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河川局

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河川審議会について


1.はじめに

 地球は、様々な物質循環の中で、生命を育んでいる。水に関してみると、地表、海面から蒸発した水蒸気が、雨となって、地表に降り、一部は地下水となり、一部は表流水となって、川を流れて海に至るという循環を繰り返している。また、水循環系は、様々な物質の移動経路としても重要な役割を果たしている。こうした原生の水循環系に人為を加えることによって、現代の文明が構築されてきた。

 我が国の土地利用の特徴の一つとして、大河川下流部の沖積平野を中心に人口が集中し、高密度な経済社会を構築していることがあげられる。こうした現代社会を構築するに当たっては、水循環の一現象である洪水等の脅威を押さえ込む方向で、基盤整備がなされてきた。堤防を整備し、河川空間の整備と周辺の市街地の整備を分け、それぞれ、諸制度に基づいた国土の開発や保全を行ってきた。これによって、人口増加に対応し、効率的に経済活動を活性化してきた。

 しかしながら、こうした水循環系にかかわる行政に関しては、一部の流域においては、総合治水対策等の横断的な取り組みがなされてきたものの、河川・湖沼、農業水路、下水道、上水道等の管理者間の連携が不十分であった結果、総合的かつ体系的な対策が講じられず、水循環系に様々な弊害が生じてきた。また、国土利用についても、都市、森林、農村における諸行政には水循環系の連続性に配慮した総合的な視点が希薄であった。住民や事業者においても、一面的な生活の快適性、利便性や経済性を追求し、水循環系の連続性に思いをいたすことはなかった。この結果、これまでの社会システムは、水循環系に過度な負担を強いており、都市の砂漠化や水環境問題等、新たな弊害が生じている。

 したがって今後は、水循環系の連続性をトータルにとらえた視点で国土の総合的な整備・保全・管理を指向する枠組みに変えなければならない。そこで、当河川審議会総合政策委員会水循環小委員会は、現代文明が意識せずに与えてきた水循環系への過度な負担に起因する弊害を克服するために、従来の水に関わる考え方を新たな方向へ導くための、必要な施策について幅広い議論をしてきたが、事態の緊急性に鑑み、当面実行すべき施策をとりまとめることとした。

 具体的には、国土マネージメントに水循環の視点を取り入れ、水循環を共有する圏域毎に関係者等からなる組織を設置し、そこで総合的な水循環マスタープランの策定等を行い、河川行政のみならず、社会全体で健全な水循環系の形成に取り組むべきであることを報告する。以下に述べる様々な施策は、多岐にわたる行政機関に関係するが、河川行政が率先して取り組むことにより先導的役割を担うべきである。

 また、水政策の一元化等の中長期的課題については、今後の積極的な取り組みを希望する。






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