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2002年８月、チェコ、ドイツを中心としてヨーロッパは記録的洪水にみまわれた。ヨーロッパ中央部を南から北へ流れるエルベ川が増水し、チェコでは首都プラハで所によって３〜４ｍ浸水、５万人が避難し、チェコ全土では約22万人が避難、死者15名、約30億ユーロ（約3800億円）の被害が発生した。ドイツでは、被災者約34万人、被害総額92億ユーロ（約1兆1000億円）の被害であった。この洪水の規模については現在各国の専門家により解析がなされているが、およそ200年から1000年に一度の洪水であった。
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![ドレスデンの浸水状況[ドイツ]/地下鉄入り口の浸水痕跡[チェコ]](img/p63_01.jpg)
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プラハやドイツの古都ドレスデンではエルベ川周辺に世界遺産に指定されている地区がある。このような地区では堤防の整備が行われず可搬式の特殊堤防により対応しているが、それさえも地元の反対により未整備である箇所が多いため被害が大きかった。プラハ市内の地下鉄は浸水被害からの復旧に2003年３月頃までかかる見込みであり、また、ほとんどの建物には倉庫や物置として利用される地下室があるが、それらは浸水被害により全滅状態となった。増水した河川から下水道への逆流により下水処理場が機能しなくなり、洪水後も長期間にわたり市内の下水処理が行われないという事態も発生した。ドレスデンでは洪水時に地下水位が上昇し、ビルの浮き上がりを防ぐために現在もなお地下室に土嚢を積むなどの対策がとられている。
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![住民による水防活動[ドイツ]/可搬式特殊堤防[チェコ]](img/p63_02.jpg)
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2002年にはヨーロッパ以外にも、世界各地で洪水・土砂災害が発生した。中国では各地で発生した洪水により1400人以上が死亡し、韓国でも台風15号により死者行方不明者246名、5兆1479億ウォン（約5200億円）を超える被害が生じている。
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| 2002年に発生した世界の洪水・渇水 |
