エレベーター、エスカレーター等の昇降機を常に安全な状態に維持するためには、適切な維持管理が必要です。
(参考)
(1)「昇降機の適切な維持管理に関する指針」
昇降機に関する専門的な知識を有していない建物所有者・管理者の方が、適切に昇降機の維持管理を行うことができるよう、その具体的な方策を示すものとして、国土交通省は「昇降機の適切な維持管理に関する指針」及び「エレベーター保守・点検業務標準契約書」を策定し、平成28年2月19日に公表しました(概要はこちら)。令和6年9月9日に一部改訂を行いました。
(2)定期検査報告制度
建物所有者は、建築基準法第12条第3項の規定に基づき、定期的に、昇降機を「昇降機等検査員」等の資格者に検査させ、その結果を特定行政庁に報告することが義務付けられています。
(参考)
詳細な内容は
こちら(2021年追補版定期検査業務基準書(一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター編集・発行))
(3)機能更新
昇降機の構造基準は、過去に発生した事故や災害を踏まえ、より高い安全性が確保されるよう強化されてきています。基準の改正時に既に着工されていた昇降機については、当該改正基準への適合は義務付けられていませんが、より高い安全性の確保の観点から、改修やリニューアルにより、エレベーターの機能更新を積極的に行っていただきますようお願いいたします。
■戸開走行保護装置の設置について
- 駆動装置や制御器が故障し、かごや乗場の戸が開いたままかごが昇降(戸開走行)した場合に、かごを自動的に制止させる装置(=戸開走行保護装置)の設置が、平成21年9月28日より義務付けられています。 なお、建物の存する地方公共団体において、既設のエレベーターへの戸開走行保護装置の設置に対する補助制度を設けている場合は、工事費の一部について国費による補助を受けることが可能です。
(参考)
■エレベーター・エスカレーターの地震対策について
過去に発生した地震による被害を受け、エレベーターについては閉じ込めや故障・損傷の抑止のための対策、エスカレーターについては脱落防止の対策が義務付けられています。
(参考)
■エレベーター・エスカレーターの安全対策への支援
国土交通省では、上記のようなエレベーター・エスカレーターの安全対策について、社会資本整備総合交付金を地方公共団体に交付することにより促進を図っています。建物が存する地方公共団体においてエレベーターの安全対策への補助制度を設けている場合は、工事費の一部について補助を受けることが可能です。補助制度の有無や制度の詳細については、建物が存する地方公共団体にお問合せください。
(参考)
■安全マークの表示制度
エレベーターに戸開走行保護装置、地震時管制運転装置が設置されていることをマークで表示する制度があります。
詳細はこちら(一般社団法人 建築性能基準推進協会Webページ)
■リーフレット
戸開走行保護装置の設置や安全対策の推進に関するリーフレットを作成しています。
(参考)
国土交通省では、過去に発生した昇降機の事故や地震等の災害による被害を受け、社会資本整備審議会等において再発防止のための方向性を検討し、対策を講じてきています。
(1)事故対策
■戸開走行事故への対策
平成18年6月3日に東京都港区で発生したシンドラーエレベータ(株)製エレベーターの戸開走行死亡事故(
概要・
詳細)を受け、平成20年2月に社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会にて、昇降機等の安全確保のための対策がとりまとめられました。
(参考)
■国土交通省の事故調査体制
国土交通省では、住宅局建築指導課に「建築物事故調査・防災対策室」を設置し、迅速に事故の調査を行う体制を構築しています。
また、社会資本整備審議会に
昇降機等事故調査部会を設置し、昇降機等の事故発生原因の調査、再発防止対策の検討を行っています。
- 昇降機等事故調査部会で調査を行った事故の報告書はこちら
■事故情報の収集
国土交通省では、昇降機に関する事故情報を収集しています。事故が発生した場合は情報をお寄せいただきますようお願いいたします(詳しくは
こちら)。
(2)地震対策
■閉じ込め等への対策
平成17年7月23日に発生した千葉県北西部地震によりエレベーターの閉じ込めや運転休止が発生したことを受け、平成18年4月に社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会において、エレベーターの地震防災対策の推進についてとりまとめられました。
平成30年6月18日に発生した大阪北部地震によりエレベーターの閉じ込めや運転休止が発生したことを受け、平成30年8月に
社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会において、エレベーターの停止の早期復旧・閉じ込めの早期救出等に向けた取組みの方向について審議・了承されました。また、本地震発生から1年になることを受け、本地震によるエレベーターの被害状況の分析と対策の実施状況についてとりまとめました。また最終とりまとめとして、同審議会へエレベーターの地震対策の取り組みについて報告しました。
令和3年10月7日に発生した千葉県北西部地震におけるエレベーターの被害状況や大阪北部地震をふまえた地震対策のフォローアップについて、令和3年11月に
社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会において、報告しました。
■運転休止したエレベーターの早期復旧に向けた取組み
大規模地震時に、エレベーターの運転復旧を効率的に進めるために、エレベーター保守事業者においては、閉じ込め救出を最優先としつつ、災害弱者が利用する病院等や、災害対策本部が設置されるなど公共性の高い建物を優先的に復旧する方針としています。
また、複数台のエレベーターが設置されている建物については、1棟につき1台を復旧させた後、他の建物の復旧に回る「1ビル1台復旧」を原則として対応しています。
全体の早期復旧に向けたエレベーター保守事業者の対応について、ご理解・ご協力をいただきますようお願いいたします。
(参考)
(3)事故被害者支援業務
昇降機等で事故被害にあわれた場合のご相談がありましたら、建築物事故調査・防災対策室(03-5253-8111(内線39572))でお受けしております。
(1)建築基準法令・関係告示
昇降機の構造基準は、建築基準法令において下表のとおり定められています。(平成31年4月1日時点)
(2)国土交通大臣による構造方法等の認定
昇降機関係で構造方法等の認定を受けるための性能評価を実施している指定性能評価機関は、次のとおりです。
(3)ガイドライン等
■エスカレーターの転落防止対策
- エスカレーターの転落防止対策に関するガイドライン(概要・本文)
■エスカレーターの脱落防止措置
- トラス等強度検証法適用の際の建築物のはり等の検証(概要・検証例)
- 国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付
- 電話 :03-5253-8111(内線39576)
- 直通 :03-5253-8126