交通事業者におけるバリアフリー化や接遇対応が、その業務の性質上、安全性第一のリスク管理的な視点に偏りがちであるのに対して、本取組は、デジタル技術の活用により、利用者視点に立った利便性向上を図るものである点に特徴がある。また、そのために58事業者の調整を行い、共通システムの導入を実現させた点は特筆に値する。この取り組みの経験と実績は、あらゆる交通手段による移動を1つのシームレスなサービスとして交通事業者間を統合したことはきわめて大きな社会的効果を生む潜在的可能性を有しているものと評価できる。
■取組の概要
スルッとKANSAI協議会では、第1種身体障害者及び第1種知的障害者向けの特別割引用ICカードを発行した。事前に登録することで、利用都度の確認が不要になり、障害のある利用者の外出を支援している。
◆特別割引用ICカードの活用により乗車時の手続きの簡素化
これまで磁気乗車券の購入時や利用時には手帳の提示が必要だったが、特別割引用ICカードを使うことで、申込み時と年1回の更新時に本人確認と障害者手帳確認手続きを行うことで、乗車ごとの障害者手帳確認手続きを省略することができ、障害のある利用者の利便性を高めることができた。
特別割引用ICカード申込書 ICカードによる改札利用イメージ
◆鉄道・バス事業者と調整を行い、特別割引用ICカードの実現
特別割引用ICカードサービスはスルッとKANSAI協議会加盟のICカードサービス導入事業者で割引運賃が適用されるため、継続的な調整を行い、サービス導入を実現させた。
特別割引用ICカード(本人用) 特別割引用ICカード(介護者用)
◎今後期待される取組
カードの更新時の手続きの簡便化や、より利便性の高い事業者のサービスの標準化等、さらなる利便性向上に向けた取組の余地がある。加えて、事業者間の調整のノウハウ等を含め、同様のシステムの全国展開に向けて波及効果を高めるための情報発信等の取組が期待される。
【連絡先】(株)スルッとKANSAI 特別割引用ICカードサービスセンター
【Web-URL】 https://www.surutto.com/tkwric/