Use Cases

LINKSのデータ活用・アプリ開発

内航海運業における船員・船舶に関する課題分析(2025年度)

ユースケースの狙い

内航海運業の収益構造・船員確保・環境対応の実態把握による施策支援の高度化

昨年度の実証では、内航海運事業者の生産性指標(KPI)のランキング可視化、重回帰分析による労働生産性への影響要因の特定、港湾別のコンテナ取扱量の時系列可視化機能を開発しました。一方で、複数課にまたがる船舶データの横断的な活用や、自由記述の航路情報を用いた分析ができていなかったこと、また燃料消費量をはじめ環境影響に関する分析が不足しているといった課題がありました。
こうした課題を踏まえ、内航海運業の収益・船員・環境影響について多角的な実態把握をすることにより、労働生産性の高い航路の分析や海技人財の確保(船員数増)に向けた分析、船舶の環境影響分析ができることを目指しました。
LINKS VedaおよびLINKS BIを用いた実証では、「事業者を収入・費用構造で分類して内航海運業収益を比較」「航路別の1隻当たり船員数の時系列推移を算出」「船齢別・総トン数区分別の平均燃料消費率を確認」の3つのテーマについて検証を行いました。

(出典)昨年度の実証時の分析システム画面(Project LINKS 公式サイトより)
https://www.mlit.go.jp/links/use-cases/3414.html

LINKS Veda&BI 

Project LINKSでは、専門知識がないユーザーでもデータを簡単に構造化しチャット機能や可視化アプリケーションで利用できるノーコードのシステム「LINKS Veda」および可視化ツール「LINKS BI」を開発し、行政情報の再構築を行っています。
「LINKS Veda」は、国土交通省が行政手続等を通じて保有するワードやエクセル、PDF、紙などの「非構造データ」を「構造データ」として再構築するためのソリューションです。LLM(大規模言語モデル)を用いて自然言語を解析し、非構造データから意味情報を抽出。指定されたカラムに格納することで、テーブルなどに構造化されたデータを自動生成します。
また、「LINKS BI」は、LINKS Vedaで作成したデータをそのまま投入し、チャットによる分析指示を可能とする「対話型BI」を実装することで、ユーザーが欲しいアウトプットを手軽に作成することが可能となります。

▲LINKS Veda&LINKS BIの活用の流れ

「LINKS BI」は、以下に示す機能を有しており簡単に分析結果を可視化できます。

①過去のチャット履歴…これまでに行った分析の履歴を一覧で確認
②現在のチャット履歴…現在の分析テーマに関するAIとのやり取りを表示
③チャット入力欄…AIに対して指示や質問を入力するための欄
④分析結果の表示…テーブルやグラフなどの可視化結果を表示

▲LINKS BIの画面構成イメージ

使用するデータ

元データ名内航海運業に係る報告書
データ作成方法
・内容
紙やExcel形式のデータをLINKS Vedaにより構造化
データ構造化後の主な項目事業者情報_事業者名
 〇〇海運
事業者情報_資本_資本の額_千円
 480,000
損益計算書_営業損益_営業収益_内航海運業収益_運賃(運送)_千円
 17,597,628
固定資産明細表_固定資産_千円
 4,006,930
貸借対照表_資産の部_流動資産計_千円
 8,500,577
年次2017年度、2022年度、2023年度
範囲全国
レコード数1,572
原典情報国土交通省 内航海運業に係る報告書(事業概況報告書等) 第一号~第三号様式
https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_mn3_000009.html
元データ名船員法第111条に基づく事業状況に関する報告
データ作成方法
・内容
紙のデータをLINKS Vedaにより構造化
データ構造化後の主な項目報告者_所属
 〇〇商事
雇用船員数及び所属船舶の状況_船名
 〇〇丸
雇用船員数及び所属船舶の状況_主な就航航路又は操業区域
 ○○湾
雇用船員数及び所属船舶の状況_乗組船員数_職員_計
 100
予備船員数_職員_事務部_うち外国人船員数
 5
年次2024年度
範囲関東運輸局管内
レコード数162
原典情報国土交通省 船員法第111条に基づく事業状況に関する報告 事業状況報告19号様式
https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk4_000015.html
元データ名船舶明細書
データ作成方法
・内容
PDF形式のデータをLINKS Vedaにより構造化
データ構造化後の主な項目船名
 〇〇丸
重量トン
 1957.44
船主
 〇〇海運株式会社
主機関出力_KW
 1,471
登録長
 67.21
年次2026年度
範囲全国
レコード数6,745
原典情報一般社団日本海運集会所 船舶明細書 掲載項目一覧
https://www.jseinc.org/books/meisai/komoku.html
元データ名内航船省エネルギー格付制度事務取扱要領 様式第1
データ作成方法
・内容
紙のデータをLINKS Vedaにより構造化
データ構造化後の主な項目提出事業者_法人名
 〇〇海運株式会社
船名
 〇〇丸
格付情報・格付評価
 ★★★★★
申請船の船舶情報 主機関のCO2排出係数
 3.206
申請船の船舶情報 主機関のCO2排出係数 申請値の根拠
 使用燃料油:A重油
年次2020~2025年度
範囲全国
レコード数154
原典情報国土交通省 内航船省エネルギー格付制度について 「内航船省エネルギー格付制度」事務取扱要領様式第1
https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk7_000021.html
元データ名内航船省エネルギー格付制度事務取扱要領 様式第2
データ作成方法
・内容
紙のデータをLINKS Vedaにより構造化
データ構造化後の主な項目提出事業者_法人名
 有限会社〇〇汽船
船名
 〇〇丸
運航者
 株式会社〇〇運送
造船所
 〇〇造船株式会社
荷主
 株式会社〇〇
年次2020~2025年度
範囲全国
レコード数126
原典情報国土交通省 内航船省エネルギー格付制度について 「内航船省エネルギー格付制度」事務取扱要領様式第2
https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk7_000021.html

