倉庫ストックの実態把握と在庫・立地リスク分析の高度化による物流施策支援
昨年度の実証では、倉庫明細書や入出庫高・保管残高データを用いることで、倉庫の種類や主要構造等の属性別 の倉庫件数の可視化や、倉庫所在地別・品目別の入出庫高、保管残高、在庫率の分析が可能となりました。一方で、対象データは中部運輸局において2023年度に提出・登録されたものに限定されており、過年度に登録された倉庫や老朽化した倉庫を網羅的に把握できていないことが課題となっていました。
こうした課題を踏まえ、倉庫明細書や入出庫高・保管残高データの対象範囲と対象年次を拡充するとともに、倉庫の立地や種類が変更になった際に提出される変更登録申請書や軽微変更届出書 も活用することで、倉庫ストックの実態を時系列でより正確に把握することを目指しました。あわせて、在庫率の精緻化や在庫回転率、回転日数、保管料データの活用により、倉庫の運用実態や立地リスクの分析高度化を目指しました。
LINKS VedaおよびLINKS BIを用いた実証では、「老朽化した倉庫の集計・把握」「倉庫の新設・増設を伴う物流総合効率化計画の認定案件に関する分析」「受寄物入出庫高及び保管残高報告書を活用した在庫回転率の算出」の3つのテーマについて検証を行いました。

Project LINKSでは、専門知識がないユーザーでもデータを簡単に構造化しチャット機能や可視化アプリケーションで利用できるノーコードのシステム「LINKS Veda」および可視化ツール「LINKS BI」を開発し、行政情報の再構築を行っています。
「LINKS Veda」は、国土交通省が行政手続等を通じて保有するワードやエクセル、PDF、紙などの「非構造データ」を「構造データ」として再構築するためのソリューションです。LLM(大規模言語モデル)を用いて自然言語を解析し、非構造データから意味情報を抽出。指定されたカラムに格納することで、テーブルなどに構造化されたデータを自動生成します。
また、「LINKS BI」は、LINKS Vedaで作成したデータをそのまま投入し、チャットによる分析指示を可能とする「対話型BI」を実装することで、ユーザーが欲しいアウトプットを手軽に作成することが可能となります。

「LINKS BI」は、以下に示す機能を有しており簡単に分析結果を可視化できます。
①過去のチャット履歴…これまでに行った分析の履歴を一覧で確認
②現在のチャット履歴…現在の分析テーマに関するAIとのやり取りを表示
③チャット入力欄…AIに対して指示や質問を入力するための欄
④分析結果の表示…テーブルやグラフなどの可視化結果を表示

