源流から毘沙門堰までの上流部は、中国山地の山あいを流下しています。流路は蛇行を繰り返し、瀬と淵が連続して現れ、周囲には河畔林が発達しています。また、甌穴で有名な奥津渓は渓谷特有の地形と四季折々に変化する景色の風情により国の名勝に指定されているなど、優れた景観を有しています。
源流部にはブナの原生林が残在し、山地部はコナラ等の広葉樹林が河畔林を形成しています。吉井川の支川である吉野川の最奥にはブナの原生林である若杉天然林や後山の天然林があり、岡山県下に残る自然度の高い貴重な地域のひとつとなっています。
動物層を見ると、冷水域に生息する魚類のアマゴ、カジカ、昆虫類のムカシトンボ、渓流沿いの土手に営巣する鳥類のカワセミ等が生息しています。渓流には国の特別天然記念物である両生類のオオサンショウウオのほか、ブチサンショウウオ、ハコネサンショウウオ、カジカガエル等が生息しています。これらはいずれも清流に生息する種であり、吉井川の上流部が陸生・水生動物の生息・生育・繁殖地として良好な環境を維持していることを示しています。