その他のデータ

  • 【集計データ】内航海運業法(船舶DB・事業者DB)
  • 【集計データ】内航海運業に係る報告書
  • 【集計データ】船員法第111条に基づく事業状況に関する報告(assignship・Enterprise)
  • 【集計データ】船員労働統計調査 統計個票 1号調査(個別船員・個別船舶)
  • 【集計データ】船員労働統計調査 統計個票 2号調査(船舶・出漁・女性・外国人)

本UCのアウトプット例

1.内航海運業・船員・環境に関する基礎指標の可視化

内航海運業に係る報告書を用いて、事業者ごとに内航海運業収益を比較しました。また、船員法第111条報告から航路別の1隻当たり船員数の時系列推移を可視化しました。加えて、内航船省エネルギー格付制度事務取扱要領様式第1から船齢別・総トン数区分別の平均燃料消費率を算出し、実態を把握しました。さらに、内航船省エネルギー格付制度事務取扱要領様式第1と内航海運事業船舶データベース(内航海運業法の登録申請時に提出する情報に基づいて内航課で作成された船舶・事業者のデータベース)を統合し、申請船と全船舶の馬力分布の差や、一杯船主の航路別隻数、船員の高齢化状況を明らかにしました。これらの分析により、内航海運における船員・船舶の課題抽出に活用できます。

2.「内航船省エネルギー格付制度事務取扱要領様式第1」と「内航海運業船舶データベース」を利用した船舶性能分析

内航船省エネルギー格付制度事務取扱要領の申請書と内航海運業船舶データベースを、船舶明細書で補完した船舶番号を用いて結合し、申請船の割合や馬力分布、エネルギー効率指標を分析・可視化することで、省エネルギー性能の実態把握や環境施策の検討に活用できます。

3.「船員法第111条に基づく事業状況に関する報告」と「内航海運業船舶データベース」を組み合わせた一杯船主に関する分析

事業者データベース、船舶データベース、船員法第111条に基づく事業状況に関する報告を結合し、一杯船主の事業者数、保有船舶の船齢、航路別隻数、船員数や年齢構成を分析・可視化することで、中小事業者における船員高齢化や人材確保の課題把握、支援策の検討に活用できます。

検証会の様子

国土交通省職員を対象に、有用性検証会を実施しました。データの結合率や信頼度を確認をする必要性はあるが、各課でも十分に活用可能であり、これまでデータベース化できていなかった紙ベースのデータを構造化・分析できる点が、業務改善に直結するとの評価が得られました。


\ 利用者の声 /

国土交通省職員

今回検証会で実際に触れてみて、日常業務でそのまま使える成果物を作れる点に大きな可能性を感じました。特に、データ結合の確認機能や失敗理由まで見えるレポートがあることで、初めてでも安心して試せ、業務改善につながるイメージを持てました。

既存のExcelや個別データベースと組み合わせて活用できる点が非常に有益だと感じました。手入力の削減やデータベース化の促進など、実務への展開も十分期待できます!

国土交通省職員

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