移転に係る費用については、「首都機能移転問題に関する懇談会」とりまとめにおいて、最大で費用総額14兆円と試算された。
しかし、この試算では、
国会等移転審議会では、平成9年10月、これらの観点に加え、前提データ等を見直し、具体的な候補地を想定しないモデル的な移転費用の再試算を行った。
| 人口 | 面積 | 費用 | |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 10万人 | 1,800ha(ヘクタール) | 4.0兆円(公的負担:2.3兆円、民間投資・負担:1.7兆円) | 
| 1/2ケース | 30万人 | 4,800ha(ヘクタール) | 7.5兆円(公的負担:3.0兆円、民間投資・負担:4.5兆円) | 
| 最大ケース | 56万人 | 8,500ha(ヘクタール) | 12.3兆円(公的負担:4.4兆円、民間投資・負担:7.9兆円) | 
| 移転懇試算 | 60万人 | 9,000ha(ヘクタール) | 14兆円 | 
※ 第一段階は国会中心に移転、1/2ケースは行政機関が1/2移転、最大ケースは行政機関全てが移転した場合
国会等移転審議会では、モデル的試算が具体的な移転先候補地を想定していないことに鑑み、移転先候補地として選定された栃木・福島地域、岐阜・愛知地域及び参考として移転先候補地となる可能性がある三重・畿央地域について、モデル的試算をもとに移転費用の再試算を行った。
モデル的試算は、第一段階、1/2ケース、最大ケースについて行ったが、1/2ケース、最大ケースについては、新都市づくりに長期間を要し、不確定要素が非常に大きくなると考えられるため、再試算は第一段階について行った。
参考:新都市の人口想定(第一段階)について
立法、司法機能については全員、行政機能については内閣・本省庁等のうち、国会審議に係る必要最小限の人数を想定
| 項目 | 想定値 (モデル的試算第一段階) | 備考 | 
|---|---|---|
| 移転従業者 | 29,000人 | |
| 移転従業者(うち首都機能) | 22,000人 | 
 | 
| 移転従業者(準首都機能) | 4,000人 | 
 | 
| 移転従業者(民間随伴機能) | 3,000人 | 
 | 
| サービス機能従業者 | 11,000人 | 
 | 
| 移転従業者とサービス機能従業者の家族の非就業者 | 61,000人 | 
 | 
| 合計 | 100,000人 | 
移転先候補地の選定を踏まえ、再試算が可能と考えられた費用項目を抽出し検討
| 費用項目 | 再試算の考え方等 | 
|---|---|
| (1)用地取得費(用地費、補償費) | 
 | 
| 交通基盤整備費 ※(2)広域交通インフラ整備費 + (3)特別な基盤整備費 (開発地区外幹線交通施設) | 
 | 
| (4)用地造成費等[業務地区・住宅地区](用地造成費、開発地区内道路、上下水道等) | 
 | 
| 費用項目 | 内容 | 
|---|---|
| 施設整備費(上物) | 国会、首相官邸、中央省庁等、住宅、公益施設、供給処理施設、情報通信施設、文化施設等 | 
| 特別な基盤整備費((3)以外) | 開発地区内公共交通機関、交通ターミナル施設、共同溝、ゴミ管路輸送システム、森林公園、河川改修等 | 
※ 第一段階は国会中心に移転、1/2ケースは行政機関が1/2移転、最大ケースは行政機関全てが移転した場合
また、新たな交通基盤施設については、別途検討を行った新都市のイメージに係る交通体系を参考とした。
モデル的試算と比較すると、用地取得費、交通基盤整備費で各地域の間で若干の差があるが、合計では、どの地域も概ねモデル的試算と同水準の費用となった。
本試算は具体の開発計画が明らかでない現段階における概算であることに十分留意が必要であり、三重・畿央地域において答申中の「新たな高速交通網」の整備に要する費用は含めていない。
なお、再試算は、移転先候補地として選定された栃木・福島地域、岐阜・愛知地域及び参考として移転先候補地となる可能性がある三重・畿央地域について行った。
(単位:億円)
| 費用項目/地域名 | (モデル的試算) | 栃木・福島 | 岐阜・愛知 | (参考)三重・畿央 | 
|---|---|---|---|---|
| (1)用地取得費 | 2,000 | 1,000 (-1,000) | 3,000 (+1,000) | 2,500 (+500) | 
| 交通基盤整備費 ※((2)+(3)) | 5,000 | 8,000 (+3,000) | 5,000 (−) | 6,500 (+1,500) | 
| (2)広域交通インフラ整備費 | 3,000 | 4,000 (+1,000) | 2,500 (-500) | 3,500 (+500) | 
| (3)特別な基盤整備費(開発地区外幹線交通施設) | 2,000 | 4,000 (+2,000) | 3,000 (+1,000) | 3,000 (+1,000) | 
| (4)用地造成費等[業務地区] | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 
| (4)用地造成費等[住宅地区] | 2,000 | 2,000 | 2,000 | 2,000 | 
| 施設整備費(上物) | 25,000 | 25,000 | 25,000 | 25,000 | 
| 特別な基盤整備費((3)以外) | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 
| 合計 | 40,000 | 42,000 (+2,000) | 41,000 (+1,000) | 42,000 (+2,000) | 
| 公的負担 | 23,000 | 27,000 (+4,000) | 25,000 (+2,000) | 26,000 (+3,000) | 
| 民間投資・負担 | 17,000 | 15,000 (-2,000) | 16,000 (-1,000) | 16,000 (-1,000) | 
※留意事項
用地造成費については、具体の開発計画が明らかでないため、再試算は行わなかったが、栃木・福島地域は総じて傾斜が小さく地形が平坦であるため、その他の地域に比べて造成工事が行いやすく、ある程度用地造成費が少なくなる可能性がある。