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河川局

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記者発表

4.河川、下水道等の整備

(1)河川堤防の強化
(緊急に点検、実施すべき事項)
・整備水準を上回る洪水時でも破堤しにくいように、堤防天端の舗装等堤防強化の推進。
・光ファイバー整備、監視カメラ等による監視設備整備等、IT技術を活用した堤防監視の推進。

 都市地域の河川はひとたび堤防が決壊すると、越水や内水氾濫に比べ甚大な被害をもたらす。東海豪雨では、新川の破堤により氾濫した西枇杷島町、名古屋市域で約6000戸が浸水し、最大浸水深は約2メートル、3日間にわたって浸水が続いた。このため、被災住民は長時間にわたり孤立したり、避難を強いられた。
 また、庄内川下流、新川、天白川等のほとんどの区間で河川水位は計画高水位を越え、法崩れ、越水、漏水等破堤に繋がりかねない状況が各所に見られ、水防活動により重大な被害を免れた個所もあり、どこが破堤してもおかしくない状況であった。
 堤防の安全性を高めるには、都市地域河川の有堤区間の安全度を内水地域より高く設定するなど、安全度バランスを考慮するとともに、堤防天端舗装、法面の防水、法尻の排水等、越水や堤防への雨水浸透に強い堤防構造とすることが有効である。
 この場合、河川環境を考慮した工夫が重要である。
 また、堤防状況監視には、監視カメラ、堤防水分、変形等を監視する堤防センサーの設置等、IT技術を活用したリアルタイム堤防状況監視システム整備が有効である。

(2)排水ポンプ場の耐水性強化
(緊急に点検、実施すべき事項)
・河川、下水道等の排水ポンプ場について、氾濫、浸水時の機能確保に関する現状点検。
・点検を踏まえた、施設、機器の嵩上げ、耐水壁の設置等、必要な耐水対策の推進。
・排水ポンプ場周辺の浸水状況を把握するテレメータ水位計、監視カメラ等の監視施設整備の実施。
・運用ルールの点検。

 東海豪雨では、浸水により一部の排水ポンプ場が電気系統、制御系統、燃料系統等の障害を起こし一時機能を停止している。

(3)緊急排水対策の機動性確保
(緊急に点検、実施すべき事項)
・排水ポンプ車の効率的稼動を図るための、進入路、作業ヤード、水防拠点等必要な施設整備の実施。

 東海豪雨では、新川等の氾濫水排除のため、建設省保有の排水ポンプ車が全国から20台参集し迅速な排水に効果があった。この際、中小河川である新川の堤防上では作業性が悪く機動的な作業ができない事例があった。また、堤防上でのすれ違いの困難、的確なポンプ吸水地点が不明等の理由により作業が困難であった事例があった。

(4)側溝、マンホール等の転落防止
(緊急に点検、実施すべき事項)
・側溝、マンホール等の蓋の浮上、飛散防止等転落防止対策の推進。

 東海豪雨では、天白川流域の浸水区域で、水防活動中の男性が、蓋が外れてしまった側溝に落ちて死亡するなど、全国で4名の方が水路等への転落でなくなっている。また、名古屋市では少なくとも約70個所で下水道マンホール蓋が浮上、飛散したと報告されている。

(5)排水ポンプ場の運転調整
(今後さらに検討を加え、推進すべき事項)
・運転調整の考え方、効果、内水への影響等の住民への説明、理解の醸成。
・河川水位等、明確な判断基準に基づく運転調整ルールの設定、公表。
・運転調整実施を住民等に情報提供する手順の明確化。
・河川管理者、排水ポンプ場管理者間のホットラインの設定、整備。
・河川状況、排水状況、浸水状況等をリアルタイムで共有する情報システムの整備。
・IT技術を活用した、責任者が直接施設コントロールできる、流域一体の監視、遠隔操作システム整備の検討。

 現在の整備水準を超えた豪雨に見舞われた場合などに、堤防の決壊による甚大な被害を回避するため、排水ポンプ場の運転調整を行う必要があり、庄内川等の排水ポンプ場においても排水調整を行うこととされている。
 その状況を見ると、明確な運転調整基準がなく、実運用上判断に苦慮する例があった。また、河川水位等に基づく排水調整基準はあっても、その排水ポンプ場が排水調整を行うものであることが地域住民に理解されておらず、運転調整が必要な時点では内水による浸水も発生している状態であることから運転調整の実施に苦慮する例もあった。
 運転調整ルールは、種々の気象条件下での洪水、浸水予測シミュレーション結果に基づき、河川水位等を基準とした明確な判断基準を設定、公表する必要がある。その際、排水調整の考え方、効果、内水への影響等についてあらかじめ地域住民へ説明し、理解を得ることが重要である。さらに、実際に運転調整を行う場合の、住民に情報提供する手順、方法について定めておくべきである。また、排水ポンプ場の設置、増設時においても、排水能力、位置、運転調整方法等について上記の観点から検討することが必要である。
 河川水位の状況、排水ポンプ場の運転状況、内水浸水状況等の情報は、FAX等で伝達している状況であり、水災状況の情報共有がなされていない。
 円滑な意見調整、判断の手段としては、河川管理者、排水ポンプ場管理者が、河川状況、排水状況、浸水状況等の水災状況情報をリアルタイムで共有する情報ネットワークシステム整備が有効である。また、河川管理者、排水ポンプ場管理者の意思決定責任者間の意志疎通を円滑に図るためには、ホットライン専用回線設定等の意見交換システム整備が有効である。
 さらに、円滑に運転調整を行うため、IT技術を活用した、責任者が直接施設をコントロールできる流域一体の排水ポンプ運転状況監視、遠隔操作システム整備の検討が必要である。

(6)円滑、迅速な水防実施
(今後さらに検討を加え、推進すべき事項)
・都市地域における水防活動を円滑に行うための、河川防災ステーション、水防倉庫、水防側帯等の整備の推進、及び、資機材輸送ルートの確保。

 東海豪雨における水防活動では、活動拠点の不足、必要な作業スペースの不足、土砂の調達等の困難、資材の不足などの事例があった。このうち、土砂の確保については、水防用の土砂を河川堤防の拠点拠点に備蓄しておく堤防側帯等を整備しておくことが効果的である。
 また、浸水により一部道路が通行困難となり、資機材や人員を輸送できるルートが限られてくるため、あらかじめ輸送ルート確保計画を検討しておくことが重要である。



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