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河川局

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記者発表

5.治水システムの新たな展開、ステップアップ

(1)流域の水災特性を考慮した安全度バランス
(今後さらに検討を加え、推進すべき事項)
・流域内の大河川、中小河川、下水道や保水地域、内水地域等の特性による水災特性を踏まえた、流域全体の安全度バランスを考慮した計画の検討。
・都市地域の有堤区間の安全度を相対的に高い水準に設定。

 東海豪雨で堤防が決壊した新川の改修計画は、長期的には100年に1回(時間雨量100mm)の洪水を整備目標としているが、新川の総合治水計画は5年に1回(時間雨量50mm)の洪水を整備目標としており、堤防整備、内水対策とも同じ整備目標となっている。
 堤防が決壊した場合と内水氾濫とでは水災の程度に大きな差があるが、整備目標を超える豪雨に対しては結果的に河川堤防に負担がかかることとなる。堤防に負担がかかる状況下では、排水ポンプに依存している内水排水にも支障が生ずることとなる。
 都市地域の水災対策計画は、流域内の大河川、中小河川、下水道、内水域等のそれぞれの浸水による水災規模、影響を想定した上で、流域全体の安全度バランスを考慮して立案することが重要である。
 この場合、河川の堤防決壊による外水氾濫は、水災規模が大きくなることを考慮して、このような河川は相対的に高い安全性をもつ必要がある。
 また、流域の治水システム全体の安全度を分かりやすく説明する工夫を検討すべきである。

(2)都市型水害対策の新たな展開、ステップアップ
(今後さらに検討を加え、推進すべき事項)
・既成市街地における浸水地域対策、水災危機管理を含む都市型水害対策総合計画の新たな展開、ステップアップの推進。
・計画の分かりやすい説明、及び、住民の参画。

 東海豪雨で水災の大きかった新川流域では、昭和57年に総合治水計画が策定されている。新川流域は、すでに総合治水計画で想定していた65%程度の市街化が進んでいる。
 都市地域の状況は、既に市街化が相当程度進展した段階になってきており、市街化の進展にあわせて行ってきた総合治水対策は、その観点を「市街化の進展への対応」から、「既に市街化の進んだ市街地の水災対策」に視点を展開していく必要がある。このため、総合治水対策協議会、都市雨水対策協議会等の推進体制をこれに対応したものに発展させ、総合治水対策、総合的都市雨水対策計画等を、既成市街地における都市の再構築の視点を踏まえた、耐水に配慮したまちづくり等の浸水地域対策、豪雨時の避難、被害軽減対策等、住民等の行動規範等の水災危機管理等の新たな視点を加えた総合的計画に展開、ステップアップしていく必要がある。
 この計画の推進には、流域住民の理解、協力が不可欠であり、流域、河川、下水道等の現状や計画の考え方等について、住民等に分かり易く説明し理解を得るとともに住民等の意見を計画へ反映させる体制を整えることが重要である。

(3)治水システム整備段階に対応した貯留、浸透機能
(今後さらに検討を加え、推進すべき事項)
・環境保全と一体となった貯留、浸透機能の保全、確保。
・治水システムの整備段階を考慮した、貯留、浸透施設効果の定期的検証。
・検証結果を踏まえた、貯留、浸透施設形態の調整、変更の検討、実施。

 都市型水害対策においては、流域対策による貯留、浸透機能の保全、確保に引き続き取組む必要がある。この場合、関係市町村における条例、要綱等による流域対策推進の努力が期待される。流域の浸透機能の保全、確保は、健全な水循環の回復の視点からも重要であり、環境保全と治水システムを一体として捉えることが求められる。
 また、治水システムの整備状況が進むとその状況に応じて流域に設けられた貯留、浸透施設の効果が減少する。このため、治水システムの整備段階に応じて貯留、浸透機能の効果を定期的に検証、分析した上で、調節池への貯留を開始する流量を引き上げるなど整備段階に応じた効果的な施設形態の調整、変更や浸透機能型施設への転換の可能性等を検討する必要がある。この場合、効率的な土地利用、水循環等環境保全機能の増進を考慮するとともに、効果の大きい暫定調節池については、その機能の恒久的確保を目指すことが有効である。

(4)多様な手法による下水道雨水対策
(今後さらに検討を加え、推進すべき事項)
・貯留、浸透機能等を活用した多様な手法の下水道雨水対策の推進。

 下水道の雨水対策は、重点地区を選定して、事業を集中的に実施することなどにより必要な安全度を早期に達成することが、都市全体の雨水排水の安全度向上の基本である。
 さらに、雨水貯留管、浸透機能を持つ雨水マス、雨水排水のネットワーク化等、多様な手法による下水道雨水対策の推進が必要であり、整備にあったては都市の再構築等と併せて一体的に行うことが効果的である。

(5)耐水に配慮したまちづくり
(今後さらに検討を加え、推進すべき事項)
・水災シナリオ別予測シミュレーション、微地形調査等に基づく、耐水に配慮したまちづくりが望まれる地域等の検討、情報提供。
・上記の情報提供を受けた、建築物の設計やまちづくりの耐水への配慮の推進。

 内水域等は、整備水準を上回る豪雨時には浸水することとなる。この状況を、浸水予想区域、浸水深、頻度等を水災シナリオ別予測シミュレーション、微地形調査、地下マップ等により明らかにして情報提供するとともに、関係機関が、連携、協力し地下室の設置にあたっての配慮、耐水に配慮したまちづくりが望まれる地域等の検討、設定を行う等、まちづくりの主体である市町村の努力を支援する必要がある。
 また、この地域では、浸水しても被害が少なく補修の容易な耐水型の設計に配慮することが効果的である。



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