の仕事であるけれども、それが進めば国としての全体の災害対策費は、まさにドラスティックに減少させることができると。それの方が効率いいではないかという議論があるやに思うんですね。
 中之島の例でいきますと、やはり1階の部分が鉄筋のコンクリートづくりなりであった家は、隣は壊れても壊れてないとか、家の強さというものが被災のレベルに大変影響するわけですね。
 ですから、輪中堤で囲むというのと同じわけですが、個々の部分を強化することが全体の強化につながると思います。例えば、堤防から非常に近い家は、もしも破堤したら壊れそうだという領域であれば、そこを強くするようなものは地震対策の一環と同じように、水害が起こった場合でも強い家になり得るわけですね。水害対策になるわけです。全壊を免れるというところがあると思います。
 ですから地震対策で強くなれば、それは水害にも強くなるということは、十分にあり得ることだと思います。原因によってどういう地域でということが、それぞれ地域特性があり、水害の場合は堤防の近くということになるわけですが、従来の対策とは一味違うほかの手段で被害を防ごうということの一つのイグザンプルとしては、昨年の例としてはそういうことがあるということで、ちょっと御紹介をした次第です。
(委員長) ○○委員、御発言をひとつお願いします。
(委員) フリートークということですので、この委員会ではあまり議論してこなかった観点で、環境というのがどういう位置づけになるのかというのは、豪雨災害対策という観点でも重要ではないかと思います。
 「はじめに」のところにもありましたように、安全で安心できるものを目指すというふうにうたっているわけですから、この提言を読んでいただいたときに、国民の多くの方が安全・安心を感じていただけるかということで考えますと、河川も海岸も防災と利用と環境を調和させるんだということをうたっていまして、従来ややもすれば、防災を最適化することだけに中心を置きがちだったものを、利用とリンクさせて、利用の方を多少変動させることによって、防災のやり方も変わってくるというところまで踏み込んだという点で、今回の提言は総合的であるというふうに私は理解しております。
 安心ということになりますと、もう少し予測性というんですか、長期的な、心理的な側面が重要で、今、水害に対する危険を感じてらっしゃらない方々も安心していただけるという観点で見ますと、持続性が読めないといけないのかなという気がします。
 そういう意味では、環境への配慮はこの次に考えることではなくて、防災と利用と環境ですけれども、環境の方の制約条件をある程度変えることで、防災のやり方も変わってくるということも恐らくあると思いますので、次はそういう方向に進んでいくのが、今回は時間がなかったので十分議論はできなかったと思いますが、非常に重要な問題ではないのかなと感じております。
(委員長) ありがとうございました。
 どうぞ、まだ時間がありますし。
(委員) もう1点よろしいですか。
(委員長) どうぞ。
(委員) 第5回の会議で○○委員から、私にとっては非常に考えさせられるお話がありました。それは、地震と洪水情報の比較の話しでした。○○委員は、初めのころは地震の情報は地震計が少なかったために今のようになると思わなかったんだけど、地震計をたくさん入れることによって、地震速報を出すことができ、こんなにわかるようになったということでした。それに対して洪水による水位情報の方は、地震の震度情報に比してわかりにくいというお話がありました。
 私はあのときに、考えたことがあったんですけど、時間の関係で申し上げることができませんでした。その後もしばらく考え続けていまして、ちょうどいい機会ですので、○○委員に私が考えたことを御紹介させていただいて、洪水の水位情報も実は地震と同じように考える段階にあるという話をさせていただきたいと思います。
 それは、地震計をたくさん据えることによってあちこちの震度がわかって、こういったところに地震が出ればこんな危険があり、避難する必要性のお話で、非常によくわかってきたんだということでした。
 私が考えていましたのは、川沿いに縦断的に水位計を2〜3km間隔で設置すれば、いろんな外力、すなわち雨の降り方に対して、川の中に洪水がどんなふうに伝わってくるのか。すなわち水位の時間的な変化や、縦断的な変化がわかる情報が刻々と集まってくるんですよね。
 専門家はそういうものを見ていますと、この川はこういう外力に対してこういう応答をするんだということが、かなりの程度わかるんです。私の場合は、洪水が起こると、その波形を見て、どの地域に雨が降って、雨はどんな降り方をして、というような情報を重ねていくと、川の中での水位、洪水の波の応答が、上流での雨の降り方との関係で明らかになります。その外力が変われば少しずつ応答も変わるということで、いろんなことが実はわかります。
 そういったことで、○○委員が言われた問題点を、わかっていただけるような、プレゼンテーションを私たちが行うことが必要なんじゃないか。地震の震度に相当するものとして、洪水の水位の時空間情報というものがあって、それが各川で雨の降り方との関係でどんなようになる。時間的、空間的にどうなるのかという情報をぴしっと流せると、それの持っている意味をちゃんと言えれば、私は洪水も地震と同じようなところに位置づけられて、そしてNHKさんの放送の中で、そういった伝え方ができるんじゃないかなと考えており、そういう方向をねらいたいとずっと思っております。