| 元データ名 | 倉庫登録申請書・倉庫明細書・冷蔵施設明細書・料金設定変更届の統合データ |
| データ作成方法 ・内容 | 紙のデータをLINKS Vedaにより構造化 |
| データ構造化後の主な項目 | 倉庫の名称 ○○物流センター 倉庫の所在地 ○○県○○市○○ ○-○ 倉庫の種類 1類倉庫 当該冷凍棚と冷蔵室との連絡状態1 5℃ 保冷庫 別紙・利用金表 保管料 倉庫保管料 1坪単価1,000円から5,000円 |
| 年次 | 1978年~2025年度 |
| 範囲 | 近畿運輸局管内 |
| レコード数 | 466 |
| 原典情報 | 近畿運輸局 https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/butsuryu/2011-0310-1709-10.html |
| 元データ名 | 期末倉庫使用状況報告書(第8号様式) |
| データ作成方法 ・内容 | 紙(原票データ)やCSV形式(集計データ)のデータをLINKS Vedaにより構造化 |
| データ構造化後の主な項目 | 都道府県 ○○県 営業所の名称 ○○営業所 野積 所管面積(単位:㎡) 1,000 水面 所管面積(単位:㎡) 900 危険品[その他] 所管面積(単位:㎡) 500 |
| 年次 | 原票データ:2016年~2024年度 集計データ:2007年~2025年度 |
| 範囲 | 全国 |
| レコード数 | 67,328 |
| 原典情報 | e-GOV 期末倉庫使用状況報告書 https://laws.e-gov.go.jp/data/MinisterialOrdinance/331M50000800059/626754_1/pict/2FH00000056542.pdf |
| 元データ名 | 受寄物入出庫高及び保管残高報告書(第9号様式) |
| データ作成方法 ・内容 | 紙やExcel(原票データ)、CSV形式(集計データ)のデータをLINKS Vedaにより構造化 |
| データ構造化後の主な項目 | 年度 2025 四半期 2 営業所の名称 ○○倉庫 品目分類 化学薬品 前期末 保管残高(単位:トン) 60 |
| 年次 | 原票データ:2016年~2024年度 集計データ:2007年~2025年度 |
| 範囲 | 全国 |
| レコード数 | 238,192 |
| 原典情報 | e-GOV https://laws.e-gov.go.jp/data/MinisterialOrdinance/331M50000800059/626754_1/pict/2FH00000056543.pdf |
| 元データ名 | 倉庫業法第27条に基づく倉庫事業経営状況報告(倉庫事業経営指標 調査票) |
| データ作成方法 ・内容 | 紙のデータをLINKS Vedaにより構造化 |
| データ構造化後の主な項目 | 運輸局 北海道 所在地 ○○市○○ ○-○-○ 面積(㎡) 13,551 倉庫業営業収益計 376,428 倉庫業損益 10,309 |
| 年次 | 2005年~2023年度 |
| 範囲 | 全国 |
| レコード数 | 2,150 |
| 原典情報 | 国土交通省 倉庫事業経営状況報告 報告書(普通) https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu06000.html |
| 元データ名 | 総合効率化計画認定申請書(様式第1号) |
| データ作成方法 ・内容 | 紙のデータをLINKS Vedaにより構造化 |
| データ構造化後の主な項目 | 報告日 令和6年10月30日 宛先 東北運輸局 事業者名 ○○サービス 従業員数(人) 827 延床面積(㎡) 5,014.6 |
| 年次 | 2016年~2025年度 |
| 範囲 | 近畿運輸局・東北運輸局管内 |
| レコード数 | 56 |
| 原典情報 | 国土交通省 総合効率化計画認定申請書 https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.mlit.go.jp%2Fseisakutokatsu%2Ffreight%2Fkoritsukasinseisho.doc&wdOrigin=BROWSELINK |
| 元データ名 | 流通業務総合効率化事業実施状況報告書(様式第6号) |
| データ作成方法 ・内容 | 紙のデータをLINKS Vedaにより構造化 |
| データ構造化後の主な項目 | 報告日 2025/8/4 宛先 近畿運輸局 1日当りのトラック台数_計画_削減数 5 二酸化炭素排出量_計画_削減排出 17.5 トラックの走行距離_計画_削減距離 19.9 |
| 年次 | 2018年~2025年度 |
| 範囲 | 近畿運輸局・東北運輸局管内 |
| レコード数 | 33 |
| 原典情報 | 国土交通省 https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.mlit.go.jp%2Fseisakutokatsu%2Ffreight%2Fcontent%2F001880923.docx&wdOrigin=BROWSELINK |
| 元データ名 | 新・増設倉庫証明申請書(第1号様式) |
| データ作成方法 ・内容 | 紙のデータをLINKS Vedaにより構造化 |
| データ構造化後の主な項目 | 年月日 令和元年10月1日 事業者名 ○○株式会社 倉庫名称 ○○倉庫 床(容)面積及び階数 12,878 ㎡ 5 階 主要構造部 鉄骨造 |
| 年次 | 2018~2025年度 |
| 範囲 | 近畿運輸局・東北運輸局管内 |
| レコード数 | 14 |
| 原典情報 | 国土交通省 https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.mlit.go.jp%2Fseisakutokatsu%2Ffreight%2Fcontent%2F001734772.docx&wdOrigin=BROWSELINK |
1.老朽化した倉庫の集計・把握
倉庫登録申請書や倉庫明細書をデータ化し、建築年月日をもとに老朽化した倉庫の分布を地図やグラフで可視化することで、老朽倉庫の実態把握や更新・再編の検討に活用できます。

2.倉庫の新設・増設を伴う物流総合効率化計画の認定案件に関する分析
物流総合効率化計画の申請書、報告書、新設倉庫増設証明書を統合し、新設倉庫面積や導入設備と荷待ち時間等の変化を分析することで、物流効率化計画の効果検証や有効な設備導入策の検討に活用できます。

3.受寄物入出庫高及び保管残高報告書を活用した在庫回転率の算出
受寄物入出庫高及び保管残高報告書を構造化し、営業所別・倉庫種別・品目分類別の在庫回転率や回転日数を算出して地図やグラフで可視化することで、全国の倉庫利用実態の把握や保管効率改善の検討に活用できます。

国土交通省職員を対象に有用性検証会を実施した結果、長年課題であった紙データの活用や現状分析に対して、AIツールの有効性が評価されました。あわせて、倉庫関連業務の標準化や負担軽減への活用にも期待が寄せられました。


\ 利用者の声 /

大量の紙データを扱う中で、これまで難しかった現状分析や資料作成が、AIツールによって現実的に進められるようになったと感じました。特に、予算要求や法改正対応の場面でも活用の可能性があると思いました。
昨年度に課題だった倉庫関連業務の標準化や手作業の負担軽減にもつながり、今後の実務での活用に期待しています。
