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記者発表

海岸保全基本方針の策定について





農林水産省
○運 輸 省告示第三号
 建 設 省
海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第二条の二第一項の規定に基づき、海岸保全区域等に係る海岸の保全に関する基本的な方針を次のとおり定めたので、同条第三項の規定により公表する。
 平成十二年五月十六日

農林水産大臣 玉沢徳一郎
運輸大臣 二階 俊博
建設大臣 中山 正暉



海岸保全区域等に係る海岸の保全に関する基本的な方針

 

一 海岸の保全に関する基本的な指針

     我が国は、四方を海に囲まれ、入り組んだ複雑な海岸線を有することから、海岸の延長は極めて長く約三万五千キロメートルに及ぶ。また、国土狭あいで平野部が限られている我が国では、海岸の背後に、人口、資産、社会資本等が集積している。
     我が国の海岸は、地震や台風、冬期風浪等の厳しい自然条件にさらされており、津波、高潮、波浪等による災害や海岸侵食等に対して脆弱性を有している。このため、海岸の背後に集中している人命や財産を災害から守るとともに国土の保全を図るため海岸整備が進められてきた。
     また、海岸は、単なる陸域と海域との境界というだけでなく、それらが相接する特色ある空間であり、多様な生物が生息・生育する貴重な場であるとともに、美しい砂浜や荒々しい岩礁等の独特の自然景観を有し、我が国の文化・歴史・風土を形成してきた。しかし、沿岸部の開発等に伴い自然海岸が減少してきている。
     一方、海岸は古くから漁業の場や港としての利用がなされるとともに、干拓による農地の開発等も多く行われ、生産や輸送のための空間としての役割を果たしてきた。さらに近年では、レジャーやスポーツ、あるいは様々な動植物と触れ合う場としての役割も担ってきている。
     このような中で、防災面では海岸保全施設の整備水準は未だ低く、津波、高潮、波浪等により依然として多くの被害が発生しており、加えて、施設の機能低下や老朽化も進んでいる。また、海岸に供給される土砂の減少や海岸部での土砂収支の不均衡等の様々な要因により海岸侵食が進行してきている。さらに、海岸の汚損や海浜への車の乗入れ等無秩序な行為や適正でない行為等により、美しく、豊かな海岸環境が損なわれている。
     価値観の多様化や少子・高齢化等が進む中で、今後海岸は、災害に対する安全の一層の向上と良好な海岸環境の整備と保全が図られ、さらに、人々の多様な利用が適正に行われる空間となることが求められている。
     本海岸保全基本方針は、このような認識の下、今後の海岸の望ましい姿の実現に向けた海岸の保全に関する基本的な事項を示すものである。

    1 海岸の保全に関する基本理念
       海岸は、国土狭あいな我が国にあって、その背後に多くの人口・資産が集中している空間であるとともに、海と陸が接し多様な生物が相互に関係しながら生息・生育している貴重な空間である。また、様々な利用の要請がある一方、人為的な諸活動によって影響を受けやすい空間である。さらに、このような特性を持つ海岸において、安全で活力ある地域社会を実現し、環境意識の高まりや心の豊かさへの要求にも対応する海岸づくりが求められている。
       これらのことから、国民共有の財産として「美しく、安全で、いきいきした海岸」を次世代へ継承していくことを、今後の海岸の保全のための基本的な理念とする。
       この理念の下、災害からの海岸の防護に加え、海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用の確保を図り、これらが調和するよう、総合的に海岸の保全を推進するものとする。また、海岸は地域の個性や文化を育んできていること等から、地域の特性を生かした地域とともに歩む海岸づくりを目指すものとする。

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