 以上です。
(委員長) ありがとうございました。
(河川局長) 今、いろいろお話しいただいたことも、この提言とあわせて行政の中で改善を講じるなり、工夫していかなければならないと思っていますけども、1〜2点だけお話しさせていただきます。
 計画高水位の話がございましたが、これは核心的な話になってしまいそうな気がするんですけども、ハザードマップで示しているのは最悪の場合の情報ですというお話をさせていただいたときに、じゃあ、その危険性はどのぐらいの確率なんだという話が必ず出てくるんですね。
 ということは、一つの計画高水位の意味というのは、計画高水位に達する頻度は幾らなんだということを、いずれ示せるような形にしていかなければ、ハザードマップは10年に一遍危なくなるところと、100年に一遍危なくなるところと同じ形でしか示せていないというところで、限界があるのではないかなという気がいたします。
 それから、施設設計における計画高水位は、当然余裕高の話とあわせて、堤防強化の話と一緒にやっていかなければならない話だと思いますし、一方では、管理をしていくときに橋をかけて道路をわたっていきたいといったときに、何も持ってないときに、将来ある程度先の姿を描かなければならないという意味も、つけ足しでお話しさせていただければそういうこともあるんですね。
 もう1つ、縦断形の話がありましたが、これと関係するんですけども、縦断形のことをプロフィールといいますね。人間の紹介と同じようなことで、河川は縦断が非常に重要じゃないかなという気がしております。洪水のときの縦断観測というのを、今、幾つかの川で光ファイバーが縦断的に入っていますので、それを活用して、密なリアルタイムの水位観測を縦断形で表していくということをやってみようと思っていまして、それを洪水管理のときにも役立ていく必要があるのではないかなという感じがしております。
 それからもう1点ですが、財政的な問題とか予算の問題とハードの問題とソフトの問題と、やれ総合的にとかいうことでごまかすつもりは全くないのでありまして、当然、逐年整備はしていくつもりでいますし、それのための整備計画もいろいろ御議論いただいてやっているわけです。
 そのときに、ここで一番最初に早期に安全度を高めるという、今考えてみると安全度と言っていいのかどうかわからないんですが、早期に高めるためには、やはり予算の制約があったら、同じ目標でも先へいってしまうということの中で、施設能力をオーバーするような外力は必ずあるから、それに対して「減災」という言葉を持ち込んでいるわけですね。
 そうすると、能力をオーバーしたときに、まだ計画までいってないからそれは仕方がないんだと。それで後から集中投資するという繰り返しでやっていくだけでは、問題解決にならないような豪雨が、結構あちこちで起こる状況になってきているのではないかというのが、今回の委員会の一つのきっかけであるわけです。
 そういう意味で、ハードの計画的な整備というのは重点的にやるところとか、優先的にやるところも考えていきますが、いざというときのいろんな構えができてなきゃならんということで、それは地域も自治体もあわせて、一つの目標に向かって頑張っていかなければならないわけでありまして、それの今回の提言というのは、そういう意味では幅広い方に御利用いただける形の、当面の提言になっているのではないかと思います。
 問題点先送りではありませんが、土地利用との関係とか、そういう重い御指摘もいただいていますので、これらについてはハードの設計論、河道計画論も含めて、今後体制をまたとって、早期に的確な行政をやっていける方向に努力していきたいと思います。
(委員長) 大変いろいろと建設的な御意見が出ました。事務局はぜひこの意見を参考に、早急に提言の具体化を進めていただきたいと思います。
 各委員におかれましては、昨年11月15日の第1回委員会以降、熱心な御審議、御議論をいただき、また貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。本委員会での審議につきましては、このたびの提言の取りまとめにより、本日をもちまして終了したいと思います。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員の御確認を得た後、発言者の氏名を除いて、国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議事は以上でございます。
(事務局) 委員長、どうもありがとうございました。




目次へ戻る 戻る 進む

社会資本整備審議会河川分科会 目次へ戻る

Copyright© 2007 MLIT Japan. All Rights Reserved.

国土交通省 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3

アクセス・地図(代表電話)03-5253-8111